JP2003012940A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP2003012940A JP2001202118A JP2001202118A JP2003012940A JP 2003012940 A JP2003012940 A JP 2003012940A JP 2001202118 A JP2001202118 A JP 2001202118A JP 2001202118 A JP2001202118 A JP 2001202118A JP 2003012940 A JP2003012940 A JP 2003012940A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリア性、防湿性、保香性、保味性、フ
レーバーバリア性に優れ、かつ持続的な酸素掃去機能を
有し、酸素に対し感受性が高く劣化し易い製品、特に食
品、飲料、医薬品、化粧品等の包装容器等に好適に用い
られる樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 酸素透過速度が500ml・20μm/
・day・atm(20℃、65%RH)以下のガ
スバリア性樹脂(A)、炭素−炭素二重結合を有する熱
可塑性樹脂(B)、遷移金属塩(C)および乾燥剤
(D)を含有する樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリア性、防
湿性、保香性、保味性、フレーバーバリア性に優れ、か
つ持続的な酸素掃去機能を有し、酸素に対し感受性が高
く劣化し易い製品の包装容器等に好適に用いられる樹脂
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスバリア性樹脂、例えば、エチレン−
ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと略すことが
ある)、ポリアミド、ポリアクリロニトリル等の樹脂
は、溶融成形が可能で、酸素または炭酸ガスバリア性に
優れており、ポリオレフィン系樹脂に代表される耐湿
性、機械的特性等に優れた熱可塑性樹脂の層と積層し
て、バッグ、ボトル、カップ、パウチ等の形態で食品、
飲料、医薬品、化粧品、トイレタリー等の種々の分野で
広く使用されている。
【0003】前記の包装材料は、酸素、炭酸ガス等のバ
リア性に優れるものの、缶詰等に使用される金属素材
や、瓶詰め等に使用されるガラスのように、酸素等のガ
スの透過性はゼロに限りなく近いというわけではなく、
無視し得ない量のガスを透過する。特に、食品等の包装
材料においては、長期間保存した場合の内容物の酸化に
よる品質の低下が懸念されるため、酸素バリア性の改良
が強く望まれている。
【0004】一方、内容物を包装する時や充填する時
に、内容物とともに酸素が包装容器内に混入することが
ある。内容物が酸化されやすいものである場合、この微
量の酸素によっても、内容物の品質が低下するおそれが
あり、これを防ぐために、包装材料に酸素掃去機能を付
与することが提案されている。この場合、容器外部から
内部に侵入しようとする酸素も掃去されるので、包装材
料のガスバリア性も向上するという利点がある。
【0005】例えば、包装材料を構成するガスバリア性
樹脂に酸素掃去機能を付与する方法としては、EVO
Hに遷移金属等の酸化触媒を加えることにより、EVO
Hを酸化され易い状態にして酸素掃去機能を付与する方
法(特開平4−211444号公報);ポリオレフィ
ンと酸化触媒からなる樹脂組成物、すなわち酸化され易
い状態のポリオレフィンをEVOH中に分散させて、E
VOHに酸素掃去機能を付与する方法(特開平5−15
6095号公報);EVOH、ポリオレフィンおよび
酸化触媒を配合し、EVOHおよびポリオレフィンを酸
化され易い状態にして酸素掃去機能を付与する方法(特
開平5−170980号公報);ガスバリア性樹脂、
炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂および遷移金
属塩を配合し、熱可塑性樹脂の炭素−炭素二重結合を酸
素と反応し易い状態にして、ガスバリア性樹脂に酸素掃
去機能を付与する方法(特開2001−106920号
公報)等が知られている。
【0006】しかしながら、ガスバリア性樹脂自身のガ
スバリア性は、湿度が高くなると急激に低下するため、
通常の保存においては、絶乾状態の保存に比較して単位
時間あたりに掃去される酸素の量が増加し、前記の樹脂
組成物の酸素掃去機能の持続時間が短くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ガス
バリア性、防湿性、保香性、保味性、フレーバーバリア
性に優れ、かつ持続的な酸素掃去機能を有し、酸素に対
し感受性が高く劣化し易い製品、特に食品、飲料、医薬
品、化粧品等の包装容器等に好適に用いられる樹脂組成
物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、酸素透過速
度が500ml・20μm/m・day・atm(2
0℃、65%RH)以下のガスバリア性樹脂(A)、炭
素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(B)、遷移金
属塩(C)および乾燥剤(D)を含有することを特徴と
する樹脂組成物を提供することにより達成される。この
場合、樹脂組成物の酸素吸収速度が0.01ml/m
・day以上であることが好ましい。
【0009】また、前記遷移金属塩(C)が鉄塩、ニッ
ケル塩、銅塩、マンガン塩、コバルト塩からなる群から
選択される少なくとも1種であることが好ましい。さら
に、前記遷移金属塩(C)が、金属元素換算で1〜50
00ppm含有されることが好ましい。
【0010】上記目的は、酸素透過速度が500ml・
20μm/m・day・atm(20℃、65%R
H)以下のガスバリア性樹脂(A)、炭素−炭素二重結
合を有する熱可塑性樹脂(B)および乾燥剤(D)を含
有し、かつ酸素吸収速度が0.01ml/m・day
以上であることを特徴とする樹脂組成物を提供すること
によっても達成される。
【0011】上記のいずれの実施態様においても、前記
熱可塑性樹脂(B)が、炭素−炭素二重結合を0.00
01eq/g以上含有する熱可塑性樹脂であることが好
ましい。また、前記熱可塑性樹脂(B)が、構造式
(I)
【0012】
【化2】
【0013】[式中、Rは水素原子または炭素原子数
1〜5のアルキル基、Rは水素原子、炭素原子数1〜
10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、
アリールアルキル基またはアルコキシ基であり、R
よびRは各々水素原子、炭素原子数1〜10のアルキ
ル基、置換されていてもよいアリール基、−COO
、−OCOR、シアノ基、またはハロゲン原子で
あり、RおよびRは各々独立して炭素原子数1〜1
0のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、ア
リールアルキル基またはアルコキシ基である]で示され
る構造単位を含有し、かつ数平均分子量が1000〜5
00000の熱可塑性樹脂であることが好ましい。さら
に、前記熱可塑性樹脂(B)が芳香族ビニル化合物とジ
エン化合物との共重合体であることが好ましい。
【0014】前記ガスバリア性樹脂(A)は、ポリビニ
ルアルコール系樹脂、ポリアミドおよびポリアクリロニ
トリルからなる群から選択される少なくとも1種である
こと、とりわけ、エチレン含有量5〜60モル%、ケン
化度90%以上のEVOHであることが好ましい。
【0015】好適な実施態様においては、本発明の樹脂
組成物は、前記ガスバリア性樹脂(A)を40〜98.
9重量%、前記熱可塑性樹脂(B)を30〜0.1重量
%、そして前記乾燥剤(D)を30〜1重量%の割合で
含有し、前記熱可塑性樹脂(B)からなる粒子が前記ガ
スバリア性樹脂(A)のマトリックス中に分散してい
る。
【0016】また、本発明は上記の樹脂組成物からなる
成形物、樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含有す
る多層構造体、樹脂組成物からなる層を少なくとも1層
含有する多層容器を包含する。該多層容器は、全層厚み
が300μm以下であること、または押出しブロー成形
法により製造されることが好ましい。
【0017】本発明はまた、上記の樹脂組成物からなる
ガスケットを装着してなるキャップをも包含する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本明細書において、酸素を“掃去する”とは、与え
られた環境から酸素を吸収・消費し、またはその量を減
少させることを言う。
【0019】本発明の樹脂組成物に含有されるガスバリ
ア性樹脂(A)の種類は特に限定されず、良好なガスバ
リア性を有する樹脂であればいずれも使用することがで
きる。具体的には、酸素透過速度が500ml・20μ
m/m・day・atm(20℃、65%RH)以下
である樹脂が用いられる。これは、20℃、相対湿度6
5%の環境下で測定したときに、1気圧の酸素の差圧が
ある状態で、面積1m 、20μm厚のフィルムを1日
に透過する酸素の体積が、500ml以下であることを
意味する。酸素透過速度が500ml・20μm/m
・day・atmを超えると、得られる樹脂組成物のガ
スバリア性が不十分となる。ガスバリア性樹脂(A)の
酸素透過速度は、好適には100ml・20μm/m
・day・atm以下であり、より好適には20ml・
20μm/m・day・atm以下であり、さらに好
適には5ml・20μm/m・day・atm以下で
ある。
【0020】上記のようなガスバリア性樹脂(A)の例
としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド、
ポリアクリロニトリル等が代表的な樹脂として例示され
るが、これらの樹脂に限定されない。
【0021】ポリビニルアルコール系樹脂は、ビニルエ
ステルの単独重合体、またはビニルエステルと他の単量
体との共重合体(特にビニルエステルとエチレンとの共
重合体)を、アルカリ触媒等を用いてケン化して得られ
る。ビニルエステルとしては、酢酸ビニルが代表的な化
合物として挙げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステ
ル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)も使用
できる。
【0022】上記ポリビニルアルコール系樹脂のビニル
エステル成分のケン化度は、好適には90%以上であ
り、より好適には95%以上であり、さらに好適には9
7%以上である。ケン化度が90モル%未満では、高湿
度下でのガスバリア性が低下したり、熱安定性が不十分
となったりする虞がある。
【0023】ポリビニルアルコール系樹脂がケン化度の
異なる2種類以上のポリビニルアルコール系樹脂の混合
物からなる場合には、混合重量比から算出される平均値
をケン化度とする。かかるポリビニルアルコール系樹脂
のケン化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めるこ
とができる。
【0024】上記のようなポリビニルアルコール系樹脂
の中でも、溶融成形が可能で、高湿度下でのガスバリア
性が良好な点から、EVOHが好適である。
【0025】EVOHのエチレン含有量は5〜60モル
%であるのが好ましい。エチレン含有量が5モル%未満
では、高湿度下でのガスバリア性が低下し溶融成形性も
悪化することがある。EVOHのエチレン含有量は、好
適には10モル%以上であり、より好適には15モル%
以上、最適には20モル%以上である。一方、エチレン
含有量が60モル%を超えると十分なガスバリア性が得
られないことがある。エチレン含有量は、好適には55
モル%以下であり、より好適には50モル%以下であ
る。EVOHのエチレン含有量は、核磁気共鳴(NM
R)法により求めることができる。
【0026】EVOHがエチレン含有量の異なる2種類
以上のEVOHの混合物からなる場合には、混合重量比
から算出される平均値をエチレン含有量とする。この場
合、それぞれのEVOHのエチレン含有量の差が15モ
ル%以下であり、かつケン化度の差が10%以下である
ことが好ましい。これらの条件から外れる場合には、樹
脂組成物層の透明性が損なわれる場合がある。エチレン
含有量の差はより好適には10モル%以下であり、さら
に好適には5モル%以下である。また、ケン化度の差は
より好適には7%以下であり、さらに好適には5%以下
である。
【0027】またEVOHには、本発明の目的が阻害さ
れない範囲で、他の単量体を共重合成分として少量含有
することもできる。このような単量体の例としては、プ
ロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−
ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフ
ィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マ
レイン酸等の不飽和カルボン酸、その塩、その部分また
は完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水
物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、
γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等の
ビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその
塩;アルキルチオール類;ビニルピロリドン類等が挙げ
られる。
【0028】中でも、EVOHに共重合成分としてビニ
ルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する
場合は、共押出成形または共射出成形する際の基材樹脂
との溶融粘性の整合性が改善され、均質な成形物の製造
が可能である。ビニルシラン系化合物としては、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適
に用いられる。
【0029】さらに、EVOHにホウ素化合物が添加さ
れている場合にも、EVOHの溶融粘性が改善され、均
質な共押出または共射出成形物が得られる点で有効であ
る。ここでホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エ
ステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具
体的には、ホウ酸類としては、オルトホウ酸(以下、ホ
ウ酸と略記することがある)、メタホウ酸、四ホウ酸等
が挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチ
ル、ホウ酸トリメチル等が挙げられ、ホウ酸塩としては
上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金
