JP5462136B2 - 検体前処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は検体前処理装置に関し、特に、検体の分析に先立って、親検体容器から吸引された検体を子検体容器へ吐出することにより子検体を生成する検体前処理装置に関する。
検体前処理装置は分析機器における検体分析に先立って分注処理等の前処理を行う装置である。当該装置は、ラック搬送路、分注ユニット、ラベル貼付機、ラベルリーダー、等を備えている。対象となる検体は血液、尿などである。試薬が分注対象となることもある。検体前処理装置において、複数の親検体容器が親検体ラックに保持され、それらがラック単位で搬送される。親検体容器は試験管、採血管、等である。分注ユニットにおいては、親検体が吸引され、それが1又は複数の子検体容器に分注される。子検体容器は試験管、チューブ状のカップ、その他の部材によって構成される。通常、複数の子検体容器が子検体容器ラックに保持され、それらがラック単位で搬送される。
親検体容器及び子検体容器のそれぞれに対しては通常、バーコードラベルが貼付され、それを光学的に読み取ることによって各検体が管理される。但し、子検体容器の中にはバーコードラベルが貼付されない特殊容器が存在する。例えば、子検体容器として背の低いカップが利用される場合、ラベル貼付用スペースを十分に確保できない等の理由から、個々の子検体容器に対してバーコードラベルは貼付されない。但し、子検体容器ラックに貼付されたバーコードラベルによる管理と、当該子検体容器ラック上の保持ポジションと、により各子検体容器つまり各子検体は制御プログラム上、個別的に特定されまた管理される。整理すると、子検体容器には、ラベル付き子検体容器とラベル無し子検体容器とがある。それぞれの容器内にある子検体を識別するため以下においては前者をラベル付き子検体と称し、後者をラベル無し子検体と称することにする。
なお、特許文献1には検体前処理装置としての分注装置が開示されている。装置の台座上には子検体容器ラック配置スペースが設定されており、そこには複数の子検体容器ラックが整列配置される。個々の子検体容器ラックは複数の子検体容器を保持している。複数の子検体容器ラック(あるいは子検体容器列)の近傍には一対一の関係をもって複数の表示器素子が設けられている。子検体分注が完了して取り出し可能になった子検体容器ラックが発生した場合、当該子検体容器ラックに対応する特定の表示器素子が発光動作する。これによりユーザーはどの子検体容器ラックを取り出すべきかを容易に認識できる。
特許第3761120号公報
検体前処理装置において、親検体の吸引時にはフィブリン等によるノズルのつまり、親検体量不足、等の異常が生じ得る。そのような場合にはユーザーによる対処(再自動分注、手作業分注、その他)が必要となるので、異常が検出された親検体容器を特定の場所(異常検体用ラック)に移載して特別に管理した方がよい。子検体の生成時(つまり検体の吐出時)にも吐出量不足等の異常が生じ得る。その場合にも、親検体容器とともに異常が検知された子検体容器を上記同様に特定の場所へ移した方が望ましい。親検体容器やラベル付き子検体容器を移載してもそれらにはバーコードラベルが貼付されているのでそれを光学的に読み取ることによって個々の検体の特定、管理を行うことは容易である。
一方、ラベル無し子検体容器の場合、異常が検知された時にそのような移載を行ってしまうと、その子検体容器を識別管理することは最早できなくなる。そこで、従来の検体前処理装置においては、ラベル無し子検体容器につき異常が検知されても、それをラック上からピックアップせずにそのまま当該ラックを分析機へ送出することが行われている。その場合、検体前処理装置からのエラー情報が、上位システムを介して、分析機へ送られ、その分析機において異常に係る子検体が分析対象から除外される。ラベル無し子検体容器の場合であっても異常が検知されたならば、親検体に対する再分注等が必要となるために、かかる異常に係る親検体容器が特別な異常検体用ラックへ移載される。
