JP5460768B2 - 炭化珪素半導体装置の製造方法 - Google Patents

炭化珪素半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、信頼性の高い金属−絶縁膜−半導体(MIS)構造を有する炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
パワーデバイスのオン抵抗と逆方向耐電圧との間には、原理的に禁制帯幅で規定されるトレードオフの関係があるから、現行のSiパワーデバイスにおいて、Siの禁制帯で決まる物性限界を超えて高性能を得ることは困難である。しかし、禁制帯幅の広い半導体材料でパワーデバイスを構成すれば、従来のトレードオフ関係が大きく緩和され、オン抵抗あるいは逆方向耐電圧を著しく向上させたデバイス、または、両方をかなりの程度向上させたデバイスを実現することができる。
熱励起による電子−正孔対生成がさかんに行われるほどに温度が上昇すると、半導体ではp型領域とn型領域の区別や、キャリヤ密度の制御ができなくなり、デバイス動作が困難となる。禁制帯幅が1.12eVのSi半導体では500K(=227℃)付近から電子−正孔対生成が激しくなるため、常時動作を前提とすると、半導体デバイスとしての実用上限温度は180℃である。もし、広禁制帯材料を用いた半導体デバイス(パワーデバイスに限らない)を作れば、動作温度領域が格段に(例えば300℃以上に)上げられ、半導体デバイスの利用分野を大きく広げることができる。
本発明に係る炭化珪素(以下、SiCと記す)半導体は、このような性能向上の可能性を秘めた広禁制帯半導体材料のひとつである。近年、単結晶基板の開発が進み、比較的良質で直径3インチ以上のウエハ(3C、6H、4H)が商業的に入手できるようになっている。SiCの禁制帯幅は3C結晶系で2.23eV、6H結晶系で2.93eV、4H結晶系で3.26eVと、Siに比べて十分広い。他の広禁制帯半導体に比べて、化学的に極めて安定で、機械的に強靭であり、Si半導体と同様な方法でpn接合の形成や不純物濃度制御、不純物領域の選択形成などが可能である。
さらに他の広禁制帯半導体と比較してSiCを特に際立たせる特徴がある。
それは、Siと同じように、熱酸化で酸化シリコン(SiO)を生成できる唯一の半導体である、という利点である。このため、ノーマリオフ型のMOS駆動型デバイス、例えば、パワーMOSFET(金属−酸化物−半導体構造電界効果トランジスタ)やパワーIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)の実現ができるのではないかと大いに期待され、様々な事業者によって開発が活発に進められている。
しかしながら、MOS駆動型SiCデバイスの実現にはまだ多くの課題がある。その中でも、ゲート酸化膜の信頼性の抜本的向上は、最も大きな課題のひとつである。
そもそもSiC熱酸化膜は、(1)SiO/SiC界面の伝導電子に対するエネルギー障壁が、原理的にSiより小さくなるため、また(2)SiO中には残留物としてC(炭素)が相当量含まれるために、原理的にSi熱酸化膜に比ベリーク電流が多くなり、Si熱酸化膜並みの(真因性の)信頼性を獲得することは難しいと予想されていた。しかし、現実のSiC熱酸化膜の信頼性はこの予想を超えてさらに劣悪である。
その理由について説明する。表面に結晶不完全性(転位など)を持つ基板を熱酸化して形成したSi熱酸化膜が、低電界で絶縁破壊を起こしたり、経時絶縁破壊(TDDB)寿命が著しく低下することがSiデバイスで知られているが、SiC熱酸化膜でもこれと同様のことが起こるのである。本発明者等は、少し前、実用的面積を持つパワーMOSFETのゲート酸化膜のTDDB寿命は、使用するSiC基板の表面に大量にある転位に関係する欠陥により決まる。結果として、(同種の欠陥がない)Si熱酸化膜と比べると、2桁以上短くなることを報告している(下記非特許文献1参照)。
積層(ゲート)絶縁膜の使用は、このようなSiC熱酸化膜の信頼性問題に解を与える可能性のある方法であるが、その検討は始まったばかりで、報告はあまり多くない。その中でもっとも有望で、実際、希望を抱かせる結果を与えているのがONOゲート絶縁膜である。この「ONO」の「O」とはSiO膜(酸化シリコン膜)、「N」とはSi膜(窒化シリコン膜。SiN膜とも略記)のことである。
Lipkin等は、下記非特許文献2の中で、表面にn型エピタキシャル層を成長させたn型4H−SiC基板とMo/Auゲート電極との間に、SiC熱酸化膜とLPCVD(減圧化学的気相成長法)で形成したSiN膜とこのSiN膜の表面を熱酸化したSiO膜とからなるONO膜を挟持したゲート電極の金属−絶縁膜−半導体(MIS)構造体の信頼性を検討し、最大絶縁破壊強度BEox=約13.1MV/cm(SiO換算値)、最大ストレス電流強度BJox=約0.25mA/cmを得ている。なお、半導体の伝導型記号であるnやpの右上に付した「+」や「−」の記号はそれぞれ高濃度、低濃度を意味する補助記号である。
一方、Wang等も下記非特許文献3の中で、6H−SiC基板とAlゲート電極との間にJVD(ジェット気相成長法)で積層したSiO/SiN膜の表面を熱酸化して形成したONO膜を挟持したMIS構造体で信頼性評価を行い、BEox=約12.5MV/cm(SiO換算値)、BJox=3mA/cmを得ている。
しかしながら、上記2つのONO膜は、SiC熱酸化膜を凌駕するような信頼性を得ることに成功したかというと、そうではない。実は、本発明者等は下記非特許文献4の中で、4H−SiC基板の熱酸化膜で構成したMOS構造体でBEox=13.2MV/cm、BJox>100mA/cmを達成したことを報告している。この結果と比較すれば明らかなとおり、前述の2つのONO膜の信頼性は、本発明者等が得たSiC熱酸化膜のBEoxやBJoxを越えられない水準であった。
このような状況の中、本発明者等は、ONOゲート絶縁膜の潜在能力を認識し、これを実際のパワーMOSデバイスの構造や製作プロセスに適合させる検討をしていた。
すなわち、多結晶シリコンゲート電極とSiC基板との間に、SiC熱酸化膜とCVD窒化シリコン膜と同窒化シリコン膜の熱酸化膜を順に積層したONO絶縁膜を挟持するとともに、ゲート電極と窒化シリコン膜の側壁にそれぞれ、多結晶シリコン熱酸化膜と窒化シリコン側面熱酸化膜とを設けることにより、前述の2つのONO絶縁膜及び従来のSiC熱酸化膜の性能を圧倒的に凌ぐ、BEox=21MV/cm、BJox>10A/cmを達成することに成功した(下記非特許文献5参照)。このONO絶縁膜構造体のTDDB寿命(=絶縁破壊するまでの単位面積あたりの通過電荷量)はQBD=約30C/cmである。この値はSiC熱酸化膜と比べて少なくとも2桁以上高く、無欠陥単結晶Si基板上の熱酸化膜のTDDB寿命とほぼ同等の値であった。
谷本ほか、2004年第51回応用物理学関係連合講演会(東京工科大)講演予稿集434ページ、講演番号29p−ZM−5 L.A. Lipkin el al, IEEE Transactions on Electron Devices, Vol. 46, (1999) p. 525. X.W. Wang el al, IEEE Transactions on Electron Devices, Vol. 47, (2000) p. 458. S. Tanimoto et al, Mater. Sci. Forum, Vols. 433-436, (2003) p. 725. S. Tanimoto et al, Mater. Sci. Forum, Vols. 483-485, (2005) p. 677.
