JP5454832B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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そして、定着ベルトは、ヒータ(加熱手段)が内設された加熱ローラの位置で加熱される。加熱された定着ベルトは、定着補助ローラ及び加圧ローラの当接位置(ニップ部である。)に搬送される記録媒体上のトナー像を加熱して定着する。
このような定着ベルトを用いたベルト方式の定着装置は、定着ローラを用いた熱ローラ方式の定着装置に比べて、装置の立ち上がり時間を増加させることなくニップ部において充分なニップ幅を確保できるものとして知られている。すなわち、定着ベルトはニップ部ではなく加熱ローラの位置で加熱されるために、定着補助ローラに、層厚が比較的厚く充分な断熱性を有するとともに弾性が高い弾性層(断熱弾性層)を設けることができる。
また、特許文献3等には、熱ローラ方式の定着装置であって、加圧ローラのローラ硬度が経時に低下してニップ幅が大きくなりホットオフセットが生じるのを防止するために、通紙枚数の累積値の増加にともない、定着温度を低下させるように制御する技術が開示されている。
定着補助ローラが長期間繰り返し変形されながら使用されることで、まず、弾性発泡層に微細な破泡が生じて定着補助ローラのローラ硬度が低下して、ニップ幅が増加する。このとき、定着工程後の画像にはホットオフセットが生じやすくなる。
その後、規制部材が作用して、ニップ幅の増加は停止する。さらに、定着補助ローラが長期間使用されてローラ硬度が低下すると、定着ベルトの張力によって定着補助ローラがニップ幅を小さくする方向に引っ張られる。やがて、ニップ幅は初期のものに対して小さくなって、定着工程後の画像にはコールドオフセットが生じやすくなる。
このように、ベルト方式の定着装置には、熱ローラ方式の定着装置(例えば、特許文献2、特許文献3等参照。)とは異なるニップ幅の経時変動が生じる。
図1〜図3にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像部、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部16の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部16に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2に示すように、定着装置20は、定着ベルト21、定着補助ローラ22、加熱ローラ23、加圧部材としての加圧ローラ31、加圧機構51、52、規制部材50、温度センサ40、ガイド板35、等で構成される。
定着部材として熱容量の低い定着ベルト21を用いることで、装置の昇温特性が向上する。
加熱ローラ23のヒータ25は、ハロゲンヒータであって、その両端部が定着装置20の側板(不図示である。)に固定されている。そして、装置本体1の電源部(交流電源)81により出力制御されたヒータ25からの輻射熱によって加熱ローラ23が加熱されて、さらに加熱ローラ23によって加熱された定着ベルト21の表面から記録媒体P上のトナー像Tに熱が加えられる。ヒータ25の出力制御は、定着ベルト21表面に非接触で対向する温度センサ40(サーモパイル、非接触サーミスタ)によるベルト表面温度の検知結果に基いておこなわれる。詳しくは、温度センサ40の検知結果に基づいて定められる通電時間だけ、ヒータ25に交流電圧が印加される。このようなヒータ25の出力制御によって、定着ベルト21の表面温度(定着温度)を所望の温度(目標値)に調整制御することができる。
そして、加圧ローラ31は、加圧機構51、52によって定着ベルト21を介して定着補助ローラ22に圧接する。詳しくは、加圧機構は、加圧レバー51、スプリング52、等で構成される。加圧レバー51は、一端が装置20の側板に回動自在に支持され、他端にはスプリング52(引張スプリング)の一端が接続され、中央には加圧ローラ31の軸部34が載置されている。スプリング52の他端は装置20の側板に支持されている。このような構成により、加圧ローラ31は上方(定着補助ローラ22の側である。)に押し上げられ、加圧ローラ31と定着ベルト21との間に所望のニップ部が形成される。
なお、本実施の形態1において、加圧ローラ31を直接的に加熱するヒータ等の加熱手段を設置することもできる。これにより、定着装置20の昇温特性がさらに向上することになる。
また、図示は省略するが、定着ベルト21の外周面に対向する位置であって、ニップ部の出口側近傍には、分離板が配設されている。分離板は、定着工程後の記録媒体Pが定着ベルト21の走行に沿って定着ベルト21に巻き付いてしまう不具合を抑止する。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、交流電源81からヒータ25に交流電圧が印加(給電)されるとともに、定着ベルト21(定着補助ローラ22、加熱ローラ23)及び加圧ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。詳しくは、不図示の駆動モータによって加圧ローラ31が直接的に回転駆動されて、これに従動して定着ベルト21、定着補助ローラ22、加熱ローラ23が駆動される。
