最初に、図1〜図8を参照して、建物壁Wに水平方向に形成された見切材100を跨いで配線・配管されたエアコン用の冷媒管101,102、ホース103,104、ケーブル105等の配線・配管材を収容する保護カバー装置A1 について説明する。図1は、保護カバー装置A1 により配線・配管材が収容保護された状態の正面図であり、図2〜4は、それぞれ図1のX1 −X1 線、X2 −X2 線及びX3 −X3 線の各断面図であり、図5は、図1のY−Y線断面図であり、図6は、保護カバー接続具J1 を構成するベース体V11とカバー体K11の分離状態の斜視図であり、図7は、ベース体V11を底面の側から見た斜視図であり、図8(a),(b)は、それぞれベース体V11の縦断面図及び横断面図であり、同(c)は、同(a)のZ−Z線拡大断面図である。
図1〜図4に示されるように、建物壁Wには、段差部となる見切材100が水平方向に沿って固定されていて、保護カバー装置A1 は、前記見切材100を挟んで端部C1aが対向配置されるように、建物壁Wに沿って上下方向に配置される2本の直状保護カバーC1 と、各直状保護カバーC1 の端部C1aの外側に嵌め込まれて、各直状保護カバーC1 を接続する保護カバー接続具J1 とから成る。直状保護カバーC1 は、樹脂の押出成形品であって、配線・配管材を内部に収容して建物壁Wに固定されるベース体V21と、当該ベース体V21の開口51(図10参照)を閉塞すべく、当該ベース体V21に覆蓋されるカバー体K21とから成る。ベース体V21は、内部に配線・配管材を収容する前に、底板部52がビス(図示せず)を介して建物壁Wに固定され、当該ベース体V21の開口51をカバー体K21で覆蓋した状態で、即ち、ベース体V21に対してカバー体K21を組み付けた状態で、ベース体V21の両側板部53の外側に形成された被係止突条54と、カバー体K21の開口側の端部の内側に設けられた係止突条55とが係止されて、カバー体K21が容易には外れなくなる。ベース体V21にカバー体K21を組み付けることにより形成される内部空間は、配線・配管材の収容空間S21となる。なお、ベース体V21の各側板部53の内側であって、その下端よりも僅かに上方の部分には、当該ベース体V21を、後述の保護カバー接続具J1 のベース体V11と接続させる際に、当該ベース体V11に対する前記ベース体V21の幅方向の位置を定めるための幅規制突起56が設けられている。
次に、図1〜図8を参照して、見切材100を挟んで各端部C1aが対向配置された2本の直状保護カバーC1 を接続する保護カバー接続具J1 について説明する。保護カバー接続具J1 は、前記見切材100を回避して建物壁Wに固定可能とする凹部6が当該建物壁Wと対向して形成されたベース体V11と、前記した2本の直状保護カバーC1 の各端部C1aを外側から覆った形態で、前記ベース体V11に組み付けられるカバー体K11とから成る。ベース体V11及びカバー体K11は、いずれも樹脂の射出成形により成形される。ベース体V11は、図6〜図8に示されるように、底板部2の幅方向(配線・配管材の配設方向Pと直交する方向)の両端部の僅かに内側に、収容される配線・配管材が幅方向の外側に移動するのを規制する規制板部3が全長に亘ってそれぞれ形成され、前記底板部2における各規制板部3の外側であって、しかも前記配設方向Pの中央部には、被係止突起4を形成するための厚板状の被係止突起形成板部5が起立して形成され、当該被係合突起形成板部5の上端部の内方に被係止突起4が形成されている。ベース体V11の底板部2の配設方向Pに沿った両端部は、建物壁Wに固定される固定板部2aとなっていて、底板部2の大部分を占める配設方向Pに沿った中央部は、前記固定板部2aに対して凹部6の深さ(D)だけ高い位置に配置された嵩上げ板部2bとなっており、当該嵩上げ板部2bの配設方向Pの両端部と、前記各固定板部2aとは、それぞれ傾斜板部2cで接続されている。この結果、建物壁Wにベース体V11を固定した状態において、当該建物壁Wと前記嵩上げ板部2b及び各傾斜板部2cとの間には、前記見切材100を回避可能な凹部6が形成される。底板部2の各固定板部2aの配設方向Pと直交する方向の中央部には、ベース体V11の全体を建物壁Wに固定するためのビス91(図5参照)を挿通させる1つのビス挿通孔9がそれぞれ形成されている。底板部2の幅方向の両端部の僅かに内側に配設方向Pに沿って形成された左右一対の規制板部3は、当該底板部2の縦断面形状に倣っている。
