以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについて重複する説明は省略する。
図1は、本発明における遊技機1の外観構成の一例を示す正面図である。この遊技機1は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が各種入賞口に入球すると賞球を払い出すように構成された弾球式の遊技機である。
図1に示すように、遊技機1は、遊技機本体1aの正面側に開閉可能に取り付けられた前枠部材3を備えている。前枠部材3は、その中央に透明ガラス板2aが嵌め込まれた窓部2を有している。遊技者は、この透明ガラス板2aを介して遊技機1の正面側から遊技機本体1aに取り付けられる遊技盤10を視認可能である。前枠部材3は、窓部2の下部右側に、遊技者が操作するハンドルレバー4を備えている。遊技者がこのハンドルレバー4を右回り方向(時計回り方向)に回転操作すると、その操作角度に応じた打球力で遊技球が遊技盤10の盤面に所定の時間間隔で1球ずつ打ち出されるようになっている。
前枠部材3は、窓部2の上部左右両側に設けられた一対のスピーカ5と、窓部2の上部および下部のそれぞれ中央に設けられた枠ランプ6とを備えている。スピーカ5は楽曲や音声、効果音などを発することで各種の演出を行い、枠ランプ6は点灯点滅のパターンや発光色の違いなどで各種の演出を行うように構成されている。
図2は、遊技機1の前枠部材3を開放した状態を示す斜視図である。図2に示すように前枠部材3は、遊技機本体1aの左側に設けられた支持部1bにより回動可能に軸支されている。遊技者が遊技を行うときには、図1に示すように前枠部材3は遊技機本体1aに閉じられ、施錠された状態となる。遊技中、例えば遊技盤10の遊技領域11において球詰まりなどが生じると、店員が前枠部材3を解錠して図2に示すように前枠部材3を開放することにより、球詰まりなどを解消することができる。
図2に示すように遊技機本体1aには、遊技盤10が取り付けられている。この遊技盤10の正面側には、遊技球が打ち出される略円形の遊技領域11が形成されている。遊技領域11のほぼ中央にはセンター役物などとも称される飾り枠体12が設けられている。さらに飾り枠体12の中央の背面側には画像表示器8が配置されている。画像表示器8は、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成され、遊技の進行状況に応じて各種の演出画像を表示する。
また図示を省略しているが、遊技領域11の内側には、多数の釘、スルーゲート、風車、普通入賞口、第1始動口、第2始動口、電動チューリップ、大入賞口等の公知の部材が配置される。そして遊技機1は、第1始動口又は第2始動口に遊技球が入球すると、それに伴って乱数を取得し、その取得した乱数が所定値であるか否かを判定することにより大当たり抽選を行う。遊技機1において大当たり抽選が行われると、画像表示器8は、例えば1〜9までの数字が付された3つの装飾図柄画像の変動表示を開始し、変動表示を開始してから所定時間が経過したタイミングで3つの装飾図柄画像を停止させる。このとき、3つの装飾図柄画像が揃った状態で停止すれば大当たりとなり、遊技機1は大入賞口を開放させる大入賞口開放遊技へと移行し、遊技者に有利な遊技価値が付与される。すなわち、大入賞口開放遊技では、大入賞口に多数の遊技球が入球するので、遊技者は多くの賞球を獲得することができるようになる。
次に図3は、遊技機1における遊技盤10の構成を示す分解斜視図である。図3に示すように、遊技盤10のほぼ中央には開口部10aが形成されている。遊技盤10の背面側に配置される画像表示器8の表示画面は、この開口部10aを通して遊技盤10の正面側から視認可能である。この開口部10aの周縁部には、遊技盤10の正面側から飾り枠体12が取り付けられる。これにより、飾り枠体12は、画像表示器8の画面枠を構成する。
一方、画像表示器8は、遊技盤10の背面側に役物保持枠体14を介して取り付けられる。つまり、遊技盤10の背面側には役物保持枠体14が取り付けられ、その役物保持枠体14のさらに背面側に画像表示器8が取り付けられる。
役物保持枠体14は、一定の厚みを有する箱形の枠体であり、正面側が全面開放されており、背面側に画像表示器8の表示画面サイズに対応した窓部15が形成された構造である。役物保持枠体14の正面側縁部にはフランジ部14aが設けられており、そのフランジ部14aが遊技盤10の背面側の所定位置にビス止めされることにより、役物保持枠体14が遊技盤10の背面側に固定される。そして画像表示器8は、表示画面の周縁部が役物保持枠体14における窓部15の周囲に取り付けられることにより役物保持枠体14の背面側に固定される。
遊技盤10と画像表示器8との間に設けられる役物保持枠体14の内側には、役物動作ユニット20が設けられる。この役物動作ユニット20は、左右一対の装飾可動物21a,21bを備えている。これら装飾可動物21a,21bは、遊技機1における演出用の役物として設けられており、通常は画像表示器8の前方側から左右側方に退避した退避位置にあり、所定の演出タイミングで駆動されると、その退避位置から画像表示器8の前方側の所定位置に進出した状態となる。そして、これら装飾可動物21a,21bは、後に詳しく説明するが、画像表示器8の前方側の進出位置に移動すると、その姿勢を変化させることができるようになっている。尚、以下においては、これら2つの装飾可動物21a,21bを特に区別しない場合には、単に装飾可動物21と称する。
図4は、遊技機本体1aの背面側に取り付けられる遊技機1の制御機構を示すブロック図である。遊技機本体1aの背面側には、遊技機1の主たる動作を制御するメイン制御基板100と、メイン制御基板100から出力される信号やコマンドに基づいて各部を制御するサブ制御基板110とが取り付けられる。サブ制御基板110は、払出制御基板120、演出制御基板130、画像制御基板140、役物制御基板150等で構成されている。尚、この他にもハンドルレバー4の操作角度に応じて遊技球を発射する発射機構などが設けられるが、図4では図示を省略している。
メイン制御基板100は、CPU101とROM102とRAM103とを備えている。このメイン制御基板100には、遊技球が第1始動口に入球したことを検知する第1始動口スイッチ41、遊技球が第2始動口に入球したことを検知する第2始動口スイッチ42、電動チューリップを開閉駆動する電チューソレノイド43、遊技球がスルーゲートを通過したことを検知するゲートスイッチ44、遊技球が普通入賞口に入球したことを検知する普通入賞口スイッチ45、遊技球が大入賞口に入球したことを検知する大入賞口スイッチ46、および、大入賞口を開閉駆動する大入賞口ソレノイド47が接続されている。
