以下、本発明に係る定着装置および画像形成装置の実施の形態について説明する。
<画像形成装置の概略構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタ(以下、単に「プリンタ」という)の構成を説明するための模式図である。このカラープリンタは、ネットワーク(例えばLAN)を介して外部の端末装置等から入力される画像データ等に基づいて、周知の電子写真方式により、フルカラーあるいはモノクロの画像を記録用紙、OHPシート等の記録シートに形成する。
プリンタは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーによるトナー画像を記録シート上に形成する画像形成部Aと、画像形成部Aの下側に配置された給紙部Bとを備えている。給紙部Bは、記録シートSが内部に収容された給紙カセット41を備えており、給紙カセット41内に収容された所定サイズの記録シートSが画像形成部Aに供給される。なお、本実施形態のプリンタでは、最大、A3サイズの記録シートSに対して画像を形成することが可能になっており、給紙カセット41には、最大、A3サイズの記録シートSが収容可能になっている。
画像形成部Aは、プリンタのほぼ中央部において一対のベルト周回ローラ22および23に水平状態で巻き掛けられて周回移動可能になった中間転写ベルト18を備えている。中間転写ベルト18は、図示しないモータによって、矢印Xで示す方向に周回移動するようになっている。
中間転写ベルト18の下方には、プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kが設けられている。プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kは、中間転写ベルト18の周回移動方向(画像形成装置の正面側(前面側)から見て左側から右側方向)に沿ってその順番で配置されている。
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれには、中間転写ベルト18に対向する感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kが設けられており、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの周面上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーによるトナー画像が形成されるようになっている。
各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kは、それぞれの軸方向が、中間転写ベルト18の幅方向(周回移動方向とは直交する方向)に沿った状態になっており、従って、それぞれが相互に平行なっている。
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kの下側には、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれに対して、レーザビームLY、LM、LC、LKを照射して、それぞれのプロセスユニット10Y、10M、10C、10Kに静電潜像を形成する光走査装置21が設けられている。
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kは、感光体ドラム11Y、11M、11C、11K上にトナー画像を形成するトナーの色のみがそれぞれ異なっていること以外は、同様の機能を有していることから、以下においては、主としてプロセスユニット10Yの構成のみを説明して、他のプロセスユニット10M、10C、10Kの構成の説明は省略する。
プロセスユニット10Yに設けられた感光体ドラム11Yは、矢印Zで示す方向に回転されるようになっており、下方の走査装置21からレーザビームLYが照射されることによって露光される。感光体ドラム11YにおけるレーザビームLYの露光位置に対して感光体ドラム11Yの回転方向上流側には、感光体ドラム11Yの表面を、レーザビームLYが照射される前に一様に帯電する帯電器12Yが、感光体ドラム11Yに対向して配置されている。
帯電器12Yによって一様に帯電された感光体ドラム11Yの表面には、レーザビームLYが照射されることによって静電潜像が形成される。プロセスユニット10Yには、レーザビームLYの露光位置に対して感光体ドラム11Yの回転方向下流側に、現像器14Yが設けられている。現像器14Yは、感光体ドラム11Yの表面に形成された静電潜像をY色のトナーによって現像する。
他のプロセスユニット10M、10C、10Kにも、帯電器12M、12C、12Kおよび現像器14M、14C、14Kが、それぞれ設けられている。それぞれの現像器14Y、14M、14C、14Kには、中間転写ベルト18の上方において水平方向に並んで設けられたトナーホッパー17Y、17M、17C、17KからY、M、C、Kの各色のトナーが供給される。
