JP5457330B2 - 錠装置及び建具 - Google Patents

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Description

本発明は、錠装置及びこの錠装置を適用した建具に関するものである。
開口枠に対してガラス窓や扉等の障子を開閉可能に支持させた建具には、開口枠と障子との間に複数の係合手段を備え、障子の框に設けられたハンドルの操作により、これらの係合手段を同時に係合状態と非係合状態とに切り替えるようにした錠装置を備えるものがある。
例えば、障子の戸先側に位置する縦框と開口枠との間に上下2つの係合手段を備える錠装置では、戸先側に位置する縦框の内部に作動機構が設けられている。作動機構は、縦框に設けたハンドルによって操作されるもので、2つの係合手段の間に配設されている。作動機構には、ギア及びスライダが設けられている。
ギアは、円板状を成し、その周端部に歯が形成されている。このギアの中心部には角状の貫通孔が形成されており、この貫通孔をハンドルに連結された角軸が貫通している。ここで角軸は、ハンドルの操作に応じて自身の中心軸回りに回転するものであり、これによりギアも角軸とともに回転することになる。
スライダは、ギアに形成された歯の一部と噛合し、該ギアの回転に応じて、すなわちハンドルの操作に応じて縦框に対して上下方向に沿ってスライド移動されるものである。スライダは、各係合手段に連係されており、上下方向にスライド移動することにより係合手段を同時に切替動作させることができる。
上記のように構成された錠装置では、開口枠に対して障子を閉じた状態からハンドルを一方側に操作すると、ギアが角軸とともに回転してスライダが縦框に対して例えば上方に向けてスライド移動し、2つの係合手段がそれぞれ開口枠に係合した係合状態となり、開口枠に対して障子を閉じた状態に維持することができる。一方、上述の状態からハンドルを他方側に操作すると、ギアが角軸とともに回転してスライダが縦框に対して例えば下方に向けてスライド移動し、2つの係合手段がそれぞれ開口枠から解除された非係合状態となる。従って、障子を開方向に移動させれば、開口枠に対して障子を開けることができるようになる。
この種の錠装置を備えた建具によれば、開口枠に対して障子が複数個所で係合した状態になるため、堅牢性を高めることができるばかりでなく、適用する構造物の気密性を向上させることができる。
上述した錠装置では、操作部であるハンドルが縦框の室内側の見付け面に取り付けられており、作動機構を構成するスライダが該縦框の見込み面部外側に設けられていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−231832号公報
ところで、上述したような錠装置とは異なり、操作部であるハンドルが戸先側に位置する縦框(戸先框)の見込み面部内側に取り付けられた錠装置も知られている。
このような錠装置では、上述した特許文献1の構成を採用することができず、ハンドル、ギア及びスライダが該縦框の内側(面内方向内側)から外側(面内方向外側)に向けて略直線上に配置されることとなる。ここで、角軸はその製造上の観点より、先端部よりも中央部や基端部の方が寸法精度が高く、更に角軸をギアに挿入する際の組立性を考慮して先端に面取り処理が施されているという特性がある。そのため、角軸に貫通されるギアは、該角軸の中央部や基端部側に位置することで、ハンドルの操作で角軸とともに該角軸の中心軸回りに良好に回転することができる。よって、ギアを貫通した角軸の先端部がスライダに干渉しないよう、ギアとスライダとの間に十分な間隙を設ける必要があった。
従って、ハンドルが戸先框の見込み面部内側に取り付けられた錠装置では、ギアとスライダとの間に十分な間隙が必要となる結果、装置全体の厚みが大きくなってしまい、仮に十分な間隙を確保するためにハンドルの台座部の厚みを大きくすると意匠性が悪くなってしまう問題があった。
