しかしながら、上述した硬貨包装機のように、集積硬貨全体の集積方向の長さ寸法に基づいて集積枚数の過不足の有無を判定するものであると、集積硬貨の一部に、長さ寸法に影響を与える変形硬貨が混入していたときは、誤判定してしまう可能性があった。
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、例え変形硬貨が混入していたとしても包装硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を適正に判定することができる包装硬貨搬送機構の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、同一金種の硬貨が所定枚数集積されて棒状に包装された包装硬貨を搬送する包装硬貨搬送機構であって、前記包装硬貨を載置させその軸線方向に沿って搬送する搬送ベルトを有する包装硬貨搬送手段と、該包装硬貨搬送手段で搬送中の前記包装硬貨の径方向の位置決めを行うガイド手段と、該ガイド手段によって位置決めされた前記包装硬貨と前記搬送ベルトを挟んで対向する位置に配置された磁気センサ、および、該磁気センサの出力信号に基づいて前記包装硬貨の異常としての硬貨枚数の過不足の有無を判定する制御手段を有する過不足検出手段と、を備えている。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記ガイド手段は、前記包装硬貨搬送手段で搬送中の包装硬貨を径方向両側から挟んで案内する二つのガイドブロックと、これら二つのガイドブロックを互いに近接離間可能となるように支持し、これら二つのガイドブロックにより前記包装硬貨を、前記搬送ベルトと接する当接位置が金種に関わらず略一定となるように径方向に位置決めする支持手段と、を有することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記制御手段は、前記磁気センサの出力信号から前記包装硬貨の硬貨間の硬貨隙間を検出し、該硬貨隙間の数から前記包装硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記制御手段は、前記磁気センサの出力信号値の変化量が、予め定められた開始基準値になると前記包装硬貨の検出開始を判断し、前記磁気センサの出力信号値の変化量が、予め定められた終了基準値になると前記包装硬貨の検出終了を判断するとともに、前記検出開始から前記検出終了までの検出期間における前記磁気センサの出力信号に基づいて前記包装硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記制御手段は、前記検出期間における前記磁気センサの出力信号値の変化量が予め定められた硬貨隙間検出基準値になると前記硬貨隙間があると判断することを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において、前記硬貨隙間検出基準値は、硬貨の金種毎に予め定められて記憶されていることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項5または6に係る発明において、前記硬貨隙間検出基準値は、包装すべき金種の設定に合わせて選択されることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項3ないし7のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記硬貨隙間を移動距離情報と連携させて記憶し隣り合う前記硬貨隙間間の距離が予め定められた厚さ基準値より小さいときに異常としての変形硬貨の混入と判断することを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項3ないし8のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記硬貨隙間を移動距離情報と連携させて記憶し、連続する3つの前記硬貨隙間において隣り合う硬貨隙間間の2つの距離の少なくとも一方が予め定められた厚さ基準値より小さく、かつ、一番目の硬貨隙間と三番目の硬貨隙間との間の距離が予め定められた厚さ基準範囲内にあるとき、連続する3つの硬貨隙間のうちの中央の硬貨隙間を硬貨隙間でないと判断することを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項3ないし9のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記硬貨隙間の数に1を加えた数を包装硬貨検出枚数とするとともに該包装硬貨検出枚数を予め定められた包装基準枚数と比較することで、前記包装硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定することを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項3ないし10のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記硬貨隙間間の前記磁気センサの出力信号から異常としての異金種の有無を判断することを特徴とする。
請求項12に係る発明は、請求項11に係る発明において、前記制御手段は、前記硬貨隙間間の前記磁気センサの出力信号が包装されるべき金種の基準範囲外であるときに異金種であると判断することを特徴とする。
請求項13に係る発明は、請求項11または12に係る発明において、前記制御手段は、前記硬貨隙間間の前記磁気センサの出力信号の隣り合うもの同士の差が予め定められた基準範囲外であるときに異金種であると判断することを特徴とする。