また、左右一対の規制板部3の長手方向である配線・配管材の配設方向Pの両端部は、底板部2の同方向Pの両端部を所定長だけ延出して設けられていて、当該延出板部3aの下端部には、幅方向の中心に向けてガイド板部7が水平に設けられている。当該ガイド板部7は、2本の直状保護カバーC1 を接続する際に、そのベース体V21の底板部52の端面を、保護カバー接続具J1 のベース体V11の底板部2の端面に当接させた状態で、当該ベース体V11の底板部2の上面に配置される部分であって(図4参照)、直状保護カバーC1 のベース体V21の底板部52と、保護カバー接続具J1 のベース体V11の底板部2とを無段差で接続可能とする部分である。また、底板部2の配設方向Pに沿った両端部であって、しかも左右一対の規制板部3の外側には、当該保護カバー接続具J1 のベース体V11に対して直状保護カバーC1 のベース体V21を接続させる際に、当該ベース体V21の各側板部53の端面を当接させて(図10参照)、両ベース体V11,V21の接続状態を安定化させるためのベース体当接板部8が起立して形成されている。当該ベース体当接板部8の上端は、規制板部3の上端とほぼ一致している。
また、ベース体V11の底板部2を嵩上げすることにより、当該ベース体V11を建物壁Wに固定した状態で、建物壁Wに設けられた種々の段差部を回避するための凹部6がベース体V11に形成されているが、当該凹部6の大きさである配設方向Pに沿った長さ及び高さは、ベース体V11の大きさを基準として予測される最大のものに対応させることが望ましい。このため、多くの場合には、凹部6の配設方向Pに沿った長さは、長過ぎて余分の凹部が残存することがあって、残存凹部は、外観を低下させる。そこで、残存凹部を最小にして良好な外観を確保すべく、前記凹部6の長手方向の両端部は、折取り可能な閉塞用薄板部11で覆われて、前後の各閉塞用薄板部11の間には、横長方形状の開口12が形成されている。図7及び図8に示されるように、閉塞用薄板部11の内側には、折取りを容易にするための断面V字状をした折取り溝13aが配設方向Pに沿って一定間隔をおいて嵩上げ板部2bに対して垂直な方向に形成されている。
よって、建物壁Wに形成された段差部の幅が、前後の各閉塞用薄板部11の間に形成された横長方形状の開口12の配設方向Pに沿った寸法(L0 )よりも広い場合には、前記折取り溝13aの部分で各閉塞用薄板部11を折り取って、開口12の配設方向Pに沿った寸法(長さ)を、前記寸法(L0 )よりも長くすればよい。なお、図7及び図8において、14は、ベース体V11の射出成形時において、アンダーカット状となった被係止突起4を成形可能にするためのスライド型の配置により、底板部2に形成された捨孔を示す。
次に、図1〜図4及び図6を参照して、保護カバー接続具J1 を構成するカバー体K11について説明する。カバー体K11は、見切材100等の段差部を挟んで端部C1aが対向するように直線状に配置されて建物壁Wに固定される2本の直状保護カバーC1 の前記各端部C1aの外側を覆った状態で、前記ベース体V11に一体に組み付けられる。カバー体K11は、対向配置される一対の側板部21が天板部22より連結された構成であって、各側板部21と天板部22との連結部は、大きくわん曲されていて、各側板部21は、弾性変形可能である。各側板部21の下端に近い部分は、ベース体V11に形成された凹部6の側面形状に対応した切欠き部23が形成されている。各側板部21の外側面におけるベース体V11の被係止突起4に対応する部分は、ベース体V11の被係止突起形成板部5を収容可能な収容凹部24が形成されていて、当該収容凹部24を形成する奥側板部24aには、ベース体V11の被係止突起4と係止可能な係止突起25が形成されている。また、天板部22の裏面であって、配設方向Pに沿った両端に近い部分には、ベース体V11に対してカバー体K11を組み付けた状態で、各端部C1aが対向配置された直状保護カバーC1 のカバー体K21の端面に当接することにより、保護カバー接続具J1 のカバー体K11に対する直状保護カバーC1 のカバー体K21の配設方向Pに沿った位置決めを行う位置決め突起26がそれぞれ設けられている。天板部22は、幅方向の両端部が組付開口27の側に向けてわん曲した平板状をなしていて、配設方向Pに沿って直状となっている。ベース体V11に対してカバー体K11を組み付けて形成される保護カバー接続具J1 の内部空間は、見切材100を跨ぐ部分の配線・配管材を収容する収容空間S11となっていて、直状保護カバーC1 の収容空間S21よりも横断面積が小さくなっている。
