JP5461495B2 - ワーク回収装置 - Google Patents

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Description

この発明は、スポット溶接機等の加工機で加工されたワークの回収作業を補助するためのワーク回収装置に関する。
小型部品等の溶接加工に用いられるスポット溶接機では、ワークと被接合品(ナットなど)を専用の治具(位置決めピン等)にセットして溶接を行う。加工後のワークは、作業者の手作業により一個ずつ治具から取り出されてコンテナ等の回収容器に移されるのが一般的である。
このようなワークの回収作業は、ワークの数量が少ないときは労力が少なくて済むが、数量の多い長時間の作業になると、作業者の負担が大きくなり、作業効率が低下する要因となる。特に、スポット溶接機では、溶接火花(スパッタ)がワーク周囲に飛散している中でワークの回収作業が行われることもあるから、より快適な作業環境を提供するために、加工後のワークの回収作業を補助する手段が求められていた。
なお、従来、スポット溶接機等の加工機において、上記問題を解決するようなワーク回収装置は知られていない。発明者らが調査したところでは、ワークシューターに関する先行技術として特許文献1〜3等が開示されている。
特開2008−142733号公報 特開2001−129625号公報 実開平6−61330号公報
このような現状の下、本発明者らは、スポット溶接機において作業者によるワーク回収の作業の負担を軽減し、作業効率を向上させるため、加工後のワークを治具から回収容器に自動回収するワーク回収装置を発案した。説明の便宜上、このワーク回収装置を従来例として下記に説明する。
図11に示すように、ワーク回収装置5は、ワークWにナットNを溶接するためのスポット溶接機1に適用される。スポット溶接機1は、下部電極2aと上部電極2bとの間にワークWの治具となる位置決めピンPが設けられる。この位置決めピンPにはナット供給装置3のピストンロッド3aによりナットNが一個ずつ供給される。位置決めピンPにワークWとナットNがセットされた状態で、上部電極2bが下降し、下部電極2aとの間の通電によりワークWとナットNの溶接加工を行う。
ワーク回収装置5は、リフター6とシュート7とを備える。リフター6は、ワークWの下面片側を支持する可動部材6aを有し、この可動部材6aが上下に往復動する。シュート7は、樋状の部材でその内側にワークWの滑落通路が形成される。位置決めピンPの下方位置から回収容器Kの開口位置に向けてシュート7が一定の傾斜を保って連なっている。
ワークWとナットNの溶接が完了すると、その直後のタイミングでリフター6が可動部材5aによりワークWを位置決めピンPの斜め上方に跳ね上げる。すると、図11二点鎖線に示すように、シュート7の上流部にワークWが落下し、シュート7内を自重により滑落して回収容器Kに回収される。
このようなワーク回収装置5によれば、作業者が加工後のワークWに触れることなく、リフター6とシュート7の連繋によりワークWが回収容器Kに回収される。このため、作業者の負担が軽減され、スポット溶接の作業効率を高めることができる。
ところが、このような従来例のワーク回収装置5を使用するに伴い、新たな問題が生じてきた。つまり、ワーク回収装置5において、ワークWやナットNの位置ずれ等によりスポット溶接が正常に行われない場合、溶接不良のワークWが発見されないまま回収容器Kに入り込むことがある。このため、従来例の構成では、回収容器Kに回収されたワークWを再チェックする手間が生じ、作業者の負担が却って増大することが起こりうる。
上記溶接不良の対策として、加工後のワークWをセンサやカメラでチェックして異常があればリフター6の動作を停止させることが考えられるが、溶接不良の原因は一様ではなく、センサやカメラでは信頼性に欠ける面がある。また、溶接不良をチェックするためのセンサやカメラの付加コストが嵩む。
本発明の目的は、スポット溶接機などによる加工後のワークを回収容器に自動回収することで作業者の負担を軽減し、しかも、加工不良のワークを簡単かつ確実にチェックすることを可能にしたワーク回収装置を提供することにある。
[第1発明]
前記課題を解決するために本発明のワーク回収装置は、以下の構成を採用することとした。すなわち、第1発明のワーク回収装置は、スポット溶接機等の加工機により加工されたワークを回収容器に回収するワーク回収装置であって、
前記加工機の定位置にワークを保持する治具と、
