JP5420855B2 - 燃料電池システム及びその制御方法 - Google Patents
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Description
図6に示す制御例では、時刻t0において起動処理を開始し、時刻t1においてパージ弁を開弁する。その後、このパージ弁を開弁するのみでは燃料電池のセル電圧が所定値に達しなかったことに応じて、時刻t3においてドレイン弁を開弁し、これにより時刻t4においてセル電圧が所定値に達し発電が許可された例を示す。
第1ガス置換処理を実行すると、すなわち第1バルブを開弁して希釈器内にアノードガス流路内のアノードオフガスを導入すると、希釈器内のアノードガス濃度が上昇する。このため、第1ガス置換処理の実行後、第2ガス置換処理を実行する場合、希釈器内のガスの希釈が完了するまで待つ必要がある。この発明によれば、第1ガス置換処理の実行後、希釈アシスト手段により希釈器内のガスの希釈を促進することにより、希釈器内のガスの希釈が完了するまでの時間を短縮することができる。これにより、燃料電池の起動処理にかかる時間とエネルギの消費を少なくできる。
この発明によれば、希釈器から排出されるガスのアノードガス濃度に基づいてアシストバルブを開閉制御し、希釈器に導入する希釈ガスの流量を調整する。これにより、希釈器からアノードガス濃度の高いガスを排出することなく、速やかに希釈器内のガスの希釈を完了することができる。したがって、燃料電池の起動処理にかかる時間とエネルギの消費をさらに少なくできる。
図1は、本実施形態に係る燃料電池システム1のブロック図である。
燃料電池システム1は、燃料電池10と、この燃料電池10にアノードガスやカソードガスを供給する供給装置20と、これら燃料電池10及び供給装置20を制御する電子制御ユニット(以下、「ECU」という)40とを有する。この燃料電池システム1は、例えば、燃料電池10により発電された電力を動力源とする図示しない燃料電池車両に搭載される。
加湿器25は、燃料電池10から排出される空気に含まれる水分で、エアコンプレッサ21から供給される空気を加湿する。
この他、水素還流路34には、キャッチタンク341の下流側から分岐する第1排出路としての水素排出路35と、キャッチタンク341から分岐する第2排出路としてのドレイン流路36と、が設けられている。これらドレイン流路36及び水素排出路35の先端側には、希釈器50が接続されている。
希釈器50は、略箱状の筐体51と、仕切り板52と、を備える。
仕切り板52は筐体51内部に設けられ、これにより、筐体51の内部は、希釈室53と混合室54とに分割される。また、仕切り板52には、希釈室53と混合室54とを連通する連通孔521が形成されている。
希釈ガス導入配管56は、希釈換気通路24を介してエアコンプレッサから供給されたカソードガスを、希釈室53内に希釈ガスとして導入する。
ドレイン配管58は、ドレイン流路36から排出されたアノードガス流路内のアノードオフガスとともに、キャッチタンクに貯蔵された水分を希釈室53内に導入する。
この起動処理は、イグニッションスイッチがオンにされたことに応じて実行される。また、以下に示すように、本実施形態の起動処理は、パージ弁を開弁することでアノードガス流路内のガス置換を実行する第1ガス置換処理工程(ステップS1)と、希釈器におけるアノードオフガスの希釈を促進する希釈アシスト処理工程(ステップS8)と、ドレイン弁を開弁することでアノードガス流路内のガス置換を実行する第2ガス置換処理工程(ステップS12)と、燃料電池が所定の発電開始条件を満たしたかを判断する発電開始条件判断工程(ステップS3)と、を含む。
パージ実行フラグPURFLGは、第1ガス置換処理を実行中であることを示すフラグであり、起動処理を実行する前は、「0」にセットされる。
ステップS5では、パージ弁を開弁してから所定時間T1経過したか否かを判別する。この判別がYESの場合には、ステップS6に移り、NOの場合には、ステップS3に移る。
希釈アシスト実行フラグASSFLGは、後述の希釈アシスト処理を実行中であることを示すフラグであり、起動処理を実行する前は、「0」にセットされる。
ステップS8では、後に図4を参照して詳述する希釈アシスト処理を実行し、ステップS9に移る。この希釈アシスト処理では、希釈アシスト弁を開閉制御することで、希釈器に希釈ガスを供給し、この希釈器内のガスの希釈を促進する。
ステップS12では、ドレイン弁を開弁してから所定時間T2経過したか否かを判別する。この判別がYESの場合には、ステップS13に移り、NOの場合には、ステップS3に移る。