メイン制御基板100は、第1始動口スイッチ41、第2始動口スイッチ42、普通入賞口スイッチ45および大入賞口スイッチ46のそれぞれが遊技球の入球を検知した場合、払出制御基板120に対して賞球コマンドを送出する。払出制御基板120は、CPU121とROM122とRAM123とを備え、遊技機本体1aの背面側に設けられた払出モータ124を制御するように構成されている。この払出制御基板120は、メイン制御基板100から賞球コマンドを入力すると、入球した入賞口に応じて所定球数の遊技球を賞球として払い出す。
またメイン制御基板100は、普通図柄の抽選や大当たり抽選(大当たり判定)を行うように構成されている。例えば遊技球がスルーゲートを通過したことをゲートスイッチ44が検知すると、メイン制御基板100は、電動チューリップを開閉するための普通図柄抽選を行い、当選すれば電チューソレノイド43を所定時間及び所定回数駆動させて電動チューリップを開放させる。またメイン制御基板100は、遊技球が第1始動口又は第2始動口に入球したことを第1始動口スイッチ41又は第2始動口スイッチ42が検知すると、その入球した始動口に応じた大当たり抽選を行い、その大当たり抽選の結果に応じた演出を行わせるべく、演出制御基板130に対して信号やコマンドを送出する。
メイン制御基板100は、大当たり抽選の結果、大当たりに当選している場合には、演出制御基板130によって行われる演出のための所定時間が経過した後、遊技機1の遊技状態を大入賞口開放遊技へと移行させる。この大入賞口開放遊技では、メイン制御基板100が大入賞口ソレノイド47を駆動して大入賞口を開閉させることにより、遊技者が多くの賞球を獲得し得る状態に制御する。
演出制御基板130は、CPU131とROM132とRAM133とリアルタイムクロック(RTC)134とを備えており、メイン制御基板100からの信号やコマンドなどに基づいて、メイン制御基板100から指示される所定時間内で行う具体的な演出内容を決定する。そして演出制御基板130は、その決定した演出内容に基づいて、画像制御基板140と役物制御基板150とを制御する。例えば、メイン制御基板100において大当たり抽選が行われることに伴って送信される変動開始コマンドを受信すると、演出制御基板130は、画像表示器8および役物動作ユニット20を駆動して行う演出パターンを決定し、画像制御基板140および役物制御基板150を制御することで、その演出パターンに対応した演出を実行させる。ここで決定される演出パターンは、メイン制御基板100から送出される信号やコマンドに対応する演出パターンとなる。そしてメイン制御基板100から変動停止コマンドを受信すると、演出制御基板130は、上記のようにして決定された演出パターンの実行を終了させると共に、メイン制御基板100における大当たり抽選の結果に対応した停止図柄で装飾図柄画像を停止させるべく、画像制御基板140および役物制御基板150を制御する。
画像制御基板140は、CPU141と、ROM142と、RAM143と、VRAM144とを備えており、演出制御基板130から指示される演出パターンに基づいて画像表示器8およびスピーカ5を制御することにより、画像表示器8における装飾図柄画像の変動表示を行うと共に、リーチ演出などの各種の演出を行う。VRAM144は、画像表示器8に表示するための画像を書き込むメモリである。CPU141はこのVRAM144に対して背景画像表示処理、装飾図柄表示処理、キャラクタ画像表示処理などの各種処理を実行することにより、画像表示器8に対して、背景画像、装飾図柄画像、キャラクタ画像などを重畳的に表示することができる。また画像制御基板140は、演出制御基板130で決定される演出パターンに対応する演出用の動画像などを画像表示器8に表示させることも可能である。このような画像制御基板140の制御により、画像表示器8に表示される画像は、役物動作ユニット20における装飾可動物21の動作と連動した画像として表示することもできる。
役物制御基板150は、CPU151とROM152とRAM153とを備えており、演出制御基板130から指示される演出パターンに基づいて上述した枠ランプ6などを含む各種ランプ49を点灯させると共に、役物動作ユニット20を制御するように構成される。役物制御基板150が役物動作ユニット20を制御する場合には、後述する駆動機構33,34を駆動制御する。このとき役物制御基板150は、演出制御基板130で決定される演出パターンに基づいて役物動作ユニット20を制御するため、役物動作ユニット20に設けられた装飾可動物21の動作を、画像表示器8において表示される演出用の画像と連動させることも可能である。
このようにして遊技機1では、第1始動口又は第2始動口に遊技球が入球することに伴って各種の演出が行われるようになる。そして遊技機1において所定の演出パターンが実行されるときには、役物動作ユニット20が駆動されることにより、左右一対の装飾可動物21a,21bを画像表示器8の前方位置に進出させて通常とは異なる演出が行われるようになる。例えば、左右一対の装飾可動物21a,21bを動作させる演出は、遊技機1におけるリーチ演出のひとつとして行われる。
図5、図6および図7は、遊技盤10の背面側に設けられる役物保持枠体14を拡大して示す斜視図であり、役物動作ユニット20における装飾可動物21(21a,21b)の動作態様を示す図である。役物動作ユニット20は、装飾可動物21を用いた演出を行わないとき、図5に示すように、各装飾可動物21a,21bを画像表示器8の前方位置から左右側方に退避させた退避位置で保持する。そして装飾可動物21が駆動されると、各装飾可動物21a,21bは、図6に示すように画像表示器8の前方に進出する。これらの装飾可動物21a,21bには、複数の関節が設けられており、画像表示器8の前方位置の進出位置へ移動した状態で更なる駆動が行われることにより、各装飾可動物21a,21bは、図6に示す状態と、図7に示す状態とでその姿勢を変化させるように構成される。
このような役物動作ユニット20は、画像表示器8の前方側下部において左右方向に沿って設けられたガイドレール31を有すると共に、画像表示器8の前方側上部において左右方向に沿って設けられたガイドレール32を有している。すなわち、ガイドレール31,32は、画像表示器8を視認可能にするための窓部15を挟む上下位置に設けられ、互いに平行な状態で左右方向に延設されている。