請求項14に係る発明は、請求項3ないし13のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、一つの前記硬貨隙間を検出する間の移動距離情報から異常としての変形硬貨の混入を判断することを特徴とする。
請求項15に係る発明は、請求項1ないし14のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記異常を検出したときに警告することを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、搬送ベルトがこれに載置された包装硬貨をその軸線方向に沿って搬送すると、ガイド手段がこの搬送中の包装硬貨の径方向の位置決めを行うことになり、このようにガイド手段によって位置決めされた包装硬貨と搬送ベルトを挟んで対向する位置に配置された磁気センサが磁気データを検出して、制御手段がこの磁気センサの出力信号に基づいて包装硬貨の異常としての硬貨枚数の過不足の有無を判定する。このように、磁気センサの出力信号を用いるため、変形硬貨による影響を排除可能となる。したがって、例え変形硬貨が混入していたとしても包装硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を適正に判定することができる。また、搬送ベルト上に載置される包装硬貨に対して、搬送ベルトを挟んで対向する位置に磁気センサを配置するため、金種によらずに包装硬貨と磁気センサとの高さ関係を一定にすることができる。したがって、磁気センサの金種による高さ調整が不要となり、簡素な構造で硬貨枚数の過不足の有無を判定することができる。
請求項2に係る発明によれば、支持手段が、包装硬貨搬送手段で搬送中の包装硬貨を径方向両側から挟んで案内する二つのガイドブロックを互いに近接離間可能となるように支持し、これら二つのガイドブロックにより包装硬貨を、搬送ベルトと接する当接位置が金種に関わらず略一定となるように径方向に位置決めする。したがって、簡素な構造で全金種の包装硬貨の径方向の位置決めを行うことができる。
請求項3に係る発明によれば、制御手段は、磁気センサの出力信号から包装硬貨の硬貨間の硬貨隙間を検出し、この硬貨隙間の数から包装硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定するため、変形や摩耗による影響が累積してしまう、包装硬貨の全長から硬貨枚数の過不足の有無を判定する場合と比べて、より正確に硬貨枚数の過不足の有無を判定することができる。
請求項4に係る発明によれば、制御手段は、磁気センサの出力信号値の変化量が、予め定められた開始基準値になると包装硬貨の検出開始を判断し、予め定められた終了基準値になると包装硬貨の検出終了を判断することになるため、検出開始から検出終了までの適正な検出期間における磁気センサの出力信号から包装硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定することができる。
請求項5に係る発明によれば、制御手段は、検出期間における磁気センサの出力信号値の変化量が予め定められた硬貨隙間検出基準値になると硬貨間の硬貨隙間があると判断するため、硬貨間の硬貨隙間を適正に検出することができる。
請求項6に係る発明によれば、硬貨隙間検出基準値が、硬貨の金種毎に予め定められて記憶されているため、金種毎に適正に、硬貨間の硬貨隙間を検出することができる。
請求項7に係る発明によれば、硬貨隙間検出基準値が、包装すべき金種の設定に合わせて選択されるため、選択された設定金種の硬貨間の硬貨隙間を適正に検出することができる。
請求項8に係る発明によれば、制御手段が、硬貨隙間間の距離つまり硬貨の厚さが予め定められた厚さ基準値より小さいときに異常としての変形硬貨(つぶれ硬貨)の混入と判断するため、変形硬貨の混入を適正に検出することができる。
請求項9に係る発明によれば、制御手段が、連続する3つの硬貨隙間において隣り合う硬貨隙間間の2つの距離の少なくとも一方が予め定められた厚さ基準値より小さく、かつ、一番目の硬貨隙間と三番目の硬貨隙間との間の距離が予め定められた厚さ基準範囲内にあるとき、連続する3つの硬貨隙間のうちの中央の硬貨隙間を硬貨隙間でないと判断するため、硬貨外周面についた傷などによる影響を排除可能となる。
請求項10に係る発明によれば、制御手段は、硬貨隙間の数に1を加えた数を包装硬貨検出枚数とするとともに、この包装硬貨検出枚数を予め定められた包装基準枚数と比較することで、包装硬貨の硬貨枚数の過不足の有無を判定するため、変形や摩耗による影響が累積してしまう、包装硬貨の全長から硬貨枚数の過不足の有無を判定する場合と比べて、より正確に硬貨枚数の過不足の有無を判定することができる。
請求項11に係る発明によれば、制御手段が、硬貨隙間間の磁気センサの出力信号値から異常としての異金種の有無を判断することになるため、異金種の混入を検出することができる。
請求項12に係る発明によれば、制御手段が、硬貨隙間間の磁気センサの出力信号値が集積されるべき金種の基準範囲外であるときに異金種であると判断するため、適正に異金種の混入を検出することができる。
請求項13に係る発明によれば、制御手段が、硬貨隙間間の磁気センサの出力信号値の隣り合うもの同士の差が予め定められた基準範囲外であるときに異金種であると判断するため、適正に異金種の混入を検出することができる。
請求項14に係る発明によれば、制御手段が、一つの硬貨隙間を検出する間の移動距離情報から異常としての変形硬貨(折れ硬貨)の混入を判断するため、変形硬貨の混入を検出することができる。
請求項15に係る発明によれば、制御手段が、異常を検出したときに警告することになるため、異常が見逃されてしまうことを防止できる。
本発明の一実施形態に係る包装硬貨搬送機構を含む硬貨包装機を図面を参照しつつ以下に説明する。
