以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、実施例としては、室内機と室外機と室内機を遠隔操作するリモコンからなり、室内機とリモコンとの通信を電波に基づいた無線通信とした空気調和機を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することができる。
図1は、本発明の実施例である空気調和機の室内機説明図である。図1(A)に示すように、室内機1は横長の箱体であり、前面にグリル3を備えた前面カバー2が配置されている。また、下方に備えられた吹出口5には、2枚の上下風向板6や6枚の左右風向板7が配置されている。さらには、吹出口5の右側には、図示しない受信用アンテナを備えた無線受信部10が配置されている。
また、図1(B)に示すように、前面カバー2に覆われた室内機1の内部には、熱交換器20及び送風ファン11が設けられており、これらは室内の設置面(壁面)に固定されるベース4に支持されている。尚、前面カバー2、ベース4、上下風向板6および左右風向板7は樹脂材で形成されている。
前面カバー2と熱交換器20の前面側との間には、前面カバー2から室内機1内部に吸い込んだ空気中に含まれる塵埃を除去するためのフィルタ12が配置されている。フィルタ12は、室内機1内を摺動し上部に配置された清掃手段15でフィルタ12に付着している塵埃が除去される。また、熱交換器20の前面側の上段部とフィルタ12との間には、室内機温度検出手段である室温センサ23が配置されている。この室温センサ23で、室内機1内に吸い込まれた空気の温度を検出することで、室内機1周囲の温度を検出する。
前面カバー2の下端部と吹出口5との間には、熱交換器20の前面側で生成された結露水を受け止めるドレンパン14が設けられている。また、ベース4の底部には、底部から設置面に向けて斜めに立設された仕切り板4aがあり、この仕切り板4aと設置面との間に形成された空間に、ドレンパイプ等の配管類13が収納されている。
尚、図示は省略するが、室内機1内部には以上説明した構成の他に、送風ファン11の支持部や各種モータ類、制御基板や電源基板等を格納した電装品箱が設けられている。
図2は、本発明による空気調和機の室内機1を遠隔操作するリモコン40の外観斜視図である。リモコン40は、上部筐体41と、下部筐体42と、無線送信部43と、操作手段である操作キー44と、表示部45と、リモコン温度検出手段である温度センサ46と、照度検出手段である照度センサ47と、後述する温度制御選択手段を構成するリモコン温度センサキー48および室内機温度センサキー49とを備えている。上部筐体41及び下部筐体42は、それぞれ樹脂材で形成されており、互いに嵌合して略直方体形状の箱体となるような形状とされている。
無線送信部43は、リモコン40の上部筐体41と下部筐体42とで構成される箱体内部で、かつ箱体の長手方向の一端に備えられており、図示しない送信用アンテナを備えている。操作キー44は、上部筐体41に配置されており、樹脂材で形成されている。この操作キー44は、室内機1をオン/オフするための電源キーや設定温度決定キー、風量設定キー、上下風向板6及び左右風向板7の動作設定キー等、室内機1を操作・制御するためのキーで構成されている。
表示部45は、液晶パネル等からなり、設定温度や風量等の使用者が操作キー44を操作して設定した様々な制御情報を表示する。表示部45は操作キー44と同様に上部筐体41に配置されており、操作キー44の上側に配置されている。
温度センサ46および照度センサ47は、いずれも上部筐体41の表示部45の上側に配置されている。左側に配置された温度センサ46はリモコン40周囲の温度を検出する。また、右側に配置された照度センサ47はリモコン40周囲の照度(=明るさ)を検出する。尚、本実施例では、温度センサ46および照度センサ47は、いずれも上部筐体41に配置された表示部45の上側に配置されているが、これに限るものではなく、リモコン40の他の場所に配置されてもよい。但し、リモコン40の裏面(下部筐体42)や操作キー44付近(使用者がリモコン40を操作する際に手で持つ箇所)にこれらセンサを設けると、床や手によってこれらセンサが塞がれることにより正確にリモコン40周囲の温度や照度を検出できない虞があるので、本実施例のように、温度センサ46および照度センサ47は、上部筐体41に配置された表示部45付近に配置することが望ましい。
