JP5461888B2 - 2層銅張積層板の製造方法及び2層銅張積層板 - Google Patents

2層銅張積層板の製造方法及び2層銅張積層板 Download PDF

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本発明は、ポリイミドフィルム上にスパッタリング及びメッキ処理を用いて銅層を形成した2層銅張積層板において、当該積層板の耐折性を向上させた2層銅張積層板の製造方法及びそれによって得られた2層銅張積層板に関する。
なお、上記2層銅張積層板において、接合強度を増すために薄い中間層を形成すること、さらに最上層に防錆層形成することを包含するが、これを含めてポリイミドフィルムと銅層の「2層銅張積層板」と呼称することとする。
近年、ファインピッチな回路が要求される液晶ディスプレイ等のドライバIC搭載用回路材料として、ポリイミドフィルム上に銅層を形成した2層銅張積層板(CCL:Cu Clad Laminate)材料が利用されている。COF(Chip On Film)の積層材として使用されている2層CCL材料の中では、特にスパッタリング及びメッキ処理を用いて作製された2層CCL材料が着目されている。
2層CCL材はポリイミドフィルム(PI)上に、スパッタリングによりサブミクロン程度の銅層を形成した後、硫酸銅メッキ処理により銅層を形成したものである。基本発明は、下記特許文献1に記載されている。
COF(Chip On Film)は、液晶テレビ、有機ELテレビ等の薄型テレビに使用されるが、回路のアウターリード部は折り曲げられて使用されるため、耐折り曲げ性(耐折性)が高くなければならない。
しかしながら、回路のファインピッチ化が進行したことにより、回路幅が狭くなり、強度が低下するという問題が生じた。この結果、アウターリード部の断線が発生するという問題を生じた。
このため、本発明者等は、下記特許文献2に示すように、ポリイミドフィルム上にスパッタリング及びメッキ処理により銅層を形成した2層CCL材料を製造するに際し、特定の条件で熱処理することにより、耐屈折性を大きく向上させることができるとの知見を得、ポリイミドフィルム上にスパッタリング及びメッキ処理を用いて表面粗さ(Rz)が0.1μm以上、0.9μm以下の銅層を形成した2層銅張積層板を100°C以上、175°C以下の温度で熱処理し、JIS C6471に基づく耐屈折性試験により測定した150回以上の耐折性を保有させることができる2層銅張積層板の製造方法を提案した(特許文献2参照)。
この方法は、耐屈折性を向上させる上では非常に有効な方法であることが確認できたが、上記のように100°C以上、175°C以下の温度で熱処理した結果、表面が酸化し、変色するという問題が発生した。この表面酸化は導電性の低下になり、好ましいものではない。
このため、上記銅層の上に、さらに防錆層としてベンゾトリアゾール層を形成してみた。しかしこの場合、上記のように2層CCL材料を熱処理すると、防錆層のベンゾトリアゾール層が劣化し、同様に酸化変色するという問題が生じ、根本的な解決策とは言えなかった。
米国特許第5685970号公報 特願2007−337026号
上記の点に鑑み、本願発明は、ポリイミドフィルム上にスパッタリング及びメッキ処理により銅層を形成した2層銅張積層板(2層CCL材料)において、耐折性を向上させる熱処理後に、さらに酸化変色を防止できる2層銅張積層板の製造方法及び2層銅張積層板を得ることを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ポリイミドフィルム上にスパッタリング及びメッキ処理により銅層を形成した2層CCL材料を製造するに際し、防錆層としてCr及び/又はCr酸化物からなる層を形成することにより、酸化変色を防止させることができるとの知見を得た。
また、Cr及び/又はCr酸化物の代替層として、前記Zn及び/又はZn酸化物を加えた層、さらには前記、Cr及び/又はCr酸化物からなる層との複合層又は混合層でも、同様の防錆効果が得られることとの知見を得た。
これらの知見に基づき、本願は以下の発明を提供する。
(1)ポリイミドフィルム上にスパッタリングによりNi、Co、Crから選択した1種の金属層又はこれら2種以上の金属からなる合金層を形成し、さらにこの金属層又は合金層の上にスパッタリング又はメッキにより銅層を形成した2層銅張積層板であって、さらにこの銅層の上に、Cr及び/又はCr酸化物からなる層を備えていることを特徴とする2層銅張積層板。
