JP5464029B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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トレッド部におけるカーカス層の外周の領域に、タイヤ周方向に対し45〜90度のコード角度を持つスチールコードを有する、タイヤ幅方向の中央域で離間させたスプリット構造の第一ベルト層と、
第一ベルト層の外周に、タイヤ周方向に対し10〜30度のコード角度を持つスチールコードを有し、層間で互いにスチールコードを交差させる内径側交差ベルト層および外径側交差ベルト層と、
スプリット構造の第一ベルト層の間の領域に設けられ、第一ベルト層のスチールコードを取り巻くコーティングゴムより弾性率が高い第一硬質ゴム層と、
内径側交差ベルト層と外径側交差ベルト層との間のタイヤ幅方向両端部に設けられたベルトエッジクッションゴム層と、
内径側交差ベルト層と外径側交差ベルト層との間の、ベルトエッジクッションゴム層よりもタイヤ幅方向内側に設けられ、ベルトエッジクッションゴム層の弾性率より低い弾性率を有する軟質ゴム層と、
を有することを特徴とする空気入りタイヤである。
タイヤセンターラインを中心としたタイヤトレッド展開幅の20〜50%の幅に位置する第一領域において、内径側交差ベルト層のスチールコードと外径側交差ベルト層のスチールコードとの間のタイヤ径方向距離をT1とし、
第一領域よりタイヤ幅方向外側に位置する領域において、内径側交差ベルト層のスチールコードと外径側交差ベルト層のスチールコードとの間のタイヤ径方向距離をT2と、したとき、
D≦T2−T1≦2・Dを満たすように、軟質ゴム層が設けられた第二領域を備えることが好ましい。
第二硬質ゴム層は、第一領域の、外径側交差ベルト層と保護ベルトとの間の領域に配置されていることが好ましい。
以下、本発明の構成につき添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
第一ベルト層11は、大きなタイヤ充填空気圧に対して寸法安定性を確保する機能を有するベルトである。第一ベルト層11は、トレッド部5におけるカーカス層3の外周の領域に設けられている。第一ベルト層11は、タイヤ周方向に対し45〜90度のコード角度を有する、コーティングゴムで被覆されたスチールコードを有する。第一ベルト層11は、タイヤ幅方向の中央域で離間させたスプリット構造を有している。具体的には、第一ベルト層11は、幅方向の中央で幅Aにわたり左右に離間して配置されており、中央のスプリット域には後述する第一硬質ゴム層25が設けられる第一隙間19を確保している。
第一硬質ゴム層25は、第一ベルト層11のスチールコードを取り巻くコーティングゴムより弾性率が高い。第一硬質ゴム層25の100%伸長時モジュラスは、6.0〜10.0(MPa)である。コーティングゴムの100%伸長時モジュラス伸長時モジュラスは、5.5〜7.5(MPa)である。
スプリット構造の第一ベルト層11をタイヤ幅方向に離間する幅Aは、タイヤの種類や大きさに応じて、第一ベルト層11の全幅との関係により設定される。ただし、幅Aは、トレッド展開幅Wの20〜50%である。また、その間に配設される第一硬質ゴム層25の幅は特に限定されないが、第一ベルト層11の中央のスプリット域の幅Aと同等にしてもよい。
なお、トレッド展開幅とは、正規リムに組み付け、正規内圧を充填し、正規荷重の80%を加え時のトレッド部の接地端の幅をいう。ここでいう正規リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、正規内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、正規荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。
第二硬質ゴム層27のタイヤ幅方向における幅Bは、第一硬質ゴム層25のタイヤ幅方向における幅Aと同等もしくはそれより広く、第三ベルト層15の幅より狭い。
第二硬質ゴム層27の厚さ(ゲージ)は、第三ベルト層15のスチールコード径Dの1.0〜2.0倍である。
第二硬質ゴム層27は、第一ベルト層11のスチールコードを取り巻くコーティングゴムより弾性率が高い。第二硬質ゴム層27の100%伸長時モジュラスは、6.0〜10.0(MPa)である。コーティングゴムの100%伸長時モジュラスは、5.5〜7.5(MPa)である。
第一領域41は、第三ベルト層15の第一部分15aが第二ベルト層13に接触している部分である。第一領域41は、タイヤセンターラインを中心としたタイヤトレッド展開幅Wの20〜50%の幅に対応している。第一領域41において、第二ベルト層13のスチールコードと第三ベルト層15のスチールコードとの間のタイヤ径方向距離を、図2に示すようにT1とする。
軟質ゴム層29の厚さ(ゲージ)は、第三ベルト層15のスチールコード径Dの1.0〜2.0倍である。
重荷重用空気入りタイヤ1は、上述するように第一ベルト層11を幅方向の中央で離間させたスプリット構造にしたので、トレッド部5の幅方向断面曲げ剛性を低下させ、摩耗末期における凹凸路面走行時の応力集中を緩和している。さらに、第一ベルト層11の中央域に第一硬質ゴム層25を設け、第二領域43に軟質ゴム層29を設けることにより、重荷重用空気入りタイヤ1は、後述する実施例から判るように、トレッド部5全域を均一な外径成長が実現されてセンター摩耗性が向上する。
重荷重用空気入りタイヤの耐外傷性およびセンター摩耗性について、ベルト構造を種々変化させた重荷重用空気入りタイヤを作製して、調べた(従来例1、本発明に係る実施例1〜3、比較例1)。
