JP5461995B2 - 絞出チューブ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、柔軟性があり、レトルト滅菌処理やオートクレーブ滅菌処理に付しても外観が良好であり、さらに加熱滅菌処理後もガスバリア性の低下が極めて少ない絞出チューブに関する。本発明の絞出チューブは、例えば、練り歯磨き、食品、半固形高栄養流動食、化粧品、医薬品、その他の香気成分を含む内容物の充填包装に適する。好適には、レトルト滅菌処理やオートクレーブ滅菌処理のような加熱滅菌処理が施され、開封されるまで衛生性が保持されるスパウト付き絞出チューブである。
包装容器に用いられる素材の開発が進む中で、レトルト容器のように高温で比較的長時間の加熱滅菌処理に耐え得る特性を有する容器が求められており、数多く提案されている。これらの中でも、通常は、耐熱性の高いポリプロピレンや高密度ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂単体、またはエチレン−ビニルアルコール系共重合体(以下、EVOHと略記することがある)やポリアミドなどの酸素バリア層を中間層とし、この両側にポリプロピレンや高密度ポリプロピレンなどのオレフィン樹脂層を積層したものが使用されている。しかしながら、これらのチューブは弾性率が高く、柔軟性を必要とする絞出チューブとしては必ずしも適切な素材ではなく、多層構造の場合、加熱滅菌処理後に層間剥離(デラミネーション)が発生する欠点がある。
EVOHは酸素透過量が他のプラスチックに比べ極めて小さく、各種ガス・薬品の透過量も小さい。このようにバリア性に優れるうえに、耐油性・耐薬品性に優れるので、EVOHは、農薬・医薬品の容器、食品包装材など様々な用途に使用されている。しかしながら、EVOHは、レトルト滅菌処理やオートクレーブ滅菌処理などの高温高湿条件下では、白化や変形が生じたり、バリア性が低下したりするといった問題を有しており、耐熱性・耐熱水性に改良の余地があった。
上記問題点を解決するために、本発明者らは、EVOHの改質を目的とした架橋技術に注目した。高度なガスバリア性を維持し、耐熱性・耐熱水性を改善するためにEVOHに架橋を施すという技術は従来から種々検討されている。例えば、特許文献1にはエポキシ基及びアリル基を有する化合物をEVOHに配合後、光あるいは熱により架橋するとの記載があるが、特許文献1の実施例の熱水溶断温度を見るとその効果は小さく、ほとんど架橋できていない。これはエポキシ基がほとんどEVOHと反応していないことが原因と考えられる。また、当該化合物を製造する際には、エポキシ基及びアリル基を有する化合物を多量に配合する必要があるため、これが残存し、特に食品、半固形高栄養流動食、医薬品、化粧品等に使用する場合、衛生上問題となることが懸念される。
特許文献2及び特許文献3にはEVOHは多官能アリル系化合物、多官能(メタ)アクリル系及び多価アルコール及び金属酸化物から選ばれる少なくとも一種の架橋剤及び架橋助剤を添加し、電子線を照射し、架橋するという記載があるが、これも添加剤が残存することによる衛生上の問題が懸念される。また、架橋剤が溶融混練の段階でEVOHと反応することによりゲル化し、樹脂製造時の工業的な長期運転には問題があった。
特許文献4にはEVOHにアリルエーテル基が2つ以上有する化合物を添加し、電子線を照射し、架橋するという記載があるが、これも添加剤が残存することにより、衛生上問題であると考えられる。
特許文献5には架橋剤としてトリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレートを使用し、これらをEVOHと溶融混練した後に電子線照射しEVOHを架橋する方法が記載されているが、トリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレートが残存し、特に食品包装容器に使用する場合、衛生上の問題が懸念される。また。トリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレートが溶融混練の段階でEVOHと反応することによりゲル化し、長期運転には問題があった。
特許文献6には、EVOHフィルムを水と接触させて含水状態にして電子線を照射することにより架橋する方法が記載されている。しかし、この方法の場合、フィルムを長時間水中に浸漬させる必要があり、高速生産が困難であるという問題があった。
特許文献7には、EVOHに特定のエポキシ化合物を反応させて変性することにより、ガスバリア性をなるべく保ちながら柔軟性を改善することが記載されている。しかし、変性により融点が大きく低下する問題点を有し、このままでは耐熱性が要求される用途に使用することが困難であった。また、特許文献8には、特許文献7に記載された変性EVOHと未変性のEVOHとからなる樹脂組成物が記載されている。
特開昭63−8448号公報 特開平5−271498号公報 特開平9−157421号公報 特開平9−234833号公報 特開昭62−252409号公報 特開昭56−49734号公報 WO02/092643号 WO03/072653号
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、有害な架橋剤をほとんど含有しないために架橋剤の内容物への溶出が抑制されて安全性に優れ、柔軟性があり、またレトルト滅菌処理やオートクレーブ滅菌処理に付しても外観が良好であり、さらにかかる加熱滅菌処理後もガスバリア性の低下が極めて少なく、開封されるまで衛生性が保持される絞出チューブを提供することを目的とするものである。
すなわち、本発明は、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)(以下、変性EVOH(C)と称する)からなる層、および変性EVOH(C)以外の樹脂(F)(以下、単に樹脂(F)と称する)からなる層を有する多層構造体である絞出チューブであって、変性EVOH(C)は未変性のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)(以下、未変性のEVOH(A)と称する)を、二重結合を有するエポキシ化合物(B)(以下、エポキシ化合物(B)と称する)で変性して得られたものであり、エポキシ化合物(B)による変性量が未変性のEVOH(A)のモノマー単位に対して0.1〜10モル%であり、変性EVOH(C)の少なくとも一部が架橋されていて、かつ、そのゲル分率が10質量%以上であることを特徴とする絞出チューブである。
また、本発明は、変性EVOH(C)及び未変性のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(D)(以下、未変性のEVOH(D)と称する)を含有する樹脂組成物からなる層、及び樹脂(F)からなる層を有する多層構造体である絞出チューブであって、変性EVOH(C)は未変性のEVOH(A)をエポキシ化合物(B)で変性して得られたものであり、エポキシ化合物(B)による変性量が未変性のEVOH(A)のモノマー単位に対して0.1〜10モル%であり、変性EVOH(C)の少なくとも一部が架橋されていて、かつ、そのゲル分率が10質量%以上であることを特徴とする絞出チューブである。
上記絞出チューブにおいて、未変性のEVOH(A)のエチレン含有量が5〜55モル%であり、かつケン化度が90モル%以上であることが好ましい。エポキシ化合物(B)が分子量500以下の一価エポキシ化合物、特に、アリルグリシジルエーテルであることも好ましい。上記絞出チューブの好適な実施態様は、レトルト滅菌処理用絞出チューブである。中でも、スパウト付絞出チューブが特に好適である。
本発明の好適な実施態様は、絞出チューブに内容物が充填されてなる包装体であって、該内容物が充填される前あるいは後に加熱滅菌処理されてなることを特徴とする包装体である。このとき、加熱滅菌処理が、レトルト滅菌処理又はオートクレーブ滅菌処理であることが好適である。
また、本発明は、変性EVOH(C)からなる層、及び変性EVOH(C)以外の樹脂(F)からなる層を有する多層構造体である絞出チューブの製造方法であって、未変性のEVOH(A)を、エポキシ化合物(B)で変性して、変性EVOH(C)を製造し、変性EVOH(C)と樹脂(F)を用いて多層チューブを成形し、変性EVOH(C)の少なくとも一部を架橋させて、かつ、そのゲル分率を10質量%以上にすることを特徴とする絞出チューブの製造方法である。