(2)ポリイミドフィルム上にスパッタリングによりNi、Co、Crから選択した1種の金属層又はこれら2種以上の金属からなる合金層を形成し、さらにこの金属層又は合金層の上にスパッタリング又はメッキにより銅層を形成した2層銅張積層板であって、さらにこの銅層の上に、Zn及び/又はZn酸化物からなる層を備えていることを特徴とする2層銅張積層板。
(3)ポリイミドフィルム上にスパッタリングによりNi、Co、Crから選択した1種の金属層又はこれら2種以上の金属からなる合金層を形成し、さらにこの金属層又は合金層の上にスパッタリング又はメッキにより銅層を形成した2層銅張積層板であって、さらにこの銅層の上に、Cr及び/又はCr酸化物とZn及び/又はZn酸化物との複合層又は混合層を備えていることを特徴とする2層銅張積層板。
また、本願は以下の発明を提供する。
(4)銅層の表面粗さ(Rz)が0.1μm以上、0.9μm以下である上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の2層銅張積層板。
(5)Cr付着量が、Cr量換算で11.5μg/dm2以上、40.0μg/dm2以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の2層銅張積層板。
(6)Zn付着量が、Zn量換算で1000μg/dm2以下であることを特徴とする上記(2)〜(5)のいずれか一項に記載の2層銅張積層板。
(7)ポリイミドフィルム上にスパッタリングによりNi、Co、Crから選択した1種の金属層又はこれら2種以上の金属からなる合金層を形成し、さらにこの金属層又は合金層の上にスパッタリング又はメッキにより銅層を形成する2層銅張積層板の製造方法であって、さらにこの銅層の上に、スパッタリング又はメッキによりCr及び/又はCr酸化物層を形成することを特徴とする2層銅張積層板の製造方法。
(8)ポリイミドフィルム上にスパッタリングによりNi、Co、Crから選択した1種の金属層又はこれら2種以上の金属からなる合金層を形成し、さらにこの金属層又は合金層の上にスパッタリング又はメッキにより銅層を形成する2層銅張積層板の製造方法であって、さらにこの銅層の上に、スパッタリング又はメッキによりZn及び/又はZn酸化物からなる層を形成することを特徴とする2層銅張積層板の製造方法。
(9)ポリイミドフィルム上にスパッタリングによりNi、Co、Crから選択した1種の金属層又はこれら2種以上の金属からなる合金層を形成し、さらにこの金属層又は合金層の上にスパッタリング又はメッキにより銅層を形成する2層銅張積層板であって、さらにこの銅層の上に、スパッタリング又はメッキによりCr及び/又はCr酸化物とZn及び/又はZn酸化物との複合層又は混合層を形成することを特徴とする2層銅張積層板の製造方法。
本発明によって得られた2層銅張積層板は、耐折性を向上させ、回路のアウターリード部の破断を効果的に防止でき、さらに、酸化と酸化による変色が防止できるという優れた効果を得ることができる。
試験片の説明図である。
本発明の2層銅張積層板に使用されるポリイミドフィルムは、本発明を達成できるものであれば特に限定されないが、好ましくはBPDA−PPD系ポリイミドフィルムを用いる。
まず、真空チャンバー内でポリイミドフィルム表面をプラズマ処理により活性化させた後、スパッタリングによりNi、Co、Crの単独金属層又はこれらの2以上の金属からなる合金層、例えばNiCr層(20%Cr)を10〜30nm付着させる。
この層は、一般にタイコート層と呼ばれているものである。ポリイミドフィルム表面のプラズマ処理及びタイコート層は接着性を向上させる上で有効な手段である。
次に、このタイコート上に、スパッタリングによりサブミクロン程度の銅層を形成する。このようにして形成された銅層は、後に行われる電解銅層形成のための種となることから、銅シード層と呼ばれる。
次に、銅シード層を用いてメッキ処理を行う。メッキ処理は、例えば硫酸銅を用いた電気メッキにより行うことができる。メッキ時の電流密度、メッキ時間、電解液温度の調整により、メッキの厚さは任意に調節することができる。これにより、ポリイミドフィルムと銅層の2層銅張積層板を得ることができる。上記のように、銅のシード層が形成されているので、電気メッキが可能となる。
