以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態が適用された燃料電池システム10を備える燃料電池車両12の概略構成図である。
この燃料電池車両12は、基本的には、燃料電池14と、この燃料電池14の出力を補助するとともに、この燃料電池14の発電電力により充電される蓄電装置16と、走行用の駆動モータ等を含む負荷18と、エアコンプレッサ36等の補機とから構成される。
燃料電池14は、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで挟んで保持して構成される燃料電池セルを、複数積層させて一体化させたスタック構造になっている。各燃料電池セルは、電解質膜(固体高分子電解質膜)・電極構造体を挟んで保持する金属のセパレータとを備える。一方のセパレータの電解質膜・電極構造体のカソード電極に対向する面には、酸化剤ガス経路(反応ガス経路ともいう。)146が設けられる。他方のセパレータの電解質膜・電極構造体のアノード電極に対向する面には、燃料ガス経路(反応ガス経路ともいう。)148が形成される。
燃料電池14には、この燃料電池14の燃料ガス経路148を通じてアノード電極に燃料ガス、例えば水素(H2)ガスを供給するための水素供給口20と、燃料電池14の燃料ガス経路148から排出される未使用の水素ガスを含む排ガスを排出するための水素排出口22と、燃料電池14の酸化剤ガス経路146を通じてカソード電極に、酸化剤ガス、例えば酸素(O2)を含む空気(エア)を供給するための空気供給口24と、酸化剤ガス経路146から未使用の酸素を含む空気を燃料電池14から排出するための空気排出口26とが設けられている。
なお、水素排出口22の近傍には、水素排出口22内のガスの温度Thを検出(測定)する温度検出手段としての温度センサ71が取り付けられている。
水素供給口20には、水素供給流路28が連通される。この水素供給流路28には、水素供給流路28内のガスの圧力P1を検出(測定)する圧力センサ91を介してエゼクタ48が設けられ、このエゼクタ48は、高圧水素を貯留する水素タンク42から水素供給弁44を通じて供給される水素ガスを、水素供給流路28及び水素供給口20を通じて燃料電池14に供給するとともに、燃料電池14で使用されなかった未使用の水素ガスを含む排ガスを水素排出口22に連通する水素循環流路46から吸引して燃料電池14に再供給する。
水素循環流路46には、アノード電極に溜まった水やカソード電極から電解質膜を透過してアノード電極に混入した窒素ガスを含む燃料ガスを水素パージ流路32、希釈ボックス90及び排出流路94を介して外部(外気・大気)に排出して発電安定性を確保するため通常発電運転時等に適宜開放される比較的に大流量用の水素パージ弁30が設けられる他、水素循環流路46の図示しないキャッチタンクに溜まった水等を水素ガスを含む排出ガスとともに、排出流路52、希釈ボックス90及び排出流路94を介して大気に排出するための比較的に小流量のドレイン弁50が設けられている。
なお、排出流路94には、排出ガス中の水素濃度Dhを検出(測定)する水素濃度センサ93が設けられている。
一方、空気供給口24には、空気供給流路34が連通され、この空気供給流路34には、空気供給流路34内のガスの圧力P2を検出(測定)する圧力センサ92を介して、大気からの空気を圧縮して供給するエアコンプレッサ用モータと一体となったエアコンプレッサ36が接続される。
また、空気排出口26には、エアコンプレッサ36から空気供給流路34及び空気供給口24を通じて燃料電池14に供給される空気の圧力を調整するための背圧制御弁38が設けられ、燃料電池14の空気排出口26は、この背圧制御弁38を介し空気排出流路40、希釈ボックス90及び排出流路94を通じて大気に連通している。
希釈ボックス90は、水素パージ流路32及び排出流路52を通じて供給される燃料ガス(排ガス)を空気排出流路40から供給される酸化剤ガスにより希釈して外部に排出する機能を有する。
さらに、燃料電池14の水素供給流路28と空気供給流路35との間には、空気導入流路53を介し水素供給口20を通じて燃料ガス経路148に圧縮空気を導入するための、いわゆるアノード側空気掃気処理時に開放される空気導入弁54が設けられる。
なお、背圧制御弁38を除き、水素供給弁44、空気導入弁54、水素パージ弁30、ドレイン弁50は、それぞれオンオフ弁である。
さらに、燃料電池システム10及びこの燃料電池システム10を搭載する燃料電池車両12には、制御装置70が設けられ、この制御装置70により、燃料電池システム10及び燃料電池車両12の前記各種弁の開閉、負荷18の制御、エアコンプレッサ36等の補機の制御、蓄電装置16の充放電制御等を含め、全ての動作が制御される。
制御装置70は、コンピュータ(ECU)により構成され、各種入力に基づきメモリに記憶されているプログラムを実行することで各種の機能を実現する機能手段としても動作する。この実施形態において、制御装置70は、それぞれ、後述する起動・停止手段、アノード電極掃気手段、置換判断手段、起動禁止手段、第1起動許可手段、カソード電極掃気手段、第2起動許可手段、計時手段(カウンタ・タイマ)等、各機能手段の全部あるいは一部として機能する。