しかしながら、上記従来技術(非特許文献5)のONOゲート絶縁膜にあっては、TDDB寿命はSi熱酸化膜のレベルまで大きく向上しているが、Si(MOS)デバイスの実用上限温度を超える温度で長時間動作させるには必ずしも十分ではなく、そのためには、より一層のTDDB寿命の改善が要請されていた。
本発明は、実用上限温度をより向上することができる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、炭化珪素基板の表面に形成されたフィールド絶縁膜に、フォトリソグラフィとウエットエッチングにより所定のゲート窓を炭化珪素基板に達する深さで形成する工程と、ゲート窓が形成された炭化珪素基板の表面に、第1の酸化シリコン膜(O)を形成する工程と、第1の酸化シリコン膜の上に、窒化シリコン膜(N)を積層する工程と、窒化シリコン膜(N)を酸化させて、表面から所定の深さまで第2の酸化シリコン膜(O)を形成して、ONO絶縁膜を形成する工程と、ONO絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程と、を備えた炭化珪素半導体装置の製造方法であって、第1の酸化シリコン膜を形成する工程は、前駆酸化シリコン膜を成膜する工程と、前駆酸化シリコン膜を酸化窒素(NOx)ガス雰囲気で熱処理する工程と、熱処理された前駆酸化シリコン膜上に、熱酸化以外の手段で他の酸化シリコン膜を堆積して形成する工程と、を備え、ゲート電極を形成する工程は、ONO絶縁膜の上に多結晶シリコン膜を成膜する工程と、多結晶シリコン膜に不純物を添加して多結晶シリコン膜に導電性を付与する工程と、多結晶シリコン膜の上に、所望のマスクを形成する工程と、このマスクを介して、多結晶シリコン膜、第2の酸化シリコン膜、窒化シリコン膜を連続的にエッチングし、ゲート電極と第2の酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の外縁を定義する工程と、ゲート電極の側面及び上部と窒化シリコン膜の外縁を酸化する工程と、を備えたという構成になっている。
本発明によれば、ONO絶縁膜の信頼性を高めて実用上限温度をより向上することができる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態の半導体装置の要部断面図である。 本発明の第1の実施の形態の半導体装置の製造工程断面図である。 本発明の第1の実施の形態の半導体装置の製造工程断面図である。 本発明の第1の実施の形態の半導体装置の製造工程断面図である。 本発明の第1の実施の形態の半導体装置の製造工程断面図である。 本発明の第1の実施の形態の半導体装置の製造工程断面図である。 本発明の第1の実施の形態を適用した半導体装置のゲート絶縁膜の特性を示す図である。 本発明の第2の実施の形態の半導体装置の要部断面図である。 本発明の第2の実施の形態の半導体装置の製造工程断面図である。 本発明の第2の実施の形態の半導体装置の製造工程断面図である。 本発明の第2の実施の形態の半導体装置の製造工程断面図である。 本発明の第3の実施の形態の半導体装置の要部断面図である。 本発明の第3の実施の形態の半導体装置の製造工程断面図である。 本発明の第3の実施の形態の半導体装置の製造工程断面図である。 本発明の第3の実施の形態の半導体装置の製造工程断面図である。 本発明の第3の実施の形態の半導体装置の製造工程断面図である。
以下、図面を参照して、本発明のいくつかの実施の形態について具体的に詳細に説明する。特に断らない場合は、SiC基板にエピタキシャル層やその他の膜や電極が形成されたものを基板と称している。
以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付し、一度行った説明は繰り返さずに、簡略化するか、省略することにする。図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。
また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
《第1の実施の形態》
〈構造〉
図1は、本発明に基づく高信頼性ONO積層膜を含むMIS構造体を有する炭化珪素半導体装置(MIS(金属−絶縁物−半導体構造)キャパシタ))の要部断面図である。
図1において、1は、上表面にn型エピタキシャル層をホモエピタキシャル成長させた高不純物濃度(窒素>1×1019/cm)のn型4H−SiCエピタキシャル基板である。6H、3C、15Rなど他の晶系(Hは六方晶、Cは立方晶、Rは菱面体晶を意味する)の基板を用いることもできる。p型のエピタキシャル層やp型のSiC基板、あるいは、半絶縁性のSiC基板にp型あるいはn型のエピタキシャル層を成長した基板を用いてもよい。エピタキシャル基板1の上には厚み数100nm以上のフィールド絶縁膜3が配設されている。
フィールド絶縁膜3は、SiC基板(正確にはエピタキシャル層)の熱酸化で形成した薄い下部絶縁膜4の上に、SiCの熱酸化以外の手段(例えば減圧CVD法など)で形成した厚い上部絶縁膜5を積層した構造になっている。
フィールド絶縁膜3にはゲート窓6が開口されている。
7は多結晶Siからなるゲート電極で、ゲート窓6を覆うように設けられている。
多結晶Siゲート電極7の少なくとも側面には、熱酸化で成長させた多結晶Si熱酸化膜8が形成されている。ゲート窓6の底部のSiCエピタキシャル基板1とゲート電極7との間に挟持されているのが、3層構造を有するONOゲート絶縁膜9である。このONOゲート絶縁膜9は、SiCエピタキシャル基板1と、多結晶Siゲート電極7との間に、該基板に近い側から順に、第1の酸化シリコン膜(O)10とSiN膜(N)11とSiN熱酸化膜(O:第2の酸化シリコン膜)からなるONO絶縁膜であり、本半導体装置は、このONOゲート絶縁膜9を挟持したゲート構造体を有する。
このONOゲート絶縁膜9の3層構造の一番下(基板側)10は、少なくとも、SiC基板との界面及びその界面近傍部分にNを含有する酸化シリコン膜であり、ゲート窓6の領域周辺に局在して形成されている。この酸化シリコン膜10の厚みは3.5nm〜25nmの範囲であり、特に4nm〜10nmの範囲では極めて良好な結果を与える。
このような酸化シリコン膜10は、SiCエピタキシャル基板1の表面を熱酸化した後、酸化窒素(NO)ガス雰囲気中で熱処理あるいは再酸化して形成することができる。
あるいは、SiCエピタキシャル基板1の表面を酸化窒素ガス(NO)で直接熱酸化して形成してもよい。
半導体装置の構成上の制約で、SiC熱酸化膜を利用できないような場合には、酸化シリコン膜10を、化学的気相成長法(CVD)で堆積したSiO膜を酸化窒素(NO)ガス雰囲気中で熱処理あるいは再酸化して形成することができる。
ONOゲート絶縁膜9の3層構造の中間層と最上層(=ON部分)は、それぞれLPCVD法などで堆積したSiN膜11とこのSiN膜11の表面を酸化して成長させたSiN熱酸化膜(すなわち、SiO膜)12であり、フィールド絶縁膜3上に延伸するように形成されている。SiN膜11とSiN熱酸化膜12の厚みの一例を挙げると、それぞれ、53nm、5nmである。SiN膜11の外縁部側面には、SiN膜11の熱酸化によって成長された薄いSiN側面熱酸化膜(すなわち、SiO膜)13が配設されている。多結晶Siゲート電極7は、平面図で眺めたとき、その外縁端がSiN膜11の外縁端の内側に位置するように配置されている。
ゲート電極7及びフィールド絶縁膜3の上には層間絶縁膜14が成膜されている。15はゲート電極7に貫通するように層間絶縁膜14に開口されたゲートコンタクト窓である。ゲートコンタクト窓15は、図1のようにゲート窓6内にではなく、フィールド絶縁膜3上に延長したゲート電極に設ける構成にしても良い。16はゲートコンタクト窓15を介してゲート電極7と同一基板上の他の回路要素や外部回路に接続するための内部配線である。
SiC基板1の裏面には、極めて低抵抗のオーム性接触電極17が配設されている。
このオーム性接触電極17は、Niなどの接触金属を基板1の裏に蒸着した後、ONOゲート絶縁膜9のSiC熱酸化膜10の熱酸化温度より低い温度(例えば熱酸化が1100℃なら1000℃)の急速加熱処理でSiCと合金化させことによって形成される。
〈製造方法〉
次に、本発明の第1の実施の形態に基づいたONO膜を含むMIS構造体(図1)の製造方法を、図2(a)〜図6(i)を用いて説明する。
(a)高品質n型エピタキシャル層を上表面に成長させた(0001)Si終端面8°OFFカットn型4H−SiCエピタキシャル基板1を、RCA洗浄などを用いて十分洗浄する。RCA洗浄とは、H+NHOH混合液洗浄とH+HCl混合液洗浄を組み合わせた半導体基板の洗浄法である。
その後、ドライ酸化して、図2(a)に示すように、基板1の上表面に、薄い下部絶縁膜4と厚い上部絶縁膜5からなるフィールド絶縁膜3を成膜する。
下部絶縁膜4は、エピタキシャル基板1の表面を酸素雰囲気でドライ酸化して形成した約10nm厚のSiC熱酸化膜、上部絶縁膜5は、熱酸化以外の方法で形成した所望の厚みの絶縁膜、例えば、酸素とシランを用いた常圧CVDで形成した400nm厚のSiO膜などを使用することができる。下部絶縁膜4の熱酸化はドライ酸化に限定されるものではなく、ウェット酸化や他の酸化ガスを用いた熱酸化を用いてもよい。下部絶縁膜4の厚みは50nm未満、好ましくは5nm〜20nmが望ましい。上述のように、エピタキシャル基板1の表面に下部絶縁膜4を成長させてから、上部絶縁膜5を成膜してもよい。逆に、上部絶縁膜5を成膜してから熱酸化して、エピタキシャル基板1と上部絶縁膜5との間に下部絶縁膜4を成長させてもよい。図中の201は下部絶縁膜4を形成するとき、基板1の裏面に自動的に形成される第1の一過性のSiC熱酸化膜であるが、これは無意味なものではなく、基板1の裏面にある相当深い研削損傷層を効果的に取り除く作用を有している。
