JP5462442B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
近年、水素(燃料ガス、反応ガス)がアノードに、酸素を含む空気(酸化剤ガス、反応ガス)がカソードに、それぞれ供給されることで発電する固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)等の燃料電池の開発が盛んである。
このような燃料電池が発電すると、そのカソードで水蒸気(水)を生成し、生成した水の一部は、電解質膜(固体高分子膜)を介して、アノード側に透過する。また、電解質膜の湿潤状態を維持するため、燃料電池に向かう水素、空気は、中空糸膜を備える加湿器等によって加湿される。したがって、燃料電池や、アノードから排出されるアノードオフガス、カソードから排出されるカソードオフガスは多湿となる。よって、発電停止後、燃料電池が低温環境下(例えば0℃未満)に曝されると、燃料電池内が凍結する虞がある。
そこで、凍結する虞がある場合、燃料電池に掃気ガス(非加湿の空気や窒素等)を押し込み、燃料電池内に残留する水蒸気や結露水等の水分を押し出し、燃料電池を掃気する技術が提案されている(特許文献1参照)。そして、水分と共に燃料電池から排出された掃気ガスは、掃気時に開かれる掃気ガス排出弁、掃気ガス排出配管を介して排出される。
特開2007−180010号公報
ところが、燃料電池が掃気され、掃気ガス排出弁が閉じられた後、掃気ガス排出配管に水分(水蒸気、結露水等)が残留している場合がある。このように水分が残留したまま、燃料電池システムが低温環境下(例えば0℃未満)に曝されると、水分が凍結し、掃気ガス排出配管内の流路断面積が小さくなり、また、閉塞する虞がある。
このように流路断面積が小さく、また、閉塞したまま、燃料電池システムが再起動した後、停止した場合において、燃料電池を掃気する必要があると判断されたとき、掃気ガスが、掃気ガス排出配管を好適に流れることができず、燃料電池を良好に掃気できない虞がある。
また、燃料電池が掃気され、掃気ガス排出弁が閉じられた後、掃気ガス排出配管に水分が残留していなかったとしても、掃気ガス排出配管が合流する合流機器から水分が逆流する虞もある。このように水分が逆流してしまうと、逆流した水分が凍結し、掃気ガス排出配管内の流路断面積が小さくなり、また、閉塞する虞がある。
そこで、本発明は、掃気ガス排出配管内で水分が凍結しにくく、燃料電池を好適に掃気可能な燃料電池システムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、燃料電池と、前記燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガスが流れるカソードオフガス配管と、前記燃料電池の掃気時に開かれ、当該燃料電池のアノードからの掃気ガスを排出する掃気ガス排出弁と、前記掃気ガス排出弁の下流に接続され、掃気ガスを排出する掃気ガス排出配管と、を備え、前記掃気ガス排出配管は、その内部の水分が自重により排出されるように下り傾斜状であって、その下流端は、上方から前記カソードオフガス配管に接続され、前記掃気ガス排出配管において、前記カソードオフガス配管側の鉛直方向の傾斜は、前記掃気ガス排出弁側の鉛直方向の傾斜よりも小さいことを特徴とする燃料電池システムである。
このような燃料電池システムによれば、燃料電池が掃気され、掃気ガス排出弁が閉じられた後、掃気ガス排出配管に水分が残留していたとしても、この水分が、自重により、下り傾斜状の掃気排出配管内を流れ、カソードオフガス配管に排出される。これにより、水分が掃気ガス排出配管内で凍結することはなく、凍結による流路断面積の減少及び閉塞を防止できる。
したがって、その後、燃料電池システムが再起動し、停止した場合において、燃料電池の掃気が必要であると判断されたとき、燃料電池から排出される掃気ガスは掃気ガス排出配管内を好適に通流でき、その結果、燃料電池を好適に掃気できる。
なお、カソードオフガス配管内は、一般に、コンプレッサ等の酸化剤ガス供給手段から吐出される空気が、大流量・高圧力で通流するので、掃気ガス排出配管から排出された水分により、カソードオフガス配管は閉塞しにくくなっている。
また、掃気ガス排出弁が閉じられた後、掃気ガス排出配管に水分が残留していない場合において、カソードオフガス配管内の水分(水蒸気、結露水等)が、下り傾斜状の掃気ガス排出配管に逆流することはない。このように逆流しないので、その後、掃気ガス排出配管内で水分が凍結することはなく、流路断面積の減少及び閉塞を防止できる。