なお、図1において、太い実線は電力線を示し、細い実線は信号線を示す。また、二重線は、配管を示している。
燃料電池システム10の通常発電運転時には、制御装置70による弁制御により、基本的には、水素供給弁44は開放され背圧制御弁38が適量に開いた状態になっており、水素パージ弁30及びドレイン弁50は適宜開かれるが通常は閉じた状態となっており、さらに、空気導入弁54は、閉じた状態になっている。
この通常発電運転時において、水素タンク42から供給される燃料ガスが、エゼクタ48を介し水素供給流路28を通じて燃料電池14の水素供給口20に供給される。
水素供給口20に供給された燃料ガスは、各燃料電池セルを構成する燃料ガス経路148に沿ってアノード電極に供給されアノード電極に沿って移動後、水分を含む未使用の水素ガスを含む排ガスは、水素排出口22から排出されて水素循環流路46に送られる。
水素循環流路46に排出された排ガスは、エゼクタ48の吸引作用下に、水素供給流路28の途上に戻された後、再度、燃料電池14内に燃料ガスとして供給される。この燃料ガスは、水分を含むガス、すなわち加湿ガスになっている。
一方、空気は、外気が圧縮された圧縮空気としてコンプレッサ102から供給され、通常運転時には、圧縮空気が空気供給流路34に供給される。この空気、すなわち酸化剤ガスは、空気供給口24から各燃料電池セルを構成する酸化剤ガス経路146に沿ってカソード電極に供給されカソード電極に沿って移動後、未使用の空気を含む排ガスが、空気排出口26から空気排出流路40に排出される。
これにより、各燃料電池セルでは、アノード電極に供給される燃料ガスである水素と、カソード電極に供給される酸化剤ガス中の酸素とが反応して発電が行われる。発電電力は、負荷18、エアコンプレッサ36、及び蓄電装置16に供給される。
発電状態が一定時間以上継続されると、カソード電極側で発生し酸化剤ガス経路146にも貯留されている生成水が電解質膜、アノード電極を透過して燃料ガス経路148側に伝達され、燃料ガス経路148内にも貯留されることとなる。
すなわち、燃料電池14において発電が開始されると、最初に酸化剤ガス経路146に液滴が発生し、所定発電時間経過後に燃料ガス経路148内にも液滴が発生することになる。
通常発電運転時に、この燃料電池システム10を搭載する燃料電池車両12において、制御装置70は、アクセルペダルの踏み込み量Apや車速Vs等から必要電力を算出し、この算出した必要電力に基づいて燃料電池14、負荷18、エアコンプレッサ36及び背圧制御弁38等にそれぞれ制御信号を送出する等の各種制御を行う。
また、制御装置70は、負荷18の制御及び氷点下起動制御等の低温時起動制御を確実に実施するために、外気温センサ74、温度センサ71、圧力センサ91、92及び水素濃度センサ93から、それぞれ、外気温Ta、水素排出口22内のガス温度Th、水素供給流路28の圧力P1、空気供給流路34の圧力P2、排出流路94の水素濃度Dhの各信号を取り込む。
さらに、制御装置70には、燃料電池車両12及び燃料電池システム10の起動信号IGonであるオン信号(燃料電池システム10をオフ状態からオン状態にする信号)及び停止信号IGoffであるオフ信号(燃料電池システム10をオン状態からオフ状態にする信号)を出力する起動・停止手段としてのイグニッションスイッチ(IGスイッチ)76が接続されている。
基本的には、以上のように構成され、かつ動作する燃料電池システム10の起動制御動作について説明する前に、特願2005−307193号で提案している2段掃気処理技術及び3段掃気処理技術について、図2のフローチャートを参照して説明する。
ステップS1において、制御装置70が燃料電池システム10(燃料電池車両12)のイグニッションスイッチ76から起動信号IGonを受けたとき、ステップS2において、燃料電池14の発電が開始される。
次に、ステップS3において、水素排出口22に取り付けられた温度センサ71により温度(燃料電池の温度とする。)Thを検出し、発電開始直後の燃料電池14の温度Th(Th=Ts)が所定温度(閾値)Ta以下であるかどうかが判定される。ここでの、所定温度Taは、例えば、低温時の目安とされる氷点である0[℃](Ta=0[℃])に設定される。
次いで、発電開始直後の燃料電池14の温度Th(Th=Ts)が所定温度Ta以下の温度であった場合(Ts≦Ta)、ステップS4において、イグニッションスイッチ76から停止信号IGoffを受けたかどうかが判断される。
停止信号IGoffを受けると、燃料電池14の起動(ステップS1)後の発電運転中に停止要求を受けたと判定され、次のステップS5において、今回起動時点(ステップS1:YES)から停止要求を受けた時点(ステップS4:YES)までに燃料電池14の発電により水分が、燃料電池14内で発生しているかどうかが判定される。
このステップS7の判定は、制御装置70で算出される、今回起動時点から停止要求を受けた時点までの燃料電池14の発電電力量、いわゆる積算発電量[Wh]で判定することができる。