(b)次に、フォトリソグラフィーを用いてSiC基板1の表面にフォトレジストマスク(図示省略)を形成した後、SiC基板1を緩衝フッ酸溶液(NHF+HF混合液)でウェットエッチングすることで、フィールド絶縁膜3の所定の位置に、図2(b)に示すようなゲート窓6を形成する。第1の一過性のSiC熱酸化膜201は、このウェットエッチングにより消失する。微細なゲート窓6を形成するときは、CFガスプラズマなどを用いた反応性イオンエッチング等のドライエッチングを用いることができるが、この場合、最初にドライ・エッチングを行い、フィールド絶縁膜を厚み数10nm残したところで、上記緩衝フッ酸溶液を用いたウェット・エッチングに切り換えるようにする。ドライエッチングのみを用いて貫通させては、SiC表面がプラズマ損傷で荒れて、次の工程で形成するゲート絶縁膜9の特性劣化の要因となるからである。ゲート窓6のエッチングが済んだら、フォトレジストマスク(図示省略)を剥離する(図2(b))。
(c)次に、SiCエピタキシャル基板1を再び、RCA洗浄で洗浄する。洗浄の最終段階において、RCA洗浄で開口部の表面に生成した化学的酸化膜を除去するために、緩衝フッ酸溶液に5秒〜10秒間浸漬した後、超純水で緩衝フッ酸溶液を完全にすすぎ落とし、乾燥したところで、次の(c)〜(c)の何れかの方法で、ゲート窓6の底部のエピタキシャル層の表面に、SiC界面及び界面近傍の膜中にNを含有する酸化シリコン膜10を形成する(図2(c))。
(c)第1の方法は、はじめに、SiCエピタキシャル基板1を熱酸化して(例えば、温度1160℃でドライ酸化して)、ゲート窓6の底部のエピタキシャル層の表面にSiC熱酸化膜を成長させる。
続いて、SiCエピタキシャル基板1を酸化窒素(NO)ガス雰囲気中で、熱処理して(あるいは再酸化して)前記SiC熱酸化膜を酸化シリコン膜10に転化させる。熱処理(あるいは再酸化)に使用する酸化窒素ガス(NO)としては、NO(笑気)、NO(一酸化窒素)、NO(2酸化窒素)、あるいはこれらのうちの少なくとも2種の混合気体、または、前記1種の気体もしくは前記混合気体を希釈した気体を適宜利用することができる。熱処理(あるいは再酸化)温度は1000℃〜1400℃の範囲から選ぶことができるが、処理時間短縮と処理装置費用の両面を考慮すると、1100℃〜1350℃の範囲が実用的で好ましい。
(c)第2の方法は、SiCエピタキシャル基板1の表面を酸化窒素ガス(NO)で直接熱酸化して、酸化シリコン膜10とする方法である。使用するガス(NO)としては、NO(笑気)、NO(一酸化窒素)、NO(2酸化窒素)、あるいはこれらのうちの少なくとも2種の混合気体、または、前記1種の気体もしくは前記混合気体を希釈した気体を適宜利用することができる。熱処理(あるいは再酸化)温度は1000℃〜1400℃の範囲から選ぶことができるが、処理時間短縮と処理装置費用の両面を考慮すると、1100℃〜1350℃の範囲が実用的で好ましい。
(c)第3の方法は、はじめに、SiCの熱酸化以外の成膜手段で、SiCエピタキシャル基板1の表面に所定の厚みのSiO膜を成膜する。このSiO膜の成膜手段の一例としては、酸素とシラン(SiH)を原料とした化学的気相成長法(CVD)を挙げることができるが、その他の方法を用いてもよい。例えば、SiCエピタキシャル基板1の全面にLPCVDで、薄い多結晶Si膜や無定形Si膜を一旦堆積した後、900℃で完全にドライ酸化(熱酸化)して、SiO膜としてもよい。
続いて、SiCエピタキシャル基板1を酸化窒素(NO)ガス雰囲気中で熱処理して(あるいは再酸化して)前記SiO堆積膜を酸化シリコン膜10に転化させる。熱処理(あるいは再酸化)に使用するガス(NO)としては、NO(笑気)、NO(一酸化窒素)、NO(2酸化窒素)、あるいはこれらのうちの少なくとも2種の混合気体、または、前記1種の気体もしくは前記混合気体を希釈した気体を適宜利用することができる。熱処理(あるいは再酸化)温度は1000℃〜1400℃の範囲から選ぶことができるが、処理時間短縮と処理装置費用の両面を考慮すると、1100℃〜1350℃の範囲が実用的で好ましい。
このNO雰囲気中の熱処理(再酸化)で酸化シリコン膜10が高密度化され、ときに数%〜数10%もの膜厚の減少が観察されることがある。このような膜厚の減少を招来させるような高密度化が起きるときは、信頼性向上を一段と促進することができる。
(c)第4の方法は、はじめに、前記(c)〜(c)に記載したいずれかの方法で、SiC界面及び界面近傍の膜中にNを含有する酸化シリコン膜(中間体)を所定の厚みより薄く形成しておいて、形成した後、この上に所定の厚みになるまで、SiCの熱酸化以外の手段(例えば、酸素とシラン(SiH)を原料とした化学的気相成長法(CVD))でSiO膜を増し積みし、前記酸化シリコン膜(中間体)と合せて、酸化シリコン膜10とする方法である。
このように、酸化シリコン膜10の形成方法は多様であり、(c)〜(c)の何れの方法で形成しても、本発明の効果を発揮することができる。この酸化シリコン膜10及びその形成方法は、ONOゲート絶縁膜のTDDB寿命を改善する上で極めて重要な役割を演じる。
酸化シリコン膜10の形成法(c)〜(c)では、酸化窒素ガス(NO)を用いて、高温で熱処理(酸化、再酸化を含めて)するところが共通しているが、この熱処理温度の設定に関して、考慮すべき重要なポイントがあるので付け加えておく。重要なポイントとは、この熱処理温度を、酸化シリコン膜10の形成以後に行なう全ての工程のどの熱処理温度よりも高めに設定するのが望ましいということである。この要件が満たされないで形成された本発明によるONOゲート絶縁膜はTDDB寿命が期待値より低下したり、酸化シリコン膜(10)/SiCとの界面特性が劣化するおそれがある。
次に、ゲート窓6の底部に酸化シリコン膜10を形成したところで、エピタキシャルSiC基板1の表全面にSiHClとOを用いたLPCVD法でSiN膜11(=ONO膜の第2層目)を堆積する。堆積した後、直ちに、エピタキシャルSiC基板1を950℃でパイロジェニック酸化し、SiN膜11の表面に所定の厚みのSiN熱酸化膜12(=ONO膜の第3層目)を成長させる。図2(c)はこの段階での基板1の断面構造を示している。
基板1の裏面の202は、上記酸化シリコン膜10の形成工程で、基板1の裏面に自動的に形成された一過性の酸化シリコン膜である。203と204は前記SiN膜11の堆積とSiN熱酸化膜12の成長で、同様に基板1裏面に自動的に形成された一過性のSiN膜とSiN熱酸化膜である。
202は前述の第1の一過性のSiC熱酸化膜201(図2(a))と同様に研削損傷層を取り除く効果のほかに、後の工程で説明する裏面の多結晶Siの除去のドライエッチングダメージから基板1の裏面を保護する重要な機能がある。この一過性の酸化シリコン膜202は、裏面電極10の接触抵抗を低減する効果もある。
なお、工程(c)と(c)で形成されたときの断面構造を、より厳密に描くと、酸化シリコン膜10がフィールド絶縁膜3の上に乗り上げた図3(c’)のような構造になるが、ゲート窓6の底部を酸化シリコン膜10で覆っているという意味で同図は図2(c)と変わらないし、後続の工程の説明において、同図を図2(c)のように略記しても、本発明の製造方法の本質を誤って説明するおそれはないので、簡単のため、以下の工程は図2(c)の構造に一本化して説明することにする。
なお、本発明では、(c)の第1の方法において、はじめにSiCエピタキシャル基板1を熱酸化して、ゲート窓6の底部のエピタキシャル層の表面に成長させた前記SiC熱酸化膜や、(c)の第3の方法において、はじめに、SiCの熱酸化以外の成膜手段で、SiCエピタキシャル基板1の表面に所定の厚みのSiO膜などを「前駆酸化シリコン膜」と称する。そして、酸化窒素(NO)ガス雰囲気中で加熱したとき、前記SiC熱酸化膜などの前駆酸化シリコン膜と前記SiC基板との間に新たな熱酸化膜が生じる場合を「再酸化」と、生じない場合を「熱処理」と呼んでいる。以下、同様である。
(d)次に、SiCエピタキシャル基板1の表裏全面に、シラン原料を用いた減圧CVD法(成長温度600℃〜700℃)で厚み300nm〜400nmの多結晶シリコン膜を成膜する。その後、塩素酸リン(POCl)と酸素を用いた周知の熱拡散法(処理温度900℃〜950℃)で多結晶シリコン膜にP(リン)を添加し、導電性を付与する。
P(リン)ではなく、B(ホウ素)を添加して、p型の導電性を付与していもよい。
続いて、エピタキシャル基板1の表面にフォトリソグラフィーでフォトレジストマスクを形成し、SFを用いた反応性イオンエッチング(RIE)を用いて、多結晶Si膜とSiN熱酸化膜12、SiN膜11を連続的にエッチングし、多結晶Siゲート電極7とONOゲート絶縁膜のON層の外縁端を略定義(前定義)する。こうして、ON層の不要部分は、多結晶Siゲート電極7と同じフォトレジストマスクで外縁を共有するように精密に(自己整合的に)エッチングされる。
その後、使用したフォトレジストマスクを完全に除去した後、再びSiC基板1の表全面に厚み1μm以上のレジスト材(フォトレジストでよい)を塗布して表面を保護しながら、裏面のドライエッチングを行い、裏面側に堆積した多結晶Si膜(図示省略)と一過性SiN熱酸化膜204、一過性のSiN膜203(図2(c)参照)を順に除去し、表面保護のレジスト材を剥離すると、図4(d)に示した断面構造になる。
(e)次に、SiCエピタキシャル基板1を再びRCA洗浄して、清浄化・乾燥したところで、950℃でウェット酸化(パイロジェニック酸化)して、図4(e)に示すように、多結晶Siゲート電極7の側面及び上部とSiN膜11の側面にそれぞれ多結晶Si熱酸化膜8とSiN側面熱酸化膜13を同時に成長させる。
ここで、ONO膜を含むMIS構造体の信頼性を向上させる上で、極めて重要なポイントが3つある。1つ目は、上記ゲートエッチングで損傷を受けたリーク性の高いSiN膜11の外縁部を、SiN側面熱酸化膜13に転換することによって除去していることである。2つ目は、多結晶Siゲート電極7の外縁端GをSiN膜11の外縁端Nより僅かに内側に後退させて、SiN膜11の外縁のゲート電界を緩和していることである。多結晶Siゲート電極7の外縁端を後退させるために、多結晶Siの酸化速度がSiN膜の酸化速度より高い性質を利用している。3つ目は、多結晶Si熱酸化膜8及びSiN側面熱酸化膜13を付加することによって、ONOゲート絶縁膜9を熱的に安定な材料、すなわち、多結晶SiとSiCと、熱酸化膜で完封する構造を樹立したことである。この構造の樹立は、後続の高温コンタクトアニール(1000℃、2分)でONOゲート絶縁膜8が劣化するのを防止するのに重要な役割を果たす。
