以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについて重複する説明は省略する。
図1は、本発明における遊技機1の外観構成の一例を示す正面図である。この遊技機1は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が各種入賞口に入球すると賞球を払い出すように構成された弾球式の遊技機である。
図1に示すように、遊技機1は、遊技機本体1aの正面側に開閉可能に取り付けられた前枠部材3を備えている。前枠部材3は、その中央に透明ガラス板2aが嵌め込まれた窓部2を有している。遊技者は、この透明ガラス板2aを介して遊技機1の正面側から遊技機本体1aに取り付けられる遊技盤10を視認可能である。前枠部材3は、窓部2の下部右側に、遊技者が操作するハンドルレバー4を備えている。遊技者がこのハンドルレバー4を右回り方向(時計回り方向)に回転操作すると、その操作角度に応じた打球力で遊技球が遊技盤10の盤面に所定の時間間隔で打ち出されるようになっている。
また前枠部材3は、窓部2の上部左右両側に設けられた一対のスピーカ5と、窓部2の上部および下部のそれぞれ中央に設けられた枠ランプ6とを備えている。スピーカ5は楽曲や音声、効果音などを発することで各種の演出を行い、枠ランプ6は点灯点滅のパターンや発光色の違いなどで各種の演出を行うように構成されている。
図2は、本実施形態における遊技盤10の一例を示す正面図である。遊技盤10は、正面側に相当する遊技盤面10aに、外側レール11と内側レール12とで囲まれた遊技領域13を有している。この遊技領域13は、前枠部材3の透明ガラス板2aを介して遊技機1の正面側から遊技者が視認可能である。遊技者がハンドルレバー4を操作することによって打ち出される遊技球は、遊技領域13の左側に設けられた外側レール11と内側レール12の間の空隙から遊技領域13の上部に打ち出される。
遊技領域13の内側には、遊技盤10の略中央に位置するように液晶表示デバイスなどで構成された画像表示器8が設けられており、さらにその画像表示器8の周縁にはセンター役物などとも呼ばれる飾り枠体14が設けられている。画像表示器8は、演出のための各種の画像を表示するためのものであり、遊技の進行に伴い、例えば大当たり抽選の結果を、1〜9などの数字を付した複数の装飾図柄によって報知したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による予告演出を表示したり、或いは、リーチ演出として各種の動画像を表示したりする。飾り枠体14は画像表示器8の画面枠を規定している。この飾り枠体14には種々のランプや可動物などの演出用役物が配置されており、画像表示器8において表示される各種演出と連動した演出を行うように構成されている。
遊技領域13の内側において飾り枠体14の周囲には、多数の釘15、スルーゲート16(16a,16b)、風車17、普通入賞口18、第1始動口19、電動チューリップ20、第2始動口21、大入賞口22、大入賞口22を開閉する開閉扉23、アウト口24等の公知の部材が配置されている。
また遊技領域13の外側で遊技盤面10aの右下部には、複数のLED表示素子で構成される表示器25が設けられている。この表示器25は、遊技機1における各種抽選結果を表示したり、遊技機1の状態などを表示したりするものである。例えば、表示器25は、特別図柄の変動表示を行って大当たり抽選の結果に応じた特別図柄の表示を行ったり、普通図柄の変動表示を行って普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄の表示を行ったりする。また表示器25は、特別図柄の変動表示に関する保留数を表示したり、普通図柄の変動表示に関する保留数を表示したりすることもできるようになっている。
図2の例において、スルーゲート16は、遊技領域13の左右2箇所に設けられている。すなわち、画像表示器8の左側にスルーゲート16aが設けられており、画像表示器8の右側下方にスルーゲート16bが設けられている。これらスルーゲート16a,16bは、遊技機1において普通図柄抽選が行われる条件となるゲートであり、遊技球がこれらのゲートを通過すると普通図柄抽選が開始される。ここで普通図柄抽選とは、電動チューリップ20を開放するか否かを決定する抽選である。尚、スルーゲート16の数は、必ずしも2つの限られず、遊技領域13に少なくとも1つ設けられていれば良い。
普通入賞口18は飾り枠体14の左下部に少なくとも1つ設けられている。普通入賞口18は、遊技球が入球した場合、所定球数の賞球を払い出すための入賞口である。
第1始動口19は飾り枠体14の中央下方に設けられており、電動チューリップ20および第2始動口21は第1始動口19の更に下方に設けられている。電動チューリップ20は、第2始動口21への遊技球の入球を補助するための補助部材であり、左右に開閉する羽根部材を備えている。この電動チューリップ20が左右に開放していれば遊技球が第2始動口21に入球し易い状態となる。これに対し、電動チューリップ20が左右に開放していない閉鎖状態は、遊技球が第2始動口21に入球し難い状態となる。この電動チューリップ20は、遊技球がスルーゲート16を通過したことに伴って行われる普通図柄抽選に当選すると、左右の羽根部材が遊技状態に応じて所定時間および所定回数開放し、第2始動口21への入球を補助するようになっている。
第1始動口19および第2始動口21のそれぞれは、所定球数の賞球を払い出すための入賞口であると共に、遊技機1において大当たり抽選(大当たり判定)が行われる条件となる入賞口である。第1始動口19に遊技球が入球した場合には第1の大当たり判定が行われ、第2始動口21に遊技球が入球した場合には第2の大当たり判定が行われる。つまり、これら始動口19,21に遊技球が入球すると、遊技機1において大当たり乱数を含む各種乱数が遊技データとして取得され、その取得した遊技データに基づいて第1の大当たり判定又は第2の大当たり判定が行われる。そして遊技機1において大当たり判定が行われると、表示器25における特別図柄の変動表示が開始されると共に、画像表示器8において装飾図柄の変動表示が開始される。また画像表示器8においては装飾図柄の変動表示と共に、さまざまなキャラクタの出現などによる各種の予告演出なども表示される。
大入賞口22および開閉扉23は、飾り枠体14の右下に設けられている。開閉扉23は、大入賞口22を開閉するシャッタであり、通常は大入賞口22を閉鎖した状態となっている。遊技球が第1始動口19又は第2始動口21に入球したことを条件として行われる大当たり判定において大当たり又は小当たりに当選すると、開閉扉23は、遊技盤10の前後方向に沿って進退移動することにより、その当たりの種類に応じた大入賞口開放遊技において大入賞口22を開閉する。特に、大当たりに当選した場合の大入賞口開放遊技では、開閉扉23が大入賞口22を開放する1回当たりの開放時間が長くなるので、遊技者は、その間に多数の遊技球を大入賞口22に入球させることが可能となり、それによって多くの賞球を獲得することができるようになる。したがって、遊技者は、そのように多くの賞球を獲得し得る大当たりを期待して遊技を行うことになる。尚、大入賞口22および開閉扉23が設けられる位置は、必ずしも飾り枠体14の右下に限られない。例えば、第2始動口21の下方に設けられても良い。
アウト口24は、上記各入賞口のいずれにも入球しなかった遊技球を遊技領域13の最下部で回収して遊技機1の背面側に排出するための排出口である。
図3は、遊技機1における遊技盤10の一構成例を示す分解斜視図である。尚、図3では遊技盤面10aに設けられる上述した各部材の図示を省略している。図3に示すように、遊技盤10のほぼ中央には開口部10bが形成されている。遊技盤10の背面側に配置される画像表示器8の表示画面は、この開口部10bを通して遊技盤10の正面側から視認可能である。この開口部10bの周縁部には、例えば遊技盤10の正面側から飾り枠体14が取り付けられる。これにより、飾り枠体14は、遊技盤10を正面側から見たとき、画像表示器8の画面枠を構成する。このような遊技盤10の背面側には、役物保持体28が取り付けられる。そして画像表示器8は、その役物保持体28の背面側に取り付けられる。
役物保持体28は、例えば前後方向に一定の厚みを有する箱形の枠体であり、正面側が全面開放されており、背面側に画像表示器8の表示画面サイズに対応した窓部29が形成されている。役物保持体28の正面側縁部にはその上下に一対のフランジ部が設けられており、それらフランジ部が遊技盤10の背面側にビス止めされることにより、役物保持体28は遊技盤10の背面側に固定される。そして画像表示器8は、表示画面の周縁部が役物保持体28における窓部29の周囲に取り付けられることにより役物保持体28の背面側に固定される。
このようにして遊技盤10と画像表示器8との間に設けられる役物保持体28の内側には、役物動作ユニット30が設けられる。この役物動作ユニット30は、複数の装飾可動物31,32,33,34,35を保持し、それら複数の装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれを動作させるためのものである。役物動作ユニット30は、通常、複数の装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれを遊技盤10の背面側に退避させ、遊技者が遊技盤10を正面側から見たときにそれら装飾可動物を視認することができない状態としている。そして遊技機1において特別図柄の変動表示が開始されることに伴ってそれら複数の装飾可動物31,32,33,34,35を利用する所定の演出が行われる場合、役物動作ユニット30は、複数の装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれを駆動し、画像表示器8の前方側に進出させた状態とする。これにより、遊技者は、遊技盤10を正面側から見たときにそれら装飾可動物を視認することができるようになる。そして役物動作ユニット30は、複数の装飾可動物31,32,33,34,35による演出が終了すると、それらを再び遊技盤10の背面側に退避させる。
このように役物動作ユニット30は、画像表示器8の前方側で表示画面の周囲に配置されており、複数の装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれを画像表示器8の前方に進出した進出位置と画像表示器8の前方から退避した退避位置との間で進退させる構成である。
図4は、遊技機本体1aの背面側に取り付けられる遊技機1の制御機構を示すブロック図である。遊技機本体1aの背面側には、遊技機1の主たる動作を制御するメイン制御基板100と、メイン制御基板100から出力される信号やコマンドに基づいて各部を制御するサブ制御基板110とが取り付けられる。サブ制御基板110は、払出制御基板120、演出制御基板130、画像制御基板140、役物制御基板150等で構成されている。尚、この他にもハンドルレバー4の操作角度に応じて遊技球を発射する発射機構などが設けられるが、図4では図示を省略している。
メイン制御基板100は、CPU101とROM102とRAM103とを備えている。このメイン制御基板100には、遊技球が第1始動口19に入球したことを検知する第1始動口スイッチ41、遊技球が第2始動口21に入球したことを検知する第2始動口スイッチ42、電動チューリップ20を開閉駆動する電チューソレノイド43、遊技球がスルーゲート16を通過したことを検知するゲートスイッチ44、遊技球が普通入賞口18に入球したことを検知する普通入賞口スイッチ45、遊技球が大入賞口22に入球したことを検知する大入賞口スイッチ46、開閉扉23を開閉駆動する大入賞口ソレノイド47、および、表示器25が接続されている。