ステップS5において、例えば、水分が発生していないと判定された場合には、掃気処理を行う必要がないので、掃気処理を行わずに、ステップS6において、燃料電池システム10の通常のシステム停止処理(水素供給弁44を閉じる、エアコンプレッサ36を停止させる等の処理)が行われる。
その一方、ステップS5において、水分が発生していると判定されたときには、ステップS7において、燃料電池14の温度Th(今回の運転停止時である停止要求を受けた時点の温度Teとする。)を温度センサ71により検出し、検出した、イグニッションスイッチ76から停止信号IGoffを受けた直後の温度Th(Th=Te)が、所定温度(閾値)Tb以下であるかどうかが判定される。この所定温度Tb(Ta<Tb)は予め決定され、メモリに格納されている温度であるが、このステップS7の判定は、発電開始からそれほど時間が経過していないため酸化剤ガス経路146側のみに水分が発生していて、燃料ガス経路148側には水分が伝達していない状態を判定するための閾値である。
なお、このステップS7の判定は、今回の起動時(ステップS1:YES)からイグニッションオフ時(ステップS4:YES)までに発電された積算発電量が所定積算発電量以下であるかどうかにより判定することもできる。
ステップS7の判定が否定的である場合、すなわち、燃料電池14の温度Th(Th=Te)が所定温度Tbを超える値であった場合には、ステップS8において、ステップS7で検出された燃料電池14の温度Th(Th=Te)が、所定温度(閾値)Tc以下であるかどうかが判定される(Tb≦Te≦Tc)。
この所定温度Tc(Tb<Tc)は予め決定され、メモリに格納されている温度であるが、このステップS8の判定は、酸化剤ガス経路146と燃料ガス経路148の両方に水分が発生しているかどうかを判定するためのものである。つまり、所定温度Tcは、酸化剤ガス経路146と燃料ガス経路148の両方に水分が発生していることを判定するための閾値である。
ステップS8の判定が肯定的である場合、及びステップS7の判定が肯定的である場合には、ステップS4でのイグニッションスイッチ76からの停止信号IGoffの受信(イグニッションスイッチ76のオフ状態への操作)は、低温時短時間発電後停止要求の操作であると決定される。
そして、ステップS8の判定が肯定的であった場合には、ステップS9において、低温時短時間発電後停止要求に基づく掃気処理フラグFsとして、3段掃気処理用のフラグFs=3を立てる。
また、ステップS7の判定が肯定的であった場合にも、ステップS4でのイグニッションスイッチ76からの停止信号IGoffの受信は、低温時短時間発電後停止要求の操作であると決定され、ステップS10において、低温時短時間停止要求に基づく掃気処理フラグFsとして、2段掃気処理用のフラグFs=2を立てる。
さらに、ステップS3の判定において、発電開始直後の燃料電池14の温度Th(Th=Ts)が、所定温度Ta(Ta=0[℃])を超える温度であって(Ts>Ta)、その後、ステップS11において、イグニッションスイッチ76から停止信号IGoffを受信したとき、及びステップS8の判定において、燃料電池14の温度Th(Th=Te)が、所定温度Tcを上回る温度であった場合(Te>Tc)には、ステップS4におけるイグニッションスイッチ76の停止信号IGoffの受信は、それぞれ、低温時起動に該当せず、また低温時起動に該当しても充分な時間発電運転が行われていたものと判定し、それぞれ低温時短時間発電後停止要求ではないものと決定する。そのため、ステップS12において、掃気処理フラグFsとして、デフォルトの通常掃気処理用のフラグFs=1を立てる。
次いで、ステップS13において、掃気処理フラグFsの値が判定され、掃気処理フラグFsの値が「1」であった場合には、ステップS14で、燃料電池14が通常通りに停止されたときの通常掃気処理(カソード電極掃気ステップ)が行われ、「2」であった場合には、ステップS15で、2段掃気処理(カソード電極掃気ステップ)が行われ、「3」であった場合には、ステップS16で、3段掃気処理(カソード電極掃気ステップ及びアノード電極掃気ステップ)が行われる。
いずれかの掃気処理が行われた後、ステップS6のシステム停止処理が行われる。
次に、ステップS14の通常掃気処理、ステップS15の2段掃気処理、及びステップS16の3段掃気処理の意義並びに処理内容をフローチャート及びタイムチャートを利用して説明する。
まず、図3のフローチャートを参照して、ステップS14の通常掃気処理の動作について説明する。
この場合、ステップS14aにおいて、制御装置70により水素供給弁44が閉じられ(遮断され)燃料電池14に対する燃料ガスの供給が停止される。
次いで、ステップS14bにおいて、エアコンプレッサ36の吐出空気量が増量され、大流量とされた空気が空気供給口24から燃料電池14内に導入される。
導入された大流量の空気により燃料電池14内の酸化剤ガス経路146の生成水(液滴)等が、空気排出口26、背圧制御弁38、空気排出流路40、希釈ボックス90、排出流路94を介して外気に排出されることで、カソード側掃気処理が開始される。