(f)多結晶Si熱酸化膜8とSiN側面熱酸化膜13を形成したところで、エピタキシャル基板1の表全面に層間絶縁膜14を堆積する(図5(f))。シランと酸素を原料とした常圧CVD法で堆積した約1μm厚のSiO膜あるいはさらにリン(P)を添加したリン珪酸ガラス(PSG)などが層間絶縁膜材として適しているが、これに限定されるものではなく、後続の各種熱処理工程に耐えられるものなら、他の材料を用いても構わない。この後、基板1を通常の拡散炉に入れ、N雰囲気で数10分の穏やかな熱処理を行い、層間絶縁膜14を高密度化する。このときの熱処理温度は前記酸化シリコン膜10の熱処理温度より低い温度から適宜選ばれる。
(g)次に、エピタキシャル基板1の表全面にフォトレジストを塗布して、十分にポストベークを行い、レジストの揮発性成分を完全に蒸発させてから、エピタキシャル基板1を緩衝フッ酸溶液に浸漬し、基板1の裏面に残っている第2の一過性SiC熱酸化膜202(図5(f))を完全に除去し、超純水で緩衝フッ酸溶液を洗い流す。このようにして露出したSiC基板1の裏面のC終端面はダメージや汚染のないクリーンな面である。
続いて、超純水で濡れたエピタキシャル基板1を乾燥させ、間髪を置かず高真空に維持された蒸着装置の中に据え付け、基板1の裏面に所望のオーム性接触母材を蒸着する。
オーム性接触母材としては、例えば、50nm〜100nm厚のNi膜を用いることができる。
オーム性接触母材を蒸着したら、基板1の表面のレジストを専用ストリッパ液で完全に剥離し、基板1を十分すすいでから乾燥させ、直ちに急速加熱処理装置に設置して、100%高純度Ar雰囲気で、1000℃、2分のコンタクト・アニールを実施する。
この熱処理によって、Ni膜は低抵抗のSiC基板と合金化(シリサイド化)し、少なくとも10−6Ωcm台の接触抵抗を示す極めて低抵抗のオーム性接触電極17(図5(g))ができ上がる。
(h)次に、フォトリソグラフィーで基板1の表面にフォトレジストマスク(図示省略)を形成する。その後、基板1の裏全面に保護膜としてのフォトレジストを塗布して、十分乾燥させてから、緩衝フッ酸溶液を用いてエッチングして層間絶縁膜14と多結晶Si熱酸化膜8(上面部)にゲートコンタクト窓15を開ける。裏面の保護用フォトレジストの形成は省略することもできるが、オーム性接触電極17が緩衝フッ酸溶液に溶出して、消失したり劣化したりするのを防ぎ、また、基板1の裏面から溶出したオーム性接触材料がエピタキシャル基板1の表面を汚染するのを防止する役割を担っているので、可能な限り設けるようにする方が望ましい。エッチングが終了したら、フォトレジストマスクを専用ストリッパ液で完全に剥離する。すると、図6(h)に示すような構造になる。
(i)続いて、基板1を十分洗浄し、すすいだ後、乾燥させたら、速やかに、高真空に維持されたマグネトロンスパッタリング装置の中に据え付け、エピタキシャル基板1の表全面に所望の配線材料、例えば1μm厚のAlを蒸着する。
この後、Al膜を成膜した基板1の表面にフォトリソグラフィーで、フォトレジストマスク(図示省略)を形成した後、再度、基板1の裏面に裏面電極保護用のフォトレジストを塗布して、このレジストを十分乾燥させてから、リン酸系のエッチング液を用いてAl膜をパターン化し、内部配線16を形成する。基板1の裏面のレジストは、裏面のオーミック電極10がリン酸系のエッチング液に溶出して、消失したり変質したりするのを防止する。もし、このおそれがない場合やAl膜をRIEでエッチングするときには、基板1の裏面のレジストの形成を省略することができる。
最後に、レジストマスクと裏面電極保護に使用したレジストを専用ストリッパ液で完全に除去し、基板を十分すすいだ後、乾燥させたら、図6(i)に示した最終構造になる。このようにして本発明の第1の実施の形態に基づくONO膜を含むMIS構造体を有する炭化珪素半導体装置が完成する。
図7は本発明の第1の実施の形態を適用した半導体装置のゲート絶縁膜の特性を示す図である。図7の#ONO−1と#ONO−2は、このようにして作製したONOゲート絶縁膜キャパシタ(サンプル数=約50点)の定電流ストレスTDDB試験結果をワイブルプロットしたものである。#ONO−1は酸化シリコン膜を(c)の方法を用いて形成したもの、#ONO−2は酸化シリコン膜を(c)の方法を用いて形成したものである。
ここでは図示省略するが、(c)の方法と(c)の方法で形成した場合も同様の結果が得られた。本発明と比較するために、本発明者が前出の非特許文献5で公開した従来技術に基づくデータ(#ONO−0)も表示してある。
同図の横軸は経時絶縁破壊(TDDB)に至るまでにゲート絶縁膜を通過した単位面積あたりの電荷密度QBD(C/cm)、縦軸のFは累積故障率である。
BDは寿命に対応する信頼度を測る重要な指標である。
試験に用いたサンプルのゲート窓の面積(開口部)は3.14×10−4cm、全てのONOゲート絶縁膜のSiO膜換算膜厚はともに約40nm、SiN膜11とSiN熱酸化膜12の厚みはどれもそれぞれ、53nm、5nmである。本発明に基づく#ONO−1と#ONO−2の酸化シリコン膜10の熱処理条件は、どちらも同じで、NOガスを用いて1275℃、20分である。
従来技術の結果#ONO−0と比べると、本発明の第1の実施の形態に基づく#ONO−1も#ONO−2もワイブル分布曲線の傾きを維持したまま、TDDB寿命を長寿命側(高QBD)にシフトさせているのがわかる。これは従来技術に対してTDDB寿命が、分布の範囲を広げないで、一定倍率だけ一様に伸びたことを意味している。同図から累積故障率F=50%のときのQBDをグラフから読み取ると、QBD(#ONO−0)=30C/cm、QBD(#ONO−1)=64C/cm、QBD(#ONO−0)=408C/cmである。本発明の第1の実施の形態は、従来技術(#ONO−0)に対して、TDDB寿命を2.1倍(#ONO−1)〜13.6倍(#ONO−2)改善することに成功している。単結晶Si基板上の熱酸化膜(厚み40nm、多結晶Siゲート)のTDDB寿命は良好なものでQBD(#Si)=40C/cmであることが知られている。したがって、本発明の第1の実施の形態は、単結晶Si基板上の熱酸化膜に対しても、TDDB寿命を1.6倍(#ONO−1)〜10.2倍(#ONO−2)向上させることに成功している。
既述のように、上記従来技術(非特許文献5)のONOゲート絶縁膜にあっては、TDDB寿命はSi熱酸化膜のレベルまで大きく向上しているが、Si(MOS)デバイスの実用上限温度を超える温度で長時間動作させるには必ずしも十分ではなく(第1の問題点)、そのためには、より一層のTDDB寿命の改善が要請されていた。
また、上記従来技術(非特許文献5)のONOゲート絶縁膜にあっては、SiCに接する第1の酸化シリコン膜をSiC熱酸化膜で形成する構成になっているため、デバイス構造上の制約等でSiC熱酸化膜を用いることができないある種のMOS(MIS)構造デバイスでは、上記従来ゲート絶縁膜の高信頼化技術を適用できないという問題があった(第2の問題点)。例えば、熱酸化速度が異なる複数の結晶面にゲート絶縁膜を形成しなければならない4H−SiC上のトレンチUMOSゲートパワトランジスタなどがこのようなデバイスに相当する。
本発明は、MOS構造を有する炭化珪素半導体装置及びその製造方法において、上記従来技術(非特許文献5)の前記第1の問題点または第2の問題点のいずれか一方を、または、両問題点を同時に解決するものである。
図7の上記結果の説明から明らかなとおり、本発明の第1の実施の形態は、従来技術の前記第1の問題点であった「(非特許文献5)のONOゲート絶縁膜にあっては、TDDB寿命はSi熱酸化膜のレベルまで大きく向上しているが、Si(MOS)デバイスの実用上限温度を超える温度で長時間動作させるには必ずしも十分ではない」という問題を解決できるという効果を有している。
さらに、本発明の第1の実施の形態では、(c)と(c)の方法の工程を経由する場合には、酸化シリコン膜10の形成はSiCの熱酸化以外の手段で形成可能であり、しかも、従来技術を桁で上回るTDDB寿命が達成される。すなわち、本発明の第1の実施の形態は、従来技術の前記第2の問題点であった「(非特許文献5)のONOゲート絶縁膜にあっては、SiCに接する第1の酸化シリコン膜をSiC熱酸化膜で形成する構成になっているため、デバイス構造上の制約等でSiC熱酸化膜を用いることができないある種のMOS(MIS)構造デバイスでは、上記従来ゲート絶縁膜の高信頼化技術を適用できない」という問題を解決できるという効果を有している。
以上説明したように本実施の形態の炭化珪素半導体装置は、SiCエピタキシャル基板1と、多結晶シリコンからなるゲート電極7との間に、SiCエピタキシャル基板1に近い側から順に、酸化シリコン膜10とSiN膜10とSiN熱酸化膜12からなるONOゲート絶縁膜9を挟持したゲート構造体を有する炭化珪素半導体装置において、酸化シリコン膜10は、少なくともSiCエピタキシャル基板1の近傍領域にN(窒素)を含有するという構成になっている。また、SiCエピタキシャル基板1と、多結晶シリコンからなるゲート電極7との間に、SiCエピタキシャル基板1に近い側から順に、酸化シリコン膜10とSiN膜10とSiN熱酸化膜12からなるONOゲート絶縁膜9を挟持したゲート構造体を有する炭化珪素半導体装置において、SiCエピタキシャル基板1と酸化シリコン膜10との界面に、Nを含有するという構成になっている。つまり、少なくとも、酸化シリコン膜10におけるSiCエピタキシャル基板1との近傍領域、またはSiCエピタキシャル基板1と酸化シリコン膜10との界面にNを含有する。
このような構成により上記従来技術(非特許文献5)の第1の問題点、または第2の問題点のいずれか一方、または両問題点を同時に解決することができる。すなわち、ONOゲート絶縁膜9のより一層のTDDB寿命を改善することができ、Si(MOS)デバイスの実用上限温度を超える温度で長時間動作させることができる。また、例えば熱酸化速度が異なる複数の結晶面にゲート絶縁膜を形成する4H−SiC上のトレンチUMOSゲートパワトランジスタなど、デバイス構造上の制約等でSiC熱酸化膜を用いることができないMOS(MIS)構造デバイスにおいても、上記従来ゲート絶縁膜の高信頼化技術を適用することができる。
また、酸化シリコン膜10の厚みが3.5nm〜25nmの範囲である。これにより上記効果に対して極めて良好な結果を与えることができる。