プロセスユニット10Yの上方には、中間転写ベルト18を挟んで感光体ドラム11Yに対向する1次転写ローラ15Yが設けられている。1次転写ローラ15Yは、画像形成部Aに取り付けられている。1次転写ローラ15Yは、転写バイアス電圧が印加されることによって、感光体ドラム11Yとの間に電界を形成するようになっており、その電界の作用によって、感光体ドラム11Y上のトナー画像が中間転写ベルト18上に1次転写される。
なお、他のプロセスユニット10M、10C、10Kの上方にも、中間転写ベルト18を挟んで各感光体ドラム11M、11C、11Kに対向する1次転写ローラ15M、15C、15Kがそれぞれ設けられており、感光体ドラム11M、11C、11K上に形成されたそれぞれのトナー画像は、1次転写ローラ15M、15C、15Kと、感光体ドラム11M、11C、11Kとの間にそれぞれ形成される電界の作用によって、中間転写ベルト18上に1次転写される。
画像形成部Aにおいてフルカラー画像を形成する場合には、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11K上に形成されたそれぞれのトナー画像が中間転写ベルト18上の同じ領域に多重転写されるように、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれの画像形成動作タイミングがずらされる。
これに対して、画像形成部Aにおいてモノクロ画像を形成する場合には、Kトナー用のプロセスユニット10Kのみが動作されることにより、当該プロセスユニット10Kの感光体ドラム11K上にトナー画像が形成されて、形成されたトナー画像が、当該プロセスユニットに対向して配置された1次転写ローラ15Kによって、中間転写ベルト18における所定領域上に転写される。
トナー画像が1次転写された感光体ドラム11Yの表面は、プロセスユニット10Yに設けられたクリーニング部材16Yによってクリーニングされる。他のプロセスユニット10M、10C、10Kにおいても、同様に、クリーニング部材16Y、16M、16C、16Kによって、各感光体ドラム11M、11C、11Kが、それぞれクリーニングされる。
トナー画像が形成された中間転写ベルト18の搬送方向下流側の端部(画像形成装置おける正面側から見て右側の端部)には2次転写ローラ19が圧接されており、中間転写ベルト18と2次転写ローラ19との間に転写ニップが形成されている。2次転写ローラ19には転写バイアス電圧が印加されるようになっており、これにより、中間転写ベルト18との間に電界が形成される。
2次転写ローラ19と中間転写ベルト18とによって形成される転写ニップには、給紙部Bの給紙カセット41から繰り出された記録シートSが供給される。中間転写ベルト18上に転写されたトナー画像は、2次転写ローラ19と中間転写ベルト18との間の電界の作用により、転写ニップを通過する記録シートSに2次転写される。
転写ニップを通過した記録シートSは、2次転写ローラ19の上方に配置された定着装置30に搬送される。定着装置30では、記録シートS上の未定着のトナー画像が加熱および加圧されることによって記録シートSに定着される。トナー画像が定着された記録シートSは、排紙ローラ42によって、トナーホッパー17Y、17M、17C、17Kの上方に設けられた排紙トレイ43上に排出される。
図2は、定着装置30およびその周辺部の構成を示す断面図である。定着装置30は、加熱ローラ33と定着ローラ32とに巻き掛けられた定着ベルト34と、定着ローラ32に対向して配置されて定着ベルト34に圧接された加圧ローラ31とを有している。相互に圧接された定着ベルト34と加圧ローラ31との間には、定着ニップNが形成されている。
定着ローラ32は、例えば、鉄製の芯金の外周面に6mmの厚さのシリコーンゴム製の弾性層が設けられて構成されている。
加熱ローラ33は、例えば、厚さ0.6mmのアルミニウムの芯金の外周面に、フッ素樹脂の表層が設けられ構成されている。加熱ローラ33における芯金の内部には、加熱ヒータ35が設けられている。
定着ベルト34は、例えば、厚さ170μmのポリイミド(PI)の基層に、厚さ150μmのシリコーンゴム製の弾性層と、厚さ30μmのフッ素樹脂製の表層とが積層されて構成されている。
加圧ローラ31は、例えば、厚さ2mmのアルミニウム製の芯金の外周面に、フッ素樹脂の表層が設けられ構成されている。加圧ローラ31における芯金の内部には、加熱ヒータ36が設けられている。
定着ローラ32は、定着モータ32Mによって、矢印Yで示す方向に回転されるようになっており、定着ローラ32の回転によって、定着ベルト34が矢印Uで示す方向に周回移動する。定着ベルト34に圧接された加圧ローラ31は、周回移動する定着ベルト34に追従して、矢印Wで示す方向に回転する。従って、定着ローラ32が回転駆動されると定着ニップNに搬送された記録シートSは、定着ローラ32の回転速度に対応した速度で搬送される。