図1に示すように、硬貨包装機10は、同一金種の硬貨が一括投入される回転円盤11を有しており、この回転円盤11内の硬貨は、回転円盤11の遠心力および図示しない通過規制部による重なり規制により、硬貨通路12に向けて一枚ずつ送り出されるようになっている。
硬貨通路12は、その上方位置に硬貨を一枚ずつ送るベルト機構13を有しており、その端末位置には、硬貨の送り出しを許容および規制する図2に示す送出ストッパ14が設けられている。
上記した回転円盤11、硬貨通路12、ベルト機構13および送出ストッパ14と、回転円盤11およびベルト機構13を駆動する図2に示す送出モータ15とが、硬貨を一枚ずつ送り出す硬貨搬送機構16を構成している。
硬貨通路12の途中位置には、図2に示す硬貨識別部20が設けられており、硬貨の真偽および金種が識別されるとともに計数および送り出しのタイミング検出が行われるようになっている。
硬貨搬送機構16の硬貨通路12を経由した硬貨は、所定枚数の硬貨を上下方向に集積させる集積部23に供給されるようになっている。
集積部23は、螺旋状の突起部24をそれぞれ有する一対の集積ドラム25を有している。これら集積ドラム25は、相互の突起部24の高さ位置を一致させた状態で、図2に示すドラムモータ26により、硬貨通路12からの硬貨の供給に同期させて、互いに反対方向に間欠的に回転駆動させられるようになっている。
これにより、硬貨通路12から送り出された硬貨が一対の集積ドラム25の突起部24に乗せられて集積ドラム25の回転により一段下降させられ、その後に供給された硬貨が先の硬貨の上に積み重ねられる結果、これら集積ドラム25間に、複数の硬貨が上下方向に積み重ね状態に集積され、これにより集積硬貨が形成されるようになっている。
また、これら集積ドラム25を含む集積部23の下方には、集積硬貨を包装して包装硬貨とする包装部30が設けられており、集積部23と包装部30との間には、閉状態で集積部23からの包装部30への硬貨の進入を規制するとともに開状態で集積部23からの包装部30への硬貨の進入を許容する進入防止シャッタ31が設けられている。
進入防止シャッタ31は、集積部23の集積ドラム25と包装部30との間に水平に配置される平板状のベース部材33を有しており、このベース部材33には、集積ドラム25から突起部24の支持が解除されることで落下する集積硬貨の落下方向に、集積硬貨を通過可能な直径の通過穴34が貫通形成されている。また、進入防止シャッタ31は、ベース部材33の通過穴34を開閉するシャッタ部材35を有している。
包装部30は、進入防止シャッタ31のシャッタ部材35が開かれることで通過穴34から落下させられた集積硬貨を下から支える支持棒41と、この支持棒41の周囲に鉛直方向に沿って配置される3本の平行な包装ローラ43a,43b,43cからなる包装ローラ群44により集積硬貨の周囲に包装紙45を巻回する包装機構46と、巻回された包装紙45を集積硬貨の上下端において加締めて包装硬貨とする加締機構48とを有している。包装ローラ43a,43b,43cは、図2に示す包装モータ50によって、その軸心回りに回転駆動されるようになっている。つまり、包装部30は、集積部23で同一金種の所定枚数の硬貨が集積されてなる集積硬貨の周面に包装紙45を供給して巻き付けるとともに、該巻き付けた包装紙45を加締めて棒状の包装硬貨を作製する。
包装機構46の包装ローラ群44において、3本の平行な包装ローラ43a,43b,43cのうちの所定の2本の包装ローラ43a,43bは位置固定であり、残りの所定の1本の包装ローラ43cが、図2に示すカムモータ51で駆動される図示しない包装ローラカムの作動により包装ローラ43a,43bに対し平行状態のまま近接および離間するように移動可能に設けられている。また、進入防止シャッタ31のシャッタ部材35は、包装ローラ43cの包装ローラ43a,43bへの近接作動つまり包装ローラ群44の閉作動に連動して閉じ、包装ローラ43cの包装ローラ43a,43bからの離間作動つまり包装ローラ群44の開作動に連動して開くようになっている。
集積硬貨の集積部23から包装部30への移送は、進入防止シャッタ31の下側で待機する支持棒41によって行われる。この支持棒41は、包装ローラ43b,43c間の隙間に挿入された状態で、昇降可能に設けられた支持アーム55の先端に固定されており、進入防止シャッタ31のすぐ下に配置された上昇状態で、図示しない包装ローラカムの作動によって包装ローラ群44が開作動しかつ進入防止シャッタ31が開放されると、進入防止シャッタ31の通過穴34を介して落下する集積硬貨をその上端に受け止め、その後に、図2に示すカムモータ51で駆動される図示しない支持アーム垂直動作カムの作動により鉛直方向に下降させられることによって、集積硬貨を開状態にある包装ローラ群44の3本の包装ローラ43a,43b,43cの間に配置するようになっている。
包装機構46は、このようにして包装ローラ43a,43b,43c間に配置された集積硬貨に対して、図2に示すカムモータ51で駆動される図示しない包装ローラ開閉カムの作動によって包装ローラ43a,43bに包装ローラ43cを近接させることにより包装ローラ群44を閉状態にし、これら包装ローラ43a,43b,43cによって集積硬貨をその半径方向3方向から挟持するようになっている。また、これら包装ローラ43a,43b,43cの近くには、一対の包装紙供給ローラ58が設けられており、図2に示す包装紙供給モータ59の駆動によるこれら包装紙供給ローラ58の回転によって、包装紙45が集積硬貨と包装ローラ群44との間に供給されるようになっている。そして、包装紙供給ローラ58によって包装紙45を集積硬貨と包装ローラ群44との間に供給した状態で、図2に示す包装モータ50の駆動により包装ローラ群44を回転させることによって、包装紙45が集積硬貨の円筒状の周面に巻回されるようになっている。なお、包装紙供給ローラ58と包装ローラ群44との間には、包装紙45を切断するためのカッタ60が設けられている。