属塩、ホウ砂等が挙げられる。これらの化合物うちでも
オルトホウ酸が好ましい。
【0030】ホウ素化合物が添加される場合に、その含
有量は好適にはホウ素元素換算で20〜2000pp
m、より好適には50〜1000ppmである。この範
囲にあることで加熱溶融時のトルク変動が抑制されたE
VOHを得ることができる。20ppm未満ではホウ素
化合物の添加効果が不十分となる場合がある。一方、2
000ppmを超えるとゲル化しやすく、成形性不良と
なる場合がある。
【0031】EVOHに、アルカリ金属塩を好適にはア
ルカリ金属元素換算で5〜5000ppm添加しておく
ことも層間接着性や相容性の改善のために効果的であ
る。アルカリ金属塩の添加量は、より好適にはアルカリ
金属元素換算で20〜1000ppm、さらに好適には
30〜500ppmである。アルカリ金属としては、リ
チウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ
金属塩としては、一価金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香
族カルボン酸塩、リン酸塩、金属錯体等が挙げられる。
例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリ
ウム、リン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステ
アリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウ
ム塩等が挙げられ、これらの中でも酢酸ナトリウム、酢
酸カリウム、リン酸ナトリウムが好適である。
【0032】EVOHに対し、リン酸化合物を好適には
リン酸根換算で20〜500ppm、より好適には30
〜300ppm、最適には50〜200ppmの割合で
添加することも好ましい。上記範囲でリン酸化合物を配
合することにより、EVOHの熱安定性を改善すること
ができる。特に、長時間にわたる溶融成形を行なう際の
ゲル状ブツの発生や着色を抑制することができる。
【0033】EVOHに添加するリン化合物の種類は特
に限定されず、リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩
等を用いることができる。リン酸塩としては第1リン酸
塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形で含まれ
ていてもよい。リン酸塩のカチオン種も特に限定されな
いが、カチオン種がアルカリ金属、アルカリ土類金属で
あることが好ましい。中でも、リン酸二水素ナトリウ
ム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、
リン酸水素二カリウムの形でリン化合物を添加すること
が好ましい。
【0034】上記のような、ホウ素化合物、アルカリ金
属塩、リン化合物等が添加されたEVOHは、公知の方
法で製造することができる。
【0035】EVOHの好適なメルトフローレート(M
FR)(210℃、2160g荷重下、JIS K72
10に基づく)は0.1〜100g/10分、より好適
には0.5〜50g/10分、さらに好適には1〜30
g/10分である。
【0036】ポリアミドの種類は特に限定されず、例え
ば、ポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリウンデカ
ンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム
(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンアジパミド
(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド
(ナイロン−6,12)等の脂肪族ポリアミド単独重合
体;カプロラクタム/ラウロラクタム共重合体(ナイロ
ン−6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸
共重合体(ナイロン−6/11)、カプロラクタム/ω
−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプ
ロラクタム/ヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイ
ロン−6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレン
アジパミド/ヘキサメチレンセバカミド共重合体(ナイ
ロン−6/6,6/6,12)等の脂肪族ポリアミド共
重合体;ポリメタキシリレンアジパミド(MX−ナイロ
ン)、ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレン
イソフタラミド共重合体(ナイロン−6T/6I)等の
芳香族ポリアミドが挙げられる。これらのポリアミド樹
脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上
を混合して用いることもできる。これらの中でも、ポリ
カプロアミド(ナイロン−6)、ポリヘキサメチレンア
ジパミド(ナイロン−6,6)が好適である。
【0037】ポリアクリロニトリルとしては、アクリロ
ニトリルの単独重合体のほか、アクリル酸エステル等と
の共重合体が挙げられる。
【0038】本発明においては、本発明の目的を阻害し
ない範囲で、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着
色剤、フィラー、可塑剤、充填剤、他の樹脂(ポリオレ
フィン等)をあらかじめガスバリア性樹脂(A)にブレ
ンドすることもできる。
【0039】本発明の樹脂組成物に含有される熱可塑性
樹脂(B)は、炭素−炭素二重結合を有するため、酸素
と効率よく反応させることが可能であり、これにより酸
素掃去機能が得られる。なお、本発明において、炭素−
炭素二重結合とは共役二重結合を包含するが、芳香環に
含まれる多重結合は包含しない。
【0040】炭素−炭素二重結合は、好適には熱可塑性
樹脂(B)に0.0001eq/g以上、より好適には
0.0005eq/g以上、さらに好適には0.001
eq/g以上、最適には0.002eq/g以上含有さ
れる。炭素−炭素二重結合の含有量が0.0001eq
/g未満である場合、得られる樹脂組成物の酸素掃去機
能が不十分となる場合がある。
【0041】炭素−炭素二重結合は、熱可塑性樹脂
(B)の主鎖に含まれてもよく、側鎖に含まれてもよい
が、側鎖に含まれる二重結合の量が多い方が(すなわ
ち、炭素−炭素二重結合を有している基が側鎖に多い方
が)、酸素との反応の効率の観点から好ましい。また、
側鎖に含まれる炭素−炭素二重結合として、下記構造式
(I)
【0042】
【化3】
【0043】[式中、Rは水素原子または炭素原子数
1〜5のアルキル基、Rは水素原子、炭素原子数1〜
10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、
アリールアルキル基またはアルコキシ基であり、R
よびRは各々水素原子、炭素原子数1〜10のアルキ
ル基、置換されていてもよいアリール基、−COO
、−OCOR、シアノ基、またはハロゲン原子で
あり、RおよびRは各々独立して炭素原子数1〜1
0のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、ア
リールアルキル基またはアルコキシ基である]で示され
る構造単位を含有することが好ましい。アリ−ル基の炭
素原子数は、好ましくは6〜10であり、アルキルアリ
−ル基およびアリールアルキル基の炭素原子数は好まし
くは7〜11であり、アルコキシ基の炭素原子数は好ま
しくは1〜10である。アルキル基の例としてはメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基が、アリール基の
例としてはフェニル基が、アルキルアリール基の例とし
てはトリル基が、アリールアルキル基の例としてはベン
ジル基が、アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エト
キシ基が、ハロゲン原子の例としては塩素原子が、それ
ぞれ挙げられる。
【0044】構造式(I)で示される構造単位の中で
も、ジエン化合物由来の構造単位は製造が容易であるの
で好ましい。ジエン化合物としては、イソプレン、ブタ
ジエン、2−エチルブタジエン、2−ブチルブタジエン
等が挙げられる。これらの1種のみを使用してもよい
し、2種以上を併用してもよい。ジエン化合物と構造式
(I)で示される構造単位との関連を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】さらにこれらの中でも、酸素との反応の効
率の観点から、Rが炭素数1〜5のアルキル基である
ものが好ましく、Rがメチル基であるもの(すなわ
ち、イソプレン由来の構造単位)がより好ましい。イソ
プレンは入手が容易であり、他の単量体との共重合も可
能であるので、熱可塑性樹脂(B)の製造コストの点か
らも好適である。
【0047】構造式(I)で示される構造単位がジエン
化合物由来である場合、ジエン化合物由来の全構造単位
に対する、構造式(I)で示される構造単位の割合は、
10%以上であることが好ましく、20%以上がより好
ましく、30%以上がさらにより好ましい。前記割合を
10%以上にするためには、不活性な有機溶媒中で、ル
イス塩基を共触媒として用いてジエン化合物をアニオン
重合する、公知の方法が採用される。
【0048】熱可塑性樹脂(B)の数平均分子量は、好
適には1000〜500000であり、より好適には1
0000〜250000であり、さらに好適には400
00〜200000の範囲である。熱可塑性樹脂(B)
の数平均分子量が1000未満の場合には、ガスバリア
性樹脂(A)への分散性が低下し、透明性、ガスバリア
性および酸素掃去機能が低下する場合がある。分子量が
500000を超える場合、同様の問題に加えて樹脂組
成物の加工性も悪くなる場合がある。
【0049】本発明の樹脂組成物に含有される熱可塑性
樹脂(B)は、芳香族ビニル化合物とジエン化合物の共
重合体であることが好ましい。熱可塑性樹脂(B)が該
共重合体である場合、ジエン化合物に由来する炭素−炭
素二重結合と酸素とが反応し易くなり、酸素バリア性お
よび酸素掃去機能が向上する。さらに、芳香族ビニル化
合物とジエン化合物の共重合比率を調節することによ
り、熱可塑性樹脂(B)の硬度、成形性および加工性を
制御することができる。加えて、熱可塑性樹脂(B)の
屈折率を所望の値にすることができる。従って、ガスバ
リア性樹脂(A)の屈折率と熱可塑性樹脂(B)の屈折
率との差を小さくすることができ、その結果、透明性に
優れた製品が得られる。
【0050】芳香族ビニル化合物としては、スチレン、
1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−ビ
ニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルス
チレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルス
チレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フ
ェニルブチル)スチレン等が挙げられる。これらの中で
も、コストおよび重合の容易さの観点からスチレンが最
も好ましい。一方、ジエン化合物としては、前述のよう
なものが例として挙げられる。
【0051】芳香族ビニル化合物とジエン化合物の共重
合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重
合体、グラフト共重合体、またはそれらの複合物等いず
れの形態であってもよいが、製造の容易さ、得られる熱
可塑性樹脂(B)の機械的特性、取り扱いの容易さ、お
よび酸素掃去機能の観点から、ブロック共重合体である
ことが好ましい。
【0052】上記ブロック共重合体において、芳香族ビ
ニル化合物ブロックの数平均分子量は、好適には300
〜100000であり、より好適には1000〜500
00であり、さらに好適には3000〜50000であ
る。芳香族ビニル化合物ブロックの分子量が300未満
の場合は、熱可塑性樹脂(B)の溶融粘度が低くなり、
得られる樹脂組成物の成形性、加工性およびハンドリン
グ性に問題が生じる場合がある。さらに、成形物とした
場合の機械的特性が低下する場合がある。加えて、熱可
塑性樹脂(B)のガスバリア性樹脂(A)への分散性が
低下し、透明性、ガスバリア性および酸素掃去機能が低
下する場合がある。一方、芳香族ビニル化合物ブロック
の分子量が100000を越える場合には、熱可塑性樹
脂(B)の溶融粘度が高くなって熱可塑性が損なわれる
ので、得られる樹脂組成物の成形性および加工性が低下
する場合がある。また、上記と同様に熱可塑性樹脂
(B)のガスバリア性樹脂(A)への分散性が低下し、
透明性、ガスバリア性および酸素掃去機能が低下する場
合がある。
【0053】ブロック共重合体のブロック形態として
は、例えばH(SH)、(HS)等が挙げられる。
ここで、Hは芳香族ビニル化合物ブロック、Sはジエン
化合物ブロックを示し、nは1以上の整数である。これ
らの中でも、2元ブロック共重合体および3元ブロック
共重合体が好ましく、機械的特性の観点から3元ブロッ
ク共重合体がより好ましい。中でも、芳香族ビニル化合
物ブロックがポリスチレンブロックであり、ジエン化合
物ブロックがポリイソプレンブロックであることがコス
トおよび重合の容易さの観点から好適である。
【0054】上記ブロック共重合体の製造方法は特に限
定されないが、アニオン重合法が好適である。具体的に
は、アルキルリチウム化合物を開始剤として芳香族ビニ
ル化合物とジエン化合物とを共重合し、カップリング剤
によってカップリングする方法、ジリチウム系化合物を
開始剤として、ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを
逐次重合する方法等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。アルキルリチウム化合物としては、ア
ルキル基の炭素原子数が1〜10のアルキルリチウム化
合物、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、ベン
ジルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリ
チウム、tert−ブチルリチウム等が好ましい。
【0055】カップリング剤としてはジクロロメタン、
ジブロモメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン等が
用いられる。ジリチウム化合物としては、例えば、ナフ
タレンジリチウム、オリゴスチリルジリチウム、ジリチ
オヘキシルベンゼン等が挙げられる。使用量は、重合に
用いられる全モノマー100重量部に対し、開始剤0.