また、酸化シリコン膜10の厚みが4nm〜10nmの範囲である。これにより上記効果に対してさらに良好な結果を与えることができる。
また、酸化シリコン膜10は、高度に高密度化された非SiC熱酸化膜である。これにより信頼性の向上を一段と促進することができる(上記(c)の方法参照)。
また、炭化珪素半導体装置がMOSキャパシタである。
これにより上記効果を有するMOSキャパシタを実現することができる。
また、実施の形態の炭化珪素半導体装置の製造方法は、酸化シリコン膜10は、前駆酸化シリコン膜を成膜した後、SiN膜11を積層するまでの間に、酸化窒素(NO)ガス雰囲気で熱処理して形成する(上記(c)、(c)の方法)。これによりSiC界面及び界面近傍の膜中にNを含有する酸化シリコン膜10を容易に形成することができ、ONOゲート絶縁膜9のTDDB寿命を改善できる等の上記効果を有する炭化珪素半導体装置を容易に製造することができる。
また、酸化シリコン膜10は、前駆酸化シリコン膜を成膜した後、SiN膜11を積層するまでの間に、酸化窒素(NO)ガス雰囲気で再酸化して形成する(上記(c)、(c)の方法)。これによりSiC界面及び界面近傍の膜中にNを含有する酸化シリコン膜10を容易に形成することができ、上記効果を有する炭化珪素半導体装置を容易に製造することができる。
また、酸化シリコン膜10は、酸化窒素(NO)ガス雰囲気で熱酸化して形成する(上記(c)の方法)。これによりSiC界面及び界面近傍の膜中にNを含有する酸化シリコン膜10を容易に形成することができ、上記効果を有する炭化珪素半導体装置を容易に製造することができる。
また、酸化シリコン膜10は、上記(c)、(c)、(c)の方法のいずれかの方法で形成した薄い酸化シリコン膜の上に、熱酸化以外の手段で他の酸化シリコン膜を堆積して形成する(上記(c)の方法)。これによりSiC界面及び界面近傍の膜中にNを含有する酸化シリコン膜10を容易に形成することができ、上記効果を有する炭化珪素半導体装置を容易に製造することができる。
また、前記酸化窒素(NO)ガス雰囲気は、NO(笑気)、NO(一酸化窒素)、NO(2酸化窒素)、これらのうちの少なくとも2種の混合気体、または、前記1種の気体もしくは前記混合気体を希釈した気体を供給して形成する(上記(c)〜(c)の方法)。これによりSiC界面及び界面近傍の膜中にNを含有する酸化シリコン膜10を容易に形成することができ、上記効果を有する炭化珪素半導体装置を容易に製造することができる。
また、前記酸化窒素(NO)ガス雰囲気での熱処理、再酸化、または熱酸化は、1000℃〜1400℃の温度範囲で実施する(上記(c)〜(c)の方法)。これによりSiC界面及び界面近傍の膜中にNを含有する酸化シリコン膜10を容易に形成することができ、上記効果を有する炭化珪素半導体装置を容易に製造することができる。
また、前記酸化窒素(NO)ガス雰囲気での熱処理、再酸化、または熱酸化は、1100℃〜1350℃の温度範囲で実施する(上記(c)〜(c)の方法)。このような温度範囲は処理時間短縮と処理装置費用の両面を考慮すると実用的でより好ましい。
また、前記前駆酸化シリコン膜は、前記炭化珪素基板の表面を熱酸化して形成する(上記(c)の方法)。これによりSiC界面及び界面近傍の膜中にNを含有する酸化シリコン膜10を容易に形成することができ、上記効果を有する炭化珪素半導体装置を容易に製造することができる。
また、前記前駆酸化シリコン膜は、熱酸化以外の成膜手段で堆積して形成する(上記(c)の方法)。これによりSiC界面及び界面近傍の膜中にNを含有する酸化シリコン膜10を容易に形成することができ、上記効果を有する炭化珪素半導体装置を容易に製造することができる。
また、前記熱酸化以外の成膜手段が、化学的気相成長法である(上記(c)の方法)。これによりSiC界面及び界面近傍の膜中にNを含有する酸化シリコン膜10を容易に形成することができ、上記効果を有する炭化珪素半導体装置を容易に製造することができる。
また、前記前駆酸化シリコン膜は、化学的気相成長法で堆積した多結晶シリコンまたは無定形シリコン膜を熱酸化して形成する(上記(c)の方法)。これによりSiC界面及び界面近傍の膜中にNを含有する酸化シリコン膜10を容易に形成することができ、上記効果を有する炭化珪素半導体装置を容易に製造することができる。
さらに、酸化シリコン膜10を形成した後のすべての製造工程は、酸化シリコン膜10の酸化窒素(NO)ガス雰囲気での熱処理、再酸化または熱酸化の温度を超えない温度で処理する(上記(c)〜(c)の方法)。これによりONOゲート絶縁膜9のTDDB寿命の低下や、酸化シリコン膜10とSiCとの界面特性の劣化を抑制することができる。
《第2の実施の形態》
前述の第1の実施の形態は、ゲート領域の両脇にフィールド絶縁膜3を配設するONOゲート絶縁膜MIS構造体(キャパシタ)の構成例であったが、本発明はこのようなフィールド絶縁膜3を有するMIS構造体に限定されるものではなく、フィールド絶縁膜3のない構造体にも適用可能であり、同様の効果が得られる。
〈構造〉
図8は、本発明に基づく第2の実施の形態の高信頼性ONO積層膜を含むMIS構造体を有する炭化珪素半導体装置の要部断面図である。同じ番号を付したものは前記第1の実施の形態と同じ構成物であり、冗長を避けるために、説明を簡略にするか、場合によっては省略することにする。
1は、上表面にn型エピタキシャル層を持つn型SiCエピタキシャル基板である。7は多結晶Siからなるゲート電極で、その少なくとも側面には熱酸化で成長させた多結晶Si熱酸化膜8が形成されている。エピタキシャル基板1とゲート電極7との間に挟持されているのが、3層構造を有するONOゲート絶縁膜9である。
この3層構造の一番下(基板1側)の10は、少なくとも、SiC基板との界面及びその界面近傍部分にNを含有する薄い酸化シリコン膜である。この酸化シリコン膜10の厚みは3.5nm〜25nmの範囲であり、特に4nm〜10nmの範囲では極めて良好な結果を与える。
中間層と最上層(=ゲート電極7側)はそれぞれLPCVD法で堆積したSiN膜11と、このSiN膜の表面を酸化して成長させたSiN熱酸化膜12であり、両者(SiN膜11はSiN側面酸化膜13を含む)は、(多結晶Si熱酸化膜8を含む)ゲート電極7と外縁端の位置を同じくするように形成されている。SiN膜11とSiN熱酸化膜12の厚みの一例を挙げると、それぞれ、53nm、5nmである。SiN膜11の外縁部側面には、SiN膜11の熱酸化によって成長された薄いSiN側面酸化膜13が配設されている。このSiN側面酸化膜13は、ゲート絶縁膜9の信頼性を確保する上で、欠かしてはならない極めて重要な要素である。
また、多結晶Siゲート電極7の外縁端Gは、SiN膜11の外縁端Nより内側に位置するように、配置されなければならない。この条件が満たされない場合には、ONOゲート絶縁膜9の信頼性が劇的に劣化するため、両外縁端の位置関係の精密な管理が必要である(前記第1の実施の形態でも同様)。
上記ゲート電極7及びその周辺の酸化シリコン膜10の上には層間絶縁膜14が形成してあり、層間絶縁膜14にはゲート電極7に貫通するようにゲートコンタクト窓15が開口されている。16はゲートコンタクト窓15を介してゲート電極7と同一基板上の他の回路要素や外部回路に接続するための内部配線である。
SiC基板1の裏面には、極めて低抵抗のオーム性接触電極17が配設されている。このオーム性接触電極17は、Niなどの接触金属を基板1の裏に蒸着した後、前記ONOゲート絶縁膜9のSiC熱酸化膜である酸化シリコン膜10の熱酸化温度より低い温度(例えば熱酸化が1100℃なら1000℃)の急速加熱処理でSiCと合金化させことによって形成される。
〈製造方法〉
次に、本発明の第2の実施の形態に基づいたONOゲート絶縁膜を含むMIS構造体(図8)の製造方法を、図9(a)〜図11(f)を用いて説明する。
(a)高品質n型エピタキシャル層を上表面に成長させた(0001)Si終端面8°OFFカットn型4H−SiCエピタキシャル基板1を、RCA洗浄などで十分洗浄する。その後、ドライ酸化して、約10nm厚のSiC熱酸化膜を成長させ、直ちにSiC基板1を緩衝フッ酸溶液(NHF+HF混合液)に浸漬し、除去する。この犠牲酸化工程で基板1の表面の汚染物や結晶不完全性に起因する潜在欠陥が酸化シリコン膜10に取り込まれるのを一定程度防ぐことができる。
犠牲酸化したエピタキシャル基板1を再びRCA洗浄し、洗浄の最終段階でエピタキシャル基板1の表面に生成した化学的酸化膜を除去するために、緩衝フッ酸溶液に5秒〜10秒間浸漬する。これが済んだら、超純水で緩衝フッ酸溶液を完全にすすぎ落とし、エピタキシャル基板1を乾燥する。
直ちに、前記第1の実施の形態の製造方法で説明した(c)〜(c)のいずれかの方法を用いて、エピタキシャル基板1の表全面に酸化シリコン膜10を成長させる。ここでも、酸化窒素(NO)ガス雰囲気での熱処理温度を後続の全ての工程のどの熱処理温度よりも高く設定するようにする。図9(a)はこの段階でのMIS構造体の断面構造を示している。
同図の202は、このとき基板1の裏面に自動的に形成される一過性の酸化シリコン膜であるが、エピタキシャル基板1の裏面の研削損傷層を取り除く効果のほかに、後の工程で説明する裏面の多結晶Siの除去のドライエッチングダメージから基板1の裏面を保護する重要な機能がある。
(b)酸化シリコン膜10を形成したところで、次に、エピタキシャル基板1の表全面にSiHClとOを用いたLPCVD法でSiN膜11(=ONO膜の第2層目)を堆積する。堆積し終ったところで直ちに、エピタキシャル基板1を950℃でパイロジェニック酸化し、前述のSiN膜11の表面に所定の厚みのSiN熱酸化膜12(=ONO膜の第3層目)を成長させる。図9(b)はこの段階での基板1の断面構造である。
基板1の裏面の203と204は、前記SiN膜11の堆積とSiN熱酸化膜12の成長で自動的に形成された一過性のSiN膜とSiN熱酸化膜である。
(c)次に、SiCエピタキシャル基板1の表裏全面にシラン原料を用いた減圧CVD法(成長温度600℃〜700℃)で厚み300nm〜400nmの多結晶シリコン膜を成膜する。その後、塩素酸リン(POCl)と酸素を用いた周知の熱拡散法(処理温度900℃〜950℃)で多結晶シリコン膜にn型の不純物のP(リン)を添加し、導電性を付与する。なお、n型の不純物ではなくp型の不純物を添加してもよい。