リモコン温度センサキー48および室内機温度センサキー49は、空調運転を行う際に、室内機1あるいはリモコン40で検出した温度のうち、どちらの温度に基づいて空調制御を行うかを選択するためのキーである。使用者がリモコン温度センサキー48で指示すれば、リモコン40の温度センサ46で検出した温度に基づいた空調制御を行う。また、使用者が室内機温度センサキー49で指示すれば、室内機1の室温センサ23で検出した温度に基づいた空調制御を行う。
以上説明したリモコン40で使用者が操作キー44を操作すると、リモコン40は、操作された操作キー44に対応する制御コードを図示しない記憶部より読み出し、この制御コードから送信コードを生成する。そして、送信コードに対応する例えば2.4GHzの送信信号(無線信号)を生成して無線送信部43から室内機1に送信すると共に、操作内容を表示部45に表示する。
図3は、本発明による空気調和機の構成を示す要部ブロック図である。図3(A)に示すように、室内機1は、上述した無線受信部10および室温センサ23に加え、室温センサ23の検出信号を入力するセンサ入力部24と、室外機30との通信を行なう通信部22と、送風ファン11を回転させるための送風ファンモータ25と、左右風向板7の角度調整を行なう左右風向板用ステッピングモータ26と、上下風向板6の角度調整を行なう上下風向板用ステッピングモータ27と、これらを制御する室内機制御手段21とを備えている。
尚、図示は省略するが、以上説明した構成以外に室内機1には、室内湿度を検出する湿度センサや熱交換器20の温度を検出する熱交温度センサ等のセンサ類や、室内機1の現在の設定情報や制御プログラム等を記憶する記憶部、室内機1の運転状態を表示する表示部等が備えられているが、本発明と直接関係が無いため詳細な説明は省略する。
一方、図3(B)に示すように、リモコン40は、上述した無線送信部43、操作キー44、表示部45、温度センサ46、照度センサ47、リモコン温度センサキー48および室内機温度センサキー49に加え、温度センサ46および照度センサ47の検出信号を入力するセンサ入力部50と、これらを制御するリモコン制御手段51とを備えている。尚、図示は省略するが、以上説明した構成以外にリモコン40には、上述した操作キー44に対応する制御コード等を記憶している記憶部を備えている。
以上説明した構成において、使用者がリモコン40の操作キー44を操作して空気調和機の運転を開始する。使用者は、リモコン温度センサキー48あるいは室内機温度センサキー49を操作して、室内機1あるいはリモコン40のどちらで検出した温度に基づいて空調制御を行うかを決定する。リモコン温度センサキー48により、温度センサ46で検出した温度に基づいた空調制御が指定されている場合は、リモコン制御手段51は照度センサ47で検出した照度を入力してその値が所定の値以上あるいは以下でなければ温度センサ46で検出した温度を室内機1へ間欠的に送信し、検出した照度が所定の値以上あるいは以下であれば温度センサ46で検出した温度を室内機1送信しない。
リモコン40からの指示により運転を開始した室内機1の室内機制御手段21は、リモコン40で検出したリモコン周囲温度が間欠的に入力された場合は、入力した温度に基づいた空調制御を、また、リモコン40で検出したリモコン周囲温度が入力されない場合は、温度センサ46で検出した温度に代替して室温センサ23で検出した温度に基づいた空調制御を行う。また、室内機制御手段21は、通信部22を介して室外機30と空調制御に必要な信号の通信を行なう。
次に、図1乃至図3を用いて、本発明の空気調和機による、照度センサ47を用いた空調制御の原理及び動作について説明する。使用者は、リモコン40の操作キー44を操作して室内機1の電源をオンして空気調和機の運転を開始する。次に使用者は、リモコン40の操作キー44を操作して運転モード(暖房/冷房)や設定温度、風量、上下風向板6あるいは左右風向板7の動作/角度を設定する。
また、使用者は、空調運転の際に、リモコン40の温度センサ46で検出した温度に基づいた空調制御を行うか、あるいは、室内機1の室温センサ23で検出した温度に基づいた空調制御を行うかを設定する。すなわち、前者の場合はリモコン温度センサキー48を操作して温度センサ46で検出した温度を空調制御に使用することを指示し、後者の場合は室内機温度センサキー49を操作して室温センサ23で検出した温度を空調制御に使用することを指示する。室内機温度センサキー49が指定された場合の空調制御は、従来の空気調和機の空調制御と同様となるため、以下の説明では、リモコン温度センサキー48が操作された場合について説明する。