保護カバー接続具J1 のベース体V11の上面をカバー体K11で覆った状態で押し付けると、当該カバー体K11の一対の側板部21が僅かに内側に弾性変形され、当該カバー体K11の左右一対の収容凹部24にベース体V11の被係止突起形成板部5が収容されて、一対の側板部21が原形状に復元することにより、ベース体V11の被係止突起4とカバー体K11の係止突起25とが係止されて、ベース体V11とカバー体K11とが一体に組み付けられる。保護カバー接続具J1 のベース体V11とカバー体K11とが一体に組み付けられて筒状となった状態において、配線・配管材の配設方向Pに沿った両端の開口は、それぞれ直状保護カバーC1 と接続される接続口28(図5及び図6参照)となる。
次に、図1〜図8を参照して、保護カバー接続具J1 の全体形状を、直状保護カバーC1 の全体形状との対比において説明する。図2〜図5から明らかなように、保護カバー接続具J1 の収容空間S11の横断面形状は、配設方向Pに沿った位置で異なる。即ち、保護カバー接続具J1 の固定板部2aの部分の収容空間S11の横断面形状は、直状保護カバーC1 の収容空間S21の横断面形状とほぼ同一であるが、凹部6の形成のために嵩上げされた嵩上げ板部2bの部分の収容空間S11の横断面形状は、直状保護カバーC1 の収容空間S21の横断面形状に比較して、横幅はほぼ同一であって、高さに関しては、底辺が前記凹部6の深さ(D)だけ嵩上げされて、低くなっている。ここで、保護カバー接続具J1 の固定板部2aの部分の収容空間S11の横断面形状は、直状保護カバーC1 の収容空間S21の横断面形状とほぼ同一であるとは、収容空間S11の横断面形状は、収容空間S21の横断面形状よりも、直状保護カバーC1 の肉厚T(図4及び図9参照)だけ僅かに大きいことを意味する。このため、保護カバー接続具J1 の嵩上げ板部2bの部分の収容空間S11の横断面積は、直状保護カバーC1 の収容空間S21の横断面積よりも小さい。よって、配線・配管材の外周が断熱材で被覆されている場合において、直状保護カバーC1 の収容空間S21内では、前記断熱材は、圧縮変形されなかったのに、保護カバー接続具J1 の嵩上げ板部2bの部分の収容空間S11では、横断面積が小さくなっていることに起因して、前記断熱材が圧縮変形されることがある。例えば、図2及び図3において、冷媒管101,102に被覆された断熱材106は、直状保護カバーC1 の部分では圧縮されないが、保護カバー接続具J1 の部分では、収容空間S11の横断面積が小さくなるために、嵩上げ板部2b或いは隣接するホース103,104に接触して圧縮変形される。
このため、直状保護カバーC1 と保護カバー接続具J1 との外周面の形状に関しては、保護カバー接続具J1 に凹部6が形成されていることとは無関係に、保護カバー接続具J1 における建物壁Wと対向している面を除く残りの全ての外周面は、直状保護カバーC1 の外周面を配線・配管材の配設方向に延長させた仮想延長面F(図9参照)上にほぼ配置されることになる。異なる表現を用いると、見切材100の部分において保護カバー接続具J1 を介して接続される2本の直状保護カバーC1 と、当該保護カバー接続具J1 との各外周面は、ほぼ同一の面上に直線状となって連続配置される。即ち、2本の直状保護カバーC1 と、当該2本の直状保護カバーC1 を接続する保護カバー接続具J1 とが、建物壁Wと対向している面を除く全ての外周面においては、周方向の全部分においてほぼ直線的に接続されて、側面視においてわん曲又は屈曲された部分が存在しなくなる。