加締機構48は、図2に示すカムモータ51で駆動される図示しない加締爪逃がしカムの作動により包装ローラ43a,43b間の隙間から集積硬貨の上下位置に挿入されるとともに、同じくカムモータ51で駆動される図示しない加締爪垂直動作カムの作動により上下方向に沿って近接離間させられる一対の加締爪64,65を具備している。すなわち、包装紙45は、集積硬貨の高さよりも大きな幅寸法を有するものであり、一対の加締爪64,65は、図示しない加締爪垂直動作カムの作動により近接方向に移動させられることで、集積硬貨の周囲に巻回された包装紙45の集積硬貨から上下に突出する部分を内側に丸めるように加締める。
なお、包装された包装硬貨を下方に落下させる際に、図2に示すカムモータ51で駆動される図示しない包装ローラ開閉カムの作動によって包装ローラ43a,43bから包装ローラ43cを離間させることにより包装ローラ群44を開状態にし、これら包装ローラ43a,43b,43cによる包装硬貨の挟持を解除しつつ、支持棒41が、同じくカムモータ51で駆動される図示しない支持アーム逃がしカムの作動によって包装ローラ群44から離間する横方向に逃げることなる。これにより、包装部30から包装硬貨が落下することになる。
包装部30の下方には、包装部30から軸線方向を上下にした姿勢で落下する包装硬貨を軸線方向が水平に沿うように姿勢変更しつつ案内するシュート70と、このシュート70から受け入れた包装硬貨を載置させて包装硬貨の軸線方向に沿って搬送する本実施形態に係る包装硬貨搬送機構71とが設けられている。なお、包装硬貨搬送機構71のシュート70とは反対側の端末位置には、適正枚数の集積硬貨が包装紙45で包装されてなる包装硬貨を受け入れる図示しないロールシュート、包装硬貨の集積枚数が適正でない場合等にこれを受け入れる図示しないリジェクトボックス、および、包装硬貨を、ロールシュートまたはリジェクトボックスに振り分ける図示しないゲートが設けられている。ゲートは図2に示すゲートソレノイド66で振り分け方向が切り換えられる。
本実施形態に係る包装硬貨搬送機構71は、図3〜図5に示すように、包装硬貨Cを載置させて搬送する無端の搬送ベルト74と、互いに水平方向に離間して平行に配置されるとともに搬送ベルト74を巻回させる一対のローラ75と、一方のローラ75を回転駆動する図2に示す搬送モータ76とからなる包装硬貨搬送部(包装硬貨搬送手段)77を有している。ここで、搬送ベルト74の一対のローラ75間の上部を構成する上辺部78上に、シュート70からの包装硬貨Cが放出されることになり、その際に、包装硬貨Cは、その軸線方向を上辺部78の長手方向に沿わせる姿勢で放出されることになる。そして、包装硬貨Cは、この姿勢で搬送ベルト74の上辺部78上に載置されて上辺部78と一体にその軸線方向に沿って移動する。搬送モータ76はローラ75を所定の一定速度で回転駆動することになり、その結果、搬送ベルト74は所定の一定の搬送速度で包装硬貨Cを搬送することになる。搬送ベルト74の端末位置に、上記したゲートが配置される。
また、包装硬貨搬送機構71は、搬送ベルト74で搬送中の包装硬貨Cの径方向の位置決めを行うガイド部(ガイド手段)81を有している。このガイド部81は、搬送ベルト74の上辺部78の上側に搬送方向に対して左右に設けられた二つのガイドブロック82と、これら二つのガイドブロック82を互いに近接・離間可能となるように支持する支持機構(支持手段)83とを有している。
二つのガイドブロック82は、互いに対向する対向面85が鉛直方向に沿っている。そして、これらの対向面85は、鏡面対称形状をなし、搬送ベルト74の搬送方向における上流側が、下流側ほど互いに近接する傾斜面部86とされ、下流側が、搬送方向に平行な位置決め面部87とされている。
支持機構83は、図示は略すが、例えば、二つのガイドブロック82のそれぞれの上面に固定されるスライドブロックと、これらスライドブロックの両方を摺動可能に支持するスライド軸と、軸線方向両側に等ピッチの逆ネジが形成されてそれぞれのネジでスライドブロックに螺合するネジ軸と、ネジ軸を回転させるステッピングモータからなる図2に示す位置決めモータ93とを有している。支持機構83は、位置決めモータ93がネジ軸を一方向に回転させると、二つのスライドブロックがスライド軸上を摺動しながら互いに近接することになり、これにより、二つのガイドブロック82を平行状態のまま近接させることになる。また、支持機構83は、位置決めモータ93がネジ軸を逆方向に回転させると、二つのスライドブロックがスライド軸上を摺動しながら互いに離間することになり、これにより、二つのガイドブロック82を平行状態のまま離間させることになる。このような構造を採用することにより、支持機構83は、二つのガイドブロック82を上記した姿勢のまま、搬送ベルト74の上辺部78の幅方向の中心線に対し常に等間隔をなすようにして相互に近接・離間させる。
この支持機構83は、位置決めモータ93の駆動によって、設定された金種の包装硬貨Cの外径に合わせて予め設定記憶されている間隔に、二つのガイドブロック82の位置決め面部87の間隔を調整することになり、具体的には、設定された金種の包装硬貨Cの外径より若干広い間隔となるように位置決め面部87の間隔を調整する。なお、搬送ベルト74の上辺部78からガイドブロック82の対向面85の上端までの高さは、一定であり、少なくとも最も外径の大きい包装硬貨Cの半径よりも高くなっている。これにより、ガイドブロック82の対向面85は包装硬貨Cの径方向の両側の外端位置をガイドする。