リモコン制御手段51は、使用者が操作キー44により設定した運転モードや設定温度等を入力し、これに対応した制御コードを記憶部から読み出し、制御コードに対応する制御信号を生成し無線送信部43を介して送信する。また、温度センサ46で検出したリモコン40周囲の温度と、照度センサ47で検出したリモコン40周囲の照度とが、センサ入力部50を介してリモコン制御手段51に入力される。
リモコン制御手段51は、まず入力されたリモコン40周囲の照度が、所定の値以上あるいは以下であるか否かを判断する。リモコン40周囲の照度が所定の値以上あるいは以下でなければ、リモコン制御手段51は、温度センサ46で検出した温度に対応する信号(以下、温度信号と記載する)を室内機1に送信し、リモコン40周囲の照度が所定の値以上あるいは以下であれば、制御手段51は、温度信号を室内機1に送信しない。
以上のように照度センサ47で検出した照度で、温度信号の送信可否を決定する理由は次の通りである。例えば、リモコン40が使用者の手元を離れて窓際等の直射日光が当たる場所に置かれているとする。このような場所では、温度センサ46で検出する温度は、直射日光の影響によって使用者が存在する場所の温度よりかなり高くなる虞がある。この時の温度を室内機1に送信し、温度センサ46で検出する温度が設定温度となるよう空調制御を行えば、冷房運転である場合は過剰な空調運転となったり、暖房運転である場合は不十分な空調運転となる虞があり、使用者の体感に合わない(どちらの運転モードでも「寒い」と感じる)空調運転となる虞がある。
上述したような直射日光が当たる場所にリモコン40が置かれている場合は、照度センサ47で検出する照度は、直射日光が当たらない場所に置かれている場合と比べて高くなっていると考えられる。従って、照度センサ47で検出する照度を監視してこの値が所定の値以上(直射日光が当たっていると判断できる程度の照度。例えば、30,000ルクス以上)であれば、温度信号を送信しないことで検出した温度に基づいた空調制御とならないため、使用者の体感に合わない空調運転を防ぐことができる。
また、例えば、新聞紙や雑誌、衣類等の障害物が温度センサ46や照度センサ47に覆いかぶさるように置かれているとする。このような状態では、温度センサ46で正確にリモコン40周囲の温度を検出できない虞があり、この時の温度を室内機1に送信し、温度センサ46で検出する温度が設定温度となるよう空調制御を行えば、過不足のある空調運転(冷えない/暖かくならない、あるいは、冷え過ぎ/暖かくなり過ぎ)となって使用者の体感に合わない空調運転となる虞がある。
上述したような障害物がリモコン40の上に存在する場合は、照度センサ47で検出する照度は、障害物がない場合と比べて低くなっていると考えられる。従って、照度センサ47で検出する照度を監視してこの値が所定の値以下(障害物がなく、部屋の照明器具に対応する照度と判断できる程度の照度。例えば、200ルクス以下)であれば、温度信号を送信しないことで検出した温度に基づいた空調制御とならないため、使用者の体感に合わない空調運転を防ぐことができる。
照度センサ47で検出した照度が所定の値以上あるいは以下でない場合は、リモコン制御手段51は温度信号を無線送信部43を介して間欠的に送信する。尚、温度信号を送信するタイミングは、所定時間毎(例えば、5分毎。温度センサ43で検出した温度の変化に空調制御が追随するのに必要な間隔)に送信する、あるいは、使用者が操作キー44を操作した際に制御信号と一緒に送信する、あるいはこの両者の組み合わせとすればよい。また、リモコン制御手段51が、温度センサ46で検出した温度と設定温度との差を監視し、この差が所定の値以上(例えば、3℃以上)である状態が所定時間(例えば、10分間。使用者が空調運転を不快と感じこれを我慢できる限界時間)続く場合に、温度信号を室内機1に送信するようにしてもよい。
無線受信部10を介して、リモコン40より送信された温度信号を入力した室内機制御手段21は、リモコン40の温度センサ46で検出する温度が設定温度となるように、室外機30と空調制御に関する通信を行うとともに、送風ファンモータ25を制御して風量を制御し、また、左右風向板用ステッピングモータ26や上下風向板用ステッピングモータ27を制御して風向を制御する。尚、室内機制御手段21は、リモコン40より送信される温度信号を所定時間、例えば、20分間受信できない場合は、室内機1に備えられた室温センサ23で検出した温度を使用して空調制御を行うことで、空調運転が停止して快適性が損なわれることを防ぐことができる。