メイン制御基板100は、第1始動口スイッチ41、第2始動口スイッチ42、普通入賞口スイッチ45および大入賞口スイッチ46のそれぞれが遊技球の入球を検知した場合、払出制御基板120に対して賞球コマンドを送出する。払出制御基板120は、CPU121とROM122とRAM123とを備え、遊技機本体1aの背面側に設けられた払出モータ124を制御するように構成されている。この払出制御基板120は、メイン制御基板100から賞球コマンドを入力すると、入球した入賞口に応じて所定球数の遊技球を賞球として払い出す。
またメイン制御基板100は、上述の普通図柄の抽選や大当たり抽選(大当たり判定)を行うように構成されている。例えば遊技球がスルーゲート16を通過したことをゲートスイッチ44が検知すると、電動チューリップ20を開閉するための普通図柄抽選を行い、当選すれば電チューソレノイド43を所定時間及び所定回数駆動させて電動チューリップ20を開放させる。
またメイン制御基板100は、遊技球が第1始動口19又は第2始動口21に入球したことを第1始動口スイッチ41又は第2始動口スイッチ42が検知すると、その入球した始動口に応じて大当たり判定を行い、表示器25において特別図柄の変動表示を開始する。またメイン制御基板100は、特別図柄の変動表示を開始する際、その変動表示が停止するまでの間に、大当たり抽選の結果に応じた演出を行わせるべく、演出制御基板130に対して信号やコマンドを送出する。
ただし、遊技球が第1始動口19又は第2始動口21に入球したことを第1始動口スイッチ41又は第2始動口スイッチ42が検知したとき、特別図柄が既に変動表示中である場合には、メイン制御基板100は、その入球に伴う特別図柄の変動表示を保留し、表示器25にその保留を表示する。そして先の特別図柄の変動表示が停止すると、保留を順次消化していく。
メイン制御基板100は、大当たり抽選の結果、大当たり又は小当たりに当選している場合には特別図柄の変動表示を所定時間行った後、その特別図柄を当選図柄で停止させる。そして特別図柄を当選図柄で停止させた場合には、その当たり種別に対応した大入賞口開放遊技へと移行させ、大入賞口ソレノイド47を駆動して開閉扉23を動作させると共に、その当たり種別に応じて大入賞口開放遊技中の演出を行わせるべく、サブ制御基板200の各部を制御する。
演出制御基板130は、CPU131とROM132とRAM133とリアルタイムクロック(RTC)134とを備えており、メイン制御基板100からの信号やコマンドなどに基づいて具体的な演出内容を決定し、画像制御基板140と役物制御基板150とを制御する。例えば、メイン制御基板100において特別図柄の変動表示が開始されることに伴って送信される変動開始コマンドを受信すると、演出制御基板130は、画像表示器8および役物動作ユニット30で行う演出パターンを決定し、画像制御基板140および役物制御基板150を制御することで、その演出パターンに対応した演出を実行させる。ここで決定される演出パターンは、メイン制御基板100で決定される特別図柄の変動表示時間やリーチ演出の有無などに対応する演出パターンとなる。そしてメイン制御基板100から変動停止コマンドを受信すると、演出制御基板130は、上記のようにして決定された演出パターンの実行を終了させると共に、メイン制御基板100における大当たり判定の結果に対応した停止図柄で装飾図柄の変動を停止させるべく、画像制御基板140および役物制御基板150を制御する。
画像制御基板140は、CPU141と、ROM142と、RAM143と、VRAM144とを備えており、演出制御基板130からの指定に基づいて画像表示器8およびスピーカ5を制御することにより、画像表示器8における装飾図柄の変動表示を行うと共に、リーチ演出などの各種の演出を行う。VRAM144は、画像表示器8に表示するための画像を書き込むメモリである。CPU141はこのVRAM144に対して背景画像表示処理、装飾図柄表示処理、キャラクタ画像表示処理などの各種処理を実行することにより、画像表示器8に対して、背景画像、装飾図柄画像、キャラクタ画像などを重畳的に表示することができる。また画像制御基板140は、演出制御基板130で決定される演出パターンに対応する演出用画像を画像表示器8に表示する。このような画像制御基板140の制御により、画像表示器8に表示される演出用画像は、役物動作ユニット30によって駆動される装飾可動物の動作と連動した画像として表示することもできる。
役物制御基板150は、CPU151とROM152とRAM153とを備えており、演出制御基板130から指示される演出パターンに基づいて上述した枠ランプ6などを含む各種ランプ49を点灯させると共に、役物動作ユニット30を制御するように構成されている。役物制御基板150が役物動作ユニット30を制御する場合には、後述するモータ36,37,38を駆動制御する。このとき役物制御基板150は、演出制御基板130で決定される演出パターンに基づいて役物動作ユニット30を制御するため、役物動作ユニット30に設けられた装飾可動物の動作を、画像表示器8において表示される演出用画像と連動させることもできる。
このようにして遊技機1では、第1始動口19又は第2始動口21に遊技球が入球することにより行われる特別図柄の変動表示中に各種の演出が行われるようになる。そして遊技機1において所定の演出パターンが実行されるときには、役物動作ユニット30が作動し、複数の装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方位置に進出させた状態となって通常の演出とは異なる演出が行われる。例えば、複数の装飾可動物31,32,33,34,35を動作させる演出は、遊技機1におけるリーチ演出のひとつとして行われる。
図5は、役物動作ユニット30が複数の装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方位置に進出させた状態の遊技盤10の一例を示す正面図である。図5に示すように、役物動作ユニット30が作動すると、複数の装飾可動物31,32,33,34,35は画像表示器8の前方に進出した状態となり、遊技者はこれらの装飾可動物31,32,33,34,35を視認することができる。一方、複数の装飾可動物31,32,33,34,35が画像表示器8の前方から退避した状態になると、図2に示したように、遊技盤10の正面側からそれら装飾可動物を視認することができなくなる。遊技機1は、通常、図2に示すような状態で遊技を進行させる。そして上述したように遊技機1において例えばリーチ演出が開始され、比較的高い確率で大当たりを発生させるような演出を行う場合に、役物動作ユニット30が作動し、図5に示すように、複数の装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方に出現させる。
したがって、遊技者は、それら装飾可動物31,32,33,34,35が画像表示器8の前方位置に出現することにより、大当たりに当選するかもしれないという期待感を高揚させるようになる。つまり、遊技機1は、画像表示器8に表示される演出用画像と連携して、複数の装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方に出現させたり、画像表示器8の前方から退避させたりすることにより、興趣性の高い演出を行うように構成されている。
本実施形態の役物動作ユニット30は、複数の装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方に出現させる際、複数の装飾可動物31,32,33,34,35を同時に出現させるのではなく、複数の装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれを異なるタイミングで段階的に出現させていくように構成される。また各装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方に出現させる際には、比較的早い速度で各装飾可動物31,32,33,34,35を移動させることにより、遊技者に対してインパクトを与えるような出現態様を実現する。これに対し、各装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方から退避させる際には、比較的ゆっくりとした遅い速度で各装飾可動物31,32,33,34,35を一斉に移動させることにより、遊技者に対して装飾可動物31,32,33,34,35による演出効果の余韻を残しつつ、画像表示器8の前方から退避させるようにしている。
また本実施形態の役物動作ユニット30が作動する場合、複数の装飾可動物31,32,33,34,35の全てが画像表示器8の前方に毎回出現するのではなく、画像表示器8の前方に出現させる装飾可動物の数は役物制御基板150によって制御される。これにより、例えば、画像表示器8の前方に出現する装飾可動物の数が多いほど、遊技機1において大当たりが発生する可能性が高くなるような構成とすることができる。そしてこのような構成とすることにより、遊技者は、複数の装飾可動物31,32,33,34,35が画像表示器8の前方位置に段階的に出現していく度に、大当たりに当選するかもしれないという期待感を次第に高揚させていくようになり、より一層興趣性の高い演出が実現される。さらに複数の装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれは、画像表示器8の前方に出現した状態でその姿勢を変化させることができるようにもなっている。以下、このような役物動作ユニット30について詳しく説明する。
図6は、役物動作ユニット30の正面側を斜め上から見た斜視図である。また図7は、役物動作ユニット30の背面側を斜め上から見た斜視図である。さらに図8は、役物動作ユニット30の正面図である。図6および図7は、複数の装飾可動物31,32,33,34,35が画像表示器8の前方から退避した退避位置にある状態を示しており、図8は、複数の装飾可動物31,32,33,34,35が画像表示器8の前方に進出した進出位置にある状態を示している。本実施形態では、複数の装飾可動物31,32,33,34,35は、それぞれが人形型形状として構成される場合を例示する。
役物動作ユニット30は、支持フレーム39を有している。支持フレーム39は、役物動作ユニット30の動作機構を支持するためのものであり、役物保持体28に取り付けられる。この支持フレーム39には、複数の装飾可動物31,32,33,34,35を動作させるための駆動手段として3つのモータ36,37,38が設けられている。また、役物動作ユニット30には、複数の装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれを個別に動作させるための個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eが左右方向に一列に配置されている。
モータ36は、複数の装飾可動物31,32,33,34,35を上下方向に移動させるための駆動手段である。モータ36は、図8に示すように、複数の歯車で構成される動力伝達機構50を介して、支持フレーム39の底部に沿って左右横方向に延設された回転軸53を一方向にのみ回転駆動する。この回転軸53が一方向に回転していくことにより、複数の装飾可動物31,32,33,34,35が、上下方向に移動する。
複数の装飾可動物31,32,33,34,35は、それぞれ個別に装飾可動物を上下方向に移動させる個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eに搭載されている。各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eはモータ36によって回転する回転軸53の長手方向に沿って比較的短い均等な間隔で配置されており、回転軸53と連動するように構成されている。