この治具の下方位置から前記回収容器の開口位置に向けて下向き傾斜をもって連なるシュートと、
前記治具に保持されたワークを下方から跳ね上げ可能なリフターとを備え、
前記治具に保持されたワークが前記加工機により加工された直後のタイミングで、前記リフターが前記ワークを跳ね上げて前記シュート内に滑落させるように構成されており、
さらに、
前記シュートの滑落通路の途中に開閉可能に設けられるシュートゲートと、
前記シュートゲートの開閉状態を自動的に切り替えるシュートゲート開閉機構とを備え、
前記シュートゲート開閉機構は、
前記リフターによりワークが跳ね上げられて前記シュート内に滑落するとき、前記シュートゲートを閉鎖状態に保つことにより、前記シュートゲートの上流側に前記ワークを保持するように構成される一方、
前記リフターにより新たなワークが跳ね上げられて前記シュート内に滑落するときには、前記シュートゲートを一時的に開放状態に切り替えることでゲート上流側の前記ワークをゲート下流側に滑落させ、かつ、閉鎖状態に復帰した前記シュートゲートにより前記新たなワークを前記シュートゲートの上流側に保持する構成とした。
このような構成によれば、従来例のワーク回収装置と同様に、加工後のワークWがリフターで跳ね上げられてシュートに入り、シュート内を滑落して回収容器に回収される。つまり、リフターとシュートの連繋により加工後のワークを治具から回収容器に自動回収することができる。これにより、作業者によるワーク回収の手間を軽減し、作業効率を向上させることができる。特に、本発明をスポット溶接機に適用する場合は、作業者が加工後のワークに触れる機会が減ることにより溶接火花(スパッタ)の影響を抑えることができる。
また、本発明の構成によれば、加工後のワークがシュートを滑落するとき、このワークがシュートゲートに一旦保持され、新たなワークがシュートを滑落するときに先のワークがシュートゲートを通過して回収容器に入る。作業者は、シュートゲートに保持されたワークに異常を感じたら、回収容器に入る前にワークの加工状態をチェックすることで加工不良を容易に発見することができる。この結果、作業者のワーク回収の負担を軽減した上で、加工不良の少ない信頼性の高い作業を実現することが可能になる。
[第2発明]
第1発明において、発明者らがスポット溶接機において試作試験を行ったところ、溶接不良のワークは、シュートゲートにおけるチェックにより極めて高い確率で取り除けることが確認された。
しかしながら、回収容器に回収されたワークを調査すると、僅かな確率ではあるが未加工のワークが混じり込むことがある。この原因について検討を重ねた結果、未加工のワークを治具(位置決めピン)にセットする際に、このワークに別の未加工のワークが引っ掛かるなどして手元に移動し、シュートに落下することがある点が判明した。未加工のワークが作業者の気付かないうちにシュートに入ると、加工後のワークと一緒にシュートを滑落して回収容器に入ってしまう。回収容器に多数のワークが入っていると、未加工のワークが正常なワークに紛れて分からなくなる。
そこで、本発明者らは、第1発明をさらに改良し、下記の第2発明を完成するに至った。すなわち、第2発明によるワーク回収装置は、請求項1記載のワーク回収装置であって、
前記治具の側方に開口するホッパーと、
前記ホッパーの内側に開閉可能に設けられるホッパーゲートと、
前記ホッパーゲートの開閉状態を自動的に切り替えるホッパーゲート開閉機構とを備え、
前記ホッパーゲート開閉機構は、
前記リフターによりワークが跳ね上げられて前記ホッパー内に入る正常時には、前記ホッパーゲートを閉鎖状態から開放状態に一時的に切り替えて、前記ホッパーを通して前記ワークを前記シュート内に落下させるように構成され、
前記リフターによりワークが跳ね上げられることなく前記ホッパー内に入る異常時には、前記ホッパーゲートを閉鎖状態に保ったまま所定の警報手段により作業者に異常を知らせる構成とした。
第2発明のワーク回収装置によれば、未加工のワークが作業者の知らない間に手元にから落ちても、シュートに入る前にホッパーに入り、ホッパーゲートに受け止められる。そして、警報手段により作業者に異常が報知される。この結果、未加工のワークをホッパーから取り除いてシュート側に流れるのを未然に防止することができ、さらに信頼性の高い加工作業を実現し、歩留まりを向上させることができる。
本発明のワーク回収装置は、スポット溶接機(プロジェクション溶接機を含む。)の他、プレス機に適用してもよい。その他、自動カシメ機にクリンチナットを供給する装置に適用することもできる。加工後のワークを治具から取り出して回収容器に回収するものであれば加工機の種類は問わない。