以上説明したように、リモコン40に備えられた温度センサ46で検出したリモコン40周囲の温度に基づいて空調運転を行う際に、リモコン40に備えられた照度センサ47で検出したリモコン40周囲の照度を参照して、温度センサ46で検出したリモコン40周囲の温度が正確に検出できるか否かを判断し、空調制御にリモコン40周囲の温度を使用するか否かを決定しているので、リモコン温度センサ46で検出した不正確な温度を送信しないことによってその温度に基づいた空調制御となることを防ぐことができ、使用者の体感に合わない空調運転となることを防ぐことができるとともに、リモコン40からの送信回数を減らせるのでリモコン40の消費電力を低減することができる。
また、リモコン40は、リモコン温度センサキー48と室内機温度センサキー49とを備えているので、例えば、室内機1の設置された部屋の温度ばらつきが少なく室温センサ23で検出した温度を使用して空調制御を行っても使用者の体感に合う空調運転が可能な場合は、使用者が室内機温度センサキー49を選択すればリモコン40からリモコン温度センサ46で検出した温度を送信しないので、リモコン40の消費電力を低減することができる。
特に、本実施例のように、リモコン40と室内機1との通信が電波を使用した無線通信である場合は、リモコン40の置き場所や障害物の有無に関わらずリモコン40から送信された信号が室内機1で受信されるので、リモコン温度センサ46がリモコン40の置き場所や障害物の影響によって異常な温度を検出し、この温度をリモコン40が送信しこれを受信した室内機1がこの温度に基づいた空調制御を行う虞があるが、照度センサ47で検出した照度によって検出した温度を送信する/しないを判断するので、使用者の体感に合わない空調運転となることを確実に防ぐことができる。
尚、以上説明した実施例では、リモコン40にリモコン温度センサキー48と室内機温度センサキーとを設けて、これらの操作により使用する温度センサの選択を行うことについて説明したが、これに限るものではなく、キーを1個としこれを押下する毎に使用する温度センサの選択が切り換わるようにしてもよい。また、表示部45にメニューとして温度センサの選択画面が表示され、使用者が操作キー44を操作することによって表示部45上で温度センサの選択を行えるようにしてもよい。あるいは、リモコン40に上述したような温度センサの選択手段を設けずに、照度センサ47で検出した照度に応じて温度センサ46で検出した温度を室内機1に送信する/しないを、リモコン制御手段51が判断し自動的に行うようにしてもよい。
次に、図4に示す制御フローチャートを用いて、本発明の空気調和機における処理の流れについて説明する。図4(A)は室内機制御手段21での処理の流れを、図4(B)はリモコン制御手段51での処理の流れを、それぞれ示している。尚、図4のフローチャートにおいて、STはステップを表し、これに続く数字はステップ番号を表している。また、図4では、本発明に関わる処理を中心に説明しており、詳細な冷媒回路の制御等といった一般的な処理の説明は省略している。
まず、図4(A)を用いて、室内機制御手段21での処理の流れについて説明する。空気調和機が空調運転を行っている時、室内機制御手段21は、リモコン40から送信された信号が、無線受信部10を介して入力されたか否かを判断する(ST1)。リモコン40から送信された信号が入力されていなければ(ST1−No)、室内機制御手段21は、現状条件での空調運転を継続し(ST5)、処理をST1に戻す。
リモコン40から送信された信号が入力されていれば(ST1−Yes)、室内機制御手段21は、無線受信部10を介して入力された信号が操作キー44に対応した制御信号か否かを判断する(ST2)。操作キー44に対応した制御信号である場合は(ST2−Yes)、室内機制御手段21は、入力した制御信号に基づいた空調制御を行い(ST6)、処理をST1に戻す。
入力された信号が操作キー44に対応した制御信号でない場合は(ST2−No)、室内機制御手段21は、所定時間内に入力された信号に温度信号が含まれるか否かを判断する(ST3)。温度信号が含まれる場合は(ST3−Yes)、室内機制御手段21は、リモコン40の温度センサ46で検出したリモコン40周囲の温度に基づいた空調制御を行い(ST4)、ST1に処理を戻す。尚、温度信号が含まれない場合は(ST3−No)、室内機制御手段21は、室内機1に備えられた室温センサ23で検出した室内機1周囲の温度に基づいた空調制御を行い(ST7)、ST1に処理を戻す。