さらにまた、本発明は、変性EVOH(C)及び未変性のEVOH(D)を含有する樹脂組成物からなる層、及び変性EVOH(C)以外の樹脂(F)からなる層を有する多層構造体である絞出チューブの製造方法であって、未変性のEVOH(A)を、エポキシ化合物(B)で変性して、変性EVOH(C)を製造し、変性EVOH(C)及び未変性のEVOH(D)を混合して樹脂組成物を製造し、該樹脂組成物と樹脂(F)を用いて多層チューブを成形し、該樹脂組成物の少なくとも一部を架橋させて、かつ、そのゲル分率を10質量%以上にすることを特徴とする絞出チューブの製造方法である。
上記絞出チューブの製造方法において、電子線、X線、γ線、紫外線及び可視光線からなる群から選択される少なくとも1種を照射するか、加熱することにより変性EVOH(C)または変性EVOH(C)を含有する樹脂組成物の少なくとも一部を架橋させることが好適である。
本発明の絞出チューブは、有害な架橋剤をほとんど含有しないために架橋剤の内容物への溶出が抑制されて安全性に優れ、柔軟性があり、またレトルト滅菌処理やオートクレーブ滅菌処理に付しても外観が良好であり、さらにかかる加熱滅菌処理後もガスバリア性の低下が極めて少なく、衛生性も保持される。
本発明に用いられる変性EVOH(C)は、未変性のEVOH(A)の水酸基に、二重結合を有するエポキシ化合物(B)を反応させたものである。
本発明に用いられる未変性のEVOH(A)のエチレン含有量は5〜55モル%であることが好ましく、より好適には20〜55モル%、更に好適には25〜50モル%である。エチレン含有量が5モル%より小さい場合は耐水性に劣り、60モル%より大きい場合はガスバリア性に劣る。得られる変性EVOH(C)のエチレン含有量は、原料のEVOH(A)のエチレン含有量と同じである。
未変性のEVOH(A)のケン化度は90モル%以上が好ましく、好適には98モル%以上、更に好適には99モル%以上である。ケン化度が90モル%より小さい場合はガスバリア性及び熱安定性に劣る。
また、後述する通り、本発明の変性EVOH(C)は、好適には未変性のEVOH(A)とエポキシ化合物(B)との反応を、押出機内で行わせることによって得られるが、その際に、未変性のEVOH(A)は加熱条件下に晒される。この時に、未変性のEVOH(A)が過剰にアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を含有していると、得られる変性EVOH(C)に着色が生じるおそれがある。また、変性EVOH(C)の粘度低下等の問題が生じ、成形性が低下するおそれがある。また、後述のように触媒を使用する場合には、触媒を失活させるため、それらの添加量はできるだけ少ないことが好ましい。
上記の問題を回避するためには、未変性のEVOH(A)が含有するアルカリ金属塩が金属元素換算値で50ppm以下であることが好ましい。より好ましい実施態様では、未変性のEVOH(A)が含有するアルカリ金属塩が金属元素換算値で30ppm以下であり、更に好ましくは20ppm以下である。また、同様な観点から、未変性のEVOH(A)が含有するアルカリ土類金属塩が金属元素換算値で20ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、5ppm以下であることが更に好ましく、未変性のEVOH(A)にアルカリ土類金属塩が実質的に含まれていないことが最も好ましい。
本発明に用いられる未変性のEVOH(A)の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下)は0.1〜100g/10分であり、好適には0.3〜30g/10分、更に好適には0.5〜20g/10分である。但し、融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で示す。MFRの異なる2種以上の未変性のEVOH(A)を混合して用いることもできる。
本発明に用いられるエポキシ化合物(B)は分子中にエポキシ基を1個及び二重結合1個又は複数個存在するものが好ましい。すなわち、一価エポキシ化合物であることが好ましい。また、分子量は500以下であることが好ましい。エポキシ基を複数個有するものは変性の際に架橋する問題がある。また、上記二重結合の種類としては特に好適には1置換オレフィンであるビニル基であり、次に好適には2置換オレフィンであるビニレン基あるいはビニリデン基である。次に好適には3置換オレフィンである。4置換オレフィンは反応性に乏しいため、本発明の目的には適していない。
また、エポキシ化合物(B)として、過剰に添加したものを容易にEVOHから除去できるものが好ましい。その除去方法としては、押出機のベントから揮発させて除去することが現実的である。したがって、沸点が250℃以下であることが好適であり、200℃以下であることがより好適である。また、エポキシ化合物(B)の炭素数が4〜10であることが好ましい。このような二重結合を有するエポキシ化合物の具体例としては、1,2−エポキシ−3−ブテン、1,2−エポキシ−4−ペンテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、エチレングリコールアリルグリシジルエーテル等が挙げられ、特に好ましくはアリルグリシジルエーテルが挙げられる。また、押出機のベントから水洗除去することも可能であり、この場合、エポキシ化合物(B)が水に可溶であることも好ましい。
エポキシ化合物(B)と未変性のEVOH(A)の反応の条件は特に制限されないが、WO02/092643号(特許文献7)に記載の方法と同様に、押出機中で未変性のEVOH(A)にエポキシ化合物(B)を反応させることが好ましい。このとき、触媒を添加することが好ましく、その場合、反応後に失活剤としてカルボン酸塩を添加することが好ましい。押出機内で、溶融状態の未変性のEVOH(A)に対してエポキシ化合物(B)を添加することが、エポキシ化合物(B)の揮散を防止できるとともに、反応量を制御しやすく、好ましい。過剰に添加したエポキシ化合物(B)は押出機のベントから除去可能である。更に、得られたペレットを温水で洗浄することにより、残存するエポキシ化合物(B)の除去が可能であると同時に、残存触媒も除去可能である。
本発明で使用する触媒は、周期律表第3〜12族に属する金属のイオンを含むものであることが好ましい。触媒に使用する金属イオンとして最も重要なことは適度のルイス酸性を有することであり、この点から周期律表第3〜12族に属する金属のイオンが使用される。これらの中でも、周期律表第3族又は第12族に属する金属のイオンが適度なルイス酸性を有していて好適であり、亜鉛、イットリウム及びガドリニウムのイオンがより好適なものとして挙げられる。中でも、亜鉛のイオンを含む触媒が、触媒活性が極めて高く、かつ得られる変性EVOH(C)の熱安定性が優れていて、最適である。
周期律表第3〜12族に属する金属のイオンの添加量は未変性のEVOH(A)の重量に対する金属イオンのモル数で0.1〜20μmol/gであることが好適である。多すぎる場合には、溶融混練中に未変性のEVOH(A)がゲル化するおそれがあり、より好適には10μmol/g以下である。一方、少なすぎる場合には、触媒の添加効果が十分に奏されないおそれがあり、より好適には0.5μmol/g以上である。なお、周期律表第3〜12族に属する金属のイオンの好適な添加量は、使用する金属の種類や後述のアニオンの種類によっても変動するので、それらの点も考慮した上で、適宜調整される。
周期律表第3〜12族に属する金属のイオンを含む触媒のアニオン種は特に限定されないが、その共役酸が硫酸と同等以上の強酸である1価のアニオンを含むことが好ましい。共役酸が強酸であるアニオンは、通常求核性が低いのでエポキシ化合物と反応しにくく、求核反応によってアニオン種が消費されて、触媒活性が失われることを防止できるからである。また、そのようなアニオンを対イオンに有することで、触媒のルイス酸性が向上して触媒活性が向上するからである。