続いて、エピタキシャル基板1の表面にフォトリソグラフィーでフォトレジストマスク(図示省略)を形成し、SFを用いた反応性イオンエッチング(RIE)で、多結晶Si膜とSiN熱酸化膜12、SiN膜11を連続的にエッチングし、多結晶Siゲート電極7とONOゲート絶縁膜9のNO層の外縁端を略定義(位置を特定)する。こうして、NO層の不要部分は多結晶Siゲート電極7と同じレジストマスクで精密に(自己整合的に)取り除かれる。ただし、この時点での多結晶Siゲート電極7とSiN膜11の外縁端のミクロンレベルの位置関係は、使用するRIE装置やエッチャントガスに依存し、不定である。多結晶Siゲート電極7の外縁端がSiN膜11の外縁端の外側に来ることもあるし、その逆になることもある。
この連続エッチングにおいて重要な注意点がひとつある。酸化シリコン膜10を完全に消失させないで、必ず残すということである。酸化シリコン膜10が完全になくなるまでオーバーエッチングを行うと、露出したエピタキシャル基板1の表面にプラズマによる結晶格子損傷が入る。このため、SiN膜11のRIEにおいては、SiOに対して選択比の高いエッチャントガスを使用するとともに、エッチングの終点検出を精密に行い、過剰なエッチングをしないように留意する。
連続エッチングが終了したら、使用したレジストを完全に除去し、再びSiC基板1の表全面に厚み1μm以上のレジスト材(フォトレジストでよい)を塗布して表面を保護しながら、基板1の裏側をドライエッチングし、裏側に堆積した一過性の多結晶Si膜(その熱酸化膜を含む。共に図示省略)と一過性SiN熱酸化膜204、一過性のSiN膜203(図9(b)参照)を順に除去し、表面保護のレジスト材を剥離すると、図10(c)に示す断面構造になる。
(d)次に、エピタキシャル基板1を再びRCA洗浄して、清浄化・乾燥したところで、950℃でウェット酸化(パイロジェニック酸化)して、図10(d)に示すように、結晶Siゲート電極7の側面及び上部とSiN膜11の側面にそれぞれ多結晶Si熱酸化膜8とSiN側面熱酸化膜13を同時に成長させる。
ここで、ONOゲート絶縁膜9を含むMIS構造体の信頼性を向上させる上で極めて重要なポイントが3つある。1つ目は、上記ゲートエッチングで損傷を受けたリーク性のSiN膜11の外縁部をSiN側面熱酸化膜13に転換することによって除去していることである。2つ目は、多結晶Siゲート電極7の外縁端GをSiN膜11の外縁端Nより僅かに後退させて、SiN膜11の外縁のゲート電界を緩和していることである。多結晶Siゲート電極7の外縁端Gを後退させるために、本発明の製造方法では、多結晶Siの酸化速度がSiN膜の酸化速度より高い性質を利用している。3つ目は、多結晶Si熱酸化膜8及びSiN側面熱酸化膜13を付加することによって、ゲート電極下に局在するONOゲート絶縁膜9を熱的に安定な材料、すなわち、多結晶SiとSiCと、熱酸化膜で包囲して保護する構造にしたということである。この構造樹立は、後続の高温コンタクトアニール(1000℃、2分)などでONOゲート絶縁膜9が周辺部材や環境と相互作用して劣化するのを防止するのに重要な役割を果たす。
(e)多結晶Si熱酸化膜8とSiN側面熱酸化膜13を形成したところで、エピタキシャル基板1の表全面に層間絶縁膜14を堆積する(図11(e))。シランと酸素を原料とした常圧CVD法で堆積した約1μm厚のSiO膜あるいはさらにP(リン)を添加したリン珪酸ガラス(PSG)などが層間絶縁膜材として適しているが、これに限定されるものではなく、後続の各種熱処理工程に耐えられるものなら、他の材料を用いてもよい。
この後、基板1を通常の拡散炉に入れ、N雰囲気で数10分の穏やかな熱処理を行い、層間絶縁膜14を高密度化する。このときの熱処理温度は前記酸化シリコン膜10のNO熱処理温度より低い温度(例えば、900℃〜1000℃)にするようにする。
(f)次に、エピタキシャル基板1の表面にフォトレジストを塗布して、十分にポストベークを行い、レジストの揮発性成分を完全に蒸発させてから、エピタキシャル基板1を緩衝フッ酸溶液に浸漬し、裏面に残っている第2の一過性酸化シリコン膜202(図11(e))を完全に除去し、超純水で緩衝フッ酸溶液を洗い流す。このようにして露出したSiC基板1の裏面のC終端面はダメージや汚染のない清浄な面である。
このような面はオーム性接触の低抵抗化に大きく寄与する。
次に、超純水で濡れたエピタキシャル基板1を乾燥させ、間髪を置かず高真空に維持された蒸着装置の中に据え付け、基板1の裏面に所望のオーム性接触母材を蒸着する。
オーム性接触母材としては、例えば、50nm〜100nm厚のNi膜を用いることができるが、これに限定されるものではない。
オーム性接触母材を蒸着したら、基板1の表面のレジストを専用ストリッパ液で完全に剥離し、基板1を十分すすいでから乾燥させ、直ちに急速加熱処理装置に設置して、100%高純度のAr雰囲気で1000℃、2分のコンタクト・アニールを実施する。この熱処理によって、図11(f)に示すように、Ni膜は低抵抗のSiC基板と合金化(シリサイド化)し、少なくとも10−6Ωcm台の接触抵抗を示す極めて低抵抗のオーム性接触電極17ができ上がる。
(g)これ以降は、前記第1の実施の形態とまったく同じようにして、エピタキシャル基板1にゲートコンタクト窓15と内部配線16を設ける。そうすると、図8に示した本発明に基づく第2の実施の形態のONOゲート絶縁膜を含むMIS構造体が完成する。
このようにして作製した第2の実施の形態のONOゲート絶縁膜を含むMIS構造体は、図7に示した前記第1の実施の形態と同様の優れたTDDB寿命を示した。すなわち、本発明の第1の実施の形態は、従来技術の前記第1の問題点であった「(非特許文献5)ONOゲート絶縁膜にあっては、TDDB寿命はSi熱酸化膜のレベルまで大きく向上しているが、Si(MOS)デバイスの実用上限温度を超える温度で長時間動作させるには必ずしも十分ではない」という問題を解決できるという効果を有している。
さらに、本発明の第1の実施の形態では、工程(c)と(c)を経由する場合には、酸化シリコン膜10の形成はSiCの熱酸化以外の手段で実施されるとともに、TDDB寿命は従来技術を桁で上回る値が達成される。すなわち、本発明の第1の実施の形態は、従来技術の前記第2の問題点であった「(非特許文献5)のONOゲート絶縁膜にあっては、SiCに接する第1の酸化シリコン膜をSiC熱酸化膜で形成する構成になっているため、デバイス構造上の制約等でSiC熱酸化膜を用いることができないある種のMOS(MIS)構造デバイスでは、上記従来ゲート絶縁膜の高信頼化技術を適用できない」という問題を解決できるという効果を有している。
《第3の実施の形態》
本発明の第3の実施の形態は、標準的なnチャネルタイプのプレーナ型パワーMOSFETセルに本発明を適用した例である。なお、本発明は、方形セル、六方セル、円形セル、櫛歯(リニヤ)型セルなど、どのような形態のセルでも適用できる。
〈構造〉
図12は、本発明の第3の実施の形態のパワーMOSFETセルの要部断面図である。
同図において、100はn型単結晶SiC基板であり、表面(図中上面側主面)に厚み10μm、窒素を1×1016/cm添加した第1のn型エピタキシャル層200をホモエピタキシャルタキシャル成長させている(図1、図8においてはn型エピタキシャル層は非表示であるが、図12と同様の構造である)。4H、6H、3C、15Rなど全ての晶系(Hは六方晶、Cは立方晶、Rは菱面体晶を意味する)の基板を用いることができる。n型エピタキシャル層200の表層部における所定領域には、所定深さを有するp型不純物をわずかに添加したp型ベース領域53a、53bが形成されている。
p型ベース領域53a、53bの表層部の所定領域には、p型ベース領域53a、53bよりも浅いn型ソース領域54a、54bが、p型ベース領域53a、53bの外縁境界から一定の距離になるように形成されている。p型ベース領域53a、53bの中央の基板表層には、p型ベース領域53a、53bよりも浅く、n型ソース領域54a、54bに挟まれるようにp型ベースコンタクト領域57が配設されている。
基板100の表面に選択的に形成された9a、9bはONOゲート絶縁膜である。
ONOゲート絶縁膜9a、9bは3層構造からなり、下部(基板100側)から酸化シリコン膜10a、10b、SiN膜11a、11b、SiN熱酸化膜12a、12bが順に積層されている。10a、10bが、基板100との界面及びその界面近傍部分にNを含有する薄い酸化シリコン膜であることは言うまでもない。この酸化シリコン膜10の厚みは3.5nm〜25nmの範囲であり、特に4nm〜10nmの範囲では極めて良好な結果を与える。SiN膜11a、11bの側壁には同膜を熱酸化することによって形成されたSiN側面熱酸化膜13a、13bが配設されている。
ONOゲート絶縁膜9a、9bの上には、導電性を付与した多結晶Siからなるゲート電極7a、7bが設けられている。多結晶Siゲート電極7a、7bの上部と側壁には多結晶Si側面熱酸化膜8a、8bが置かれている。
多結晶Si側面熱酸化膜8a、8bを含むSiC基板100上には層間絶縁膜14a、14bが成膜されている。63は層間絶縁膜14a、14bに開けられたソース窓であり、n型ソース領域54a、54b/p+型ベースコンタクト領域57に貫通するように開口されている。このソース窓63の底部には、ソース電極64が形成されている。このソース電極64は、Niなどの薄い金属膜母材を、ソース窓63の底部に選択的に配設した後、急速加熱処理でSiCと合金化させて形成する。ソース電極64は、n型ソース領域54a、54bとp型ベースコンタクト領域57とに同時にオーム性接触を実現している。基板100の裏面の17はソース電極64と同様の方法で形成されたドレイン電極である。16は、ソース窓63を介してソース電極64を同一基板上の他の回路要素や外部回路に接続させるための内部配線である。
〈製造方法〉
次に、本発明の第3の実施の形態のプレーナ型パワーMOSFETセルの製造方法を、図13(a)〜図16(h)の断面工程図を用いて説明する。