本発明において、「リフター」は、治具からシュート側へワークを送る機能を備えていればよく、ワークの下方から機械的に跳ね上げる構成の他、空気圧でワークを浮き上がらせてシュート側へ送る構成を採用することもできる。
「シュート」と「ホッパー」は、必ずしも別体で構成する必要はなく、本発明の目的を達成するものであれば一体的な構成にしてもよい。
「警報手段」は、ホッパーゲートに未加工のワークが入ったときに機械的または電気的に検知して音声・発光で知らせるものであればよく、例えばブザーやパトライト等を採用することができる。
もちろん本発明には明細書に記載される他の発明を組み合わせることもできる。
本発明の実施形態によるスポット溶接機とワーク回収装置を示す概略構成図である。 同ワーク回収装置の斜視図である。 同ワーク回収装置を示す概略構成図である。 同ワーク回収装置のリフターおよびホッパーの構成を説明するもので、(A)はワークが治具(位置決めピン)に保持された状態、(B)はワークが治具(位置決めピン)からホッパーへ送られる状態を示す部分拡大図である。 同ワーク回収装置のホッパーおよびシュートの構成を示す断面図である。 同ワーク回収装置の制御器を示す概略構成図である。 同ワーク回収装置の正常時の作用を説明するもので、ワークがホッパーを通過する状態を示す断面図である。 図7の状態からワークがシュートゲートに保持された状態を示す断面図である。 図8の状態から新たなワークがホッパーを通過する状態を示す断面図である。 同ワーク回収装置の異常時の作用を説明するもので、ワークがホッパーゲートに保持された状態を示す断面図である。 比較例によるスポット溶接機とワーク回収装置を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明のワーク回収装置の実施形態を図1に示した。ワーク回収装置10は、ワークWにナットNを溶接するためのスポット溶接機1に適用されるものである。
スポット溶接機1は、下部電極2aと上部電極2bとの間にワークWの治具となる位置決めピンPが設けられる。スポット溶接機1の側方には位置決めピンPにナットNを供給するためのナット供給装置3が取り付けられる。作業者が位置決めピンPにワークWをセットした状態でフットスイッチFを踏み込むと、ナット供給装置3のロッド3aによりナットNが一個ずつ位置決めピンPに供給され、ワークWの上にセットされる。次いで、上部電極2bが下降して下部電極2aに通電し、ワークWとナットNが溶接される。
溶接後のワークWは、本実施形態のワーク回収装置10によりコンテナ等の回収容器Kに集められる(図2参照)。回収容器Kは、架台Mに載せられてその設置位置が調整される。適量のワークWが回収容器Kに回収されたら、新たな回収容器Kに交換するか、回収容器KのワークWを別の容器に移すことになる。
ワーク回収装置10は、その主要な構成部分としてリフター12とホッパー13とシュート15とを備えている。図3に示すように、下部電極2aを挟んで一方にリフター12が設けられ、他方にホッパー13が設けられる。ホッパー13の下方にはシュート15が配置される。位置決めピンPに保持されたワークWは、ナットNの溶接加工が完了した後、リフター12により跳ね上げられ、ホッパー13を通してシュート15に入り、シュート15を滑落して回収容器Kに回収される。
リフター12は、ソレノイド21、支柱22、シリンダ23、可動部材24等により構成されている(図4参照)。ソレノイド21の下向きの駆動軸21aに連繋部材(図示省略)を介してシリンダ23が連結される。シリンダ23の上端には、ワークWの下面片側を支持可能な可動部材24が設けられる。
ソレノイド21の通電時には、図4(B)に示すように、駆動軸21aが上方へ引き込まれ、連繋部材(図示省略)を介してシリンダ23が上方へ押し上げられる。同時に、可動部材24が上昇してワークWの下面片側を跳ね上げる。これにより、ワークWが位置決めピンPから取り出されてホッパー13側に落下する(図4(B)矢印参照)。
可動部材の24の上端面には、図4で位置決めピンPに向けて下方に傾く傾斜面が形成されている。可動部材24がワークWを跳ね上げる際にはこの傾斜面がワークWの下面片側に当たる。これによりワークWが図4で右側に押されてホッパー13の内側に落下しやすくなっている。