次に、図4(B)を用いて、リモコン制御手段51での処理の流れについて説明する。尚、以下の説明で、キー入力は操作キー44やリモコン温度センサキー48や室内機温度センサキー49といった各種キーを使用者が指で1回押下した後その指を離すことによって完結するものとする。まずリモコン制御手段51は、使用者がリモコン40の各種キーを操作しこれに対応するキー入力があったか否かを判断する(ST11)。キー入力があれば(ST11−Yes)、リモコン制御手段51は、キー入力がリモコン温度センサキー48あるいは室内機温度センサキー49が操作されることによる空調制御に使用する温度センサの指定であるか否かを判断する(ST16)。
温度センサの指定であれば(ST16−Yes)、リモコン制御手段51は、温度センサの指定(温度センサ46あるいは室温センサ23を指定)を記憶部に記憶し(ST17)、ST11に処理を戻す。また、温度センサの指定でなければ(ST16−No)、リモコン制御手段51は、キー入力が操作キー44の操作によるものと判断しこれに対応した制御信号を無線送信部43を介して室内機1に送信し(ST18)、ST11に処理を戻す。
ST11において、キー入力がなければ(ST11−No)、リモコン制御手段51は、現在の設定がリモコン40の温度センサ46を使用する設定であるか否かを判断する(ST12)。温度センサ46を使用する設定でなければ(ST12−No)、リモコン制御手段51は処理をST11に戻す。
温度センサ46を使用する設定であれば(ST12−Yes)、リモコン制御手段51は、照度センサ47で検出したリモコン40周囲の照度を取り込んで記憶部に記憶する(ST13)。次に、リモコン制御手段51は、取り込んだリモコン40周囲の照度が所定の値以上あるいは以下であるか否かを判断する(ST14)。
取り込んだリモコン40周囲の照度が所定の値以上あるいは以下であれば(ST14−Yes)、リモコン制御手段51は、処理をST11に戻す。取り込んだリモコン40周囲の照度が所定の値以上あるいは以下でなければ(ST14−No)、リモコン制御手段51は、温度センサ46でリモコン40周囲の温度を検出しこれに対応した温度信号を、無線送信部43を介して室内機1に送信し(ST15)、ST11に処理を戻す。
尚、リモコン40に備えられたリモコン温度センサキー48および室内機温度センサキー49と、図4(B)で説明したフローチャートにおけるステップ12とステップ16およびステップ17に対応したプログラムをリモコン制御手段51に備えられている図示しないマイコンが実行することで、温度制御選択手段の機能が実現されている。
次に、本発明による空気調和機の第2の実施例について説明する。尚、本実施例では、室内機1やリモコン40の構成および照度センサ47で検出した照度に応じて温度センサ46あるいは室温センサ23を選択して空調制御を行う原理や効果については、第1の実施例と同じであるため説明を省略し、室内機制御手段21での処理の流れおよびリモコン制御手段51での処理の流れのみ説明する。
第1の実施例と異なるのは、リモコン40でリモコン温度センサ46の使用が指定された場合に、リモコン制御手段51は温度センサ46で検出した温度および照度センサ47で検出した照度を間欠的に送信し、これらを受信した室内機制御手段21が、入力した照度に応じて室温センサ23で検出した温度に基づいた空調制御とするか、あるいは、入力した温度に基づいた空調制御とするかを判断することである。
尚、第1の実施例と同様に、リモコン40が温度センサ46で検出した温度および照度センサ47で検出した照度に対応した信号(以下、温度・照度信号と記載する)を送信するタイミングは、例えば、所定時間毎(例えば、5分毎。温度センサ43で検出した温度の変化に空調制御が追随するのに必要な間隔)に送信する、あるいは、使用者が操作キー44を操作した際に制御信号と一緒に送信する、あるいはこの両者の組み合わせとすればよい。また、リモコン制御手段51が、温度センサ46で検出した温度と設定温度との差を監視し、この差が所定の値以上(例えば、3℃以上)である状態が所定の時間(例えば、10分間。使用者が空調運転を不快と感じこれを我慢できる限界時間)続く場合に、温度・照度信号を室内機1に送信するようにしてもよい。