電気メッキ処理には、本出願人が提案したメッキ液(WO2006/080148公報参照)を用いることができる。因みに、同公報に記載するメッキ液は、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する化合物に水を付加反応させることにより得られる下記一般式(1)で記載する特定骨格を有する化合物を添加剤として含む銅電解液を使用するものである。
また、本出願人が先に提案したメッキ液(特開2004−107786号公報)に記載する電解液を使用してメッキすることもできる。
すなわち、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する化合物とアミン化合物とを付加反応させることにより得られる下記一般式(2)で記載される特定骨格を有するアミン化合物と有機硫黄化合物を添加剤として含む銅電解液を使用することができる。
(下記、一般式中(2)中、R及びRはヒドロキシアルキル基、エーテル基、芳香族基、芳香族置換アルキル基、不飽和炭化水素基、アルキル基からなる一群から選ばれるものであり、Aはエポキシ化合物残基を、nは1以上の整数を表す。)
また、上記において、前記特定骨格を有するアミン化合物のエポキシ化合物残基Aが、線状エーテル結合を有する電解液を使用することができる。
さらに、上記において、前記特定骨格を有するアミン化合物が、下記一般式(3)〜(10)のいずれかを含有することを特徴とする電解液を使用することができる。
(下記一般式(3)〜(10)式中、R及びRはヒドロキシアルキル基、エーテル基、芳香族基、芳香族置換アルキル基、不飽和炭化水素基、アルキル基からなる一群から選ばれるものである。)
さらに、上記において、前記有機化合物が、下記一般式(11)又は(12)で表される化合物である電解液を使用することができる。
X−R−(S)−R−YO (11)
−S−R−SO (12)
(一般式(11)及び(12)中、R、R及びRは、炭素数1〜8のアルキレン基であり、Rは水素及び下記一般式(13)[化11]からなる一群から選ばれるものであり、一般式(13)におけるXは水素、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸又はホスホン酸のアルカリ金属塩基又はアンモニウム塩基からなる群から選ばれるものであり、Yは硫黄又は燐のいずれかであり、Z及びZは水素、ナトリウム、カリウムのいずれかであり、nは2又は3である。)
しかしながら、このようにして形成される銅層は、スパッタリングや他の湿式メッキでも可能であることは言うまでもなく、製品形状又は目的に応じて任意に選択できる。
上記の電気メッキの条件によって形成したメッキの表面粗さは、非接触式表面粗さ計(Veeco社製)で測定した結果、Ra0.01−0.04、Rt0.14−1.0、Rz0.1−0.90を得ることができた。この表面粗さは、本願発明の好適な表面粗さの条件、すなわちRz:0.1μm以上、0.9μm以下を満たすものであった。
次に、ポリイミドフィルム上にスパッタリング及びメッキ処理を用いて銅層を形成した2層銅張積層板を、100°C以上、175°C以下の温度で熱処理することにより、JIS C6471に基づく耐屈折性試験により測定した150回以上の耐折性を保有させることができる。
JIS C6471に基づく耐屈折性試験の試験条件は、次の通りである。
R=0.38、荷重500gf、折り曲げ角度:135°±5°、175cpm(毎分175回の割合の折り曲げ)、L/Sが1mmの耐折製試験片を使用、
破断するまでの回数を、耐折性とする。
試験片の作製に際しては、前記熱処理後の2層銅張積層板上に、ドライフィルムを圧着し、これを露光してパターンを形成し、エッチング処理して銅の不要部分を除去する。そして最後にドライフィルムを除去して、ポリイミドフィルム上に回路を形成する。このようにして作製した試験片を用いる。
この回路形成法は、通常行われている方法であり、他の手法を行っても良い。
銅層のエッチング液には、通常下記の液組成のエッチング液を使用する。
(液組成)
塩化第二銅溶液(CuCl)、酸化銅(CuO)
塩酸(HCl):3.50mol/L(0〜6mol/Lの範囲で調整)
過酸化水素(H):30.0Cap(0〜99.9Capの範囲で調整)