定着ニップNの下方には、転写ニップでトナー画像が転写された記録シートSを定着ニップNに案内する突入ガイド30aが設けられている。記録シートSは、トナー画像が転写された表面が定着ベルト34に対向した状態で、定着装置30へ搬送されて、突入ガイド30aにて定着ニップNに案内される。記録シートSに転写された未定着のトナー画像は、記録シートSが定着ニップNを通過する間に、加熱および加圧されて、記録シートSに定着される。
定着ローラ32の上方には、定着ニップNを通過した記録シートSにおけるトナー画像が定着された表面を、定着ベルト34の表面から剥離する剥離爪37が設けられている。定着ニップNを通過して剥離爪37によって定着ベルト34から剥離された記録シートSは、上方に向って延びる定着排出経路38内に搬送される。定着排出経路38は、定着ニップNにおける垂直状態になった中心線CLに対して、定着ローラ32が配置された側方に傾斜した状態になっている。
定着排出経路38の上端部には、定着排出経路38を搬送される記録シートSを、定着装置30の上方に設けられた排紙経路41内へ排出する一対の定着排出ローラ39aおよび39bが設けられている。定着排出ローラ39aおよび39bは、定着ローラ32の上方に位置するように、定着ニップNにおける中心線CLに対して排紙トレイ43側に配置されている。
一対の定着排出ローラ39aおよび39bは、相互に圧接された状態になっており、一方の定着排出ローラ39aが、定着排出モータ39Mによって回転駆動されるようになっている。定着排出モータ39Mによって一方の定着排出ローラ39aが回転されると、他方の定着排出ローラ39bが追従して回転する。従って、定着排出モータ39Mによって定着排出ローラ39aが回転されると、定着排出ローラ39aおよび39bにて挟まれた記録シートSは、所定の速度で搬送される。
定着装置30では、定着ニップNを通過する記録シートSの搬送速度と、当該記録シートSが一対の定着排出ローラ39aおよび39bによって搬送される際の搬送速度との速度差を制御することによって、定着ニップNを通過した記録シートSがカールしている場合に、そのカールを矯正するようになっている。記録シートSのカールを矯正する制御の詳細については後述する。
定着装置30の上方に設けられた排紙経路41は、定着排出ローラ39aおよび39bから離れるにつれて、順次、加熱ローラ33の上方に位置するように湾曲した状態になっており、一対の定着排出ローラ39aおよび39bによって定着排出経路38内へ搬送された記録シートSは、排紙経路41に沿って搬送される。排紙経路41は、カバー44によって覆われている。
排紙経路41の終端部には、一対の排紙ローラ42が設けられている。一対の排紙ローラ42は、排紙経路41を搬送される記録シートSを、プリンタの上部に設けられた排紙トレイ43上に排出するようになっている。
排紙トレイ43は、排紙ローラ42によって排出された記録シートSが載置されるように水平状態になった載置面43aと、この載置面43aに対して排紙ローラ42の排紙方向上流側の側縁において垂直状態で配置された側壁部43bとを有している。一対の排紙ローラ42は、側壁部43bの上部に配置されている。
排紙トレイ43の載置面43aは、排紙ローラ42よりも所定の高さだけ低くなっており、排紙ローラ42から排出される記録シートは、垂直壁面43bから10mm程度の間隔をあけた状態で、載置面43a上に載置される。
排紙経路41を覆うカバー44には、排紙トレイ43の載置面43a上に積載された記録シートSの積載高さを検出するシート積載高さ検出機構50が設けられている。図3(a)は、シート積載高さ検出機構50の平面図である。図3(a)に示すように、シート積載高さ検出機構50は、第1積載高さ検出器51、第2積載高さ検出器52、第3積載高さ検出器53を有している。図3(b)は、第1積載高さ検出器51の主要部の側面図である。
第1〜第3の各積載高さ検出器51、52、53は、排紙経路41における記録シートの搬送方向に沿って延びる第1センサアーム51b、第2センサアーム52b、第3センサアーム53bと、第1〜第3の各センサアーム51b、52b、53bを、それぞれ上方へ回動するために設けられた第1センサモータ51a、第2センサモータ52a、第3センサモータ53aとを有している。
第1センサモータ51a、第2センサモータ52a、第3センサモータ53aは、例えば、排紙経路41を搬送される記録シートの搬送方向とは直交する幅方向の中央部において、記録シートの搬送方向に向って左側から順番に幅方向に沿って並んだ状態で、カバー44に取り付けられている。第1〜第3の各センサモータ51a、52a、53aは、それぞれクラッチ内蔵型のモータである。