このような燃料電池システムによれば、燃料電池の掃気時において、開かれた掃気ガス排出弁からの掃気ガス及び水分を、掃気ガス排出配管の鉛直方向の傾斜が大きい掃気ガス排出弁側で加速させ、速やかにカソードオフガス配管に排出できる。
また、仮に、システム停止時において、カソードオフガス配管内の水分が、掃気ガス排出配管内に逆流したとしても、カソードオフガス配管側の鉛直方向の傾斜は小さいので、逆流した水分によって、掃気ガス排出配管が閉塞しにくくなる。よって、このような逆流した水分による閉塞を防止するために、掃気ガス排出配管の内径、特に高さ方向の内径が、下流に向かって徐々に大きくなる構成としてもよい。
ここで、「掃気ガス排出配管は上方からカソードオフガス配管に接続されている」とは、掃気ガス排出配管が、カソードオフガス配管の上部側(例えば上半分側)に接続されていることを意味する。
このような燃料電池システムによれば、カソードオフガス配管内の水分(結露水等)が、掃気ガス排出配管に逆流(流入)することを防止できる。
また、前記掃気ガス排出配管は、当該掃気ガス排出配管からの掃気ガスが前記カソードオフガス配管内のカソードオフガスの流れに沿って合流するように、前記カソードオフガス配管に接続されていることを特徴とする燃料電池システムである。
ここで、「掃気ガス排出配管は、掃気ガス排出配管からの掃気ガスがカソードオフガス配管内のカソードオフガスの流れに沿って合流するように、接続されている」とは、掃気ガス排出配管とカソードオフガス配管との接続部において、掃気ガス排出配管の軸線とカソードオフガス配管の軸線とのなす上流側の角度(後記する実施形態における角度θ)が、0°よりも大きく90°以下であることを意味する。
このような燃料電池システムによれば、掃気ガス排出配管からの掃気ガスが、カソードオフガス配管内のカソードオフガスの流れに沿って、カソードオフガスに合流するので、掃気ガス排出配管からの掃気ガスをカソードオフガス配管内に良好に排出できると共に、合流部において発生する音を低減できる。
また、前記燃料電池の発電時に開かれ、当該燃料電池のアノードからのアノードオフガスを排出するパージ弁と、前記カソードオフガス配管に設けられ、前記パージ弁から排出されるアノードオフガスをカソードオフガスで処理し、アノードオフガスに含まれる燃料ガスの濃度を低減するガス処理装置と、を備え、前記掃気ガス排出配管の下流端は、前記ガス処理装置よりも上流のカソードオフガス配管に接続されていることを特徴とする燃料電池システムである。
このような燃料電池システムによれば、ガス処理装置にアノードオフガスが残留していたとしても、燃料電池の掃気時に、掃気ガス排出配管からカソードオフガス配管を介して、ガス処理装置に流れ込む掃気ガスによって、残留するアノードオフガスを処理(後記する実施形態では希釈処理)し、燃料ガスの濃度を低減できる。
また、前記パージ弁と前記ガス処理装置とを接続し、下り傾斜状であるパージガス排出配管を備えることを特徴とする燃料電池システムである。
また、前記パージガス排出配管は、その内部を通流する水分を加速させる少なくとも1つの下り段差部を有することを特徴とする燃料電池システムである。
本発明によれば、掃気ガス排出配管内で水分が凍結しにくく、燃料電池を好適に掃気可能な燃料電池システムを提供することができる。
本発明の一実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
≪燃料電池システムの構成≫
図1に示す本実施形態に係る燃料電池システム1は、図示しない燃料電池自動車(移動体)に搭載されている。燃料電池システム1は、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10のアノードに対して水素(燃料ガス、反応ガス)を給排するアノード系と、燃料電池スタック10のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス、反応ガス)を給排するカソード系と、掃気時にカソード系からアノード系に掃気ガスを導く掃気ガス系と、を備えている。
<燃料電池スタック>
燃料電池スタック10は、複数(例えば200〜400枚)の固体高分子型の単セルが積層されることで構成されたスタックであり、複数の単セルは電気的に直列で接続されている。単セルは、MEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)と、これを挟み2枚の導電性を有するアノードセパレータ及びカソードセパレータと、を備えている。