その後、給紙部7から記録媒体Pが給送されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の各色のトナーが記録媒体P上に未定着画像として担持される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31のニップ部に送入される。そして、定着ベルト21による加熱と、定着ベルト21(定着補助ローラ22)及び加圧ローラ31の押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、回転する定着ベルト21及び加圧ローラ31によってそのニップ部から送出された記録媒体Pは、矢印Y11方向に搬送される。
本実施の形態1では、経時においてニップ部におけるニップ幅が初期のものに比べて増加した後に減少するニップ幅変動に連動させて、定着ベルト21の表面温度(定着温度)の目標値を可変するように制御している。
具体的には、図2を参照して、記録媒体Pの累積通紙枚数を検知手段としてのカウンタ80にて検知する。そして、記録媒体Pの累積通紙枚数に応じてニップ幅変動が生じているものとして、カウンタ80の検知結果に基いて定着ベルト21の表面温度の目標値を可変している。
図3に示すように、ニップ部におけるニップ幅は、長期間の使用にともない、一度増加した後に減少して安定化する。これは、上述のように構成されたベルト方式の定着装置20では、次のようなことが起こるからである。定着補助ローラ22が長期間繰り返し変形されながら使用されることで、まず、弾性層22b(弾性発泡層)に微細な破泡が生じて定着補助ローラ22のローラ硬度が低下して、ニップ幅が増加する。その後、規制部材50が作用して、ニップ幅の増加は停止する。さらに、定着補助ローラ22が長期間繰り返し変形されながら使用されると、定着ベルト21の張力によって定着補助ローラ22がニップ幅を小さくする方向に引っ張られ、やがて、ニップ幅は初期のものに対して小さくなる。
具体的に、ニップ幅が基準値(初期値)から増加していく過程では、そのニップ幅の増加量に合わせて定着目標温度(目標値)を漸減させる。これにより、ヒータ25の出力が減少して定着ベルト21の表面温度(定着温度)が低めに制御されるため、ニップ幅が増加しても、ニップ部を通過する記録媒体Pのトナー像に与えられる総熱量に変動はほとんど生じずに、定着画像上にホットオフセットが生じる不具合が抑止される。
また、ニップ幅が基準値(初期値)から減少していく過程では、そのニップ幅の減少量に合わせて定着目標温度(目標値)を漸増させる。これにより、ヒータ25の出力が増加して定着ベルト21の表面温度(定着温度)が高めに制御されるため、ニップ幅が減少しても、ニップ部を通過する記録媒体Pのトナー像に与えられる総熱量に変動はほとんど生じずに、定着画像上にコールドオフセットが生じる不具合が抑止される。
なお、本実施の形態1では、記録媒体Pの累積通紙枚数に応じてニップ幅変動が生じているものとして、カウンタ80の検知結果に基いて定着ベルト21の表面温度の目標値を可変した。これに対して、装置20の稼働時間に応じてニップ幅変動が生じているものとして、稼働時間を検知する検知手段の検知結果に基いて定着ベルト21の表面温度の目標値を可変することもできる。その場合にも、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態1では、2つのローラ部材22、23によって定着ベルト21を張架したが、3つ以上のローラ部材によって定着ベルト21を張架することもできる。その場合にも、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
図4及び図5にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図4は、実施の形態2における定着装置を示す構成図であって、前記実施の形態1における図2に対応する図である。本実施の形態2の定着装置は、定着ローラ20に対する加圧部材31の圧接力を低減する減圧手段55、56が設置されている点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
そのため、記録媒体Pの累積通紙枚数(カウンタ80の検知結果)に基いて定着ベルト21の表面温度の目標値を可変する制御の精度が高まることになる。すなわち、ニップ幅変動と、記録媒体の累積通紙枚と、の相関性が高まることになる。
図6にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図6は、待機時から通紙開始をおこなうまでの定着ベルト21の温度制御を示すグラフである。
このような制御により、待機時から通紙を開始した直後に、定着ベルト21の熱が定着補助ローラ22(待機時に温度が低下した状態になっている。)に多く奪われても、定着ベルト21の表面温度が狙いの温度に対して急激に低下する不具合を抑止することができる。
このような制御をおこなわない場合には、記録媒体Pの累積通紙枚数(カウンタ80の検知結果)が所定値を超えて定着ベルト21の表面温度の目標値が初期値に対して同等以上になるように制御されたとき、定着ベルト温度は図6の破線で示すように変動することになる。すなわち、通紙開始されて暫くの間は、定着ベルト温度が低い状態になってしまい、コールドオフセットが発生してしまう。