01〜0.2重量部、カップリング剤0.04〜0.8
重量部が適当である。
【0056】共重合体に構造式(I)で示される構造単
位を導入するためには、ジエン化合物の重合の際に、共
触媒としてルイス塩基を使用することが好ましい。ルイ
ス塩基としては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエ
ーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン等
のエーテル類、エチレングリコールジエチルエーテル、
エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエ
ーテル類、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレン
ジアミン(TMEDA)、トリエチレンジアミン等の第
三級アミン類、N−メチルモルホリン、N−エチルモル
ホリン等のエーテル含有アミン類等が挙げられる。これ
らのルイス塩基は、通常開始剤100重量部あたり0.
1〜400重量部使用される。
【0057】溶媒としては上記の開始剤、カップリング
剤およびルイス塩基に対して不活性な有機溶媒が使用さ
れる。これらの中でも、炭素原子数が6〜12の飽和炭
化水素、環状飽和炭化水素、芳香族炭化水素が好まし
い。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、
シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレン等が挙
げられる。重合は通常−20〜80℃の温度範囲で、1
〜50時間行われる。
【0058】ブロック共重合体は、重合反応液をメタノ
ール等の貧溶媒中に滴下し、再沈させた後、加熱または
減圧乾燥するか、重合反応液を沸騰水中に滴下し、溶媒
を共沸・除去した後、加熱または減圧乾燥して得られ
る。なお、重合後に存在する二重結合は、本発明の樹脂
組成物の効果を阻害しない範囲で、その一部が水素によ
り還元されていても構わない。
【0059】こうして得られたブロック共重合体の、ジ
エン化合物ブロックにおけるtanδの主分散ピーク温
度は、得られる樹脂組成物の酸素掃去機能の観点から、
−40℃〜60℃であることが好ましく、−20℃〜4
0℃がより好ましく、−10℃〜30℃がさらにより好
ましい。tanδの主分散ピーク温度が−40℃未満で
ある場合、得られる樹脂組成物の酸素掃去機能が低下す
る場合がある。一方、tanδの主分散ピーク温度が6
0℃を超える場合、得られる樹脂組成物の特に低温にお
ける酸素掃去機能が低下する場合がある。
【0060】熱可塑性樹脂(B)は、その構造上酸化を
受けやすいため、保存時の酸化を防止するために、あら
かじめ酸化防止剤を添加しておくことが好ましい。
【0061】酸化防止剤としては、例えば、2,5−ジ
−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル
−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブ
チルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−
3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6
−t−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−6
−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチ
ルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、ペン
タエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピ
オネート)、2,6−ジ−(t−ブチル)−4−メチル
フェノール(BHT)、2,2′−メチレンビス−(6
−t−ブチル−p−クレゾール)、亜リン酸トリフェニ
ル、亜リン酸トリス−(ノニルフェニル)、チオジプロ
ピオン酸ジラウリル等を挙げることができる。
【0062】酸化防止剤の添加量は、樹脂組成物中の各
成分の種類、含有量、樹脂組成物の使用目的、保存条件
等を考慮して適宜詮索される。酸化防止剤の量が多すぎ
ると、熱可塑性樹脂(B)と酸素との反応が妨げられる
ため、本発明の樹脂組成物の酸素バリア性および酸素掃
去機能が不十分となる場合がある。一方、酸化防止剤の
量が少なすぎると、熱可塑性樹脂(B)の保存時または
溶融混練時に、酸素との反応が進行し、本発明の樹脂組
成物の実使用前に酸素掃去機能が低下してしまう場合が
ある。
【0063】例えば、熱可塑性樹脂(B)を比較的低温
で、もしくは不活性ガス雰囲気下で保存する場合、また
は窒素シールした状態で溶融混練して樹脂組成物を製造
する場合等は、酸化防止剤の量は少なくてもよい。ま
た、酸化を促進するために溶融混合時に酸化触媒を添加
する場合、熱可塑性樹脂(B)がある程度の量の酸化防
止剤を含んでいても、良好な酸素掃去機能を有する樹脂
組成物を得ることができる。
【0064】通常、熱可塑性樹脂(B)に含有される酸
化防止剤の量は、0.01〜1重量%が好ましく、0.
02〜0.5重量%がより好ましい。酸化防止剤は、熱
可塑性樹脂(B)にあらかじめ添加されていてもよい
が、後述の他の添加剤と同様に本発明の樹脂組成物の各
成分を混合するときに加えてもよい。
【0065】本発明の第1の樹脂組成物に含有される遷
移金属塩(C)は、熱可塑性樹脂(B)の酸化反応を促
進することにより、樹脂組成物の酸素掃去機能を向上さ
せる効果がある。例えば、本発明の樹脂組成物から得ら
れる包装材料内部に存在する酸素および包装材料中を透
過しようとする酸素と熱可塑性樹脂(B)との反応を促
進し、包装材料の酸素バリア性および酸素掃去機能が向
上する。第1の樹脂組成物において、遷移金属塩(C)
は好適には金属元素換算で1〜5000ppm、より好
適には5〜1000ppm、さらに好適には10〜50
0ppmの範囲で含有される。遷移金属塩(C)の含有
量が1ppmに満たない場合は、その添加の効果が不十
分となる場合がある。一方、遷移金属塩(C)の含有量
が5000ppmを超えると、樹脂組成物の熱安定性が
低下し、分解ガスの発生やゲル・ブツの発生が著しくな
る場合がある。
【0066】遷移金属塩(C)に用いられる遷移金属と
しては、例えば鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバル
ト、ロジウム、チタン、クロム、バナジウム、ルテニウ
ム等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。これらの中でも、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コ
バルトが好ましく、マンガンおよびコバルトがより好ま
しく、コバルトがさらにより好ましい。
【0067】遷移金属塩(C)に用いられる金属の対イ
オンとしては、有機酸または塩化物由来のアニオンが挙
げられる。有機酸としては、酢酸、ステアリン酸、ジメ
チルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2−エチルへ
キサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレ
イン酸、樹脂酸、カプリン酸、ナフテン酸等が挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。特に好ましい
塩としては、2−エチルへキサン酸コバルト、ネオデカ
ン酸コバルトおよびステアリン酸コバルトが挙げられ
る。また、金属塩は重合体性対イオンを有する、いわゆ
るアイオノマーであってもよい。
【0068】本発明の樹脂組成物は、乾燥剤(D)を含
有することを特徴とする。これにより、樹脂組成物は湿
度の低い状態に保たれ、ガスバリア性樹脂(A)のガス
バリア性の湿度依存性の影響を最小限に抑えることがで
きる。同時に、樹脂組成物に侵入する酸素の量が極めて
少ないので、樹脂組成物の酸素掃去機能が長期間持続す
る。
【0069】本発明の樹脂組成物に含有される乾燥剤
(D)としては、特に制限はなく、例えば、リン酸二水
素一ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナ
トリウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸ナトリウム等
のリン酸塩およびその無水物、ホウ酸ナトリウム、硫酸
ナトリウム等の塩類およびその無水物等に代表される水
和物形成性の塩類、すなわち結晶水として水分を吸収す
る塩類;塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、砂糖、シリ
カゲル、ベントナイト、モレキュラーシーブ、高吸水性
樹脂等の通常の吸湿性化合物;等が挙げられる。これら
の乾燥剤は2種以上を混合して使用することもできる。
【0070】とりわけ、ガスバリア性樹脂(A)が上記
のポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド、ポリアク
リロニトリル等の湿度によってガスバリア性が顕著に影
響を受ける樹脂である場合、乾燥剤(D)の配合によ
り、樹脂組成物のガスバリア性の湿度依存性が小さくな
り、かつ熱可塑性樹脂(B)の酸素補足効果の持続期間
が特に延長され、結果として極めて高度なガスバリア性
がより長い時間持続する。
【0071】本発明の第1の樹脂組成物は、酸素透過速
度が500ml・20μm/m・day・atm(2
0℃、65%RH)以下のガスバリア性樹脂(A)、炭
素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(B)、遷移金
属塩(C)および乾燥剤(D)を含有することを特徴と
し、その酸素吸収速度が0.01ml/m・day以
上であることが好ましい。また、本発明の第2の樹脂組
成物は、酸素透過速度が500ml・20μm/m
day・atm(20℃、65%RH)以下のガスバリ
ア性樹脂(A)、炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性
樹脂(B)および乾燥剤(D)を含有し、かつ酸素吸収
速度が0.01ml/m・day以上であることを特
徴とし、遷移金属塩(C)を含有することが好ましい。
【0072】酸素吸収速度は、樹脂組成物のフィルムを
一定容量の空気中に放置した場合に、単位表面積当たり
単位時間にそのフィルムが吸収した酸素の体積である。
具体的な測定方法については、後述の実施例に示す。酸
素吸収速度は0.05ml/m・day以上であるこ
とがより好ましく、0.1ml/m・day以上がさ
らに好ましい。酸素吸収速度が0.01ml/m・d
ay未満である場合、得られる樹脂組成物からなる成形
物の酸素バリア性および酸素掃去効果が不十分となる虞
がある。
【0073】本発明の樹脂組成物においては、ガスバリ
ア性樹脂(A)が40〜98.9重量%、熱可塑性樹脂
(B)が30〜0.1重量%、そして乾燥剤(D)が3
0〜1重量%の割合で含有されることが好ましい。ガス
バリア性樹脂(A)の含有量は、60〜97.5重量%
であることがより好ましく、70〜96重量%がさらに
好ましい。ガスバリア性樹脂(A)の含有量が40重量
%未満である場合、得られる樹脂組成物からなる成形物
の加工性およびガスバリア性が低下する場合がある。一
方、ガスバリア性樹脂(A)の含有量が98.9重量%
を超える場合には、熱可塑性樹脂(B)および乾燥剤
(D)の含有量が少なくなるため、酸素吸収速度が低下
し、酸素ガスバリア性および酸素掃去性が低下する場合
がある。
【0074】また、熱可塑性樹脂(B)の含有量は1〜