また、リモコン40にリモコン温度センサキー48と室内機温度センサキーとを設けて、これらの操作により使用する温度センサの選択を行う代わりに、キーを1個としこれを押下する毎に使用する温度センサの選択が切り換わるようにしてもよい。また、表示部45にメニューとして温度センサの選択画面が表示され、使用者が操作キー44を操作することによって表示部45上で温度センサの選択を行えるようにしてもよい。あるいは、リモコン40に上述したような温度センサの選択手段を設けずに、リモコン制御手段51が温度センサ46で検出した温度と照度センサ47で検出した照度とを室内機1に自動的に送信するようにしてもよい。
図5に示す制御フローチャートを用いて、本発明の空気調和機における処理の流れについて説明する。図5(A)は室内機制御手段21での処理の流れを、図5(B)はリモコン制御手段51での処理の流れを、それぞれ示している。尚、図5のフローチャートにおいて、STはステップを表し、これに続く数字はステップ番号を表している。また、図5においても第1の実施例と同様に、本発明に関わる処理を中心に説明しており、詳細な冷媒回路の制御等といった一般的な処理の説明は省略している。
まず、図5(A)を用いて、室内機制御手段21での処理の流れについて説明する。室内機制御手段21は、リモコン40から送信された信号が、無線受信部10を介して入力されたか否かを判断する(ST21)。リモコン40から送信された信号が入力されていなければ(ST21−No)、室内機制御手段21は、現状条件での空調運転を継続し(ST26)、処理をST21に戻す。
リモコン40から送信された信号が入力されていれば(ST21−Yes)、室内機制御手段21は、無線受信部10を介して入力された信号がリモコン40のキー入力に対応した信号か否かを判断する(ST22)。
キー入力に対応した信号であれば(ST22−Yes)、室内機制御手段21は、入力された信号がリモコン温度センサキー48あるいは室内機温度センサキー49が操作されることによる空調制御に使用する温度センサの指定信号であるか否かを判断する(ST27)。
温度センサの指定信号であれば(ST27−Yes)、室内機制御手段21は、温度センサの指定(温度センサ46あるいは室温センサ23)を記憶部に記憶し(ST28)、ST21に処理を戻す。また、温度センサの指定信号でなければ(ST27−No)、室内機制御手段21は、キー入力が操作キー44の操作によるものと判断しこれに対応した制御信号に基づいた空調制御を行い(ST30)、ST21に処理を戻す。
キー入力に対応した信号でない場合は(ST22−No)、室内機制御手段21は、現在の指定がリモコン40の温度センサ46で検出した温度を使用する設定であるか否かを判断する(ST23)。温度センサ46を使用する設定であれば(ST23−Yes)、室内機制御手段21は、無線受信部10を介して入力された温度・照度信号に含まれる照度が所定値以上あるいは以下であるか否かを判断する(ST24)。
照度が所定値以上あるいは以下でなければ(ST24−No)、室内機制御手段21は、温度・照度信号に含まれる温度に基づいた空調制御を行い(ST25)、ST21に処理を戻す。尚、ST23において温度センサ46を使用する設定でなければ(ST23−No)、また、ST24において照度が所定値以上あるいは以下であれば(ST24−Yes)、室内機制御手段21は、室内機1に備えられた室温センサ23で検出した温度に基づいて空調制御を行い(ST29)、ST21に処理を戻す。
次に、図5(B)を用いて、リモコン制御手段51での処理の流れについて説明する。尚、以下の説明で、キー入力は操作キー44やリモコン温度センサキー48や室内機温度センサキー49といった各種キーを使用者が指で1回押下した後その指を離すことによって完結するものとする。まずリモコン制御手段51は、使用者がリモコン40の各種キーを操作しこれに対応するキー入力があったか否かを判断する(ST31)。キー入力があれば(ST31−Yes)、リモコン制御手段51は、キー入力がリモコン温度センサキー48あるいは室内機温度センサキー49に対応する空調制御に使用するセンサの指定キーであるか判断する(ST34)。
センサの指定キーであれば(ST34−Yes)、リモコン制御手段51は、温度センサの指定に対応した信号を室内機1に送信し(ST35)、ST31に処理を戻す。また、センサの指定でなければ(ST34−No)、リモコン制御手段51は、入力されたキーに対応した制御信号を無線送信部43を介して室内機1に送信し(ST36)、ST31に処理を戻す。