本発明は、上記実情に鑑みて、取り付けられる框の面内方向内側から面内方向外側における装置全体の厚みを小さくすることができるとともに、意匠性の向上を図ることができる錠装置及びこの錠装置を備えた建具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る錠装置は、カバー取付ネジによって框の見込み面に取り付けられるカバーと、操作部の操作に応じて中心軸回りに回転する角軸が自身の貫通孔を貫通するよう、前記カバーに取り付けられたベースの収納部に収納されて設けられ、かつ前記角軸とともに回転するギアと、前記ベースに対向するよう設けられ、かつ一部が屈曲されることで構成された屈曲片が前記ギアの周端部に形成された歯と噛合することで該ギアの回転に応じてスライド移動するスライダとを備え、前記スライダのスライド移動により開口枠に対して係合状態と非係合状態とに切り替えるようにした錠装置であって、前記スライダは、前記ギアを貫通した前記角軸の先端部が挿通する挿通孔を有して成り、前記収納部を構成し、かつ前記ギアと前記スライダとの互いに対向する面の間に介在してこれらが互いに接することを規制する規制部を備えたことを特徴とする。
これによれば、スライダは、ギアを貫通した角軸の先端部が挿通する挿通孔を有して成るので、これによりギアとスライダとを互いに近接させることができる。しかも、規制部がギアとスライダとの間に介在してこれらが互いに接することを規制するので、ギアの歯がスライダの挿通孔に干渉してしまうことを防止することができる。
た本発明は、上記錠装置において、前記挿通孔は、前記スライダのスライド移動方向に長尺な長孔形状を有し、前記規制部は、前記スライダのスライド移動方向の一方側及び他方側に向けてそれぞれ突出するよう設けたことを特徴とする。
これによっても、角軸やギアに対してスライダが相対的にスライド移動した際において、角軸の先端部やギアの縁がスライダと干渉することを確実に防止することができる。
また、本発明に係る建具は、開口枠と框との間に上記錠装置を適用したことを特徴とする。
これによれば、スライダは、ギアを貫通した角軸の先端部が挿通する挿通孔を有して成るので、これによりギアとスライダとを互いに近接させることができる。しかも、規制部がギアとスライダとの間に介在してこれらが互いに接することを規制するので、ギアの歯がスライダの挿通孔に干渉してしまうことを防止することができ、錠装置の面内方向内側から面内方向外側における大きさを小さくでき、またこれにより操作部の台座部等を大きくすることがない。
本発明によれば、ギアとスライダとを互いに近接させることができ、しかもギアの歯がスライダの挿通孔に干渉してしまうことがないので大きさを小さくでき、操作部の台座部等を大きくすることがない。よって、装置全体の厚みを小さくすることができ、意匠性の向上を図ることができるという効果を奏する。
本発明の実施の形態である錠装置が適用された建具、すなわち本実施の形態である建具を室内側から示す説明図である。 図1に示した縦框の見込み面内方向外側を示す説明図である。 図2のA−A線断面図である。 図3に示した構成の分解斜視図である。 図4に示したハンドル機構部の分解斜視図である。 図5に示したハンドル機構部を構成するハンドルユニットの組み立て手順を示す説明図である。 図5に示したハンドル機構部を構成するハンドルユニットの組み立て手順を示す説明図である。 図5に示したハンドル機構部を構成するハンドルユニットの組み立て手順を示す説明図である。 図5に示したハンドル機構部を構成するハンドルユニットの組み立て手順を示す説明図である。 図4に示した作動機構部の分解斜視図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る錠装置及び建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である錠装置が適用された建具、すなわち本実施の形態である建具を室内側から示す説明図である。ここで例示する建具は、開口枠10と障子20とを備えて構成してある。
開口枠10は、アルミニウムの押し出し材である上枠11、下枠12及び一対の縦枠13a,13bを四周枠組みすることによって構成した矩形状を成すものである。障子20は、アルミニウムの押し出し材である上框21、下框22及び一対の縦框23a,23bを四周框組みし、かつこれら上框21、下框22及び一対の縦框23a,23bの間にガラス板等の面材24を配設することによって構成したものである。
このような障子20は、開口枠10の内部に配置された場合に開口枠10の開口を閉塞することのできる大きさに構成してある。本実施の形態の障子20は、一方の縦框23aと一方の縦枠13aとの間に介在させたヒンジ1によって開口枠10に支持させてあり、上下方向に沿ったヒンジ1軸の軸回りに回転することによって開口枠10の開口を開閉することが可能である。
図2は、図1に示した縦框の見込み面内方向外側を示す説明図であり、図3は、図2のA−A線断面図であり、図4は、図3に示した構成の分解斜視図である。