20重量%であることがより好ましく、2〜15重量%
がさらに好ましい。そして、乾燥剤(D)の含有量は2
5〜1.5重量%であることが好ましく、20〜2重量
%がさらに好ましい。
【0075】本発明の樹脂組成物においては、熱可塑性
樹脂(B)からなる粒子がガスバリア性樹脂(A)から
なるマトリックス中に分散していることが好ましい。こ
のような樹脂組成物からなる成形物は、透明性、ガスバ
リア性および酸素掃去機能が良好である。このとき、熱
可塑性樹脂(B)からなる粒子の平均粒径は10μm以
下であることが好適である。平均粒径が10μmを超え
る場合には、熱可塑性樹脂(B)とガスバリア性樹脂
(A)との界面の面積が小さくなり、酸素ガスバリア性
および酸素掃去機能が低下する場合がある。熱可塑性樹
脂(B)粒子の平均粒径は5μm以下がより好ましく、
2μm以下がさらに好ましい。
【0076】本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損
なわない程度に、上記ガスバリア性樹脂(A)および熱
可塑性樹脂(B)以外の熱可塑性樹脂(E)を含有して
いてもよい。熱可塑性樹脂(E)としては、特に限定さ
れず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレ
ン−プロピレン共重合体、エチレンまたはプロピレンと
1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、
1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン;イタ
コン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等
の不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エス
テル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ギ酸ビ
ニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチレ
ート、ビニルオクタノエート、ビニルドデカノエート、
ビニルステアレート、ビニルアラキドネート等のカルボ
ン酸ビニルエステル類;ビニルトリメトキシシラン等の
ビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその
塩;アルキルチオール類;ビニルピロリドン類等;との
コポリマー、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ1−
ブテン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート等のポリエステル;ポリスチレン、ポリカーボネ
ート、ポリアクリレート等が挙げられる。熱可塑性樹脂
(E)は、製造する成形物の構造および用途に応じて選
択される。
【0077】熱可塑性樹脂(E)を含む樹脂組成物を製
造する場合、該熱可塑性樹脂(E)と、ガスバリア性樹
脂(A)および熱可塑性樹脂(B)との混和性を考慮す
ることが好ましい。これらの樹脂の混和性により、ガス
バリア性、清浄性、酸素掃去剤としての有効性、機械的
特性、製品のテキスチャー等が影響を受けることがあ
る。
【0078】本発明の樹脂組成物には、本発明の作用効
果が阻害されない範囲内で各種の添加剤を含有させても
よい。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、可
塑剤、熱安定剤(溶融安定剤)、光開始剤、脱臭剤、紫
外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、充
填剤、顔料、染料、加工助剤、難燃剤、防曇剤、他の高
分子化合物等が挙げられる。
【0079】熱安定剤(溶融安定剤)としては、ハイド
ロタルサイト化合物、高級脂肪族カルボン酸の金属塩の
1種または2種以上が用いられる。これらの化合物は、
樹脂組成物の製造時において、ゲルやフィッシュアイの
発生を防止することができ、長時間の運転安定性をさら
に改善することができる。これらの化合物は、樹脂組成
物全体の0.01〜1重量%の割合で含有されるのが好
適である。
【0080】高級脂肪族カルボン酸の金属塩とは、炭素
数8〜22の高級脂肪酸の金属塩である。炭素数8〜2
2の高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ステアリン酸、
ミリスチン酸等が挙げられる。塩を構成する金属として
は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、亜鉛、バリウム、アルミニウム等が挙げられる。こ
のうちマグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカ
リ土類金属が好適である。このような高級脂肪族カルボ
ン酸の金属塩の中でも、ステアリン酸カルシウム、ステ
アリン酸マグネシウムが好ましい。
【0081】上記添加剤のうち光開始剤は、本発明の樹
脂組成物からなる成形物、包装用フィルム等の中で、酸
素掃去を開始または促進させるために使用される。特
に、樹脂組成物が酸化防止剤を含有する場合、光開始剤
を同時に含有させることが好ましい。光開始剤を含有す
る樹脂組成物に所望の時期に光を照射することにより、
熱可塑性樹脂(B)と酸素との反応の開始が促進され
て、樹脂組成物の酸素掃去の誘導期が減少または消失
し、その結果、樹脂組成物の酸素掃去機能を速やかに発
現することが可能となる。ここで誘導期とは、本発明の
樹脂組成物が充分に酸素の捕捉を開始するまでの時間で
ある。
【0082】光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノ
ン、o−メトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、o
−メトキシアセトフェノン、アセナフテンキノン、メチ
ルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、
α−フェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオ
フェノン、ジベンゾスベロン、4−モルホリノベンゾフ
ェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、4−
o−モルホリノデオキシベンゾイン、p−ジアセチルベ
ンゼン、4−アミノベンゾフェノン、4′−メトキシア
セトフェノン、α−テトラロン、9−アセチルフェナン
トレン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサ
ントン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルイ
ンドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,
5−トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オ
ン、キサンテン−9−オン、7−H−ベンズ[de]ア
ントラセン−7−オン、ベンゾインテトラヒドロピラニ
ルエーテル、4,4′−ビス−(ジメチルアミノ)−ベ
ンゾフェノン、1′−アセトナフトン、2′−アセトナ
フトン、アセトナフトンおよび2,3−ブタンジオン、
ベンズ[a]アントラセン−7,12−ジオン、2,2−
ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、α,α−ジ
エトキシアセトフェノン、α,α−ジブトキシアセトフ
ェノン等が挙げられる。これらの化合物以外にも、例え
ばローズベンガル、メチレン青、テトラフェニルポルフ
ィリン等の一重項酸素発生光増感剤、ポリ−(エチレン
−一酸化炭素)およびオリゴ−[2−ヒドロキシ−2−
メチル−1−[4−(1−メチルビニル)−フェニル]
−プロパノン]等の重合体開始剤も光開始剤として使用
することができる。
【0083】使用される光開始剤の量は、使用する熱可
塑性樹脂(B)の種類、使用する光の波長および強度、
使用する酸化防止剤の性質および量、使用する光開始剤
の種類、さらには、本発明の樹脂組成物の使用時の形態
に応じて適宜選択すればよい。例えば、本発明の樹脂組
成物からなる成形物が若干不透明なものである場合に
は、比較的多量の光開始剤が必要となる。一般的には、
光開始剤の使用量は樹脂組成物全体の0.01〜10重
量%の範囲であることが好適である。
【0084】使用される光としては、例えば約200〜
750ナノメートル(nm)の、好ましくは約200〜
400nmの波長を有する紫外線または可視光が有用で
ある。これらの光は比較的長い波長を有するため、コス
トおよび人体等への影響等の観点から好ましい。光の照
射量としては、本発明の樹脂組成物に含有される熱可塑
性樹脂(B)1gあたり0.1ジュール(J)以上であ
ることが好ましく、通常は10〜100Jの範囲であ
る。上記の光以外にも、約0.2〜20メガラド(Mr
ad)の、好ましくは約1〜10Mradの放射線量を
有する電子線、イオン化放射線、例えばガンマ線、X線
およびコロナ放電等が使用可能である。光の照射は、好
ましくは酸素の存在下に行う。光の照射時間は、光開始
剤の量および種類、成形物の形状(厚さ等)、酸化防止
剤の量、ならびに光の波長および強度等に応じて、適宜
選択すればよい。
【0085】光の照射の時期としては、本発明の樹脂組
成物の酸素掃去機能が必要となる時点よりも前であれ
ば、特に限定されない。例えば、本発明の樹脂組成物を
包装材料として使用する場合、光の照射は包装の直前で
あっても包装中であっても、また包装後であってもよ
い。光を均一に照射するという観点から、樹脂組成物
を、例えば平坦なシート状として照射することが好まし
い。
【0086】上記添加剤のうち、脱臭剤(または消臭
剤、吸着剤;以下これらを含めて脱臭剤という)は、本
発明の樹脂組成物の酸素掃去に伴い発生する低分子の副
生成物による臭気を低減させるために使用される。
【0087】脱臭剤の種類としては特に制限はないが、
亜鉛化合物、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、鉄
(II)化合物、亜鉛化合物およびケイ素化合物を含む
組成物、亜鉛化合物およびアルミニウム化合物を含む組
成物、有機酸類、鉄(II)化合物−有機酸組成物等が
挙げられる。これらは単独で用いることもできるし、複
数種の混合物または複塩であってもよい。
【0088】亜鉛化合物としては、ケイ酸亜鉛、酸化亜
鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、リン酸亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸
亜鉛、酢酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、クエン酸亜鉛、フマル
酸亜鉛、ギ酸亜鉛等が挙げられる。
【0089】アルミニウム化合物としては、硫酸アルミ
ニウム、リン酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、硫
酸アルミニウムカリウム等が挙げられる。
【0090】ケイ素化合物としては、二酸化ケイ素、オ
ルソリン酸ケイ素、ピロリン酸ケイ素−I型、ピロリン
酸ケイ素−II型等のリン酸ケイ素化合物、活性シリカ
ゲル等が挙げられる。
【0091】鉄(II)化合物としては、2価の鉄イオ
ンを形成するものであれば特に制限はなく、例えば、硫
酸鉄(II)、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、臭化
鉄(II)、ヨウ化鉄(II)等の無機塩、没食子酸鉄