各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eは、回転軸53に対して垂直な上下方向に延びるガイド部材52を有している。このガイド部材52は、例えばその背面側が役物保持体28に支持される。ガイド部材52には、図7に示すように、上下方向に延びる2つの案内路56,57が設けられている。これら2つの案内路56,57はガイド部材52の前後に互い平行な状態で形成されている。ガイド部材52の前方側(遊技機1の正面側に相当する側)に位置する案内路57は、上下方向に比較的長い案内路となっており、ガイド部材52の上端部近傍まで形成されている。これに対し、ガイド部材52の後方側(遊技機1の背面側に相当する側)に位置する案内路56は、その下端部が案内路57の下端部とほぼ同じ高さ位置に設けられ、上下方向の長さは案内路57と比較すると短く、ガイド部材52のほぼ中央の高さ位置まで形成されている。
案内路56には、回転軸53が一方向に回転することに伴って上下方向に移動する移動部材58が設けられている。すなわち、移動部材58は、案内路56に沿って上下方向に移動する。この移動部材58には、一端が案内路56の上部に取り付けられたコイルバネ59の他端が取り付けられている。このコイルバネ59は、移動部材58を案内路56の上向きに付勢するように作用する。そのため、移動部材58にコイルバネ59以外の外力が作用していないとき、移動部材58はコイルバネ59の付勢力により案内路56の上端部に位置するようになる。
一方、案内路57には、各装飾可動物31,32,33,34,35を支持する支持部材85が上下方向に移動可能に設けられている。すなわち、支持部材85は、案内路57に沿って上下方向に移動する。支持部材85は、その上部に各装飾可動物31,32,33,34,35が組み付けられるステージ51を有しており、そのステージ51の上部に設けられる各装飾可動物31,32,33,34,35を支持する。したがって、支持部材85が案内路57に沿って上下方向に移動することにより、各装飾可動物31,32,33,34,35は画像表示器8の前方側から退避した退避位置と、画像表示器8の前方側に進出した進出位置との間を移動する。尚、支持部材85が案内路57の下端部近傍に位置する状態が、各装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方側から退避させた状態となる。また支持部材85が案内路57の上端部近傍に位置する状態が、各装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方側に進出させた状態となる。
このような支持部材85は、移動部材58が案内路56に沿って上下方向に移動することに伴って案内路57に沿って上下方向に移動するように構成される。つまり、移動部材58は、支持部材85を支持しており、案内路56を上方向に移動する際に支持部材85を持ち上げて各装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方側に進出させる。また、移動部材58は案内路56を下方向に移動する際に支持部材85を持ち下げて各装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方側から退避させる。尚、このような構成および動作の詳細について後述する。
移動部材58は、図7に示すように、ガイド部材52の後方側に突出した突起部58aを有している。また移動部材58は、図8に示すようにガイド部材52の側方側に突出した突起部58bを有している。
またガイド部材52の下端部には、回転軸53に設けられたギア54と歯合して回転軸53と共に回転する回転板55が軸支されている。この回転板55は、後述するように、その一方の面に回転軸53のギア54と歯合するギア551が形成され、他方の面に渦巻き状のカム552が形成される。回転板55は、渦巻き状のカム552が移動部材58の側方側に突出した突起部58bと対向し、かつ、その渦巻き状のカム552が突起部58bと係合するようになっている。
このような回転板55は、モータ36が回転軸53を一方向へ回転駆動することにより、一方向にのみ回転するようになっている。そして回転板55は一方向へ回転することによって、渦巻き状のカム552が突起部58bと係合し、移動部材58を案内路56の下方へ移動させていく。このとき、回転板55は、コイルバネ59の付勢力に抗して移動部材58を下方に移動させる。そして回転板55がさらに回転し、渦巻き状のカム552と突起部58bとの係合状態が解放されると、移動部材58は、コイルバネ59の付勢力によって案内路56を上方へ移動する。
このように本実施形態では、各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eに設けられる回転板55が回転軸53に連動して一方向へ回転することにより、各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eに搭載された装飾可動物31,32,33,34,35が個別に上下動する。そして各装飾可動物31,32,33,34,35は、このような上下動により、画像表示器8の前方の進出位置へ移動したり、画像表示器8の前方から退避した退避位置へ移動したりする。
また本実施形態では、各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eに設けられる回転板55として、3種類の回転板55a,55b,55cが用いられる。例えば、図8に示すように、左右横方向に沿って1列に配置された複数の個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eのうち、左右両端に位置する個別ユニット30a,30eには互いに同じ種類の回転板55aが設けられ、左右両端から1つ内側に位置する個別ユニット30b,30dには互いに同じ種類の回転板55bが設けられる。そして中央に位置する個別ユニット30cには、他とは異なる種類の回転板55cが設けられている。
これら回転板55a,55b,55cの相違点は、渦巻き状のカム552の形態にあり、回転板55a,55b,55cのそれぞれが回転軸53に連動して一方向へ回転するとき、渦巻き状のカム552と突起部58bとの係合状態が解放されるタイミングが異なるようになっている。そのため、全ての装飾可動物31,32,33,34,35が退避位置にある状態でモータ36が回転軸53を一方向へ回転駆動すると、各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eに搭載された装飾可動物31,32,33,34,35はそれぞれ異なるタイミングで画像表示器8の前方に出現するようになる。
例えば本実施形態では、左右両端に位置する装飾可動物31,35が最初に画像表示器8の前方に出現し、次に左右両端から1つ内側に位置する装飾可動物32,34が画像表示器8の前方に出現する。そして最後に中央に位置する装飾可動物33が画像表示器8の前方に出現するようになっている。すなわち、図6に示すように、複数の装飾可動物31,32,33,34,35が退避位置にあるとき、モータ36が回転軸53を回転させると、回転板55a,55b,55cが所定角度回転したタイミングで、まず回転板55aが渦巻き状のカム552と突起部58bとの係合状態を解放する。その結果、左右両端に位置する個別ユニット30a,30eにおいて装飾可動物31,35が上昇するので、図9に示すように装飾可動物31,35が上方の進出位置へ移動した状態となる。
その後、モータ36が回転軸53を更に回転させていくと、回転板55a,55b,55cが更に所定角度回転したタイミングで、次に回転板55bが渦巻き状のカム552と突起部58bとの係合状態を解放する。その結果、左右両端の1つ内側に位置する個別ユニット30b,30dにおいて装飾可動物32,34が上昇する。これにより、図10に示すように装飾可動物31,32,34,35が上方の進出位置へ移動した状態となる。
その後更に、モータ36が回転軸53を回転させていくと、回転板55a,55b,55cが更に所定角度回転したタイミングで、次に回転板55cが渦巻き状のカム552と突起部58bとの係合状態を解放する。その結果、中央に位置する個別ユニット30cにおいて装飾可動物33が上昇する。これにより、図11に示すように全ての装飾可動物31,32,33,34,35が上方の進出位置へ移動した状態となる。図11に示す状態で、モータ36が回転軸53を更に回転させていくと、その後、複数の装飾可動物31,32,33,34,35は同じタイミングで下降していき、画像表示器8の前方から退避した退避位置へと移動する。
このように本実施形態では、一のモータ36が一の回転軸53を一方向へ回転させることにより、複数の装飾可動物31,32,33,34,35をそれぞれ異なるタイミングで上方の進出位置へと移動させると共に、進出位置へ移動した複数の装飾可動物31,32,33,34,35を一斉に下降させて退避位置へと移動させるように構成されている。
次にモータ37は、複数の装飾可動物31,32,33,34,35が退避位置にあるときに作動して、各装飾可動物31,32,33,34,35が上方の進出位置へ移動することを規制するためのモータである。このモータ37は、図7に示すように、モータ回転軸70を所定角度範囲内で正逆双方に回動することにより、ギア部材71を所定角度範囲内で回動させる。このギア部材71には揺動部材72が設けられており、ギア部材71が所定角度範囲内で回動することによって揺動部材72を揺動させる。また揺動部材72は、左右横方向に沿ってスライド移動するシャッタ部材73の一端に係合しており、ギア部材71が回動することに伴って左右に揺動すると、シャッタ部材73を左右方向へスライドさせるように構成されている。このような構成により、モータ37は、シャッタ部材73を左右方向の3段階の位置にスライド移動させるようになっている。
シャッタ部材73は、左右方向へスライド移動することによって、個別ユニット30b,30c,30dにおいてガイド部材52の後方側に突出する突起部58aの上部に進退する複数のフック部74を有している。これらフック部74は、シャッタ部材73がスライド移動することにより、個別ユニット30b,30c,30dの突起部58aが上下方向に移動する際の軌道上に進退する。そして、これら複数のフック部74は、突起部58aの上部に進出した状態になると、突起部58aと係合し、移動部材58の上昇を規制する。すなわち、シャッタ部材73は、モータ37によってスライド移動する位置に応じて、複数の装飾可動物31,32,33,34,35のうち、上方の進出位置へ移動可能な装飾可動物の数を規制する。
例えば、シャッタ部材73は、3段階の位置のうちの第1の位置にある場合、複数の装飾可動物31,32,33,34,35の全てを上方の進出位置へ移動可能な状態とする。したがって、その状態でモータ36が回転軸53を回転させていくと、図9、図10および図11に示したように、複数の装飾可動物31,32,33,34,35が順次に画像表示器8の前方位置に出現し、その後、それら複数の装飾可動物31,32,33,34,35が一斉に下降して画像表示器8の前方から退避する。