上記障子20には、図1〜図4に示すように、戸先側に位置する縦框(以下、戸先框ともいう)23bにおいて開口枠10の縦枠13bに対向する外側の見込み面(以下、戸先面ともいう)23b1にスライドガイド25が設けてあるとともに、該戸先框23bにおける内側の見込み面(以下、内側見込み面ともいう)23b2にハンドル取付凹部26及びボタン取付凹部27が設けてある。尚、本実施の形態においては、戸先框23bにおける面材24側を面内方向内側とし、戸先框23bにおける縦枠13b側を面内方向外側とも適宜称して説明する。
スライドガイド25は、戸先框23bの戸先面23b1において室内側に位置する領域に長手方向に沿って設けたものである。このスライドガイド25は、戸先框23bと一体であり、戸先框23bを押し出し成形する際に同時に成形したものである。
ハンドル取付凹部26は、内側見込み面23b2においてスライドガイド25の反対側に設けてあり、該凹部の底部分には通過孔26aが形成してある。ボタン取付凹部27は、ハンドル取付凹部26の下方側に設けてある。
また、この障子20には、図1〜図4に示すように、戸先框23bに錠装置30が設けてある。錠装置30は、開口枠10の縦枠13bに設けた図示せぬロック受部に対して係合状態と非係合状態とに切り替わり、係合状態となった場合に開口枠10に対して障子20を閉じた状態に維持するためのもので、ハンドル機構部40及び作動機構部60を備えて構成してある。
図5は、図4に示したハンドル機構部の分解斜視図である。ここで例示するハンドル機構部40は、いわゆるフリップハンドルと称されるもので、ハンドルユニット40a及びボタンユニット50aを備えて構成してあり、ハンドルベース31を介して戸先框23bの内側見込み面23b2に取り付けられるものである。ここでハンドルベース31は、上下方向が長手方向となる長尺状のものであり、ハンドルユニット40a及びボタンユニット50aのそれぞれの構成要素が貫通する開口が形成してある。
ハンドルユニット40aは、操作ハンドル(操作部)41、角軸構成部42及び一対のワッシャー43a,43bを備えて構成してある。操作ハンドル41は、操作者が把持する把持部41aを有するとともに、基端部には面内方向外側(角軸構成部42側)に突出する2つのハンドル取付片41bが設けてある。これらハンドル取付片41bには、取付孔41cが形成してある。
角軸構成部42は、平板状の基部42aと、該基部42aから面内方向外側に突出する四角柱状の角軸42bと、該基部42aから面内方向内側(操作ハンドル41側)に突出する2つの角軸取付片42cとを有して成るものである。これら角軸取付片42cは、上記ハンドル取付片41bよりも幅狭に形成されており、それぞれに取付孔42dが形成してある。基部42aには、径外側に突出する規制突起42a1が形成してある。規制突起42a1は、操作ハンドル41の回転を約90°で停止させるためのものである。
一対のワッシャー43a,43bは、それぞれ弾性材料から形成され、角軸構成部42を面内方向内側と面内方向外側とから挟み込む(錠装置30の厚み方向で挟み込む)よう設けてある。これら一対のワッシャー43a,43bは、互いに嵌合可能なようにそれぞれに嵌合凹凸が設けてある。また、一対のワッシャー43a,43bのうち面内方向内側のワッシャー(以下、第1ワッシャーともいう)43aには、面内方向内側に突出する抜止片43a1が形成してあり、面内方向外側のワッシャー(以下、第2ワッシャー43bともいう)には、上記角軸42bが貫通可能な角孔43b1が形成してある。図5中の符号44及び45は、それぞれ角軸ベース及び角軸カバーであり、角軸ベース44には、角軸42bが貫通可能な孔が形成してあり、角軸カバー45には、第1ワッシャー43aの抜止片43a1及び角軸構成部42の角軸取付片42cが貫通可能な孔が形成してある。また、角軸ベース44には、上方に突出する係止突起44aが設けてある。
図6〜図9は、それぞれ図5に示したハンドル機構部を構成するハンドルユニットの組み立て手順を示す説明図である。これら図6〜図9を適宜参照しながらハンドルユニットの組み立て手順を説明する。尚、これら図6〜図9においては、ハンドルベース31の図示を省略している。