装飾可動物21の上下両端部は、それぞれ上記のようなガイドレール31,32に沿って移動するように構成されている。すなわち、役物保持枠体14において窓部15の下側に設けられたガイドレール31の近傍には、装飾可動物21の下端部をガイドレール31に沿って移動させるための駆動機構33が設けられると共に、窓部15の上側に設けられたガイドレール32の近傍には、装飾可動物21の上端部をガイドレール32に沿って移動させるための駆動機構34が設けられており、装飾可動物21の上下両端部は、これらの駆動機構33,34が駆動されることにより、ガイドレール31,32に沿って移動する。
またガイドレール31の中央には所定間隔を隔てて設けられる一対のストッパ31a,31bが設けられている。ストッパ31aは、装飾可動物21aが画像表示器8の前方側へ向かって移動するとき、装飾可動物21aの下端部を進出位置で停止させるためのものである。またストッパ31bは、装飾可動物21bが画像表示器8の前方側へ向かって移動するとき、装飾可動物21bの下端部を進出位置で停止させるためのものである。
同様に、ガイドレール32の中央にも所定間隔を隔てて設けられる一対のストッパ32a,32bが設けられている。ストッパ32aは、装飾可動物21aが画像表示器8の前方側へ向かって移動するとき、装飾可動物21aの上端部を進出位置で停止させるためのものである。またストッパ32bは、装飾可動物21bが画像表示器8の前方側へ向かって移動するとき、装飾可動物21bの上端部を進出位置で停止させるためのものである。
したがって、装飾可動物21a,21bは、駆動機構33,34によって駆動されると、それらの上端部および下端部がガイドレール31,32に沿って画像表示器8の前方側の中央位置へ向かって移動していき、上記ストッパ31a,31b,32a,32bによって規定される進出位置へと進出する。そして駆動機構33,34が更に駆動されると、装飾可動物21a,21bは、図6に示す状態から図7に示す状態へとその姿勢を変化させるようになっている。以下、このような役物動作ユニット20について更に詳しく説明する。
図8は、役物動作ユニット20を正面側からみた斜視図である。また図9は、役物動作ユニット20を背面側からみた斜視図である。図8および図9に示すように、役物動作ユニット20は、装飾可動物21aを動作させるための機構として、ガイドレール31に沿って一軸方向にスライド移動するスライド部材61aと、ガイドレール32に沿って一軸方向にスライド移動するスライド部材62aとを備えている。また、役物動作ユニット20は、装飾可動物21bを動作させるための機構として、ガイドレール31に沿って一軸方向にスライド移動するスライド部材61bと、ガイドレール32に沿って一軸方向にスライド移動するスライド部材62bとを備えている。
役物動作ユニット20の下部に設けられる駆動機構33は、モータ33aを備えており、そのモータ33aが駆動ギア33bを正逆方向に回転させる構成である。駆動ギア33bには従動ギア33cが歯合しており、この従動ギア33cがスライド部材61bの下面に形成されたラックギアと歯合している。また、従動ギア33cにはさらに別の従動ギア33dが歯合しており、この従動ギア33dがスライド部材61aの下面に形成されたラックギアと歯合している。したがって、駆動機構33のモータ33aが一方向に回転駆動されると、スライド部材61a,61bのそれぞれがガイドレール31に沿ってガイドレール31の中央方向に向かって移動する。また、駆動機構33のモータ33aが逆方向に回転駆動されると、スライド部材61a,61bのそれぞれがガイドレール31に沿ってガイドレール31の左右両端に向かって移動する。
また役物動作ユニット20の上部に設けられる駆動機構34は、モータ34aを備えており、そのモータ34aが駆動ギア34bを正逆方向に回転させる構成である。駆動ギア34bは、複数のギア34cを介して従動ギア34dを回転させるようになっており、従動ギア34dには更に従動ギア34eが歯合している。そして従動ギア34dは、スライド部材62aの上面に形成されたラックギアと歯合している。また、従動ギア34eはスライド部材62bの上面に形成されたラックギアと歯合している。したがって、駆動機構34のモータ34aが一方向に回転駆動されると、スライド部材62a,62bのそれぞれがガイドレール32に沿ってガイドレール32の中央方向に向かって移動する。また、駆動機構34のモータ34aが逆方向に回転駆動されると、スライド部材62a,62bのそれぞれがガイドレール32の左右両端に向かって移動する。
本実施形態では、役物動作ユニット20の下部に設けられる駆動機構33と、役物動作ユニット20の上部に設けられる駆動機構34とが互いに同期して駆動されるようになっている。そして上下に設けられるスライド部材61aと62aとが互いに同期してそれぞれのガイドレール31,32に沿って同じ方向へと移動する。また、スライド部材61bと62bについても同様であり、これらスライド部材61b,62bが互いに同期してそれぞれのガイドレール31,32に沿って同じ方向へと移動する。
装飾可動物21a,21bは、その上下端部が、上記のようなスライド部材61a,62a又は61b,62bに添設された状態で支持される。すなわち、装飾可動物21aは、その下端部がスライド部材61aに添設されると共に、その上端部がスライド部材62aに添設されている。そしてスライド部材61a,62aがガイドレール31,32に沿って移動すると、装飾可動物21aは、そのスライド部材61a,62aと共に移動する。また装飾可動物21bは、その下端部がスライド部材61bに添設されると共に、その上端部がスライド部材62bに添設されている。そしてスライド部材61b,62bがガイドレール31,32に沿って移動すると、装飾可動物21bは、そのスライド部材61b,62bと共に移動する。
このような装飾可動物21a,21bは、下端部に設けられる添設部材51と、上端部に設けられる添設部材57とを備えている。添設部材51は、装飾可動物21a,21bの下端部をスライド部材61a又は61bに取り付けるための部材である。また添設部材57は、装飾可動物21a,21bの上端部をスライド部材62a又は62bに取り付けるための部材である。また、装飾可動物21a,21bは、下端部の添設部材51に対して設けられる第1関節部52と、その第1関節部52から上方に延びる第1揺動アーム53と、その第1揺動アーム53の上端部に設けられる第2関節部54と、その第2関節部54から更に上方に延びる第2揺動アーム55と、第2揺動アーム55の上端部に設けられる第3関節部56とを有し、第3関節部56は上端部の添設部材57と接続されている。以下、このような装飾可動物21a,21bについて更に詳しく説明する。