(II)、リンゴ酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)等
の有機塩が挙げられる。これらの中でも、硫酸鉄(I
I)、塩化鉄(II)が好ましい。
【0092】亜鉛化合物とケイ素化合物とを含む組成物
(混合物または複塩)も好適に用いられる。この組成物
の具体的な例としては、酸化亜鉛と二酸化ケイ素の比率
が重量比で1:5〜5:1の範囲であり、大部分がアモ
ルファスな構造を有している、ケイ酸亜鉛の実質的に不
定形な微粒子が好ましい。酸化亜鉛と二酸化ケイ素の比
率は、好ましくは1:4〜4:1の範囲、より好ましく
は1:3〜3:1の範囲である。
【0093】亜鉛化合物とアルミニウム化合物との組成
物もまた好適に用いられる。この組成物の具体的な例と
しては、酸化亜鉛および/または炭酸亜鉛と、硫酸アル
ミニウムおよび/または硫酸アルミニウムカリウムとの
混合物が好ましく、亜鉛化合物100重量部に対してア
ルミニウム化合物1〜1000重量部、好ましくは30
〜300重量部の割合で混合される。
【0094】有機酸類としては、炭素数8以上の有機
酸、例えば脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ポリカルボン
酸、芳香族モノカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸が好
ましく、特に芳香族ポリカルボン酸が好ましい。芳香族
ポリカルボン酸の例としてはフタル酸、テレフタル酸、
イソフタル酸、トリメリツト酸、1,2,3−ベンゼン
トリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン
酸、ピロメリツト酸、ベンゼンへキサカルボン酸、ナフ
タレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフ
タレンテトラカルボン酸、ジフェニルテトラカルボン
酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、アゾベンゼ
ンテトラカルボン酸、その無水物等が挙げられる。これ
らの中でも、ベンゼントリカルボン酸、とりわけトリメ
リット酸が好ましい。
【0095】鉄(II)化合物−有機酸組成物に用いら
れる鉄(II)化合物としては、前記したような水に溶
解して2価の鉄イオンを形成する化合物が使用できる。
また、有機酸としては水に可溶なものであれば特に制限
はなく、例えばアスコルビン酸(D体およびL体)、イ
ソアスコルビン酸、その金属塩等のアスコルビン酸類、
クエン酸、イソクエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸等の
カルボン酸類が挙げられる。これらの中でも、L−アス
コルビン酸が好ましい。このとき、2種以上の鉄(I
I)化合物および/または2種以上の有機酸を混合して
用いても差し支えない。
【0096】鉄(II)化合物−有機酸組成物は、両者
が結合していることが好ましい。このような組成物は、
例えば、両成分を混合、溶解した水溶液を噴霧乾燥、凍
結乾燥等により乾燥し、粉末とすることにより調製する
ことができる。鉄(II)化合物と有機酸との比率は重
量比で1:0.01〜1:1の範囲が好ましく、1:
0.02〜1:0.8がより好ましい。有機酸成分がア
スコルビン酸類の場合は、鉄(II)化合物と有機酸と
の比率は重量比で1:0.02〜1:0.3の範囲が好
ましく、1:0.02〜1:0.13がより好ましく、
1:0.05〜1:0.13がさらに好ましい。また、
鉄(II)化合物−有機酸組成物には脱臭機能の安定化
剤としてミョウバンを、鉄(II)化合物と有機酸との
合計量に対して2〜20重量%添加することが好まし
い。ミョウバンとしては特に制限はないが、カリミョウ
バン、アンモニアミョウバン、ナトリウムミョウバンが
好適である。
【0097】上記のもの以外にも、亜鉛化合物とポリカ
ルボン酸とからなる金属化合物を安定化させた組成物、
鉄(II)−フタロシアニン誘導体等の生体酵素モデル
化合物、キリ、ヒイラギ、モクセイ、ツワブキ、フキ、
ライラック、シナレンギヨウ、クリ、ハンノキ等の植物
の樹木液または抽出成分、ゼオライト等のアルミノ珪酸
塩、セピオライト、シロタイル、バリゴルスカイト、ラ
フリナイト等の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物、活性
フミン酸、活性アルミナ、活性炭、さらには、多孔質吸
着剤等も脱臭剤として使用可能である。
【0098】脱臭剤の含有量は、好適には樹脂組成物全
体の0.1重量%以上、より好適には0.2〜50重量
%、さらに好適には0.5〜10重量%である。
【0099】本発明の樹脂組成物の好適なメルトフロー
レート(MFR)(210℃、2160g荷重下、JI
S K7210に基づく)は0.1〜100g/10
分、より好適には0.5〜50g/10分、さらに好適
には1〜30g/10分である。本発明の樹脂組成物の
メルトフローレートが上記の範囲から外れる場合、溶融
成形時の加工性が悪くなる場合が多い。
【0100】本発明の樹脂組成物の各成分を混合する方
法は特に限定されない。各成分を混合する際の順序も特
に限定されない。例えば、ガスバリア性樹脂(A)、熱
可塑性樹脂(B)、遷移金属塩(C)、および乾燥剤
(D)を同時に混合してもよいし、熱可塑性樹脂(B)
および遷移金属塩(C)からなる組成物を製造した後、
ガスバリア性樹脂(A)と混合し、さらに乾燥剤(D)
と混合してもよい。
【0101】混合の具体的な方法としては、例えば、溶
剤を用いて各成分を溶解し、混合した後に溶媒を蒸発さ
せる方法、各成分を溶融混練する方法等が挙げられる。
これらの中でも、工程の簡便さおよびコストの観点から
溶融混練する方法が好ましい。このとき、混練度の高い
装置を使用し、各成分を細かく均一に分散させること
が、酸素吸収性能、透明性を良好にすると共に、ゲル、
ブツの発生や混入を防止できる点で好ましい。
【0102】混練度の高い装置としては、連続式インテ
ンシブミキサー、ニーディングタイプ二軸押出機(同方
向または異方向)、ミキシングロール、コニーダー等の
連続型混練機、高速ミキサー、バンバリーミキサー、イ
ンテンシブミキサー、加圧ニーダー等のバッチ型混練
機、(株)KCK製のKCK混練押出機等の石臼のよう
な摩砕機構を有する回転円板を使用した装置、一軸押出
機に混練部(ダルメージ、CTM等)を設けたもの、リ
ボンブレンダー、ブラベンダーミキサー等の簡易型の混
練機等を挙げることができる。これらの中でも、連続型
混練機が好ましい。市販されている連続式インテンシブ
ミキサーとしては、Farrel社製FCM、(株)日
本製鋼所製CIM、(株)神戸製鋼所製KCM、LC
M、ACM等が挙げられる。これらの混練機の下に一軸
押出機を設置し、混練と押出ペレット化を同時に実施す
る装置を採用することが好ましい。また、ニーディング
ディスクまたは混練用ロータを有する二軸混練押出機と
しては、例えば(株)日本製鋼所製TEX、Werne
r&Pfleiderer社製ZSK、東芝機械(株)
製TEM、池貝鉄工(株)製PCM等が挙げられる。
【0103】これらの連続型混練機においては、ロータ
ー、ディスクの形状が重要な役割を果たす。特にミキシ
ングチャンバとローターチップまたはディスクチップと
の隙間(チップクリアランス)は重要で、狭すぎても広
すぎても良好な分散性を有する組成物は得られない。チ
ップクリアランスとしては1〜5mmが最適である。
【0104】混練機のローターの回転数は、通常100
〜1200rpmであり、好ましくは150〜1000
rpmであり、より好ましくは200〜800rpmで
ある。また、混練機チャンバー内径(D)は通常30m
m以上であり、好ましくは50〜400mmである。さ
らに、混練機のチャンバー長さ(L)と内径(D)との
比L/Dは、4〜30が好適である。混練機は1機でも
よいし、また2機以上を連結して用いることもできる。
【0105】混練温度は、通常50〜300℃の範囲で
ある。熱可塑性樹脂(B)の酸化防止のためには、ホッ
パー口を窒素シールし、低温で押出すことが好ましい。
混練時間は、長い方が良い結果を得られるが、熱可塑性
樹脂(B)の酸化防止および生産効率の観点から、通常
10〜600秒であり、好ましくは15〜200秒であ
り、より好ましくは15〜150秒である。
【0106】本発明の樹脂組成物は、成形方法を適宜採
用することによって、種々の成形物、例えば、フィル
ム、シート、容器その他の包装材料、各種形状の脱酸素
剤等に成形することができる。このとき、本発明の樹脂
組成物を一旦ペレットとしてから成形に供してもよい
し、樹脂組成物の各成分をドライブレンドして、直接成
形に供してもよい。
【0107】成形方法および成形物としては、例えば、
溶融押出成形によりフィルム、シート、パイプ等に、射
出成形により容器形状に、また中空成形によりボトル状
等の中空容器に成形することができる。中空成形として
は、押出成形によりパリソンを成形し、これをブローし
て成形を行う押出中空成形と、射出成形によりプリフォ
ームを成形し、これをブローして成形を行う射出中空成
形が好ましい。
【0108】本発明においては、上記成形により得られ
る成形物は単層であってもよいが、機械的特性、水蒸気
バリア性、さらなる酸素バリア性などの特性を付与する
という観点から、他の層と積層して多層構造体として用
いることが好ましい。
【0109】多層構造体の層構成としては、熱可塑性樹
脂(B)以外の樹脂、金属、紙、織布または不織布等か
らなる層をA層、本発明の樹脂組成物層をB層、接着性
樹脂層をC層とすると、A/B、A/B/A、A/C/
B、A/C/B/C/A、A/B/A/B/A、A/C
/B/C/A/C/B/C/A等が例示されるが、これ
らに限定されるものではない。複数のA層を設ける場合
は、その種類は同じであっても異なっていてもよい。ま
た、成形時に発生するトリム等のスクラップからなる回
収樹脂を用いた層を別途設けてもよいし、回収樹脂を他
の樹脂からなる層にブレンドしてもよい。多層構造体の
各層の厚み構成は、特に限定されるものではないが、成
形性およびコスト等の観点から、全層厚みに対するB層
の厚み比は2〜20%が好適である。
【0110】上記のA層に使用される樹脂としては、加
工性等の観点から熱可塑性樹脂が好ましい。かかる熱可
塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレンまたはプロピレンと1−ブテン、イソブテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン等のα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル
酸、アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン
酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリ
ル、そのアミド、その無水物;ギ酸ビニル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルオ
クタノエート、ビニルドデカノエート、ビニルステアレ
ート、ビニルアラキドネート等のカルボン酸ビニルエス
テル類;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン系
化合物;不飽和スルホン酸またはその塩;アルキルチオ
ール類;ビニルピロリドン類等;とのコポリマー、ポリ
4−メチル−1−ペンテン、ポリ1−ブテン等のポリオ
レフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエ
ステル;ポリカプロアミド、ポリヘキサメチレンアジパ
ミド、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド;
ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、
ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアクリ
レート、EVOH等が挙げられる。かかる熱可塑性樹脂
層は無延伸のものであってもよいし、一軸もしくは二軸
に延伸または圧延されているものであっても構わない。
【0111】これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフ
ィンは耐湿性、機械的特性、経済性、ヒートシール性等
の点で、また、ポリエステルは機械的特性、耐熱性等の
点で好ましい。
【0112】また、A層に使用される金属としては、例
えば、缶容器等に一般的に使用されているスチールやア
ルミ等が挙げられる。
【0113】一方、C層に使用される接着性樹脂として
は、各層間を接着できるものであれば特に限定されず、
ポリウレタン系、ポリエステル系一液型または二液型硬
化性接着剤、不飽和カルボン酸またはその無水物(無水
マレイン酸等)をオレフィン系重合体に共重合またはグ
ラフト変性したもの(カルボン酸変性ポリオレフィン樹
脂)等が好適に用いられる。
【0114】これらの中でも、カルボン酸変性ポリオレ
フィン樹脂がより好ましい。特に、A層がポリオレフィ
ン樹脂である場合、B層との接着性が良好となる。かか
るカルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂の例としては、
ポリエチレン{低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖
状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエ
チレン(VLDPE)}、ポリプロピレン、共重合ポリ
プロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン
−(メタ)アクリル酸エステル(メチルエステルまたは
エチルエステル)共重合体等をカルボン酸変性したもの
が挙げられる。
【0115】上記のA層に使用される樹脂、C層に使用
される接着性樹脂には、本発明の樹脂組成物の酸素掃去
に伴い発生する低分子の副生成物による臭気を低減させ
るために前述のような脱臭剤を配合してもよい。脱臭剤
は、これらの層のうち一層のみに配合してもよいし、ま
た必要に応じ、二層以上に配合することもできる。脱臭
剤の含有量は配合する層(樹脂層等)の総重量中0.1
重量%以上、好適には0.2〜50重量%、より好適に
は0.5〜10重量%である。
【0116】多層構造体を得る方法としては、押出ラミ
ネート法、ドライラミネート法、溶剤流延法、共射出成
形法、共押出成形法等が例示されるが、特に限定される
ものではない。共押出成形法としては、共押出ラミネー
ト法、共押出シート成形法、共押出インフレーション成
形法、共押出ブロー成形法等を挙げることができる。
【0117】このようにして得られた多層構造体のシー
ト、フィルム、パリソン等を、含有される樹脂の融点以
下の温度で再加熱し、絞り成形等の熱成形法、ロール延
伸法、パンタグラフ式延伸法、またはインフレーション
延伸法、ブロー成形法等により一軸または二軸延伸し
て、延伸された成形物を得ることもできる。
【0118】本発明の樹脂組成物を用いた成形物、特に
多層構造体は各種用途に用いられる。とりわけ、本発明
の樹脂組成物の効果は、多層容器としたときに大きく発
揮される。さらに、本発明の樹脂組成物からなる層を最
内層に有する多層容器は、容器内の酸素掃去機能が速や
かに発揮されるという観点から好適である。
【0119】さらに多層容器の内でも、全層厚みが30
0μm以下である多層容器、または押出しブロー成形法
により製造される多層容器が好ましい。以下、これらの
実施態様について順次説明する。
【0120】全層厚みが300μm以下である多層容器
は、多層フィルムのような全層厚みの比較的薄い多層構
造体からなる容器であり、通常パウチ等の形態で使用さ
れる。フレキシブルで製造も簡便であり、かつガスバリ
ア性に優れ、さらには持続的な酸素掃去機能を有するの
で、酸素に対し感受性が高く劣化し易い製品の包装に極
めて有用である。全層厚みは、フレキシブル性を維持す
るという観点から好適には300μm以下であり、より
好適には250μm以下であり、さらに好適には200
μm以下である。一方、容器としての機械的特性を考慮
すると、全層厚みは好適には10μm以上であり、より
好適には20μm以上であり、さらに好適には30μm
以上である。
【0121】上記の多層容器を多層フィルムから製造す
る場合、該多層フィルムの製造方法に特に制限はなく、
例えば、本発明の樹脂組成物層と他の熱可塑性樹脂層と
をドライラミネート、共押出ラミネート等の方法で積層
することによって多層フィルムを得ることができる。
【0122】ドライラミネートする場合には、無延伸フ
ィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、圧延フ
ィルム等が使用可能である。これらの中でも、二軸延伸
ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートフィルム、二軸延伸ポリカプロアミドフィルム
が、機械的強度の観点から好ましく、防湿性も考慮する
と、二軸延伸ポリプロピレンフィルムが特に好ましい。
また、無延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムを使用す
る場合、積層した後に多層フィルムを再加熱し、絞り成
形等の熱成形法、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸
法、インフレーション延伸法等により一軸または二軸延
伸することによって、延伸された多層フィルムを得るこ
ともできる。
【0123】得られる多層容器を密封するために、多層
フィルムの製造段階において、少なくとも一方の最表面
にヒートシール可能な樹脂からなる層を設けることも好
ましい。かかる樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等のポリオレフィンを挙げることができる。
【0124】こうして得られた多層フィルムは、袋状に
加工され、内容物を充填して多層容器とすることができ
る。
【0125】一方、押出しブロー成形法により製造され
る多層容器は、通常ボトル等の形態で使用される。生産
性が高く、かつガスバリア性に優れ、さらには持続的な
酸素掃去機能を有するので、酸素に対し感受性が高く劣
化し易い製品の包装に極めて有用である。
【0126】押出しブロー成形法としては、例えば以下
のような方法が挙げられる。まず、少なくとも2台の押
出機を有する多層押出機を用いて、内外層を形成する熱
可塑性樹脂と、本発明の樹脂組成物と、必要であれば接
着性樹脂とを別々の押出機に供給し、各層を多層パリソ
ン成形用ダイの内部またはダイより吐出直後の外部で密
着合流させるように押出し、管状の多層パリソンを得、
次いでこのパリソンを溶融状態でブロー成形して多層容
器を得る。この方法は、ダイレクトブロー成形法と呼ば
れる。この方法によって得られた多層容器は、各層の樹
脂の分子の配向度が低いため、機械的強度が格別に高い
わけではないが、高温における寸法安定性が良好である
ので、高温殺菌を必要とする用途に適している。
【0127】また、押出成形法によって多層パイプを成
形してからこれを適当な長さに切断し、次いで一端を密
封し他端にはキャップ等の蓋を取付け可能な加工をして
有底パリソンを成形し、これを再加熱してブローする延
伸ブロー成形方法も採用される。この方法は、炭酸飲料
容器のように耐圧、耐クリープ性が必要な用途に適して
いる。
【0128】なおダイレクトブロー法により多層容器を
成形する場合は、内外層を形成する熱可塑性樹脂として
ポリプロピレン系樹脂を用いることが好適であり、延伸
ブロー法により多層容器を成形する場合は、内外層を形
成する熱可塑性樹脂として飽和ポリエステル系樹脂を用
いることが好適である。
【0129】上記の多層容器の容器胴部の全層厚みは、
一般的には100〜2000μm、好適には150〜1
000μmであり、用途に応じて適宜選択される。この
場合、本発明の樹脂組成物層の合計厚みは2〜200μ
mであることが好ましく、5〜100μmがより好まし
い。
【0130】さらに、本発明の樹脂組成物は、容器用パ
ッキング(ガスケット)として、特に容器のキャップ用
のガスケットとして使用するのにも適している。この場
合、キャップ本体の素材としては特に制限はなく、熱可
塑性樹脂、金属などの公知の材料を採用することができ
る。かかるガスケットを装着してなるキャップは、ガス
バリア性に優れ、かつ持続的な酸素掃去機能を有するの
で、酸素に対し感受性が高く劣化し易い製品の包装に極
めて有用である。
【0131】
【実施例】以下に、本発明を実施例等によって具体的に
説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。な
お、実施例等における分析は次のようにして行った。
【0132】(1)メルトフローレート:試料とする樹
脂または樹脂組成物のチップを、メルトインデクサーL
244(宝工業株式会社製)の内径9.55mm、長さ
162mmのシリンダーに充填し、210℃で溶融した
後、重さ2160g、直径9.48mmのプランジャー
を使用して均等に荷重をかけた。シリンダーの中央に設
けた径2.1mmのオリフィスより単位時間あたりに押
出される樹脂量(g/10分)を測定し、これをメルト
フローレートとした。
【0133】[ガスバリア性樹脂(A)]ガスバリア性
樹脂(A)として、EVOH(A−1)を使用した。E
VOH(A−1)のエチレン含有量は32モル%、ケン
化度は99.5%、メルトフローレート(210℃−2
160g荷重)は8.4g/10分であった。また、E
VOH(A−1)のリン酸根含有量は100ppm、ナ
トリウム塩、カリウム塩およびマグネシウム塩含有量
は、それぞれ金属換算で20ppm、60ppmおよび
20ppmであった。さらに、EVOH(A−1)の酸
素透過速度は、0.4ml・20μm/m・day・
atmであった。なお、EVOH(A−1)の分析およ
び評価は次のようにして行った。
【0134】(2)EVOHのエチレン含有量およびケ
ン化度:重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒とした
H−NMR(核磁気共鳴)測定(日本電子社製「JNM
−GX−500型」を使用)により得られたスペクトル
から算出した。
【0135】(3)EVOHのリン酸根含有量:試料と
する乾燥チップ10gを0.01規定の塩酸水溶液50
mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶
液を、イオンクロマトグラフィーを用いて定量分析し、
リン酸根含有量をリン酸イオン(PO 3−)含有量と
して得た。クロマトグラフィーのカラムとしては(株)
横川電機製のCIS−A23を使用し、溶離液としては
2.5mMの炭酸ナトリウムと1.0mMの炭酸水素ナ
トリウムを含む水溶液を使用した。なお、定量に際して
はリン酸水溶液で作製した検量線を用いた。
【0136】(4)EVOHのナトリウム塩、カリウム
塩およびマグネシウム塩含有量:試料とする乾燥チップ
10gを0.01規定の塩酸水溶液50mlに投入し、
95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶液を、イオンク
ロマトグラフィーを用いて定量分析し、ナトリウム塩、
カリウム塩およびマグネシウム塩含有量をそれぞれのカ
チオン含有量として金属換算の量で得た。クロマトグラ
フィーのカラムとして、(株)横河電機製のICS−C
25を使用し、溶離液として5.0mMの酒石酸と1.