MEAは、1価の陽イオン交換膜(例えばパーフルオロスルホン酸型)からなる電解質膜(固体高分子膜)と、これを挟むアノード及びカソードとを備えている。アノード及びカソードは、カーボンペーパ等の導電性を有する多孔質体から主に構成されると共に、アノード及びカソードにおける電極反応を生じさせるための触媒(Pt、Ru等)を含んでいる。
アノードセパレータには、各MEAのアノードに対して水素を給排するため単セルの積層方向に延びる貫通孔(内部マニホールドと称される)や、単セルの面方向に延びる溝が形成されており、これら貫通孔及び溝がアノード流路11(燃料ガス流路)として機能している。
カソードセパレータには、各MEAのカソードに対して空気を給排するため単セルの積層方向に延びる貫通孔(内部マニホールドと称される)や、単セルの面方向に延びる溝が形成されており、これら貫通孔及び溝がカソード流路12(酸化剤ガス流路)として機能している。
そして、アノード流路11を介して各アノードに水素が供給されると、式(1)の電極反応が起こり、カソード流路12を介して各カソードに空気が供給されると、式(2)の電極反応が起こり、各単セルで電位差(OCV(Open Circuit Voltage)、開回路電圧)が発生するようになっている。次いで、燃料電池スタック10と走行モータ等の外部回路とが電気的に接続され、電流が取り出されると、燃料電池スタック10が発電するようになっている。
2H→4H+4e …(1)
+4H+4e→2HO …(2)
そして、このように発電すると、カソードで生成した水(水蒸気)の一部は、電解質膜を透過し、アノードに移動する。よって、カソードから排出されるカソードオフガス、アノードから排出されるアノードオフガスは、多湿となる。
<アノード系>
アノード系は、水素タンク21(燃料ガス供給手段)と、常閉型の遮断弁22と、エゼクタ23と、気液分離器24と、常閉型のパージ弁26と、常閉型の掃気ガス排出弁27とを備えている。
水素タンク21は、配管21a、遮断弁22、配管22a、エゼクタ23と、配管23aを介して、アノード流路11の入口に接続されている。配管22aには、水素を所定圧力に減圧する減圧弁(図示しない)が設けられており、この減圧弁には、カソード流路12に向かう空気の圧力が信号圧(パイロット圧)として入力され、前記空気の圧力とアノード流路11における水素の圧力とが等しくなるように制御する構成となっている。
そして、図示しないECU(Electronic Control Unit、電子制御装置)によって、遮断弁22が開かれると、水素タンク21の水素が配管21a等を介してアノード流路11に供給されるようになっている。
アノード流路11の出口は、配管24a、気液分離器24、配管24bを介して、エゼクタ23の吸込口に接続されている。そして、アノード流路11(アノード)から排出された未反応の水素を含むアノードオフガスは、気液分離器24において、これに同伴する液状の水分が分離された後、燃料電池スタック10の上流のエゼクタ23に戻されるようになっている。次いで、エゼクタ23において、水素タンク21からの水素と混合された後、アノード流路11に再供給されるようになっている。すなわち、本実施形態において、配管24a及び配管24bによって、水素を循環させる水素循環ラインが構成されている。
なお、配管24bの気液分離器24側部分は、鉛直方向で配置されており、水素に同伴する水分が、自重により気液分離器24に戻されるようになっている。
一方、気液分離器24で分離された水分は、一時的に気液分離器24内に貯溜された後、配管25a、ECUにより適宜に開かれる常閉型のドレン弁25、配管25bを介して、後記する希釈器33の上部に排出されるようになっている(図2参照)。
[パージ弁]
配管24bは、その途中で、配管26a、パージ弁26、配管26bを介して、後記する希釈器33の上部に接続されている。パージ弁26は、燃料電池スタック10の発電時において、配管24a及び配管24bを循環するアノードオフガス(水素)に含まれる不純物(水蒸気、窒素等)を排出(パージ)する場合、ECUにより開かれる弁である。