しかし、そのような場合、異常検体用ラックに移載された親検体容器を見ただけでは、ラベル無し子検体容器に対する分注(つまりラベル無し子検体の生成)が正常に完了したのか否かを判断することはできない。例えば、ラベル無し子検体を正常に生成した上でラベル付き子検体を生成する際に異常が生じた場合、及び、ラベル無し子検体容器の生成時に異常が生じてそれに続くラベル付き子検体の生成ができなかった場合のいずれの場合においても、親検体容器とラベル付き子検体容器とがともに異常検体用ラック上に移載されてくるが、その移載結果からラベル無し子検体の生成の成否を直ちに判断することはできない。なお、親検体だけが移載されてきた場合、ラベル無し子検体の生成の失敗を推認できるとしても、大規模なシステムにおいて、親検体だけの移載事実が何を意味するのかオペレータにおいて直感的に認識することは困難である。移載されてきた親検体とラベル無し子検体との関係、つまり、ラベル無し子検体の生成が成功したのか否かをオペレータに迅速に分かり易く認識させることが望まれる。従来、ラベル無し子検体の生成に関するエラー情報については検体前処理装置及び上位システムで管理されているから、階層的なデータ構造においてエラー管理情報を探し出してそれをディスプレイに表示させることはもちろん可能ではある。しかし、そのような操作はオペレータにとって非常に煩雑であり時間がかかる作業である。
本発明の目的は、移載対象とはならない子検体について異常の有無あるいは再分注の要否を迅速かつ容易に特定できるようにすることにある。
本発明に係る検体前処理装置は、管理ラベルによって管理される親検体を収容した親検体容器を保持する親検体容器ラックと、管理ラベルによって管理されるラベル付き子検体を収容するためのラベル付き子検体容器を保持する第1の子検体容器ラックと、管理ラベルによって管理されないラベル無し子検体を収容するためのラベル無し子検体容器を保持する第2の子検体容器ラックと、前記親検体容器から親検体を吸引し、当該親検体を前記ラベル付き子検体容器へ吐出することにより前記ラベル付き子検体を生成し、当該親検体を前記ラベル無し子検体容器へ吐出することにより前記ラベル無し子検体を生成する分注機構と、前記親検体容器ラックから異常検体用収容部へ異常に係る親検体容器を移載し、前記第1の子検体容器ラックから前記異常検体用収容部へ異常に係るラベル付き子検体容器を移載する移載機構と、前記異常検体用収容部の近傍に設けられた異常検体用表示手段と、前記異常検体用収容部に移載された異常に係る親検体容器を識別可能なように、且つ、当該異常に係る親検体に対応するラベル無し子検体の生成が指示されている場合にそれが正常に終了しているか否かが識別可能なように前記表示手段を動作させる制御部と、を含むものである。
上記構成によれば、異常検体用収容部には、通常、異常に係る親検体及びラベル付き子検体が収容される。例えば、親検体の吸引時やラベル付き子検体の生成時に異常が発生した場合には、異常に係る親検体容器が異常検体用収容部へ移載され、それと共に、異常に係る1又は複数のラベル付き子検体容器も異常検体用収容部へ移載される。望ましくは、異常に係る親検体(親検体容器)と、異常に係る1又は複数のラベル付き子検体(ラベル付き子検体容器)とが1つの異常検体セットを構成し、異常検体用収容部においては異常検体セット単位で異常検体群が管理される。望ましくは、異常検体セット1つにつき、1つの異常検体用ラック(又は1つの収容孔列)が与えられる。オペレータは、そのような異常検体セットに対して、再分注等の必要な対処を遂行する。
一方、親検体から1又は複数のラベル無し検体を生成する指示が出ている場合において、吸引異常又は吐出異常が生じたときには、ラベル無し子検体容器の移載は行われずに、親検体容器だけが異常検体用収容部へ移載される。それとは別に、正常に分注を行えなかったラベル付き子検体容器が生じていれば、それも異常検体用収容部へ移載される。正常に分注を行えなかったラベル無し子検体容器は下流側へ搬送され、分析対象からの除外等、必要な対処が施される。
本発明によれば、異常に係るラベル無し子検体が生じた場合つまりラベル無し子検体の生成が成功しなかった場合、異常検体用表示手段において、異常に係るラベル無し子検体に対応する異常に係る親検体が特定されつつ、その事態が報知される。オペレータは、異常検体用表示手段を見ることにより、異常に係る親検体との関係において、ラベル無し子検体の生成が正常に行われたのか否かを瞬時に判断することができるから、状況を的確に把握でき、負担を軽減できる。
なお、異常検体用表示手段は、発光素子列、液晶表示器、その他の表示デバイスによって構成されるが、異常検体用収容部の近傍に設けられるものであるのが望ましい。表示素子としてオンオフスイッチ及びLEDを収容したボタンを利用してもよい。ラベル付き子検体容器は望ましくは光学的に情報が読み取られるバーコードラベルを有する試験管等の子検体容器であり、ラベル無し子検体容器は望ましくはそのようなバーコードラベルを有していない、試験管よりも小さい例えば小カップのような容器であり、それは子検体容器ラックに貼付されたバーコードラベルと子検体容器ラックへの差込位置とによって管理されるものである。