ホッパー13は、下部電極2aに隣り合ってほぼ垂直に設置されるもので、その矩形筒状の開口部(図2参照)が位置決めピンPの直ぐ側方に設けられる。図2に示すように、ホッパー13の筒側壁のうち下部電極2aに隣り合う側壁13aの上端は、位置決めピンPよりも低い位置に抑えられて位置決めピンPからホッパー13に入るワークWとの干渉が抑えられている。下部電極2aから最も離れた側壁13bの上端は、位置決めピンPよりも高い位置まで延び、ワークWがホッパー13を超えてシュート15側に落下するのを防止している。
図4および図5に示すように、ホッパー13の内側にはホッパーゲート14が設けられる。このホッパーゲート14は、ソレノイド31、連繋部材32、支軸33、駆動ギア(図示省略)、バネ部材(図示省略)等からなるホッパーゲート開閉機構よって支持される。
ホッパーゲート開閉機構は、ホッパー13の外側にソレノイド31が固定され(図4参照)、その駆動軸31aに連繋部材32が連結される。ソレノイド31の駆動軸31aにホッパーゲート14の支軸33が連動するようになっている。ソレノイド31が作動していない通常時には、バネ部材(図示省略)の付勢力によりホッパーゲート14が閉鎖状態に保たれる(図4(A)参照)。ソレノイド31の通電時には、駆動軸31aがバネ部材(図示省略)の付勢力に反して連繋部材32を駆動し、ホッパーゲート14が閉鎖状態から開放状態に切り替わる(図4(B)参照)。
図5に示すように、ホッパー13には、閉鎖状態のホッパ−ゲート14の上流側で金属片を検知可能な検知手段が設けられる。この検知手段は、金属等の導電材からなるホッパー13およびホッパ−ゲート14と、これらに接続されるリード線35,36と、警報ブザー52(図6参照)とを有する。リード線35,36には後述の制御器50の電源により所定の電圧が負荷される。
ホッパー13の内壁面とホッパーゲート14との間には、若干の隙間Sが設けられており(図5参照)、ホッパーゲート14が閉鎖状態のときには、この隙間Sによってリード線35,36が通電することはない。図5に示すように、閉鎖状態のホッパーゲート14の上流側にワークW等の金属片が入ると、ホッパーゲート14の傾斜により金属片が下方に滑り落ち、ホッパー13の内壁面に接触してリード線35,36を電気的に接続する。これにより、警報ブザー52のスイッチがOFFからONに切り替わり、警報ブザー52の音によって作業者に金属片の存在を知らせることになる。
シュート15は、樋状の金属板からなるもので、その内側にワークWの滑落通路が形成される。位置決めピンPの下方位置から回収容器Kの開口位置に向けて一定の下向き傾斜をもって連なる(図3参照)。シュート15の上端はホッパー13の直ぐ下に開放し、下端は回収容器Kの直ぐ上に開放している。ホッパー13からシュート15の上流部に落下したワークWは、シュート15内を滑落して回収容器Kに入る。
シュート15の途中にはシュートゲート16が設けられる。シュートゲート16は、図2に示すように、フレーム41、支軸42、連繋部材43,44、ソレノイド45、バネ部材46等からなるシュートゲート開閉機構により支持される。
シュートゲート開閉機構は、シュート15の外側にソレノイド45が固定され、その駆動軸45aに連繋部材43,44が連結される。ソレノイド45の駆動軸45aに連繋部材43,44を介してシュートゲート16の支軸42が連動する。ソレノイド45が通電しない通常時には、バネ部材46の付勢力によりシュートゲート16が閉鎖状態に保たれる(図5符号16の実線)。ソレノイド45の通電時には、駆動軸45aがバネ部材46の付勢力に反して連繋部材32を駆動し、シュートゲート16が閉鎖状態から開放状態に切り替わる(図5符号16の二点鎖線参照)。
次に、ワーク回収装置10における制御器50の構成を図6に示した。制御器50は、リフター12、ホッパーゲート14およびシュートゲート16、並びに警報ブザー52の作動タイミングを制御する。
制御器50の主要な構成としては、中継端子51、リレーR1〜R4、および制御タイマT1〜T3を備えている。中継端子51にはフットスイッチFの配線が接続される他、リフター12、ホッパーゲート14およびシュートゲート16の各ソレノイド21,31,45の配線と、ホッパー13およびホッパーゲート14のリード線35,36とが接続される。
リレーR1〜R3は、フットスイッチFの起動信号に基づいてリフター12、ホッパーゲート14およびシュートゲート16の各ソレノイド21,31,45の通電をON・OFFする。リレーR4は、リード線35,36からの検知信号に基づいて警報ブザー52の通電をON・OFFする。