次に、ステップS14cにおいて、所定時間経過後に、カソード側掃気処理が完了すると、ステップS14dにおいて、エアコンプレッサ36の作動が停止されることで、燃料電池14に対する空気の供給が停止される。このとき、背圧制御弁38が全開とされ酸化剤ガス経路146が外気に開放されることで通常掃気処理が終了する。この通常掃気処理では、カソード電極側のみ、すなわち酸化剤ガス経路146のみに掃気ガスである酸化剤ガスが供給され、アノード電極側である燃料ガス経路148には、掃気ガスである酸化剤ガスが供給されない。
次いで、ステップS6にもどり、燃料電池システム10がシステム停止状態とされる。
このように、通常掃気処理においては、ステップS13においてイグニッションスイッチ76のオフ状態を検出してから短時間で燃料電池システム10がシステム停止状態となるので、運転者等の燃料電池車両12の操作者に違和感を与えることがない。
次に、図4のフローチャート及び図5のタイムチャートを参照して、ステップS4の今回のイグニッションスイッチ76からの停止信号IGoffの受信が、低温時短時間発電後停止要求であって、かつカソード電極側である酸化剤ガス経路146内にのみ水分が発生したと判定した場合に行われるステップS15の2段掃気処理の動作について説明する。
この場合、今回のシステム停止制御及び次回の氷点下時等の低温時の確実な起動を確保するために、時点t0において、イグニッションスイッチ76のオフ信号を検出したとき、まず、ステップS15aにおいて発電電流により蓄電装置16を所定容量まで充電する。蓄電装置16としてキャパシタを使用しているので、この充電は、きわめて短時間に終了する。
充電完了後、ステップS15bにおいて、水素供給弁44が閉じられ燃料ガスの燃料電池14に対する供給が停止される。
次いで、ステップS15c、15dで、酸化剤ガス経路146内の液滴を排出するための2段掃気処理第1段処理を行う(時点t0〜t1)。この場合、まず、ステップS15cで、エアコンプレッサ36から吐出される空気量を大流量に設定し(時点t0)、大流量の空気を、ステップS15dでの所定時間(時点t0〜t1)、酸化剤ガス経路146に流通させることで酸化剤ガス経路146に残存する液滴を排出(除去)する。
2段掃気処理第1段処理による酸化剤ガス経路146から液滴の排出後、ステップS15e〜S15gで、燃料電池14のカソード電極側の乾燥を促進し、次回の氷点下等の低温時起動を確実にするための2段掃気処理第2段処理を行う(時点t1〜t2)。
この場合、まず、ステップS15eでエアコンプレッサ36の駆動を小さくして小流量空気量に設定し、小流量の空気を酸化剤ガス経路146内に供給する(時点t1)。
そして、ステップS15fにおいて、酸化剤ガス経路146内に小流量の空気を所定時間流通させることで、次回の低温時起動を確実にする(時点t1〜t2)。
次いで、ステップS15gにおいて、エアコンプレッサ36の駆動が停止され、2段掃気処理第2段処理が終了することで2段掃気処理が終了する。
このようにして、ステップS4でイグニッションスイッチ76からの停止信号IGoffを受けたときに、低温時短時間発電後停止要求であって、かつカソード電極側である酸化剤ガス経路146内にのみ水が発生したと判定した場合には、酸化剤ガス経路146の液滴を大流量、短時間で排出した後、酸化剤ガス経路146のカソード電極を小流量、長時間で乾燥する2段掃気処理を行うことで、次回の氷点下等の低温時において安定な起動性を確保することができる。なお、図5から分かるように、この2段掃気処理では、カソード電極側の酸化剤ガス経路146のみに掃気ガスである酸化剤ガスが供給され、アノード電極側である燃料ガス経路148には、掃気ガスである酸化剤ガスは供給されない。
上述した図5のタイムチャート及び図6のフローチャートを参照して説明した2段掃気処理第1段処理と2段掃気処理第2段処理とは、イグニッションスイッチ76から停止信号IGoffを受けたとき、時間的に連続的に行っているが、イグニッションスイッチ76から停止信号IGoffを受けたときに、2段掃気処理第1段処理を行い、所定時間経過後に2段掃気処理第2段処理を行うように時間的に分割して行うようにしてもよい。
次に、図6のフローチャート及び図7のタイムチャートを参照して、ステップS6の今回のイグニッションスイッチ76からの停止信号IGoffの受信が、低温時短時間発電後停止要求であって、かつカソード電極側である酸化剤ガス経路146とアノード電極側である燃料ガス経路148の両経路に水分が発生したと判定した場合に行われるステップS16の3段掃気処理の動作について説明する。
この場合、今回のシステム停止制御及び次回の氷点下時等の低温時の確実な起動を確保するために、時点t10において、イグニッションスイッチ76のオフ状態を検出したとき、まず、ステップS16aにおいて発電電流により蓄電装置16を所定容量まで充電する。
充電が完了後、ステップS16bにおいて、水素供給弁44が閉じられ燃料ガスの燃料電池14に対する供給が停止される。
次いで、ステップS16cにおいて、燃料電池システム10から外部に排出される燃料ガスの希釈要件を満足するために、比較的に小流量のドレイン弁50を開くとともに、空気導入弁54を開く(時点t10)。