共役酸が硫酸と同等以上の強酸である1価のアニオンとしては、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン;塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン;過塩素酸イオン;テトラフルオロボレートイオン(BF )、ヘキサフルオロホスフェートイオン(PF )、ヘキサフルオロアルシネートイオン(AsF )、ヘキサフルオロアンチモネートイオン等の4個以上のフッ素原子を持つアニオン;テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のテトラフェニルボレート誘導体イオン;テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、ビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト(III)イオン、ビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄(III)イオン等のカルボラン誘導体イオンなどが例示される。これらの中でもスルホン酸イオンが好ましく、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが特に好ましい。
上述のように、本発明で使用される触媒はその共役酸が硫酸と同等以上の強酸である1価のアニオンを含むものであることが好適であるが、触媒中の全てのアニオン種が同一のアニオン種である必要はない。むしろ、その共役酸が弱酸であるアニオンを同時に含有するものであることが好ましい。
共役酸が弱酸であるアニオンの例としては、アルキルアニオン、アリールアニオン、アルコキシド、アリールオキシアニオン、カルボキシレート並びにアセチルアセトナート及びその誘導体が例示される。中でもアルコキシド、カルボキシレート並びにアセチルアセトナート及びその誘導体が好適に使用される。
触媒中の金属イオンのモル数に対する、共役酸が硫酸と同等以上の強酸であるアニオンのモル数は、0.2〜1.5倍であることが好ましい。上記モル比が0.2倍未満である場合には触媒活性が不十分となるおそれがあり、より好適には0.3倍以上であり、更に好適には0.4倍以上である。一方、上記モル比が1.5倍を超えると変性EVOH(C)がゲル化するおそれがあり、より好適には1.2倍以下である。前記モル比は最適には1倍である。なお、原料の未変性のEVOH(A)が酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩を含む場合には、それと中和されて消費される分だけ、共役酸が硫酸と同等以上の強酸であるアニオンのモル数を増やしておくことができる。
触媒の調製方法は特に限定されないが、好適な方法として、周期律表第3〜12族に属する金属の化合物を溶媒に溶解又は分散させ、得られた溶液又は懸濁液に、共役酸が硫酸と同等以上のスルホン酸等の強酸を添加する方法が挙げられる。原料として用いる周期律表第3〜12族に属する金属の化合物としては、アルキル金属、アリール金属、金属アルコキシド、金属アリールオキシド、金属カルボキシレート、金属アセチルアセトナート等が挙げられる。ここで、かかる金属化合物の溶液又は懸濁液に、強酸を加える際には、少量ずつ添加することが好ましい。こうして得られた触媒を含有する溶液は押出機に直接導入することができる。
前記した金属化合物を溶解又は分散させる溶媒としては有機溶媒、特にエーテル系溶媒が好ましい。押出機内の温度でも反応しにくく、金属化合物の溶解性も良好だからである。エーテル系溶媒の例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等が例示される。用いる溶媒としては、金属化合物の溶解性に優れ、沸点が比較的低くて押出機のベントでほぼ完全に除去可能なものが好ましい。その点においてジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン及びテトラヒドロフランが特に好ましい。
また、上述の触媒の調製方法において、添加する強酸の代わりに強酸のエステル、例えばスルホン酸エステル等を用いても良い。強酸のエステルは、通常強酸そのものより反応性が低いために、常温では金属化合物と反応しないことがあるが、200℃前後に保った高温の押出機内に投入することにより、押出機内において活性を有する触媒を生成することができる。
触媒の調製方法としては、以下に説明する別法も採用可能である。まず、水溶性の前記した金属化合物と、共役酸が硫酸と同等以上のスルホン酸等の強酸とを、水溶液中で混合して触媒水溶液を調製する。なおこのとき、当該水溶液が適量のアルコールを含んでいても構わない。得られた触媒水溶液を未変性のEVOH(A)と接触させた後、乾燥することによって触媒が配合された未変性のEVOH(A)を得ることができる。具体的には、未変性のEVOH(A)のペレット、特に多孔質の含水ペレットを前記触媒水溶液に浸漬する方法が好適なものとして挙げられる。この場合には、このようにして得られた乾燥ペレットを押出機に導入することができる。
使用される触媒失活剤は、触媒のルイス酸としての働きを低下させるものであればよく、その種類は特に限定されない。好適にはアルカリ金属塩が使用される。その共役酸が硫酸と同等以上の強酸である1価のアニオンを含む触媒を失活させるには、当該アニオンの共役酸よりも弱い酸のアニオンのアルカリ金属塩を使用することが必要である。こうすることによって、触媒を構成する周期律表第3〜12族に属する金属のイオンの対イオンが弱い酸のアニオンに交換され、結果として触媒のルイス酸性が低下するからである。触媒失活剤に使用されるアルカリ金属塩のカチオン種は特に限定されず、ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩が好適なものとして例示される。またアニオン種も特に限定されず、カルボン酸塩、リン酸塩及びホスホン酸塩が好適なものとして例示される。
触媒失活剤として、例えば酢酸ナトリウムやリン酸一水素二カリウムのような塩を使用しても熱安定性はかなり改善されるが、用途によっては未だ不十分である場合がある。この原因は、周期律表第3〜12族に属する金属のイオンにルイス酸としての働きがある程度残存しているため、変性EVOH(C)の分解及びゲル化に対して触媒として働くためであると考えられる。この点を更に改善する方法として、周期律表第3〜12族に属する金属のイオンに強く配位するキレート化剤を添加することが好ましい。このようなキレート化剤は当該金属のイオンに強く配位できる結果、そのルイス酸性をほぼ完全に失わせることができ、熱安定性に優れた変性EVOH(C)を与えることができる。また、当該キレート化剤がアルカリ金属塩であることによって、前述のように触媒に含まれるアニオンの共役酸である強酸を中和することもできる。
触媒失活剤として使用されるキレート化剤として、好適なものとしては、オキシカルボン酸塩、アミノカルボン酸塩、アミノホスホン酸塩などが挙げられる。具体的には、オキシカルボン酸塩としては、クエン酸二ナトリウム、酒石酸二ナトリウム、リンゴ酸二ナトリウム等が例示される。アミノカルボン酸塩としては、ニトリロ三酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三カリウム、ジエチレントリアミン五酢酸三ナトリウム、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン二酢酸一ナトリウム、N−(ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸一ナトリウム等が例示される。アミノホスホン酸塩としては、ニトリロトリスメチレンホスホン酸六ナトリウム、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)八ナトリウム等が例示される。中でもポリアミノポリカルボン酸が好適であり、性能やコストの面からエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩が最適である。
触媒失活剤の添加量は特に限定されず、触媒に含まれる金属イオンの種類や、キレート剤の配位座の数等により適宜調整されるが、触媒に含まれる金属イオンのモル数に対する触媒失活剤のモル数の比が0.2〜10となるようにすることが好適である。比が0.2未満の場合には、触媒が十分に失活されないおそれがあり、より好適には0.5以上、更に好適には1以上である。一方、比が10を超える場合には、得られる変性EVOH(C)が着色するおそれがあるとともに、製造コストが上昇するおそれがあり、より好適には5以下であり、更に好適には3以下である。