また、シャッタ部材73は、3段階の位置にうちの第2の位置にある場合、中央の装飾可動物33が上方に進出することを規制し、他の装飾可動物31,32,34,35が上方に進出することを許容する状態となる。したがって、その状態でモータ36が回転軸53を回転させていくと、図9および図10に示したように、複数の装飾可動物31,32,34,35が順次に画像表示器8の前方位置に出現するが、中央の装飾可動物33は画像表示器8の前方位置に出現しない。そしてその後更にモータ36が回転軸53を回転させていくと、それら複数の装飾可動物31,32,34,35が一斉に下降して画像表示器8の前方から退避する。
さらに、シャッタ部材73が、3段階の位置にうちの第3の位置にある場合、左右両端の装飾可動物31,35を除き、中央の3つの装飾可動物32,33,34が上方に進出することを規制する状態となる。したがって、その状態でモータ36が回転軸53を回転させていくと、図9に示したように、左右両端の装飾可動物31,35だけが画像表示器8の前方位置に出現するが、他の装飾可動物32,33,34は画像表示器8の前方位置に出現しない。そしてその後更にモータ36が回転軸53を回転させていくと、左右両端の装飾可動物31,35が一斉に下降して画像表示器8の前方から退避する。
このように本実施形態では、一のモータ37がシャッタ部材73を左右横方向へ3段階にスライド移動させることにより、画像表示器8の前方位置へ出現させる装飾可動物を、複数の装飾可動物31,32,33,34,35のうちから選択することができるように構成されている。
次に、モータ38は、複数の装飾可動物31,32,33,34,35のいずれかが画像表示器8の前方位置に進出した状態で作動し、それら装飾可動物31,32,33,34,35の姿勢を正座姿勢(起立姿勢)から平伏姿勢(傾倒姿勢)へと変化させるためのモータである。例えば、図11に示すように複数の装飾可動物31,32,33,34,35の全てが上方の進出位置へ移動した状態で、モータ38が作動すると、それら複数の装飾可動物31,32,33,34,35は、図12に示すように一斉に平伏姿勢に変化する。
このモータ38は、図6および図12に示すように、モータ回転軸60を所定角度範囲内で正逆双方に回動することにより、ギア部材61を所定角度範囲内で回動させる。このギア部材61には揺動部材62が設けられており、ギア部材61が所定角度範囲内で回動することによって揺動部材62を揺動させる。また揺動部材62は、左右横方向に沿ってスライド移動するスライド部材63の一端に係合しており、ギア部材61が回動することに伴って左右に揺動すると、スライド部材63を左右方向へスライドさせるように構成されている。
各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eには、ガイド部材52の近傍に回動ポール64が立設されている。この回動ポール64の下端部には、スライド部材63と連動して揺動する揺動部材65が設けられている。スライド部材63が左右方向へスライド往復移動すると、それに伴って揺動部材65が所定角度範囲内で揺動することにより回動ポール64を回動させる。また回動ポール64の上部には、回動ポール64と一体的に回動するプッシャ66が設けられている。このプッシャ66は、回動ポール64が回動すると、進出位置へ移動した装飾可動物を支持する支持部材85の背面側に作用し、その装飾可動物の姿勢を正座姿勢から平伏姿勢へと変化させるようになっている。尚、この機構の詳細については後述する。
このように本実施形態では、一のモータ38がスライド部材63を左右横方向へ往復スライド移動させることにより、画像表示器8の前方位置へ出現した装飾可動物の姿勢を一斉に正座姿勢から平伏姿勢へと変化させるように構成されている。このような装飾可動物の姿勢変化による演出は、全ての装飾可動物31,32,33,34,35が画像表示器8の前方側に進出した状態で行われると、遊技機1において大当たりに当選する可能性が最も高い演出となる。これに対し、2つの装飾可動物31,32が画像表示器8の前方側に進出した状態、或いは、4つの装飾可動物31,32,34,35が画像表示器8の前方側に進出した状態で姿勢変化による演出が行われる場合は、遊技機1において大当たりに当選する可能性がそれよりも低下する。ただし、画像表示器8の前方に装飾可動物が出現した場合であってもその装飾可動物は姿勢変化を行うことなく、退避位置へと退避していくこともある。したがって、遊技者は、画像表示器8の前方に全ての装飾可動物31,32,33,34,35が出現した後、それら全ての装飾可動物31,32,33,34,35が一斉に姿勢変化することを期待するようになる。そしてこのような演出は遊技機1において段階的に行われる。それ故、演出の段階が1段階進むごとに、遊技者は大当たりに当選するかもしれないという期待感を次第に高揚させていくようになる。
以下においては、上記のような役物動作ユニット30に設けられる各動作機構についてさらに詳しく説明する。
図13は、中央に位置する個別ユニット30cのみを表した状態の役物動作ユニット30を正面側の斜め上から見た斜視図である。また図14は、その状態の役物動作ユニット30を背面側の斜め上から見た斜視図である。さらに、図15は、個別ユニット30cを側方から見た構成を示す一部分解斜視図である。図13および図14では、装飾可動物33が下降した退避位置にあり、図15では、装飾可動物33が上昇した進出位置にある場合を示している。
上述したように個別ユニット30cは、回転軸53に対して垂直に立設したガイド部材52を有している。図15に示すように、回転板55は、そのガイド部材52の下部であって、案内路57の下方に設けられた軸受け部58cに回動可能に取り付けられる。そのため、回転板55は、この軸受け部58cを中心に回転するようになっており、渦巻き状のカム552がガイド部材52に対向する面に形成されている。移動部材58は、案内路56に沿って上下方向に移動可能であり、上述したようにコイルバネ59によって案内路56を上向きに付勢された状態で取り付けられている。
移動部材58からガイド部材52の後方側に突出する突起部58a、および、移動部材58からガイド部材52の側方に突出する突起部58bは、図15に示すように移動部材58の下部に設けられている。このうち、突起部58bは、軸受け部58cの上方に位置して回転板55の渦巻き状のカム552と対向している。そのため、突起部58bは、回転板55が回転すると、渦巻き状のカム552と係合し、回転板55の中心に向かって下降していく。これに伴い、移動部材58は、案内路56に沿って下方へ移動していく。このとき、移動部材58は図13に示すコイルバネ59に抗して下方に移動するので、コイルバネ59は移動部材58の下方への移動量に応じて移動部材58を上方に向けて付勢する力を大きくする。
回転板55が軸受け部58cに取り付けられたガイド部材52は、図14に示すようにモータ36によって回転駆動される回転軸53に設けられたギア54と回転板55のギア551とが互いに歯合するように配置される。したがって、上述したようにモータ36が回転軸53を一方向へ回転させると、それに伴って回転板55が一方向へ回転し、突起部58bが渦巻き状のカム552と係合すると、移動部材58が下向へ移動する。そしてモータ36が更に回転軸53を回転させると、突起部58bと渦巻き状のカム552との係合状態が解放され、移動部材58は、コイルバネ59の付勢力によって瞬時に案内路56の上方に向かって移動する。
また図15に示すように、移動部材58の上部には、支持部材85を支持するアーム81が設けられている。アーム81は、その基端部82が移動部材58の上部に取り付けられ、その先端部83が支持部材85を支持する構成である。アーム81の基端部82は、移動部材58の上部に設けられた回動軸80の周りに回動可能に取り付けられている。したがって、アーム81は、その基端部82が回動軸80周りに回動することにより、その先端部83を上方に持ち上げた上昇傾斜姿勢と、下方に持ち下げた下降傾斜姿勢との間で支持部材85を支持する傾斜角度を変化させるようになっている。
また図15に示すように、ガイド部材52の背面側には、移動部材58の回動軸80が上下動する範囲内で、平板状部材にギアが形成されたラック521が組み付けられている。尚、このラック521はガイド部材52に対して一体的に形成されたものであっても構わない。一方、アーム81の基端部82には、このラック521と歯合するギア821が形成されている。このギア821は、回動軸80を中心とする半円状ギアとなっており、移動部材58が案内路56に沿って上下方向に移動することにより、アーム81を回動軸80周りに回動させてアーム81の先端部83を上方に持ち上げたり、或いは、下方に持ち下げたりする。つまり、アーム81は、その基端部82に設けられたギア821と、ガイド部材52に設けられたラック521とが互い歯合したラックアンドピニオン構成となっており、移動部材58が案内路56に沿って上下方向に直線移動すると、それに伴って回動軸80周りに回動して傾斜角度を変化させるようになっている。
またアーム81の先端部83は、支持部材85に対して前後方向に形成された横溝851に係合するようになっている。そのため、アーム81がその傾斜角度を変化させる際には、その先端部83が横溝851を前後方向に摺動しつつ、横溝851の上面又は下面を押圧することで支持部材85を案内路57に沿って上下方向に移動させる構成である。そして支持部材85が案内路57に沿って上下方向に移動することに伴い、支持部材85に組み付けられたステージ51上の装飾可動物33は、支持部材85と一体的に上下方向に移動する。
このように移動部材58は、アーム81を介して支持部材85および装飾可動物33を支持する構成である。そして移動部材58が案内路56に沿って下方に移動すると、アーム81はその先端部83を下降傾斜させていくので、支持部材85は案内路57を下方へ移動する。したがって、この場合、装飾可動物33は画像表示器8の前方から退避して退避位置へと移動する。また移動部材58が案内路56に沿って上方に移動すると、アーム81はその先端部83を上昇傾斜させていくので、支持部材85は案内路57を上方へ移動する。したがって、この場合、装飾可動物33は画像表示器8の前方の進出位置へと移動する。
尚、上記においては、個別ユニット30cの構成について説明したが、他の個別ユニット30a,30b,30d,30eについても同様である。
次に、各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eに設けられる回転板55a,55b,55cについて説明する。図16は、回転板55a,55b,55cに設けられる渦巻き状のカム552を示す側面図である。図16(a)は個別ユニット30a,30eに設けられる回転板55aを示しており、図16(b)は個別ユニット30b,30dに設けられる回転板55bを示している。また図16(c)は個別ユニット30cに設けられる回転板55cを示している。
図16(a),(b),(c)に示すように、各回転板55a,55b,55cには、反時計周り方向に向かって回転中心553からの距離が漸次縮小していく渦巻き状のカム552が形成されている。ただし、渦巻き状のカム552は、回転中心553からの距離が漸次縮小していき、所定距離になった後は回転中心553からの距離が縮小せずに円弧状のカムとなっている。
渦巻き状のカム552の先端部554は、回転板55a,55b,55cの外縁部に接続するように設けられている。つまり、先端部554は回転中心553から回転板55a,55b,55cの半径とほぼ等しい位置に設けられている。そのため、この先端部554は渦巻き状のカム552の外側端部となる。渦巻き状のカム552は、この先端部554から反時計回り方向に所定角度θ1の範囲内で形成されている。尚、所定角度θ1は、θ1<360°である。
