JP5458249B2 - 分枝酵素活性を変化させたオオムギ、並びにアミロース含有量の増加した澱粉および澱粉含有製品 - Google Patents

分枝酵素活性を変化させたオオムギ、並びにアミロース含有量の増加した澱粉および澱粉含有製品 Download PDF

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Description

本発明は、胚乳中での澱粉分枝酵素IIa(SBEIIa)の活性を減少させ、これによって相対的アミロース含有量を増加させた穀物粒澱粉を有するオオムギに関する。本発明はまた、穀物粒、澱粉、ならびにこれらから得られる食品および非食品にも関する。
穀類では、成熟穀物粒の重量の約45〜65%が澱粉で形成されている。この澱粉は、2種類の分子、すなわち、アミロースおよびアミロペクチンから構成されている。アミロースは、α−1,4結合グルコシド鎖から構成される本質的に直鎖の分子であるが、一方アミロペクチンは、直鎖同士を結合しているα−1,6グルコシド結合で高度に分枝している。
高等植物の胚乳での澱粉合成は、4つの重要な工程を触媒する1組の酵素によって行われる。第1の工程では、ADP−グルコースピロホスホリラーゼが、グルコース−1−リン酸(G−1−P)とATPからのADPグルコースの合成により、澱粉のモノマー前駆体を活性化する。第2の工程では、この活性化されたグルコシル供与体であるADP−グルコースが、予め存在しているα−1,4結合の非還元末端へと、澱粉合成酵素によって転移される。第3の工程では、澱粉分枝酵素が、α−1,4結合グルカンの領域を切断して分枝点を導入し、切断された鎖を受容鎖に転移させ、新たなα−1,6結合を形成する。澱粉分枝酵素だけが、α−1,6結合をα―ポリグルカン中に導入できる唯一の酵素であり、したがってアミロペクチンの形成に不可欠な役割を果たす。最後の工程では、澱粉分枝酵素が、一部の分枝結合を取り除くが、この酵素の作用機構はまだ解明されていない(Myersら、2000年)。
少なくともこれら4つの活性は、高等植物における通常の澱粉顆粒合成に必要であることが明らかになっている一方、これら4つの活性の各々につき複数のイソ型が、高等植物の胚乳で発見され、突然変異分析(Wangら、1998、Buleonら、1998)に基づいてあるいは遺伝子導入の方法を使用した遺伝子発現レベルの変更(Abelら、1996、Joblingら、1999、Scwallら、2000)を通して、個々のイソ型についてはそれぞれ特殊な役割が提唱されてきている。しかし、各活性のそれぞれのイソ型が澱粉の生合成に対する寄与の正確なところはまだわかっていないし、またこれらの寄与が生物種間で著しく異なるかどうかもわかっていない。穀類の胚乳には、ADPグルコースピロホスホリラーゼの2つのイソ型が存在し、1つはアミロプラスト内に、1つは細胞質にある(Denyerら、1996、Thorbjornsenら、1996)。各イソ型は、2つのサブユニットタイプから構成される。トウモロコシのshrunken(sh2)およびbrittle(bt2)変異体は、それぞれ大小サブユニット中の損傷を表わす(GirouzおよびHannah、1994)。4クラスの澱粉合成が穀類胚乳中で見出されている。そのうち1つのイソ型は、澱粉顆粒内に排他的に局在している顆粒結合型澱粉合成酵素(GBSS)であり、2つの型は、顆粒と可溶性画分との間に分配されており(SSI、Liら、1999a、SSII、Liら、1999b)、また4番目の型は、可溶性画分SSIII(Caoら、2000、Liら、1999b、Liら、2000)にもっぱら存在している。GBSSは、アミロース合成(Shureら、1983)に不可欠であることがわかっており、SSIIおよびSSIIIにおける変異体は、アミロースペクチン構造を変えることがわかっている(Gaoら、1998、Craigら、1998)。SSI活性の働きを規定する変異体は記載されていない。
分枝酵素の3つの型、すなわち、分枝酵素I(SBEI)、分枝酵素IIa(SBEIIa)、分枝酵素IIb(SBEIIb)が、穀類胚乳で発現される(HedmanおよびBoyer、1982、BoyerおよびPreiss、1978、Mizunoら、1992、Sunら、1997)。トウモロコシおよび米では、高アミロース表現型は、アミロース増量(ae)遺伝子(BoyerおよびPreiss、1981、Mizunoら、1993;Nishiら、2001)としても知られるSBEIIb遺伝子の損傷から生じることがわかっている。これらのSEBIIb変異体では、胚乳澱粉顆粒が、異常な形態を示し、アミロース含有量が著しく上昇し、残りのアミロペクチンの分枝頻度が減少し、短鎖(<DP17、特にDP8−12)の割合が低かった。さらに、澱粉のゼラチン化温度が上昇した。加えて、アミロースとアミロペクチンとの間の中間生成物であると規定される物質が著しく貯蔵されていた(Boyerら、1980、Takedaら、1993b)。対照的に、変異体(Mu)挿入因子によりSBEIIa遺伝子で変異しており、結果的にSBEIIaタンパク発現を欠いているトウモロコシ植物は、葉の澱粉では変化があったが、胚乳澱粉の分枝については野生型植物から区別することが不可能であった(Blauthら、2001)。同様に、SBEIIa作用を欠く米植物では、胚乳中のアミロペクチン鎖のプロファイルに著しい変化は示されなかった(Nakamura、2002)。
トウモロコシでは、dullI変異が、胚乳中の澱粉含有量の減少とアミロース濃度の増加を引き起こし、その変化の程度は、遺伝的背景および残存アミロペクチンの分枝の程度の増加に依存している(ShannonおよびGarwood、1984)。変異に対応する遺伝子は、トランスポゾン突然変異誘発遺伝子(Mu)を使用したトランスポゾン標識法によって同定・単離され、澱粉合成酵素II(SSII)(Gaoら、1998)と命名された酵素をコードしていることがわかった。現在この酵素は、穀類におけるSSIII族の一員であることがわかっている。変異胚乳では、dullI変異に関連してSBEIIa活性レベルが低下していた。他の穀類では、これに対応する変異は何も報告されていない。これらの知見が他の穀類、たとえば、オオムギと関連するかどうかはわかっていない。
国際公開第94/09144号は、トウモロコシにおける澱粉合成酵素(SS)とSBEとの自然の割合を変えるために、センスおよびアンチセンス遺伝子を使用することを示唆している。しかし、提唱された分子戦略を実証するためのデータは何も呈示されておらず、SBEIIaの活性を特異的に減少させるについての示唆もない。
馬鈴薯で、SBEIのみをダウンレギュレートすると、澱粉の構造に最小の影響を引き起こす(Filpseら、1996)が、さらなる研究によって、多少の質的変化が同定された(Saffordら、1998)。しかし、馬鈴薯でSBEIIとSBEIを組み合わせてダウンレギュレートすると、SBEIIを単独でダウンレギュレートしたよりもはるかに多く相対的アミロース含有量が増加した(Schwallら、2000)。
高等植物には2種類の分枝酵素が存在し、その基質特異性をもとに、イソアミラーゼ型分枝酵素およびプルラナーゼ型分枝酵素と規定される(Myersら、2000)。トウモロコシおよび米におけるsugary−1変異は、両分枝酵素の欠損に関連している(Jamesら、1995、Kuboら、1999)が、原因となる変異は、イソアミラーゼ型分枝酵素遺伝子と同じ位置にある。クラミドモナスsta−7変異体(Mouilleら、1996)、つまりトウモロコシのsugary−1変異の類似体では、イソアミラーゼ活性のみがダウンレギュレートされる。穀類からクローンされたことのある澱粉の生合成遺伝子を表1に挙げる。
澱粉は食品、紙および化学工業に広く使用されている。澱粉の物理的構造は、食品または非食品あるいは工業的製品用の澱粉の栄養学的特性および取り扱い特性に重要な効果を与えることができる。アミロペクチン鎖長の分布、結晶化度、澱粉結晶のV複合型(V-complex form)などの結晶型の存在を含むある種の特性は、澱粉構造の指標と捉えることができる。アミロペクチン鎖長は、結晶性が変化したこと、糊化が変化したことの指標とみられ、またアミロペクチンの老化の低減と相関を有するとも考えられる。加えて、アミロペクチン鎖長分布の変化は、澱粉が多量に含まれている食品の官能特性(organoleptic properties)に反映するものと考えられる。また、澱粉の結晶性が低下したことは、澱粉の糊化温度が低下したことを示すものとみられ、官能特性が高められたことと関連するものと考えられる。
高アミローゼ澱粉の多くは、糊化温度が相対的に高く、これはある種の食品への応用にとっては短所である。糊化温度は、このような食品を加工するに必要な粉砕エネルギーを反映している。穀物粒または穀粉(flour)を加工してこのような穀物粒または澱粉から食品を製造するためには、通常より高温が必要となる。したがって、高アミロースを有する製品は一般的により高価となる。加えて、高アミロース澱粉を有する穀粉から加工食品を調製するためまたは食品を製造するためには、消費者はより長い時間とより高い温度を使用する必要があろう。低いかまたは通常の糊化温度を有する高アミロース澱粉は、多くの食品に適用するに有利となるであろう。
特にレジスタントスターチと呼ばれる形の澱粉組成は、腸の健康、特に大腸の健康に重要な意味合いを有する。したがって、トウモロコシなどのある種の穀物粒では、腸の健康を促進する手段として食品に使用するために、高アミロース澱粉が開発されてきた。レジスタントスターチの有益な効果は、大腸に対して栄養を供給するということであって、大腸では腸内微生物相にエネルギー源が与えられ、そのエネルギー源が発酵されて特に短鎖脂肪酸が形成される。これらの短鎖脂肪酸は、結腸細胞に対して栄養を与え、ある種の栄養物の大腸を経由しての取り込みを高めて、結腸の生理的作用を促進する。一般的に、もしレジスタントスターチまたは他の食物繊維が結腸に提供されないとしたら、結腸は代謝的には比較的不活性となる。
穀物粒、特にオオムギの穀類のもう1つの栄養的な成分は、β−グルカンである。β−グルカンは、β(1−4)および/またはβ(1−3)グルコシド結合によって結合されたグルコース単位から構成され、ヒトの消化酵素では分解されず、この性質によって食物繊維の供給源として適切なものとなっている。β−グルカンは、結腸内在細菌によって部分的に消化され、この発酵過程で短鎖脂肪酸(主に、酢酸、プロピオン酸、酪酸)が生じ、これが小腸および結腸内膜の粘膜細胞に恩恵を与える(SakataおよびEngelhard、1983)。β−グルカンの経口摂取はまた、胆汁酸排出を増加させる効果もあり、その結果全血清コレステロールおよび低比重リポタンパク(LDL)の減少をもたらし、結腸疾患の危険性を低下させる。同様に、β−グルカンは、食後の血中グルコース濃度の急激な上昇を弱めるように働く。これらの効果もまた胃腸の内容物の粘性が増加することに基づくのかもしれないと考えられる。
修飾澱粉またはβ−グルカンは、たとえば、食品に利用されて、修飾されていない供給源では通常与えることがない機能性を提供するが、このような加工は、修飾に関与するプロセスに起因して、価値のある他の成分を変質させるかまたは好ましくない知覚をもたらすかどちらかの傾向を有する。したがって修飾されない形で食品に使用することができる構成成分の供給源を提供することが好ましい。
オオムギ(Hordeum vulgare)は、世界的に生産される4番目に収穫の多い穀類作物であり、アルコール飲料を生産するに使用される他は、ヒトが消費するという観点からは比較的十分利用されていない。平均で、オオムギ穀物粒は、64%の澱粉、11%のタンパクおよび5%のβ−グルカン(通常3−6%)を含んでいる。残りの20%は、水、繊維およびその他の微量成分である。
公知のオオムギ澱粉構造の変動は、トウモロコシで得られる変動に比較すると限られる。トウモロコシまたは米でアミロース増量表現型に匹敵するSBEIIbの変異体は、オオムギでは明らかになっていない。オオムギではSBEIIaまたはSBEIIb変異体と呼ばれる表現型もまだ知られていない。きわめてよく特徴づけされている変異は、モチ性(waxy)およびAC38として同定されている高アミロース変異である。ハイアミロースグレーシャー(High Amylose Glacier)(AC38)は、最大、全澱粉の約45%までと、アミロース含有量の増加は比較的控えめである。モチ型の表現型を有する二重変異体も、構築され分析されている(Schondelmaierら、1992;Fujitaら、1999)。
高アミロースの澱粉を含有するオオムギの他の変異体が同定されている。SBEIIa遺伝子について化学的に誘導された変異体は、穀粒(kernel)の澱粉中に、約65〜70%までの高いアミロース濃度を有していた(国際公開第02/37955A1号)。変異体M292およびM342もまた、澱粉合成が減少した結果、親系ヒマラヤでの平均重量約51mgから、M292およびM342ではそれぞれ32mgおよび35mgへと、平均穀物粒(grain)重量が実質的に減少した。変異体は、野生型穀物粒の長さと幅を保持していたが、それらは、ヒマラヤの平均厚さである2.8mmから厚さ1.6〜1.8mmへと扁平化していて、本質的に中空の中心領域を有し、製粉特性が貧弱となった。粒子長(L)と厚さ(T)の割合は、変異体種子および野生型種子では、それぞれ、L:T比>3.5および<3.5であって、変異体の対立遺伝子の有用な診断パラメータであることがわかった。変異体系の澱粉含有量は、ヒマラヤの49.0%からM292およびM342では17.7および21.9%へとそれぞれ減少している。穀物粒あたりのアミロースの含有量が、穀果あたり6.2mgからM292およびM342ではそれぞれ4.0および4.8mgへと減少している一方、アミロペクチンの含有量は、穀果あたりヒマラヤの18.7から変異体では1.6および2.9mgと劇的に減少していることがわかった。これにより、高い相対アミロースレベルが、アミロペクチンの産生が減少した結果であることがわかった。穀物粒のβ−グルカンのレベルは、変異体では10%超に増加した。澱粉は、糊化温度の低下を示した。SSIIa変異体では、胚乳の澱粉顆粒と可溶性画分との間のSBEIIaおよびSBEIIb活性の分布が変わっていたが、全体としては、胚乳でのこれらの活性レベルは本質的には変わっていなかった(国際公開第02/37955号;Morellら、2003)。
これら変異型のアミロース澱粉の増加は有用である一方、高アミロース含有量を有するオオムギ澱粉が、特に、澱粉合成の改良および他の特質の改良、たとえば、収穫後の加工の必要性を減らすといった特質と関連しているならば好ましい。このような澱粉製品もまた、消化に対しては比較的抵抗性であり、健康に多大な恩恵をもたらす。