望ましくは、前記異常検体用表示手段は、前記異常検体用収容部の近傍に配列された異常検体用発光素子列により構成され、前記制御部は、前記異常検体用発光素子列の内で前記異常に係る親検体容器に対応する異常検体用発光素子を発光動作させ、その場合、前記異常に係る親検体に対応するラベル無し子検体の生成が正常に終了している場合には第1発光態様で発光動作させ、前記異常に係る親検体に対応するラベル無し子検体の生成が正常に終了していない場合には前記第1発光態様とは異なる第2発光態様で発光動作させる。この構成によれば、異常検体用発光素子の表示態様によって、異常に係る親検体に関し、異常に係るラベル無し子検体が生じているのか否かを容易かつ迅速に把握できる。
望ましくは、複数のラックからなるラックステーションが設けられ、当該ラックステーションの一部が前記異常検体用収容部であり、当該ラックステーションの他の一部が分注完了後の複数のラベル付き子検体容器が移載される正常子検体用収容部であり、前記ラックステーションの近傍には発光素子列が設けられ、当該発光素子列の一部が前記異常検体用発光素子列であり、当該発光素子列の他の一部がラベル付き子検体容器の移載完了を示す移載完了表示用発光素子列である。
望ましくは、前記ラックステーションにおける前記異常検体用収容部と前記正常子検体用収容部との境目が変更された場合に、それに応じて、前記発光素子列における前記異常検体用発光素子列と前記移載完了表示用発光素子列との境目が変更される。この構成によれば、有限なラックステーションにおける配分比を変更して各種状況に柔軟に対応できる。それに応じて発光素子列の配分比も自動変更できる。
本発明によれば、移載対象とはならない子検体について分注異常の有無を迅速かつ容易に特定できる。
本発明に係る検体前処理システムの好適な実施形態を示す概念図である。 図1に示すラックステーションの拡大図である。 表示素子の発光態様を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明に係る検体前処理システムの好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す概念図である。この検体前処理システムは、1または複数の分析機器の上流側に設けられ、親検体から1または複数の子検体を分注処理により生成する装置である。ここで、検体は血液、尿などであり、血液としては、遠心分離処理後の血清などをあげることができる。
図1において、検体前処理システム10は、供給ユニット12、開栓ユニット14、分注ユニット16、移載ユニット18、排出ユニット20および制御部22を備えている。
供給ユニット12は、載置ステーション24,26を有する。載置ステーション24上には複数の親検体ラックが載置される。載置ステーション24においては複数の親検体ラックがY方向に整列して置かれており、それらが順次前方すなわちY方向へ送り出される。それとともに、Y方向の先頭に位置する親検体ラックが図において右方向に搬送される。各親検体ラックは複数の親検体容器を有しており、各親検体容器内には親検体としての血液等が収容されている。親検体容器は栓を有する試験管あるいは採血管等である。各親検体容器には光学的に情報を読み取るためのバーコードラベルが貼付されている。符号27は読み取りポジションを示しており、当該読み取りポジション27において、各親検体に貼り付けられているバーコードラベルが光学的に読み取られる。その読み取り結果に従って、各親検体ごとに分注条件が(子検体生成条件を含む)定まることになる。
載置ステーション26は複数の子検体ラックを載置する場所であり、具体的には、Y方向に複数の子検体ラックが並べられている。それらはY方向前方へ順次送り出される。Y方向の先頭に位置した子検体ラックは図において右方向に送り出される。各子検体ラックは、複数の子検体容器を保持したラックであり、本実施形態において、各子検体容器は小型のカップ状の容器であり、それに対してはバーコードラベルは貼付されていない。ただし、各子検体ラックにはバーコードラベルが貼付されており、ラック単位での管理がなされている。ラック上での子検体のポジションが既知であるので、結果として各子検体ごとに情報管理を行うことが可能である。しかしながら、そのような子検体容器をラックから抜き出してしまうともはやその管理は行えなくなる。
図1に示されるように、供給ユニット12から排出ユニット20にかけてX方向に沿って搬送ライン28が形成されており、それと平行して搬送ライン30が形成されている。搬送ライン28は親検体ラックを搬送するためのベルトコンベア等により構成されている。搬送ライン30は載置ステーション26から送り出される子検体ラックを搬送するベルトコンベア等により構成されている。