なお、ECUは、例えば、燃料電池スタック10を構成する単セルの電圧(セル電圧)が所定セル電圧以下となった場合、不純物を排出する必要があると判定し、パージ弁26を開く設定となっている。セル電圧は、例えば、単セルの電圧を検出する電圧センサ(セル電圧モニタ)を介して検出される。
配管26aは、上り傾斜状で配置されている。これにより、配管26a内で結露水が生成したとしても、この結露水が、自重により、配管26a、配管24bを介して、気液分離器24に戻されるようになっている。
また、配管26b(パージ水素排出配管)は、下り傾斜状であると共に、傾斜が大きい複数(図1、図2では3つ)の下り段差部Pを有している。これにより、パージ弁26からのアノードオフガスに水分が含まれたとしても、複数の段差部Pで加速され、希釈器33に速やかに排出される。さらに、パージ弁26が閉じられた後、配管26b内で水蒸気が結露し、結露水が生成したとしても、この結露水は、下り傾斜状の配管26b内を流れ、希釈器33に排出されるようになっている。よって、その後、システムが低温環境下に曝されたとしても、配管26bは閉塞しないようになっている。
[掃気ガス排出弁]
また、配管26aの接続位置よりも上流側の配管24bは、配管27a、掃気ガス排出弁27、配管27b(掃気ガス排出配管)を介して、後記する希釈器33の近傍の配管32cに接続されている。掃気ガス排出弁27は、燃料電池スタック10の掃気時、詳細には、アノード流路11の掃気時に、コンプレッサ31が作動した状態で、ECUにより、後記する掃気ガス導入弁41と共に開かれる設定となっている。
さらに説明すると、燃料電池スタック10の掃気時とは、例えばシステム停止時において、温度センサ(図示しない)によって検出されるシステム温度が所定温度未満であり、この後、燃料電池スタック10内が凍結する虞のある時である。
そして、燃料電池スタック10内が凍結する虞があると判定される場合、ECUはコンプレッサ31を作動すると共に、掃気ガス導入弁41及び掃気ガス排出弁27を開き、コンプレッサ31からの掃気ガス(空気)を、アノード流路11及びカソード流路12に押し込み、アノード流路11等の水分(水蒸気、結露水等)を押し出し、燃料電池スタック10を掃気するように設定されている。
この場合において、アノード流路11から押し出された水分は、掃気ガスと共に、配管24a、気液分離器24、配管24b、配管27a、掃気ガス排出弁27、配管27bを介して、カソード流路12から排出された掃気ガス(カソードオフガス)が流れる配管32cに排出され、次いで、配管33b、配管33dを介して車外に排出されるようになっている。一方、カソード流路12から押し出された水分は、掃気ガスと共に、後記する配管32b、配管32c、配管33b、配管33dを介して車外に排出される。また、アノード流路11(燃料電池スタック10)を短時間で掃気するため、掃気ガスが流れる配管27a及び配管27bの内径は、配管26a及び配管26bの内径よりも太く設定されている。
配管27aは、上り傾斜状で配置されている。これにより、配管27a内で結露水が生成したとしても、この結露水が、自重により、配管27a、配管24bを介して、気液分離器24に戻されるようになっている。
配管27bは、図2に示すように、掃気ガス排出弁27からの掃気ガスを排出する配管であって、下り傾斜状となっており、その下流端は、希釈器33の上流の配管32cに上方から接続、つまり、配管32cの上部側(上壁部)に接続されている。また、配管27bにおいて、カソードオフガスが流れる配管32c側部分(符号R)の傾斜は、掃気ガス排出弁27側部分の傾斜(符号Q)よりも小さくなっている。
さらに、配管27bと配管32cとの接続部分において、配管27bは、掃気ガスがカソードオフガス(カソードから排出された掃気ガス)の流れに沿って合流するように、配管32cに接続されている。すなわち、図3(a)に示すように、配管27bと配管32cとの接続部分において、配管27bの軸線と、配管32cの軸線とのなす上流側の角度θは、0°よりも大きく90°以下に設定されている。
<カソード系>
図1に戻って説明を続ける。
カソード系は、コンプレッサ31(酸化剤ガス供給手段、掃気手段)と、加湿器32と、希釈器33(ガス処理装置)とを備えている。
コンプレッサ31は、配管31a、加湿器32、配管32aを介して、カソード流路12の入口に接続されている。そして、ECUの指令に従って作動すると、コンプレッサ31は、酸素を含む空気を取り込み、空気をカソード流路12に供給するようになっている。また、コンプレッサ31は、燃料電池スタック10の掃気時には、これを掃気する掃気手段として機能するようになっている。