概論
当業者は、本明細書に記載された本発明が、具体的に記載された以外の変更および修正に供されるものであることを認識されよう。本明細書に記載された本発明が、このような変更および修正を包含することを理解すべきである。本発明にはまた、本明細書に言及され表示されたこのようなすべての工程、特徴、組成物および化合物は、個々にまたは組み合わせとして含まれ、またこのような工程または特徴の2つ以上のいかなる組合せも含まれ、すべての組合せも含まれる。
本明細書を通して、文脈上特段の必要がない限り、「含む」およびその変形である「含むこと」および「含んでいる」といった用語は、記載した整数(integer)、工程または整数群または工程群を含有することを意味するが、他の整数または工程あるいは整数群または工程群を排除するとの意ではないと理解される。本発明は、例示のみを目的としている、本明細書に記載した具体的な実施形態によって範囲を限定されるものではない。本明細書に記載したように、機能的に同等な製品、組成物および方法は、明らかに本発明の範囲内にある。
本明細書中に著者名で言及した出版物の書誌の詳細は、記載の最後に集めている。本明細書に記載された参考文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。従来技術に関する本明細書中の参考文献は、いずれか一つまたはそれ以上の従来技術の証拠を含むが、この従来技術がオーストラリアの共通の一般知識であること、またはオーストラリアの共通の一般知識を部分的に形成するものであることを知らしめまたは示唆するものと解釈すべきではない。
本明細書に使用したように、用語「由来する」は、具体的な整数または整数群が、特定の生物種を起源とするものであって、特定の供給源から直接得る必要性はないことを示すと解釈すべきである。
本明細書で言及されるヌクレオチド残基の名称は、IUPAC−IUBの生物化学命名法委員会によって推奨されるものであり、Aはアデノシン、Cはシトシン、Gはグアニン、Tはチミジンを示すものである。
発明の概要
第1の態様で、本発明は、オオムギ植物から得られる穀物粒であって、胚乳中のSBEIIa酵素活性のレベルが低下しているとともに、前記穀物粒の澱粉が少なくとも40%(w/w)の相対アミロース含有量を有するものにあるということができる。相対アミロース含有量は、好ましくは50%または75%より高く、穀物粒は萎縮(shrunken)していないことが好ましい。
第2の態様で、本発明は、少なくとも75%(w/w)の相対アミロース含有量を有する澱粉を含むオオムギ穀物粒にあるということができる。
第3の態様で、本発明は、本発明の第1または第2の態様の穀物粒から得られる穀粉または全粒粉(wholemeal)または、このような穀粉または全粒粉を含む食品にあるということができる。
第4の態様で、本発明は、オオムギ植物の穀物粒から得られる澱粉であって、胚乳中のSBEIIa酵素活性のレベルが低下しているとともに、前記澱粉が修飾されておらず、かつ少なくとも40%(w/w)の相対アミロース含有量を有するものにあるということができる。第4の態様の具体的な形態では、オオムギ植物において、さらに、胚乳中でのSBEIIb酵素活性のレベルが低下している。
第5の態様で、本発明は、本発明の第4の態様による澱粉および別の食品成分または水を含む組成物にあるということができる。
第6の態様で、本発明は、オオムギ胚乳中の澱粉顆粒、および別の食品成分または水を含む組成物であって、澱粉顆粒の澱粉が少なくとも75%(w/w)のアミロースを含むものにあるということができる。
第7の態様で、本発明は、SBEIIa酵素活性のレベルが低下したオオムギ植物であって、オオムギ植物の穀物粒中の澱粉が少なくとも40%(w/w)、好ましくは、少なくとも50%または少なくとも75%の相対アミロース含有量を有するものにあるということができる。
第8の態様で、本発明は、胚乳中のSBEIIa酵素活性のレベルが低下したオオムギ植物を生成する方法であって、オオムギ植物の穀物粒の澱粉が少なくとも40%(w/w)のアミロース含有量を有するとともに、a)親オオムギ植物中に遺伝的変異を導入し、b)SBEIIa活性の減少した親オオムギ植物の子孫植物(progeny plants)または種子を同定する工程を含むものにあるということができる。
第9の態様では、本発明は、胚乳中のSBEIIaおよびSBEIIb酵素の両活性のレベルが低下したオオムギ植物を生成する方法であって、a)SBEIIa酵素活性の低下した植物由来の種子を変異させること、またはb)SBEIIb酵素活性の低下した植物由来の種子を変異させること、またはc)SBEIIa酵素活性の低下した植物とSBEIIb酵素活性の低下した植物とを交配させること、およびSBEIIaおよびSBEIIb酵素の両活性のレベルが低下したオオムギ植物を同定することを含むものにあるということができる。
オオムギにおけるSBEIIaの変更
本発明は、オオムギの胚乳でのSBEIIa活性が低下することにより、澱粉産生に改変がもたらされ、特に、オオムギ穀物粒中に高いアミロースの蓄積がもたらされるという知見に基づく。この意外な結果は、トウモロコシおよび米における、SBEIIaの変異によりアミロペクチンのプロファイルが変わることはなかった(Blauthら、2001、Nakamura、2000)、という知見とは対照的である。1つまたは複数のその他の澱粉生合成酵素活性に変更があることが好ましく、SBEIIaのみならずSBEIIbにも減少があることがより好ましい。また、このオオムギ植物の穀物粒が萎縮していないことが好ましい。
オオムギ植物を生成する方法
1つの態様において、本発明は、オオムギの胚乳中で澱粉分枝酵素IIa(SBEIIa)の活性を減少させる方法を提供するものである。活性の減少は、非改変(対照)のオオムギの胚乳中の活性レベルと比較して、少なくとも40%またはおそらく少なくとも50%であってもよく、少なくとも75%であることがより好ましく、少なくとも90%または95%であることがさらに好ましい。この方法は、オオムギのSBEIIa遺伝子の発現に変更をもたらすことを含むか、またはオオムギでのSBEIIa遺伝子の変異(それによって胚乳中のSBEIIa活性が低下する)を含む。
この方法は、オオムギ胚乳中のSBEIIa活性を、好ましくはタンパクのレベルを例えば免疫検出によって測定すること、または対応するmRNAのレベルを例えばノーザンブロットハイブリダイゼーション分析または逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)などの当技術分野に公知の方法によって測定することによって決定する工程を含んでいても良い。本方法は、胚乳中のSBEIIa活性を減少させたオオムギ植物または穀物粒について選択またはスクリーニングする工程をさらに含む。選択工程は、SBEIIa活性またはタンパクの減少レベルをベースにしてもよいし、またはアミロース含有量の増加またはアミロペクチン含有量の低下あるいは目に見える表現型(たとえば、穀物粒の萎縮)などのオオムギ植物穀物粒の表現型をベースにしてもよい。
SBE活性は、酵素分析、たとえば、ホスホリラーゼ刺激分析(phosphorylase stimulation assay)(BoyerおよびPreiss、1978)によって測定してもよい。この分析は、グルコース1−リン酸がSBEによって刺激されてメタノール非可溶性ポリマー(α−D−グルカン)中へ取り込まれるのを、ホスホリラーゼaによって測定する。SBE活性は、ヨウ素染色分析によって測定でき、この分析はグルカンポリマーの分枝によってもたらされるグルカン−ポリヨウ素錯体の吸光度の減少を測定するものである。また、SBE活性は、イソアミラーゼによる消化後に、基質である還元アミロースから生じる還元末端を測定する、分枝結合分析(branch linkage assay)によって分析(Takedaら、1993a)することができる。この活性はSBEIまたはSBEIIb活性の非存在下で測定されることが好ましい。SBEのイソ型は、異なる基質特異性を示す。例えば、SBEIが分枝アミロースに対して高い活性を示す一方、SBEIIaおよびSBEIIbは、アミロペクチン基質で高い分枝率を示す。イソ型はまた、転移されるグルカン鎖の長さをベースにして区別してもよい。
また別の態様において、本発明は、オオムギ胚乳における複数の澱粉生合成の酵素活性の活性を減らす方法を提供するものである。この方法では、この酵素活性の1つがSBEIIaである。好ましくは、SBEIIaとSBEIIbとの両者の活性が低下すること、より好ましくはSBEI活性も減少することである。SBEIIaと組み合わせて減少してもよい他の澱粉生合成酵素活性は、SSI、SSII、SSIIIである。また、澱粉分枝酵素、たとえばイソアミラーゼまたはプルラナーゼの活性を変化させてもよい。また別の態様では、植物の澱粉生合成酵素活性の作用を胚乳以外の組織で変更させてもよい。たとえば、SBEIまたはSBEIIの活性を葉で増加させて、主として胚乳で発現するよう意図されているSBEIIa阻害分子をコードするトランスジーンによって引き起こされる活性のいくらかの減少を埋め合わせてもよい。あるいは、SBEIIaの減少と組み合わせて、1つまたは複数の澱粉生合成酵素を過剰発現させて澱粉の合成をさらに高めてもよい。このような酵素をコードする遺伝子は、多種多様の供給源、たとえば、細菌またはオオムギ以外の他の供給源に由来していてもよいし、その酵素の触媒特性、例えば、酵素の温度依存性を変更するために遺伝子に変更を加えてもよい(国際公開第94/09144号)。
また別の態様において、本発明は、オオムギ穀物粒のアミロースレべル(澱粉中のパーセンテージ)を増加させる方法を提供するものであって、この方法は、オオムギ胚乳中でSBEIIaの活性を減らす工程を含む。アミロース含有量は、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは、少なくとも65%、75%または70%である。本発明のさらに好ましい態様では、本明細書で例示したように、本方法は、少なくとも80%または90%のアミロース含有量を提供する。
高アミロース表現型は、SBEIIa遺伝子、またはSBEIIaとSBEIIb遺伝子との発現を部分的にまたは完全に阻害することによって達成してもよい。遺伝子が阻害される程度によって、オオムギの穀物粒で作られる澱粉の特徴がある程度決定されることになる。改変オオムギ胚乳から抽出されるタンパク質に対してどの範囲でゲル電気泳動法を行っても、SBEIIaおよび/またはSBEIIb活性の性質と改変の程度が明らかとなる。改変は、SBEIIaおよび/またはSBEIIb活性の低下、酵素の完全喪失、または胚乳内でのSBEIIbあるいは他の酵素の分布の変更として生じ得る。これらのテストを行うために、澱粉をオオムギ胚乳から抽出して、その中のタンパク質を、たとえばRahmanら、1995に概説されるように分析してもよい。SDS−PAGEおよびイムノブロットなどの公知の技法を、可溶性および澱粉顆粒画分に対して行い、SBEIIaおよび/またはSBEIIb酵素に改変が生じた植物および穀物粒を同定する。
オオムギ植物
また別の態様において、本発明は、穀物粒の成長する少なくともいくつかの段階で、胚乳中のSBEIIa活性のレベルが低下したオオムギ(Hordeum vulgare)植物を提供するもので、このオオムギ植物は、高い相対アミロース含有量を有する穀物粒を産することができる。好ましくは、野生型と比べて、胚乳中のSBEIIaのレベルが、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%または95%減らされる。用語「野生型」は、遺伝学の分野における通常の意味を有し、本明細書で示したような改変がなされていない栽培品種または遺伝型が含まれる。
本発明はまた、親の所望の特徴を有する子孫植物および穀物粒を提供するものである。
本発明はまた、SBEIIa活性の減少に加えて改変されたSBEIIbまたは他の澱粉生合成酵素活性を有するオオムギ植物を包む。SBEIIaおよびSBEIIb活性が低下した植物は、SBEIIaの減少した植物と、SBEIIbの減少した植物とを交配させるか、またはSBEIIaとSBEIIbの遺伝子双方の発現を阻害する分子をコードするトランスジーンを導入することによって生産してもよい。また、本発明には、他の遺伝学的背景における変異も含まれる。もともと改変(変異)のある植物をより望ましい遺伝学的背景を含む植物と交配させてもよい。初期交配の後、適切な数の戻し交配を行って、望ましくない背景の除去を行ってもよい。望ましい遺伝学的背景には、商業的生産量、および農学的性能、非生物学的ストレス耐性または無外皮(hull-less)穀物粒などの他の特徴を提供する遺伝子を適切な組合せで含んでいてもよい。遺伝学的背景にはまた、他の改変された澱粉の生合成または変更された遺伝子、たとえば、アミロース増量表現型またはハイアミロースグレーシャーオオムギ(遺伝子は未知)、モチ性変異(たとえば、Waxiro品種に見られる)におけるamo1変異;高アミロースの品種MK6827(USDA ARS 国立小穀物粒生殖質研究所、アバディーン、アイダホ831290、合衆国 から入手可能)または高アミロース品種M292およびM342(SSIIa遺伝子に変異)における変異遺伝子;あるいは変更遺伝子などが含まれていてもよい。加えて、他の二重および三重変異を上記系列の組合せと組み合わせたり、またその原因遺伝子が未だわかっていない萎縮胚乳を有する他のオオムギ系列と交配させることが望ましい。
穀物粒
本発明はまた、野生型と比べて改変された澱粉を含むオオムギ穀物粒を提供するものである。この改変された澱粉は、オオムギ穀物粒の胚乳の成長時に少なくとも部分的にSBEIIa活性が低下した結果である。この穀物粒は、野生型(約25%のアミロースと75%のアミロペクチンを含む)と比べて、全澱粉に対するパーセンテージとしてのアミロースレベルが上昇し、アミロペクチン含有量が減少している。胚乳の成長時に、SBEIIaとSBEIIbの両活性が低下することが好ましい。SBEIの活性も減少することがさらに好ましい。アミロースレベルは、当技術分野に公知の方法で測定したところ、全澱粉の少なくとも50%が好ましく、少なくとも60%がより好ましく、少なくとも65%、70%、75%、80%または90%がさらにより好ましい。アミロースレベルの上昇は、光学顕微鏡下またはその他の方法で観察した際の、異常な澱粉粒の形態または粒子の複屈折の消失によっても立証され得る。好ましくは、アミロースのレベルはヨウ素滴定法で測定され、また分光光度法(たとえば、MorrisonおよびLaignelet、1983)あるいは高速液体クロマトグラフ(HPLCたとえば、BateyおよびCurtin、1996)で測定されてもよい。