次に、図1〜図5及び図10〜図12を参照して、上記した保護カバー装置A1 内に配線・配管材を収容保護して、建物壁Wに水平方向に設けられた見切材100を跨いで当該配線・配管材を配設する方法について説明する。図10は、保護カバー接続具J1 及び直状保護カバーC1 の各ベース体V11,V12を建物壁Wに固定する状態を示す斜視図であり、図11は、各ベース体V11,V12内に配線・配管材が収容されて、ベース体V12に対してカバー体K12を組み付けている状態を示す斜視図であり、図12は、配線・配管材が収容された2本の直状保護カバーC1 の各端部C1aが保護カバー接続具J1 により接続された状態を示す斜視図である。まず、図10に示されるように、保護カバー接続具J1 のベース体V11の凹部6に、建物壁Wに設けられた見切材100を収容することにより、当該見切材100を跨いだ状態で、建物壁Wに当該ベース体V11を2本のビス91を用いて上下方向に配置して固定する。ベース体V11の凹部6の一部を両側方から閉塞する前後の各閉塞用薄板部11の間に形成された開口12の側面形状は、見切材100の横断面形状よりも僅かに大きな相似形状になっている(図5参照)。当該開口12の長さ及び高さは、それぞれ(L0 ),(D)であって、それぞれ建物壁Wに形成された見切材100の幅(U0 )及び高さ(H0 )よりもいずれも大きくなっているので、前記見切材100は、ベース体V11に建物壁Wと対向する面に形成された凹部6内に干渉することなく収容される。次に、ベース体V11の配設方向Pの両端部に形成された左右一対の各ガイド板部7の下方に、直状保護カバーC1 のベース体V21を挿入して、当該ベース体V21の端面をベース体V11の固定板部2aの端面に当接させる(図5参照)と共に、当該ベース体V21の左右一対の側板部53を、ベース体V11の左右一対の規制板部3の延出板部3aの両側に配置させて、当該側板部53の内側面に形成された幅規制突起56を前記延出板部3aの外側面に当接させて(図4参照)、ベース体V11に対するベース体V21の幅方向の位置決めが行われる。これにより、建物壁Wに固定された保護カバー接続具J1 の配設方向Pに沿った両端部に直状保護カバーC1 のベース体V21がそれぞれ接続される。この状態で、直状保護カバーC1 のベース体V21をビス(図示せず)を介して建物壁Wに固定する。
上記したように、保護カバー接続具J1 のベース体V11の幅方向の両側に設けられた開口12の側面形状は、見切材100の横断面形状に対して僅かに大きな相似形状になっているので、閉塞用薄板部11を折り取ることなく、そのままの状態で残存凹部は、当該閉塞用薄板部11でほぼ閉塞されて露出していない。このため、見切材を跨いでいる部分のベース体V11の側面に大きな開口がなくなって、すっきりする。
次に、図11に示されるように、保護カバー接続具J1 のベース体V11を介して接続された2本の直状保護カバーC1 の各ベース体V21の開口51の部分から内部の収容空間S21に配線・配管材を収容する。実施例の配線・配管材は、エアコン用の冷媒管101,102、ホース103,104、ケーブル105である。保護カバー接続具J1 のベース体V11の部分においては、配線・配管材は、底板部2の縦断面形状に倣って嵩上げ板部2bを跨いだ形態で収容されるために、直状保護カバーC1 のベース体V21に対する収容状態に比較して、配線・配管材は上方に盛り上がって配設されると共に、左右一対の規制板部3の存在により、配線・配管材が側方に飛び出ない状態で配設できる。その後に、直状保護カバーC1 のベース体V21に対してカバー体K21を組み付けて、ベース体V21の開口51を閉塞する。なお、図11において、106は、冷媒管101,102等に被覆された断熱材を示す。
