JP5457939B2 - 二重管の溶接部の検査方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、二重管の溶接部の検査方法に関する。
高速増殖炉の蒸気発生器には、安全のため改良9Cr−1Mo鋼からなる二重管の適用が検討されている。また、このような二重管として、組網線型二重管の適用も検討されている。組網線型二重管は、内管、外管と、内管と外管の隙間に挟み込まれるように配置された網状の組網線によって構成されている。
組網線型二重管を用いた高速増殖炉の蒸気発生器の場合、内管と外管との隙間(組網線部)には、ヘリウム(He)ガスが充填される。そして、組網線型二重管の外管が破損した場合には、液体ナトリウム(Na)中にヘリウムガスが流れ込むので、このヘリウムガスを検出することによって外管の破損を検出することができる。
一方、内管が破損した場合には、組網線層を通じて水蒸気がヘリウムガス中に流れ込むので、この水蒸気を検出することによって内管の破損を検出することができる。このように、組網線型二重管を用いた高速増殖炉の蒸気発生器では、リアルタイムでの健全性の評価が可能となっている。
上記構成の二重管を、高速増殖炉の蒸気発生器に使用する場合、必要とされる二重管の長さは非常に長くなる。このため、複数の二重管構成部材を、その軸方向端部で溶接し連結して必要な長さの二重管を構成する必要がある。この二重管を用いた高速増殖炉の蒸気発生器において、リアルタイムでの健全性評価を行うためには、溶接時に二重管の内管と外管との間の隙間が埋まることは許されない。このため、二重管同士を接続するための溶接方法についてレーザーを用いた各種の方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
特開平10−34373号公報 特開2009−220179号公報
上記した二重管では、二重管同士を溶接接合した溶接部の検査を行う必要がある。一般に、管の溶接部の検査を、X線を透過させてフィルムで直接撮影して行う場合、溶接部に対して所定距離(例えば、600mm程度)離れた位置に設けたX線源から溶接部に対して斜めにX線を照射して円形の溶接部の楕円状の画像を得る。しかしながら、このような方法によって二重管の溶接部の検査を行うと、内管の溶接部の画像と外管の溶接部の画像とが重なってしまい、検査を精度良く行うことができないという問題が生じる。
本発明は、上記従来の事情に対処してなされたもので、外管と内管とからなる二重管の溶接部の検査を、精度良く行うことのできる二重管の溶接部の検査方法を提供しようとするものである。
実施形態によれば、内管と外管の間に組網線層を有する複数の二重管構成部材を、軸方向端部の溶接部で溶接して連結した二重管の前記溶接部を検査する二重管の溶接部の検査方法であって、前記二重管構成部材の前記溶接部は、一方の前記二重管構成部材の前記内管を軸方向に所定長さ前記外管より長く構成し、他方の二重管構成部材の前記外管を軸方向に前記所定長さ前記内管より長く構成して、前記内管同士の溶接位置と、前記外管同士の溶接位置を前記所定長さ軸方向にずらすとともに、前記溶接部にX線源からX線を照射し、前記二重管を挟んで前記X線源とは反対側に設けられたフィルムによって撮像する。さらに、前記二重管の内径をD、前記内管の厚さをd、前記内管と前記外管との間隔をd、前記外管の厚さをd、前記外管と前記X線源との距離をL、前記外管の溶接ビードの最大幅をm、軸方向における前記X線源と前記外管の溶接ビードの前記X線源側端部との距離をm、軸方向における前記外管の溶接ビードと前記内管の溶接ビードとの最小間隔をmとした時に、
>(m+m)(D+2d+d+d)/L
を満たすようにする。
本発明によれば、外管と内管とからなる二重管の溶接部の検査を、精度良く行うことのできる二重管の溶接部の検査方法を提供することができる。
二重管の溶接方法を説明するための図。 二重管の構造を模式的に示す図。 実施形態に係る二重管の溶接部の検査方法を説明するための図。 実施形態に係る二重管の溶接部の検査方法を説明するための図。 実施例に係る二重管の溶接部のX線写真。
以下、二重管の溶接部の検査方法の実施形態について図面を参照して説明する。