オオムギ植物の穀物粒は、β−グルカンのレベルが高くなってもよい。これはアミロペクチン合成よりもこのポリマーへの炭素の流入が増加することと関連し得る。あるいは、この穀物粒は、正常レベル、例えば、成熟穀物粒重量の3.0〜6.0%範囲のレベルのβ−グルカンを有していてもよい。穀物粒は、アミロースの上昇と正常レベルのβ−グルカンの両方を含むことがより好ましい。このような組合せは、SSIIa変異オオムギ(国際公開第02/37955号)由来の穀物粒中の澱粉組成に基づいては予測されなかったことである。この穀物粒は、糊化温度が変化し、および/または糊化時またはその後に膨張特性が変化した澱粉を含み得る。またこの穀物粒は、萎縮しない表現型をも有することが好ましい。
また、本発明はこの穀物粒から製造する穀粉および粉餌(meal)を提供するものである。これらは、たとえば、分級または漂白により加工されていてもいなくてもよい。本発明はさらに、胚乳のSBEIIa活性レベルが改変されたオオムギ植物から得られる、食品製造に有用なオオムギ穀物粒を提供する。そのような穀物粒の澱粉はアミロース含有量が高く、アミロペクチン含有量が低下している。加えて、本発明は、粉にされ、すりつぶされ、精白され、粗挽され、破砕されるなどの他の方法で加工されている穀物粒を含む。
澱粉
別の態様において、本発明は、上記に記載したような、胚乳のSBEIIa活性レベルが低下したオオムギ植物の穀物粒から得られる澱粉であって、アミロース含有量が高く、アミロペクチン含有量が低下した澱粉を提供するものである。SBEIIaとSBEIIb活性の両方が低下していることが好ましく、SBEI活性も低下していることがより好ましい。別の態様において、本発明は、少なくとも50%のアミロース、好ましくは少なくとも60%のアミロース、さらにより好ましくは、少なくとも65%、70%、75%、80%または90%のアミロースを含むオオムギ植物の穀物粒から得られる澱粉を提供するものである。精製された澱粉が、タンパク質、油および繊維からの澱粉の分離を含む製粉工程、例えば湿潤粉砕工程で得られてもよい。製粉工程の初期産物は、澱粉顆粒の混合物または組成物であり、したがって本発明は、このような顆粒も包含する。この顆粒の澱粉は、少なくとも50%、好ましくは70%、75%または80%のアミロースを含む。
澱粉は、改変された構造を有するレジスタントスターチを多量に有していてもよい。この改変された構造は、高いβ−グルカン含有量、澱粉顆粒の形態的変化、相当量の脂質結合澱粉の存在、結晶性の変化、およびアミロペクチン鎖長分布の変化というような理由による、消化酵素への物理的接近の困難性により構成される群からの1つまたは複数を含む特徴的な物理特性によって示される。高いアミロース含有量も、レジスタントスターチのレベルに貢献している。
本発明はまた、例示されたオオムギ植物の粒子から得られる澱粉を提供するものであって、好ましくは高レベルのレジスタントスターチと組み合わせたものである。この増加も、少なくとも部分的には相対アミロースのレベルが高くなった結果である。
遺伝子活性を低下させる方法:トランスジーン
SBEIIa活性、場合によっては他の澱粉生合成または変更遺伝子は、遺伝的変異を植物中に、トランスジーンをオオムギ植物中に導入するというような手段で、導入することで変えることが好ましい。「遺伝的変異」とは、この状況では、SBEIIaの活性に影響を与えるゲノム中のどんな変更をも意味し、この変異には、トランスジーンの導入のみならず、点変異、置換、逆位、転位、好ましくは、欠失、などの変異が含まれる。本明細書で言及される「トランスジーン」とは、生物工学の技術分野での通常の意味を有し、組み換えDNAまたはRNA技術によって製造または変更された遺伝子配列、目的の生物または細胞中に導入された遺伝子配列が含まれる。トランスジーンはその生物または細胞由来の遺伝子配列、たとえば、アンチセンス配列を含んでいてもよい。トランスジーンは典型的には、その生物または細胞に由来しない外因性核酸を含む。「トランスジェニック」とは、トランスジーンを含む生物または細胞を指す。「非トランスジェニック」とは、ゲノム中にトランスジーンが存在しないことを指す。トランスジーンは、遺伝的継承が安定的になされるために、生物または細胞のゲノム中に一体化していることが好ましい。
SBEIIa活性を減少させる方法は、トランスジーンをオオムギの再生可能な細胞に導入し、転換細胞からトランスジェニックオオムギ植物を再生させるステップを含んでいてもよい。アミロペクチンの合成に関与する分枝酵素には、SBEI、SBEIIaおよびSBEIIbが含まれ、本発明には、SBEIIaの発現の減少が単独で、またはSBEIIbまたはSBEIの発現の改変との組み合わせとして含まれる。したがって、トランスジーンは、これらの遺伝子を1つ以上不活性化してもよい。さらに、SBEIIbおよび/またはSBEIの不活性化は、トランスジーン(たとえば、二重RNA、アンチセンスまたはリボソームRNAをコードするもの(以下参照))がSBEIIbおよび/またはSBEI遺伝子の発現を直接的にターゲットとするという点で直接的なものであっても良いし、SBEIIbおよび/またはSBEIの発現の変更を間接的にもたらすものであっても良い。たとえば、トランスジーンRNAは、配列の同一性または塩基対という観点からSBEIIa遺伝子/RNAのみをターゲットとしてもよいが、タンパク質の安定性または分布を変えることによって、SBEIIbおよび/またはSBEIの減少をもたらしてもよい。本発明のさらなる形態は、SBEIIaの活性の変更とあわせて1つまたは複数のアミロペクチン合成酵素を変更することにあり、このアミロペクチン合成酵素には、SSI、SSII、SSIIIおよびイソアミラーゼまたはプルラナーゼなどの分枝酵素が含まれる。これらのいずれかまたは全部の発現がトランスジーンの導入によって変わってもよい。
オオムギにおいていくつかのDNA配列がアミロペクチン合成遺伝子として知られており、そのどれもをオオムギの遺伝子を不活性化するトランスジーンを設計するための基礎とすることができる。これらには、SBEIIa(GenBank:登録番号AF064562およびAF064560)、SBEIIb(GenBank:登録番号AF064563およびAF064561)が含まれる。オオムギのSBEI遺伝子の相同遺伝子は、他の穀物粒のDNA配列をベースにした配列を利用して、たとえば、Triticumについての国際公開第99/14314号(Liら)に記載されている技法などで単離できる。Triticum tauschiiのSBEIの配列は、コムギDゲノムSBEI遺伝子と高度に相同であって、オオムギ遺伝子と高度に同一性を有しており、これは、国際公開第99/14314号明細書またはその中で参照されている参考文献中に見つけることができ、この文献を本明細書においても参照する。コムギのSBEIの配列は、GenBank登録番号AF076679のデータベースにアクセスすれば入手可能である。コムギまたは他の近親種由来の、他のアミロペクチン合成遺伝子との相同遺伝子は、オオムギにおける遺伝子発現レベルを変更するために使用することもできる。このような遺伝子またはその断片は、PCR増幅または標識プローブに対するハイブリダイゼーションを含めた当技術分野に公知の方法によって得ることができる。
本明細書で使用される「厳密なハイブリダイゼーション条件」とは、プローブと目的配列との間に、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性があるならば、ハイブリダイゼーションが通常生じることを意味する。厳密なハイブリダイゼーション条件の例としては、50%のホルムアミド、5×SSC(1×SSC=150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、および20μg/mlの、サケ精子DNAなどの変性させ断片化処理した担体DNAを含む溶液で、一晩インキュベーションし、続いて約65℃で0.1×SSCで、ハイブリダイゼーション支持体を洗浄することが挙げられる。他のハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件は公知であり、Sambrookらの分子クローニング(A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、NY(1989)、特に11章)に例示されている。
トランスジーン構築物を調製する際に使用する相同領域は、対応するオオムギ遺伝子と少なくとも85%の同一性、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは95〜100%の同一性を、適切な領域に有すべきである。このトランスジーンはまた、オオムギの胚乳で発現されるアミロペクチン合成遺伝子を特異的にターゲットとし、この植物中の他の場所ではアミロペクチンの合成への影響がないかまたは最小限であることが好ましい。これは、トランスジーンにおいて胚乳に特異的なプロモーターなどの適切な調節配列を使用して達成してもよい。
アンチセンス
植物において遺伝子活性を変更、特に特異的に減少させるための公知の遺伝子工学またはトランスジーン手法は、当技術分野では公知である。遺伝的変異をオオムギ植物に導入するこれらの方法は、目的遺伝子のRNAと相補的であってRNAとハイブリダイゼーションできる適切なアンチセンス分子の発現を含む。アンチセンス分子は、目的遺伝子のmRNAの翻訳、プロセシングまたは安定化を阻害し、これによってmRNAの発現を不活性化すると思われる。アンチセンス配列を用いる方法は、当技術分野では公知で、これらの例は米国特許第5190131号、欧州特許明細書第0467349号−A1、欧州特許明細書第0223399号−A1、および欧州特許明細書第0240208号(これらは本明細書において参照されている)に見つけることができる。植物でのアンチセンス法の使用は、Bourque(1995)およびSenior(1998)によって紹介されている。Bourqueは、遺伝子不活性化の方法として、どのようにしてアンチセンス配列が植物系に利用されてきたか、その例を数多く挙げている。彼女はまた、部分的阻害でも系内に測定可能な変化を予想以上にもたらすので、どんな酵素活性も100%阻害する必要はないようだと述べている。Senior(1998)は、アンチセンス方法は、遺伝子発現を操作するために今のところ非常によく確立された技法であると述べている。
オオムギSBEIIa、SBEIIbおよびSBEIまたは他のアミロペクチン生合成遺伝子のアンチセンス分子は、オオムギmRNA配列を基にまたは他の生物種(たとえば、コムギ)由来のDNAまたはmRNA配列との相同性をベースにしてできる。これらのアンチセンス配列は、構造遺伝子または遺伝子発現あるいはスプライシングイベントの制御を行う配列に対応する。たとえば、アンチセンス配列は、オオムギSBEIIaまたは他の遺伝子の目的コード領域、または5'未翻訳領域(UTR)、3'−UTR、またはこれらの組合せに対応する。アンチセンス配列は、転写過程においてまたは転写後に取り除かれ得るイントロン配列と部分的に相補的であってもよいが、目的遺伝子のエクソン配列とのみ相補的であることが好ましい。UTRは一般的に大きく多様化するという観点から、これらの領域をターゲットすることにより、遺伝子阻害の特異性がより大きくなる。アンチセンス配列の長さは、少なくとも連続する19ヌクレオチド、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも、100、200、500または1000ヌクレオチドであるべきである。遺伝子転写物全体に対して相補的な完全長配列を使用してもよい。この長さは、最も好ましくは100から2000ヌクレオチドである。アンチセンス配列の目的転写物に対する相同の程度は、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95〜100%であるべきだ。アンチセンスRNA分子は、もちろん、分子を安定化させるために働く無関係の配列を含んでいてもよい。
共抑制(Cosuppression)
使用され得る別の分子生物学的手法には、共抑制がある。共抑制のメカニズムはよく知られていないが、転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)が関与しているものと思われ、この点で多くのアンチセンス抑圧の事例と非常に類似している。これは、遺伝子の余分のコピーまたはその断片を植物に、その発現用プロモーターに対してセンス方向で導入することを含む。センス断片のサイズ、目的遺伝子領域との対応性、および目的遺伝子との相同性の程度は、上記に記載されたアンチセンス配列についてと同じである。遺伝子配列の追加コピーが目的の植物遺伝子の発現を阻害する例もある。共抑制の手法を実行する方法については、特許明細書国際公開第97/20936号および欧州特許明細書第0465572号を参照のこと。
二本鎖RNAが介在する遺伝子サイレンシング
遺伝的変異をオオムギ植物に導入するために採用され得るまた別の方法は、二重または二本鎖RNAが介在する遺伝子サイレンシングである。この方法にもPTGSが関与する。この方法では、少なくとも部分的に二本鎖のRNA産物の合成を指示するDNAが導入される。したがってこのDNAは、センスおよびアンチセンスの配列を含み、RNAに転写されると、ハイブリダイズして二本鎖RNA領域を形成できる。好ましい実施態様では、センスおよびアンチセンスの配列は、RNAに転写される際にスプライシングで除去されるイントロンを含むスペーサ領域によって分離される。こうした配置が、より有効性の高い遺伝子サイレンシングをもたらすことがわかってきた。二本鎖領域は、1つまたは2つのDNA領域から転写された1つまたは2つのRNA分子を含んでいてもよい。二本鎖分子の存在が引き金となって内在性植物系の反応を引き起こされ、二本鎖RNAおよび目的植物遺伝子由来の相同なRNA転写物の両方を破壊して、有効に目的遺伝子の活性を減少または排除する。この技法と実行方法については、オーストラリア特許明細書第99/292514号−Aおよび特許明細書国際公開第99/53050号を参照のこと。ハイブリダイズするセンスおよびアンチセンス配列の長さは、各々少なくとも連続する19ヌクレオチド、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも、100、200、500または1000ヌクレオチドである。遺伝子転写物全体に対応する完全長配列を使用してもよい。この長さは、最も好ましくは、100から2000ヌクレオチドである。センスおよびアンチセンス配列の目的転写物に対する相同の程度は、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95〜100%である。このRNA分子は、もちろん、分子を安定化させるために働く無関係の配列を含んでいてもよい。