触媒失活剤を押出機へ導入する方法は特に限定されないが、均一に分散させるためには、溶融状態の変性EVOH(C)に対して、触媒失活剤の溶液として導入することが好ましい。触媒失活剤の溶解性や、周辺環境への影響などを考慮すれば、水溶液として添加することが好ましい。
触媒失活剤の押出機への添加位置は、未変性のEVOH(A)とエポキシ化合物(B)とを、触媒の存在下に溶融混練した後であればよい。しかしながら、EVOH(A)とエポキシ化合物(B)とを、触媒の存在下に溶融混練し、未反応のエポキシ化合物(B)を除去した後に触媒失活剤を添加することが好ましい。前述のように、触媒失活剤を水溶液として添加する場合には、未反応のエポキシ化合物(B)を除去する前に触媒失活剤を添加したのでは、ベント等で除去して回収使用するエポキシ化合物(B)の中に水が混入することになり、分離操作に手間がかかるからである。なお、触媒失活剤の水溶液を添加した後で、ベント等によって水分を除去することも好ましい。
変性EVOH(C)の製造方法において、触媒失活剤を使用する場合の好適な製造プロセスとしては、(1)未変性のEVOH(A)の溶融工程;(2)エポキシ化合物(B)と触媒の混合物の添加工程;(3)未反応のエポキシ化合物(B)の除去工程;(4)触媒失活剤水溶液の添加工程;(5)水分の減圧除去工程;の各工程からなるものが例示される。
反応を円滑に行う観点からは、系内から水分及び酸素を除去することが好適である。このため、押出機内へエポキシ化合物(B)を添加するより前に、ベント等を用いて水分及び酸素を除去しても良い。
エポキシ化合物(B)による変性EVOH(C)の変性量としては、未変性のEVOH(A)のモノマー単位に対して0.1〜10モル%の範囲であり、より好適には0.3〜5モル%の範囲であり、更に好適には0.5〜3モル%の範囲である。変性量が0.1モル%以下の場合、変性の効果が小さく、また、10モル%を超える場合、ガスバリア性及び熱安定性が低下するという欠点がある。
変性EVOH(C)の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下)は0.1〜100g/10分であり、好適には0.3〜30g/10分、更に好適には0.5〜20g/10分である。但し、融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で示す。
こうして得られた変性EVOH(C)を用いて、該変性EVOH(C)からなる層と樹脂(F)からなる層を有する多層構造体である、本発明の絞出チューブが製造される。このとき、変性EVOH(C)には、変性EVOH(C)以外の樹脂や各種添加物を配合しても構わない。なかでも、変性EVOH(C)に未変性のEVOH(D)を配合した樹脂組成物からなる層であることが、本発明の絞出チューブの特に好適な実施態様である。一般に変性EVOH(C)の製造コストは、未変性のEVOH(D)よりも高いので、二重結合濃度の高い変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)とを混合して所望の二重結合濃度を有する樹脂組成物を製造することが経済的である。前述のような方法によって押出機内で反応させることによって、変性量の大きい変性EVOH(C)を容易に製造できるから、このような樹脂組成物が容易に得られる。また、樹脂組成物の二重結合濃度を、用途に応じて調整することも容易である。未変性のEVOH(D)としては、既に説明した未変性のEVOH(A)と同様のものを使用することができる。
変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)を含有する樹脂組成物における配合質量比(C/D)は特に限定されない。樹脂組成物の二重結合濃度を所望の範囲にして耐熱水性に優れた絞出チューブを得るためには、比(C/D)の下限値は2/98であることが好ましく、5/95であることがより好ましく、15/85以上であることが更に好ましく、20/80以上であることが特に好ましい。一方、製造コスト及びバリア性の面からは、比(C/D)の上限値は60/40であることが好ましく、40/60であることがより好ましい。
変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)を配合する方法は特に限定されない。溶融混練して配合しても構わないし、溶液中で配合しても構わない。生産性の観点からは溶融混練することが好ましく、例えば変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)のペレットを用いて溶融混練することが好適な態様である。
変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)を含有する樹脂組成物における、エポキシ化合物(B)による変性量は、未変性のEVOH(A)のモノマー単位と未変性のEVOH(D)のモノマー単位の合計量に対して、好適には0.1〜10モル%の範囲であり、より好適には0.3〜5モル%の範囲であり、更に好適には0.5〜3モル%の範囲である。
変性EVOH(C)、あるいは変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)を含有する樹脂組成物には必要に応じて各種添加剤を配合することもできる。このような添加剤の例としては、増感剤、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、充填材、あるいは他の高分子化合物を挙げることができ、これらを本発明の作用効果が阻害されない範囲で配合することができる。添加剤の具体例としては次のようなものが挙げられる。
増感剤:ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン等。
硬化剤:メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド、クメンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等。
硬化促進剤:2−エチルヘキサン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸マンガン、ナフテン酸マンガン等の金属石鹸や、メチルアニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、メチル−p−トルイジン、ジメチル−p−トルイジン、メチル−2−ヒドロキシエチルアニリン、ジ−2−ヒドロキシエチル−p−トルイジンなどのアミン又はその塩酸、酢酸、硫酸、リン酸などの塩。
酸化防止剤:2,5−ジブチル−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピロネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等。
可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステル等。
紫外線吸収剤:エチレン−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、(2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
帯電防止剤:ペンタエリスリトールモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化オレイン酸、ポリエチレンオキシド、カーボワックス等。
着色剤:カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、アゾ系顔料、酸化チタン、ベンガラ等。
充填剤:グラスファイバー、マイカ、セライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、モンモリロナイト等。
他の高分子化合物:エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン;カルボキシル基などの官能基で変性された変性ポリオレフィン;ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等。
上記の目的に応じて必要により添加剤を添加した変性EVOH(C)を用いて、本発明の絞出チューブを得る。以下、この条件について述べる。