最後に、保護カバー接続具J1 のベース体V11に対してカバー体K11を組み付けると、図12に示されるように、保護カバー接続具J1 の両端の接続口28の内側に、各直状保護カバーC1 の端部C1aが収容された形態となって、内部の収容空間S21に配線・配管材を収容した2本の直状保護カバーC1 が保護カバー接続具J1 を介して接続される。図4に示されるように、各直状保護カバーC1 の端部C1aの外側は、保護カバー接続具J1 のカバー体K11のみで覆われ、直状保護カバーC1 の建物壁Wの対向面を除く外周面は、保護カバー接続具J1 の建物壁Wの対向面を除く外周面に対してほぼ同一の面上に位置している。ここで、「ほぼ同一」とは、保護カバー接続具J1 のカバー体K11の肉厚Tだけずれた面上に位置していることを意味する。また、図4に示されているように、直状保護カバーC1 の建物壁Wの対向面を除く外周面の横断面形状と、保護カバー接続具J1 の建物壁Wの対向面を除く外周面の横断面形状とは、互いにカバー体K11の肉厚分だけの差を有するほぼ相似形状となっている。なお、ベース体V11に対してカバー体K11を組み付けた状態で、カバー体K11の側板部21の組付開口27の側の各端面21a,21b,21cは、それぞれベース体V11の底板部2の固定板部2a、嵩上げ板部2b及び傾斜板部2cの幅方向の端部の上面に当接して、カバー体K11の側板部21の外側面と、閉塞用薄板部11の外側面とは、同一面上に配置される(図3、図6及び図12参照)ために、ベース体V11とカバー体K11との一体感が高まる。
このため、図 1、図5及び図12に示されるように、内部の収容空間S11, S21に配線・配管材が収容されて、見切材100を挟んで同一直線上に配置された2本の直状保護カバーC1 が保護カバー接続具J1 で接続された状態では、配線・配管材の配設方向P或いは自身の長手方向に沿って直線状或いは直管状となっている保護カバー接続具J1 の建物壁Wと対向する面を除く外周面は、直状保護カバーC1 の建物壁Wと対向する面を除く外周面の仮想延長面F(図9参照)上にほぼ位置している。ここで、「ほぼ位置している」とは、前記仮想延長面Fに対してカバー体K11の肉厚分だけ大きな仮想延長面F’(図9参照)上に位置していることを意味する。
この結果、内部の収容空間S11,S21内には、配線・配管材が保護カバー接続具J1 の部分で段差状となって配設されていても、2本の直状保護カバーC1 が保護カバー接続具J1 で接続された保護カバー装置A1 は、内部の収容空間S11,S21に配線・配管材が保護カバー接続具J1 の部分で段差状となって収容しているにもかかわらず、建物壁Wの段差状の見切材100の存在とは無関係に全体が一連の直線状に認識される。この結果、保護カバー装置A1 における保護カバー接続具J1 の部分がすっきりと認識されて、保護カバー装置A1 の設置状態の見栄えが良好となる。
また、図12に示されるように、ベース体V11における建物壁Wと対向する面に設けられた凹部6に見切材100を収容することにより残存した凹部の両側面は、閉塞用薄板部11で覆われて露出しなくなるので、見切材100の上面100aを通って、虫・蜘蛛類がベース体V11の残存空間部(残存凹部)内に入り込めなくなる。この結果、虫・蜘蛛類が前記残存空間部に入って、見切材100の上面100aに巣を造ったり、或いは周辺に飛散するゴミ類が前記残存空間部に入り込んで、見切材100の上面100aに溜まることがなくなって、良好な美観の維持が可能となる。
また、図13(a)に示されるように、建物壁Wに形成された見切材100’の幅(U1 )が、ベース体V11の開口12の長さ(L0 )よりも広い(大きい)場合には、複数の折取り溝13aのうち特定な部分で閉塞用薄板部11を折り取ることにより、新たに形成された開口12’の長さ(L1 )を見切材100’の幅(U1 )よりも長くする。これにより、見切材100’は、新たに形成された開口12’に収容可能となる。なお、図13(b)において、15は、閉塞用薄板部11の折取り片を示す。
また、図14に示されるように、閉塞用薄板部11に互い直交する2種類の折取り溝13a,13bを設けることにより、残存凹部の露出部を可能な限り少なくして、幅が異なる見切材120,120’を収容可能にすることもできる。図示の例では、ベース体V11の嵩上げ板部2bに対して垂直な方向に設けられた2本の折取り溝13aと、配線・配管材の配設方向Pに設けられた1本の折取り溝13bとを折り取ることにより、ベース体V11の両側面に形成される各開口12’の長さのみを初期設定の開口12よりも長くして、残存凹部の露出部を最小にしてサイズの大きな見切材120’を凹部6に収容できる。