図10は、装飾可動物21bを背面側からみた一部透過斜視図である。図10に示すように、ガイドレール31は、遊技機1の左右方向に相当するX軸方向に延設されるガイドロッド38を有しており、スライド部材61bはその基端部がガイドロッド38に挿通された状態でガイドレール31に保持されている。同様に、ガイドレール32もまた、遊技機1の左右方向に相当するX軸方向に延設されるガイドロッド38を有しており、スライド部材62bはその基端部がガイドロッド38に挿通された状態でガイドレール32に保持されている。
装飾可動物21bの上下端部に設けられる添設部材51,57は、このようなスライド部材61b,62bの基端部に添設されており、しかもスライド部材61b,62bに対して相対的にX軸方向に沿って所定範囲内で変位可能なように添設されている。
添設部材51は、スライド部材61bの基端部に添設された状態で装飾可動物21bの下端部を支持する支持部材51aと、その支持部材51aの正面側に配置される装飾部材51bとを備えている。また添設部材57は、スライド部材62bの基端部に添設された状態で装飾可動物21bの上端部を支持する支持部材57aと、その支持部材57aの正面側に配置される装飾部材57bとを備えている。以下、このような添設部材51,57がスライド部材61b,62bのそれぞれに取り付けられる構造について説明する。
まず、装飾可動物21bの下部構造である添設部材51とスライド部材61bとの取り付け構造について説明する。図11は、添設部材51とスライド部材61bとを分解して示す斜視図であり、遊技機1の背面側斜め上方からみた状態を示している。尚、図11では、添設部材51の一要素を構成する装飾部材51bについて図示を省略している。図11に示すように、スライド部材61bは、X軸方向に延びる長尺プレート64を有し、この長尺プレート64の下面に、モータ33aによって駆動される従動ギア33cと歯合するラックギア65が設けられる。またスライド部材61bは、長尺プレート64の一方端部である基端部の上面に、上方に向かって逆L字状に突出する支持部66が設けられた構成である。この支持部66には、上述したガイドロッド38を挿通する孔66aが設けられると共に、弾性バネ69の一端を係止するための係止部68が設けられている。また支持部66の上部は、長尺プレート64と平行な状態で−X方向に所定長さ延びる延長部となっており、この延長部の上面にギア67が形成された構成である。ここで、弾性バネ69は、スライド部材61bと添設部材51との相対的な変位を所定範囲内で許容すると共に、スライド部材61bと添設部材51とが互いに一定の関係となるように付勢するための弾性部材である。
添設部材51を構成する支持部材51aは、遊技機1の正面側から、上記のようなスライド部材61bの支持部66に対して添設される。この支持部材51aは、X軸方向に所定間隔を隔てて背面側に突出する一対の規制部材71a,71bを有しており、これら規制部材71,71bの間にX軸方向の摺動空間71が形成される。これらの規制部材71a,71bには、ガイドロッド38を挿通する孔が形成されている。そしてスライド部材61bの支持部66を規制部材71a,71bの摺動空間71に収容した状態で、ガイドロッド38が規制部材71a,71bおよび支持部66に挿通される。そして一端が支持部66に係止された状態の弾性バネ69の他端が、規制部材71aに設けられた係止部72に係止される。これにより、スライド部材61bは、モータ33aが駆動されると、ガイドロッド38に沿ってX軸方向に沿って移動可能となり、さらに添設部材51がスライド部材61bの移動と共にX軸方向へ移動するようになる。
またスライド部材61bの支持部66は、規制部材71a,71bによって規制される摺動空間71をX軸に沿って移動することにより、支持部材51aに対して相対的に変位可能な構成となっている。ここで、弾性バネ69は、その付勢力によってスライド部材61bの支持部66を−X方向に付勢し、支持部66を規制部材71aに向けて押圧した状態となっている。この付勢力に抗して支持部66を規制部材71aから離反させる力が作用すると、支持部66は、規制部材71aから離反して摺動空間71内をX方向に移動し、支持部材51aに対して相対的に変位する。
また、支持部材51aには規制部材71bの上部に軸受け部73が設けられている。この軸受け部73は、回転ギア78を軸支する軸部77を回転可能に支持するためのものである。回転ギア78は、スライド部材61bの支持部66が支持部材51aに対して相対的に変位することに伴って回動する回動部材であり、大径ギア78aと小径ギア78bの2種類のギアを有している。そして大径ギア78aは、摺動空間71内を移動する支持部66の上面に設けられたギア67と歯合する。また、小径ギア78bは、第1関節部52の裏板80に設けられるギア85と歯合する。
支持部材51aは、第1関節部52を揺動可能に支持するように構成される。より具体的に説明すると、支持部材51aは、第1関節部52を揺動可能に軸支する軸受け部75を有している。また第1関節部52の裏板80には、支持部材51aの軸受け部75に対応する位置にビス孔81が設けられている。そして第1関節部52の裏板80に設けられるビス孔81にビス52aを挿通し、そのビス52aの先端を軸受け部75に係合させることにより、第1関節部52は、ビス52aを中心に揺動可能な状態に支持される。
また第1関節部52の裏板80にはビス孔81を中心とする円弧状のガイド孔83が設けられている。このガイド孔83は、ビス孔81を中心に所定角度範囲内で設けられており、第1関節部52の揺動角度を規制するためのものである。すなわち、このガイド孔83には、ビス74aが挿通され、そのビス74aの先端が支持部材51aに設けられたビス留め部74に係着されることにより、ビス74aが円弧状のガイド孔83の両端部に当接する角度範囲内で第1関節部52がビス孔81を中心に揺動する。
このような第1関節部52の裏板80には、その下端部に回転ギア78の小径ギア78bと歯合するギア85が設けられている。そのため、スライド部材61bが、X軸方向に沿って、支持部材51aに対して相対的に変位すると、それに伴い、回転ギア78が回転し、その回転ギア78の回転角度に応じて第1関節部52が支持部材51aに対して揺動するようになっている。そしてスライド部材61と支持部材51aとの相対的な変位量が変化することに伴い、第1関節部52の揺動角度が変化するようになる。