(a)まず、1主面にn型エピタキシャル層200をホモエピタキシャルタキシャル成長させたn型SiC基板100を用意し、n型エピタキシャル層200の表面に厚み20nm〜30nmのCVD酸化膜20を堆積させる。その後、この上にイオン注入マスクとしての厚み約1.5μmの多結晶Si膜をLPCVD(減圧化学的気相成長法)で成膜する。多結晶Si膜の他にCVDで形成したSiO膜やPSG(リン珪酸ガラス)膜などを用いることもできる。CVD酸化膜20は省略することもできるが、前記イオン注入マスクとして多結晶Si膜を使用するときは、以下のような有用な効果と機能を有しているので形成することが推奨される。その効果と機能とは、(1)多結晶Si膜とn型エピタキシャル層200が予期せぬ反応をするのを予防するための保護膜、(2)多結晶Siマスクを異方性エッチングする際の終点検出とエッチングストッパ膜、(3)p型ベース不純物をイオン注入するときの表面保護膜である。
続いて、フォトリソグラフィーと反応性イオンエッチング(RIE)などの異方性エッチングの手段を用いて、p型ベース領域(53a、53b)の形成予定領域の上部にある前記多結晶Si膜を垂直に除去することによって、第1のイオン注入マスク21a、21bを形成する。多結晶Si膜のRIEには、SFなどのエッチャントガスを用いると、熱酸化膜に対して選択比の高いエッチングと終点検出が可能になり、基板100の表面、特にチャネル領域へのプラズマダメージを回避することができる。
次いで、p型不純物のイオン注入を行い、図13(a)に示すように、p型ベース領域53a、53bを形成する。実際には、基板100の裏面にも多結晶Si膜が付着しているが、同図では図示省略している。このときのイオン注入条件の一例を挙げると、
p型ベース領域53a、53bの選択イオン注入条件の一例は、
不純物:Alイオン
基板温度:750℃
加速電圧/ドース:360keV/5×10−13cm−3
である。p型ベースイオン注入が終了したら、CVD酸化膜20と第1のイオン注入マスク21a、21bをウェットエッチングで除去する。
(b)次に、上記p型ベース領域53a、53bの選択イオン注入と同様の手続きをとって、図13(b)に示すように、n+型ソース領域54a、54bとp+型ベースコンタクト領域57を形成する。
型ソース領域54a、54bの選択イオン注入条件の一例は、
不純物:Pイオン
基板温度:500℃
加速電圧/ドース:
160keV/2.0×1015cm−2
100keV/1.0×1015cm−2
70keV/6.0×1014cm−2
40keV/5.0×1014cm−2
である。
また、p型ベースコンタクト領域57の選択イオン注入条件の一例は、
不純物:Alイオン
基板温度:750℃
加速電圧/ドース
100keV/3.0×1015cm−2
70keV/2.0×1015cm−2
50keV/1.0×1015cm−2
30keV/1.0×1015cm−2
である。
すべてのイオン注入が終了したら、基板100をフッ酸と硝酸の混合液に浸漬して、使用したすべてのマスク及び基板100の裏面に付着した不要なマスク材を完全に除去する。マスクの除去には、基板100を熱燐酸溶液とBHF溶液に交互に浸漬して多結晶Si膜とSiO膜を順次除く方法を用いてもよい。
次いで、マスクを除去した基板100を洗浄、乾燥した後、高純度の常圧Ar雰囲気で1700℃、1分の熱処理を行い、p型ベース領域53a、53bとn型ソース領域54a、54b、p型ベースコンタクト領域57にイオン注入されたすべての伝導不純物を一挙に活性化させる。
(c)次に、RCA洗浄などで十分洗浄した基板100をドライ酸素雰囲気で熱酸化して、基板100の表面並びに裏面に熱酸化膜を成長させ、緩衝フッ酸溶液を用いて直ちに取り除く。この犠牲酸化膜の厚みは50nm未満、好ましくは5nm〜20nmが望ましい。犠牲酸化が終了した基板100を再び、RCA洗浄などで十分洗浄する。その後、基板100の表面に熱酸化やCVDなどの手段を用いて厚い絶縁膜を形成し、周知のフォトリソグラフィーとウェットエッチングまたはドライエッチングを用いて前記厚い酸化膜が存在するフィールド領域(図示せず)と厚い酸化膜が除去された素子領域(ユニットセル)70(図12参照)を形成する。なお、この段階での素子領域70の形状は図13(b)と変らないが、素子領域70の外の周辺部分にフィールド領域が形成されている点が相違している。
続いて、基板100を再び、RCA洗浄などで十分洗浄するとともに、この洗浄の最終段階において、素子領域70の表面に生成した化学的酸化膜(SiO)を除去するために、希釈フッ酸溶液に5秒〜10秒間浸漬し、超純水で希釈フッ酸溶液を完全にすすぎ落とした後、乾燥する。そして、直ちに素子領域70の基板100の表面にONOゲート絶縁膜9a、9bの第1層を構成する酸化シリコン膜10a、10bを形成する。酸化シリコン膜10a、10bの形成方法としては、前記第1の実施の形態の製造方法で説明した(c)〜(c)の方法の任意のひとつを用いることができる。
その後、その上にLPCVDで第2層のSiN膜11a、11bを堆積させ、最後にSiN膜11a、11bを熱酸化(例えば、パイロジェニック酸化)させて第3層のSiN熱酸化膜12a、12bを表面に成長させ、図13(c)に示すような構造を得る。エピタキシャル基板100の裏面にもONO構造の膜が形成されるが、同図では図示省略している。各膜の成膜条件は前記本発明の実施の形態1と2に記載された条件と同じ条件を用いることができる。
ここで重要なポイントは、上記酸化シリコン膜10a、10bのNO熱処理温度は、全ての後続工程のどの熱処理温度よりも高く設定するということである。ここでは後に、表側のソース接触電極64と裏面ドレイン電極17のオーム性接触を実現するために、温度1000℃の急速加熱処理を実施するので、それより高い、例えば、1275℃という熱処理温度を選ぶとよい。
(d)次に、基板100の表面及び裏面の全面にシラン原料を用いた減圧CVD法(成長温度600℃〜700℃)で厚み300nm〜400nmの多結晶Si膜を成膜する。その後、塩素酸リン(POCl)と酸素を用いた周知の熱拡散法(処理温度900℃〜950℃)で多結晶Si膜にn型の不純物P(リン)を添加し、導電性を付与する。P(リン)ではなくB(硼素)などのp型の不純物を添加してもよい。
続いて、基板100の表面にフォトリソグラフィーと、Cと酸素をエッチャントとした反応性イオンエッチング(RIE)を用いて、基板100の表面側の多結晶Si膜と、ONOゲート絶縁膜9a、9bのSiN熱酸化膜12a、12bとSiN膜11a、11b、の不要な部分を連続的に取り除く。その後、フォトレジストを除去すると、図14(d)に示す構造になる。この工程でゲート電極7a、7bが定義(位置が特定)される。なお、エピタキシャル基板100の裏面にも多結晶Si膜が形成されるが、同図では図示省略されている。
(e)次に、RIEが終了したSiCエピタキシャル基板100をRCA洗浄して、清浄化・乾燥した後、950℃でウェット酸化(パイロジェニック酸化)して、図14(e)に示すように、多結晶Siゲート電極7a、7bの側面及び上部とSiN膜11の側面に、多結晶Si熱酸化膜8a、8bとSiN側面熱酸化膜13a、13bを同時に成長させる。
本工程では上記(d)のゲートエッチングで損傷を受けたリーク電流性SiN膜の外縁部の側面を熱酸化膜13a、13bに転換することによって除去するとともに、図14(e)に示すごとく、多結晶Siゲート電極7a、7bの外縁端GをSiN膜の外縁端Nより僅かに内部に後退させて、SiN膜11の外縁のゲート電界を緩和させ、信頼性の向上を図っている。多結晶Siゲート電極7a、7bの外縁端Gを後退させるために、本発明の製造方法では、多結晶Siの酸化速度がSiN膜の酸化速度より高い性質を利用している。
また、本工程では、多結晶Si熱酸化膜8a、8b及びSiN側面熱酸化膜13a、13bを付加することによって、ゲート電極7a、7bの下に局在するONOゲート絶縁膜9a、9bを熱的に安定な材料、すなわち、多結晶SiとSiCと、熱酸化膜で包囲して保護する構造にしている。この構造は、後続の高温コンタクトアニール(1000℃、2分)などで、ONOゲート絶縁膜9a、9bが周辺部材や環境と反応して劣化するのを防止するのに重要な役割を果たす。なお、多結晶Si熱酸化膜8a、8bはゲート電極7a、7bの側壁だけでなく上面にも形成され、多結晶Siゲート電極7a、7bの厚みが目減りする。この目減り分を考慮して、結晶Siゲート電極7a、7bの初期の厚みは規定されているものとする。
(f)次に、図15(f)に示すように、基板100の表全面に層間絶縁膜14を堆積する。この層間絶縁膜14には、シランと酸素を原料とした常圧CVDで形成した約1μm厚のSiO膜(NSG)あるいはさらにリン(P)を添加したリン珪酸ガラス(PSG)、さらにこれにホウ素を添加したホウ素リン珪酸ガラス(BPSG)などが適しているが、これに限定されるものではい。
この後、基板100を通常の拡散炉に入れ、N雰囲気で数10分の穏やかな熱処理を行い、層間絶縁膜14を高密度化する。このときの熱処理温度は、酸化シリコン膜10a、10bの形成(熱酸化)温度より低い温度(例えば900℃〜1000℃)になるように適宜選ばれる。
(g)次に、周知のフォトリソグラフィーとドライ/ウェットエッチング手段を用いて、基板100の表面側の層間絶縁膜14と、ONOゲート絶縁膜のSiC熱酸化膜である酸化シリコン膜10a、10bとにソース窓63を開口する。図示していないが、素子領域(図12の70)周辺に形成されているゲートコンタクト窓(図示せず)もこのとき、同時に開口される。エッチャント溶液またはガスが基板100の裏に及ぶ場合には、裏面の一過性の多結晶Si膜上の熱酸化膜(図示省略)も同時に除去される。
層間絶縁膜14と酸化シリコン膜10a、10bのエッチングが終了したら、フォトレジスト・エッチングマスクが残ったままの基板100の表全面にDCスパッタリングなどの成膜手段を用いてソース接触電極母材25を全面蒸着する。ソース接触電極母材25には、例えば、50nm厚のNi膜あるいはCo膜などを用いることができる。
ソース接触電極母材25の蒸着が終了したら、基板100を専用のフォトレジスト・ストリッパに浸漬し、基板100の表面に残されているフォトレジストを完全に除去する。それにより、図15(g)に示すように、ソース窓63上と前記ゲートコンタクト窓(引出線と符号は非表示)の底面にのみソース接触電極母材25が堆積した基板構造ができ上がる。