ステップS14では、パージ弁又はドレイン弁が開弁した状態であるか否かを検出し、開いた状態であれば、所定時間T1又はT2が経過した後に、これらパージ弁又はドレイン弁を閉弁する。
ステップS15では、全てのフラグをリセットし、この起動処理を終了する。より具体的には、全てのフラグPURFLG及びASSFLGに「0」をセットする。
希釈アシスト処理では、希釈アシスト弁を開閉制御することにより、希釈器に希釈ガスを供給し、希釈器内に残留するアノードガスの希釈を促進する。ところで、希釈器内に希釈ガスを導入すると、希釈器内全体のアノードガス濃度を低下できるものの、希釈ガスを導入する前に残留していたアノードガス濃度の高いガスの一部が、希釈器外に押し出されてしまい、高濃度のガスがシステム外に排出される場合がある。この点に鑑みて、本実施形態の希釈アシスト処理では、希釈器からアノードガス濃度の高いガスが排出されないように、希釈アシスト弁を開閉制御する。その具体的な手順は、以下のようになっている。
図5に示す制御例では、時刻t11において図3に示す起動処理を開始し、その後、時刻t21において燃料電池のセル電圧が所定値に達し発電が許可された例を示す。
(1)第1ガス置換処理を実行しても燃料電池10の発電開始条件が満たされなかった場合には、希釈アシスト弁241を開弁して希釈器50内のガスの希釈を促進した後に、第2ガス置換処理を実行する。
第1ガス置換処理を実行すると、希釈器50内のアノードガス濃度が上昇する。このため、第1ガス置換処理の実行後、第2ガス置換処理を実行する場合、希釈器50内のガスの希釈が完了するまで待つ必要がある。本実施形態によれば、第1ガス置換処理の実行後、希釈アシスト弁241を開弁して希釈器50内のガスの希釈を促進することにより、希釈器50内のガスの希釈が完了するまでの時間、すなわち、図5に示す希釈待ち時間を短縮することができる。これにより、燃料電池10の起動処理にかかる時間とエネルギの消費を少なくできる。
上記実施形態では、希釈器から排出されるガスのアノードガス濃度を、水素濃度センサにより直接検出したが、これに限らない。例えば、パージ弁の開弁時間等に基づいて間接的に検出してもよい。
また、上記実施形態では、希釈器から排出されるガスの水素濃度を検出したが、これに限らない。希釈器内に残留するガスの水素濃度を検出してもよい。
10…燃料電池
13…アノード電極流路(アノードガス流路)
24…希釈換気通路(希釈アシスト手段、希釈ガス流路)
241…希釈アシスト弁(希釈アシスト手段、アシストバルブ)
31…水素タンク(アノードガス供給手段)
32…エゼクタ(アノードガス供給手段)
33…水素供給路(アノードガス流路)
331…遮断弁(アノードガス供給手段)
34…水素還流路34(アノードガス流路)
35…水素排出路(第1排出路)
351…パージ弁(第1バルブ)
36…ドレイン流路(第2排出路)
361…ドレイン弁(第2バルブ)
40…ECU(第1ガス置換手段、第2ガス置換手段、希釈アシスト手段、発電開始条件判断手段)
41…セル電圧センサ(発電開始条件判断手段)
50…希釈器
Claims (3)
- アノードガス及びカソードガスの反応により発電する燃料電池と、
アノードガス及びアノードオフガスが流通するアノードガス流路と、
前記燃料電池に供給されるカソードガスが流通する供給路と、
前記燃料電池から排出されるカソードオフガスが流通する排出路と、
前記供給路にカソードガスを供給するカソードガス供給手段と、
前記アノードガス流路にアノードガスを供給するアノードガス供給手段と、
前記アノードガス流路から分岐した第1排出路及び第2排出路と、
前記第1排出路及び前記第2排出路をそれぞれ開閉する第1バルブ及び第2バルブと、
前記第1排出路及び前記第2排出路のうち前記第1バルブ及び第2バルブよりも下流側が接続され、前記第1排出路及び前記第2排出路を流通して前記アノードガス流路から排出されたアノードオフガスを、前記排出路から排出されたカソードオフガス及び前記カソードガス供給手段から供給されたカソードガス又はこれらの何れかを希釈ガスとして希釈して排出する希釈器と、
前記供給路から分岐し前記燃料電池を経由せずに前記希釈器に至る希釈アシストガス流路と、
当該アシストガス流路に設けられたアシストバルブと、
前記燃料電池が起動されたことに応じて前記カソードガス供給手段によるカソードガスの供給を開始するカソードガス供給開始手段と、
前記燃料電池の起動処理中に、当該燃料電池が所定の発電開始条件を満たしたか否かを判断する発電開始条件判断手段と、