0mMの2,6−ピリジンジカルボン酸を含む水溶液を
使用した。なお、定量に際してはそれぞれの金属の塩化
物の水溶液で作成した検量線を用いた。
【0137】(5)EVOHの酸素透過速度:EVOH
を210℃で押出成形して、厚さ20μmの無延伸フィ
ルムを得た。このフィルムを20℃−65%RHに温湿
度調節し、製膜後24時間経過した時点を0として、酸
素透過量測定装置(モダンコントロール社製、OX−T
RAN−2/20A)を用いて酸素透過速度を測定し
た。
【0138】[熱可塑性樹脂(B)]熱可塑性樹脂とし
て、下記の方法で調製した熱可塑性樹脂(B−1)を使
用した。
【0139】乾燥した窒素で浄化された攪拌式オートク
レーブ中にシクロヘキサン600体積部、N,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMED
A)0.16体積部、開始剤としてn−ブチルリチウム
0.094体積部を投入した。温度を50℃に昇温し、
スチレンモノマーを4.25体積部フィードし1.5時
間重合させた。次に温度を30℃に下げ、イソプレンを
120体積部フィードし2.5時間重合させた。さらに
再び温度を50℃に昇温し、スチレンモノマーを4.2
5体積部フィードし1.5時間重合させた。
【0140】得られた反応液に、酸化防止剤として2−
tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−
ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニ
ルアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラキス
(3−ラウリルチオプロピオネート)を、それぞれスチ
レンおよびイソプレンの合計量100重量部に対して
0.15重量部ずつ加えた。反応液をメタノールに注い
で生成物を沈殿させ、これを分離・乾燥して、酸化防止
剤が添加された熱可塑性樹脂(B−1)を得た。
【0141】得られたスチレン−イソプレン−スチレン
トリブロック共重合体の数平均分子量は85000、共
重合体中のスチレンブロックの分子量はそれぞれ850
0、スチレン含有量は14モル%、イソプレンブロック
における構造式(I)で示される構造単位の割合は、5
5%であった。また、共重合体の炭素−炭素二重結合含
有量は0.014eq/gであり、メルトフローレート
(210℃−2160g荷重)は7.7g/10分であ
った。熱可塑性樹脂(B−1)中には、2−tert−
ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ
−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレ
ート0.12重量%およびペンタエリスリトールテトラ
キス(3−ラウリルチオプロピオネート)0.12重量
%が含まれていた。さらに、この熱可塑性樹脂(B−
1)のイソプレンブロックにおけるtanδの主分散ピ
ーク温度を測定したところ、−3℃であった。なお、熱
可塑性樹脂(B−1)の分析および評価は次のようにし
て行った。
【0142】(6)共重合体のスチレン含有量、イソプ
レンブロックにおける構造式(I)で示される構造単位
の割合、および炭素−炭素二重結合含有量:重クロロホ
ルムを溶媒としたH−NMR(核磁気共鳴)測定(日
本電子社製「JNM−GX−500型」を使用)により
得られたスペクトルから算出した。ここで、スチレン含
有量とは、共重合体を構成する全単量体単位に対するス
チレンの割合(モル%)であり、イソプレンブロックに
おける構造式(I)で示される構造単位の割合とは、イ
ソプレン由来の全構造単位(1,4−イソプレン単位、
3,4−イソプレン単位、1,2−イソプレン単位)に
対する、構造式(I)で示される構造単位(3,4−イ
ソプレン単位、1,2−イソプレン単位)の割合(%)
である。また、これらの結果から、炭素−炭素二重結合
含有量を樹脂1g中に含まれる二重結合のモル数(eq
/g)として算出した。
【0143】(7)熱可塑性樹脂のイソプレンブロック
におけるtanδの主分散ピーク温度:熱可塑性樹脂を
押出成形し、厚み20μmの無延伸フィルムを得た。こ
のフィルムから5mm幅の試料を切り出し、RHEOL
OGY Co.,LTD製「DVE RHEOSPEC
TOLER DVE−V4」を使用して、周波数11H
z、変位振幅10μm、チャック間距離20mm、測定
温度範囲−150℃〜150℃、昇温速度3℃/分の条
件で動的粘弾性測定を行い、得られたチャートからta
nδの主分散ピーク温度を求めた。
【0144】(実施例1)EVOH(A−1)85重量
部、熱可塑性樹脂(B−1)5重量部、ステアリン酸コ
バルト(II)0.2121重量部(コバルト原子とし
て0.0200重量部)および乾燥剤(D)として60
メッシュのスクリーンメッシュを通過させた砂糖10重
量部をドライブレンドし、30mmφ二軸押出機
((株)日本製鋼所製TEX−30SS−30CRW−
2V)を用い、210℃でスクリュー回転数300rp
m、押出樹脂量25kg/時間の条件で押出してペレッ
ト化した後、30℃で16時間減圧乾燥を行い樹脂組成
物ペレットを得た。この樹脂組成物のメルトフローレー
ト(210℃−2160g荷重)は8.7g/10分で
あった。樹脂組成物ペレットの破断面を電子顕微鏡で観
察したところ、熱可塑性樹脂(B−1)のおおむね1μ
m前後の粒子が、EVOH(A−1)からなるマトリッ
クス中に分散していた。
【0145】得られた樹脂組成物を用いて、押出温度2
10℃にて押出成形を行い、厚み20μmのフィルムを
得た。このフィルム0.9m(0.2m×4.5m;
表面積1.8m)をフィルム製膜の5時間後にロール
状に巻いて、20℃、65%RHの空気を満たしておい
た内部容量375mlの三角フラスコに入れた。三角フ
ラスコ中の空気は、体積比で21:79の酸素および窒
素を含有していた。三角フラスコの口を、アルミニウム
層を含む多層シートを用いてエポキシ樹脂で封じ、20
℃で放置した。封入2日後、5日後および9日後の内部
の空気をシリンジでサンプリングし、この空気の酸素濃
度をガスクロマトグラフィーを用いて測定した。測定時
に多層シートに空いた細孔は、エポキシ樹脂を用いてそ
の都度封じた。測定によって得られた酸素と窒素の体積
比から、酸素の減少量(酸素吸収量)を計算したとこ
ろ、図1に示す結果を得た。2日後と9日後の測定結果
から算出した、フィルムの酸素吸収速度は0.460m
l/m・dayであった。
【0146】次に、得られた樹脂組成物を用いて共押出
成形によりポリエチレン/接着性樹脂/樹脂組成物/接
着性樹脂/ポリエチレンの層構成を持つ積層フィルムを
作製した。ポリエチレンとしてはウルトゼックス202
2L(三井化学株式会社製)を、接着性樹脂としてはア
ドマーNF500(三井化学株式会社製)を使用した。
積層フィルムの膜厚は、ポリエチレン/接着性樹脂/樹
脂組成物/接着性樹脂/ポリエチレン=50μm/10
μm/20μm/10μm/50μmであった。この積
層フィルムを30℃−80%RHに温湿度調節し、製膜
後24時間経過した時点を0として、酸素透過量測定装
置(モダンコントロール社製、OX−TRAN−2/2
0A)を用いて酸素透過速度を測定したところ、図2に
示す結果を得た。
【0147】また、上記の積層フィルムを窒素雰囲気下
でヒートシールして15cm×20cmのパウチを作製
した。この際、パウチ内部に10cm×15cmの含水
ろ紙およびPETフィルムからなる枠を入れることによ
り、パウチ内部の相対湿度が100%RHかつ内部容量
が約100cmになるようにした。パウチ容量を確認
した後、空気雰囲気下30℃−80%RHに温湿度調節
してパウチを30日間保管し、保管後のパウチ内部のガ
スの酸素濃度をガスクロマトグラフィーを用いて測定し
た。侵入酸素量を酸素濃度の変化量、パウチ内部容量お
よびパウチ表面積から算出したところ、0.8ml/m
・30daysであった。
【0148】さらに、上記の積層フィルムを空気中でヒ
ートシールして15cm×20cmのパウチを作製し
た。このときパウチ内部に100cmの蒸留水を入れ
た。空気雰囲気下30℃−80%RHに温湿度調節して
パウチを30日間保管した。保管後のパウチを開封して
内部蒸留水の味覚を5名のパネラーにより比較した。味
覚は、渋み、苦味、酸味、甘味およびその他に分類し、
それぞれの味覚を感じない場合は0点、どちらかといえ
ば感じる場合を1点、感じる場合を2点、強く感じる場
合を3点とし、これらの合計点をその試料の評価点とし
た。5名のパネラーの評価点の平均値を求め、0〜3点
をA、4〜6点をB、7〜9点をC、10〜12点を
D、13〜15点をEとして味覚強度を判定したとこ
ろ、味覚強度はCであった。
【0149】(比較例1)EVOH(A−1)95重量
部、熱可塑性樹脂(B−1)5重量部、およびステアリ
ン酸コバルト(II)0.2121重量部(コバルト原
子として0.0200重量部)を用いて、実施例1と同
様にして樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のメルトフ
ローレート(210℃−2160g荷重)は9.5g/
10分であった。樹脂組成物ペレットの破断面を電子顕
微鏡で観察したところ、熱可塑性樹脂(B−1)のおお
むね1μm前後の粒子が、EVOH(A−1)からなる
マトリックス中に分散していた。
【0150】この樹脂組成物から、実施例1と同様にし
て厚み20μmのフィルムを得て、酸素吸収量を測定し
たところ、図1に示す結果を得た。フィルムの酸素吸収
速度は0.532ml/m・dayであった。次に、
実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、酸素透過
速度を経時的に測定したところ、図2に示す結果を得
た。また、実施例1と同様にしてパウチを作製し、侵入
酸素量を測定したところ、1.8ml/m・30da
ysであった。さらに、実施例1と同様にして味覚強度
を測定したところ、味覚強度はCであった。
【0151】(比較例2)EVOH(A−1)90重量
部、熱可塑性樹脂(B−1)10重量部、およびステア
リン酸コバルト(II)0.2121重量部(コバルト
原子として0.0200重量部)を用いて、実施例1と
同様にして樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のメルト
フローレート(210℃−2160g荷重)は9.0g
/10分であった。樹脂組成物ペレットの破断面を電子
顕微鏡で観察したところ、熱可塑性樹脂(B−1)のお
おむね1μm前後の粒子が、EVOH(A−1)からな
るマトリックス中に分散していた。
【0152】この樹脂組成物から、実施例1と同様にし
て厚み20μmのフィルムを得て、酸素吸収量を測定し
たところ、図1に示す結果を得た。フィルムの酸素吸収
速度は0.727ml/m・dayであった。次に、
実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、酸素透過
速度を経時的に測定したところ、図2に示す結果を得
た。また、実施例1と同様にしてパウチを作製し、侵入
酸素量を測定したところ、1.7ml/m・30da
ysであった。さらに、実施例1と同様にして味覚強度
を測定したところ、味覚強度はDであった。
【0153】(比較例3)ステアリン酸コバルト(I
I)の量を0.4242重量部(コバルト原子として
0.0400重量部)とした以外は、比較例2と同様に
して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のメルトフロー
レート(210℃−2160g荷重)は8.8g/10
分であった。樹脂組成物ペレットの破断面を電子顕微鏡
で観察したところ、熱可塑性樹脂(B−1)のおおむね
1μm前後の粒子が、EVOH(A−1)からなるマト
リックス中に分散していた。
【0154】この樹脂組成物から、実施例1と同様にし
て厚み20μmのフィルムを得て、酸素吸収量を測定し
たところ、図1に示す結果を得た。フィルムの酸素吸収
速度は0.774ml/m・dayであった。次に、