リボザイム
リボザイムを使用して、オオムギにおける所望の遺伝子発現の不活性化に関与する遺伝的変異を導入してもよい。リボザイムは、他のRNA分子を1つ、または多くの場合2つのハイブリダイズ配列によって規定される特異的部位で切断できる酵素的または触媒的作用を有するRNA分子である。RNAの切断によって、目的遺伝子の発現が不活性化される。リボザイムは、アンチセンス分子としても作用し、遺伝子の不活性化に貢献し得る。リボザイムは、ハイブリダイズする配列の間に、1つまたは複数の、好ましくはハンマーヘッドまたはヘアピンタイプの触媒ドメインを含む。RNAseP、グループIまたはIIイントロン、および肝炎デルタウイルスタイプを含む他のリボザイムのモチーフを使用してもよい。欧州特許明細書第0321201号および米国特許第6,221,661号を参照のこと。トランスジェニック植物での遺伝子不活性化に対するリボザイムの使用は、たとえば、Wegenerら(1994)によって実証されている。
遺伝子構築物/ベクター
本発明はまた、遺伝子阻害分子をコードするRNAおよび好ましくはDNAを含む、単離した核酸分子を提供するものである。この核酸分子は、オオムギSBEIIa遺伝子配列をターゲットとするアンチセンス、センス(共抑制)、二本鎖RNAまたはリボザイム分子をコードし、オオムギ穀物粒の胚乳における発現を不活性化するのに効果があることが好ましい。本発明はまた、単離した核酸分子を含む遺伝子構築物を提供する。この構築物には、プロモーター、エンハンサーおよび転写ターミネータまたはポリアデニル化配列などの1つまたは複数の調節要素を含む。このような要素は当技術分野に公知である。この遺伝子構築物は、植物、特にオオムギなどの単子葉植物においてトランスジーンの発現を助けるイントロン配列を含んでいてもよい。用語「イントロン」は、通常の意味で使用され、これは、転写されるが、タンパク質をコードしておらず、翻訳の前にRNAからスプライシングで除去される遺伝子セグメントを意味する。イントロンは、もしトランスジーンが翻訳産物をコードしているなら5'−UTRまたはコード領域に、また、コードしていないなら転写領域のどこに取り入れられてもよい。
本発明はさらに、遺伝子構築物を含むベクター、例えば、プラスミドベクターを提供するものである。用語「ベクター」には、in vitroまたはin vivoで発現ができる発現ベクター、および1つの細胞または生物から別の細胞または生物へ形質転換できる形質転換ベクターが含まれる。このベクターには、細胞、たとえば、大腸菌またはアグロバクテリアなどの原核生物の細胞中で複製される配列を含む。ベクターは、少なくとも1つのT−DNAボーダー配列によって規定されるT−DNA配列を含む二元ベクターであって、オオムギ細胞中に導入可能であることが好ましい。本発明はさらに、ベクターを含む細胞であって未成熟胚の胚盤の細胞などの再生可能な細胞(たとえば、アグロバクテリアまたはオオムギ細胞)を提供する。また、この細胞は、トランスジーンを含む形質転換されたオオムギ細胞であってよい。
プロモーター/ターミネータ
本発明のトランスジーンまたは他の遺伝子構築物は、オオムギの胚乳で、組織的または構造的な発現をもたらす転写開始領域(プロモーター)を含んでいてもよい。このプロモーターは、組織特異的であって、胚乳で選択的または排他的発現をもたらす。プロモーターは、胚乳特異的プロモーター(高分子量グルテニンプロモーター、コムギSSIプロモーター、コムギSBEIIプロモーター、コムギGBSSプロモーターなど)と胚乳非特異的プロモーター(ユビキチンプロモーターまたはCaMV35Sあるいはエンハンスト35Sプロモーターなど)とのいずれかから選択され得る。プロモーターは、温度、光またはストレスなどの要因によって調整される。普通、プロモーターは、発現すべき遺伝子配列の5'に提供される。構築物には、nos3'ポリアデニル化領域、ocs3'ポリアデニル化領域、または転写ターミネータなどの、転写を高める他の要素を含んでいてもよい。例示されたDNAの領域は、適切な選択可能なマーカー遺伝子配列および他の要素を含むベクター中か、これらの配列を含むベクターと共形質転換されるベクター中に取り込まれることになる。
オオムギ用形質転換法
外因性核酸の導入によって植物に遺伝的変異を導入するため、またプロトプラストまたは未成熟の植物胚から植物の再生をするために、オオムギなどの単子葉植物を形質転換するための方法は、当技術分野に公知である。たとえば、WanおよびLemaux(1994)、Tingayら(1997)、Nehraによるカナダ特許出願第2092588号、カナダの国立研究委員会によるオーストラリア特許出願第61781/94号、日本タバコ産業によるオーストラリア特許第667939号、モンサント社による国際特許出願第PCT/US97/10621号、米国特許第5589617号参照のこと、および他の方法は特許明細書国際公開第99/14314号に記載されている。所望のヌクレオチド配列または遺伝子構築物および選択可能なマーカーを保持するベクターが、組織培養された植物または外植片あるいはプロトプラストなどの適切な植物系の再生可能なオオムギ細胞中に導入されてもよい。選択可能なマーカー遺伝子は、抗菌性または殺菌剤耐性をオオムギ細胞に付与し、あるいは、マンノースなどの基質の利用を可能にし得る。選択可能なマーカーによって、好ましくはハイグロマイシン耐性がオオムギ細胞に付与される。再生可能なオオムギ細胞は、未成熟胚、成熟胚の胚盤、これらに由来するカルスまたは分裂細胞に由来することが好ましい。
形質転換された植物は、選択可能なマーカー遺伝子を含んでいてもよい。またはこのような遺伝子は、再生中または再生後に、例えば選択可能なマーカー遺伝子をゲノムの外に切り出すかまたは選択可能なマーカー遺伝子をSBEIIa阻害トランスジーンから隔離することにより除去されてもよい。
トランスジーンまたは変異が染色体に一体化された植物は、たとえば、トランスジーンに特異的な適切な核酸プローブを使用して、または表現型の観察によってスクリーニングできる。いくつかの方法のいずれを用いても、形質転換された植物の存在を決定し得る。たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、形質転換された植物に特有の配列を増幅し、ゲル電気泳動または他の方法で増幅した産物を検出してもよい。DNAを植物から従来法を使用して抽出してもよいし、またプライマーを使用してPCRを行うと、非形質転換植物から形質転換植物が区別される。例えば、構築物中に読み込まれる形質転換ベクター由来のDNA領域を増幅するためのプライマーをデザインし、標的遺伝子からリバースプライマーをデザインしても良い。これらのプライマーは、もし植物の形質転換が成功していれば、断片を増幅するに過ぎない。これに代わって、当技術分野で公知のサザンブロットハイブリダイゼーションによって、陽性形質転換体を確認する方法がある。形質転換された植物または変異体も同定され、すなわち、非形質転換植物または野生型植物から選択可能なマーカー遺伝子の存在、または免疫学的方法による特殊なタンパク質の存在、またはあるタンパク質の非存在(たとえば、胚乳中のSBEIIaタンパク質の非存在は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって検出される)によって与えられるその表現型によって区別される。このような植物をスクリーニングする際に使用される指標も、穀物粒の表現形質の観察であって、たとえば、萎縮した穀物粒の目視検査または測定、またはアミロースの増加量のテストあるいは複屈折の存在の顕微鏡的チェックなどによって行ってもよい。
変異
オオムギ胚乳中のSBEIIa酵素の活性または他の酵素の活性低下をもたらす遺伝的変異の導入は、関連する遺伝子内または遺伝子の調節配列内を適切に変異させて達成してもよい。遺伝子が阻害される程度は、作られる澱粉の特性を決定する程度とする。変異は欠落(truncation)またはヌル(null)変異であってもよく、これらは、澱粉の性質に重篤な影響を与えることが知られている。しかし、アミロペクチン構造の変更は、漏出変異の結果得られることもあり、これによってオオムギの澱粉または穀物粒に目的の特性を与えるアミロペクチンの合成酵素活性が著しく減少する。他の染色体を再配置することもまた効果的であり、これらには、欠失、逆位、重複または点変異が含まれてもよい。
変異は、化学的または放射的手段、たとえば種子のEMSまたはアジ化ナトリウムによる処理(ZwarおよびChandler、1995)、またはガンマ線の照射によって達成できる。変異体の単離は、変異植物または種子をスクリーニングすることで達成してもよい。たとえば、オオムギの変異集団は、穀物粒中の高アミロース含有量について、および/またはアミロペクチンの鎖長分布が通常より長いことについて、またはELISAによってSBEIIaタンパク質が消失していることについて、または穀物粒の形態的変化についてスクリーニングすればよい(Greenら、1997)。スクリーニングは、すでにSBE活性の1つを欠いているオオムギの遺伝子型、たとえば、SBEIIb陰性の背景で好ましく行われる。次に、変異体と所望の遺伝的背景の植物とを交配させて、適切な数の戻し交配をして、オリジナルの所望でない親の背景の消去を行うことにより、このような変異を所望の遺伝的背景中に導入してもよい。
アミロペクチンの合成に関与するSBEIIaまたは他の酵素をコードする遺伝子に変異をおこすと、通常相対アミロース含有量の増加が引き起こされる。個々の穀物粒あたりのアミロース量は、アミロペクチンからアミロースへと炭素の流れが変わった結果増加する場合もあるし、または、穀物粒あたりの澱粉産生が著しく減少すれば減少することもある。どちらの場合も、澱粉に対するパーセンテージであるアミロースの相対レベルが増加する。
食品生産に適切
別の態様において、本発明は、食品生産に有用なオオムギを提供するものである。そのオオムギの穀物粒は、成長時に穀物粒の胚乳中のSBEIIa活性のレベルが低下したオオムギ植物から得られ、この穀物粒中の澱粉は比較的高いアミロース含有量と、低いアミロペクチン含有量を有する。本発明のオオムギ植物は、食品生産、特に市販の食品生産に有用な穀物粒を有するものであることが好ましい。このような食品生産には、市販の食品生産の成分となるような穀粉または他の産物を作ることが含まれよう。
オオムギの所望される遺伝的背景に、農学的収量および他の特性への配慮も含まれる。このような特性にはオオムギが冬型がよいか春型がよいか、農学的性能、疾病耐性および非生物的ストレス耐性を有することが所望されるかどうかが含まれる。オーストラリアでは、Sloop、Schooner、Chebec、Franklin、Arapiles、Tantangara、Galleon、GairdnerまたはPicolaなどのオオムギ栽培品種に交配することが望まれる。提供した例は、オーストラリアの生産領域に固有のものであるが、他の生育領域では他の品種がふさわしいであろう。本発明のオオムギ品種は、少なくとも数箇所の生育領域で対応する野生型品種の80%以上の収量をもたらすことが好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。収量は、管理された畑の試験で簡単に測定できる。また、オオムギ植物は、無外皮かまたは“裸性(naked)”であることも好ましい。というのはオオムギ穀物粒に殻があると、穀物粒加工により大きな困難がもたらされるからである。
穀物粒の澱粉含有量は、少なくとも約12%(w/w)または15%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%、さらに好ましくは野生型のレベルに近い45〜50%(w/w)である。野生型よりも澱粉含有量が低いのは、アミロペクチンのレベルが低下した結果であると思われる。この穀物粒は、高アミロース製品が比較的高価であるため、商業的な食品生産には依然として有用である。他の望ましい特徴には、穀物粒の製粉能力が含まれる。ほとんどの型の穀物粒から精白されたオオムギが産生されるが、ある形状の穀物粒は製粉に対しては特に抵抗性である。商業的に有用な穀物粒に影響を与えるかもしれない別の特徴は、穀物粒から産生される産物の着色である。殻または穀物粒の他の部分が、通常以上にひどく着色を示す場合、これによって商業的な用途が、色つきの全粒または粗挽き粉を含むパンの成分などの狭い用途に限られる。一般にオオムギで、ひどい着色というのは紫で、これは鮮やかかつ強い着色となり、多くの食品で非常に望ましくないとされる。オオムギ植物の価値を高めるかもしれない別の態様に、穀物粒からの澱粉の抽出度があげられ、抽出率が高くなればなるほど、より有用となる。穀物粒の形も植物の商業的な有用性に強い影響を与え得る別の特性であり、このような穀物粒の形は、穀物粒を製粉する際の扱いやすさまたは別の要素に影響を与え得る。たとえば、高アミロースMK6827植物のオオムギ穀物粒は、非常に縦長の粒子形態を有し、これが製粉および加工を難しくしている。この縦長形および関連する有用性の便利な尺度は、穀物粒の厚さに対する長さの比率である(L/T比)。この比は、しばしば澱粉の性質によっても規定される。この比は、5.5未満が好ましく、より好ましくは約4から約5の範囲、最も好ましくは平均で3.5未満である。
より多くの収量を上げるという観点から、また高アミロースレベルを有する澱粉の生産といった本発明のある種の恩恵が達成できるかもしれないという観点から、または鎖長分布が変化した澱粉代替物という観点から、充填された穀粒(a fuller grain)が望ましい。つまり、穀物粒の表現型は萎縮していないもののほうが好ましい。しかし、本発明の他の態様は、あまり充填されていない穀物粒によってよりよく達成される。アリューロン層または胚芽の澱粉に対する割合は、あまり充填されていない穀物粒ではより高くなり得る。これによってアリューロン層の有益な構成成分をより多く含むオオムギ穀粉または他の産物が提供される。高濃度のアリューロン層産物は、葉酸などのある種のビタミン類に富むかまたはカルシウムなどのある種のミネラルが豊富であり得るので、これが高レジスタントスターチレベルおよび/または高いβ−グルカンレベルとあいまって、大腸からのミネラルの取り込みを高めるといった相乗効果を提供し得る。
アミロースの量を最大にするため、オオムギ植物が、SBEIIaの活性の減少に加えて他の表現型特質を有することが望ましい。したがって遺伝的背景に、さらにAC38(原因遺伝子は不明)にけるamo1変異またはモチ性変異(たとえば、Waxiro品種に見られる)を含んでいてもよい。さらに、原因遺伝子が未知である萎縮胚乳を有する他の利用可能なオオムギ変異体中に二重変異を作ることが望ましいかもしれない。