次に、図15〜図18を参照して、建物壁Wに水平方向に形成された段差部110を乗り越えることにより高低差を有して配設される配線・配管材を収容する保護カバー装置A2 について説明する。図15は、保護カバー装置A2 により配線・配管材が収容保護された状態の斜視図であり、図16は、保護カバー接続具J2 を構成するベース体V12とカバー体K12の分離状態の斜視図であり、図17は、保護カバー接続具J2 を構成するベース体V12に対してカバー体K12を組み付けた状態の斜視図であり、図18は、保護カバー装置A2 により配線・配管材が収容保護された状態の縦断面図である。
ここで、図5及び図18の対比から明らかなように、実施例2における段差部110を乗り越えることにより高低差を有して配線・配管材が配設された状態は、実施例1における見切材(段差部)100を跨いで配線・配管材が配設された状態に比較して、当該配線・配管材が前記見切材(段差部)100の部分を乗り越えて、再度下がるのではなくて、そのまま真っ直ぐに配設されることにより、配線・配管材が高低差を有して配設される点が異なるのみであって、使用される保護カバー接続具J2 に関しても、前記保護カバー接続具J1 を長手方向(配線・配管材の配設方向P)の中央部に対して僅かにずれた位置(開口12の長手方向の形成端の位置)で切断して、当該切断部に、前記直状保護カバーC1 の底板部を嵩上げした形状の別の直状保護カバーC2 を接続可能なように、ガイド板部7及びベース体当接板部8を設けた構成である。従って、段差部110を乗り越えて高低差を有して配線・配管材が配設するのに使用される保護カバー接続具J2 に関しては、重複説明を避けて、実施例1の保護カバー接続具J1 と同一部分には同一符号を付すと共に、同等部分には、同一符号に(’)を付して、当該保護カバー接続具J1 と異なる部分についてのみ説明する。
段差部110を乗り越えて高低差を有して配設される配線・配管材を収容する保護カバー装置A2 は、段差入隅部111が形成される低い側に設置される直状保護カバーC1 と、当該直状保護カバーC1 に対して前記段差部110の高さ(H1 )だけ嵩上げされた形状を有していて、当該段差出隅部112が形成される高い側に設置される直状保護カバーC2 と、各直状保護カバーC1 ,C2 の各端部を両端の接続口28,28’の内側に収容して接続する保護カバー接続具J2 とから成る。直状保護カバーC1 は、保護カバー装置A1 を構成するものと同一であり、直状保護カバーC2 は、直状保護カバーC1 のベース体V21に対して底板部52が前記段差部110の高さ(H1 )だけ嵩上げされたベース体V22と、当該ベース体V22に組み付けられるカバー体K22とから成る。カバー体K22は、直状保護カバーC1 のカバー体K21と同一である。
前記保護カバー接続具J1 に対する保護カバー接続具J2 の形状は、上記した通りであって、保護カバー接続具J2 には、高さ(H1 )の段差部110に跨がって設置可能なように、両側方と長手方向の一方に開口した段差凹部31が形成されている。カバー体K12の両側板部21’の組付開口27’の側に形成される切欠き部23’は、前記段差凹部31の形状に対応している。また、段差凹部31の両側方における傾斜板部2'cが形成されている側は、閉塞用薄板部11’で覆われていて、当該閉塞用薄板部11’の端面は、設置状態において建物壁Wの段差部110の段差面113に当接するか、或いは近接される(図18参照)。前記閉塞用薄板部11’の内側面には、配線・配管材の配設方向に沿って一定間隔をおいて折取り溝13'aが嵩上げ板部2'bに対して垂直な方向に形成されている。前記閉塞用薄板部11’によって、保護カバー接続具J2 の傾斜板部2'cと、前記段差面113との間に形成される隙間が両側方から閉塞されて、当該部分の見栄えがよくなる。閉塞用薄板部11’を折取り溝13'aで折り取ることにより、保護カバー接続具J2 の傾斜板部2'cと段差部110の段差面113との距離を短くできて、第1直状保護カバーC1 を段差部110に近接させられる。