図5に示す状態から図6に示すように、角軸構成部42、第1ワッシャー43a、角軸カバー45及び操作ハンドル41を重ね合わせる。このとき角軸カバー45の孔を角軸構成部42の角軸取付片42c及び第1ワッシャー43aの抜止片43a1が貫通し、該角軸カバー45の面内方向内側において角軸取付片42cがハンドル取付片41bの間において互いの取付孔41c,42dが一致するようにする。尚、後述するピン部材47が最初に通過する取付孔42dと、第1ワッシャー43aの抜止片43a1とが対向しないように、角軸42bの中心軸回りに第1ワッシャー43aを回転させた状態で重ね合わせる。また、角軸取付片42c間にはねじりコイルバネ46を挿入する。尚、この図6には示していないが、操作ハンドル41は、ハンドルベース31の面内方向内側から重ね合わせるようにしており、操作ハンドル41と角軸カバー45との間には、ハンドルベース31が介在している。
図6に示す状態から、互いに重なり合ったハンドル取付片41b及び角軸取付片42cの取付孔41c,42dにピン部材47を挿通させる。この場合において、ねじりコイルバネ46の巻回部分にもピン部材47を挿通させる。ここでピン部材47は、頭部が拡径となっており、自身が取付孔41c,42dを完全に貫通してしまうことがない。つまり、ピン部材47を挿入する際に最初に通過する取付孔41cにピン部材47の頭部が係止されるため、ピン部材47の挿入が完了した状態ではこの頭部が露出することになる。
このようにハンドル取付片41b及び角軸取付片42cの取付孔41c,42dをピン部材47が挿通し、しかも角軸取付片42c間に挿入させたねじりコイルバネ46の巻回部分にもピン部材47が挿通する結果、操作ハンドル41は、角軸構成部42から離間するようピン部材47の中心軸回りに付勢されることになる。
その後、図7に示すように、第1ワッシャー43aを角軸構成部42における角軸42bの中心軸回りに回転させて、第1ワッシャー43aをピン部材47の頭部と対向させることで、抜止片43a1がピン部材47の頭部を覆うことができる。これにより、ピン部材47が操作ハンドル41の操作等により抜けてしまうことを防止することができる。
図7に示す状態から図8に示すように、第2ワッシャー43bの角孔43b1及び角軸ベース44の孔のそれぞれに角軸構成部42の角軸42bが相対的に進入するよう第2ワッシャー43b及び角軸ベース44を組み合わせ、図9に示すように、第2ワッシャー43bを第1ワッシャー43aに嵌合させつつ、角軸カバー45を角軸ベース44に嵌合させる。その後、図5に示すように、ハンドルユニット取付ネジ48で互いに嵌合する角軸ベース44及び角軸カバー45をハンドルベース31に取り付ける。
このような構成のハンドルユニット40aでは、操作ハンドル41の操作により角軸構成部42の角軸42bが自身の中心軸回りに所定角度(0°〜90°)の間で回転可能となっている。
ボタンユニット50aは、操作ボタン51及びボタンベース52を備えて構成してある。操作ボタン51は、面内方向内側の面が操作者が操作する操作面となっており、面内方向外側に突出する2つのボタン取付片51aが設けてある。これらボタン取付片51aには、取付孔51bが形成してあるとともに、上方に向けて突出するストップ片51cが形成してある。このストップ片51cは、ボタンの位置決めのためのものである。
ボタンベース52は、中央部に操作ボタン51のボタン取付片51aが進入可能な開口が形成してあるとともに、面内方向内側に向けて突出する2つのベース取付片52aが設けてある。これらベース取付片52aは、上記ボタン取付片51aよりも幅広に形成されており、それぞれに取付孔52bが形成してある。
このような構成を有するボタンユニット50aは、ハンドルベース31を介在させた状態で、ボタンベース52及び操作ボタン51を重ね合わせる。このときハンドルベース31の開口をボタンベース52のベース取付片52aが貫通し、ハンドルベース31の面内方向内側においてボタン取付片51aがベース取付片52aの間において互いの取付孔51b,52bが一致するようにする。また、ボタン取付片51a間にはねじりコイルバネ53を挿入する。そして、互いに重なり合ったボタン取付片51a及びベース取付片52aの取付孔51b,52bにピン部材54を挿通させる。この場合において、ねじりコイルバネ53の巻回部分にもピン部材54を挿通させる。ここでピン部材54は、頭部が拡径となっており、自身が取付孔51b,52bを完全に貫通してしまうことがない。その後、ボタンベース取付ネジ55でボタンベース52をハンドルベース31に取り付ける。