よって、ガイド部81は、設定された金種の包装硬貨Cの外径に二つのガイドブロック82の間隔を合わせた状態にあるとき、軸線方向を上辺部78の長手方向に沿わせる姿勢で搬送ベルト74の上辺部78上に載置されて上辺部78と一体に移動する搬送中の包装硬貨Cを、二つのガイドブロック82が径方向両側から挟んで案内して包装硬貨Cの径方向に位置決めする。つまり、二つのガイドブロック82の位置決め面部87によって、包装硬貨Cは、搬送ベルト74と接する当接位置が、金種に関わらず、搬送ベルト74の上辺部78の略一定位置である幅方向の中心線上に位置するように、搬送方向に対し左右方向の位置決めがなされる。
そして、包装硬貨搬送機構71は、ガイド部81の二つのガイドブロック82の位置決め面部87によって位置決めされた包装硬貨Cと、搬送ベルト74の上辺部78を挟んで対向する位置に磁気センサ95を有している。この磁気センサ95は、その検出面95aを搬送ベルト74の上辺部78に向けており、搬送ベルト74の搬送方向における位置決め面部87の中間位置であって搬送ベルト74の幅方向の中央位置に、位置固定で設けられている。つまり、磁気センサ95は、ガイド部81で位置決めされた包装硬貨Cの搬送ベルト74への当接位置の真下に配置されている。
磁気センサ95は、検出対象の磁気的性質に応じて変化する電圧を磁気データとして検出するものである。磁気センサ70は、その出力信号に基づいて包装硬貨Cの異常としての硬貨枚数の過不足の有無等を判定する図2に示す過不足検出制御部(制御手段)96とともに過不足検出装置(過不足検出手段)97を構成している。なお、包装硬貨Cが搬送ベルト74の上辺部78に全長にわたって当接している状態で、磁気センサ95上を全長にわたって通過するように、搬送ベルト74の長さと、搬送方向における磁気センサ95の位置とが設定されている。
過不足検出制御部96は、磁気センサ95の出力信号を増幅する増幅回路100、増幅回路100で増幅された磁気センサ95の出力信号を比較処理等するマイクロコンピュータ101および過不足判定用のデータ等を記憶する記憶部102とからなっている。記憶部102には、磁気センサ95の出力信号を比較処理する際に用いられる予め定められた基準値および基準範囲等が記憶されている。つまり、例えば、全金種の包装硬貨Cの外径にそれぞれ合わせた二つのガイドブロック82の間隔を得るための位置決めモータ93の予め定められた回転位置と、磁気センサ95による集積硬貨の検出開始を判断するための開始基準値と、磁気センサ95による集積硬貨の検出終了を判断するための終了基準値と、図6に示す硬貨c間の硬貨隙間sがあると判断するための硬貨隙間検出基準値と、異常としての変形硬貨を判断するための厚さ基準値と、硬貨cの厚さが適正であるか否かを判断するための厚さ基準範囲と、包装硬貨Cの単位枚数である包装基準枚数と、硬貨隙間sの大きさが適正であるか否かを判断するための硬貨隙間基準範囲とが、それぞれ硬貨cの金種毎に予め定められて記憶部102に記憶されている。
過不足検出制御部96は、搬送ベルト74の搬送によって包装硬貨Cがその全長にわたって磁気センサ95の上方を移動する際の、磁気センサ95の出力信号から包装硬貨Cの過不足の有無等を判定する。
過不足検出制御部96は、硬貨包装機10の全体を制御する全体制御部105に接続されている。全体制御部105には、操作者により操作入力がなされる操作部106、操作者に向けて画像出力を行う画像表示部107、操作者に向けて音声出力を行う音声出力部108等が接続されている。
以上の構成の硬貨包装機10において、操作部106を介して包装すべき包装硬貨Cの金種が設定入力されると、全体制御部105は、この指定金種を示す指定金種データを過不足検出制御部96に出力する。すると、過不足検出制御部96は、この指定金種データに対応する位置決めモータ93の予め定められた回転位置を記憶部102から読み出し、この回転位置に位置決めモータ93を回転させる。これにより、支持機構83が、この指定金種データの金種の包装硬貨Cの外径より若干広い所定幅にガイドブロック82の位置決め面部87の幅を合わせることになる。
そして、回転円盤11に、基本的に指定金種の硬貨cが投入されることになり、この状態で、操作部106に包装開始の操作入力が入力されると、全体制御部105は、送出モータ15および搬送モータ76を駆動する。すると、回転円盤11およびベルト機構13が回転することになり、回転円盤11内の硬貨cが、遠心力および図示しない通過規制部による重なり規制により、硬貨通路12に向けて一枚ずつ送り出され、硬貨通路12にて、ベルト機構13により、集積部23に向けて一枚ずつ移送される。そして、硬貨識別部20にて、硬貨cの真偽および金種が識別されるとともに計数および送り出しのタイミング検出が行われることになる。
硬貨識別部20にて真の指定金種と識別された硬貨cが集積部23に供給されると、全体制御部105は、硬貨識別部20の検出タイミングに基づいて、ドラムモータ26を間欠駆動することになる。これにより、待機位置にあった一対の集積ドラム25の突起部24上に硬貨cが積み重ね状態に集積されることになる。全体制御部105は、硬貨識別部20で指定金種の包装基準枚数の硬貨cを計数すると、最後の硬貨cの次の硬貨cを送出ストッパ14により停止させるとともに、送出モータ15を停止させて、次の包装硬貨の作製が開始可能となるまで回転円盤11およびベルト機構13を停止させることになる。
なお、集積部23への送り出しの最中に、上記した硬貨識別部20により偽硬貨あるいは異金種の硬貨が検出されると、全体制御部105は、例えば、この硬貨を送出ストッパ14により停止させるとともに、送出モータ15を停止させて回転円盤11およびベルト機構13を停止させて、画像表示部107および音声出力部108でその旨のアラームを発生させる。