また支持部材51aには、第1関節部52の内側で、第1揺動アーム53の下端部と歯合するギア76が設けられている。このギア76は、軸受け部75を中心とする円弧上に設けられている。またさらに、第1関節部52の裏板80には、第1揺動アーム53の下端部を回動可能に軸支するためのビス52bを挿通するためのビス孔82も設けられている。
図12は、スライド部材61bと支持部材51aと第1関節部52との動作を示す図である。図12(a)は、装飾可動物21bが退避位置にある状態を示している。この状態のとき、装飾可動物21bは、遊技盤10の背面側に隠れた状態となっており、遊技機1の正面側からは視認できない状態となっている。図12(a)に示す状態で、モータ33aが駆動されると、スライド部材61bは、ガイドレール31に沿ってX方向に移動する。このとき、スライド部材61bに添設された支持部材51aは、スライド部材61bと共にX方向へ移動していく。そして支持部材51aがガイドレール31の所定位置まで移動すると、支持部材51aはストッパ31bと接触する状態となり、支持部材51aのX方向への移動が規制される状態となる。
一方、支持部材51aがストッパ31bと接触した状態となっても、モータ33aの駆動が継続して行われていると、スライド部材61bは、支持部66が摺動空間71を移動可能な範囲内で更にX方向へと移動する。図12(b)は、このように支持部材51aがストッパ31bと接触した状態で、スライド部材61bだけが更にX方向へと移動した状態を示している。このとき、スライド部材61bは、弾性バネ69の付勢力に抗して支持部材51aに対して相対的にX方向へ変位することになる。そしてスライド部材61bの支持部66が摺動空間71の他端に設けられた規制部材71bに接触すると、スライド部材61bの支持部材51aに対する変位量は最大となる。このとき、モータ33aの駆動は停止される。
その後、モータ33aが逆方向へ所定角度回転駆動されると、図12(c)に示すように、スライド部材61bは、弾性バネ69を収縮させながらガイドレール31に沿って−X方向へ移動する。このとき、スライド部材61bの支持部66が支持部材51aの摺動空間71内で移動するため、支持部材51aはガイドレール31に沿ってあまり移動することがない。そしてスライド部材61bの支持部66が規制部材71aと接触する位置若しくはその近傍位置まで移動すると、モータ33aがさらに逆方向へ回転駆動される。これにより、図12(d)に示すように、スライド部材61bが再びガイドレール31に沿ってX方向へと移動する。このとき、支持部材51aがストッパ31bに接触しているので、スライド部材61bは、再び弾性バネ69の付勢力に抗して支持部材51aに対して相対的にX方向へ変位することになる。
このように本実施形態では、図12(a)に示す状態でモータ33aが駆動されると、スライド部材61dと支持部材51aとが一体となってガイドレール31をX方向へ移動し、画像表示器8の前方側における進出位置へと進出する。そして支持部材51aがストッパ31bに当たると、装飾可動物21bはその位置で保持された状態となる。この状態で、モータ33aを繰り返し正逆双方に往復回転させることにより、スライド部材61bは、支持部材51aに対する相対的な変位量を逐次変化させるようになる。この相対的な変位量の変化に伴い、スライド部材61bと歯合している回転ギア78が回転するため、第1関節部52が支持部材51aに対して揺動する。すなわち、第1関節部52は、図12(c)に示す状態と、図12(d)に示す状態との間で揺動し、その姿勢を変化させるようになる。つまり、本実施形態では、1つのモータ33aを駆動することにより、装飾可動物21bを退避位置から進出位置へと移動させることができると共に、さらに装飾可動物21bの姿勢を変化させることもできる構成となっている。
次に、装飾可動物21bの上部構造である添設部材57とスライド部材62bとの取り付け構造について説明する。図13は、添設部材57とスライド部材62bとを分解して示す斜視図であり、遊技機1の背面側斜め上方からみた状態を示している。尚、図13では、添設部材57の一要素を構成する装飾部材57bの図示を省略している。また、図13では、図11に示した部材と同様の部材については同一符号を付している。図13に示すように、添設部材57とスライド部材62bとの取り付け構造は、上述した装飾可動物21bの下部構造である添設部材51とスライド部材61bとの取り付け構造を、天地反転させたものとほぼ同様である。
すなわち、図13に示すように、スライド部材62bは、X軸方向に延びる長尺プレート64を有し、この長尺プレート64の上面に、モータ34aによって駆動される従動ギア34eと歯合するラックギア65が設けられる。またスライド部材62bは、長尺プレート64の一方端部である基端部の下面に、下方に向かって逆L字状に突出する支持部66が設けられた構成である。この支持部66には、ガイドレール32によって保持されるガイドロッド38を挿通する孔が設けられると共に、弾性バネ69の一端を係止するための係止部68が設けられている。また支持部66の下部は、長尺プレート64と平行な状態で−X方向に所定長さ延びる延長部となっており、この延長部の下面にギア67が形成された構成である。
添設部材57を構成する支持部材57aは、遊技機1の正面側から、上記のようなスライド部材62bの支持部66に対して添設される。この支持部材57aは、X軸方向に所定間隔を隔てて背面側に突出する一対の規制部材71a,71bを有しており、これら規制部材71,71bの間にX軸方向の摺動空間71が形成される。これらの規制部材71a,71bには、ガイドロッド38を挿通する孔が形成されている。そしてスライド部材62bの支持部66を規制部材71a,71bの摺動空間71に収容した状態で、ガイドロッド38が規制部材71a,71bおよび支持部66に挿通される。そして一端が支持部66に係止された状態の弾性バネ69の他端が、規制部材71aに設けられた係止部72に係止される。これにより、スライド部材62bは、モータ34aが駆動されると、ガイドロッド38に沿ってX軸方向に沿って移動可能となり、さらに添設部材57がスライド部材62bの移動と共にX軸方向へ移動するようになる。