本発明の絞出チューブは多層構造体からなる。具体的には、変性EVOH(C)からなる層と(C)以外の樹脂(F)からなる層とを有する多層構造体からなる絞出チューブであるか、または、変性EVOH(C)及び未変性のEVOH(D)を含有する樹脂組成物からなる層と樹脂(F)からなる層とを有する多層構造体からなる絞出チューブである。
このような多層構造体からなる絞出チューブの製造方法は特に限定されず、溶融成形してもよいし、接着剤などを用いてラミネートしてもよい。溶融成形する場合には、共押出成形、共射出成形、押出コーティングなどが採用される。溶融成形する場合、変性EVOH(C)に添加剤を添加せずそのまま使用してもよいし、変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)や各種添加剤とを押出機に供給して、溶融混練してそのまま成形してもよい。また溶融混練して一旦ペレット化してから、成形してもよく、適宜好適な手段が採用される。溶融成形における成形温度は、変性EVOH(C)の融点等により異なるが、溶融樹脂温度を約120℃〜250℃とすることが望ましい。
樹脂(F)は、熱可塑性樹脂であることが好適である。例えばポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、アクリル樹脂及びポリビニルエステルからなる群から選択される少なくとも1種が例示される。ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン(炭素数3〜20のα−オレフィン)共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、プロピレン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどのオレフィンの単独もしくは共重合体、又はこれらオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はその無水物あるいはエステルでグラフト変性したものなどが例示される。樹脂(F)がエラストマーであることも好ましい。
多層構造体である本発明の絞出チューブの層構成は変性EVOH(C)層、あるいは変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)を含有する樹脂組成物からなる層をC(C1,C2,・・・)、樹脂(F)層をF(F1,F2,・・・)、必要に応じて設けられる接着剤層をAdとするとき、C/Fの2層構造のみならず、C/F/C、F/C/F、F1/F2/C、F/C/F/C/F、C2/C1/F/C1/C2、C/Ad/F、C/Ad/F/C、F/Ad/C/Ad/F、F/Ad/C/Ad/C/Ad/Fなど、任意の構成が可能である。また、両樹脂の密着性を向上させる樹脂を配合したりすることもある。これらの層構成の中でも、より具体的には、ポリアミド/C/ポリアミド/Ad/(無延伸)ポリプロピレン、またはポリエステル/C/Ad/(無延伸)ポリプロピレンという層構成が、特に医療分野における高齢者用の半固形高栄養流動食のスパウト付き絞出チューブ用途として好適に用いられ、ポリアミド/C/ポリアミド/Ad/無延伸ポリプロピレンからなる層構成が特に好ましい。
本発明の絞出チューブは、変性EVOH(C)または変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)を含有する樹脂組成物の少なくとも一部が架橋されていて、そのゲル分率が3質量%以上となっているものである。本発明の絞出チューブは、前述のようにして得られた多層構造体中の変性EVOH(C)または変性EVOH(C)と未変性のEVOH(D)を含有する樹脂組成物の少なくとも一部を架橋させることにより製造することができる。上記した架橋前の多層構造体は、空気中長時間放置することにより架橋させることが可能であるが、通常、架橋前の多層構造体に、電子線、X線、γ線、紫外線及び可視光線からなる群より選ばれる少なくとも1種を照射するか、加熱を行うことにより、架橋を行うことが望ましい。また、照射は絞出チューブに内容物を充填した後、行うことも可能であり、その際、滅菌処理と架橋処理の2つの処理が同時にできる。
電子線、X線又はγ線を用いる場合、吸収線量が1kGy以上であることが好ましい。より好適には1kGy〜1MGyであり、更に好適には5kGy〜500kGyであり、特に好適には10kGy〜200kGyである。吸収線量が1MGyより大きい場合EVOHの分解が生じることに伴い、強度の低下、着色等の問題が生じるため好ましくない。また吸収線量が1kGyより小さい場合はゲル分率が向上せず、耐熱水性等の目的の性能が得られない。
また、本発明の絞出チューブが、内容物を充填後、加熱滅菌処理を行うことを特徴とする場合、前述のとおり耐熱水性の改善により、白化・変形、バリア性の低下が発生し難くなる。
前記多層構造体に、内容物を充填後、加熱滅菌、特にボイル滅菌処理又はレトルト滅菌処理することにより、保存性の優れた絞出チューブを得ることができる。ここで、レトルト滅菌処理とは、高圧釜を使用し、密封した対象物を加温加圧下、熱水で滅菌する処理のことをいう。ここで、処理条件としては、通常80〜145℃、0.1〜0.45MPaで、30〜90分である。レトルト滅菌処理は回収式、置換式、蒸気式、シャワー式、スプレー式など各種の方法が採用される。レトルト滅菌処理を実施した直後は本発明の絞出チューブでも白色不透明になる場合があるが、該絞出チューブの表面に付着した水を除去した後、しばらく放置することで透明化する。より確実に透明化、ガスバリア性の回復を望む場合には、40〜150℃の範囲で、1〜120分間、熱風で乾燥することが好適である。また他の加熱滅菌法としては熱間充填、オートクレーブ滅菌処理などもあげられる。ここで、熱間充填とは、85℃以上で内容物を充填し滅菌処理することをいい、オートクレーブ滅菌処理とは、耐圧装置内部に飽和水蒸気や水素ガスなどの気体を入れ、加圧下で加熱することで微生物を滅菌する処理のことをいう。
このようにして得られた絞出チューブの、水−フェノール混合溶媒への不溶解率、すなわちゲル分率が3質量%以上であることが重要である。この不溶解率が3質量%未満の場合、本発明が奏する耐熱水性等の効果が小さくなる。不溶解率は、好適には5質量%、更に好適には10質量%、特に好適には20質量%以上である。ここで、水−フェノール混合溶媒の不溶解率とは水(15質量%)−フェノール(85質量%)の混合溶剤100質量部に絞出チューブから取り出した、変性EVOH(C)層、又は変性EVOH(C)及び未変性のEVOH(D)を含有する樹脂組成物層を1質量部入れ、60℃、12時間加熱溶解した後、濾過し、濾液を蒸発乾固して算出される。なおここで濾過は溶解した未架橋のEVOHが実質的に100%透過する濾過器材(濾紙、濾布、メンブレン)が使用される。なお、本発明の絞出チューブ中にフィラーが含まれる場合、ゲル分率は上記溶媒の不溶分を500℃、1時間加熱した後に残る残渣の重量を減じて算出する。
本発明で得られる絞出チューブは、柔軟性があり、レトルト滅菌処理やオートクレーブ滅菌処理に付しても、外観が良好であり、さらにかかる加熱滅菌処理後もガスバリア性の低下が極めて少なく、衛生性も保持される。これらの特性を生かして、本発明の絞出チューブは、例えば、練り歯磨き、食品、半固形高栄養流動食、化粧品、医薬品、その他の香気成分を含む内容物の充填包装に適する。特に、近年、医療・介護分野における保存食品として用いられはじめている半固形高栄養流動食の包装材としてのスパウト付き絞出チューブとして有用である。かかる内容物が充填された絞出チューブは、加熱滅菌処理後、開封されるまで衛生性が保持されるので、好適に用いられる。
以下、実施例にて本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例によって本発明は何ら限定されるものではない。なお、評価は以下の方法によって行った。
〔1〕EVOHのエチレン含有量及び変性EVOHの変性度
測定に用いる試料を粉砕し、アセトンにより低分子量成分を抽出した後、120℃、12時間で乾燥させた。この試料をDMSO−dを溶媒としてH−NMR測定(日本電子社製「JNM−GX−500型」を使用)し、得られたスペクトルの内、二重結合を有するエポキシ化合物が反応した変性EVOHの二重結合のメチン位のピーク(5.9ppm)又は二重結合のメチレン位のピーク(5.2ppm)とEVOHのモノマー単位に相当するエチレン部分のピーク(1.4ppm)との面積比より算出した。