ここで図16(c)に示すように、回転板55cに設けられる渦巻き状のカム552は、先端部554から所定角度θ1の範囲内で連続的に形成されている。これに対し、図16(a),(b)に示すように回転板55a,55bに設けられる渦巻き状のカム552は、先端部554から所定角度θ1の範囲内において連続的には形成されておらず、その範囲内においてカムの存在しない切欠部552a,552bが設けられている。例えば、回転板55aでは、図16(a)に示すように、先端部554から所定角度θ2の位置を起点として切欠部552aが設けられている。また回転板55bでは、図16(b)に示すように、先端部554から所定角度θ3の位置を起点として切欠部552bが設けられている。尚、所定角度θ1,θ2,θ3のそれぞれの関係は、θ2<θ3<θ1となっている。
回転板55a,55bに設けられる渦向き状のカム552の切欠部552a,552bは、移動部材58の突起部58bがそれら切欠部552a,552bの間を通って回転板55a,55bの半径方向に移動することができるように十分な幅で形成されている。
したがって、回転板55aにおける渦巻き状のカム552の後端部(内側開放端部)555は、先端部554から反時計回りに所定角度θ2回転した位置となり、また回転板55bにおける渦巻き状のカム552の後端部555は、先端部554から反時計回りに所定角度θ3回転した位置となる。これに対し、回転板55cにおける渦巻き状のカム552の後端部555は、先端部554から反時計回りに所定角度θ1回転した位置となる。
このような回転板55a,55b,55cは、各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eに対し、それぞれの先端部554が同じ位置となるように取り付けられる。そして各回転板55a,55b,55cがそれぞれの個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eに取り付けられ、モータ36によって回転駆動されると、各回転板55a,55b,55cは、図中矢印Rで示すように時計回り方向の一方向に、互いに同期して回転する。
このような回転板55a,55b,55cの回転により、各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eに設けられた移動部材58は、突起部58bを渦巻き状のカム552の先端部554の内側と同時に係合させる。そのため各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eに設けられた移動部材58は、回転板55a,55b,55cの回転に伴って案内路56に沿って同時に下方に移動する。このとき、渦巻き状のカム552は、回転板55a,55b,55cの回転に伴い、突起部58bの位置を漸次回転中心553に近づけていくので、各移動部材58が下方に移動する際の移動速度は比較的ゆっくりとした遅い速度で移動する。そして各移動部材58が下方へ移動することに伴い、複数の装飾可動物31,32,33,34,35は画像表示器8の前方から退避位置へと同時に移動する。
そして移動部材58を回転中心553に対して最も接近させた所定の回転位置で回転板55a,55b,55cは停止し、装飾可動物を用いた演出が開始されるまで回転板55a,55b,55cはその状態を保持する。
装飾可動物を用いた演出が行われる場合、モータ36が駆動されることによって回転板55a,55b,55cが矢印R方向への回転を開始する。そして各回転板55a,55b,55cの回転角度に応じて、各移動部材58の突起部58bが渦巻き状のカム552の後端部555において係合状態が解放されるようになり、移動部材58がコイルバネ59の付勢力によって上方に移動する。移動部材58の突起部58bが渦巻き状のカム552の後端部555において係合状態の解放されるタイミングは、各回転板55a,55b,55cによって異なるタイミングとなり、複数の装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれが画像表示器8の前方に出現するタイミングが異なるようになる。
このように本実施形態では、渦巻き状のカム552を一方向へ回転させることにより装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれを上下方向へ移動させるように構成されている。このような構成によれば、装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれをどのような態様で上下動させるかは、渦巻き状のカム552の形状によって定まる。それ故、渦巻き状のカム552の形状を適宜設計変更することにより、モータ36は回転軸53を一定の速度で一方向に回転させる構成としつつも、装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれの動作態様を比較的容易に変更することができる。それ故、モータ36を駆動するときの制御を簡単に行えるようにしつつも、渦巻き状のカム552の形状を異なるものに変更すれば、装飾可動物31,32,33,34,35に所望の動作を行わせることが可能である。例えば、回転軸53のギア54に装飾可動物31,32,33,34,35を上下動させるラックを歯合させ、そのラックを上下動させることも考えられるが、そのような構成の場合には、装飾可動物31,32,33,34,35に複雑な動作を行わせようとすると、回転軸53の回転速度や回転角度などを厳密に制御しなければならなくなり、モータ36の制御が複雑化するという点で好ましいものではない。このようなことからも、本実施形態の構成は、渦巻き状のカム552の形状で装飾可動物31,32,33,34,35に多様な動作を行わせることができ、しかもモータ36の制御が簡単であるという点で利点がある。
図17乃至図20は、回転板55a,55b,55cの回転によって装飾可動物31,32,33が進出位置へ移動する動作を示す図である。尚、各図において(a),(b),(c)のそれぞれは回転板55a,55b,55cが同じ回転位置にある状態を示している。また、各図においては装飾可動物34,35の図示を省略しているが、装飾可動物34について装飾可動物32と同様であり、装飾可動物35については装飾可動物31と同様である。
まず、遊技機1において装飾可動物を用いた演出が行われないとき、装飾可動物31,32,33は図17に示すように退避位置にある。このとき図17(a),(b),(c)に示すように、各回転板55a,55b,55cは、移動部材58の突起部58bと係合し、移動部材58を最も下降させた状態に保持している。この状態で、装飾可動物を用いる演出が開始されると、モータ36が回転軸53を回転させ、回転板55a,55b,55cが一斉に同じ方向(図例の場合は時計方向)に回転し始める。
図17に示す状態から、各回転板55a,55b,55cが所定角度回転すると、図18に示す状態となる。すなわち、図18(a)に示すように、回転板55aでは、移動部材58の突起部58bと、渦巻き状のカム552と係合状態が解放され、突起部58bが切欠部552aから渦巻き状のカム552の外側に抜け出すので、移動部材58が上昇し、それに伴って装飾可動物31が画像表示器8の前方に進出した状態となる。ここで、移動部材58が上昇する際、コイルバネ59の大きくなった付勢力により、比較的早い速度で瞬間的に移動する。そのため、装飾可動物31が退避位置から進出位置へ移動する際も高速移動となり、装飾可動物31は画像表示器8の前方に対して瞬間的に出現するようになる。
一方、図18(b),(c)に示すように、回転板55b,55cでは、渦巻き状のカム552と、移動部材58の突起部58bとの係合状態が解放されていない。そのため、この状態では依然として回転板55b,55cが移動部材58を最も下降させた状態で保持しており、装飾可動物32,33は退避位置にある。
図18に示す状態から、各回転板55a,55b,55cが更に所定角度回転すると、図19に示す状態となる。すなわち、図19(b)に示すように、回転板55bでは、移動部材58の突起部58bと、渦巻き状のカム552と係合状態が解放され、突起部58bが切欠部552bから渦巻き状のカム552の外側に抜け出すので、移動部材58が上昇し、それに伴って装飾可動物32が画像表示器8の前方に進出した状態となる。このときもまた、移動部材58が上昇する際には、コイルバネ59の大きくなった付勢力により、比較的早い速度で瞬間的に移動する。そのため、装飾可動物32が退避位置から進出位置へ移動する際も高速移動となり、装飾可動物32は画像表示器8の前方に対して瞬間的に出現するようになる。尚、このとき図19(a)に示すように、装飾可動物31は画像表示器8の前方に出現した状態のままである。
一方、図19(c)に示すように、回転板55cでは、渦巻き状のカム552と、移動部材58の突起部58bとの係合状態が解放されていない。そのため、この状態では依然として回転板55cが移動部材58を最も下降させた状態で保持しており、装飾可動物33は退避位置にある。
図19に示す状態から、各回転板55a,55b,55cが更に所定角度回転すると、図20に示す状態となる。すなわち、図20(c)に示すように、回転板55cでは、移動部材58の突起部58bと、渦巻き状のカム552と係合状態が解放され、突起部58bが渦巻き状のカム552の後端部555の横を通って外側に抜け出すため、移動部材58が上昇し、それに伴って装飾可動物33が画像表示器8の前方に進出した状態となる。このときもまた、移動部材58が上昇する際には、コイルバネ59の大きくなった付勢力により、比較的早い速度で瞬間的に移動する。そのため、装飾可動物33が退避位置から進出位置へ移動する際も高速移動となり、装飾可動物33は画像表示器8の前方に対して瞬間的に出現するようになる。尚、このとき図20(a),(b)に示すように、装飾可動物31および装飾可動物32は画像表示器8の前方に出現した状態のままである。
このように本実施形態では、各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eに設けられた回転板55a,55b,55cがひとつの回転軸53の回転に伴って同期して回転するようになっており、各回転板55a,55b,55cが1回転する間に、複数の個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eから異なるタイミングでそれぞれの装飾可動物31,32,33,34,35が画像表示器8の前方に出現する。そして各装飾可動物31,32,33,34,35が画像表示器8の前方に出現する際には、高速移動となって瞬間的に画像表示器8の前方に出現するので、遊技者に対して強いインパクトを与えるような演出が可能となる。
そして図20に示す状態から、各回転板55a,55b,55cが更に回転していくと、各移動部材58の突起部58bが各回転板55a,55b,55cに設けられた渦巻き状のカム552と同時に係合し、複数の装飾可動物31,32,33,34,35が一斉に下降して退避位置へと移動する。このとき、移動部材58が下降する速度は、比較的ゆっくりとした遅い速度となる。そのため、複数の装飾可動物31,32,33,34,35が画像表示器8の前方から退避していく速度もゆっくりとした遅い速度となるので、遊技者に対して装飾可動物を用いた演出効果の余韻を残しつつ、装飾可動物31,32,33,34,35を退避位置へと移動させることができる。
このような複数の装飾可動物31,32,33,34,35の動作は、モータ36が回転軸53を一方向に一定の回転速度で駆動すれば実現される。すなわち、回転軸53を一方向に一定の回転速度で回転させるモータ36をオンオフ制御することによって、回転板55a,55b,55cの回転位置を制御するだけで上述した複数の装飾可動物31,32,33,34,35の動作が実現されるので、制御を簡単にすることができるという利点がある。