そして、ステップS16dにおいて、図4のフローチャートを参照して説明したステップS15c〜S15dの処理と同一の2段掃気処理の第1段処理、すなわち、酸化剤ガス経路146内の液滴を排出するためのカソード電極側大流量短時間掃気処理を行う(時点t10〜t11)。したがって、時点t10〜t11の間では、上述したように、大流量の空気が酸化剤ガス経路146に流通され、酸化剤ガス経路146に残存する液滴が排出(除去)される。
なお、時点t10で空気導入弁54が開かれているので、この時点t10以降、燃料ガス経路148にも空気が導入されるが、大流量の水素パージ弁30は閉じており、小流量のドレイン弁50が開かれているので、燃料ガス経路148にも、小流量の空気が導入される。この場合、燃料ガス経路148からドレイン弁50を通じ排出流路52を通じて排出される燃料ガスと、空気排出流路40から排出される酸化剤ガスとが希釈ボックス90を介して希釈され、希釈された燃料ガスとして排出流路94を通じて外気に排出される。
このようにして、酸化剤ガス経路146から液滴が排出され、燃料ガス経路148からも燃料ガスが排出濃度を上昇させることなく希釈して排出された時点t11から燃料ガス経路148からの液滴の排出(除去)処理を行う。
この場合、ステップS16eにおいて、大流量の水素パージ弁30を開くことで(時点t11)、希釈された燃料ガスが残る燃料ガス経路148内に、ステップS16fでの所定時間(時点t11〜t12)、大流量の空気が流通され、燃料ガス経路148内の液滴が排出(除去)されるとともに、希釈された燃料ガスが排出される。そして、ステップS16gにおいて、空気導入弁54が閉じられる(時点t12)。
時点t10〜t12に示すように、掃気ガスである酸化剤ガスの酸化剤ガス経路146内流量と燃料ガス経路148内流量が同時に大きくならないように時間的に分けて酸化剤ガス経路146と燃料ガス経路148内の液滴を除去するようにしているので、エアコンプレッサ36の駆動を抑制することができ、騒音を抑制することができる。結果、従来技術に比較して小型・軽量で小容量のエアコンプレッサ36を使用することが可能となる。また、時点t10〜t11の間では、燃料ガスが徐々に希釈されて排出されるようにしているので、燃料ガス希釈だけのための希釈ボックス90への酸化剤ガスの供給が不要となる。
次いで、ステップS16hにおいて、図4のフローチャートを参照して説明したステップS15e〜S15gの処理と同一の2段掃気処理の第2段処理、すなわち、燃料電池14のカソード電極側の乾燥を促進し、次回の氷点下等の低温時起動を確実にするための小流量長時間の掃気処理を行う(時点t12〜t13)。
このようにして、ステップS4のイグニッションスイッチ76からの停止信号IGoffの受信が、低温時短時間発電後停止要求であって、かつカソード電極側である酸化剤ガス経路146とアノード電極側である燃料ガス経路148の両経路に水が発生したと判定した場合に行われる3段掃気処理を行うことで、次回の氷点下等の低温時において安定な起動性を確保することができる。この3段掃気処理では、結果として、カソード電極側の酸化剤ガス経路146とアノード電極側の燃料ガス経路148の両方に掃気ガスである酸化剤ガスが供給されて掃気される。
上述した図6のフローチャート及び図7のタイムチャートを参照して説明した3段掃気処理中の2段掃気処理第1段処理と2段掃気処理第2段処理とは、イグニッションスイッチ76から停止信号IGoffを受けたときに時間的に連続して行っているが、イグニッションスイッチ76から停止信号IGoffを受けたときに2段掃気処理第1段処理を行い、所定時間経過(所定条件成立)後に2段掃気処理第2段処理と燃料ガス経路148内の液滴を除去する処理を行うように時間的に分割して行うようにしてもよい。
以上の説明が、2段掃気処理技術及び3段掃気処理技術についての説明である。
次に、この実施形態に係る燃料電池システム10の起動制御動作について、図8のフローチャート及び図9〜図11のタイムチャートを参照して説明する。
なお、図9のタイムチャートの内容は、簡単に説明すると、運転モードが発電モードであるときに、時点t0でイグニッションスイッチ76から停止信号IGoffを受け(ステップS4:YES)、2段掃気モード(ステップS21:2段掃気)のカソード電極側大流量掃気処理(時点t0〜t1)、カソード電極側小流量掃気処理の途中の時点1aでイグニッションスイッチ76から起動信号IGonを受けた場合に(ステップS22:YES)、その時点t1aで直ちに(即座)ステップS28、S29の処理を行い、発電モード(ステップS31)に入る処理を説明している。
図10のタイムチャートの内容は、簡単に説明すると、運転モードが発電モードであるときに、時点t10でイグニッションスイッチ76から停止信号IGoffを受け(ステップS4:YES)、3段掃気モード(ステップS21:3段掃気)のカソード電極側大流量掃気処理(時点t10〜t11)、アノード電極側大流量掃気処理の途中の時点11aでイグニッションスイッチ76から起動信号IGonを受けた場合に(ステップS24:YES)、その時点t11aで即座に発電モードに入ることなく、時点t10(又は時点t11)〜t12(t12a)までの、燃料ガス経路148が酸化剤ガスによる完全に置換されたとみなす期間、再起動を禁止し(ステップS27:NO)、禁止を解除して再起動許可後(ステップS27:YES)、ステップS28、S29の処理を行い、発電モード(ステップS31)に入る処理を説明している。