これは、上記特許文献1に示す通り、耐屈折性を大きく向上できる優れた特性を得ることができる。しかしながら、問題が一つ生じた。それは上記熱処理により銅の酸化膜が形成され、銅表面に変色を生ずることである。
この酸化膜は、温度、湿度、時間により変動するが、銅の表面に大なり小なり酸化膜が形成されると、かかる銅表面が接点となる場合には導電性に影響を与え、その上にメッキするような場合には、メッキの付着性を低下させるという問題を有するものである。
このため、前記銅メッキ層の上に、さらに防錆層としてベンゾトリアゾール層を形成してみた。しかしこの場合、上記のように2層CCL材料を熱処理すると、防錆層のベンゾトリアゾール層が劣化し、同様に酸化変色するという問題が生じ、根本的な問題解決法とは言えなかった。
このため、本願発明者らは、鋭意検討した結果、銅層の上に、スパッタリング又はメッキによりCr及び/又はCr酸化物層を形成する試みを行った。この結果、上記の熱処理では、銅の酸化膜が形成され、又は銅表面に変色を生ずることが全くなくなった。また、これによって、本願発明の2層銅張積層板の耐屈折性に影響を与えることがなく、したがって、一連の工程により、耐屈折性を大きく向上させることができると共に、銅表面の耐酸化性を向上させ、かつ変色を防止することができる2層銅張積層板を得ることが可能となった。
この場合、銅層の上に、Cr及び/又はCr酸化物層を形成したが、これに替えて、スパッタリング又はメッキによりZn及び/又はZn酸化物からなる層を形成しても同様の効果を得ることができた。
また、上記から、銅層の上に、パッタリング又はメッキによりCr及び/又はCr酸化物とZn及び/又はZn酸化物との複合層又は混合層を形成することも、当然に可能であることは容易に理解されるべきものであり、本願発明はこれらを包含するものである。
銅層の表面粗さとしては、表面粗さ(Rz)が0.1μm以上、0.9μm以下である層銅張積層板であることが望ましい。これは、その後の防錆層を形成するのに有利であるということ、また2層銅張積層板としての機能を損なわない好ましい条件である。
防錆層として、Cr及び/又はCr酸化物の場合には、Cr量換算で11.5μg/dm2以上、40.0μg/dm2以下であることが望ましい。
11.5μg/dm2未満でも、それなりの効果があるのであるが、2層銅張積層板の熱処理の条件、すなわち温度、湿度、時間により、効き目が薄くなることがあるので、定常的な防錆膜としての効果を考慮すれば、11.5μg/dm2以上と言える。
一方、40.0μg/dm2を超えると効果が飽和し、それ以上の厚さは無駄となるので、上限値とした。しかし、必要に応じて、それ以上の厚さにすることを妨げるものではない。
また、防錆層として、Zn及び/又はZn酸化物の場合には、Zn量換算で1000μg/dm2以下とすることが望ましい。
これを超える厚みの場合には、効果が飽和すると共に、耐酸化性は向上するが、黄銅色(真鍮色)が出ること、また耐屈折性が低下するので、1000μg/dm2以下とするのが良いと言える。
なお、この耐屈折性が低下する原因は、熱処理によりZnがCuの中に拡散して合金になり、均一な銅層の一部が失われること(CuとCuZn合金層の2層構造になること)が原因と考えられる。しかし、このことを考慮しても、必要に応じて、なおかつそれ以上の厚さにすることを妨げるものではない。
一方、下限値は特に制限はない。それはわずかな量でも、それなりに耐酸化性及び耐変色性(防止効果)に影響を与えるからである。
上記から明らかなように、銅層の上に、Cr及び/又はCr酸化物とZn及び/又はZn酸化物との複合層又は混合層を形成することは、全く問題がない。この場合は、2層銅張積層板の耐酸化性及び耐変色性(防止効果)を考慮して任意に設計できることが、容易に理解されるであろう。
以下、本発明の特徴を、実施例及び比較例に基づいて、具体的に説明する。なお、以下の説明は、本願発明の理解を容易にするためのものであり、これに制限されるものではない。すなわち、本願発明の技術思想に基づく変形、実施態様、他の例は、本願発明に含まれるものである。
下記の実施例及び比較例は、いずれも防錆処理条件を変えた場合におけるによる防錆効果と耐屈折性を確認するためのものである。
(実施例1)
ポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製,Upilex SGA)の厚さ34μm品を使用し、スパッタリングによりNiCr層(20%Cr)を25nm被覆し、次に、スパッタリング及びメッキ処理により、厚さ8μmの銅層を形成した。さらに、表1に示す条件で防錆処理を実施した。