〔2〕EVOH及び変性EVOHのメルトフローレート(MFR)
メルトインデクサL260(テクノ・セブン社製)を用い、荷重2.16kg、温度190℃で樹脂の流出速度(g/10分)を測定した。
〔3〕アリルグリシジルエーテル(以下、AGEと称することがある;二重結合を有するエポキシ化合物)の溶出量
アリルグリシジルエーテル(AGE):0.02g、溶媒(メタノール:クロロホルム=50:50):20ml、100mlの2種の標準液を調製し、下記条件のガスクロマトグラフィー(GC)で検量線を作成した。測定に用いる変性EVOH約0.05gを容量10mlのバイアル瓶に精秤し、メタノール1mlを加えて80℃に加熱して溶解させた。この溶液を室温に冷却後、クロロホルム4mlを少しずつ添加し、白色の沈殿を析出させた。遠心分離機で溶液部と沈殿物を分離し、溶液部をGC分析して、先の検量線によりAGE溶出量を求めた。
GC装置 Agilent Technologies社製6890、カラム:DB−5(J&Wサイエンティフィック社製、キャピラリーカラム、長さ30m、φ0.25mm、film sickness 1.0μm)
測定条件 Inj.Temp.150℃、キャリアガス:ヘリウム、カラム流速:3.0ml/min、50℃(2分保持)→20℃/分で昇温→200℃(0.5分保持)
〔4〕耐屈曲性(ISO 178)
測定装置として東洋精機社製オートグラフを用い、実施例6〜7及び比較例4〜5で得た4mm×10mm×80mm(厚さ×幅×長さ)の試験片を用いて、23℃、50%RHにおいて、試験速度:2mm/min、支点間距離:64mmの条件で曲げ弾性率(MPa)、曲げ強さ(MPa)、および最大曲げひずみ(%)を測定した。
〔5〕レトルト滅菌処理後の外観の評価
120℃で90分間レトルト滅菌処理後の絞出チューブの外観を次のように評価した。
A:白化やデラミネーションは見られず絞出チューブの外観は良好であった。
B:白化し、デラミネーションが激しく発生した。
合成例1
亜鉛アセチルアセトナート一水和物28質量部を1,2−ジメトキシエタン957質量部と混合し、混合液を得た。得られた前記混合液に攪拌しながらトリフルオロメタンスルホン酸15質量部を添加し、触媒溶液を得た。
東芝機械社製TEM−35BS押出機(37mmφ、L/D=52.5)を使用し、スクリュー、3つのベント及び3つの圧入口を設置した。樹脂フィード口を水冷し、スクリュー回転部分の温度を200℃に設定し、スクリュー回転数300rpmで運転した。樹脂フィード口からEVOH(エチレン含有量32モル%、MFR6.0g/10分、カリウム含有量8ppm、リン酸根含有量20ppm、ケン化度99モル%以上)を20.0kg/hrで入れ、第1圧入口からアリルグリシジルエーテル(AGE)を2.93kg/hr、上記触媒溶液を0.5kg/hrの割合で添加した。第2圧入口から酢酸ナトリウム0.82%水溶液を0.6kg/hrの割合で添加した。第1ベントから減圧で過剰のAGEを除去し、第3圧入口から水を1kg/hrの割合で添加し、第2及び第3のベントから減圧で水及びAGEを除去した。これによりAGE変性量1.7モル%、MFR2.0g/10分、融点166℃の変性EVOH(EVOH−1)を得た。得られたEVOH−1からのAGE溶出量を〔3〕にしたがって測定したところ0.62μg/gであった。
合成例2
合成例1で得られた変性EVOH(EVOH−1)と未変性のEVOH(エチレン含有量27モル%、MFR1.8g/10分、ケン化度99モル%以上)を質量比60/40の割合でドライブレンドし、25mmφ二軸押出機((株)東洋精機製LABO PLASTOMIL MODEL 15C300)を用い、220℃でスクリュー回転数100rpm、押出樹脂量4.5kg/時間の条件で押出してペレット化した。次いで、80℃で12時間乾燥を行い、変性EVOH(EVOH−2)を得た(ブレンド後のアリルグリ
シジルエーテル変性量は計算上1.0モル%となる)。得られたEVOH−2からのAGE溶出量を〔3〕にしたがって測定したところ0.36μg/gであり、溶出量は0.5μg/g以下であった。
合成例3
合成例1で得られた変性EVOH(EVOH−1)と未変性のEVOH(エチレン含有量27モル%、MFR1.7g/10分、ケン化度99モル%以上)を質量比30/70の割合でドライブレンドし、合成例2と同様にして変性EVOH(EVOH−3)を得た(ブレンド後のAGE変性量は計算上0.5モル%となり、AGE溶出量は、0.18μg/gとなる)。
合成例4
合成例1で得られた変性EVOH(EVOH−1)と未変性のEVOH(エチレン含有量32モル%、MFR1.6g/10分、ケン化度99モル%以上)を質量比60/40の割合でドライブレンドし、合成例2と同様にして変性EVOH(EVOH−4)を得た
(ブレンド後のAGE変性量は計算上1.0モル%となり、AGE溶出量は、0.37μg/gとなる)。
合成例5
合成例1で得られた変性EVOH(EVOH−1)と未変性のEVOH(エチレン含有量32モル%、MFR1.6g/10分、ケン化度99モル%以上)を質量比30/70の割合でドライブレンドし、合成例2と同様にして変性EVOH(EVOH−5)を得た(ブレンド後のAGE変性量は計算上0.5モル%となり、AGE溶出量は、0.18μg/gとなる)。
実施例1
(1)合成例2で得られた変性EVOH(EVOH−2)およびポリアミド「1022FD12」(商品名、株式会社宇部興産製、以下PAと称する)を原料とし、それぞれを別々の押出機に導入し、下記に示す条件に従ってPA/EVOH−2/PAの2種3層多層フィルムを共押出成形により製造した。得られた多層フィルムの厚み構成は20/15/20μmであった。
共押出成形機の構成及び運転条件は下記のとおりである。
押出機1[PA]:株式会社プラスチック工学研究所製単軸押出機「GT−32−A型」、スクリュー径:32mmφ、スクリュー回転数:62rpm、シリンダー設定温度:2
40℃
押出機2[変性EVOH]:株式会社東洋精機製作所製単軸押出機「ラボME型CO−NXT」、スクリュー径:20mmφ、スクリュー回転数:18rpm、シリンダー設定温度:220℃
ダイスサイズ:300mm、フィルム引取り速度:4m/分、冷却ロール温度:60℃
(2)得られた多層シートの片面に、無延伸ポリプロピレン「RXC−18#60」(商品名、東セロ株式会社製;以下単にCPPと略称する)をアンカーコート接着剤(タケラックA385(商品名、株式会社武田薬品工業):タケネートA50(商品名、株式会社武田薬品工業):酢酸エチル=24:4:53(質量比))を介してラミネートした。得られたラミネートフィルムに対して、CPPをラミネートしていない側から100kGy(加速電圧200kV)の電子線を照射し、EVOH−2を架橋させた。この多層フィルムの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)を測定したところ、0.50cc・20μm/m・day・atmであった。また、このとき、水とフェノールの質量比(水/フェノール)が15/85である混合溶媒を用いて、60℃、12時間加熱溶解試験を行った際の該フィルムの不溶解分の含量、即ち、ゲル分率は90.2%であった。
該フィルムを使用して、多層フィルムの打ち抜き加工したブランク板を用いて、背貼り部を215℃、3秒、3kgf/cmの熱融着条件で、円筒体の絞出チューブを成形した。絞出チューブの内容物として蒸留水30mlを入れヒートシールした。この蒸留水を封入した絞出チューブを120℃、90分間の条件でレトルト滅菌処理した結果、絞出チューブの外観に白化やデラミネーションは見られず、良好であった。該レトルト滅菌処理後の絞出チューブの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)を測定した結果、0.51cc・20μm/m・day・atmであった。上記(1)及び(2)で得られた結果を表1にまとめて示す。
実施例2
(1)合成例3で得られたEVOH−3を使用した以外は実施例1(1)と同様にして、PA/EVOH−3/PAの2種3層多層フィルムを共押出成形により製造した。得られた多層フィルムの厚み構成は20/15/20μmであった。