澱粉は、標準法たとえば、Schulmanら(1991)の方法を使用してオオムギ穀物粒から容易に単離される。工業的規模では、湿潤または乾燥製粉が使用できる。本発明のオオムギ植物の穀物粒から得られた澱粉は比較高いアミロース含有量を有している。澱粉中に少なくとも35〜45%のアミロースを有するオオムギ植物は高アミロースであると考えられる。しかし、本発明はアミロース含有量が50%(w/w)より多い、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、75%、80%または90%を有するオオムギを提供するものである。
ここで言及しているアミロースの相対レベルは、全澱粉含有量に関するものであり、澱粉の残りは主として澱粉の中間体であるかまたはアミロペクチンであるかあるいは両者の混合物であろうと理解される。
β−グルカン
オオムギ中のβ−グルカンレベルは多様で、オオムギの、重量で約4%〜約18%の範囲で広範にわたっていることが知られるが、より一般的には4%〜約8%(たとえば、Izydorcykら、2000)である。改良オオムギ品種が開発されており、例えば、β−グルカンを重量で約15%〜約18%有するがモチ性表現型を有するものがある。
本発明で意図するβ−グルカンのレベルは、SBEIIaを含めたアミロペクチン合成酵素活性を減少させる遺伝的背景に依存し得る。例示された実施例は、比較的正常なβ−グルカン合成を示すが、本発明の他の形態では、β−グルカン相対レベルを比較的高く意図している。オオムギ植物の穀物粒は、無外皮穀物粒の全重量の約3〜6%(w/w)のβ−グルカン含有量を有することが好ましい。しかし本発明の他の形態では、6%より多い、たとえば、6〜8%のβ−グルカン含有量を示す。モチ性変異体のβ−グルカンのレベルを測定したところ、たとえば、Sustagrain(商標)(ConAgraTM Specially Grain Products Company,Omaha,Neb.USA)という名前の下で市販されているProwashonupana品種については15〜18%と高く、本発明ではそれと同等のレベルまたはそれより高いものを意図している。
糊化温度
糊化は、粒子の膨潤、結晶の融解、複屈折の喪失、粘性の発生、および澱粉の溶解化などの、同時に起こるとともにとともに不可逆的な特性の変化を伴う澱粉顆粒内の分子秩序の崩壊(破壊)である。トウモロコシのae(アミロース増量)変異体由来の高アミロース澱粉は、通常のトウモロコシよりも高い糊化温度を示した(Fuwaら1999、Kruegerら、1987)。一方、澱粉合成酵素IIa活性を欠くオオムギsex6変異体由来の澱粉は、より低い糊化温度を有していて、糊化のピークのエンタルピーは対照植物のエンタルピーと比較したところ、低かった(Morellら、2003)。
本発明の別の態様では、示差走査熱分析によって測定したところ、澱粉は糊化温度が変わり得る。糊化温度は野生型植物由来の澱粉と比較して高くも低くもできる。糊化温度の変化は、比較的高いアミロース含有量に付随するものかもしれない。糊化温度が低下しているところでは、高アミロース含有の他のオオムギの品種によって生産された澱粉と比較した場合、または通常レベルのアミロース含有のオオムギから生産された澱粉と比較した場合に低下している。本発明の別の形態では、野生型オオムギ澱粉に対して糊化温度が変化しないかまたは上昇させることを意図している。野生型オオムギ澱粉の糊化温度は、示差走査熱分析で測定したところ、第1ピークの温度で一般的に約56℃である
膨潤体積
澱粉はまた、野生型澱粉と比較した、熱した過剰の水の中での膨潤率で特徴付けられる。膨潤体積は典型的には、澱粉または穀粉を過剰の水と混合し、加熱により一般的に90℃より高い温度まで上昇させて測定する。次にサンプルを遠心分離で集め、沈降物質の質量をサンプルの乾燥量で割り算することで膨潤体積を表す。低膨潤性は、食品調製物、特に含水食品調製物の澱粉含有量を増やしたい場合に有用である。
結晶性
本発明の選択形態のオオムギの澱粉構造はまた、オオムギから単離された通常の澱粉と比較すると、結晶度が減少している点で異なる。澱粉の結晶度の低下は官能特性の向上に関係し、滑らかな口ざわりに貢献するとも思われる。したがって、1つまたは複数のアミロペクチン合成酵素の活性レベルの低下により、澱粉の結晶性の低下がさらにもたらされる。結晶性は一般的にX線結晶学によって調べる。
アミロペクチン鎖長の分布
アミロペクチン構造の変化は、澱粉の鎖長の分布または重合度で測定する。鎖長分布は、イソアミラーゼによる分枝を行った後、蛍光ラベル糖鎖電気泳動(Fluorophore−assisted carbohydrate electrophoresis:FACE)を使用して測定する。本発明の澱粉のアミロペクチン鎖長分布は5〜60の範囲にあり、これは分枝後の野生型植物由来の澱粉の分布よりも大きい。長い鎖長を有する澱粉はまた、分枝頻度が対応したレベルで低下することになる。したがって、この澱粉はまた、アミロペクチン中にまだ存在している長いアミロペクチン鎖長の分布を有している。
食品特性
澱粉はヒト食餌中の炭水化物の主要供給源であり、本発明の穀物粒およびその穀物粒より得られる産物は食品を調製するために使用できる。食品はヒトまたは動物によって、たとえば、家畜飼料またはペットフードの形で消費される。改変オオムギ植物由来の穀物粒は、食品加工手段に容易に使用できるので、本発明には、粉にされ、すりつぶされ、粗挽きされ、精白され、または延ばされ(rolled)た穀物粒、あるいは上記に言及したオオムギ植物の加工された穀物粒または全粒穀物粒(whole grain)から得られる産物(穀粉など)が含まれる。これらの産物は、多種多様の食品、たとえば、パン、ケーキ、ビスケットなどの粉状製品、または増量材、結合材などの食品添加物に、あるいは、麦芽その他のオオムギ飲料、ヌードルおよびインスタントスープにするために使用し得る。本発明の穀物粒由来の穀物粒または産物は、特に朝食シリアルに望ましい。本発明の高アミロース澱粉は、お菓子業界に有用であり、あるいは成型および硬化時間を減少させる高強度のゲルを形成するために使用できる。これらはまた、たとえば、よくたっぷりの油で揚げたポテトまたは他の食品で油の吸着を減らす被覆剤として使用してもよい。
食物繊維
本明細書において食物繊維は、炭水化物、および健康なヒトの小腸で吸収されないで大腸に入る炭水化物の消化による生産物である。これにはレジスタントスターチ、β−グルカンおよび他の可溶性および不溶性の炭水化物ポリマーが含まれる。大腸でその腸在菌によって少なくとも部分的に発酵性となった炭水化物の部分を含むことを意図する。
本発明の澱粉は、比較的高レベルの食物繊維を含むことが好ましく、アミロースおよび任意選択で高レベルのβ−グルカンを含むことがより好ましい。本発明の穀物粒の食物繊維含有量は、単に胚乳のアミロース相対含有量が増加したことから生じても生じなくてもよい。β−グルカンは高レベルで存在してもよいし、それ自体食物繊維レベルに著しく貢献してもよい。
本発明の態様は、アリューロン層と胚芽の組合せと高レベルの食物繊維との組合せから生じてもよい。特に、これは相対レベルの高いアリューロン層または胚芽が、穀物粒中に存在する場合に生じてもよい。第1に、オオムギは、これは3つの細胞アリューロン層を有していることから、他の市販の穀物粒よりも著しく多いアリューロン層を有している。第2に、オオムギの穀物粒が若干萎縮している場合、胚乳の量が減り、アリューロン層および胚芽は比較的多量で存在する。したがって、オオムギは比較的高いレベルのある種の有益な要素またはビタミンを、高い耐性と合わせて有し、このような要素には、生物利用可能なCa++などの二価のカチオン、葉酸などのビタミンまたはトコフェロールおよびトコトリエノールなどの抗酸化剤が含まれる。カルシウムは骨および他の石灰化組織の成長と沈着に必要であり、人生後期の骨粗しょう症の危険率を低下させるのに必要である。葉酸は、妊娠前から妊娠早期まで(periconceptually)に摂取していると神経管欠損症を予防すること、循環器系疾患の危険性を減少することが見出されており、それゆえに、難消化性デンプンおよびβ−グルカンの組合わせの効果を増強する。葉酸はまた、ある種の癌の危険性を低下する効果を有すると考えられている。トコフェロールおよびトコトリエノールは抗酸化剤としての利点を有し、癌および心臓疾患の危険性を低下させ、また、酸敗をもたらす可能性のある脂肪酸などの食品構成成分の酸化の望ましくない影響を減少させる効果を有すると信じられている。製粉産物の特異的形態の1つは、アリューロン層が製粉された産物に含まれるということかもしれない。製粉産物では、特殊な製粉過程を行ってアリューロン層の量を高めてもよい。このような方法は、Fenechら(1999)に言及されている。このように、アリューロン層と胚芽を含むように製粉されたかあるいは別の方法で加工された穀物粒由来の産物はどれも、さらに栄養学的利点を有し、別個の供給源からこれらの要素を添加する必要がない。
レジスタントスターチ
レジスタントスターチは、健康なヒトの小腸に吸収されないで大腸に入る澱粉と澱粉の消化産物の合わさったものであると定義される。したがって、レジスタントスターチには小腸で消化吸収された産物は入らない。レジスタントスターチは物理的に接近不能な澱粉(RS1型)、難消化性顆粒(RS2)、老化澱粉(RS3)、および化学修飾澱粉(RS4)が含まれる。
本発明の澱粉は、澱粉構造が改変され、特にアミロースレベルが高いので、食品に費やした場合、レジスタントスターチが増加する。レジスタントスターチはまた、β−グルカンが高レベルで存在した場合に増加し、β−グルカンと澱粉顆粒が結合することで防御的効果を及ぼすようだ。澱粉は幾分消化されにくいRS1型であってよい。また、V−複合結晶によって検出されるデンプン−脂質会合の存在も、おそらく難消化性デンプンのレベルに寄与する。この場合、難消化性は、おそらく脂質の存在によりデンプンが物理的に接近不能になるために生じ、従って、これは、RS1デンプンと認識することができる。例示したオオムギ植物の澱粉は、澱粉顆粒の構造的理由によって消化に対して抵抗性であって、従ってRS2澱粉であるだろう。これらの特質のどれもが個々にあるいは組み合わせられて存在していてもよい。
本発明の1つの利点が、本発明が特に栄養学的利点のある産物を提供していることであり、さらには、オオムギ穀物粒の澱粉または他の構成成分を改変することなくそうしていることを理解すべきである。しかし、粒子中の澱粉、β−グルカンまたは他の構成成分の改質をすることが望ましく、本発明はそのような改変された構成成分を含む。改変の方法は公知であり、澱粉またはβ−グルカンあるいは他の構成成分を従来法で抽出し、澱粉を難消化型が多くなるように改変することを含む。澱粉またはβ−グルカンは、熱および/または水分で、物理的に(たとえば、ボールミル)、酵素的に(α−またはβ−アミラーゼ、プルラナーゼ他を使用して)、化学的な加水分解(液体または気体状試薬で湿式または乾式に)、酸化、二官能性試薬(たとえば三メタ燐酸ナトリウム、オキシ塩化リン)での架橋、またはカルボキシメチレーションにより処理して改変してもよい。
血糖指数
血糖指数(GI)は、血糖濃度の変移に与えるテスト食品の影響と白パンまたはグルコースの影響とを比較するものである。血糖指数は、食事後の血清グルコース濃度に与える食品の予想される影響の目安であり、血中グルコースのホメオスタシスに対するインスリン需要の目安である。高アミロースおよび場合によっては高β−グルカン含有の結果として本発明が提供する1つの重要な産物は、低い糖指数を有する低カロリー製品である。低いカロリー製品は、オオムギ穀物粒を製粉して産生される穀粉の含有物がベースになると思われる。しかし、当初は、穀物粒を精白して、おそらく重量で10%または20%の穀物粒を除去し、これによってアリューロン層を取り除き、もっと削減される場合には胚芽までも取り除くことが望まれていた。この精白工程の作用は、脂肪含有量を減らすことであり、したがって食品のカロリー値は低下する。このような食品は、低カロリー食品を提供するのみならず、満腹効果を有し、腸の健康を増進し、食事後の血清グルコースおよび脂肪濃度を減らす効果を有する。このように精白された製品を使用すると、アリューロン層および胚芽によって提供される栄養学的利点が減る結果となる。精白製品から生産される穀粉は、見た目が改善されるようだ。これは、このように作製された産物がより白くなる傾向があるからである。
非食品への応用
本発明は、高レベルのアミロースを有し、アミロペクチンレベルの減少した改変または改良された澱粉を提供するものであって、その特性は、多種多様のどんな工業的要求をも満足させる。澱粉は、紙、繊維、波形成形(corrugating)、接着剤業界を含めた非食品業界に広く使用されている(Young、1984)。非修飾澱粉の物理的特性により、その有用性はいくつかの用途に限られており、高価なまたは他の欠点を生じるおそれのある化学的改良をしばしば余儀なくされていた。本発明は、他の物理的特性と併せて、特にアミロペクチン含有量を減らすことによって、収穫後の改変の必要性が少なくてよい澱粉を提供するものである。たとえば、澱粉および本発明穀物粒から作製された産物の糊化(pasting)温度、せん断ストレスに対する耐性、膜強度、および/または耐水性は改変し得る。澱粉はまた、生物分解可能なゆるい充填梱包材料を調製するために使用してもよく、この充填梱包材料はポリスチレンの代替として使用することが可能である。
本発明の態様に関しては、多種多様の示唆が与えられてきたが、本発明は、本発明の2つまたはそれ以上の態様の組合せにあることを理解すべきである。
[実施例1.材料および方法]
カルス誘導培地
Dicamba(2.5mg/l)を含むBCI−DM培地を使用してオオムギ胚からカルス誘導を行った。培地1リットルの組成は:
MS salt Macro(10x stock): 100ml
MS micro (100x stock): 10ml
鉄(200x stock): 5ml
EDTA(200x stock): 5ml
マルトース: 15.0g
チアミン−HCl(1mg/ml): 1ml
Myo−イノシトール: 250mg
カゼイン加水分解物: 1g
Dicamba(1mg/ml): 2.5ml
プロリン: 345mg
pHを5.8に調整し、3.5g/lのphytagelを添加した。培地をオートクレーブにかけた後、150mg/lのチメンチン(Timentin)および50mg/lのハイグロマイシンを添加した。
オオムギ再生培地
オオムギのカルスをBAP(1mg/l)含有FHG培地で再生する。
FHG−I Macro(10x stock): 100ml
FHG−II Micro (100x stock): 10ml
チアミン−HCl(1mg/ml): 1ml