前記燃料電池の起動処理中に、前記アノードガス供給手段によりアノードガスを供給するとともに前記第1バルブを開弁して、前記アノードガス流路内のガスを置換する第1ガス置換処理を実行する第1ガス置換手段と、
前記第1ガス置換処理を実行しても前記発電開始条件が満たされなかった場合には、前記アノードガス供給手段によりアノードガスを供給するとともに前記第2バルブを開弁して、前記アノードガス流路内のガスをさらに置換する第2ガス置換処理を実行する第2ガス置換手段と、を備える燃料電池システムであって、
前記第1ガス置換処理の実行を完了してから前記第2ガス置換処理の実行を開始するまでの間に、前記アシストバルブを開くことによってカソードガスを希釈アシストガスとして前記希釈器にさらに導入し、当該希釈器内のガスの希釈を促進するアシストバルブ制御手段と、を備え、
前記アシストバルブ制御手段は、前記希釈器から排出されるガスのアノードガス濃度が所定の第1判定濃度以下となった場合には、前記アシストバルブを開弁し、その後、前記第1ガス置換処理の実行が完了してから経過した時間が長くなるほど長くなるように設定された開弁時間が経過した場合には、前記アシストバルブを閉弁することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記アシストバルブ制御手段は、
前記希釈器から排出されるガスのアノードガス濃度が所定の第1判定濃度以下となった場合には、前記アシストバルブを開弁し、その後、前記希釈器から排出されるガスのアノードガス濃度が、前記第1判定濃度よりも大きい所定の第2判定濃度となった場合には、前記アシストバルブを閉弁することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - アノードガス及びカソードガスの反応により発電する燃料電池と、
アノードガス及びアノードオフガスが流通するアノードガス流路と、
前記燃料電池に供給されるカソードガスが流通する供給路と、
前記燃料電池から排出されるカソードオフガスが流通する排出路と、
前記供給路にカソードガスを供給するカソードガス供給手段と、
前記アノードガス流路にアノードガスを供給するアノードガス供給手段と、
前記アノードガス流路から分岐した第1排出路及び第2排出路と、
前記第1排出路及び前記第2排出路をそれぞれ開閉する第1バルブ及び第2バルブと、
前記第1排出路及び前記第2排出路のうち前記第1バルブ及び第2バルブよりも下流側が接続され、前記第1排出路及び前記第2排出路を流通して前記アノードガス流路から排出されたアノードオフガスを、前記排出路から排出されたカソードオフガス及び前記カソードガス供給手段から供給されたカソードガス又はこれらの何れかを希釈ガスとして希釈して排出する希釈器と、
前記供給路から分岐し前記燃料電池を経由せずに前記希釈器に至る希釈アシストガス流路と、
当該希釈アシストガス流路に設けられたアシストバルブと、を備える燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池が起動されたことに応じて前記カソードガス供給手段によるカソードガスの供給を開始するカソードガス供給開始工程と、
前記燃料電池の起動処理中に、前記アノードガス供給手段によりアノードガスを供給するとともに前記第1バルブを開弁して、前記アノードガス流路内のガスを置換する第1ガス置換処理を実行する第1ガス置換工程と、
前記燃料電池の起動処理中に、当該燃料電池が所定の発電開始条件を満たしたか否かを判断する発電開始条件判断工程と、
前記第1ガス置換処理を実行しても前記発電開始条件が満たされなかった場合には、前記アノードガス供給手段によりアノードガスを供給するとともに前記第2バルブを開弁して、前記アノードガス流路内のガスをさらに置換する第2ガス置換処理を実行する第2ガス置換工程と、
前記第1ガス置換処理の実行を完了してから前記第2ガス置換処理の実行を開始するまでの間に、前記アシストバルブを開くことによってカソードガスを希釈アシストガスとして前記希釈器にさらに導入し、当該希釈器内のガスの希釈を促進する希釈アシスト工程と、を備え、
前記希釈アシスト工程では、前記希釈器から排出されるガスのアノードガス濃度が所定の第1判定濃度以下となった場合には、前記アシストバルブを開弁し、その後、前記第1ガス置換処理の実行が完了してから経過した時間が長くなるほど長くなるように設定された開弁時間が経過した場合には、前記アシストバルブを閉弁することを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
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