そして、段差部110を有する建物壁Wにおける段差入隅部111が形成された低い側に配置される第1直状保護カバーC1 と、段差出隅部112が形成された高い側に配置される第2直状保護カバーC2 とを、保護カバー接続具J2 を使用して接続するには、2本の直状保護カバーC1 を保護カバー接続具J1 で接続する場合に準じて行えばよい。即ち、段差部110に保護カバー接続具J2 のベース体V12を1本のビス91を用いて建物壁Wに固定した後に、建物壁Wの段差部110の低い側、及び高い側に、それぞれ第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 の各ベース体V21,V22を固定し、この状態で、各ベース体V21,V22の収容空間S21,S22及び保護カバー接続具J2 の収容空間S11に配線・配管材を配設方向Pに沿って収容する。その後に、各ベース体V21,V22にそれぞれカバー体K21,K22を組み付けて形成される保護カバー接続具J2 の両端の接続口28,28’に、それぞれ第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 の各端部C1a, C2aを収容させると、図15及び図18に示されるように、内部の収容空間S21,S22に配線・配管材を収容した第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 は、保護カバー接続具J2 を介して接続される。なお、第2直状保護カバーC2 の収容空間S22は、保護カバー接続具J2 の収容空間S11と同一断面形状を有している。
ここで、保護カバー接続具J2 を構成するカバー体K12の天板部22’は、直線状(真っ直ぐであること)に形成されているため、上記した接続状態において、保護カバー接続具J2 の建物壁Wと対向する面を除く残りの全ての外周面は、第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 の外周面の仮想延長面F上にほぼ位置しているために、接続状態の全体が一連の直線状に認識される。
また、上記説明では、高さのみ異なる第1及び第2の各直状保護カバーC1 、C2 と、当該各直状保護カバーC1 ,C2 を接続する保護カバー接続具J2 とを使用して、高さ(H1 )の高低差を有する段差部110に配線・配管材を高低差を有して配設する際に、当該配線・配管材を内部に収容する上記各直状保護カバーC1 ,C2 及び保護カバー接続具J2 は、当該保護カバー接続具J2 の部分において、一連の直線状に接続されることにより、側面視でわん曲部又は屈曲部が存在しないようにして、見栄えを良好にできることを説明した。そして、段差出隅部112を有する高さが(H1 )だけ高い部分が所定長だけ設けられて、再度、高さ(H1 )だけ下がる部分において、配線・配管材を配設する場合(実施例1で、見切材100の幅が相当に広くて、当該広い幅の見切材100の上面100aに直状保護カバーを配置する必要のある場合)には、各段差部110においてそれぞれ保護カバー接続具J2 を使用して、第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 を接続することにより、2本の第1直状保護カバーC1 と、当該2本の第1直状保護カバーC1 の間に配設される第2直状保護カバーC2 と、第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 の各端部が対向する段差部110の部分において、第1及び第2の各直状保護カバーC1 ,C2 を接続する2個の保護カバー接続具J2 との計5つの配線・配管材の全体を一連の直線状に接続可能となる。
また、図15に示されるように、ベース体V12の段差凹部31に、建物壁Wの段差部110を収容することにより発生した残存凹部の両側面は、閉塞用薄板部11’で覆われて開口しなくなるので、段差部110の段差面113を通って、虫・蜘蛛類がベース体V12の残存凹部内に入り込めなくなる。この結果、虫・蜘蛛類がベース体V12の内部の残存空間部に入って、段差部110の段差面113に巣を造ったり、或いは周辺に飛散するゴミ類が前記残存空間部に入り込んで、段差部110の段差面113に溜まることがなくなって、良好な美観の維持が可能となる。