従来例1、本発明に係る実施例1〜3、比較例1のタイヤはいずれも、11R22.5サイズのラグパターンタイヤを大型ダンプ(10t、3軸車2軸駆動)の駆動軸に装着し、一般路を3万km走行させ、走行後のトレッド面を観察した。それにより、耐外傷性およびセンター摩耗性を評価した。耐外傷性については5点法(数値が小さいほど良好)を用いて評価した。センター摩耗性は、センター溝の摩耗量と外溝の摩耗量の差から判断し、具体的には、従来タイヤを100とする指数(数値が大きいほど良好)を用いて評価した。100%伸長時モジュラスはJIS K6251(3号ダンベル使用)に従い、室温にてゴムサンプルの引っ張り試験を行って測定した。
表1は、本発明に係る実施例1〜3と、従来例1および比較例1の仕様と評価結果を示している。
従来例1では、第一ベルト層の中抜き部にゴム層が設けられているが、本発明に係る軟質ゴム層および第二硬質ゴム層は設けられていない。また、従来例1のゴム層は100%伸長時モジュラスが、本発明に係る実施例1〜3に比べると小さい。
このように実施例2および実施例3では、実施例1に比較して、第一または第二硬質ゴム層の100%伸長時モジュラスに対する軟質ゴム層の100%伸長時モジュラスの比が小さくなっており、これにより、実施例1に比べて実施例2および実施例3はセンター摩耗性が向上していることが判る。
3 カーカス層
5 トレッド部
9 タイヤベルト構造
11 第一ベルト層
13 第二ベルト層(内径側交差ベルト層)
15 第三ベルト層(外径側交差ベルト層)
15a 第一部分
15b 第二部分
15c 段差部
17 第四ベルト層(保護ベルト層)
19 第一隙間
21 第二隙間
23 第三隙間
25 第一硬質ゴム層
27 第二硬質ゴム層
29 軟質ゴム層
31 ベルトエッジクッションゴム層
41 第一領域
43 第二領域
Claims (11)
- トレッド部におけるカーカス層の外周の領域に、タイヤ周方向に対し45〜90度のコード角度を持つスチールコードを有する、タイヤ幅方向の中央域で離間させたスプリット構造の第一ベルト層と、
前記第一ベルト層の外周に、タイヤ周方向に対し10〜30度のコード角度を持つスチールコードを有し、層間で互いにスチールコードを交差させる内径側交差ベルト層および外径側交差ベルト層と、
前記スプリット構造の前記第一ベルト層の間の領域に設けられ、前記第一ベルト層のスチールコードを取り巻くコーティングゴムより弾性率が高い第一硬質ゴム層と、
前記内径側交差ベルト層と前記外径側交差ベルト層との間のタイヤ幅方向両端部に設けられたベルトエッジクッションゴム層と、
前記内径側交差ベルト層と前記外径側交差ベルト層との間の、前記ベルトエッジクッションゴム層よりもタイヤ幅方向内側に設けられ、前記ベルトエッジクッションゴム層の弾性率より低い弾性率を有する軟質ゴム層と、を有することを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記外径側交差ベルト層のスチールコード径をDとし、
タイヤセンターラインを中心としたタイヤトレッド展開幅の20〜50%の幅に位置する第一領域において、前記内径側交差ベルト層のスチールコードと前記外径側交差ベルト層のスチールコードとの間のタイヤ径方向距離をT1とし、
前記第一領域よりタイヤ幅方向外側に位置する領域において、前記内径側交差ベルト層のスチールコードと前記外径側交差ベルト層のスチールコードとの間のタイヤ径方向距離をT2と、したとき、
D≦T2−T1≦2・Dを満たすように、前記軟質ゴム層が設けられた第二領域を備える、請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - 前記ベルトエッジクッションゴム層の100%伸長時モジュラスと前記軟質ゴム層の100%伸長時モジュラスとの比が、1:0.18〜0.99である、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記軟質ゴム層の厚さは、前記外径側交差ベルト層のスチールコード径Dの1.0〜2.0倍である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第一硬質ゴム層の100%伸長時モジュラスと前記軟質ゴム層の100%伸長時モジュラスとの比が、1:0.1〜0.83である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第一硬質ゴム層の厚さは、前記第一ベルト層のスチールコード径Dの1.0〜2.0倍である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第一の領域内であって、かつ、前記外径側交差ベルト層の外周に設けられ、前記第一ベルト層のスチールコードを取り巻くコーティングゴムより弾性率が高い第二硬質ゴム層をさらに備えている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第二硬質ゴム層の100%伸長時モジュラスと前記軟質ゴム層の100%伸長時モジュラスとの比が、1:0.1〜0.83である、請求項7に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第二硬質ゴム層の厚さは、前記外径側交差ベルト層のスチールコード径Dの1.0〜2.0倍の範囲である、請求項7または8に記載の空気入りタイヤ。
- 前記外径側交差ベルト層の外周に設けられた保護ベルト層をさらに備え、
前記第二硬質ゴム層は、前記第一領域の、前記外径側交差ベルト層と前記保護ベルトとの間の領域に配置される、請求項7〜9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。 - 前記第二硬質ゴム層のタイヤ幅方向における幅が、前記第一硬質ゴム層のタイヤ幅方向における幅より広く、かつ、前記トレッド展開幅の1/2以下である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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