また、上記のような複数の装飾可動物31,32,33,34,35の動作は、一つのモータ36が一つの回転軸53を一方向に一定の回転速度で回転させるだけで実現されるため、複数の装飾可動物のそれぞれに駆動源を設ける場合と比較して制御が簡単であるだけでなく、駆動源の設置スペースを省スペース化することもできる。そのため、役物動作ユニット30の小型化を図ることができるので、遊技機1という限られた設置スペースの中に、それぞれ異なるタイミングで動作する複数の装飾可動物31,32,33,34,35を搭載した役物動作ユニット30を有効に設置することが可能である。
ところで、回転板55に設けられた渦巻き状のカム552と係合し、案内路56に沿って移動する移動部材58の移動量は、回転板55の半径よりも小さくしておく必要がある。すなわち、移動部材58の移動量が回転板55の半径よりも大きい場合、回転板55が回転しても渦巻き状のカム552と移動部材58の突起部58bとが互いに係合しなくなるため、それを防止するためには、突起部58bの移動範囲を渦巻き状のカム552が形成された回転板55の半径よりも小さくしておく必要がある。
一方、複数の装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれを画像表示器8の前方側に出現させたり、或いは、画像表示器8の前方から退避させて遊技盤10の正面側からは視認できないようにするためには、各装飾可動物31,32,33,34,35が案内路57に沿って移動する移動量を、移動部材58が案内路56に沿って移動する移動量よりも大きくする必要がある。
そこで本実施形態では、上述したように移動部材58がアーム81を介して支持部材85を支持しており、移動部材58が案内路56に沿って上下方向に移動することに伴い、アーム81が支持部材85を持ち上げたり、持ち下げたりすることで支持部材85によって支持される各装飾可動物31,32,33,34,35が移動部材58の移動量よりも大きく移動するようになっている。
図21は、移動部材58の上下方向の移動に伴ってアーム81が傾斜角度を変化させることによる装飾可動物33の移動を示す図である。尚、図21では個別ユニット30cを示しているが、他の個別ユニット30a,30b,30d,30eについてもこれと同様である。上述したように移動部材58は、その上部にアーム81の基端部82を回動可能に軸支している。アーム81の基端部82に形成されたギア821は、ガイド部材52に設けられたラック521に対して常時歯合するようになっている。
図21(a)に示すように、移動部材58は、その突起部58bが回転板55の渦巻き状のカム552と係合して最も下降した位置にあるとき、アーム81の基端部82に設けられたギア821はラック521の下部と歯合している。このとき、アーム81はその先端部83を回転板55の近傍に下降傾斜させた状態となっており、支持部材85の上部に搭載された装飾可動物33は退避位置にある。
この状態で回転板55が回転し、移動部材58に設けられた突起部58bと渦巻き状のカム552との係合状態が解放されると、図21(b)に示すように、移動部材58は案内路56に沿って上方に移動する。この場合における移動部材58の移動量は、図21に示すようにH1となり、移動量H1は回転板55の半径よりも小さくなっている。
移動部材58が上方に移動していく過程において、アーム81の基端部82に設けられたギア821はラック521と歯合した状態でラック521の上部に向かって移動していく。このとき、アーム81は回動軸80の周りに回動し、アーム81の先端部83を持ち上げていく。そして移動部材58が案内路56の上端に移動すると、アーム81の基端部82に設けられたギア821はラック521の上部と歯合した状態となり、アーム81の先端部83を最も上昇傾斜させた状態となる。このとき装飾可動物33は画像表示器8の前方の進出位置へ進出した状態となる。
このような装飾可動物33の移動量は、図21に示すようにH2となる。この装飾可動物33の移動量H2を、移動部材58の移動量H1と比較すると、H2>H1となっており、装飾可動物33は移動部材58の移動量H1よりも大きく移動する。つまり、移動部材58が上昇することにより、アーム81がその先端部83を下降傾斜させた状態から上昇傾斜させた状態に変化するので、支持部材85の上部に設けられた装飾可動物33は、アーム81の回動角度に相当する移動量の分だけ移動部材58の移動量H1よりも大きく移動する。ここで、アーム81の回動角度に相当する移動量を仮にH3とすると、装飾可動物33の移動量H2は、H2=H1+H3となる。
このように移動部材58は、回転板55の半径よりも小さい範囲で案内路56に沿って上下方向に移動するのに対し、装飾可動物33はそれよりも広い範囲で案内路57に沿って上下方向に移動するようになっている。これにより、回転板55の半径を大きくすることなく、装飾可動物33の移動範囲を大きくすることが可能である。それ故、小さいスペースでも装飾可動物33を大きく移動させることができるようになり、装飾可動物33を画像表示器8の前方に出現させたり、画像表示器8の前方から退避させたりするための機構を小型化することが可能である。特に遊技機1における遊技盤10の背面側のスペースには限りがあるが、上述したように装飾可動物33の動作機構を小型化することにより、画像表示器8の前方に出現したり或いは画像表示器8の前方から退避する複数の装飾可動物31,32,33,34,35を個別に配置することが可能である。
また移動部材58が下方から上方へ移動することに伴い、装飾可動物33が退避位置から進出位置へと移動するのに要する時間は、移動部材58の移動に要する時間と同じである。そのため、装飾可動物33の移動速度は、移動部材58の移動速度よりも高速で移動することとなり、装飾可動物33を瞬時に画像表示器8の前方に出現させることができるようになる。
次に、シャッタ部材73により装飾可動物32,33,34の移動を規制する機構について説明する。図22乃至図24は、シャッタ部材73が3段階の位置のそれぞれにある状態を役物動作ユニット30の背面側から見た斜視図である。上述したように、シャッタ部材73は、モータ37によって左右方向(図中X軸方向)にスライド移動する。図22は、シャッタ部材73が最も−X方向に移動した位置(第1の位置)にある状態を示している。また図23は、シャッタ部材73がX方向の中央の位置(第2の位置)にある状態を示している。さらに図24は、シャッタ部材73が最もX方向に移動した位置(第3の位置)にある状態を示している。モータ37は、シャッタ部材73をこれら3つの位置のいずれか移動させる。
シャッタ部材73は上述したように複数のフック部74を有しており、それら複数のフック部74には、2種類のフック部74a,74bがある。これら2種類のフック部74a,74bは、X方向の長さが異なっており、個別ユニット30b,30dに対応して設けられたフック部74aはX方向の長さが短く、個別ユニット30cに対応して設けられたフック部74bはX方向の長さが長くなっている。これら2種類のフック部74a,74bはいずれも、移動部材58の背面側に突出する突起部58aと係合して移動部材58が上方に移動することを規制するためのフック手段である。例えば、フック部74aは第2のフック手段であり、フック部74bは第1のフック手段である。尚、左右両端に位置する個別ユニット30a,30eに対応する部分には、フック部74は設けられておらず、シャッタ部材73が3段階の位置のいずれにある場合であっても、回転板55が回転すると、移動部材58は上方に移動し、それに伴って左右両端の装飾可動物31,35は画像表示器8の前方に出現する。
図22に示すように、シャッタ部材73が最も−X方向に移動した位置(第1の位置)にある場合、個別ユニット30b,30c,30dに対応して設けられた複数のフック部74a,74bはいずれも移動部材58の突起部58aの上部には進出していない状態となる。つまり、複数のフック部74a,74bは、個別ユニット30b,30c,30dの背面側に突出する突起部58aの上部からは退避した位置にある。この状態で、モータ36が駆動され、各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eに設けられた回転板55が回転すると、装飾可動物31,35、装飾可動物32,34および装飾可動物33がこの順序で上昇し、画像表示器8の前方に出現する。したがって、この場合は、複数の装飾可動物31,32,33,34,35の全てが画像表示器8の前方に出現する演出態様となる。
また図23に示すように、シャッタ部材73が左右方向(X方向)の中央の位置(第2の位置)にある場合、個別ユニット30b,30dに対応して設けられた2つのフック部74aは移動部材58の突起部58aの上部には進出していない状態となるが、中央の個別ユニット30cに対応して設けられたフック部74bは移動部材58の突起部58aの上部に進出した状態となる。この状態で、モータ36が駆動され、各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eに設けられた回転板55が回転すると、装飾可動物31,35および装飾可動物32,34がこの順序で上昇し、画像表示器8の前方に出現する。しかし、個別ユニット30cにおいては、突起部58aとフック部74bとが係合し、移動部材58の上昇が規制されているため、装飾可動物33は上昇せず、画像表示器8の前方から退避した状態のままとなる。したがって、この場合は、中央の装飾可動物33は画像表示器8の前方に出現せず、他の装飾可動物31,32,34,35が画像表示器8の前方に出現する演出態様となる。
さらに図24に示すように、シャッタ部材73が最もX方向に移動した位置(第3の位置)にある場合、個別ユニット30b,30c,30dに対応して設けられたフック部74a,74bのいずれもが移動部材58の突起部58aの上部に進出した状態となる。この状態で、モータ36が駆動され、各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eに設けられた回転板55が回転すると、装飾可動物31,35だけが上昇し、画像表示器8の前方に出現する。他の個別ユニット30b,30c,30dにおいては、突起部58aとフック部74a,74bとが係合し、移動部材58の上昇が規制されているため、装飾可動物32,33,34は上昇せず、画像表示器8の前方から退避した状態のままとなる。したがって、この場合は、中央の3つの装飾可動物32,33,34は画像表示器8の前方に出現せず、左右両端の装飾可動物31,35だけが画像表示器8の前方に出現する演出態様となる。
このように本実施形態では、モータ37がシャッタ部材73を左右方向にスライド移動させることにより、モータ36が各個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eの回転板55を一斉に回転させた場合に画像表示器8の前方に出現させる装飾可動物の数を変化させ、装飾可動物を用いる演出において装飾可動物の出現態様を様々なバリエーションに変化させることが可能である。そのため、画像表示器8の前方に出現する装飾可動物の数が増加する程、遊技機1において大当たりの発生する確率が高くなるような演出態様とするなど、遊技機1において行われる装飾可動物を用いた演出を多様化させることができ、遊技の興趣性をより一層高めることができる。