開栓ユニット14は、各親検体容器に設けられている栓を取り外すユニットである。その詳細については図示省略されている。そのような栓としてはアルミシール栓やゴム栓等が知られている。栓の種類に応じて適切な開栓方式が適用される。もちろん、そのような開栓ユニット14をシステムから取り外すことも可能である。符号31は子検体ラックに設けられたバーコードラベルを光学的に読み取るポジションを示している。なお、システムにさらに遠心分離ユニット等の他のユニットが連結される場合もある。
分注ユニット16は、親検体容器から検体を吸引し、その検体を子検体容器内に吐出することにより、子検体を生成する装置である。分注ユニット16は、ノズル部34および搬送機構36を備えている。図1において、それらは概念的に示されている。ノズル部34は、本実施形態において金属製のノズル基部とそれに着脱自在に装着される樹脂製のノズルチップとにより構成される。検体ごとにノズルチップが交換される。搬送機構36はノズル部34を搬送する機構である。
分注ユニット16においては、図示されるように搬送ライン28および搬送ライン30が左右方向に貫通しており、さらにループ搬送ライン32の一部分が搭載されている。ループ搬送ライン32の残りの部分は1つ隣の移載ユニット18上に搭載されている。
分注ユニット16において、符号33で示すエリアは分注エリアを表している。すなわち、搬送ライン28上に親検体ラックが位置決められ、それとともに、搬送ライン30上に子検体ラックが位置決められ、さらにループ搬送ライン32上に別の子検体ラックが位置決められる。そして、特定の親検体から1または複数の子検体を生成する分注処理が実行される。ループ搬送ライン32においては、複数の子検体ラックが循環的に搬送されている。その子検体ラックは複数の収容孔を有し、各収容孔には子検体容器としてのチューブが差し込まれている。搬送ライン28上における特定の親検体に対して吸引が実行され、それにより吸引された検体が搬送ライン30上の1または複数の子検体容器へ吐出され、また必要に応じて、ループ搬送ライン32上における1または複数の子検体容器へ吐出される。どのような子検体を生成するのかについては上位システムから与えられる分注条件に従って判断される。
ループ搬送ライン32上において搬送される子検体ラックは上述したように複数の子検体容器を保持している。各子検体容器には本実施形態においてバーコードラベルが貼付さされている。従ってそのような子検体容器をラックから取り出して移載しても当該子検体の管理を行うことが可能である。本実施形態の説明においては、搬送ライン30によって搬送される子検体をラベル無し子検体と称し、ループ搬送ライン上において搬送される子検体容器をラベル付き子検体と称することにする。同じくそれぞれの子検体を収容した容器をそれぞれラベル無し子検体容器およびラベル付き子検体容器と称することにする。
分注エリア33においては、上述したように、1つの親検体から分注条件に従って1または複数のラベル無し子検体およびラベル付き子検体が生成される。その場合、1つの親検体からラベル無し子検体だけが生成される場合もあるし、1つの親検体からラベル付き子検体だけが生成される場合もあるし、それらの両者が生成される場合もある。具体的な分注条件はいずれも上位システムから指示されるデータに基づいて決定される。
移載ユニット18は、親検体容器およびラベル付き子検体容器をつかんで所定の場所へ搬送するユニットである。そのために、本実施形態において、移載ユニット18は、マニピュレータ38および搬送機構40を備えている。マニピュレータ38は、2つ以上のフィンガを有し、それらのフィンガによって容器をつかんで必要な箇所へ搬送するものである。搬送機構40はマニピュレータを3次元方向に自在に搬送するものである。
符号41は親検体用移載ポジションを示しており、そこにおいて親検体容器がマニピュレータによってつかまれる。符号42は、ループ搬送ライン32上において設定されたラベル付き子検体用移載ポジションを示している。そのポジション42においてマニピュレータ38によりラベル付き子検体容器がつまみ上げられる。マニピュレータはつかんだ容器をラックステーション44へ搬送する。