上記のように、硬貨識別部20で指定金種の包装基準枚数の最後の硬貨cが検出された後、この硬貨cが集積ドラム25の突起部24上のすでに集積されている硬貨に積み重ねられるのに必要な時間が経過すると、全体制御部105は、ドラムモータ26により集積ドラム25をさらに回転させて、突起部24上の集積硬貨を進入防止シャッタ31の通過穴34を塞ぐ閉状態のシャッタ部材35上に受け渡す。その後、全体制御部105は、集積ドラム25が待機位置となるタイミングでドラムモータ26を停止させるとともに、カムモータ51を駆動する。すると、図示しない包装ローラカムの作動によって包装ローラ群44が開作動しかつ進入防止シャッタ31のシャッタ部材35が開作動する。これにより、集積硬貨は、進入防止シャッタ31の通過穴34を通過して、上昇位置で待機していた支持棒41に載置されることになる。
続くカムモータ51の駆動で、支持棒41が図示しない支持アーム垂直動作カムの作動により鉛直方向に下降させられることになり、所定の包装位置で停止する。これにより、集積硬貨が開状態にある包装ローラ群44の3本の包装ローラ43a,43b,43cの間に配置される。
続くカムモータ51の駆動で、図示しない包装ローラ開閉カムの作動により包装ローラ43a,43bに包装ローラ43cを近接させることになり、これら包装ローラ43a,43b,43cによって集積硬貨をその半径方向3方向から挟持する。
続いて、全体制御部105は、図2に示す包装紙供給モータ59を駆動して包装紙供給ローラ58により包装紙45を包装硬貨Cと包装ローラ群44との間に供給し、その後、図2に示す包装モータ50の駆動により包装ローラ群44を回転させることによって、包装紙45を包装硬貨Cの周面に巻回し、包装紙供給モータ59を停止させることにより、包装紙45をカッタ60で切断する。
また、上記に引き続き行われるカムモータ51の駆動で、図示しない加締爪逃がしカムの作動により一対の加締爪64,65が包装硬貨Cの上下に挿入されるとともに、同じくカムモータ51で駆動される図示しない加締爪垂直動作カムの作動により一対の加締爪64,65を近接させる。これにより、一対の加締爪64,65が包装硬貨Cの周囲に巻回された包装紙45の包装硬貨Cから上下に突出する部分を内側に丸めるように加締める。続くカムモータ51の駆動で図示しない包装ローラ開閉カムの作動により包装ローラ群44が開状態となり、支持棒41が、同じくカムモータ51で駆動される図示しない支持アーム逃がしカムの作動により包装ローラ群44から離間する横方向に逃げることなる。これにより、包装硬貨Cは、シュート70に落下し、シュート70の案内で、軸線方向が水平に沿うように姿勢変更して、包装硬貨搬送機構71の搬送ベルト74の上辺部78の一端上に放出される。
すると、上記した搬送モータ76の駆動により回転している搬送ベルト74の上辺部78とともに、包装硬貨Cが、その軸線方向を搬送方向に沿わせた姿勢で、その軸線方向に沿って移動する。そして、この移動中に、包装硬貨Cは、二つのガイドブロック82の間を通り、その前段で、両側の傾斜面部86で両側の位置決め面部87の間に案内され、両側の位置決め面部87で軸線方向を搬送方向と一致させた姿勢となり、かつ搬送ベルト74と接する当接位置が、搬送ベルト74の上辺部78の略一定位置である幅方向の中心線上に位置する。これらの姿勢および位置を維持したまま、両側の位置決め面部87の案内で、包装硬貨Cは、搬送ベルト74とともに移動することになり、その際に、搬送方向下流側の端部から搬送方向上流側の端部までの全長にわたって、磁気センサ95の上方を通過することになる。
すると、過不足検出制御部96が、この包装硬貨Cの上方移動の間に得られる磁気センサ95の、例えば図6に示すような包装硬貨Cを非検出の状態からの移動距離毎の出力信号値(電圧)を検出し、この出力信号値から過不足の有無等を判定する。なお、搬送ベルト74つまり包装硬貨Cが所定の一定の搬送速度で移動することから移動時間毎の出力信号値を用いても良い。
つまり、過不足検出制御部96は、上記した操作部106への包装すべき金種の設定に基づいて全体制御部105から出力された指定金種データに合わせて、この指定金種データに対応する金種の基準値および基準範囲を記憶部102から選択して読み出し、磁気センサ95の出力信号値の、包装硬貨Cを検出していない状態からの変化量が、指定金種データに対応する金種の予め定められた開始基準値になると、包装硬貨Cの検出開始を判断し、この検出開始判断時点での包装硬貨Cの位置を検出開始位置(図6に示すL0)に設定する。
そして、過不足検出制御部96は、上記した検出開始判断の後、磁気センサ95の出力信号値が極小値まで下がると一枚目の硬貨cの外周面を検出していると判断し、出力信号値がこの極小値から上がり、この極小値からの変化量(図7に示すΔV)が、指定金種データに対応する金種の予め定められた硬貨隙間検出基準値になると(図6に示すL1の位置)、硬貨c間の硬貨隙間sがあると判断してその計数を行う。次に、出力信号値の変化量が硬貨隙間検出基準値よりも大きな所定の終了基準値になることなく下がり、極小値まで下がると次の硬貨cの外周面を検出していると判断し、出力信号値がこの極小値から上がり、この極小値からの変化量が硬貨隙間検出基準値になると(図6に示すL2の位置)、次に隣り合う硬貨隙間sがあると判断してその計数を行い、再び出力信号値の変化量が終了基準値になることなく下がり、極小値まで下がると次の硬貨cの外周面を検出していると判断し、この極小値から上がり、この極小値からの変化量が硬貨隙間検出基準値になると(図6に示すL3の位置)、次に隣り合う硬貨隙間sがあると判断してその計数を行う。このような硬貨cの外周面および硬貨c間の硬貨隙間sの検出および計数を順次行い、最後に、直前の極小値からの変化量が硬貨隙間検出基準値よりも大きな、指定金種データに対応する金種の所定の終了基準値になると(図6に示すLeの位置)、包装硬貨Cの検出終了を判断することになる。