図11のタイムチャートの内容は、簡単に説明すると、図10のタイムチャートの時点t12a以降の時点t12bでイグニッションスイッチ76から再び停止信号IGoffを受けたときに(ステップS30:YES)、3段掃気処理の残りの部分の処理を続行してシステム停止とすることで(ステップS32→S6)、システム停止までの時間を短縮する処理を説明している。
そこで、図8のフローチャートにおいて、まず、ステップS4(図2のステップS4と同じ)で、イグニッションスイッチ76から停止信号IGoffを受けると、ステップS21において、ステップS13(図2参照)のフラグFsの値により、掃気処理の種類が判定され、2段掃気処理又は通常掃気処理であった場合には、次に、ステップS22で、これらの掃気処理中に、イグニッションスイッチ76から再度起動信号IGonを受けたかどうかが判断され、起動信号IGonを受けなかった場合には、ステップS23で2段掃気処理又は通常掃気処理の掃気完了(ステップS14d、ステップS15g)を検出した場合、ステップS6のシステムの停止処理を行う。
ステップS21で、3段掃気処理と判定された場合には、ステップS24で、この3段掃気処理中に、イグニッションスイッチ76から再度起動信号IGonを受けたかどうかが判定され、起動信号IGonを受けていなかった場合には、次に、ステップS25で3段掃気処理の掃気完了(ステップS16h中のS15g)を検出した場合、ステップS6のシステム停止処理が行われる。
一方、ステップS24で、イグニッションスイッチ76から再度起動信号IGonを受けた場合、ステップS26でイグニッションスイッチ76から再度停止信号IGoffを受信したかどうかが判定される。
ステップS26で、停止信号IGoffを受信しなかった場合には、ステップS27で、燃料電池14の発電の再起動の許可を判断する。
このステップS27の再起動許可判断処理は、図10、図11に示すように、運転モードが発電モード中に、ステップS4で停止信号IGoffを受信した時点t10で停止処理に入り、ステップS16cで空気導入弁54が開かれた時点t10からタイマにより計時を開始し、燃料ガス経路148内が完全に酸化剤ガス(掃気ガス)により置換されたと判断する時点t12が経過するまでの時間(予め定められた時間:所定時間)を計時することにより行うことができる。また、ステップS27の再起動許可判断処理は、タイマによる所定時間の計時の他、水素濃度センサ93により検出される水素濃度Dhが所定濃度以下となったときに、燃料ガス経路148内が、酸化剤ガスにより完全に置換されたと判断することができる。
ステップS27の判定が成立した時点t12において、図10、図11のタイムチャート中、3段掃気モードのタイムチャートからも分かるように、空気導入弁54が閉弁される。また、水素パージ弁30、ドレイン弁50も閉弁される。
次いで、ステップS28(時点t12a)において、ステップS24の再起動信号IGonの受信に基づく再起動開始指令が、水素供給弁44に開弁指令として供給されるとともに、エアコンプレッサ36に対する駆動指令として供給される。
なお、図10、図11において、時点t10〜t12aの間は、再起動が制限される期間である。この再起動制限時間は、ステップS27のタイマによる所定時間(t10〜t12)の計時の他、水素濃度センサ93により検出される水素濃度Dhが所定濃度以下となったときに、空気導入弁54の故障検知処理を実施する時間(t12〜t12a)を加えた時間であるが、空気導入弁54の故障検知処理を実施する時間は、ステップS27の再起動許可判断処理の時間に比較してきわめて短い時間であるので、実質的に、再起動制限時間は、ステップS27の再起動許可判断処理に要する時間(t10〜t12)と考えることができる。
一方、ステップS21で2段掃気処理又は通常掃気処理中と判定され、ステップS22で、これらの掃気処理中(例えば、図5の時点t0〜t2の間)にイグニッションスイッチ76から起動信号IGonを再び受信した場合には、燃料ガス経路148に掃気ガスとして酸化剤ガスが投入されていないので、ステップS27の再起動許可判断を行うことなく、ステップS28(時点t12a)において、ステップS24の再起動信号IGonの受信に基づく再起動開始指令が、水素供給弁44に開弁指令として供給されるとともに、エアコンプレッサ36に対する駆動指令として供給される。
例えば、図9に示すように、時点t0で、イグニッションスイッチ76から停止信号IGoffを受けた後(ステップS4:YES)、時点t1以降のカソード電極小流量掃気処理が行われている途中の時点t1aで再び起動信号IGonを受けたとき(ステップS22:YES)、ステップS28(時点t1a)において、再起動開始指令が制御装置70から出力される。