移載ユニット18は、本実施形態においてチューブ供給部43を備えている。このチューブ供給部43は子検体容器としてのチューブに対してバーコードラベルを自動的に貼付するものである。そのように構成されたラベル付き子検体容器はマニピュレータ38の作用によりチューブ供給部43から符号45で示される差し込みポジションにある子検体ラックの所定の収容孔に差し込まれる。ループ搬送ライン32において各子検体ラックは時計回り方向に循環的に搬送されており、必要なポジションあるいはエリアにおいて子検体ラックが一時的に停止することになる。このループ搬送ライン32は、大別して、直線部32Aと、それと平行な直線部32Bと、それらの一方端側を結ぶ連絡部32Cと、2つの直線部32A,32Bの他端側をつなぐ連絡部32Dと、を有している。2つの直線部32A,32Bは分注ユニット16および移載ユニット18にまたがって設定されている。連絡部32Cは分注ユニット16上に設定されており、連絡部32Dは移載ユニット18上に設定されている。なお、ループ搬送ライン32に代えて搬送ライン30のような直線的なラインを設置することももちろん可能である。その場合においては、当該直線的な搬送ライン上においてラベル付き子検体容器を搭載したラックが搬送されることになる。
移載ユニット18の上面テーブル上にはラックステーション44が設定されている。ラックステーション44は所定のエリアを構成し、そこには複数のラックが設置される。複数のラックはX方向に互いに密に整列している。ラックステーション44は、本実施形態において、大別して、異常検体用収容部分44Bと、分注完了後の正常子検体用の収容部分44Aと、を有している。
ラックステーション44の手前側すなわちオペレータのアプローチ側には表示部46が設けられている。この表示部46はX方向に整列した複数の発光素子により構成されている。個々の発光素子は具体的にはLEDおよびスイッチを備えたボタンによって構成されている。1つのラックに対して1つの発光素子が対応づけられており、すなわち対応関係にあるラックと発光素子のペアがY方向に整列している。表示部46は大別して異常検体用表示素子列46Bと、正常子検体用表示素子列46Aとにより構成されている。
子検体用収容部分44Aは、X方向に整列した複数のラックにより構成され、各ラックには分注が完了したラベル付き子検体容器が差し込まれる。一方、異常検体用収容部分44Bは、X方向に整列した複数のラックにより構成され、各ラックに対しては吸引から吐出までの一連の分注過程おいて異常が生じた異常検体セット(ファミリー)が収容される。その異常検体セットは通常、親検体容器と、1または複数のラベル付き子検体容器と、からなるが、親検体容器が単体で差し込まれる場合もある。例えば、親検体からラベル無し子検体だけが生成される分注条件が設定されている場合において、分注処理のいずれかの時点でエラーが発生した場合、ラベル無し子検体容器は移載されないために異常にかかる親検体容器だけが移載されることになる。本実施形態においては、後に説明するように1つのラックが1つの異常検体セットに対応づけられている。異常検体セットが発生した場合、それを収容するラックに対応する発光素子が所定の発光動作を行う。ラックステーション44の構成および表示部46の動作については後に図2および図3を用いて詳述する。
排出ユニット20は、分注処理が終了した子検体ラックを後段の分析機器等へ送り込むユニットである。親検体については、異常が発生した場合にはその異常に係る親検体はマニピュレータ38によりピックアップされ、異常検体として隔離された場所で管理されることになる。したがって、正常に分注処理が完了した親検体だけが符号48で示されるように後段の装置へ送られる。一方、ラベル無し子検体については、正常に処理が完了した場合およびそうでない場合のいずれにおいてもラックから取り出されず、ラベル無し子検体容器を備えたラックが元の構成のまま符号50で示されるように後段の装置へ送られる。ただし、ラベル無し子検体についての分注エラーは制御部22において管理されており、そこから上位システムを経由して分析機器へ必要なエラー情報が渡される。よって分析機器においては当該異常に係るラベル無し子検体を分析対象から除外する等の対処を行える。
以上のように前処理から分析にかけての一連の過程において、ラベル無し子検体について異常が発生しても、システムのプロセス上、特に問題となる訳ではないが、親検体容器が異常検体用収容部分44Bに移載されてきた場合、その親検体あるいは異常検体セットを見ただけでラベル無し子検体が正常に生成されたのか否かを直ちに認識することはできない。そこで本実施形態においては、ラベル無し子検体が正常に生成されたか否かを発光素子の発光態様を切り替えることによりオペレータに報知するようにしている。
図2には、移載ユニットにおける上面が概略的に示されており、図2には特にその手前側部分が示されている。ラックステーション44は上述したようにX方向に密に並んだ複数のラック52により構成される。各ラック52は本実施形態において同一の形態を有しているが、それぞれのラックが異なる形態を有していてもよい。図示されるラック52はY方向に複数の収容孔を備えており、それぞれの収容孔には必要に応じて親検体あるいは子検体が差し込まれる。図2においては、ハッチングが施されている収容孔は容器が収容されたものを示している。