次に、図19を参照にして、別の保護カバー接続具J3 について説明する。実施例3の保護カバー接続具J3 は、実施例1の保護カバー接続具J1 に対して、カバー体K13の側に閉塞用薄板部11”が形成されている点、及びカバー体K13の天板部22”の配線・配管材の配設方向Pに沿った両端部を除く部分が外方に膨出された膨出部22”a が形成されて、保護カバー接続具J3 の収容空間の横断面積が、保護カバー接続具J1 の収容空間S11の横断面積よりも大きくなって、保護カバー接続具J3 の部分における配線・配管材の収容を容易にしている点が異なる。従って、実施例3の保護カバー接続具J3 の説明に際しては、実施例1の保護カバー接続具J1 と同一部分には、同一符号を付すと共に、同等部分には、同一符号に(”)を付して、異なる部分についてのみ説明する。
カバー体K13の両側板部21”の配線・配管材の配設方向Pに沿って中央部であって、組付開口27”に臨む部分には、長さ(L0 )の開口12”を挟んで閉塞用薄板部11”が形成されており、当該閉塞用薄板部11”の内側面には、ベース体V13に組み付けられた状態で、当該ベース体V13の底板部2”に対して垂直な複数の折取り溝13”aが前記配設方向Pに沿って一定間隔をおいて形成されている。また、ベース体V13に対してカバー体K13を組み付けた状態において、カバー体K13の両側板部21”の組付開口27”に臨む部分は、全長に亘ってベース体V13の底板部2”の長手方向に沿った両端面2”dの外側に配置されて、当該両端面2”dに当接する点に関しても、実施例1の保護カバー接続具J1 と異なる。ベース体V13に対してカバー体K13が上記のようにして組み付けられるために、ベース体V13に設けられる被係止突起形成板部5は、ベース体V13の底板部2”の端面2”dに対してカバー体K13の側板部21”の肉厚分だけ外方に突出して形成されて、組付け状態において、ベース体V13の被係止突起形成板部5の外側面と、カバー体K13の側板部21”の外側面とが同一面上に位置されるようにしてある。
実施例3の保護カバー接続具J3 のように、カバー体K13の側に閉塞用薄板部11”が形成されている場合には、当該閉塞用薄板部11”に形成された開口12”に見切材100が収まるとしても、当該見切材100に対するベース体V13の配置位置によっては、カバー体K13の閉塞用薄板部11”を除去する必要がある場合がある。この観点からは、実施例1,2のようにベース体V11,V12の側に閉塞用薄板部11,11’を形成することで、見切材100又は段差部110に対して当該見切材100又は段差部110との干渉を回避してベース体V11,V12を設置できれば、カバー体K11,K12は、見切材100又は段差部110に干渉することなくベース体V11,V12に組み付けられる点において、ベース体V11,V12の側に閉塞用薄板部11,11’を形成する方が好ましい。
また、実施例1〜3の保護カバー接続具J1 〜J3 のベース体V11〜V13の底板部2,2’,2”は、いずれも固定板部2a ,2’a ,2”a と嵩上げ板部2b ,2’b ,2”b との間に傾斜板部2c ,2’c ,2”c が設けられて、急激な段差が発生しないようにしているが、当該傾斜板部2c ,2’c ,2”c を垂直に起立させた起立板部にしてもよい。
実施例1,3では、保護カバー接続具J1 ,J3 のベース体V11,V13においては、閉塞用薄板部11,11”は、見切材100を長手方向に沿って挟むようにして、一方の側に2枚ずつの計4枚だけ設けられているが、長手方向の片側にのみ、即ち、左右で1枚ずつ形成して、計2枚の閉塞用薄板部11,11”を設ける構成にしてもよい。
また、実施例1〜3の保護カバー接続具J1 〜J3 は、いずれもベース体V11,V12,V13の底板部2,2’,2”が平板状であって、保護カバー接続具J1 ,J2 では、底板部2,2’の幅方向の両端に閉塞用薄板部11,11’が設けられ、保護カバー接続具J3 では、カバー体K13の両側板部21”における底板部2”の幅方向の両端に対応する部分に閉塞用薄板部11”が設けられている。換言すると、閉塞用薄板部11,11’,11”は、保護カバー接続具J1 〜J3 の幅方向の両端に配置されている。しかし、保護カバー接続具を構成するベース体の底板部が平板状ではなくて、両端部が上方にわん曲した形状の場合には、ベース体に設けられる凹部又は段差凹部を閉塞するために、当該ベース体に設けられる閉塞用薄板部は、当該ベース体の底板部が平板状の部分からわん曲状の部分に移行する部分に配置される。