またスライド部材62bの支持部66は、規制部材71a,71bによって規制される摺動空間71をX軸に沿って移動することにより、支持部材57aに対して相対的に変位可能な構成となっている。ここで、弾性バネ69は、その付勢力によってスライド部材62bの支持部66を−X方向に付勢し、支持部66を規制部材71aに向けて押圧した状態となっている。この付勢力に抗して支持部66を規制部材71aから離反させる力が作用すると、支持部66は、規制部材71aから離反して摺動空間71内をX方向に移動し、支持部材51aに対して相対的に変位する。
また、支持部材57aには規制部材71bの下部に軸受け部73が設けられている。この軸受け部73は、回転ギア78を軸支する軸部77を回転可能に支持するためのものである。回転ギア78は、大径ギア78aと小径ギア78bの2種類のギアを有している。そして大径ギア78aは、摺動空間71内を移動する支持部66の上面に設けられたギア67と歯合する。また、小径ギア78bは、第3関節部56の裏板80に設けられるギア85と歯合する。
支持部材57aは、第3関節部56を揺動可能に支持するように構成される。より具体的に説明すると、支持部材57aは、第3関節部56を揺動可能に軸支する軸受け部75を有している。また第3関節部56の裏板80には、支持部材57aの軸受け部75に対応する位置にビス孔81が設けられている。そして第3関節部56の裏板80に設けられるビス孔81にビス56bを挿通し、そのビス52bの先端を軸受け部75に係合させることにより、第3関節部56は、ビス56bを中心に揺動可能な状態に支持される。
また第3関節部56の裏板80にはビス孔81を中心とする円弧状のガイド孔83が設けられている。このガイド孔83は、ビス孔81を中心に所定角度範囲内で設けられており、第3関節部56の揺動角度を規制するためのものである。すなわち、このガイド孔83には、ビス74aが挿通され、そのビス74aの先端が支持部材57aに設けられたビス留め部74に係着されることにより、ビス74aが円弧状のガイド孔83の両端部に当接する角度範囲内で第3関節部56がビス孔81を中心に揺動する。
このような第3関節部52の裏板80には、その上端部に回転ギア78の小径ギア78bと歯合するギア85が設けられている。そのため、スライド部材62bが、X軸方向に沿って、支持部材57aに対して相対的に変位すると、それに伴い、回転ギア78が回転し、その回転ギア78の回転角度に応じて第3関節部56が支持部材57aに対して揺動するようになっている。そしてスライド部材62bと支持部材57aとの相対的な変位量が変化することに伴い、第3関節部56の揺動角度が変化するようになる。
また支持部材57aには、第3関節部56の内側で、第2揺動アーム55の上端部と歯合するギア76が設けられている。このギア76は、軸受け部75を中心とする円弧上に設けられている。またさらに、第3関節部56の裏板80には、第2揺動アーム55の上端部を回動可能に軸支するためのビス56aを挿通するためのビス孔82も設けられている。
このように構成されるスライド部材62bと支持部材57aと第3関節部56との動作は、図12で示した各状態を天地反転させたものとほぼ同様である。すなわち、モータ34aが駆動されると、スライド部材62dと支持部材57aとが一体となってガイドレール32をX方向へ移動し、画像表示器8の前方側における進出位置へと進出する。そして支持部材57aがストッパ32bに当たると、装飾可動物21bはその位置で保持された状態となる。この状態で、モータ34aを繰り返し正逆双方に往復回転させることにより、スライド部材62bは、支持部材57aに対する相対的な変位量を逐次変化させるようになる。この相対的な変位量の変化に伴い、スライド部材62bと歯合している回転ギア78が回転するため、第3関節部56が支持部材57aに対して揺動する。すなわち、第3関節部56は、所定角度範囲内で揺動し、その姿勢を変化させるようになる。つまり、本実施形態では、1つのモータ34aを駆動することにより、装飾可動物21bを退避位置から進出位置へと移動させることができると共に、さらに装飾可動物21bの姿勢を変化させることもできる構成となっている。
上述したように本実施形態では、役物動作ユニット20の上部と下部に設けられる駆動機構33,34が互いに同期して駆動されるため、装飾可動物21bは、その上端部と下端部とが同期して退避位置から進出位置へと移動し、さらに装飾可動物21bの全体的な姿勢を変化させるように構成されている。
次に図10に戻り、装飾可動物21bの姿勢を変化させる構造について説明する。図10に示すように、第1関節部52から上方に延びる第1揺動アーム53は、その上端部が第2関節部54の内側に進入しており、第2関節部54の内側で第2揺動アーム55の下端部とギア結合している。また第1揺動アーム53の下端部は、第1関節部52の内側に進入しており、第1関節部52の内側で支持部材51aとギア結合している。
このような第1揺動アーム53は、その下端部の近傍においてビス52bによって第1関節部52にビス留めされ、このビス52bを中心に第1関節部52に対して回動可能となっている。そして第1揺動アーム53の下端部にはギア53bが設けられ、このギア53bが支持部材51aに設けられたギア76と歯合している。この第1揺動アーム53の下端部に設けられるギア53bは、ビス52bを中心とする円弧状に設けられる。
また第1揺動アーム53は、その上端部の近傍においてビス54aによって第2関節部54にビス留めされ、このビス54aを中心に第2関節部54に対して回動可能となっている。そして第1揺動アーム53の上端部にはギア53aが設けられ、このギア53aが第2揺動アーム55の下端部に設けられるギア55bと歯合している。この第1揺動アーム53の上端部に設けられるギア53aは、ビス54aを中心とする円弧状に設けられる。
また第3関節部56から下方に延びる第2揺動アーム55は、その上端部が第3関節部56の内側に進入しており、第3関節部56の内側で支持部材57aとギア結合している。また第2揺動アーム55の下端部は、第2関節部54の内側に進入しており、第2関節部54の内側で第1揺動アーム53の上端部とギア結合している。
このような第2揺動アーム55は、その上端部の近傍においてビス56aによって第3関節部56にビス留めされ、このビス56aを中心に第3関節部56に対して回動可能となっている。そして第2揺動アーム55の上端部にはギア55aが設けられ、このギア55aが支持部材57aに設けられたギア76と歯合している。この第2揺動アーム55の下端部に設けられるギア55aは、ビス56aを中心とする円弧状に設けられる。