次に、モータ38がスライド部材63をスライド移動させることにより、画像表示器8の前方位置に進出した状態の装飾可動物の姿勢を正座姿勢から平伏姿勢へと変化させるための機構について説明する。図25および図26は、個別ユニット30cのみを搭載した状態の役物動作ユニット30を背面側から見た斜視図である。これら各図では装飾可動物33が画像表示器8の前方に進出した状態を示している。また図25では装飾可動物33が正座姿勢である場合を、図26では装飾可動物33が平伏姿勢となっている場合を示している。尚、図示を省略しているが、他の個別ユニット30a,30b,30d,30eについてもこれと同様である。モータ38は、図25および図26に示すように、スライド部材63をX方向又は−X方向に移動させる。
図25に示すように、スライド部材63がX方向に移動した状態のとき、そのスライド部材63に連結された揺動部材65はそれに連動してX方向に振れた状態となる。モータ38が駆動されないとき、スライド部材63は図25に示すような状態となって静止している。このとき、回動ポール64の上部に設けられたプッシャ66は、個別ユニット30cの背面側に向いた状態となっている。
この状態で、装飾可動物33が進出位置に向かって上昇してくると、支持部材85に組み付けられ、支持部材85の背面側に突出した状態の操作部材91がプッシャ66の前方側に位置するようになる。この操作部材91は、支持部材85の側部を前後方向に移動可能であり、ステージ51の下部に設けられたコイルバネ92によって支持部材85の背面側に突出する方向に付勢されている。
そして図26に示すように、モータ38が駆動され、スライド部材63が−X方向に移動すると、そのスライド部材63に連結された揺動部材65はそれに連動して−X方向に回動した状態となり、それに伴い、回動ポール64の上部に設けられたプッシャ66が操作部材91を前方側に向けて押圧する。装飾可動物33は、操作部材91が前方側に押し出されることに伴って正座姿勢から平伏姿勢へと姿勢を変化させるようになっている。尚、装飾可動物33を平伏姿勢から正座姿勢に戻すとき、モータ38は、スライド部材63を再び図25に示したX方向に移動させれば良い。
次に、装飾可動物33の姿勢を変化させるための機構について説明する。図27は、進出位置へ移動した装飾可動物33を拡大して示す図であり、図27(a)は装飾可動物33が正座姿勢(起立姿勢)である状態を、図27(b)は装飾可動物33が平伏姿勢(傾倒姿勢)である状態を示している。また、図28および図29は、装飾可動物33の内部構造を示す一部透過側面図であり、図28は装飾可動物33が正座姿勢(起立姿勢)である状態を、図29は装飾可動物33が平伏姿勢(傾倒姿勢)である状態を示している。
図27に示すように、プッシャ66が回動して操作部材91を前方側に押し出すと、ステージ51の背面側において上下方向に貫通する作動部材94が所定量上昇する。より詳しく説明すると、図28および図29に示すように、支持部材85の側部には、操作部材91が前後方向に移動することに伴って回動軸93aを中心に回動する回動部材93が配置されており、作動部材94の下端部は連結部材93bによってその回動部材93に連結されている。また回動部材93には、コイルバネ92の一端を係止する係止部93cが形成されている。コイルバネ92は、一端が回動部材93の係止部93cに係止されており、他端がステージ51の下部に係止されている。このコイルバネ92は、回動部材93を図28および図29において時計回り方向に付勢するように設けられ、これにより操作部材91は前後方向の後方側に付勢されている。また作動部材94は、コイルバネ92により、下向きに付勢されることになる。
プッシャ66が操作部材91を前方側に押し出すと、操作部材91はコイルバネ92の付勢力に抗して前方に移動し、回動部材93をコイルバネ92の付勢力に抗して反時計回りに回動させる。回動部材93に設けられた連結部材93bは、回動部材93が反時計回りに回動することにより作動部材94の下端部を押し上げるので、作動部材94はそれに伴って上昇する。
ステージ51上に配置された装飾可動物33は、ステージ51と一体的に形成された基体部51aに取り付けられた構成である。装飾可動物33は、胴部33aと、頭部33bと、腕部33cと、手部33dとの4つの可動部材を備えている。尚、胴部33aは第1可動部材であり、頭部33bは第2可動部材であり、腕部33cは第3可動部材であり、さらに手部33dは第4可動部材である。
図28および図29に示すように、胴部33aは、基体部51aに設けられた回動軸95(第1の回動軸)周りに回動可能に取り付けられる。また作動部材94は、その回動軸95の後方側の位置で胴部33aに対して連結されている。したがって、作動部材94が上昇すると、それに伴い、胴部33aは回動軸95を中心に回動する。そしてこの回動により、胴部33aは直立姿勢から前傾姿勢(傾倒姿勢)に変化する。
一方、頭部33bは、頭部33bの内部に配置された頭部支持部材98によって支持されている。頭部支持部材98は、胴部33aの内部に設けられた回動軸97(第2の回動軸)周りに回動可能に軸支されている。したがって、頭部33bは胴部33aに対して回動可能となっている。この回動軸97は、胴部33aの内側において回動軸95の上方でやや前方寄りの位置に設けられている。
また基体部51aには、頭部支持部材98と対向する部分であって、回動軸95を中心とする円弧状の表面部分にギア96が設けられている。一方、頭部支持部材98には、基体部51aと対向する部分であって、回動軸97を中心とする円弧状の表面部分にギア99が設けられている。そして、これら2つのギア96,99は、胴部33aの内側で互いに歯合した状態となっている。
また腕部33cは、胴部33aに対して左右一対に設けられる。この腕部33cの上部は胴部33aに対して回動可能に取り付けられ、下部は手部33dに対して回動可能に取り付けられる。尚、腕部33cの上部が胴部33aに対して回動可能に取り付けられる位置は、回動軸95の上方でやや前方寄りの位置となっている。
さらに手部33dは、上述したように腕部33cに対して回動可能であり、左右一対の腕部33cのそれぞれに設けられる。手部33dは、ステージ51の上面に接触した状態となっており、その状態のまま、ステージ51の左右両側において前後方向に形成されたスリット51bに沿って前後方向に移動可能となっている。
このような構成の装飾可動物33は、作動部材94が上昇することに伴って、胴部33aが回動軸95を中心に回動して直立姿勢から前傾姿勢(傾倒姿勢)に変化すると、頭部支持部材98を支持する回動軸97は回動軸95周りに前方方向に移動する。このとき、頭部支持部材98に設けられたギア99と基体部51aに設けられたギア96とが互いに歯合しているので、頭部支持部材98は回動軸97を中心に回動し、胴部33aに対して前傾姿勢(傾倒姿勢)に変化する。
胴部33aは回動軸95周りに回動することにより基体部51aに対して前傾姿勢に変化し、頭部33bはその胴部33aに対して更に前傾姿勢に変化するため、装飾可動物33が正座姿勢から平伏姿勢に変化するとき、頭部33bは胴部33aよりも更に大きく前方側に傾斜する。
このように本実施形態の装飾可動物33は、作動部材94が上下方向に移動することに伴って、第1可動部材である胴部33aは基体部51aに設けられた回動軸95周りに回動し、第2可動部材である頭部33bは胴部33aに設けられた回動軸97周りに回動する。つまり、作動部材94の上下方向へのひとつの動作が、回動軸95と回動軸97との2つの関節を動作させることになる。ここで、胴部33aの回動軸95に対する回転角度をθa、頭部33bの胴部33aに対する回転角度をθbとすると、頭部33bは基体部51aに対してθa+θbの傾斜角度で前傾姿勢に変化する。
また、胴部33aが回動軸95を中心に回動して直立姿勢から前傾姿勢に変化すると、それに伴い、腕部33cの上部が前方下方へ移動する。そのため、腕部33cはその下部をステージ51の前方方向に押し出すように作用する。そして手部33dは、腕部33cの下部がステージ51の前方側に押し出されることに伴い、ステージ51の上面に接触した状態のまま、スリット51bに沿って前方方向に移動する。ここでも、作動部材94の上下方向へのひとつの動作が、腕部33cに設けられた2つの回動軸を2つの関節として個別に動作させており、さらには手部33dを前後方向にスライド移動させるようになっている。
したがって、回動ポール64に設けられたプッシャ66が操作部材91を前方側に押し込むことにより、装飾可動物33は複数の関節(回動軸)のそれぞれを所定方向に回動させるようになっており、装飾可動物33に対して複雑な動作を実現させている。このように装飾可動物33に複雑な動作を実現するためには、第1可動部材である胴部33aを固定された基体部51aに対して回動軸95周りに回動させ、その他の可動部材を動作させる回動軸を、回動軸95の軸線上とは異なる位置に設けることが好ましい。例えば本実施形態では、第2可動部材である頭部33bの回動軸97は、胴部33aの回動軸95とは異なる位置に設けられている。また腕部33cに設けられる2つの回動軸も胴部33aの回動軸95とは異なる位置に設けられている。このように、複数の関節(回動軸)を、胴部33aの回動軸95とは異なる位置に設けることにより、胴部33aの回動動作が他の回動軸に作用し、装飾可動物33に対して複雑な動作を行わせることが可能となる。
一方、装飾可動物33が平伏姿勢にある状態から元の正座姿勢に戻す場合には、回動ポール64が回動してプッシャ66を操作部材91の後方側に離反させる。これにより、回動部材93は、コイルバネ92の付勢力によって元の状態に戻り、作動部材94は下方に移動する。作動部材94が下方に移動することにより、装飾可動物33に設けられた複数の関節(回動軸)のそれぞれが上記と逆の方向に回動するので、装飾可動物33の姿勢は平伏姿勢から元の正座姿勢に戻るようになる。
ところで、図29に示すように、装飾可動物33が平伏姿勢になると、頭部33bはステージ51の前方端部よりも更に前方側に進出するようになる。そのため、仮に、装飾可動物33が画像表示器8の前方から退避した退避位置にある状態でもその装飾可動物33が正座姿勢から平伏姿勢に姿勢変化してしまうような構成とすると、ステージ51の前方側に平伏時の頭部33bと干渉しないように空きスペースを設けておく必要があり、役物動作ユニット30の設置スペースが大きくなってしまうという不都合がある。これを防止するため、本実施形態では、モータ38が駆動されてプッシャ66が回動する場合でも、退避位置にある装飾可動物33は正座姿勢から平伏姿勢に姿勢変化しないような構成となっている。
図30は、装飾可動物33が退避位置にある状態でプッシャ66が操作部材91の押し込み動作を行っている状態を示す図である。図30に示すように、装飾可動物33が画像表示器8の前方から退避した退避位置にあるとき、装飾可動物33の姿勢を変化させるための操作部材91は、回動ポール64に設けられたプッシャ66の高さ位置よりも低い位置に退避している。そのため、この状態でモータ38が作動してスライド部材63が−X方向に移動し、それに連動してプッシャ66が前方方向へ回動する場合でも、そのようなプッシャ66の動作は単なる空動作となり、異なる高さ位置にある操作部材91を前方側に押し込むことはない。それ故、装飾可動物33が画像表示器8の前方から退避した退避位置にある状態では、プッシャ66が作動しても装飾可動物33が正座姿勢から平伏姿勢に変化することはない。
このように本実施形態では、装飾可動物33が画像表示器8の前方から退避した退避位置にあれば、常に正座姿勢を保持し、平伏姿勢に変化することはないので、退避位置にあるステージ51の前方側に余分な空きスペースを設ける必要がなく、役物動作ユニット30の設置スペースを小さくすることができる。