すなわち、クロムを含む電解液を使用し、CrO濃度:3g/L、pH:4.7、液温:50°C、電流密度:4.0A/dm2、電気量:6.0C/dm2という条件で、電気メッキを実施し、Cr及び/又はCrOを付着させた。Cr及び/又はCrO付着量はCr換算で13.2μg/dm2であった。なお、この場合、CrとCrOとの存在比を確定することは極めて難しいので、いずれもCr換算量とした。
この2層銅張積層板を、熱処理炉を使用し、170°C、2時間熱処理した。熱処理後、長さ方向に1mの範囲を目視し、酸化(変色)しているか否か、観察した。さららに、この熱処理後の2層銅張積層板上に、ドライフィルムをラミネートし、これをさらに、露光してパターンを形成し、上記エッチング液によりエッチング処理により銅の不要部分を除去して、L/S=1mmの回路を形成した。
そして、最後にドライフィルムを除去して、15mm×130mmサイズの試験片を作製した。ポリイミドフィルム上の回路は連続した1本から構成されるが、ポリイミドフィルムの長手方向に折り返して、平行に6本の回路が並列する構造となっている。試験片の説明図を、図1に示す。
この試験片を用いて、JIS C6471に基づく耐屈折性試験を行った。試験機は、テスター産業製を使用した。試験は、R=0.38、荷重:500gf、曲げ角度:135度、175cpm(毎分175回の割合の折り曲げ)の条件で実施した。この結果、熱処理後の耐折性は、いずれも180回以上となり、優れた耐折性が得られた。このとき、表1に示すように、銅層表面は酸化による変色は全く観察されなかった。
(実施例2)
上記実施例1と同様に銅メッキまで行い、さらに防錆処理条件を表1に示したCrO濃度:3g/L、Zn濃度:0.5g/L、pH:4.7、液温:50°C、電流密度:4.0A/dm2、電気量:6.0C/dm2という条件で、電気メッキを実施し、Cr及び/又はCrOとZn及び/又はZnOを付着させた。Cr及び/又はCrO付着量はCr換算で22.8μg/dm2で、Zn及び/又はZnO付着量はZn換算で124.0μg/dm2であった。他の条件は、実施例1と同一の条件とした。
なお、この場合、CrとCrOとの存在比及びZn及びZnOの存在比を確定することは極めて難しいので、いずれもCr換算量、Zn換算量とした。
さらに、この2層銅張積層板を実施例1と同じ条件で熱処理を行った後、熱処理後の耐折性と酸化の有無を観察した。
これらの結果、熱処理後の耐折性はいずれも180回以上であり、表1に示すように、酸化による変色は全く観察されなかった。
(実施例3)
上記実施例1と同様に銅メッキまで行い、さらに防錆処理条件を表1に示したCrO濃度:3g/L、Zn濃度:4g/L、pH:4.7、液温:50°C、電流密度:4.0A/dm2、電気量:20C/dm2という条件で、電気メッキを実施し、Cr及び/又はCrOとZn及び/又はZnOを付着させた。Cr及び/又はCrO付着量はCr換算で25.4μg/dm2で、Zn及び/又はZnO付着量はZn換算で986.2μg/dm2であった。他の条件は、実施例1と同一の条件とした。
なお、この場合、CrとCrOとの存在比及びZn及びZnOの存在比を確定することは極めて難しいので、いずれもCr換算量、Zn換算量とした。
さらに、この2層銅張積層板を実施例1と同じ条件で熱処理を行った後、熱処理後の耐折性と酸化の有無を観察した。
これらの結果、熱処理後の耐折性はいずれも180回以上であり、表1に示すように、酸化による変色は全く観察されなかった。
(実施例4)
上記実施例1と同様に銅メッキまで行い、さらに防錆処理条件を表1に示したCrO濃度:1.5g/L、Zn濃度:1g/L、pH:4.7、液温:50°C、電流密度:4.0A/dm2、電気量:6.0C/dm2という条件で、電気メッキを実施し、Cr及び/又はCrOとZn及び/又はZnOを付着させた。Cr及び/又はCrO付着量はCr換算で11.6μg/dm2で、Zn及び/又はZnO付着量はZn換算で117.3μg/dm2であった。他の条件は、実施例1と同一の条件とした。
なお、この場合、CrとCrOとの存在比及びZn及びZnOの存在比を確定することは極めて難しいので、いずれもCr換算量、Zn換算量とした。
さらに、この2層銅張積層板を実施例1と同じ条件で熱処理を行った後、熱処理後の耐折性と酸化の有無を観察した。