なお、コンプレッサ31は、燃料電池スタック10及び/又は燃料電池スタック10の発電電力を充放電する高圧バッテリ(図示しない)を電源として作動する。
カソード流路12の出口は、配管32b、加湿器32、配管32cを介して、希釈器33に接続されている。そして、カソード流路12(カソード)から排出された多湿のカソードオフガスは、配管32b等を介して、希釈器33に排出されるようになっている。なお、配管32cには、カソード流路12における空気の圧力を制御する図示しない背圧弁(バタフライ弁等)が設けられている。
<加湿器>
加湿器32は、コンプレッサ31からカソード流路12に向かう空気を加湿するため、カソード流路12に向かう空気と、多湿のカソードオフガスとを水分交換させる中空糸膜32dを備えている。
<希釈器>
希釈器33は、パージ弁26から導入されるアノードオフガスと、配管32cから導入されるカソードオフガス(希釈用ガス)とを混合し、アノードオフガス中の水素を、カソードオフガスで希釈する容器であり、その内部に希釈空間33aを備えている。具体的には、希釈器33は、希釈空間33aの鉛直下方に、カソードオフガスが流れる配管33bを有しており、配管33bには、その内部と希釈空間33aとを連通させる連通孔33cが形成されている。
そして、カソードオフガスの一部は、連通孔33cを通って、希釈空間33aに流出し、アノードオフガスと混合することで混合ガスを生成すると共に、アノードオフガス中の水素を希釈し、水素濃度(燃料ガス濃度)を低減するようになっている。次いで、生成した混合ガスは、配管33bを流れるカソードオフガスにより、連通孔33cを介して、配管33b内に吸引され、さらに希釈されながら、配管33dを介して車外に排出されるようになっている。
すなわち、本実施形態において、燃料電池スタック10のカソード流路12(カソード)から排出されるカソードオフガスが流れるカソードオフガス配管は、配管32bと、配管32cと、配管33bと、配管33dとによって構成されている。そして、希釈器33は、配管32b等から構成されるカソードオフガス配管に設けられている。
<掃気系>
掃気系は、燃料電池スタック10の掃気時に、コンプレッサ31からの掃気ガス(非加湿の空気)をアノード系に導く系であり、常閉型の掃気ガス導入弁41を備えている。掃気ガス導入弁41の上流は、配管41aを介して配管31aに接続されており、掃気ガス導入弁41の下流は、配管41bを介して配管23aに接続されている。
≪燃料電池システムの動作・効果≫
次に、燃料電池システム1の動作・効果を説明する。
燃料電池スタック10の掃気が完了し、掃気ガス排出弁27が閉じられた後、配管27bに水分が残留していたとしても、この水分は、自重により、下り傾斜状の配管27bを通流し、配管32cに排出される。これにより、水分が配管27b内で凍結することはなく、配管27bの流路断面積が減少したり、配管27bが閉塞することはない。
したがって、その後、燃料電池システム1が再起動し、停止した場合において、燃料電池スタック10を掃気するとき、アノード流路11から排出される掃気ガスは、掃気ガス排出弁27、配管27bを好適に通流でき、その結果、アノード流路11を良好に掃気できる。
また、配管27bは下り傾斜状であって、配管32cに上方から接続されているので、掃気ガス排出弁27が閉じられた後、配管32c内の水分(水蒸気、結露水等)が、配管27bに逆流することを阻止できる。
さらに、配管27bにおいて、掃気ガス排出弁27側部分(符号Q)の傾斜は大きいので、この部分において、掃気ガス排出弁27からの掃気ガス及び水分を、加速させ、配管32cに速やかに排出できる。
一方、配管27bにおいて、配管32c側部分(符号R)の傾斜は小さいので、例えば、急ブレーキや、下り坂Sで燃料電池自動車が停止し、配管32cから配管27bに水分Wが逆流したとしても、逆流した水分Wによって、配管27bが閉塞することを阻止できる(図3(b)参照)。
さらにまた、配管27bからの掃気ガスが、配管32c内のカソードオフガスの流れに沿って、カソードオフガスに合流するので、配管27bからの掃気ガスを配管32c内に良好に排出できると共に、合流部において発生する音を低減できる。