(2)実施例1(2)と同様にして、上記(1)で得られた多層フィルムにCPPをラミネートした後、電子線を照射してEVOH−3を架橋させ、蒸留水30mlを封入した絞出チューブを得た。なお、絞出チューブを得る前の電子線照射後の多層フィルムの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)は、0.40cc・20μm/m・day・atmであった。また、ゲル分率は70.8%であった。該絞出チューブを120℃、90分間の条件でレトルト滅菌処理した結果、絞出チューブの外観に白化やデラミネーションは見られず、良好であった。該レトルト滅菌処理後の絞出チューブの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)を測定した結果、0.40cc・20μm/m・day・atmであった。上記(1)及び(2)で得られた結果を表1にまとめて示す。
実施例3
(1)合成例4で得られたEVOH−4を使用した以外は実施例1(1)と同様にして、PA/EVOH−4/PAの2種3層多層フィルムを共押出成形により製造した。得られた多層フィルムの厚み構成は20/15/20μmであった。
(2)実施例1(2)と同様にして、上記(1)で得られた多層フィルムにCPPをラミネートした後、電子線を照射してEVOH−4を架橋させ、蒸留水30mlを封入した絞出チューブを得た。絞出チューブを得る前の電子線照射後の多層フィルムの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)は、0.65cc・20μm/m・day・atmであった。また、ゲル分率は89.4%であった。該絞出チューブを120℃、90分間の条件でレトルト滅菌処理した結果、絞出チューブの外観に白化やデラミネーションは見られず、良好であった。該レトルト滅菌処理後の絞出チューブの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)を測定した結果、0.64cc・20μm/m・day・atmであった。上記(1)及び(2)で得られた結果を表1にまとめて示す。
実施例4
(1)合成例5で得られたEVOH−5を使用した以外は実施例1(1)と同様にして、PA/EVOH−5/PAの2種3層多層フィルムを共押出成形により製造した。得られた多層フィルムの厚み構成は20/15/20μmであった。
(2)実施例1(2)と同様にして、上記(1)で得られた多層フィルムにCPPをラミネートした後、電子線を照射してEVOH−5を架橋させ、蒸留水30mlを封入した絞出チューブを得た。絞出チューブを得る前の電子線照射後の多層フィルムの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)は、0.55cc・20μm/m・day・atmであった。また、ゲル分率は68.1%であった。該絞出チューブを120℃、90分間の条件でレトルト滅菌処理した結果、絞出チューブの外観に白化やデラミネーションは見られず、良好であった。該レトルト滅菌処理後の絞出チューブの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)を測定した結果、0.56cc・20μm/m・day・atmであった。上記(1)及び(2)で得られた結果を表1にまとめて示す。
実施例5
(1)実施例1(1)と同様にして、PA/EVOH−2/PAの2種3層多層フィルムを共押出成形により製造した。得られた多層フィルムの厚み構成は20/15/20μmであった。
(2)電子線照射量を10kGy(加速電圧200kV)とした以外は実施例1(2)と同様にして、蒸留水30mlを封入した絞出チューブを得た。絞出チューブを得る前の電子線照射後の多層フィルムの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)は、0.39cc・20μm/m・day・atmであった。また、ゲル分率は20.2%であった。該絞出チューブを120℃、90分間の条件でレトルト滅菌処理した結果、絞出チューブの外観に白化やデラミネーションは見られず、良好であった。該レトルト滅菌処理後の絞出チューブの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)を測定した結果、0.38cc・20μm/m・day・atmであった。上記(1)及び(2)で得られた結果を表1にまとめて示す。
比較例1
(1)変性EVOH(EVOH−2)の代わりにエチレン含有量27モル%、MFR4.0g/10分(融点191℃のため210℃での測定値)、ケン化度99モル%以上の「エバール」L171B(商品名、株式会社クラレ製)を用いた以外は実施例1(1)と同様にして、PA/「エバール」L171B/PAの2種3層多層フィルムを共押出成形により製造した。得られた多層フィルムの厚み構成は20/15/20μmであった。
(2)実施例1(2)と同様にして、上記(1)で得られた多層フィルムにCPPをラミネートした後、電子線を照射せずに、蒸留水30mlを封入した絞出チューブを得た。絞出チューブを得る前の電子線未照射の多層フィルムの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)は、0.22cc・20μm/m・day・atmであった。また、ゲル分率は0%であった。該絞出チューブを120℃、90分間の条件でレトルト滅菌処理した結果、チューブ外観は白化し、デラミネーションが激しく発生した。該レトルト滅菌処理後の絞出チューブの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)はチューブの破壊が激しく測定できなかった。上記(1)及び(2)で得られた結果を表1にまとめて示す。
比較例2
(1)変性EVOH(EVOH−2)の代わりに変性EVOH(EVOH−3)を用いた以外は実施例1(1)と同様にして、PA/EVOH−3/PAの2種3層多層フィルムを共押出成形により製造した。得られた多層フィルムの厚み構成は20/15/20μmであった。
(2)実施例1(2)と同様にして、上記(1)で得られた多層フィルムにCPPをラミネートした後、電子線を照射せず、すなわちEVOH−3を架橋処理せずに、蒸留水30mlを封入した絞出チューブを得た。絞出チューブを得る前の電子線未照射の多層フィルムの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)は、0.50cc・20μm/m・day・atmであった。また、ゲル分率は1.7%であった。該絞出チューブを120℃、90分間の条件でレトルト滅菌処理した結果、チューブ外観は白化し、デラミネーションが激しく発生した。該レトルト滅菌処理後の絞出チューブの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)はチューブの破壊が激しく測定できなかった。上記(1)及び(2)で得られた結果を表1にまとめて示す。
比較例3
(1)変性EVOH(EVOH−2)の代わりに変性EVOH(EVOH−5)を用いた以外は実施例1(1)と同様にして、PA/EVOH−5/PAの2種3層多層フィルムを共押出成形により製造した。得られた多層フィルムの厚み構成は20/15/20μmであった。
(2)実施例1(2)と同様にして、上記(1)で得られた多層フィルムにCPPをラミネートした後、電子線を照射せず、すなわちEVOH−5を架橋処理せずに、蒸留水30mlを封入した絞出チューブを得た。絞出チューブを得る前の電子線未照射の多層フィルムの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)は、0.71cc・20μm/m・day・atmであった。また、ゲル分率は1.5%であった。該絞出チューブを120℃、90分間の条件でレトルト滅菌処理した結果、チューブ外観は白化し、デラミネーションが激しく発生した。該レトルト滅菌処理後の絞出チューブの20℃、65%RH下での酸素透過量(OTR)はチューブの破壊が激しく測定できなかった。上記(1)及び(2)で得られた結果を表1にまとめて示す。
実施例6
合成例3で得られた変性EVOH(EVOH−3)を使用し、射出成形機(東洋精機社製)に導入し、シリンダー温度200/210/210/200℃、金型温度40℃で4mm×10mm×80mm(厚さ×幅×長さ)の試験片を得た。得られた試験片に30kGy(加速電圧200kV)の電子線を照射し、架橋させた。このとき、ゲル分率は34.1%であった。電子線により架橋後の上記試験片にノギスでノッチ(ISO2818に基づく)を入れ、〔4〕に基づき耐屈曲性を評価した。測定の結果、曲げ弾性率は3340MPa、曲げ強さは97MPaであり、従来のEVOHより柔軟性が向上していることを確認した。得られた結果を表2にまとめて示す。