これらの結果、熱処理後の耐折性はいずれも180回以上であり、表1に示すように、酸化による変色は全く観察されなかった。
(実施例5)
上記実施例1と同様に銅メッキまで行い、さらに防錆処理条件を表1に示したCrO濃度:6g/L、Zn濃度:1g/L、pH:4.7、液温:50°C、電流密度:4.0A/dm2、電気量:6.0C/dm2という条件で、電気メッキを実施し、Cr及び/又はCrOとZn及び/又はZnOを付着させた。Cr及び/又はCrO付着量はCr換算で49.3μg/dm2で、Zn及び/又はZnO付着量はZn換算で131.5μg/dm2であった。他の条件は、実施例1と同一の条件とした。
なお、この場合、CrとCrOとの存在比及びZn及びZnOの存在比を確定することは極めて難しいので、いずれもCr換算量、Zn換算量とした。
さらに、この2層銅張積層板を実施例1と同じ条件で熱処理を行った後、熱処理後の耐折性と酸化の有無を観察した。
これらの結果、熱処理後の耐折性はいずれも180回以上であり、表1に示すように、酸化による変色は全く観察されなかった。
(比較例1)
上記実施例1と同様に銅メッキまで行い防錆処理条件を表1に示したCrO濃度:3g/L、Zn濃度:5g/L、pH:4.7、液温:50°C、電流密度:4.0A/dm2、電気量:20C/dm2という条件で、電気メッキを実施し、Cr及び/又はCrOとZn及び/又はZnOを付着させた。Cr及び/又はCrO付着量はCr換算で21.8μg/dm2で、Zn及び/又はZnO付着量はZn換算で1362.4μg/dm2であった。他の条件は、実施例1と同一の条件とした。
なお、この場合、CrとCrOとの存在比及びZn及びZnOの存在比を確定することは極めて難しいので、いずれもCr換算量、Zn換算量とした。
この2層銅張積層板を実施例1と同じ条件で熱処理を行った後、酸化の有無を観察した。この結果、比較例1では、外観が黄銅色に変色し、耐折性は実施例よりも低下する結果となった。この原因は、防錆層として付着したZn量が多かったため、熱処理により、拡散して合金になったと考えられる。
(比較例2)
上記実施例1と同様に銅メッキまで行い防錆処理条件を一般的な有機防錆処理であるベンゾトリアゾールで処理した以外は同じである。
この2層銅張積層板を実施例1と同じ条件で熱処理を行ったところ、150回程度の耐折性が得られたが、酸化による変色が観察された。
本発明によって得られた2層銅張積層板は、耐折性を向上させ、回路のアウターリード部の破断を効果的に防止できることに加え、熱などによる酸化を防ぐという優れた効果を得ることができるので、ファインピッチな回路が要求される液晶ディスプレイ等のドライバIC搭載用回路材料として最適である。

Claims (3)

  1. ポリイミドフィルム上にスパッタリングによりNi、Co、Crから選択した1種の金属層又はこれら2種以上の金属からなる合金層を形成し、さらにこの金属層又は合金層の上にスパッタリング又はメッキにより銅層を形成した2層銅張積層板であって、さらにこの銅層の上に、Cr及び/又はCr酸化物とZn及び/又はZn酸化物との複合層又は混合層を備え、該複合層又は混合層は、Cr付着量が、Cr量換算で11.5μg/dm2以上、40.0μg/dm2以下であり、Zn付着量が、Zn量換算で1000μg/dm2以下であることを特徴とする2層銅張積層板。
  2. 銅層の表面粗さ(Rz)が0.1μm以上、0.9μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の2層銅張積層板。
  3. ポリイミドフィルム上にスパッタリングによりNi、Co、Crから選択した1種の金属層又はこれら2種以上の金属からなる合金層を形成し、さらにこの金属層又は合金層の上にスパッタリング又はメッキにより銅層を形成する2層銅張積層板の製造方法であって、さらにこの銅層の上に、スパッタリング又はメッキによりCr及び/又はCr酸化物とZn及び/又はZn酸化物との複合層又は混合層を形成し、該複合層又は混合層は、Cr付着量が、Cr量換算で11.5μg/dm2以上、40.0μg/dm2以下であり、Zn付着量が、Zn量換算で1000μg/dm2以下とすることを特徴とする2層銅張積層板の製造方法。
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