次いで、ステップS29において、燃料供給前の起動処理が完了したかどうかが判断される。燃料電池システム10の起動時においては、水素供給弁44を開弁するとき、弁の一方側(高圧水素タンク42側)が高圧となっており、弁の他方側(エゼクタ48側)は大気圧より僅かに高い程度となっているので、この水素供給弁44には、開弁に必要な駆動力の小さいパイロット式の電磁弁が用いられている。そして、このパイロット式の電磁弁では、開弁指令が供給されてから、メインバルブの開弁に先立ち、駆動力の小さいパイロット弁が開弁し、メインバルブの上流側圧力と下流側圧力とが略同一となってからメインバルブが開弁される。このため、水素供給弁44に開弁指令が供給されてから実際に開弁するまでに一定の時間がかかる。水素供給弁44の開弁は、圧力センサ91の圧力値P1の増加により検出することができる。ステップS29の燃料供給前の起動処理時間は、この水素供給弁44の開弁時間に依存する。
ステップS29の起動処理が完了していない場合には、ステップS30でイグニッションスイッチ76から再度停止信号IGoffを受けたかどうかが監視され、停止信号IGoffを受けていないで、ステップS29の起動処理完了の判定が肯定的となった場合には、ステップS31で発電モード(図9、図10参照)に入り通常発電を開始し、起動制御処理を終了する。
その一方、ステップS29の起動処理が完了していない前にイグニッションスイッチ76から再度停止信号IGoffを受けた場合には、ステップS32において、2段掃気処理の残りの処理又は3段掃気処理の残りの処理が続行される。
すなわち、2段掃気処理中に、ステップS22でイグニッションスイッチ76から起動信号IGonを受けた後、ステップS30でイグニッションスイッチ76から再び停止信号IGoffを受けた場合には、アノード電極側の酸化剤ガスによる掃気処理を行っていないので、図5に示す時点t0〜t2の間で、掃気処理が中断された時点(ステップS22:YES)から時点t2までの残りの時間の対応する処理(カソード電極側大流量掃気処理又はカソード電極側小流量掃気処理のいずれかの処理)が継続して続行される。
また、3段掃気処理中に、ステップS27での再起動許可判断が成立した場合には、図7中、時点t11〜t12の燃料ガス経路148の空気置換が完了していることから、時点t12以降のカソード電極側小流量掃気処理中であるので、ステップS30でイグニッションスイッチ76から停止信号IGoffを受けた場合には、時点t12〜t13の間で、掃気処理が中断された時点から時点t13までの残りの時間のカソード電極側小流量掃気処理が実行される。
すなわち、図11を参照して説明すると、時点t12aで、ステップS29の燃料ガス供給前の起動処理が行われている途中に、時点t12bでイグニッションスイッチ76から停止信号IGoffを受けた場合(ステップS30:YES)、時点t12b〜t12cに示すように、アノード電極側大流量掃気処理の残りの時間と、時点t12c〜t13a(図7の時点t12〜t13までの時間と同一の時間)でのカソード電極側小流量掃気処理が実行される。
ステップS32の残りの掃気処理が完了後、ステップS6のシステム停止処理が実行される。
なお、通常掃気処理中に、ステップS22でイグニッションスイッチ76から起動信号IGonを受けた後、停止信号IGoffを受けた場合には、ステップS32で、ステップS14cで決められた所定時間のカソード電極側掃気処理の残りの時間分の処理が続行される。
図8のフローチャートを参照して説明した起動制御処理例では、通常掃気処理、2段掃気処理、又は3段掃気処理中に、イグニッションスイッチ76から再度起動信号IGonを受けたときの動作について説明しているが、この発明は、この例に限定されることなく、例えば、図12のフローチャートに示すように、ステップS21の判定処理が、ステップS41の「アノード電極側空気処理中」処理に代替された場合でも、このステップS41の判定以降の他のステップS22〜S32をそのまま利用することができる。
このステップS41の判断を有する図12のフローチャートは、ステップS4において、イグニッションスイッチ76から停止信号IGoffを受けたときに、アノード電極側空気掃気処理、又はアノード電極側空気掃気処理及びカソード電極側空気掃気処理を行い、その後にカソード電極側空気処理を行う掃気技術を採用する全ての燃料電池システムに同様に適用することができる。
以上説明したように上述した実施形態は、アノード電極に燃料ガスが供給され、カソード電極に酸化剤ガスが供給されて発電を行う燃料電池14と、燃料電池14を起動させる起動信号IGonと燃料電池14を停止させる停止信号IGoffを送出する起動・停止手段としてのイグニッションスイッチ76と、停止信号IGoffを受けたときに、掃気ガスとしての酸化剤ガスによりアノード電極の燃料ガスを掃気するアノード電極掃気手段としての空気導入弁54と、を備える燃料電池システム10に適用され、以下の第1〜第5実施例を含む。
なお、掃気ガスとしては、酸化剤ガスに限らず、他のガス、例えば窒素ガスを利用することもできる。