つまり、過不足検出制御部96は、包装硬貨Cの検出開始判断のタイミングから検出終了判断のタイミングまでの間の検出期間における磁気センサ95の出力信号および包装硬貨Cの移動距離に基づいて包装硬貨Cの硬貨枚数の過不足の有無を判定することになり、硬貨c同士の硬貨隙間sと硬貨外周面との出力信号値の差異から硬貨隙間sおよび外周面を検出して、硬貨隙間sの数を計数する。
過不足検出制御部96は、上記検出期間において検出したすべての硬貨隙間sを、上記検出期間において一定の搬送速度で移動する包装硬貨Cの移動距離情報と連携させて記憶部102に記憶しており、一の硬貨隙間sを検出してからこれに移動方向下流側で隣り合う次の硬貨隙間sを検出するまでの包装硬貨Cの移動距離である隣り合う硬貨隙間s間の距離(図7に示すn)を、すべて、指定金種データに対応する金種の予め定められた厚さ基準値(例えば正常な硬貨隙間s間の距離の90%の値)と比較する。そして、いずれかの隣り合う硬貨隙間s間の距離が、厚さ基準値より小さいときには、異常としての変形硬貨(つぶれ硬貨)の混入ありと判断する一方、すべての隣り合う硬貨隙間s間の距離が厚さ基準値以上であれば、変形硬貨の混入なしと判断する。変形硬貨が混入していると判断すると、過不足検出制御部96は、その旨のアラームを画像表示部107および音声出力部108により出力させる。
また、過不足検出制御部96は、上記した硬貨隙間s間の距離から、連続する3つの硬貨隙間sのすべての組み合わせについて、3つの硬貨隙間s間の2つの距離の少なくとも一方が、指定金種データに対応する金種の予め定められた厚さ基準値より小さく、かつ、一番目の硬貨隙間sと三番目の硬貨隙間sとの間の距離が、指定金種データに対応する金種の予め定められた厚さ基準範囲内にあるとき、連続する3つの硬貨隙間sのうちの中央の硬貨隙間sを硬貨c間の硬貨隙間sではなく傷であると判断する。当然、この傷を硬貨隙間sとして計数することはない。
また、過不足検出制御部96は、上記した硬貨隙間s間の磁気センサ95の出力信号から、異常としての異金種硬貨の有無を判断する。つまり、出力信号において、一の硬貨隙間sを検出してからこれに移動方向下流側で隣り合う次の硬貨隙間sを検出するまでの包装硬貨Cの移動距離である硬貨隙間s間の距離を、すべて、指定金種データに対応する金種の予め定められた厚さ基準範囲と比較する。そして、いずれかの硬貨隙間s間の距離が、厚さ基準範囲外である場合に、異常としての異金種硬貨の混入ありと判断する一方、すべての硬貨隙間s間の距離が厚さ基準範囲内にあれば、異金種硬貨の混入なしと判断する。異金種硬貨が混入していると判断すると、過不足検出制御部96は、その旨のアラームを画像表示部107および音声出力部108により出力させる。
また、過不足検出制御部96は、出力信号において、一の硬貨隙間sを検出してからこれに移動方向下流側で隣り合う次の硬貨隙間sを検出するまでの包装硬貨Cの移動距離である硬貨隙間s間の距離のすべてについて、隣り合うもの同士で比較を行う。そして、隣り合うもの同士の差が、いずれかにおいて、指定金種データに対応する金種の予め定められた差分基準範囲外である場合に、異常としての異金種硬貨の混入ありと判断する一方、すべてについて、差分基準範囲内にあれば、異金種硬貨の混入なしと判断する。異金種硬貨が混入していると判断すると、過不足検出制御部96は、その旨のアラームを画像表示部107および音声出力部108により出力させる。
また、過不足検出制御部96は、硬貨c間の硬貨隙間sを検出する度に、一つの硬貨隙間sを検出している間の包装硬貨Cの移動距離(図7に示すw)を、指定金種データに対応する金種の予め定められた硬貨隙間基準値と比較する。そして、いずれかの硬貨隙間sについて包装硬貨Cの移動距離が硬貨隙間基準値より大きい場合には、異常としての変形硬貨(折れ硬貨)の混入ありを判断する一方、すべての硬貨隙間sについて包装硬貨Cの移動距離が硬貨隙間基準値以下であれば、変形硬貨の混入なしを判断する。変形硬貨が混入していると判断すると、過不足検出制御部96は、その旨のアラームを画像表示部107および音声出力部108により出力させる。つまり、図6に示すように、包装硬貨C中に、折れ硬貨c1が混入している場合、硬貨隙間sを検出している間の図7に示す移動距離wが大きくなるため、この移動距離wを検出することで変形硬貨を検出する。
そして、過不足検出制御部96は、上記検出期間において計数された硬貨隙間sの数に1を加えた数を集積硬貨検出枚数とするとともに、この集積硬貨検出枚数を予め定められた包装基準枚数と比較することで、包装硬貨Cの硬貨枚数の過不足の有無を判定する。つまり、集積硬貨検出枚数が指定金種データに対応する金種の予め定められた包装基準枚数と一致すれば、包装硬貨Cの硬貨枚数に過不足がないと判定する一方、これら集積硬貨検出枚数と包装基準枚数とが一致しなければ、包装硬貨Cの硬貨枚数に過不足があると判定して、その旨のアラームを画像表示部107および音声出力部108により出力させる。
そして、過不足検出制御部96は、変形硬貨および異金種硬貨のいずれも混入がなく、包装硬貨Cの硬貨枚数に過不足がない場合に、全体制御部105に包装硬貨Cが正常である旨の信号を出力する一方、変形硬貨および異金種硬貨のいずれかの混入があり、あるいは包装硬貨Cの硬貨枚数に過不足がある場合に、全体制御部105に包装硬貨Cが異常である旨の信号を出力する。全体制御部105は、包装硬貨Cが正常である旨の信号を受け付けると、ゲートソレノイド66でゲートをロールシュート側に切り換え、包装硬貨Cが異常である旨の信号を受け付けると、ゲートソレノイド66でゲートをリジェクトボックス側に切り換える。これにより、正常な集積硬貨を包装した包装硬貨Cであればロールシュートに落下し、異常な集積硬貨を包装した包装硬貨Cであればリジェクトボックスに落下する。