鉄(200x stock): 5ml
EDTA(200x stock): 5ml
BAP(1mg/ml): 1ml
イノシトール: 100mg
グルタミン: 730mg
マルトース: 62g
pHを5.8に調整し、3.5g/lのphytagelを添加した。培地をオートクレーブにかけた後、150mg/lのチメンチン(Timentin)および20mg/lのハイグロマイシンを添加した。
炭水化物測定および分析
澱粉をオオムギ穀物粒からSchulmanら(1991)の方法を使用して単離した。澱粉含有量をメガザイム(Megazyme:Bray,Co Wicklow,アイルランド共和国)によって供給された全澱粉分析器キットを使用して測定した。次にこの澱粉含有量を対照植物と比較した。全穀物粒重量から澱粉重量を差し引くと穀物粒中の全非澱粉分の全量が与えられ、全重量の減少が澱粉含有量の減少に起因しているかどうかが決定される。
アミロース含有量またはアミロース/アミロペクチン比の決定を、脱分枝された澱粉を分離するためのHPLC法またはヨウ素結合法で、BateyおよびCurtin(1996)に記載のように行った。つまり澱粉をDMSO中に溶解して脱脂し、エタノールで再沈殿した。DMSO中に澱粉を再溶解させて水を添加し、さらに希釈してヨウ素/ヨウ化カリウム溶液を添加して、605nmで溶液の吸光度を測定した。アミロース含有量をアミロースとアミロペクチンの混合物(0−100%範囲のアミロースをカバーする)より得られる標準カーブから決定した。脱分枝されていない澱粉のアミロース/アミロペクチン比率の分析はCaseら(1998)に従って実行することもできる。
β−グルカンのレベルをメガザイム(Megazyme:Bray,Co Wicklow,アイルランド共和国)から供給されたキットを使用して決定した。
澱粉を脱分枝し、鎖長分布を、キャピラリー電気泳動ユニットを使用する蛍光ラベル糖鎖電気泳動(Fluorophore−assisted carbohydrate electrophoresis:FACE)でMorellら(1998)に従って分析した。
示差走査熱分析(DSC)
DSCは、アミロースおよびアミロペクチンの比率を変えることで澱粉中に生じた糊化温度に対する変化を測定するものである。糊化はPyris 1示差走査熱分析器(パーキンエルマー、Norwalk CT,USA)により測定した。澱粉と水を、水2部:澱粉1部の比率で混合し、この混合物(実測重量40〜50mg)をステンレス製天秤皿に置きシールした。サンプルを10℃、1分、20℃〜140℃で空のステンレス製天秤皿を基準として使用してスキャンした。糊化温度およびエンタルピーをPyrisソフトウエアを使用して決定した。
RVA分析
粘度をラピッドビスコアナライザー(RVA:Newport Scientific Pty Ltd,Warriewood,Sydney)でBateyら(1997)が報告した条件を使用して、全粒粉について測定した。α−アミラーゼを阻害するために、硝酸銀をすべての分析に12mM濃度で使用した。測定されたパラメータは、最高粘度(最大熱糊化粘度)、保持強度、最終粘度および糊化温度であった。
粉の膨潤
粉の膨潤体積をKonik−Roseら(2001)の方法に従って決定した。水の取り込みの増大を、規定温度で水にサンプルを混合し、その後糊化した物質を採集する前及び後のサンプルの重量を測定することにより測った。
[実施例2.SBE遺伝子のオオムギからの単離]
オオムギcDNAおよびゲノムライブラリーの構築
オオムギcDNAおよびゲノムライブラリーを、ファージベクター中で標準的な方法(Sambrookら、1989)により作製した。cDNAライブラリーは、ZipLoxベクター(Life Technology)中に、試薬と共に提供されたプロトコールにしたがって作製した。ライブラリーの力価は、大腸菌の菌株Y1090(ZL)によってテストし、2×10pfuであった。E.Lagudah(CSIRO)から入手したオオムギのゲノムライブラリーは、Morex品種由来のDNAから作製した。このDNAをMboIで消化し、EcoRI/BamHIで消化したEMBL3コスベクターに連結した。クローンした断片をSalI消化で分泌させることができた。
SBEIIaおよびSBEIIb遺伝子配列のH.vulgareゲノムライブラリーからの単離
ライブラリースクリーニングは、25%ホルムアミド、5×SSC、0.1%SDS、10×デンハルト溶液、100μg/mlのサケ精子DNA、42℃、16時間の条件下でのハイブリダイゼーションで行い、その後2×SSC、0.1%SDS、65℃で1時間洗浄(中程度の厳密さ)を3回行った。SBEIIaおよびSBEIIb遺伝子を含むクローンまたはその実質部分を単離してシークエンスした。DNA配列を表1に掲載された登録番号の配列と比較して、目的の両遺伝子がオオムギから単離されたことを確認した。また、SBEIIaおよびSBEIIbのcDNA配列も、特異的プライマーで逆転写−PCR(RT−PCR)を使用して得てもよい。この技法は当技術分野で公知である。オオムギSBEIIaおよびSBEIIbのcDNA配列は図1および2に示し、コムギSBEIIaおよびSBEIIbゲノム配列は図3および4に示す。
Figure 0005458249
[実施例3:オオムギSBEIIaおよびSBEIIb発現を変えるための形質転換実験用構築物]
オオムギSBEIIaまたはSBEIIb遺伝子のどちらかの発現を減らすために、重複RNA(dsRNA)構築物を作製した。このような構築物には、発現されたRNAが塩基対を作ることができる相補配列を含んでいて重複または二本鎖RNAを形成するように、SBEIIaまたはSBEIIb遺伝子の部分に対応する目的の核酸配列が、プロモーターに対してセンスおよびアンチセンス方向の両方にあるようにした。センスとアンチセンス配列との間のスペーサ領域にはイントロン配列が含まれ、これが形質転換された植物でRNAの部分として転写されると、スプライシングで除去されて堅く締まったヘアピン重複構造を形成することになる。イントロンが含まれていることによって、重複RNA構築物によって与えられる遺伝子のサイレンシング効果が高まることがわかってきた(Smithら、2000)。目的の核酸は、高分子量のグルテン(HMWG)プロモーター配列(DX5サブユニット遺伝子のプロモーター、登録番号第X12928号、Andersonら、1989)およびアグロバクテリア(nos3')のノパライン合成酵素遺伝子由来のターミネータ配列と連結した。
コムギとオオムギ遺伝子間には高度な配列同一性があるという観点からコムギSBEIIaおよびSBEIIb遺伝子より得られたSBEIIaまたはSBEIIbセンス/アンチセンス断片を含む重複−RNA構築物を、最初はベクターpDV03000中で生成し、次に切り出してオオムギの形質転換ベクターpWBVec8に連結した。この構築物は図5に概略的に示す。ベクターpWBVec8は所望のDNA配列を取り入れるために、多数の制限酵素部位を含む。
SBEIIa重複−RNA構築物は、コムギSBEIIa遺伝子(GenBank、登録番号AF338431、図3参照)からPCRで増幅された1536bpのヌクレオチド配列を含む。これには、以下が含まれる:EcoRIおよびKpnI制限部位をどちら側にも有するエクソン1および2のすべてならびにエクソン3の一部(図3中、ヌクレオチド位置1058〜1336、1664〜1761および2038から2219)を含む468bp配列(断片1);KpnIおよびSacI部位をどちら側にも有するSBEIIaのエクソン3および4の一部ならびにイントロン3の全部(図3中、ヌクレオチド位置2220〜2731)を含む512bp配列(断片2);およびBamHIおよびSacI部位をどちら側にも有するSBEIIaの完全なエクソン1、2および3(図3中、ヌクレオチド位置1058〜1336、1664〜1761および2038〜2279)を含む528bp断片(断片3)。次に、断片3が断片2と、断片1に対してアンチセンス方向になるように断片1、2および3を連結した。ベクターpDV03000中の遺伝子構築物をpDV03−IIaと命名し、重複−RNA遺伝子をds−SBEIIaと命名した。
SBEIIb重複−RNA構築物の戦略も同様である。SBEIIb構築物は、コムギSBEIIb遺伝子(配列の概要は図4に記載)からPCRによって増幅された1607bpの断片を含んでいた。これには下記が含まれる:EcoRIおよびKpnI制限部位をどちら側にも有し、エクソン1および2のすべてならびに一部のエクソン3(図4中、ヌクレオチド位置489〜640、789〜934および1598〜1769)を含む471bp配列(断片1);KpnIおよびSacI部位をどちら側にも有するSBEIIbのエクソン3および4の一部およびイントロン3のすべて(図4中、ヌクレオチド位置1770〜2364)を含む589bp配列(断片2);およびBamHIおよびSacI部位をどちら側にも有するSBEIIbの完全なエクソン1、2および3(図4中、ヌクレオチド位置489〜640、789〜934および1598〜1827)を含む528bp断片(断片3)。次に、断片3が断片2に、断片1に対してアンチセンス方向になるように断片1、2および3を連結した。ベクターpDV03000中のSBEIIb重複RNA遺伝子構築物をpDV03−IIbと命名し、重複−RNA遺伝子をds−SBEIIbと命名した。
プロモーター−センス/アンチセンス−ターミネータカセットを制限酵素ApaIおよびNotIを使用して2元ベクターpWBVec8中に挿入した。pWBVec8中のSBEIIa構築物を、pVec8−IIaと命名し、pWBVec8のSBEIIb構築物を、pVec8−IIbと命名した。構築物を図5中に概略的に示す。
使用されたコムギSBEIIa配列とその対応するオオムギSBEIIa配列との間の同一性は、プログラムGapを使用して配列を比較すると、93%であった。同様に、コムギSBEIIb配列とその対応するオオムギSBEIIb配列との間の同一性は92%であった。重複−RNA法は、重複領域について約85%を超える同一性の配列を有する遺伝子の発現をサイレンシングさせるには有効であり、よってコムギ配列によって構築された重複物は、オオムギ配列に対して有効であると期待された。
[実施例4:オオムギの形質転換]
アグロバクテリウム ツムファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)により仲介された、または遺伝子銃によるオオムギを形質転換する方法は(Tingayら、1997;Wanら、1994)に記載されており、トランスジェニック植物を生じるDNA構築物を形質転換するために使用することができる。本実施例では、上記に記載したように作製された二元べクター中の遺伝子構築物を、高感染性のアグロバクテリア株に3親結合(tri−parental conjugation)によって導入し、これを使用して、阻害遺伝子(ds−SBEIIaまたはds−SBEIIb)を含むT−DNAおよび選択可能なマーカー遺伝子(ヒグロマイシン耐性をコードし、CaMV35Sプロモーターから発現される)を、未成熟のオオムギ胚の胚盤の再生可能な細胞中に、次のように導入した。
開花後12から15日間で発生したGolden Promise品種由来のオオムギ種子を、温室栽培植物の花穂から取り除き、20%(v/v)の漂白剤中で10分間滅菌した後、95%エタノールで一度、殺菌水で7回濯いだ。次に胚(約1.5〜2.5mmのサイズ)を無菌状態で種子から取り除き、胚軸を各胚から切り取った。この胚を、カルス誘導培地を含むペトリ皿上に切断側を下にして置いた。アグロバクテリウム形質転換接合物(AGL1株)をスペクチノマイシン(50mg/l)およびリファムピシン(20mg/l)を含むMG/Lブロス(5gのマンニトール、1gのL−グルタミン酸、0.2gのKHPO、0.1gのNaCl、0.1gのMgSO・7HO、5gのトリプトン、2.5gのYeast Extractおよび1μg/lのビオチン、pH7.0)中、28℃で通気しながら、濃度が約2〜3×10cell/mlとなるまで成長させ、次に約300μlの細胞懸濁液をペトリ皿の胚に加えた。2分後、過剰の液体をペトリ皿から傾けて出し、胚を切断側(胚盤の胚軸サイド)が上になるように、ひっくり返した。次に胚を新しいカルス誘導培地皿に移し、暗所中24℃で2〜3日間載置した。胚を選択用のカルス誘導培地(50μg/mlのハイグロマイシンおよび150μg/mlのチメンチン)に移した。胚をこの培地上に2週間、暗所中24℃に置いたままにした。次に、健康なカルスを分離し、新しい選択用培地に置きさらに2週間24℃の暗所でインキュベートした。これに続き、胚をサイトカイニンを含む再生培地上で、明所で2週間24℃インキュベートし、サイトカイニンおよびオーキシンを含む発根培地に移し、2週間の期間で3回行った。次に、若い植物を土混合物に移し、2週間噴霧台上に保持し、最終的に温室に移した。pVec8−IIbを使用した全部で400胚とpVec8−IIaを使用した300胚を本方法で処理し、IIb形質転換用の7カルスから18植物およびIIa形質転換用の14カルスから18植物が選択培地上に生き残った。これは、遺伝子構築物で形質転換が成功したことを示唆する。選択可能なマーカー遺伝子とともに形質転換されたすべての植物が、SBEIIaまたはSBEIIbの阻害遺伝子を取り込むと期待されるわけではない。よって、これらは下記実施例に記載されたように容易に区別することができた。
[実施例5.重複RNA構築物で形質転換されたオオムギ植物および穀物粒の分析]
オオムギ植物またはその子孫の種子または植物でのトランスジーンの有無を、PCR法またはサザンブロットハイブリダイゼーション分析によって決定または確認した。DNAを形質転換したと推定された植物の葉のサンプルから標準法によって調製した。
形質転換されたオオムギ植物のPCR分析−トランスジーンの検出
ds−SBEIIaトランスジーンの存在をスクリーニングするために使用された順方向および逆方向のプライマーは、それぞれBX17 3'(5'−CAA CCA TGT CCT GAA CCT TCA CC−3'):配列番号5およびAR2akpnR(5'−GGT ACC CCA TCT CCT GGT TTT GGG ACA AC−3'):配列番号6であった。このプライマー対は、ds−SBEIIaトランスジーンを含む植物由来の、トランスジーンのHMWGプロモーター配列内のある位置から図3のヌクレオチド位置2219までに対応する569bpの産物を増幅した。ds−SBEIIbトランスジーンの存在をスクリーニングするために使用されたプライマーは、それぞれBX17 3'(上記記載のとおり)およびAR2bkpnR(5'−GGT ACC GTC CAT TTC CCG GTG GTG GCA G−3'):配列番号7であった。このプライマー対は、ds−SBEIIbトランスジーンを含む系由来の、HMWGプロモーター内のある位置から図4のヌクレオチド位置1768までに対応する571bpの産物を増幅した。PCR増幅は、2.5単位のHotstar Taq、1.5mMのMgCl、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTPs)を各0.125mMずつ、順方向および逆方向のプライマー各1μM、および100ngのDNAを含む酵素を供給された1×緩衝液を含む20μlの反応液中で行った。PCRのプログラムは、95℃で5分の初期変性ステップ、続いて95℃で30秒、および59℃で1分、および72℃で2分の36サイクル、最後に72℃で5分であった。