まず、図1を参照して二重管100の溶接方法について説明する。二重管構成部材100a、100bは、内管4と外管5および内管4と外管5が直接接触しないように挿入された組網線6とから構成されている。この組網線6が配置された部分は、二重管の軸方向にガスを流すための間隙を有しており、二重管構成部材100aと二重管構成部材100bとを溶接する際には、この間隙にバックシールドガスとしてアルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスを流す。
二重管構成部材100a及び二重管構成部材100bの内管4同士を溶接するために、内管4の内側に挿入される溶接ヘッドは、円筒状に形成された筺体7を具備しており、筺体7内には、反射ミラー8、集光レンズ9、コリメートレンズ10が収容され、筺体7に支持されている。
また、筺体7には、溶接ヘッドにレーザー光を供給する光ファイバー13と、溶接時に反射ミラー8および集光レンズ9のスパッタ、ヒューム等による汚れを防止するためにアルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスを流すためのチュープ(例えばウレタンチューブ)12とが接続されている。なお、チューブ12と筺体7との間には、これらの間をシールするためのOリング11が配設されている。
上記構成の溶接ヘッドを用いて、二重管構成部材100a及び二重管構成部材100bの内管4同士をレーザー溶接により溶接する。また、二重管構成部材100a及び二重管構成部材100bの外管5同士を溶接する際は、これらの外側からレーザー溶接により溶接を行う。
図2は、二重管構成部材100a及び二重管構成部材100bの軸方向端部の溶接部の構成を拡大して模式的に示すものである。同図に示すように、二重管構成部材100a及び二重管構成部材100bの一方、本実施形態では二重管構成部材100aの内管4が、所定長さ(L)外管5より長く構成されている。また、他方の二重管構成部材100bは、外管5が所定長さ(L)内管4より長く構成されている。したがって、内管4の溶接位置と、外管5の溶接位置は、軸方向に沿って所定長さ(L)ずれた位置となっている。
さらに、内管4と外管5との間には、これらの内管4と外管5との間の間隔が拡がるように溝20が形成されている。一般に、組網線6が配置された部分の内管4と外管5との間隔は、非常に狭く、例えば0.4mm程度とされている。これに対して、溝20の部分における内管4と外管5との間隔は、例えば0.8mm程度等とされ、内管4と外管5との間の間隔が拡がった構成となっている。この溝20は、例えば、内管4の外側面を切削するとともに、外管5の内側面を切削することによって形成することができる。このように内管4及び外管5を切削することによって、これらの表面に形成された酸化被膜等を溶接前に除去することができ、酸化被膜等を溶接に悪影響を与えることを防止することができる。
図3は、二重管の溶接部の検査を、X線撮影によって行う際の構成を模式的に示したものである。この場合、二重管100の溶接部にX線源30からX線を照射し、二重管100を挟んでX線源30とは反対側に設けられたフィルム31によって撮像する。この時、X線源30とX線源30に近い外管溶接ビード41を結んだ線の延長線上に、X線源30から遠い外管溶接ビード42がある場合、二重壁両面観察方法では溶接ビード位置がフィルム31上で重なってしまう。
X線源30に近い外管溶接ビード41と、X線源30から遠い外管溶接ビード42の撮影画像がフィルム31上で重ならないためには、次のようにする必要がある。すなわち、X線源30からフィルム31面上に下ろした垂線50と、X線源30に近い外管溶接ビード41のX線源30に近い側の端部のフィルム31面上での投影位置とX線源30とを結ぶ線51とがなす角θが、垂線50とX線源30から遠い外管溶接ビード42のX線源30から遠い側の端部のフィルム31面上での投影位置とX線源30とを結ぶ線52とがなす角θよりも大きくなればよい。
二重管内径をD、X線源30と外管5(X線源30に近い側)との距離をL、外管5の溶接ビードの最大幅をm、X線源30とX線源30に近い外管溶接ビード41のX線源30に近い側の端部との軸方向における距離(Lと直交する方向の距離)をm、内管4の厚さをd、内管4と外管5の間隔をd、外管5の厚さをd、とすると、次式を満たすときにフィルム31面上で溶接部のビードが重ならないこととなる。
/L>(m+m)/(L+D+2d+2d+d)
これよりmは下式を満足している必要がある。
> Lm/(D+2d+2d+d
また、JISZ3106−2001の二重壁両面観察方法における線源の移動距離の規定から