第1実施例:アノード電極に燃料ガスが供給され、カソード電極に酸化剤ガスが供給されて発電を行う燃料電池14と、燃料電池14を起動させる起動信号IGonと燃料電池14を停止させる停止信号IGoffを送出する起動・停止手段としてのイグニッションスイッチ76と、停止信号IGoffを受けたときに、掃気ガス(ここでは、酸化剤ガス)によりアノード電極の燃料ガスを掃気するアノード電極掃気手段としての空気導入弁54と、を備える燃料電池システム10において、アノード電極の燃料ガスが、酸化剤ガスにより置換されたことを判断する置換判断手段(ステップS27)と、前記停止信号を受けて前記掃気ガスによる前記アノード電極の掃気中に、前記起動信号を受けたとき、前記アノード電極の前記燃料ガスが、前記掃気ガスにより置換されていない間は、前記燃料電池の起動を禁止する起動禁止手段(ステップS27:NO)とを備える。
この第1実施例によれば、掃気ガスによるアノード電極の掃気中に、起動信号IGonを受けたとき(ステップS24:YES)、アノード電極の燃料ガスが掃気ガスに置換されていない間は、燃料電池14の起動を禁止しているようにしているので、起動時の燃料ガス置換を通常通りに容易に行うことができ、再起動時の発電安定性、すなわち起動性が損なわれることがない。
アノード電極に対し掃気ガスによる掃気を行った場合には、システムの停止時に、アノード電極の経路が掃気ガスにより完全に置換が完了した状態でないと、燃料電池14の再起動時におけるアノード電極の燃料ガス濃度を精度よく把握することが困難である。掃気ガスと燃料ガスとが混合された状態で再起動すると、停止時にどの程度、燃料ガスがアノード電極の燃料ガス経路148に残っているのかを把握することが難しく、例えば、排出される燃料ガスが増加する等のおそれがある。そのため、アノード電極の燃料ガス経路148を掃気ガスにより完全に置換してしまった方が、再起動時における燃料ガスの置換制御がし易い。
第2実施例:上記第1実施例において、停止信号IGoffを受けて(ステップS4:YES)掃気ガスによるアノード電極の掃気中に、起動信号を受けたとき(ステップS24:YES)、アノード電極の燃料ガスが、掃気ガスにより置換されたと判断された時は(ステップS27:YES)、起動禁止手段(ステップS27:NO)による起動の禁止を解除し、燃料電池14の起動を許可する第1起動許可手段(第1起動許可ステップ、ステップS27:YES)を備える。
この第2実施例によれば、アノード電極の燃料ガスが掃気ガスにより置換されたと判断された時、という必要最小限の条件を満たした状態で、燃料電池14の起動が許可されるので、再起動までの時間を短縮することができる。
第3実施例:上記第1実施例又は上記第2実施例において、さらに、停止信号IGoffを受けたときに(ステップS4:YES)、掃気ガスにより空気導入弁54の開放によるアノード電極の掃気に先立ち、掃気ガスによりカソード電極を掃気するカソード電極掃気手段としてのエアコンプレッサ36と、停止信号IGoffを受けてカソード電極の掃気中に(ステップS21:NO)、起動信号を受けたときは(ステップS22:YES)、燃料電池14の起動を許可する第2起動許可手段(第2起動許可ステップ、ステップS28)と、を備える。
この第3実施例によれば、停止信号IGoffを受けたときに、掃気ガスによるアノード電極の掃気に先立つ掃気ガスによるカソード電極の掃気中に起動信号IGoffを受けたときは、燃料電池14の起動を許可するようにしている。すなわち、カソード電極の掃気は、再起動時のアノード電極の燃料ガス置換に無関係であるので(寄与しないので)、即座に(直ちに)、起動を許可することで再起動までの時間を短縮することができる。
第4実施例:上記第2実施例又は第3実施例において、さらに、第1起動許可手段(ステップS27:YES)又は第2起動許可手段(ステップS28)により燃料電池14の発電が許可された時に、アノード電極に燃料ガスが供給される前に(ステップS29:NO)、再び停止信号を受けた場合には(ステップS30:YES)、燃料電池14の発電が許可される直前の掃気の残り部分の掃気を続行する掃気続行手段(掃気続行ステップ、ステップS32)を備える。
この第4実施例によれば、中断された掃気が継続可能である場合、始めから掃気処理の全体を行うのではなく、掃気処理の残りの部分を続行して行うようにしているので再起動までの時間を短縮することができる。最初の停止信号IGoffを受けて(ステップS4:YES)掃気処理が開始された後、起動信号IGonを受け(ステップS22:YES)、燃料電池14の発電が許可される条件が整ったときに、アノード電極に燃料ガスが供給されるまでには、所定時間を要する。そのため、アノード電極に燃料ガスが供給される前に再度停止信号IGoffを受けた場合には(ステップS30:YES)、アノード電極及び(又は)カソード電極の経路の燃料ガス及び(又は)酸化剤ガスの状態は、最初の停止信号IGoff(ステップS4:YES)を受けてから起動信号IGonを受けた(ステップS22:YES)直前の状態と同一の状態にあるので、掃気の残りの部分の掃気を行えばよいことになり、結果として、システム停止とするまでの時間を短縮することができ、停止時において、操作者に違和感を与えるおそれが軽減される。