詳細な説明は割愛するが、このようなボタンユニット50aは、ねじりコイルバネ53により、操作ボタン51がピン部材54の中心軸回りに面内方向内側に向けて付勢されている。従って、操作ボタン51の上端部が操作ハンドル41の下端部に係合している場合には、操作ボタン51がねじりコイルバネ53の付勢力によりピン部材54の中心軸回りに回動することを規制している。その後、操作ボタン51の操作面が操作者により押圧されて該操作ボタン51がねじりコイルバネ53の付勢力に抗してピン部材54の中心軸回りに面内方向外側に向けて回動すると、該操作ボタン51の上端部と操作ハンドル41の下端部との係合状態が解除される。そうすると、操作ハンドル41はフリーな状態となり、ねじりコイルバネ46に付勢されてピン部材47の中心軸回りに面内方向内側に向けて回動し、操作者が把持部41aを把持して操作ハンドル41を操作することが可能になる。
上述したハンドルユニット40a及びボタンユニット50aが取り付けられたハンドルベース31は、図4に示すように、ハンドル取付凹部26及びボタン取付凹部27を覆うよう図示せぬネジにより戸先框23bの内側見込み面23b2に取り付けられている。このとき、ハンドルユニット40aを構成する角軸42bがハンドル取付凹部26の開口26aを貫通している。また、角軸ベース44の係止突起44aを戸先框23bにおけるハンドル取付凹部26の上縁部に係止させてある。
作動機構部60は、図3及び図4に示すように、戸先框23bの戸先面23b1のスライドガイド25に取り付けてあり、図10に示すように、カバー61、ベース62、ギア63及びスライダ64を備えて構成してある。
カバー61は、カバー取付ネジ61a(図2参照)によって戸先框23bのスライドガイド25に取り付けられ、該戸先框23bとの間に移動空間を確保するものである。
ベース62は、ベース取付ネジ62aによってカバー61に移動空間を確保するよう取り付けられており、その中央部にハンドル機構部40を構成する角軸42bが貫通することを許容する円孔62bが形成してある。このようなベース62には、該円孔62bが形成された個所の面内方向外側に、すなわちカバー61側にギア63を収納する収納部62dが形成してある。
収納部62dは、室外側(室内外方向一方側)からギア63の進入を許容するものであり、面内方向外側端部の上端部及び下端部には、それぞれ下方及び上方に向けて突出する規制片62d1,62d2が一体的に設けてある。
ギア63は、円板状を成しており、その周端面に歯が形成してある。このギア63の中心部には、角状の貫通孔63aが形成してある。この貫通孔63aは、ベース62の円孔62bを貫通するハンドル機構部40の角軸42bに適合する大きさを有している。このようなギア63は、該角軸42bが中心軸回りに回転することにより、該角軸42bと一体的に回転するものである。ここで角軸42bは、上述したように操作ハンドル41の操作により所定の角度の間で回転するものであるから、ギア63も操作ハンドル41の操作によって角軸42bとともに回転するものである。
スライダ64は、上下方向(スライド移動方向)が長手方向となる長尺状部材であり、適宜屈曲加工を施すことにより構成してある。このスライダ64は、室外側端部(室内外方向一方側端部)が面内方向内側に屈曲する屈曲片64aが形成してあり、かかる屈曲片64aには、ギア63の歯の一部と噛合可能な係止孔64a1が上下方向(スライド移動方向)に沿って複数形成してある。
このようなスライダ64は、屈曲片64aの係止孔64a1がギア63の歯の一部と噛合しており、ギア63が角軸42bの中心軸回りに所定角度の間で回転することにより上下方向に沿ってスライド移動することになる。また、スライダ64の上端部及び下端部には、それぞれピン65を介してロッキングバー66が連結してあり、これらロッキングバー66にはそれぞれロックピン67が固定されており、戸先框23bに固定されたバーガイド68内をロッキングバー66が挿通可能に装着してある。このようなロッキングバー66及びバーガイド68の構成は従来公知のものであり、障子20の開閉に応じて縦枠13bに設けられた図示せぬロック受部にロックピン67が進入あるいは離脱することを許容若しくは規制するものである。
上記スライダ64には、その中央部に上下方向(スライダ64のスライド移動方向)が長手方向となる挿通孔64bが形成してある。この挿通孔64bは、ギア63の貫通孔63aを貫通する角軸42bの先端部を挿通させるためのものである。また、上下方向が長手方向となるようにしてあるのは、該挿通孔64bを角軸42bの先端部が挿通した状態で、スライダ64が上下方向に沿ってスライド移動できるようにしたためである。