ラックステーション44は大別して2つの部分からなり、具体的には、正常子検体が収容される部分44Aと、異常検体が収容される部分44Bと、を有している。収容部分44Aは、必要に応じて分析項目ごとにさらに区切られ、本実施形態においては3つの項目に対応して3つの部分エリア54,56,58が設定されている。すなわち分析項目に応じて子検体を集合させることが可能である。異常検体用の収容部分44Bは図において右端部分に設定されており、それは具体的には16番から20番までの5つのラックにより構成されている。各ラックはそれぞれ独立して取り外すことが可能であり、取り外した上で新しいラックをセットすることが可能である。上述したように、異常検体用収容部分44Bを構成する各ラックはそれぞれ1つの異常検体セット(ファミリー)に対応している。異常検体セットは、通常、1つの親検体と1または複数のラベル付き子検体とにより構成される。ただし、1つの異常検体セットが1つの親検体だけにより構成される場合もある。図2において16番のラックは、1つの異常に係る親検体容器と2つの異常に係る子検体容器とを有している。17番のラックは、異常に係る1つの親検体容器だけを有している。
表示部46は、X方向に並んだ複数の発光素子により構成され、1つの発光素子が1つのラックに対応している。各発光素子は発光動作を行い、本実施形態においては特に高速点滅動作と通常点滅動作(低速点滅動作)の2つの表示態様をもって動作するようになっている。表示部46は、具体的には、正常子検体用の発光素子列46Aと、異常検体用の発光素子列46Bと、を有している。正常子検体用発光素子列46Aは、正常子検体用の収容部分44Aに対応しており、それを構成する各発光素子は、自己が担当するラックにおいてラベル付き子検体の収容が完了した場合に、すなわち満載状態が得られた場合に通常点滅動作を行う。図2において、発光素子62,64が通常点滅動作を行っており、すなわち1番と2番のラックが満載状態にある。3番のラックにおいては途中までしかラベル付き子検体容器の収容が完了しておらず、それに対応する発光素子は未だ消灯状態にある。同じく区間56,58においても、満載状態にあるラックに対応した発光素子が通常点滅動作を行っている。
一方、異常検体用発光素子列46Bにおいては、異常検体セットの収容が完了したラックに対応する発光素子が点灯動作を行う。図においては、発光素子66,68が発光動作を行っている。その場合において、各異常検体セットごとに、ラベル無し子検体の生成が完了したか否か、つまりラベル無し子検体についての分注異常が発生したか否かが発光素子の発光態様によって報知される。具体的には、ラベル無し子検体についての生成が完了した場合には、異常検体セットに対応する発光素子は通常点滅動作を行う。一方、ラベル無し子検体の生成が条件づけられているのにも関わらず、それが完了していない場合すなわちラベル無し子検体についての分注異常が生じている場合には当該異常検体セットに対応する発光素子が通常点滅動作を行う。このように点滅速度を変えることによりラベル無し子検体についての対処の必要性をオペレータに報知することが可能である。
以上の発光動作が図3に整理されている。まず満載表示用の表示素子すなわち正常子検体用の表示素子に関しては、自己が担当するラックが満載となった場合に通常点滅動作を行う。それ以前の満載未了状態においては当該発光素子は消灯状態におかれる。一方、異常検体用の発光素子においては、まず異常検体セットが構成されていない場合には消灯状態におかれ、一方、異常検体セットが発生した場合にはそれに対応する発光素子が点滅動作を行う。その場合、ラベル無し子検体の生成が完了していれば発光素子が通常点滅動作を行い、そうでなければ高速点滅動作を行う。
図3に示される内容は一例であって、ラベル無し子検体の生成が完了していない場合に通常点滅動作を行わせ、そうでない場合に高速点滅動作を行わせるようにしてもよい。また満載表示用発光素子において、満載状態となった場合に第1速度で点滅動作あるいは点灯動作を行わせ、それに対して異常検体用発光素子の発光態様を異ならせるようにしてもよい。すなわち3つの発光態様を使ってそれぞれの状態が識別されるようにしてもよい。