(h)次に、基板100を十分すすいで、乾燥させた後、表全面に厚み1μm以上の保護用レジスト材(フォトレジストでよい)を塗布して、基板100の裏面側に残留している多結晶シリコン膜/SiN熱酸化膜/SiN膜(図示省略)をドライ・エッチングで順に除去する。このドライエッチング中に起きるプラズマダメージや帯電、汚染から接触電極母材25とゲート絶縁膜10a、10bの劣化を防止するために、上記保護用レジストは使用される。
次に、基板100を緩衝フッ酸溶液に浸漬して、前記酸化シリコン膜10a、10bの形成で生じた一過性のSiC熱酸化膜(図示なし)を除去し、エピタキシャル基板100の裏面に清浄な結晶面を露出させる。緩衝フッ酸溶液を超純水で完全にすすぎ落して、乾燥させたところで、速やかに基板100を高真空に維持された蒸着装置の中に据え付け、裏面に所望のドレイン接触電極母材(図示なし)を蒸着する。この裏面の電極母材としては、例えば、50nm〜100nm厚のNi膜あるいはCo膜を用いることができる。
次に、表面保護に使用したレジストを専用ストリッパ液で完全に剥離し、エピタキシャル基板100を十分洗浄し、すすいでから乾燥させ、直ちに急速加熱処理装置に設置して、高純度のAr雰囲気で1000℃、2分間の急速加熱処理(コンタクト・アニール)を実施する。この熱処理によって、ソース窓63の底(図15(g)の接触電極母材25)と前記ゲートコンタクト窓の底ならびに裏面に堆積された各接触電極母材(Ni膜)はそれぞれ、n型ソース領域54a、54b(/p型ベースコンタクト領域57)(図13(b))、多結晶Siゲート電極接触領域(図示なし)、n型SiC基板100の裏面と合金化して、極めて低抵抗を示すオーム性接触のソース電極64、ゲート電極(図示なし)、ドレイン電極17となり、図16(h)に示す基板構造が形成される。
(i)最後に、コンタクト・アニールが済んだ基板100を高真空に維持されたマグネトロンスパッタリング装置に据え付け、基板100の表全面に所望の配線材料、例えばAl膜を3μm厚に蒸着する。
この後、Al膜を成膜した基板100の上面にフォトリソグラフィーでフォトレジストマスクを形成した後、基板100の裏面に裏面電極保護用のフォトレジストを塗布して、このレジストを十分乾燥させてから、RIEでAl膜をパターン化し、図12に示すように、ソース接触電極64に接続する内部配線16とゲート電極接触に接続する内部配線(図示なし)を形成する。
最後に、レジストマスクを専用ストリッパ液で完全に除去し、基板100を十分すすいでから乾燥させる。こうして、図12に示した本発明に基づくプレーナ型パワーMOSFETセルが完成する。
このようにして作製した本発明に基づくONO膜を含むMIS構造体を取り込んだプレーナ型パワーMOSFETセルは、通常の単純なSiC熱酸化ゲート酸化膜を有するプレーナ型パワーMOSFETセルより優れたトランジスタ特性を示した。
そのONOゲート絶縁膜を含むMIS構造体の部位は、前記第1の実施の形態と何ら変らない高いTDDB寿命分布(図7参照)を示した。すなわち、本発明のONO膜を含むMIS構造プレーナ型パワーMOSFETセル及びその製造方法は、従来技術プレーナ型パワーMOSFETの第1の問題点であった「(非特許文献5)ONOゲート絶縁膜にあっては、TDDB寿命はSi熱酸化膜のレベルまで大きく向上しているが、Si(MOS)デバイスの実用上限温度を超える温度で長時間動作させるには必ずしも十分ではない」という問題を解決できるという効果を有している。
さらに、本発明の第3の実施の形態では、工程(c)と(c)を経由することによって、酸化シリコン膜10a、10bの形成をSiCの熱酸化以外の手段で実施することを可能している。すなわち、本発明の第3の実施の形態は、従来技術のプレーナ型パワーMOSFETの第2の問題点であった「(非特許文献5)のONOゲート絶縁膜にあっては、SiCに接する第1の酸化シリコン膜をSiC熱酸化膜で形成する構成になっているため、デバイス構造上の制約等でSiC熱酸化膜を用いることができないある種のMOS(MIS)構造デバイスでは、上記従来ゲート絶縁膜の高信頼化技術を適用できない」という問題を解決できるという効果を有している。本効果はとくにSiC基板に設けたトレンチにONOゲート絶縁膜構造を形成するパワーUMOSFETの製作に極めて有効である。
《第4の実施の形態》
上記第3の実施の形態は、本発明のONO膜ゲート構造体を、プレーナ型パワーMOSFETセルに適用したものであるが、類似の素子構造を有するIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)セルにも適用可能であることは言うまでもない。この場合も、第3の実施の形態のプレーナ型パワーMOSFETセルとまったく同様の効果が得られる。
なお、以上説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
また、特許請求の範囲における各構成要素と、発明の実施の形態における各構成要素との対応について説明する。すなわち、実施の形態におけるSiCエピタキシャル基板1(図12においてはSiC基板100及びエピタキシャル層200)が、特許請求の範囲の炭化珪素基板に、酸化シリコン膜10、10a、10bが第1の酸化シリコン膜に、SiN膜11、11a、11bが窒化シリコン膜に、SiN熱酸化膜12が窒化シリコン熱酸化膜に、ONOゲート絶縁膜9がONO絶縁膜にそれぞれ対応する。
1…SiCエピタキシャル基板 3…フィールド絶縁膜
4…下部絶縁膜 5…上部絶縁膜
6…ゲート窓 7、7a、7b…ゲート電極
8、8a、8b…多結晶Si熱酸化膜
9、9a、9b…ONOゲート絶縁膜
10、10a、10b…SiC界面及び膜中にNを含有する酸化シリコン膜
11、11a、11b…SiN膜 12、12a、12b…SiN熱酸化膜
13、13a、13b…SiN側面熱酸化膜
14、14a、14b…層間絶縁膜
15…ゲートコンタクト窓 16…内部配線
17…オーム性接触電極(ドレイン電極) 20…CVD酸化膜
21a、21b…第1のイオン注入マスク 25…ソース接触母材
53a、53b…p型ベース領域 54a、54b…n型ソース領域
57…p型ベースコンタクト領域 63…ソース窓
64…ソース電極 70…素子領域(ユニットセル)
100…SiC基板 200…n型エピタキシャル層
201…一過性SiC熱酸化膜 202…一過性酸化シリコン膜
203…一過性SiN膜 204…一過性SiC熱酸化膜
G…ゲート電極の外縁端 N…SiN膜の外縁端

Claims (8)

  1. 炭化珪素基板の表面に形成されたフィールド絶縁膜に、フォトリソグラフィとウエットエッチングにより所定のゲート窓を炭化珪素基板に達する深さで形成する工程と、
    前記ゲート窓が形成された炭化珪素基板の表面に、第1の酸化シリコン膜(O)を形成する工程と、
    第1の酸化シリコン膜の上に、窒化シリコン膜(N)を積層する工程と、
    前記窒化シリコン膜(N)を酸化させて、表面から所定の深さまで第2の酸化シリコン膜(O)を形成して、ONO絶縁膜を形成する工程と、
    前記ONO絶縁膜の上にゲート電極を形成する工程と、
    を備えた炭化珪素半導体装置の製造方法であって、
    前記第1の酸化シリコン膜を形成する工程は、
    前駆酸化シリコン膜を成膜する工程と、
    該前駆酸化シリコン膜を酸化窒素(NOx)ガス雰囲気で熱処理する工程と、
    前記熱処理された前駆酸化シリコン膜上に、熱酸化以外の手段で他の酸化シリコン膜を堆積して形成する工程と、を備え、
    前記ゲート電極を形成する工程は、
    前記ONO絶縁膜の上に多結晶シリコン膜を成膜する工程と、
    前記多結晶シリコン膜に不純物を添加して前記多結晶シリコン膜に導電性を付与する工程と、
    前記多結晶シリコン膜の上に、所望のマスクを形成する工程と、
    前記マスクを介して、前記多結晶シリコン膜、前記第2の酸化シリコン膜、前記窒化シリコン膜を連続的にエッチングし、前記ゲート電極と前記第2の酸化シリコン膜と前記窒化シリコン膜の外縁を定義する工程と、
    前記ゲート電極の側面及び上部と前記窒化シリコン膜の外縁を酸化する工程と、
    を備えたことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
  2. 前記酸化窒素(NOx)ガス雰囲気は、N2O(笑気)、NO(一酸化窒素)、NO2(二酸化窒素)、これらのうちの少なくとも2種の混合気体、または、前記1種の気体もしくは前記混合気体を希釈した気体を供給して形成することを特徴とする請求項1記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  3. 前記酸化窒素(NOx)ガス雰囲気での熱処理、再酸化、または熱酸化は、1000℃〜1400℃の温度範囲で実施することを特徴とする請求項1記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  4. 前記酸化窒素(NOx)ガス雰囲気での熱処理、再酸化、または熱酸化は、1100℃〜1350℃の温度範囲で実施することを特徴とする請求項記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  5. 前記前駆酸化シリコン膜は、熱酸化以外の成膜手段で堆積して形成することを特徴とする請求項1記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  6. 前記熱酸化以外の成膜手段が、化学的気相成長法であることを特徴とする請求項記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  7. 前記前駆酸化シリコン膜は、化学的気相成長法で堆積した多結晶シリコンまたは無定形シリコン膜を熱酸化して形成することを特徴とする請求項1記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  8. 前記第1の酸化シリコン膜を形成した後のすべての製造工程は、前記第1の酸化シリコン膜の酸化窒素(NOx)ガス雰囲気での熱処理、再酸化または熱酸化の温度を超えない温度で処理することを特徴とする請求項1記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
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