また第2揺動アーム55は、その下端部の近傍においてビス54bによって第2関節部54にビス留めされ、このビス54bを中心に第2関節部54に対して回動可能となっている。そして第2揺動アーム53の下端部には上述したようにギア55bが設けられ、このギア55bが第1揺動アーム53の上端部に設けられるギア53aと歯合している。この第2揺動アーム55の下端部に設けられるギア55bは、ビス54bを中心とする円弧状に設けられる。
上記のような構成において、装飾可動物21bの上下端部において支持部材51a,57aがストッパ31b,32bと接触した状態となり、スライド部材61b,62bが更にX方向へと移動すると、それに伴い、支持部材51a,57aに設けられた回転ギア78が回転する。これにより、装飾可動物21bの下部においては第1関節部52が添設部材51に対して揺動すると共に、上部においては第3関節部56が添設部材57に対して揺動する。これに伴い、第1揺動アーム53と第2揺動アーム55とが揺動する。すなわち、第1関節部52が添設部材51に対して揺動するとき、第1揺動アーム53を持ち上げたり、持ち下げたりするので、それに伴い、第1揺動アーム53はビス52bを中心に回動する。そのため、第1関節部52が添設部材51に対して揺動すると、さらに第1揺動アーム53が第1関節部52に対して揺動するようになる。同様に、第3関節部56が添設部材57に対して揺動するとき、第2揺動アーム55を持ち上げたり、持ち下げたりするので、それに伴い、第2揺動アーム55はビス56aを中心に回動する。そのため、第3関節部56が添設部材57に対して揺動すると、さらに第2揺動アーム55が第3関節部56に対して揺動するようになる。
図14は、装飾可動物21bの姿勢が変化した状態を示す図である。装飾可動物21bが画像表示器8の前方の進出位置へと進出した状態で、スライド部材61b,62bを添設部材51,57に対して相対的に変位させることにより、装飾可動物21bは、図10に示す状態から図14に示す状態へとその姿勢を変化させると共に、図14に示す状態から再び図10に示す状態へとその姿勢を変化させるようになる。
上記においては、遊技機1に設けられる左右一対の装飾可動物21a,21bのうち、一方の装飾可動物21bに着目してその構造を詳しく説明したが、他方の装飾可動物21aについても上述したものと同様である。ただし、スライド部材61a,61bは、遊技機1の前後にずれた位置に設けられており、それらスライド部材61a,61bが画像表示器8の前方側に向かって進出してくるときでも互いに接触することはなく、前後方向にずれた位置で退避位置と進出位置との間を往復移動するように構成される。スライド部材62a,62bについても同様であり、スライド部材62a,62bは、遊技機1の前後にずれた位置に設けられており、それらスライド部材62a,62bが画像表示器8の前方側に向かって進出してくるときでも互いに接触することはなく、前後方向にずれた位置で退避位置と進出位置との間を往復移動するように構成される。
図15および図16は、左右一対の装飾可動物21a,21bが互いに連動して画像表示器8の前方側で姿勢変化を行う演出態様を示す図である。まず図15に示すように、モータ33a,34aが互いに同期して所定の回転方向へ駆動され、左右一対の装飾可動物21a,21bが同期して退避位置から進出位置へと移動してきた状態で、それぞれの弾性バネ69が収縮状態にあるとき、左右一対の装飾可動物21a,21bはほぼ円形の姿勢となる。この状態から、モータ33a,34aが更に同じ方向へ回転駆動されると、各装飾可動物21a,21bに設けられた添設部材51,57はストッパ31a,31b及び32a,32bによって移動が規制されているため、スライド部材61a,61b及び62a,62bだけがガイドレール31,32に沿って遊技機1の中央部に向かって更に移動する。このとき、各スライド部材61a,61b及び62a,62bは、弾性バネ69の付勢力に抗して弾性バネ69を伸長させながら移動し、添設部材51,57に対して相対的に変位する。その結果、各装飾可動物21a,21bを構成する各関節部52,54,56が図15において矢印で示すように円形の内側へと移動し、左右一対の装飾可動物21a,21bは、全体としてその姿勢を図16に示すように変化させる。
図16に示す状態から、モータ33a,34aが逆方向へ回転駆動されると、スライド部材61a,61b及び62a,62bは、ガイドレール31,32に沿って退避位置へ向かって移動する。このとき、各スライド部材61a,61b及び62a,62bは、伸長した弾性バネ69を収縮させながら移動するため、添設部材51,57はその位置をあまり変化させない。そのため、各スライド部材61a,61b及び62a,62bは、添設部材51,57に対して相対的に変位する。その結果、各装飾可動物21a,21bを構成する各関節部52,54,56が図16において矢印で示すように外側に向かって移動し、左右一対の装飾可動物21a,21bは、全体として図15に示すように再び円形状の姿勢に戻る。
そして上記範囲内でモータ33a,34aが正逆双方に繰り返し回転駆動されることにより、装飾可動物21a,21bは、図15に示す姿勢と、図16に示す姿勢との間で姿勢変化を繰り返す。このようなモータ33a,34aを正逆双方に繰り返し回転駆動する回数は、上述した演出制御基板130によって決定される演出パターンなどで予め定められており、装飾可動物21a,21bは、遊技機1において行われる各種演出の演出パターンに応じた動作を行うようになっている。そして演出パターンに基づく動作が終了すると、モータ33a,34aは、スライド部材61a,61b,62a,62bを元の退避位置へと移動させて演出開始前の状態に戻る。
図17は、モータ33a,34aの駆動と装飾可動物21a,21bの動作との関係を示すタイミングチャートである。図17に示すように、時刻T1においてモータ33a,34aが正転方向へ駆動されるとすると、その時刻T1よりも前の状態では装飾可動物21a,21bは退避位置にある。そして時刻T1でモータ33a,34aが正転方向へ駆動されると、それに伴い装飾可動物21a,21bは退避位置から進出位置へ向かって移動するようになる(動作M1)。退避位置から進出位置へと移動する装飾可動物21a,21bは、時刻T2において添設部材51,57がストッパ31a,31b及び32a,32bと接触するようになり、その移動が停止する。このとき、装飾可動物21a,21bは図15に示す状態となっている。