以上に述べた本実施形態の包装硬貨搬送機構71によれば、搬送ベルト74がこれに載置された包装硬貨Cをその軸線方向に沿って搬送すると、ガイド部81がこの搬送中の包装硬貨Cの径方向の位置決めを行うことになり、このようにガイド部81によって位置決めされた包装硬貨Cと搬送ベルト74を挟んで対向する位置に配置された磁気センサ95が磁気データを検出して、過不足検出制御部96がこの磁気センサ95の出力信号に基づいて包装硬貨Cの異常としての硬貨枚数の過不足の有無を判定する。このように、磁気センサ95の出力信号を用いるため、変形硬貨による影響を排除可能となる。したがって、例え変形硬貨が混入していたとしても包装硬貨Cの硬貨枚数の過不足の有無を適正に判定することができる。つまり、包装硬貨Cの長さで集積枚数の過不足を判定するものであると、硬貨枚数が不足していても変形硬貨が混入していることで包装硬貨Cの全長が長くなった場合に、硬貨枚数が適正であると判定してしまう可能性があるが、このような誤判定を防止することができる。また、包装硬貨Cの長さで集積枚数の過不足を判定するものであると、適正枚数が集積された集積硬貨の一部に流通には支障のない程度であるが集積硬貨の長さ寸法に影響を与える変形硬貨が混入した状態で包装されてしまったときに、過不足があると判定してこれを排除してしまう可能性があるが、このような誤判定も防止することができる。
また、搬送ベルト74上に載置される包装硬貨Cに対して、搬送ベルト74を挟んで対向する位置に磁気センサ95を配置するため、金種によらずに包装硬貨Cと磁気センサ95との高さ関係を一定にすることができる。したがって、磁気センサ95の金種による高さ調整が不要となり、簡素な構造で硬貨枚数の過不足の有無を判定することができる。
また、支持機構83が、包装硬貨搬送部77の搬送ベルト74で搬送中の包装硬貨Cを径方向両側から挟んで案内する二つのガイドブロック82を互いに近接離間可能となるように支持し、これら二つのガイドブロック82により包装硬貨Cを、搬送ベルト74と接する当接位置が金種に関わらず略一定となるように径方向に位置決めする。したがって、簡素な構造で全金種の包装硬貨Cの径方向の位置決めを行うことができる。
また、過不足検出制御部96は、磁気センサ95の出力信号から包装硬貨Cの硬貨c間の硬貨隙間sを検出し、この硬貨隙間sの数から包装硬貨Cの硬貨枚数の過不足の有無を判定するため、変形や摩耗による影響が累積してしまう、包装硬貨Cの全長から硬貨枚数の過不足の有無を判定する場合と比べて、変形や摩耗の累積による影響をも受けにくく、より正確に硬貨枚数の過不足の有無を判定することができる。
また、過不足検出制御部96は、磁気センサ95の出力信号値の変化量が、予め定められた開始基準値になると包装硬貨Cの検出開始を判断し、予め定められた終了基準値になると包装硬貨Cの検出終了を判断することになるため、検出開始から検出終了までの適正な検出期間における磁気センサ95の出力信号から包装硬貨Cの硬貨枚数の過不足の有無を判定することができる。
また、過不足検出制御部96は、上記検出期間における磁気センサ95の出力信号値の変化量が予め定められた硬貨隙間検出基準値になると硬貨c間の硬貨隙間sがあると判断するため、硬貨c間の硬貨隙間sを適正に検出することができる。
また、硬貨隙間検出基準値が、硬貨cの金種毎に予め定められて記憶されているため、金種毎に適正に、硬貨c間の硬貨隙間sを検出することができる。
また、硬貨隙間検出基準値が、包装すべき金種の設定に合わせて選択されるため、選択された設定金種の硬貨c間の硬貨隙間sを適正に検出することができる。
また、過不足検出制御部96が、硬貨隙間s間の距離つまり硬貨cの厚さが予め定められた厚さ基準値より小さいときに異常としての変形硬貨(つぶれ硬貨)の混入と判断するため、変形硬貨の混入を適正に検出することができる。
また、過不足検出制御部96が、連続する3つの硬貨隙間sにおいて隣り合う硬貨隙間s間の2つの距離の少なくとも一方が予め定められた厚さ基準値より小さく、かつ、一番目の硬貨隙間sと三番目の硬貨隙間sとの間の距離が予め定められた厚さ基準範囲内にあるとき、連続する3つの硬貨隙間sのうちの中央の硬貨隙間sを硬貨c間の硬貨隙間sでないと判断するため、硬貨外周面についた傷などによる影響を排除可能となる。
また、過不足検出制御部96は、硬貨c間の硬貨隙間sの数に1を加えた数を集積硬貨検出枚数とするとともに、この集積硬貨検出枚数を予め定められた包装基準枚数と比較することで、包装硬貨Cの硬貨枚数の過不足の有無を判定するため、変形や摩耗による影響が累積してしまう、包装硬貨Cの全長から硬貨枚数の過不足の有無を判定する場合と比べて、より正確に硬貨枚数の過不足の有無を判定することができる。
また、過不足検出制御部96が、硬貨隙間s間の磁気センサ95の出力信号値から異常としての異金種の有無を判断することになるため、異金種の混入を検出することができる。
また、過不足検出制御部96が、硬貨隙間s間の磁気センサ95の出力信号値が集積されるべき金種の基準範囲外であるときに異金種であると判断するため、適正に異金種の混入を検出することができる。
また、過不足検出制御部96が、硬貨隙間s間の磁気センサ95の出力信号値の隣り合うもの同士の差が予め定められた基準範囲外であるときに異金種であると判断するため、適正に異金種の混入を検出することができる。
また、過不足検出制御部96が、一つの硬貨隙間sを検出する間の包装硬貨Cの移動距離情報から異常としての変形硬貨(折れ硬貨)の混入を判断するため、変形硬貨の混入を検出することができる。一つの硬貨隙間sを検出する間の包装硬貨Cの移動距離が長ければ、包装硬貨Cの全長も長くなるため、枚数が適正で全長が基準全長より長ければ、変形硬貨の混入ありと判断するようにしても良い。
また、過不足検出制御部96が、集積硬貨枚数の過不足、変形硬貨の混入および異金種硬貨の混入の少なくともいずれか一つからなる異常を検出したときに警告することになるため、異常が見逃されてしまうことを防止できる。