以上のように本実施形態の遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技領域13の略中央に開口部10bが形成された遊技盤10と、その遊技盤10の背面側に取り付けられ開口部10bを介して遊技盤10の正面側から視認可能な画像表示器8と、その画像表示器8の周囲に設けられる役物動作ユニット30とを備えている。役物動作ユニット30は、複数の装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方に進出した進出位置と画像表示器8の前方から退避した退避位置との間で進退させるように構成されている。
この役物動作ユニット30は、上述したように、回転軸53を一方向へ回転させるモータ(第1の駆動手段)36と、複数の装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれに対して個別に設けられ、回転軸53の延設方向に沿って所定間隔で配置された複数の個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eと、複数の個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eの配列方向に沿ってスライド移動するシャッタ部材73と、そのシャッタ部材73をスライド移動させるモータ(第2の駆動手段)37とを備えている。
また、複数の個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eのそれぞれは、一の装飾可動物を支持した状態で、回転軸53が一方向へ回転することに伴って、その回転軸53と直交する移動方向へ移動する移動部材58を有し、この移動部材58が移動することにより、一の装飾可動物を進出位置と退避位置との間で移動させるように構成されている。
そしてシャッタ部材73は、モータ37によって駆動されることにより、個別ユニット30b,30c,30dに設けられた移動部材58が移動方向に移動するときの軌道上に進退するフック部74を有しており、このフック部74が、移動部材58の軌道上に進出した状態において移動部材58と係合し、移動部材58が回転軸53の回転に伴って移動方向へ移動することを規制する。
このような構成によれば、モータ36を駆動して回転軸53を一方向に一定の速度で回転させるようにすれば、複数の装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれを退避位置から進出位置へと移動させることが可能であり、しかもモータ36を駆動する前に予めモータ37を駆動してシャッタ部材73をスライド移動させておくことによりモータ36が回転軸53を回転させることに伴って退避位置から進出位置へと移動する装飾可動物の数を適宜変更することが可能である。それ故、本実施形態の遊技機1によれば、複数の装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれに駆動源を設けることなく、様々なバリエーションでそれら複数の装飾可動物31,32,33,34,35を進出位置へ出現させることができるようになり、演出としての興趣性をより一層高めることができる。
また、複数の個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eのそれぞれは、さらに、移動部材58の移動を案内すると共に、移動部材58によって支持される一の装飾可動物を進出位置と退避位置との間で移動させるガイド部材52と、その一の装飾可動物が進出位置へ向かう方向へ移動部材58を付勢するコイルバネ59と、渦巻き状のカムが形成され、回転軸53の回転に伴って回転する回転板55とを備えている。そして、モータ36が、回転軸53を一方向へ回転駆動することによって複数の個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eのそれぞれに設けられる回転板55を一方向へ回転させる。それら回転板55は、一方向へ回転することにより、渦巻き状のカムの外側端部が移動部材58と係合し、移動部材58をコイルバネ59の付勢力に抗して回転中心に向けて移動させることにより、装飾可動物を進出位置から退避位置へと移動させると共に、渦巻き状のカムの内側開放端部が移動部材58との係合状態を解放してコイルバネ59が移動部材58を移動させることにより、装飾可動物を退避位置から進出位置へと移動させるように構成される。
そして、複数の個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eのそれぞれに設けられる回転板55a,55b,55cは、渦巻き状のカム552の内側開放端部(後端部555)がそれぞれ異なる回転位置に形成されている。そのため、回転板55a,55b,55cが一方向へ回転することに伴って、渦巻き状のカム552の内側開放端部(後端部555)が移動部材58の突起部58bとの係合状態を解放するタイミングは、個別ユニットごとに異なるものとなり、複数の個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eのそれぞれに設けられた複数の装飾可動物31,32,33,34,35が画像表示器8の前方に出現するタイミングは異なるタイミングとなる。
このような構成によれば、モータ36を駆動制御する際、回転軸53を一方向に一定の速度で回転させるようにすれば、複数の装飾可動物31,32,33,34,35をそれぞれ異なるタイミングで進出位置へと移動させることが可能である。それ故、モータ36の制御を複雑にすることなく、複数の装飾可動物31,32,33,34,35を個別に画像表示器8の前方に出現させることができる。
また上記のような構成によれば、渦巻き状のカム552の内側開放端部と突起部58bとの係合状態が解放されることによって、コイルバネ59がその付勢力により移動部材58を瞬間的に移動させるので、装飾可動物31,32,33,34,35を進出位置に移動させる際の速度を高速化することができ、装飾可動物31,32,33,34,35のそれぞれを画像表示器8の前方に対して瞬時に出現させることができる。それ故、装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方に出現させるときには、遊技者に対してインパクトを与えるような演出効果を発揮することができるようになり、装飾可動物を用いた演出を興趣性のあるものにすることができる。
また上記構成によれば、回転板55が一方向へ回転することにより、複数の個別ユニット30a,30b,30c,30d,30eのそれぞれにおいて、渦巻き状のカム552の外側端部が突起部58bと同時に係合し、コイルバネ59の付勢力に抗して移動部材58を比較的ゆっくりとした速度で回転板55の回転中心に向けて同時に移動させるので、複数の装飾可動物31,32,33,34,35を一斉に進出位置から退避位置へと移動させることができると共に、その移動の際の速度を比較的遅い速度にすることができる。そのため、複数の装飾可動物31,32,33,34,35を用いた演出が終了し、それら装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方位置から退避させる際には、それら装飾可動物を用いた演出効果の余韻を残しつつ、比較的ゆっくりとした遅い速度で退避させていくことが可能である。したがって、この点においても装飾可動物を用いた演出を興趣性のあるものにすることができる。
また本実施形態における役物動作ユニット30では、移動部材58が案内路56に沿って移動することによって傾斜角度を変化させるアーム81を介して装飾可動物31,32,33,34,35を支持するように構成されている。そのアーム81は、基端部82が移動部材58に対して回動可能に軸支されると共に、先端部83が装飾可動物31,32,33,34,35の支持部材85を支持している。そして移動部材58が回転板55の回転中心に向かって移動することにより、アーム81はその基端部82を中心に回動して装飾可動物31,32,33,34,35を退避位置に移動させる。また移動部材58と渦巻き状のカム552との係合状態が解放されて移動部材58がコイルバネ59の付勢力によって移動することにより、アーム81はその基端部82を中心に回動して装飾可動物31,32,33,34,35を進出位置に移動させる構成である。
このような構成によれば、移動部材58の移動量を小さくした場合でも、アーム81がその基端部82を中心に回動して傾斜角度を変化させることにより、移動部材58の移動量に比して装飾可動物31,32,33,34,35を大きく移動させることが可能になる。それ故、回転板55などを小型化することができ、役物動作ユニット30のユニット全体としても小型化を図ることができる。
また本実施形態の役物動作ユニット30では、装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方に出現させた状態において、各装飾可動物31,32,33,34,35の姿勢を変化させることができるようになっている。すなわち、各装飾可動物31,32,33,34,35は、上述した胴部33aに対応する第1可動部材と、頭部33bに対応する第2可動部材とを有する構成であり、基体部51aは、第1の回動軸95と、その第1の回動軸95と同心の円弧状の第1ギア96とを有する構成である。そして第1可動部材は、基体部51aに設けられる第1の回動軸95に対して回動可能に装着されると共に、その第1の回動軸95は異なる位置に第2の回動軸97を有している。また第2可動部材は、第1可動部材に設けられる第2の回動軸97に対して回動可能に装着されると共に、その第2の回動軸97と同心であって基体部51aに設けられる第1ギア96と歯合する第2ギア99を有している。そして作動部材94は、第1可動部材を基体部51aに設けられた第1の回動軸95を中心回動させることにより、第1可動部材を基体部51aに対して傾斜させると共に、第2可動部材を第2の回動軸97を中心に回動させて第1可動部材に対して傾斜させるように構成される。
このような構成によれば、装飾可動物31,32,33,34,35の姿勢を変化させるために複数の駆動源を設ける必要がなく、作動部材94を動作させるだけで各装飾可動物31,32,33,34,35に多関節動作を行わせることが可能である。そして装飾可動物31,32,33,34,35を画像表示器8の前方に出現させた状態において、各装飾可動物31,32,33,34,35に多関節動作を行わせることにより、各装飾可動物31,32,33,34,35は複雑な動きするので、装飾可動物を用いた演出として興趣性の高い演出を行うことが可能である。
(変形例)
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば上記実施形態では、始動口19,21に遊技球が入球するとそれに伴って大当たり抽選が行われ、大当たりに当選すると大入賞口22を開放して遊技者に有利な遊技価値を付与するようにした遊技機1を例示したが、上述した役物動作ユニット30を搭載可能な遊技機は必ずしもそのような遊技機に限られない。例えば、所謂羽根モノなどと呼ばれる遊技機であっても上述した役物動作ユニット30を搭載することが可能である。
また上記実施形態では、一例として、装飾可動物31,32,33,34,35が進出する進出位置が画像表示器8の前方である場合について説明した。しかしながら、装飾可動物31,32,33,34,35の進出する進出位置は、必ずしも画像表示器8の前方には限られない。
また上記実施形態では、役物動作ユニット30に複数の装飾可動物31,32,33,34,35が設けられる場合を例示したが、これに限られるものでもない。すなわち、役物動作ユニット30に、ひとつの装飾可動物だけを搭載したものであっても構わない。この場合、モータ36をオンオフ制御することにより、そのひとつの装飾可動物を移動させるか否かを制御可能であるため、上述したシャッタ部材73やシャッタ部材73を駆動するためのモータ37を設ける必要がない。