そして時刻T2において装飾可動物21a,21bが進出位置で停止した状態となっても、モータ33a,34aを正転方向へ駆動し続けると、その時刻T2以降において装飾可動物21a,21bは、その姿勢を変化させるようになる(動作M2)。この動作M2において装飾可動物21a,21bは、図15に示す状態から、図16に示す状態に向かって姿勢を変化させていく。そして時刻T3においてモータ33a,34aの正転駆動を停止させると、その姿勢変化が停止する。このとき、スライド部材61a,61b,62a,62bの支持部66は弾性バネ69に抗して摺動空間71の他方端部に位置することとなり、装飾可動物21a,21bは、図16に示す状態となっている。
そして時刻T3においてモータ33a,34aを逆転方向へ駆動すると、その時刻T3以降において装飾可動物21a,21bは、その姿勢を逆の方向へと変化させるようになる(動作M3)。すなわち、この動作M3において装飾可動物21a,21bは、図16に示す状態から、図15に示す状態に向かって姿勢を変化させていく。そして時刻T4においてモータ33a,34aの逆転駆動を停止させると、その姿勢変化が停止する。このとき、装飾可動物21a,21bは、図15に示す状態に戻っている。
そして時刻T4において再びモータ33a,34aを正転方向へ駆動すると、その時刻T4以降において装飾可動物21a,21bは、その姿勢を図15に示す状態から図16に示す状態へと変化させるようになる(動作M4)。そして時刻T5においてモータ33a,34aの正転駆動を停止させるとその姿勢変化が停止し、装飾可動物21a,21bは、図16に示す状態となる。
さらに時刻T5においてモータ33a,34aを逆転方向へ駆動すると、その時刻T5以降において装飾可動物21a,21bは、その姿勢を図16に示す状態から図15に示す状態へと変更させるようになる(動作M5)。この逆転方向への回転量が、時刻T4から時刻T5までの正転方向への回転量とほぼ同じ回転量となる時刻T6になると、装飾可動物21a,21bの姿勢は図15に示す状態に戻る。
そして時刻T6において装飾可動物21a,21bが図15の姿勢に戻った状態となっても、モータ33a,34aの逆転方向への駆動を行い続けると、その時刻T6以降において装飾可動物21a,21bは、進出位置から退避位置へ向かって移動するようになる(動作M6)。そして時刻T7において装飾可動物21a,21bが退避位置に到達すると、モータ33a,34aの逆転駆動を停止させることにより、装飾可動物21a,21bの動作が終了する。
このように本実施形態では、モータ33a,34aを一方向へ駆動していくと、装飾可動物21a,21bは、退避位置から進出位置へと移動していき、進出位置に到達した後は姿勢を変化させていくように動作する。そのため、モータ33a,34aを駆動するための制御は極めて簡単でありながら、装飾可動物21a,21bに対して移動と姿勢変化とを組み合わせた動作を行わせることが可能となっており、これにより、装飾可動物21a,21bに対して複雑な動作を行わせることができる構成となっている。そして装飾可動物21a,21bが複雑な動作を行うことにより、遊技機1において装飾可動物21a,21bにより行われる演出を興趣性の高いものとして実現することができるようになる。
以上のように、本実施形態の遊技機1に設けられる役物動作ユニット20は、一軸方向に沿って直進移動するスライド部材61a,61b,62a,62bをモータ33a,34aが移動させる構成である。そして、これらのモータ33a,34aは、スライド部材61a,61b,62a,62bを一軸方向へ移動させることにより、装飾可動物21a,21bを所定の退避位置から進出位置へと移動させると共に、添設部材51,57がストッパ31a,31b,32a,32bによって停止した状態においてスライド部材61a,61b,62a,62bを更に一軸方向へ移動させることにより、スライド部材61a,61b,62a,62bと添設部材51,57とを相対的に変位させて装飾可動物21a,21bの姿勢を変化させる構成である。
このような構成によると、スライド部材61a,61b,62a,62bを移動させるための駆動手段と、装飾可動物21a,21bの姿勢を変化させる駆動手段とをそれぞれ別に設ける必要がない。すなわち、本実施形態では、モータ33a,34aという1つの駆動手段が、スライド部材61a,61b,62a,62bを一軸に沿って直進移動させることにより、装飾可動物21a,21bを退避位置から進出位置へと移動させると共に、装飾可動物21a,21bが進出位置へ進出した状態で装飾可動物21a,21bの姿勢を変化させることができる構成となっている。それ故、本実施形態の遊技機1は、スペース上の問題が発生しにくく、内部設計の自由度が高くなるという利点があると共に、部品コストも抑えることができるようになる。さらには、装飾可動物21a,21bを一軸方向に移動するだけでなく、その姿勢を変化させることもできるようになるので、遊技機1において興趣性の高い演出を行うことができるようになる。
(変形例)
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば上記実施形態においては、役物保持枠体14においてガイドレール31,32が遊技機1の水平方向に設けられており、装飾可動物21a,21bの移動方向も水平方向である場合を例示したが、これに限られるものではない。すなわち、装飾可動物21a,21bの移動方向は、遊技機1において垂直方向であっても良いし、また斜め方向であっても構わない。
また、上記実施形態においては、左右一対に設けられた2つの装飾可動物21a,21bが互いに連動して動作する場合を例示したが、2つの装飾可動物21a,21bのうちのいずれか一方のみが設けられる構成であっても構わない。また、上記実施形態では、装飾可動物21a,21bの上端部と下端部との両端部がスライド部材61a,62a又は61b,62bに接続される場合を例示したが、上端部と下端部のうちのいずれか一方のみが接続される構成であっても良い。
また、上記実施形態では、始動口に遊技球が入球するとそれに伴って大当たり抽選が行われ、大当たりに当選すると大入賞口を開放して遊技者に有利な遊技価値を付与するようにした遊技機1を例示したが、上述した役物動作ユニット20を搭載可能な遊技機は必ずしもそのような遊技機に限られない。例えば、所謂羽根モノなどと呼ばれる遊技機であっても上述した役物動作ユニット20を搭載することが可能である。
また上記実施形態では、一例として、装飾可動物21a,21bが進出する進出位置が画像表示器8の前方である場合を説明した。しかしながら、装飾可動物21a,21bの進出する進出位置は、必ずしも画像表示器8の前方には限られない。