ST31において、キー入力がなければ(ST31−No)、リモコン制御手段51は、現在の設定がリモコン40の温度センサ46を使用する設定であるか否かを判断する(ST32)。温度センサ46を使用する設定でなければ(ST32−No)、リモコン制御手段51は処理をST31に戻す。
温度センサ46を使用する設定であれば(ST32−Yes)、リモコン制御手段51は、照度センサ47で検出したリモコン40周囲の照度と温度センサ46で検出したリモコン40周囲の温度とに対応した温度・照度信号を室内機1に送信し(ST33)、ST31に処理を戻す。
尚、リモコン40に備えられたリモコン温度センサキー48および室内機温度センサキー49と、図5(A)で説明したフローチャートにおけるステップ23とステップ27およびステップ28に対応したプログラムを室内機制御手段21に備えられている図示しないマイコンが実行することと、図5(B)で説明したフローチャートにおけるステップ32とステップ34およびステップ35に対応したプログラムをリモコン制御手段51に備えられている図示しないマイコンが実行することで、温度制御選択手段の機能が実現されている。
以上説明したように、リモコン40に備えられた温度センサ46で検出したリモコン40周囲の温度を使用して空調運転を行う際に、リモコン40に備えられた照度センサ47で検出したリモコン40周囲の照度を参照して、空調制御にリモコン40周囲の温度を使用するか否かを決定しているので、温度センサ46で検出したリモコン40周囲の温度が正確に検出できない場合は、リモコン温度センサ46で検出した温度を使用しないことによってその温度に基づいた空調制御となることを防ぐことができ、使用者の体感に合わない空調運転となることを防ぐことができる。
また、リモコン40は、リモコン温度センサキー48と室内機温度センサキー49とを備えているので、例えば、室内機1の設置された部屋の温度ばらつきが少なく室温センサ23で検出した温度を使用して空調制御を行っても使用者の体感に合う空調運転が可能な場合は、使用者が室内機温度センサキー49を選択すればリモコン40からリモコン温度センサ46で検出した温度および照度センサ47で検出した照度を送信しないので、リモコン40の消費電力を低減することができる。
特に、本実施例のように、リモコン40と室内機1との通信が電波に基づいた無線通信である場合は、リモコン40の置き場所や障害物の有無に関わらずリモコン40から送信された信号が室内機1で受信されるので、リモコン温度センサ46がリモコン40の置き場所や障害物の影響によって異常な温度を検出し、この温度をリモコン40が送信しこれを受信した室内機1がこの温度に基づいた空調制御を行う虞があるが、照度センサ47で検出した照度によって検出した温度を使用する/しないを判断するので、使用者の体感に合わない空調運転となることを確実に防ぐことができる。
以上説明した通り、本発明によれば、リモコンに備えられた照度検出手段で検出した照度によって、室内機温度検出手段で検出した温度に基づいた空調制御と、リモコン温度検出手段で検出した温度に基づいた空調制御とのいずれか一方を選択する。これにより、リモコン温度検出手段に直射日光が当たっていたりリモコン温度検出手段に障害物が覆いかぶさっている等の理由によって検出した温度が使用者周囲の温度と大きく異なっているような場合でも、照度検出手段で検出した照度を確認することによって検出した温度が異常であるか否かを判断でき、異常である場合は室内機温度検出手段で検出した温度に基づいた空調制御とすることによって不適切な空調制御となることがないため、使用者の体感に合わない空調運転を防ぐことができる。
1 室内機
2 前面カバー
3 グリル
4 ベース
5 吹出口
6 上下風向板
7 左右風向板
10 無線受光部
11 送風ファン
12 フィルタ
20 熱交換器
21 室内機制御手段
22 通信部
23 室温センサ
24 センサ入力部
25 送風ファンモータ
26 左右風向板用ステップモータ
27 上下風向板用ステップモータ
30 室外機
40 リモコン
41 上部筐体
42 下部筐体
43 無線送信部
44 操作キー
45 表示部
46 温度センサ
47 照度センサ
48 リモコン温度センサキー
49 室内機温度センサキー
50 センサ入力部
51 リモコン制御手段