以上のような構成を有する錠装置30においては、開口枠10に対して障子20を閉じた状態から操作ハンドル41を下方側に向けて約90°操作すると、ギア63が角軸42bとともに回転してスライダ64が縦框(戸先框)23bに対して例えば上方に向けてスライド移動し、これによりロッキングバー66も上方に向けてスライド移動し、開口枠10の縦枠13bに設けたロック受部からロックピン67が離脱することを規制することで該開口枠10に係合した係合状態となる。これにより、開口枠10に対して障子20を閉じた状態に維持することができる。
一方、上述した状態から操作ハンドル41を上方側に向けて約90°操作すると、ギア63が角軸42bとともに回転してスライダ64が縦框23bに対して例えば下方に向けてスライド移動し、これによりロッキングバー66も下方に向けてスライド移動し、ロック受部からロックピン67が離脱することを許容することで障子20が開口枠10から解除された非係合状態となる。従って、障子20を開方向に移動させれば、開口枠10に対して障子20を開けることができる。
ところで、上述した錠装置30では、スライダ64に挿通孔64bが形成してあるので、ギア63の貫通孔63aを貫通した角軸42bの先端部を挿通させることができ、これによりギア63とスライダ64とを互いに近接させることができる。しかもベース62の収納部62dには、規制片62d1,62d2が設けてあるので、かかる規制片62d1,62d2がギア63とスライダ64との間に介在してこれらが互いに接することを規制するので、例えばギア63の歯がスライダ64の挿通孔64bに干渉してしまうことを防止することができる。
従って、本実施の形態である錠装置30によれば、ギア63とスライダ64とを互いに近接させることができ、しかもギア63の歯がスライダ64の挿通孔64bに干渉してしまうことがないので、戸先框23bの面内方向内側から面内方向外側における大きさを小さくでき、またこれにより操作ハンドル41の台座部等を大きくすることがない。よって、戸先框23bの面内方向内側から面内方向外側における装置全体の厚みを小さくすることができるとともに、意匠性の向上を図ることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。すなわち、上述した実施の形態では、ギア63とスライダ64との間に介在し、かつこれらが互いに接することを規制する規制片62d1,62d2がベース62に設けてあったが、本発明においては、ギア63とスライダ64との間に介在し、かつこれらが互いに接することを規制する規制部は、ベース62に設けられている必要はなく、種々の個所に設けることができる。
10 開口枠
20 障子
23b 縦框(戸先框)
23b1 戸先面
23b2 内側見込み面
30 錠装置
40 ハンドル機構部
40a ハンドルユニット
41 操作ハンドル(操作部)
42 角軸構成部
43a 第1ワッシャー
42b 角軸
50a ボタンユニット
60 作動機構部
61 カバー
61a カバー取付ネジ
62 ベース
62a ベース取付ネジ
62b 円孔
62d 収納部
62d1 規制片
62d2 規制片
63 ギア
63a 貫通孔
64 スライダ
64a 屈曲片
64a1 係止孔
64b 挿通孔
66 ロッキングバー
68 バーガイド

Claims (3)

  1. カバー取付ネジによって框の見込み面に取り付けられるカバーと、
    操作部の操作に応じて中心軸回りに回転する角軸が自身の貫通孔を貫通するよう、前記カバーに取り付けられたベースの収納部に収納されて設けられ、かつ前記角軸とともに回転するギアと、
    前記ベースに対向するよう設けられ、かつ一部が屈曲されることで構成された屈曲片が前記ギアの周端部に形成された歯と噛合することで該ギアの回転に応じてスライド移動するスライダと
    を備え、
    前記スライダのスライド移動により開口枠に対して係合状態と非係合状態とに切り替えるようにした錠装置であって、
    前記スライダは、前記ギアを貫通した前記角軸の先端部が挿通する挿通孔を有して成り、
    前記収納部を構成し、かつ前記ギアと前記スライダとの互いに対向する面の間に介在してこれらが互いに接することを規制する規制部を備えたことを特徴とする錠装置。
  2. 前記挿通孔は、前記スライダのスライド移動方向に長尺な長孔形状を有し、
    前記規制部は、前記スライダのスライド移動方向の一方側及び他方側に向けてそれぞれ突出するよう設けたことを特徴とする請求項1に記載の錠装置。
  3. 開口枠と框との間に請求項1又は請求項2に記載の錠装置を適用したことを特徴とする建具。
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