実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、酸素透過
速度を経時的に測定したところ、図2に示す結果を得
た。また、実施例1と同様にしてパウチを作製し、侵入
酸素量を測定したところ、0.35ml/m・30d
aysであった。さらに、実施例1と同様にして味覚強
度を測定したところ、味覚強度はEであった。
【0155】(比較例4)EVOH(A−1)90重量
部および実施例1で使用した砂糖10重量部を用いて、
実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。この樹脂組成
物のメルトフローレート(210℃−2160g荷重)
は8.4g/10分であった。
【0156】この樹脂組成物から、実施例1と同様にし
て厚み20μmのフィルムを得て、酸素吸収量を測定し
たところ、図1に示す結果を得た。フィルムの酸素吸収
速度は0.000ml/m・dayであった。次に、
実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、酸素透過
速度を経時的に測定したところ、図2に示す結果を得
た。また、実施例1と同様にしてパウチを作製し、侵入
酸素量を測定したところ、3.6ml/m・30da
ysであった。さらに、実施例1と同様にして味覚強度
を測定したところ、味覚強度はBであった。
【0157】(比較例5)EVOH(A−1)を単独で
用いて、実施例1と同様にして厚み20μmのフィルム
を得て、酸素吸収量を測定したところ、図1に示す結果
を得た。フィルムの酸素吸収速度は0.000ml/m
・dayであった。次に、実施例1と同様にして積層
フィルムを作製し、酸素透過速度を経時的に測定したと
ころ、図2に示す結果を得た。また、実施例1と同様に
してパウチを作製し、侵入酸素量を測定したところ、
4.6ml/m・30daysであった。さらに、実
施例1と同様にして味覚強度を測定したところ、味覚強
度はBであった。
【0158】上記の結果を表2にまとめて示す。
【0159】
【表2】
【0160】図2から明らかなように、乾燥剤を配合し
ていない比較例1の多層フィルムでは、測定開始から約
200時間で酸素透過速度が0から増加を始めるのに対
し、実施例1の多層フィルムでは、400時間以上、酸
素透過速度が0の状態を維持していた。比較例1に対し
て、ステアリン酸コバルト(II)を増量した比較例3
は実施例1とほぼ同時間酸素透過速度が0の状態を維持
し、容器への侵入酸素量もほぼ同等であったが、味覚の
強度の点で、実施例1のほうが良い成績であった。従っ
て、実施例1に代表される本発明の樹脂組成物を含む容
器は、容器内部へ侵入する酸素の量が少なく、かつ内容
物の味覚を損なわないという特性を有することが分かっ
た。
【0161】(実施例2)実施例1で作製した積層フィ
ルムを、外径65mm、底部厚み1.2mmのポリプロ
ピレン製スクリューキャップ本体に合うように、ガスケ
ットの形状に打ち抜き、このスクリューキャップ本体に
取り付けた。次いで圧縮成形用ガスケット成形機の金型
に得られたガスケット付きキャップを供給し、また、こ
の圧縮成形用ガスケット成形機にエチレン−1−ブテン
共重合体(シェルケミカル製「POLYBUTYLEN
E 8240」: 1−ブテン(99モル%以上)、エ
チレン(1モル%以下)共重合品、密度0.908g/
cm、MFR=2.0g/10分(210℃、216
0g荷重))を供給し、圧縮成形することにより多層ガ
スケット付きキャップを作製した。このとき圧縮成形機
のシリンダー温度は245℃、ノズル温度は235℃、
金型温度は30℃となるよう調節した。
【0162】次に、内容量500mlの円筒状のポリエ
ステル製ブローボトルに、水200mlを入れ、上記の
キャップを取り付け、指先で軽く締めた。ボトル胴部を
手で持ち上下に大きく20回振って、液漏れの状態を観
察したが、液漏れは全く見られなかった。
【0163】
【発明の効果】本発明によれば、ガスバリア性、特に酸
素ガスバリア性に優れ、かつ酸素掃去機能を有し、さら
に味覚強度を悪化させることなく酸素掃去持続期間が延
長される樹脂組成物が得られる。該樹脂組成物から得ら
れる成形物、例えば、フィルムや容器は、酸素に対し感
受性が高く劣化し易い製品、特に食品、飲料、医薬品、
化粧品等を保存するための容器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1および比較例1〜5の単層フィルム
の酸素吸収量を時間に対してプロットしたグラフであ
る。
【図2】 実施例1および比較例1〜5の積層フィルム
の酸素透過速度を時間に対してプロットしたグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/00 CFG C08J 5/00 CFG C08K 3/24 C08K 3/24 3/32 3/32 3/34 3/34 5/098 5/098 // B65D 41/04 B65D 41/04 B (72)発明者 下 浩幸 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 Fターム(参考) 3E084 AA04 AA12 AA24 AB01 BA01 CA01 CC05 DA01 DB12 DC05 FA09 FB01 GA04 GB04 HA01 HC03 HC06 HC07 HD01 KA20 KB01 LA15 LB02 LD01 4F071 AA12 AA22 AA29 AA34 AA54 AA55 AA75 AB24 AB25 AB26 AC09 AH04 BA01 BB05 BB06 BB09 BC01 BC04 BC05 4F100 AA02A AH08A AK01A AK01B AK01C AK04B AK04C AK08J AK11A AK11J AK12J AK21A AK27A AK28A AK28J AK46A AK69A AL01A AL05A BA03 BA06 BA10B BA10C CA09A CA30A CB00 DE01A GB15 GB16 GB23 GB66 JA07A JB16A JD03A YY00A 4J002 BC052 BE021 BE031 BG101 BL012 BL022 CL011 CL031 DG047 DH047 DJ007 DJ017 EG046 FD077 GG02

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素透過速度が500ml・20μm/
    ・day・atm(20℃、65%RH)以下のガ
    スバリア性樹脂(A)、炭素−炭素二重結合を有する熱
    可塑性樹脂(B)、遷移金属塩(C)および乾燥剤
    (D)を含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 酸素吸収速度が0.01ml/m・d
    ay以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記遷移金属塩(C)が鉄塩、ニッケル
    塩、銅塩、マンガン塩、コバルト塩からなる群から選択
    される少なくとも1種である、請求項1または2に記載
    の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記遷移金属塩(C)が、金属元素換算
    で1〜5000ppm含有される、請求項1〜3のいず
    れかに記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 酸素透過速度が500ml・20μm/
    ・day・atm(20℃、65%RH)以下のガ
    スバリア性樹脂(A)、炭素−炭素二重結合を有する熱
    可塑性樹脂(B)および乾燥剤(D)を含有し、かつ酸
    素吸収速度が0.01ml/m・day以上であるこ
    とを特徴とする樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性樹脂(B)が、炭素−炭素
    二重結合を0.0001eq/g以上含有する熱可塑性
    樹脂である、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 前記熱可塑性樹脂(B)が、構造式
    (I) 【化1】 [式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜5のアル
    キル基、Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキ
    ル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアル
    キル基またはアルコキシ基であり、RおよびRは各
    々水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、置換さ
    れていてもよいアリール基、−COOR、−OCOR
    、シアノ基、またはハロゲン原子であり、Rおよび
    は各々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、
    アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基
    またはアルコキシ基である]で示される構造単位を含有
    し、かつ数平均分子量が1000〜500000の熱可
    塑性樹脂である、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂
    組成物。
  8. 【請求項8】 前記熱可塑性樹脂(B)が芳香族ビニル
    化合物とジエン化合物との共重合体である、請求項1〜
    7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記ガスバリア性樹脂(A)が、ポリビ
    ニルアルコール系樹脂、ポリアミドおよびポリアクリロ
    ニトリルからなる群から選択される少なくとも1種であ
    る、請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 前記ガスバリア性樹脂(A)が、エチ
    レン含有量5〜60モル%、ケン化度90%以上のエチ
    レン−ビニルアルコール共重合体である、請求項1〜9
    のいずれかに記載の樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 前記ガスバリア性樹脂(A)が40〜
    98.9重量%、前記熱可塑性樹脂(B)が30〜0.
    1重量%、そして前記乾燥剤(D)が30〜1重量%の
    割合で含有される、請求項1〜10のいずれかに記載の
    樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 前記熱可塑性樹脂(B)からなる粒子
    が前記ガスバリア性樹脂(A)からなるマトリックス中
    に分散している、請求項1〜11のいずれかに記載の樹
    脂組成物。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれかに記載の樹
    脂組成物からなる成形物。
  14. 【請求項14】 請求項1〜12のいずれかに記載の樹
    脂組成物からなる層を少なくとも1層含有する多層構造
    体。
  15. 【請求項15】 請求項1〜12のいずれかに記載の樹
    脂組成物からなる層を少なくとも1層含有する多層容
    器。
  16. 【請求項16】 全層厚みが300μm以下である請求
    項15に記載の多層容器。
  17. 【請求項17】 押出しブロー成形法により製造される
    請求項15に記載の多層容器。
  18. 【請求項18】 請求項1〜12のいずれかに記載の樹
    脂組成物からなるガスケットを装着してなるキャップ。
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