本実施形態においては、図2において符号59で示されるように、異常検体用の収容部分44Bと正常子検体用の収容部分44Aとの比率をプログラミングにより任意に変えることが可能である。すなわち、それらの境目を自由に変更することが可能である。それに伴って、表示部46における正常子検体用発光素子列46Aと異常検体用発光素子列46Bとの間の境目も変更されるように構成されている。上記実施形態においては5つのラックをもって異常検体用収容部分が構成されていたが、そのような場合には5つの発光素子が異常検体用の発光素子として利用される。異常検体用のラック数nと異常検体用の発光素子数Mとが同数となっており、一方が増大した場合には他方も増大するように構成されている。
ちなみに、図2において、符号60はユニットの状態を表す液晶表示器を表している。そのような液晶表示器を使って異常検体セットについてラベル無し子検体の再分注の必要性を表示するようにしてもよいが、そのような場合には再分注が必要な異常検体セットを容易に特定することが困難となる。本実施形態においてはラックと発光素子とが1対1の対応関係になっているので、異常検体ラックを特定するのが容易である。またそのような発光素子を押してリセットを行う場合においても、誤りなくリセット対象を判断することが可能である。ちなみに、そのようなリセットは異常検体用ラックを取り出す際あるいは取り出した後に実施され、その後に新しいラックがセットされることになる。それは図示されていないセンサによって検知される。
10 検体前処理システム、12 供給ユニット、14 開栓ユニット、16 分注ユニット、18 移載ユニット、20 排出ユニット、28 搬送ライン、30 搬送ライン、32 ループ搬送ライン、44 ラックステーション、46 表示部。

Claims (4)

  1. 管理ラベルによって管理される親検体を収容した親検体容器を保持する親検体容器ラックと、
    管理ラベルによって管理されるラベル付き子検体を収容するためのラベル付き子検体容器を保持する第1の子検体容器ラックと、
    管理ラベルによって管理されないラベル無し子検体を収容するためのラベル無し子検体容器を保持する第2の子検体容器ラックと、
    前記親検体容器から親検体を吸引し、当該親検体を前記ラベル付き子検体容器へ吐出することにより前記ラベル付き子検体を生成し、当該親検体を前記ラベル無し子検体容器へ吐出することにより前記ラベル無し子検体を生成する分注機構と、
    前記親検体容器ラックから異常検体用収容部へ異常に係る親検体容器を移載し、前記第1の子検体容器ラックから前記異常検体用収容部へ異常に係るラベル付き子検体容器を移載する移載機構と、
    前記異常検体用収容部の近傍に設けられた異常検体用表示手段と、
    前記異常検体用収容部に移載された異常に係る親検体容器を識別可能なように、且つ、当該異常に係る親検体に対応するラベル無し子検体の生成が指示されている場合にそれが正常に終了しているか否かが識別可能なように前記表示手段を動作させる制御部と、
    を含むことを特徴とする検体前処理装置。
  2. 請求項1記載の装置において、
    前記異常検体用表示手段は、前記異常検体用収容部の近傍に配列された異常検体用発光素子列により構成され、
    前記制御部は、前記異常検体用発光素子列の内で前記異常に係る親検体容器に対応する異常検体用発光素子を発光動作させ、その場合、前記異常に係る親検体に対応するラベル無し子検体の生成が正常に終了している場合には第1発光態様で発光動作させ、前記異常に係る親検体に対応するラベル無し子検体の生成が正常に終了していない場合には前記第1発光態様とは異なる第2発光態様で発光動作させる、
    ことを特徴とする検体前処理装置。
  3. 請求項2記載の装置において、
    複数のラックからなるラックステーションが設けられ、当該ラックステーションの一部が前記異常検体用収容部であり、当該ラックステーションの他の一部が分注完了後の複数のラベル付き子検体容器が移載される正常子検体用収容部であり、
    前記ラックステーションの近傍には発光素子列が設けられ、当該発光素子列の一部が前記異常検体用発光素子列であり、当該発光素子列の他の一部がラベル付き子検体容器の移載完了を示す移載完了表示用発光素子列である、
    ことを特徴とする検体前処理装置。
  4. 請求項3記載の装置において、
    前記ラックステーションにおける前記異常検体用収容部と前記正常子検体用収容部との境目が変更された場合に、それに応じて、前記発光素子列における前記異常検体用発光素子列と前記移載完了表示用発光素子列との境目が変更される、
    ことを特徴とする検体前処理装置。
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