≦L/4
とする必要があり、mは、
L/4≧m> Lm/(D+2d+2d+d
とする。
次に、内管溶接部の溶接ビード位置と外管溶接部の溶接ビード位置がフィルム31上で重ならないようにする条件について説明する。図4に示すように、X線源30からフィルム31面上に下ろした垂線50と、X線源30から遠い内管溶接ビード43のX線源30に近い側の端部のフィルム面上での投影位置とX線源30とを結ぶ線52とがなす角θが、垂線50と、X線源30に近い外管溶接ビード41のX線源30から遠い側の端部のフィルム31面上での投影位置とX線源30とを結ぶ線53とがなす角θよりも大きい場合、内管溶接部の溶接ビードと外管溶接部のビードの撮影画像がフィルム31上で重ならない。
上記した各要素に加えて、軸方向における外管溶接ビードと内管溶接ビードとの最小間隔をmとすると、次式を満たすときにフィルム面上で内管溶接ビードと外管溶接ビードが重ならない。
(m+m+m)/(L+D+2d+d+d)>(m+m)/L
上式を変形すると、
>(m+m)(D+2d+d+d)/L
となる。
上記の式を満たすように、mの値を設定することによって、二重壁両面撮影報を用いた放射線透過試験においてフィルム31上に写る外管溶接ビードと内管溶接ビードが重ならないようにすることができる。すなわち、放射線透過試験の二重壁両面撮影法においてフィルム31上に内管4と外管5の溶接部として完全に分離したリング状の像を得ることができ、欠陥の判定を容易に、かつ、精度良く行うことができる。
実際に、内径17.8mm、外径32mm、内管肉厚3mm、外管肉厚3mmの二重管をレーザーによってキーホール溶接を行ったものについて、二重壁両面撮影を行った。X線源30と二重管外管(X線源30に近い側)との距離(L)が600mm、X線源30とX線源30に近い外管溶接ビード41のX線源30に近い側の端部との軸方向距離(Lと直交する方向の距離)(m)が10mm、外管溶接部の最大ビード幅(m)が例えば3mmの場合、上述の式によれば、内管と外管の最も近い溶接ビード間隔(m)が約1mm以上であれば、二重壁両面撮影写真において内管溶接部と外管溶接部の分離が可能である。
図5に示す写真は、上記の寸法の二重管を、内管と外管の管長手方向の開先位置を5mm離し、上記の条件で二重壁両面撮影を行ったものである。図5の写真に示されるように、写真上において、内管のビード位置と外管のビード位置は完全に分離していた。したがって、内管の溶接部の欠陥の同定と、外管の溶接部の欠陥の同定を、一枚の写真によって、個別に精度良く行うことができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能であることは、勿論である。
4……内管、5……外管、30……X線源、31……フィルム、41,42……外管溶接ビード、43……内管溶接ビード、100……二重管。

Claims (2)

  1. 内管と外管の間に組網線層を有する複数の二重管構成部材を、軸方向端部の溶接部で溶接して連結した二重管の前記溶接部を検査する二重管の溶接部の検査方法であって、
    前記二重管構成部材の前記溶接部は、一方の前記二重管構成部材の前記内管を軸方向に所定長さ前記外管より長く構成し、他方の二重管構成部材の前記外管を軸方向に前記所定長さ前記内管より長く構成して、前記内管同士の溶接位置と、前記外管同士の溶接位置を前記所定長さ軸方向にずらすとともに、
    前記溶接部にX線源からX線を照射し、前記二重管を挟んで前記X線源とは反対側に設けられたフィルムによって撮像し、かつ、
    前記二重管の内径をD、前記内管の厚さをd、前記内管と前記外管との間隔をd、前記外管の厚さをd、前記外管と前記X線源との距離をL、前記外管の溶接ビードの最大幅をm、軸方向における前記X線源と前記外管の溶接ビードの前記X線源側端部との距離をm、軸方向における前記外管の溶接ビードと前記内管の溶接ビードとの最小間隔をmとした時に、
    >(m+m)(D+2d+d+d)/L
    を満たすようにした
    ことを特徴とする二重管の溶接部の検査方法。
  2. 請求項1記載の二重管の溶接部の検査方法であって、さらに、
    > Lm/(D+2d+2d+d
    を満たすようにした
    ことを特徴とする二重管の溶接部の検査方法。
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