制御タイマT1〜T3は、リフター12、ホッパーゲート14およびシュートゲート16の各ソレノイド21,31,45がワークを移動させるタイミングに合わせて通電の開始時間および終了時間を制御する。つまり、制御タイマT1〜T3の設定時間によってワークWを回収容器Kに自動回収するためのリフター12の上下移動、ホッパーゲート14の開閉、およびシュートゲート16の開閉の一連の動作が実現される。
なお、フットスイッチFは、所定の設定時間だけペダルが踏み込まれる場合にスポット溶接機をON状態にし、リレーR1〜R3に起動信号を送る。ペダルの踏み込みが設定時間に満たない場合には、スポット溶接機をOFF状態のまま保持し、リレーR1〜R3に起動信号を送らないようになっている。これにより、フットスイッチFによる誤操作が未然に防止されることになる。
次に、ワーク回収装置10の作用・効果について説明する。
スポット溶接機1を使用する場合、作業者は、まず位置決めピンPに未加工のワークWの孔を嵌め合わせてセットする。この状態でフットスイッチFのペダルを踏むと(スイッチON)、ナット供給装置3のロッド3aにより位置決めピンPにナットNが供給され、次いで、上部電極2bが下降してワークWとナットNを加圧し、両者を通電して溶接加工を行う。
溶接が完了すると、その直後のタイミングでリフター12の可動部材24がワークWを斜め上方へ跳ね上げてホッパー13内に落とす。そして、図7に示すように、可動部材24の跳ね上げ直後のタイミングでホッパーゲート14が閉鎖状態から開放状態に切り替わり、ワークWがホッパーゲート14を通過してシュート15内に落下する。次いで、ワークWがシュート15内を滑落してシュートゲート16の上流側に一旦保持される(図8参照)。可動部材24とホッパーゲート14は、ワークWを下流側に移動させた後に直ぐに元の状態に復帰する。
続いて、フットスイッチFのペダルを踏んで新たなワークWの溶接を行うと、図9に示すように、溶接後の新たなワークWがリフター12によってホッパー13側に移動し、先のワークWと同様にホッパーゲート14を通過してシュート15内に落下する。同時にシュートゲート16が閉鎖状態から開放状態に一時的に切り替わり、ゲート上流側に保持されていた先のワークWがゲート下流側に移動して回収容器Kに落下する。そして、シュートゲート16内に落下した新たなワークWが、閉鎖状態に復帰したシュートゲート16の上流側に先のワークWと同様に保持される(図8参照)。
このようにワーク回収装置10では、加工後のワークWが位置決めピンPからホッパー13にリフター12により移動する正常時には、上記の動作を繰り返すことで加工後のワークWを一個ずつ回収容器Kに送る。加工後のワークWは、回収容器Kに入る前にシュートゲート16の上流側に一旦保持され、必要に応じて作業者により溶接状態をチェックされることになる。
一方、図10に示すように、スポット溶接機1が作動する前に未加工のワークWmが直接ホッパー13に入るような異常時には、閉鎖状態のホッパーゲート14の上流側に未加工のワークWmが載り、ホッパーゲート14の傾斜に沿ってホッパー13の内壁に突き当たるまで滑り落ちる。すると、ホッパー13とホッパーゲート14のリード線35,36が通電し、制御器50が警報ブザー52のスイッチをOFFからONに切り替える。これにより、警報ブザー52のブザー音により作業者に異常を知らせる。
作業者が未加工のワークWをホッパー13から取り除くと、リード線35,36の通電が遮断され、制御器50が警報ブザー52のスイッチをOFFに戻し、ブザー音を停止する。これにより、ワーク回収装置10が元の待機状態に復帰する。
なお、警報ブザー52は、適当な箇所に手動スイッチを設けて作業者が手元でON・OFFを切り替え可能にしてもよい。
このように本実施形態のワーク回収装置10によれば、溶接後のワークWを位置決めピンPから回収容器Kまでリフター12、ホッパー13およびシュート15の連繋によって作業者の手に触れることなく回収容器Kに自動回収することができる。これにより、作業者の作業負担を大幅に軽減し、作業効率を向上させることができる。
また、ワークWが回収容器Kに回収される前にシュートゲート16に一旦保持されるため、保持されたワークWを取り上げて視認することで、加工ミスを簡単にチェックすることができる。ワークWやナットNの位置、溶接時間等が正常時と異なるようなときには、作業者がシュートゲート16で加工後のワークWをチェックすることで、回収容器Kに不良品が送られるのを未然に防止することができる。