これに対して、記録媒体Pの累積通紙枚数(カウンタ80の検知結果)が所定値を超えて定着ベルト21の表面温度の目標値が初期値よりも高くなるように制御されたときに、それに合わせて待機時温度も高めに制御することで(シフトさせることで)、通紙開始時から定着ベルト温度を最適化することができる。
図7にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図7は、記録媒体の種類ごとに可変する、ニップ幅と定着目標温度との関係を示すグラフである。
また、図7に示すように、記録媒体の厚さが厚くなるほど、ニップ幅の減少にともなう定着目標温度の低下の程度(傾き)を大きくしている。これは、記録媒体の種類(厚さ)ごとに、ニップ幅変動にともなう適正な定着温度の変動量が異なるためである。
このように、記録媒体Pの種類ごとに定着ベルト21の表面温度の目標値を可変制御することで、異なる種類の記録媒体Pが用いられた場合であっても、定着性が良好な出力画像を経時においても安定的に提供することができる。
これは、普通紙を用いているときに、ニップ幅変動による定着目標温度の設定が上限値に達する場合は、超厚紙や厚紙を用いているときとは異なり、定着補助ローラ22の寿命であると判断できるためである。
これにより、定着装置20のメンテナンスが完了するまでの間であっても、不充分な定着画像であるにしても、画像形成をおこなうことが可能になる。
図8にて、この発明の実施の形態5について詳細に説明する。
図8は、実施の形態5における定着装置でおこなわれる制御を示すグラフである。
これにより、出力画像の生産性は低下するにしても、充分な定着性にて画像形成をおこなうことが可能になる。なお、このような制御は、定着目標温度が上限値に達しやすい超厚紙や厚紙を用いたときに特に有用になる。
20 定着装置、
21 定着ベルト、
22 定着補助ローラ、
22b 弾性層(弾性発泡層)、
23 加熱ローラ、
25 ヒータ(加熱手段)、
31 加圧ローラ(加圧部材)、
50 規制部材、
51 加圧レバー、 52 スプリング、
55 第2レバー(減圧手段)、56 カム(減圧手段)。
Claims (8)
- 記録媒体上にトナー像を定着する定着装置であって、
加熱手段によって加熱される加熱ローラと、
弾性発泡材料からなる弾性層を有する定着補助ローラと、
前記加熱ローラと前記定着補助ローラとに張架される定着ベルトと、
前記定着ベルトを介して前記定着補助ローラに圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する加圧部材と、
前記ニップ部におけるニップ幅が所定値以上にならないように前記定着補助ローラに対する前記加圧部材の圧接を規制する規制部材と、
記録媒体の種類を検知する検知手段と、
を備え、
経時において前記ニップ部におけるニップ幅が、前記弾性層の硬度の低下によって初期のものに比べて増加した後に、前記規制部材によってニップ幅の増加が規制された状態で前記定着ベルトの張力によって前記定着補助ローラが引っ張られて減少するニップ幅変動に連動させて、前記加熱手段によって加熱される前記定着ベルトの表面温度の目標値を可変し、
前記検知手段の検知結果に基いて記録媒体の種類ごとに前記定着ベルトの表面温度の目標値を可変し、
前記定着ベルトの表面温度の目標値に上限値を設けるとともに、前記定着ベルトの表面温度の目標値が前記上限値に達した場合に、可変手段によって記録媒体の搬送速度が低下されることを特徴とする定着装置。 - 記録媒体の累積通紙枚数又は装置の累積稼働時間を検知して、その検知結果に基いて、記録媒体の累積通紙枚数又は装置の累積稼働時間に応じて前記ニップ幅変動が生じているものとして、前記定着ベルトの表面温度の目標値を可変することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 記録媒体が通紙されていないときに前記定着補助ローラに対する前記加圧部材の圧接力を低減する減圧手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
- 前記加熱ローラ、前記定着補助ローラ、前記加圧部材のうち少なくとも1つの待機時の温度が通紙時の温度よりも高くなるように制御され、
前記定着ベルトの表面温度の目標値が所定値を超えているときに、前記待機時の温度がさらに高くなるように制御されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。 - 前記定着ベルトの表面温度の目標値が前記上限値に達したときに、記録媒体ごとに設定した通紙モードを可変することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置。
- 前記加熱手段は、ヒータであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
- 前記弾性層は、発泡シリコーンゴムで形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
- 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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