また、配管27bは、希釈器33の上流の配管32cに接続されているので、配管27bからの掃気ガスは、配管32c、配管33b、連通孔33cを介して、希釈空間33aにも流入する。よって、仮に、希釈空間33aに、水素(アノードオフガス)が残留していたとしても、このように流入する掃気ガスによって、希釈され、水素濃度を低減できる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば次のように変更することができ、また、次の構成を適宜組合させてもよい。
前記した実施形態では、ガス処理装置が希釈器33である構成を例示したが、その他に例えば、ガス処理装置が、アノードオフガス中の水素と、カソードオフガス中の酸素とを触媒燃焼させることで、水素濃度を低減する触媒燃焼器でもよい。
前記した実施形態では、配管27b(掃気ガス排出配管)の下流端が、希釈器33の上流の配管32cに接続された構成を例示したが、その他に例えば、希釈器33の下流の配管33dに接続された構成でもよい。
前記した実施形態では、パージ弁26の下流の配管26bのみが、複数の段差部Pを有する構成を例示したが、掃気ガス排出弁27の下流の配管27bも、複数の段差部を有する構成としてもよい。
前記した実施形態では、燃料電池システム1が燃料電池自動車に搭載された場合を例示したが、その他に例えば、自動二輪車、列車、船舶に搭載された燃料電池システムでもよい。
本実施形態に係る燃料電池システムの構成を示す図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの要部を示す図である。なお、図中の「前後、上下」は、燃料電池自動車の車体を基準とした方向である。 (a)は、本実施形態に係る燃料電池システムの要部をさらに拡大した図であり、(b)は、本実施形態に係る燃料電池システムの一効果を示す図である。なお、図中の「前後、上下」は、燃料電池自動車の車体を基準とした方向である。
符号の説明
1 燃料電池システム
10 燃料電池スタック(燃料電池)
11 アノード流路
12 カソード流路
26 パージ弁
27 掃気ガス排出弁
27a 配管
27b 配管(掃気ガス排出配管)
32b、32c、33b、33d 配管(カソードオフガス配管)

Claims (5)

  1. 燃料電池と、
    前記燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガスが流れるカソードオフガス配管と、
    前記燃料電池の掃気時に開かれ、当該燃料電池のアノードからの掃気ガスを排出する掃気ガス排出弁と、
    前記掃気ガス排出弁の下流に接続され、掃気ガスを排出する掃気ガス排出配管と、
    を備え、
    前記掃気ガス排出配管は、その内部の水分が自重により排出されるように下り傾斜状であって、その下流端は、上方から前記カソードオフガス配管に接続され、
    前記掃気ガス排出配管において、前記カソードオフガス配管側の鉛直方向の傾斜は、前記掃気ガス排出弁側の鉛直方向の傾斜よりも小さい
    ことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記掃気ガス排出配管は、当該掃気ガス排出配管からの掃気ガスが前記カソードオフガス配管内のカソードオフガスの流れに沿って合流するように、前記カソードオフガス配管に接続されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記燃料電池の発電時に開かれ、当該燃料電池のアノードからのアノードオフガスを排出するパージ弁と、
    前記カソードオフガス配管に設けられ、前記パージ弁から排出されるアノードオフガスをカソードオフガスで処理し、アノードオフガスに含まれる燃料ガスの濃度を低減するガス処理装置と、
    を備え、
    前記掃気ガス排出配管の下流端は、前記ガス処理装置よりも上流のカソードオフガス配管に接続されている
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記パージ弁と前記ガス処理装置とを接続し、下り傾斜状であるパージガス排出配管を備える
    ことを特徴とする請求項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記パージガス排出配管は、その内部を通流する水分を加速させる少なくとも1つの下り段差部を有する
    ことを特徴とする請求項に記載の燃料電池システム。
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