陽性オオムギ形質転換体を、SBEIIaおよびSBEIIb構築物両方について同定した(図6)。データは表2に要約されている。
Figure 0005458249
形質転換オオムギのサザンブロットハイブリダイゼーション分析
PCRの結果を確認するため、サザンブロットハイブリダイゼーション分析を、ds−SBEIIaおよびds−SBEIIbトランスジェニック植物およびその子孫のDNAについて行った。標準法でこの植物から調製した、EcoRIで消化したDNAを1%アガロースゲル上で電気泳動し、ハイボンド(Hybond)N+ナイロン膜(アマーシャム)上にブロットした。放射線活性標識したプローブをSBEIIa(位置2220〜2731、図3参照)およびSBEIIb(位置2019〜2391、図4参照)遺伝子のイントロン3領域から作製した。これらのセグメントはそれぞれds−SBEIIaおよびds−SBEIIb構築物(実施例3)の一部であり、メガプライム(Megaprime)DNA標識システム(アマーシャムファーマシアバイオテク、イギリス)を使用して放射線活性標識し、ハイブリダイゼーションに使用した。ハイブリダイゼーションは25%(v/v)のホルムアミド、5×SSC、0.1%SDS、10×デンハルト溶液、100μg/mlサケ精子DNA中で42℃、16時間行い、2×SSC、0.1%SDS中で65℃で1時間を3回行った。膜のオートラジオグラフィにより、植物に対応するレーン中に構築物に対して陽性である陽性ハイブリダイゼーションバンドが明示された(図7)。内在性オオムギSBEIIaおよびSBEIIb遺伝子断片は、使用されたコムギイントロン3プローブの配列の相違のため、ハイブリダイゼーションで検出されなかった。
PCRおよびサザンハイブリダイゼーション分析の結果を表2に要約する。一般に、PCRおよびサザンハイブリダイゼーションの結果はよく一致する。不一致は、偽陰性のせいであるかもしれず、これは分析を繰り返すことで容易に解決されるであろう。両方法で実証されたようにトランスジーンについて陽性であった植物には、ds−SBEIIaサザンでは4つの独立した形質転換事例(IIa4.1、IIa4.2、IIa5およびIIa6)が、ds−SBEIIbでは5つの独立した形質転換事例(事例番号IIb2、IIb3、IIb4、IIb5およびIIb9)が含まれていた。
オオムギ胚乳タンパク質のポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)分析
形質転換植物におけるオオムギSBEIIaおよびSBEIIb遺伝子発現へのds−SBEIIaおよびds−SBEIIbトランスジーンの影響を調べるために、発育中の穀物粒の胚乳組織中での特異的なタンパク質発現を、非変性PAGEおよびウェスタンブロット分析により検出した。T1種子(T0植物からの種子)は、トランスジーンを隔離すると期待されるので、開花以降20日目にそれぞれのT0植物から個別に発育中の10個のT1穀物粒のそれぞれからの胚を、SBEIIaおよびSBEIIbタンパク質発現について分析した。T1植物を保存するため、胚を発育中の穀物粒から取り出し、培養してT1植物を再生した。すべての成熟組織(0.2g)から切断された胚乳を、5mMのEDTA、20%グリセロール、5mMのDTT、および1mMのPefablocを含む50mMのKPi緩衝液(42mMのKHPOおよび8mMのKHPO)(pH7.5)の600μlでホモジネートした。すりつぶされたこのサンプルを、13,000gで10分遠心分離し、上澄み液をアリコットして、使用するまで−80℃で凍結した。タンパク質のレベルをCoomassie試薬によりBSAを標準にして測定した。各胚乳から抽出した全可溶性タンパク質(20μgに相当)をレーンに充填し、0.34MトリスHCl(pH8.8)、アクリルアミド(8.0%)、過硫酸アンモニウム(0.06%)およびTEMAD(0.1%)を含む8%の非変性ポリアクリルアミドゲル中を電気泳動させた。電気泳動に続いて、タンパク質をニトロセルロース膜に、Morellら(1997)に従って移し、SBEIIaまたはSBEIIb特異的抗体と免疫反応させた。SBEIIaの検出用に使用した抗体は、合成ペプチドAASPGKVLVPDESDDLGC:配列番号8(SBEIIaのN末端由来の配列)に対して生じたラビット由来の3KLHであり、1:5000に希釈して使用した。SBEIIbの検出用に使用した抗体は、合成ペプチドAGGPSGEVMIGC:配列番号9(SBEIIbのN末端に由来する推定配列)に対して生じたR6であり、使用前に1:6000に希釈した。使用した2次抗体はGAR−HRP結合体(1:3000希釈)で、免疫反応性バンドがアマーシャムのECL検出システムを使用して示された。
ds−SBEIIaまたはds−SBEIIb遺伝子により形質転換された植物からの生育中のT1種子中でのタンパク質発現は、いくつかの形質転換系で、強バンド:中から弱バンド:無バンドを1:2:1の比率で分離しているように見えた(たとえば、図8および9参照)。この比率は、ホモ接合体(野生型=無トランスジーン):ヘテロ接合体:トランスジーンのホモ接合体の予想分離比率と一致している。取り出された胚由来のT1植物を生長させT2種子を産生し、これをPCRおよびタンパク質発現分析でスクリーニングして、トランスジーンについてのT1種子の遺伝子ステータスを確認した。
これらのデータは重複RNA構築物が、オオムギの胚乳中でのSBEIIaおよびSBEIIb遺伝子の発現を減らすに有効であることを示す。
ds−SBEIIaトランスジーンを含むトランスジーン種子中でのSBEIIb遺伝子の発現およびds−SBEIIbを含む種子中でのSBEIIa遺伝子の発現もまた、ウェスタンブロット法を使用して分析した。予想外に、ds−SBEIIaを含むトランスジーン種子(たとえば、形質転換事例IIa4.1由来)は、SBEIIbについては非常に低下していた。図9には、系IIa4.1.8由来の種子で非常に低レベルのSBEIIbの発現しか示さないことが示されている(7レーンのうち4のレーンは非常に弱いバンドであることに注意)。この系は、ds−SBEIIaトランスジーンを含み、SBEIIa発現は無視できるほどであった。しかし、ds−SBEIIbについてトランスジェニックな種子では、逆の効果は観察されなかった。SBEIIa発現は、ds−SBEIIb(すなわち形質転換事例IIb4およびIIb2由来のトランスジェニック系)によってSBEIIbが完全に沈黙した種子中では、変化しなかった(図10参照)。ds−SBEIIaおよびds−SBEIIb重複構築物については、エクソン1〜3を含む領域を使用した。この領域にSBEIIaおよびSBEIIbの配列を並べると〜70%の同一性が現れたのみであった。100%同一である最大長の区間は、エクソン2の21bpの領域であった。SBEIIb発現をds−SBEIIa構築物で、配列相同性によって抑制することも可能であるが、何か別のメカニズムでSBEIIbの活性をds−SBEIIaトランスジーンで減少させることもできる。
SBEIIaおよびSBEIIb遺伝子の発現レベルもまた、ノザンハイブリダイゼーションまたはRT−PCR法などの標準技法を通して、mRNAレベルで特異的に決定できる。たとえば、これらの遺伝子の1つと、例えば3'未翻訳領域において固有の部位でハイブリダイズし、他とはハイブリダイズしない非保存領域由来のプローブまたはプライマー対を使用して行う。このような領域または部位は、2つの遺伝子配列を比較することにより、容易に同定することができる。
[実施例6.澱粉を含めた穀物粒の成分および含有量の分析]
穀物粒の成分および含有量、特に澱粉については、実施例1に記載したような標準技法を使用して測定することができる。
上記に記載したような可溶性タンパク質を抽出した後、ds−SBEIIaトランスジーンを含む発育中の種子由来の個々の胚乳サンプルからの澱粉顆粒を、光学顕微鏡下で目視観察した。調査した5つの形質転換事例のうち3事例(IIa4.1、IIa4.2およびIIa13)で、SBEIIa発現が減少していた発育中の種子で、澱粉顆粒形態に重大な変化が観察された(たとえば、図11参照)が、事例IIa5またはIIa6については観察されなかった。これは、遺伝子不活性化の程度がより低かったからであろう。たとえば、IIa4.2.5種子由来の澱粉は、タンパク質イムノブロットにSBEIIaバンドが見られなかったが、タンパク質イムノブロットに強いSBEIIaバンドを有していたIIa4.2.3種子の標準顆粒と比べると、高度に変形していた(表3)。光学顕微鏡の結果は、電子顕微鏡(SEM)で確認された。電子顕微鏡は、澱粉顆粒を直接見るためにも利用した。これをするために、精製した澱粉に、金をスパッタして、室温15kVでスキャンした。SBEIIa発現の減少した種子は、変形した不規則な形を示したことが、電子顕微鏡下で観察された。たとえば、IIa4.2.5種子の顆粒は、IIa4.2.3種子と比べて変形していた(図12)。
ds−SBEIIaを含む植物と対照的に、ds−SBEIIbで形質転換された植物(たとえば、系IIb4.1(表3を参照))は、顕微鏡で調べると胚乳澱粉顆粒は正常形態を示した。これは、SBEIIb発現の減少のみが澱粉顆粒の形態を実質的に変えたものではないことを示唆している。
Figure 0005458249
複屈折は、2方向に光を屈折する物質の能力であり、これによって、偏光顕微鏡で見た時に各澱粉顆粒に「マルタ十字」と呼ばれる暗色の十字が生じる。複屈折は、顆粒中のポリマーが秩序正しく並んでいるかの程度を示す指標である(ThomasおよびAtwell、1999)。偏光顕微鏡下IIa4.2.5種子(SBEIIa活性が低下)の胚乳由来の澱粉顆粒は、IIa4.2.3種子(野生型)と比べると、これら顆粒の複屈折が著しく低下していた。IIa4.2.5種子顆粒では平均で44.8%に複屈折がなく、IIa4.2.3種子では2.2%であった(表4)。澱粉顆粒中の複屈折の喪失は、通常アミロースの含有率の増加とよく相関している。
Figure 0005458249
温室で生育した植物、すなわち、ds−SBEIIaを含む系IIa4.2由来のトランスジェニック種子の顆粒重量分析では、たとえ、高度に変形した澱粉顆粒を有する種子であっても、顆粒重量、つまり、澱粉産生には著しい減少がなかったことが明らかとなった(表5)。これは、オオムギで、重量の変化が観察された穀物粒(SSIIa遺伝子の変異体)で、澱粉産生が著しく減少したことと対照的である(Morellら、2003)。これは、畑で生育させた胚乳におけるSBEIIa活性が低下したオオムギの平均穀物粒重量、つまり収量は正常に近いことを示唆する。
Figure 0005458249
トランスジェニックオオムギ穀物粒におけるアミロースおよびアミロペクチンのレベル 変形した澱粉顆粒を有する種子については、高レベルのアミロースオオムギ(Morellら、2003)および澱粉中の約90%がアミロースである低アミロペクチン(LAPS)トウモロコシ(Sidebottomら、1998)で報告されてきた。アミロース含有量は、実施例1に記載したように、90%(w/v)DMSO中サイズ排除HPLC、またはヨウ素青価(blue value)(ヨウ素滴定法)で測定してもよい。顆粒重量およびアミロース含有量から顆粒あたり蓄積したアミロース量が計算でき、トランスジェニックおよび対照系と比較できる。
ds−SBEIIaについて分離されたT1世代、またはds−SBEIIa遺伝子についてトランスジェニックな植物由来かあるいは系IIa4.2.5と系IIb4.3.8(ds−SBEIIaおよびds−SBEIIbの両方を含む)との交配物から得られるT2世代(たぶんds−SBEIIaと相同である)のオオムギ穀物粒から澱粉を単離し、そのアミロース含有量をMorrisonおよびLaignelet(1983)の比色法によって測定した。5つのプールされた穀物粒サンプル由来の澱粉のアミロース含有量(下記に掲載)を測定した。650nmでの吸光度の読み取り値を、馬鈴薯のアミロースおよびアミロペクチンから作製された標準サンプル(0から100%のアミロース)から得られた回帰式:Y=137.38x−30.361(式中、xは650nmでの吸光度、またYは%アミロース含有量)を使用してアミロース含有量のパーセンテージに変換した。
サンプル:
プール品1:著しい澱粉顆粒変形を示した、トランスジェニック系IIa4.1のT1種子7個
プール品2:多少の澱粉顆粒変形を示した、トランスジェニック系IIa4.1のT1種子6個
プール品3:正常な外観を示す顆粒を有する、トランスジェニック系IIa4.1のT1種子7個
プール品4:著しい澱粉顆粒変形を示した、トランスジェニック系IIa4.2.5のT2種子6個
プール品5:著しい澱粉顆粒変形を示した、IIa4.2.5とIIb4.3.8との交配物(ds−SBEIIbトランスジェニック系)由来のF1種子5個
対照:オオムギSSIIa変異体M292(Morelら、2003)、ヒマラヤ品種およびSSIIaコムギ変異体(Yamamoriら、2000)
SBEIIa活性の減少したオオムギの穀物粒由来の澱粉であって変形澱粉顆粒に基づくものは、アミロースが80%以上である。プール品1、2および3(表6)の比較より、アミロース含有量は、澱粉顆粒の変形の程度に伴い増加する。プール品1および2のアミロース含有量は、SSIIa変異オオムギ系M292からの澱粉よりも高かった(表6)。アミロース含有量は、ds−SBEIIaとds−SBEIIbトランスジェニック系との間の交配物のF1穀物粒からなるプール品5では、さらに高かった(>90%)。この方法で得られた吸光度の値は、アミロペクチンの構造によって若干影響されることが知られている。
Figure 0005458249
このことは、これらの穀物粒の澱粉中のアミロペクチン含有量が、野生型の75%から20%未満または10%未満へとかなり減少していることを示唆する。なぜなら穀類の澱粉がほとんどその全部がアミロースおよびアミロペクチンから作られているからである。
[実施例7.オオムギにおけるSBEIIa遺伝子の変異]