さらに、ワーク回収装置10では、スポット溶接機1が作動する前に、作業者の手元から未加工のワークWmがホッパー13に落ちるようなことがあっても、閉鎖状態のホッパーゲート14で受け止めて警報ブザー52で作業者に知らせるため、未加工のワークWmが回収容器Kに混入するのを未然に防止することができる。未加工のワークWmに限らず、ナットNや他の金属片などが誤ってホッパー13に入る場合にも、同様にホッパーゲート14で受け止めて直ぐに取り除くことができる。
この結果、未加工のワークWmや金属片が回収容器Kに送られる問題を効果的に解消することができ、溶接加工の歩留まりを大幅に向上させることができる。
以上、本発明の実施形態によるワーク回収装置10を説明したが、本発明の実施形態はこれに限られることなく、種々の変形・変更を伴ってもよい。
前述の実施形態では、ワーク回収装置10をスポット溶接機1に適用しているが、治具の定位置にワークを保持して加工する作業機械であれば、プロジェクション溶接機、プレス機、自動カシメ機等にも適用することができる。
ホッパ−ゲート14の上流側で未加工のワークWを検知する手段としては、前述の実施形態では導電性のワークWを通電経路として利用してリード線35,36で電気的に検知するようにしているが、その他の実施形態としては、ホッパー13の適当な箇所に近接センサ、光電センサ等を取り付けて未加工のワークWを検知する構成を採用してもよい。
1・・スポット溶接機、2a・・下部電極、2b・・上部電極、10・・ワーク回収装置、12・・リフター、13・・ホッパー、14・・ホッパーゲート、
15・・シュート、16・・シュートゲート、
21・・ソレノイド、22・・支柱、23・・シリンダ、24・・可動部材、
31・・ソレノイド、32・・連繋部材、33・・支軸、
41・・フレーム、42・・支軸、43,44・・連繋部材、
45・・ソレノイド、46・・バネ部材、
50・・制御器、51・・中継端子、52・・警報ブザー、
F・・フットスイッチ、N・・ナット、P・・位置決めピン、S・・隙間
R1〜R4・・リレー、T1〜T3・・制御タイマ、
W・・ワーク、Wm・・未加工のワーク

Claims (2)

  1. スポット溶接機等の加工機により加工されたワークを回収容器に回収するワーク回収装置であって、
    前記加工機の定位置にワークを保持する治具と、
    この治具の下方位置から前記回収容器の開口位置に向けて下向き傾斜をもって連なるシュートと、
    前記治具に保持されたワークを下方から跳ね上げ可能なリフターとを備え、
    前記治具に保持されたワークが前記加工機により加工された直後のタイミングで、前記リフターが前記ワークを跳ね上げて前記シュート内に滑落させるように構成されており、
    さらに、
    前記シュートの滑落通路の途中に開閉可能に設けられるシュートゲートと、
    前記シュートゲートの開閉状態を自動的に切り替えるシュートゲート開閉機構とを備え、
    前記シュートゲート開閉機構は、
    前記リフターによりワークが跳ね上げられて前記シュート内に滑落するとき、前記シュートゲートを閉鎖状態に保つことにより、前記シュートゲートの上流側に前記ワークを保持するように構成される一方、
    前記リフターにより新たなワークが跳ね上げられて前記シュート内に滑落するときには、前記シュートゲートを一時的に開放状態に切り替えることでゲート上流側の前記ワークをゲート下流側に滑落させ、かつ、閉鎖状態に復帰した前記シュートゲートにより前記新たなワークを前記シュートゲートの上流側に保持するように構成されたことを特徴とする、ワーク回収装置。
  2. 請求項1記載のワーク回収装置であって、
    前記治具の側方に開口するホッパーと、
    前記ホッパーの内側に開閉可能に設けられるホッパーゲートと、
    前記ホッパーゲートの開閉状態を自動的に切り替えるホッパーゲート開閉機構とを備え、
    前記ホッパーゲート開閉機構は、
    前記リフターによりワークが跳ね上げられて前記ホッパー内に入る正常時には、前記ホッパーゲートを閉鎖状態から開放状態に一時的に切り替えて、前記ホッパーを通して前記ワークを前記シュート内に落下させるように構成され、
    前記リフターによりワークが跳ね上げられることなく前記ホッパー内に入る異常時には、前記ホッパーゲートを閉鎖状態に保ったまま所定の警報手段により作業者に異常を知らせるように構成される、ワーク回収装置。
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