実施例7
合成例5で得られたEVOH−5を使用した以外は実施例6と同様にして、4mm×10mm×80mm(厚さ×幅×長さ)の架橋させた試験片を得た。得られた試験片に30kGy(加速電圧200kV)の電子線を照射し、架橋させた。このとき、ゲル分率は32.3%であった。実施例6と同様に耐屈曲性を測定した結果、曲げ弾性率は3270MPa、曲げ強さは95MPaであり、従来のEVOHより耐曲性が向上していることを確認した。得られた結果を表2にまとめて示す。
比較例4
変性EVOH(EVOH−3)の代わりに「エバール」L171B(商品名、株式会社クラレ製)を用い、電子線を照射しなかったこと以外は実施例6と同様にして4mm×10mm×80mm(厚さ×幅×長さ)の試験片を得た。このとき、ゲル分率は0%であった。実施例6と同様に耐屈曲性を測定した結果、曲げ弾性率は4080MPa、曲げ強さは119MPaであった。得られた結果を表2にまとめて示す。
比較例5
変性EVOH(EVOH−3)の代わりにエチレン含有量32モル%、MFR1.6g/10分、ケン化度99モル%以上の「エバール」F101B(商品名、株式会社クラレ製)を用い、電子線を照射しなかったこと以外は実施例6と同様にして4mm×10mm×80mm(厚さ×幅×長さ)の試験片を得た。このとき、ゲル分率は0%であった。実施例6と同様に耐屈曲性を測定した結果、曲げ弾性率は4080MPa、曲げ強さは120MPaであった。得られた結果を表2にまとめて示す。
Figure 0005461995
Figure 0005461995

Claims (11)

  1. 変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)からなる層、及び変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)以外の樹脂(F)からなる層を有する多層構造体である絞出チューブであって、変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)は、未変性のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)を、二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して得られたものであり、二重結合を有するエポキシ化合物(B)による変性量がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)のモノマー単位に対して0.1〜10モル%であり、変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)の少なくとも一部が架橋されていて、かつ、そのゲル分率が10質量%以上であることを特徴とする絞出チューブ。
  2. 変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)及び未変性のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(D)を含有する樹脂組成物からなる層、及び変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)以外の樹脂(F)からなる層を有する多層構造体である絞出チューブであって、変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)は、未変性のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)を、二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して得られたものであり、二重結合を有するエポキシ化合物(B)による変性量がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)のモノマー単位に対して0.1〜10モル%であり、該樹脂組成物の少なくとも一部が架橋されていて、かつ、そのゲル分率が10質量%以上であることを特徴とする絞出チューブ。
  3. 未変性のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)のエチレン含有量が5〜55モル%であり、かつ、ケン化度が90モル%以上である請求項1又は2に記載の絞出チューブ。
  4. 二重結合を有するエポキシ化合物(B)が分子量500以下の一価エポキシ化合物である請求項1〜3のいずれか記載の絞出チューブ。
  5. 二重結合を有するエポキシ化合物(B)がアリルグリシジルエーテルである請求項4記載の絞出チューブ。
  6. レトルト滅菌処理用絞出チューブである請求項1〜5のいずれか記載の絞出チューブ。
  7. 請求項1〜6のいずれか記載の絞出チューブに内容物が充填されてなる包装体であって、該内容物が充填される前あるいは後に加熱滅菌処理されてなることを特徴とする包装体。
  8. 加熱滅菌処理が、レトルト滅菌処理又はオートクレーブ滅菌処理である請求項7記載の包装体。
  9. 変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)からなる層、及び変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)以外の樹脂(F)からなる層を有する多層構造体である絞出チューブの製造方法であって、未変性のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)を、二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して、変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)を製造し、変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)と樹脂(F)を用いて多層チューブを成形し、変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)の少なくとも一部を架橋させて、かつ、そのゲル分率を10質量%以上にすることを特徴とする絞出チューブの製造方法。
  10. 変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)及び未変性のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(D)を含有する樹脂組成物からなる層、及び変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)以外の樹脂(F)からなる層を有する多層構造体である絞出チューブの製造方法であって、未変性のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)を、二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して、変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)を製造し、変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)及び未変性のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(D)を混合して樹脂組成物を製造し、該樹脂組成物と樹脂(F)を用いて多層チューブを成形し、該樹脂組成物の少なくとも一部を架橋させて、かつ、そのゲル分率を10質量%以上にすることを特徴とする絞出チューブの製造方法。
  11. 電子線、X線、γ線、紫外線及び可視光線からなる群から選択される少なくとも1種を照射するか、加熱することにより変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)の少なくとも一部を架橋させる請求項9又は10記載の絞出チューブの製造方法。
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