オオムギにおけるSBEIIaの非発現を導くためのSBEIIa遺伝子の変異は、ガンマ線による照射またはたとえばエチルメタンスルホン酸(EMS)による化学変異を経て行われる。ガンマ線に誘導された変異では、種子が60Co放射線源(ZikiryaevaおよびKasimov、1972)から投与量20〜50kRで照射される。EMS変異は、Mullinsら(1999)に従って、種子をEMS(0.03%、v/v)で処理して行う。変異穀物粒はアミロース含有量の増加または澱粉穀物粒形態の変化に基づいて同定し、上記方法によって確認する。SBEIIaの変異体は、2ラウンド目に再変異させることができ、変異を結合して胚乳にSBEII活性を実質的に欠く非トランスジェニックなオオムギ品種を作るために、SBEIIaに加えてSBEIIb活性の損失についてもスクリーニングされた子孫か、またはSBEIIaの変異体を、SBEIIb変異体と交配することができる。
[実施例8.オオムギ中でのSBEI発現の阻害のためのSBEI遺伝子および構築物のクローニング]
SBEI遺伝子の単離は、プローブをオオムギcDNAまたはゲノムライブラリーにハイブリダイゼーションすることまたはPCR法により達成する。PCRプライマーの設計は、コムギ由来の相同遺伝子、たとえばGenBank AF076679に記載のDNA配列を基礎としてもよい。使用するプライマーは:
5'ACGAAGATGCTCTGCCTCAC3':配列番号10および5'GTCCAACATCATAGCCATTT3':配列番号11であってもよい。これにより、約1015bpのPCR産物がもたらされる。
SBEI遺伝子配列を使用して、SBEIIaおよびSBEIIbについて上記に記載したと同じやり方で、阻害遺伝子構築物を構築し、オオムギに導入する。
[実施例9.SBEIIa変異体と他の澱粉合成変異体との組合せ]
ds−SBEIIaについてトランスジェニックであってSBEIIa活性の減少した植物を、オオムギ系M292(SSIIa変異体)およびハイアミロースグレーシャー(HAG)と交配させた。次の交配系を確立した。
1)系IIa4.1.10×HAG
2)系IIa4.1.16×HAG
3)系IIa4.1.20×M292
4)系IIa4.1.19×HAG
F1植物は自家受精させて、両変異に対するホモ接合体系を、遺伝的および分子的分析で同定した。ds−SBEIIaトランスジーンとSSIIa変異体とを結合すると、極めて高いアミロース含有量と高β−グルカン含有量を共に有する澱粉が生産されると期待される。ds−SBEIIaトランスジーンとHAG変異体とを結合すると、高アミロース含有量に加えて機能的改善を伴う澱粉組成の改変が生じ得る。
M292およびM342系(SSIIa変異物、約60〜65%アミロース)を含むオオムギの数種の畑栽培品種について穀粒の重さおよびβ−グルカン含有量を測定した。結果(表7)から、野生型品種(3.0〜6.0%β−グルカン)に比べて、M292およびM342穀物粒は、穀粒のサイズが減少し、β−グルカン含有量が増加していた。これらの条件下で栽培した畑栽培野生型穀物粒の平均重量は、1000個の穀粒につき35〜45gの範囲にあった。野生型品種穀物粒のβ−グルカン含有量は、3〜6%の範囲にあった。
Figure 0005458249
本発明の範囲を逸脱せずに、これらの方法に様々な修正および変更がなされることは当技術分野の技術者には明らかであろう。
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オオムギSBEIIaのcDNAのヌクレオチド配列(配列番号1) オオムギSBEIIbのcDNAのヌクレオチド配列(配列番号2) 6倍体コムギ(T.aestivum)のDゲノムSBEIIa遺伝子に対応するA.tauschii由来の澱粉分枝酵素IIa遺伝子の配列(配列番号3)(wSBEII−D1) コムギSBEIIb遺伝子配列(配列番号4)(wbe2bゲノム)の一部分 二重RNA構築物の概略。A.使用されている遺伝子要素の順番は、センス方向に、プロモーター、SBEIIaまたはSBEIIb遺伝子配列(エクソン1、2および3)、イントロン(イントロン3)、アンチセンス方向にSBEIIaまたはSBEIIb遺伝子配列(エクソン1、2、3および4)、転写ターミネータ/ポリアデニレーション配列である。B.ds−SBEIIaおよびds−SBEIIb遺伝子の転写物が、センス配列とアンチセンス配列との間のハイブリダイズによって形成された二重鎖領域を有する「ヘアピン」RNA構造を構成する。GおよびAGヌクレオチドが境界を形成するイントロン配列は、スプライス切除される。 オオムギのds−SBEIIaおよびds−SBEIIbトランスジェニック系PCR分析。エクソン1、2、3およびイントロン3(センス方向)を含む夫々の構築物の第1および第2の断片を増幅する、SBEIIaについてのBX17F/AR2akpnRとSBEIIbについてのBX17F/AR2bkpnRとのプライマー対が使用されて、陽性トランスジェニック系を同定した。GPは、形質転換されていないGolden Promiseである。中央のレーンは、分子サイズマーカーを示す。 オオムギのds−SBEIIaおよびds−SBEIIbトランスジェニック系のサザンブロット分析。A.サザンブロットハイブリダイゼーションによって示されるオオムギds−SBEIIa陽性トランスジーン。推定バンドサイズは1836bp。B.サザンブロットハイブリダイゼーションによって示されるオオムギds−SBEIIb陽性トランスジーン。推定バンドサイズは1907bp。GPはGolden Promise(陰性対照)。 オオムギのds−SBEIIaおよびds−SBEIIbトランスジェニック系のウェスタンブロット分析。系IIb4.3およびIIb4.4の10個のT1種子(T0植物由来の種子)をSBEIIb発現について、非変性PAGEおよびSBEIIb特異的抗体を使用したウェスタンブロット分析によって分析した。レーン1(+)は、陽性対照であるGlacier品種である。 オオムギのds−SBEIIaおよびds−SBEIIbトランスジェニック系のウェスタンブロット分析。系IIa4.1のT1種子(T0植物由来の種子)をA.SBEIIaまたは、B.SBEIIb発現について、非変性PAGEおよびSBEIIaまたはSBEIIb特異的抗体を使用したウェスタンブロット分析によって分析した。両ゲルのレーンは、同じ種子を示す。各パネルのレーン1(+)は、陽性対照であるGlacier品種である。 オオムギのds−SBEIIaおよびds−SBEIIbトランスジェニック系のウェスタンブロット分析。系IIb4.1のT1種子(T0植物由来の種子)を、A.SBEIIb、またはB.SBEIIa発現について、非変性PAGEおよびSBEIIbまたはSBEIIa特異的抗体を使用したウェスタンブロット分析によって分析した。両ゲルのレーンは、同じ種子を示す。各パネルの最終レーン(+)は、陽性対照であるGlacier品種を示す。 ds−SBEIIaトランスジェニックオオムギの澱粉顆粒形態。単一の種子由来の澱粉顆粒をds−SBEIIaおよびds−SBEIIbトランスジェニック種子について光学顕微鏡を通して目視観察した。図11Aは、野生型のSBEIIaを発現している種子(系IIa4.2.3)。図11Bは、SBEIIa発現を欠く種子(系IIa4.2.5)。重篤な形態上の変化が、SBEIIa発現を欠く種子由来の澱粉で観測されたが、SBEIIbでは観測されなかった。 澱粉顆粒の走査型電子顕微鏡(SEM)写真。A.野生型澱粉顆粒(IIa系4.2.3)、B.およびC.ds−SBEIIaトランスジェニック胚乳からのもの(IIa系4.2.5)。ds−SBEIIb(SBEIIb不活性化)種子由来の澱粉顆粒は、野生型と比較して、形態の変化が見られなかった。

Claims (17)

  1. オオムギ植物から得られる穀物粒であって、
    前記オオムギ植物はデンプン分岐酵素IIa(Starch branching enzyme IIa(SBEIIa))の酵素活性および澱粉分岐酵素IIb(SBEIIb)の酵素活性に影響を及ぼす遺伝的変異を含む改変がなされたものであって、前記遺伝的変異が前記SBEIIaの酵素活性の阻害物質である二本鎖RNAをコードするトランスジーンであり、前記阻害物質が前記SBEIIa遺伝子RNA又はその両方を標的とするセンス配列およびアンチセンス配列を含み、
    前記オオムギ植物の胚乳での前記SBEIIaの酵素活性および前記SBEIIbの酵素活性のレベルが、前記トランスジーンを欠いているオオムギ植物の前記SBEIIa酵素活性および前記SBEIIb酵素活性のレベルと比較して低下しており、
    前記穀物粒の澱粉は、馬鈴薯アミロースおよびアミロペクチンの標準サンプルとの比較によってアミロース含有量を測定するヨウ素滴定法において、少なくとも50%(w/w)のアミロース含有量を有している穀物粒。
  2. 前記澱粉のアミロース含有量が、馬鈴薯アミロースおよびアミロペクチンの標準サンプルとの比較によってアミロース含有量を測定するヨウ素滴定法において少なくとも60%(w/w)である請求項に記載の穀物粒。
  3. 前記澱粉のアミロース含有量が、馬鈴薯アミロースおよびアミロペクチンの標準サンプルとの比較によってアミロース含有量を測定するヨウ素滴定法において少なくとも70%(w/w)である請求項に記載の穀物粒。
  4. 前記澱粉のアミロース含有量が、馬鈴薯アミロースおよびアミロペクチンの標準サンプルとの比較によってアミロース含有量を測定するヨウ素滴定法において少なくとも80%(w/w)である請求項に記載の穀物粒。
  5. 前記穀物粒は粉にされ、すりつぶされ、精白され、延ばされ、粗挽きされ、破砕されたかあるいは全粒穀物粒(whole
    grain)である請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の穀物粒。
  6. 前記澱粉のアミロース含有量が、馬鈴薯アミロースおよびアミロペクチンの標準サンプルとの比較によってアミロース含有量を測定するヨウ素滴定法において少なくとも75%(w/w)である請求項3に記載の穀物粒。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の穀物粒から得られる穀粉(flour)または全粒粉(wholemeal)。
  8. デンプン分岐酵素IIa(Starch branching enzyme IIa(SBEIIa))の酵素活性および澱粉分岐酵素SBEIIb(SBEIIb)の酵素活性に影響を及ぼす遺伝的変異を含む改変がなされ、それにより前記オオムギ植物の胚乳での前記SBEIIaの酵素活性および前記SBEIIbの酵素活性レベルが非改変のオオムギ植物の胚乳の前記SBEIIa酵素活性および前記SBEIIbの酵素活性レベルと比較して低下しているオオムギ植物であって、
    前記遺伝的変異が前記SBEIIaの酵素活性の阻害物質である二本鎖RNAをコードするトランスジーンであり、前記阻害物質が前記SBEIIa遺伝子RNA又はその両方を標的とするセンス配列およびアンチセンス配列を含むものであり、
    前記オオムギ植物の穀物粒における澱粉は、馬鈴薯アミロースおよびアミロペクチンの標準サンプルとの比較によってアミロース含有量を測定するヨウ素滴定法において少なくとも50%(w/w)のアミロース含有量を有しているオオムギ植物。
  9. 前記澱粉のアミロース含有量が、馬鈴薯アミロースおよびアミロペクチンの標準サンプルとの比較によってアミロース含有量を測定するヨウ素滴定法において少なくとも60%(w/w)である請求項に記載のオオムギ植物。
  10. 前記澱粉のアミロース含有量が、馬鈴薯アミロースおよびアミロペクチンの標準サンプルとの比較によってアミロース含有量を測定するヨウ素滴定法において少なくとも70%(w/w)である請求項に記載のオオムギ植物。
  11. 前記澱粉のアミロース含有量が、馬鈴薯アミロースおよびアミロペクチンの標準サンプルとの比較によってアミロース含有量を測定するヨウ素滴定法において少なくとも75%(w/w)である請求項10に記載のオオムギ植物。
  12. 前記澱粉のアミロース含有量が、馬鈴薯アミロースおよびアミロペクチンの標準サンプルとの比較によってアミロース含有量を測定するヨウ素滴定法において少なくとも80%(w/w)である請求項11に記載のオオムギ植物。
  13. ヨウ素滴定法による測定において少なくとも50%のアミロースを含む澱粉を有する穀物粒を生産することができるオオムギ植物の作成方法であって、前記方法が、
    )親オオムギ植物又は種子へトランスジーンを導入する工程であって、前記トランスジーンがデンプン分岐酵素IIa(starch branching enzyme IIa(SBEIIa))の活性の阻害物質である二本鎖RNAをコードし、前記阻害物質がSBEIIa遺伝子RNA又はその両方を標的とするセンス配列およびアンチセンス配列を含むものである工程;および
    b)工程a)の前記親オオムギ植物又は種子の子孫植物又は種子を同定する工程、を含み、
    前記子孫植物又は種子の胚乳の前記SBEIIa活性およびSBEIIb活性が、前記親オオムギ植物又は種子の胚乳の前記SBEIIa酵素活性および前記SBEIIb酵素活性のレベルと比較して低下しており、前記子孫植物又は種子からなる穀物粒の澱粉が、馬鈴薯アミロースおよびアミロペクチンの標準サンプルとの比較によってアミロース含有量を測定するヨウ素滴定法において少なくとも50%のアミロース含有量を有しているオオムギ植物作成方法。
  14. 請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のオオムギ穀物粒、および
    求項に記載の穀粉(flour)もしくは全粒粉(wholemeal)、
    うちのいずれかを含む食品。
  15. 前記食品はパン、ケーキ、ビスケット、増粘剤、結合剤、麦芽入り飲料、オオムギを含んだ飲料、麺類、即席スープ、シリアル、菓子類、ポテトフライからなるグループから選択される請求項14に記載の食品。
  16. 食品の製造のための使用であって
    請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のオオムギ穀物粒、および
    求項に記載の穀粉(flour)もしくは全粒粉(wholemeal)
    うちのいずれかの食品の製造のための使用。
  17. 前記食品はパン、ケーキ、ビスケット、増粘剤、結合剤、麦芽入り飲料、オオムギを含んだ飲料、麺類、即席スープ、シリアル、菓子類、ポテトフライからなるグループから選択される請求項16に記載の使用。
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