第1〜第3の各センサモータ51a、52a、53aの出力軸には、ギア51c、52c、53cがそれぞれ連結されており、このギア51c、52c、53cに、第1〜第3の各センサアーム51b、52b、53bが取り付けられている。第1〜第3の各センサアーム51b、52b、53bの基端部は、ギア51c、52c、53cのそれぞれと噛み合った状態になっている。
各センサアーム51b、52b、53bは、各センサモータ51a、52a、53aがクラッチ連結状態(オン状態)で回転駆動されることによって、それぞれ上方に回動される。各センサアーム51b、52b、53bは、上方に回動された状態で、センサモータ51a、52a、53aがクラッチの連結解除状態(オフ状態)になることによって、それぞれ、自重により下方に回動される。
第1センサアーム51b、第2センサアーム52b、第3センサアーム53bは、それぞれ、各ギア51c、52c、53cから、排紙経路41における記録シートの搬送方向下流側に向って延伸しているが、それぞれの長さが相互に異なっており、第1センサアーム51bが最も長く、第2センサアーム52bが第1センサアーム51bに次いで長く、第3センサアーム53bが最も短くなっている。
第1センサアーム51b、第2センサアーム52b、第3センサアーム53bのそれぞれは、上方に向って突出するように弧状に湾曲している。第1センサアーム51b、第2センサアーム52b、第3センサアーム53bのそれぞれは、先端部が排紙トレイ43の載置面43aに当接した状態になるまで下方に回動することができるような長さを、それぞれ有している。
最も長い第1センサアーム51bの先端部は、排紙トレイ43における排紙ローラ42側に設けられた垂直壁面43bからの距離が200mmの位置において、載置面43aに当接するようになっている。第2センサアーム52bの先端部は、排紙トレイ43の垂直壁面43bからの距離が100mmの位置において、載置面43aに当接するようになっており、第3センサアーム53bの先端部は、排紙トレイ43の垂直壁面43bからの距離が10mmの位置において、載置面43aに当接するようになっている。
従って、第1センサアーム51bの先端部は、A3サイズの記録シートSが長手方向を、排紙ローラ42による排紙方向に沿った状態で排紙トレイ43の載置面43a上に載置された場合に、その記録シートSの長手方向のほぼ中央部に当接する。また、第2センサアーム52bの先端部は、A4サイズの記録シートが長手方向を排紙方向とは直交する方向に沿った状態で排紙トレイ43の載置面43a上に載置された場合に、その記録シートSの幅方向のほぼ中央部に当接する。さらに、第3センサアーム53bの先端部は、記録シートSのサイズに関係なく、排紙トレイ43の載置面43a上に記録シートSが載置されると、全ての記録シートSにおける排紙方向上流側の端部に当接する。
第1〜第3の各センサアーム51b、52b、53bの基端部には、各センサアーム51b、52b、53bのそれぞれと一体となって回動する第1回転円板51d、第2回転円板52d、第3回転円板53dが、それぞれギア51c、52c、53cと同軸状態で取り付けられている。第1〜第3の各回転円板51d、52d、53dには、周方向に一定の間隔をあけて複数の突起部51e、52e、53eが全周にわたって設けられている。
なお、第1〜第3の各回転円板51d、52d、53dに設けられる突起部51e、52e、53eの個数は、各回転円板51d、52d、53d毎に異なっており、その個数については後述する。
第1〜第3の各回転円板51d、52d、53dは、第1〜第3の各センサアーム51b、52b、53bのそれぞれと一体となって回動する。カバー44には、回動する第1〜第3の各回転円板51d、52d、53dの突起部51e、52e、53eが所定位置を通過したことを検出する第1計数用センサ51f、第2計数用センサ52f、第3計数用センサ53fが設けられている。
第1〜第3の各計数用センサ51f、52f、53fは、例えば、各回転円板51d、52d、53dに設けられた突起部51e、52e、53eが通過する領域を挟んで発光部と受光部とが相互に対向して設けられたフォトセンサによって構成されており、各突起部51e、52e、53eが通過する毎に、受光部からパルス信号が出力されるようになっている。
各計数用センサ51f、52f、53fは、各回転円板51d、52d、53dが回転すると、その回転量が多くなるほど、受光部から出力されるパルス数が多くなり、従って、そのパルス数を計数することによって、各回転円板51d、52d、53dの回転量を算出することができる。各回転円板51d、52d、53dの回転量は、第1〜第3の各センサアーム51b、52b、53bの回動量に対応している。
第1〜第3の各回転円板51d、52d、53dに設けられた突起部51e、52e、53eの個数は、それぞれのセンサアーム51b、52b、53bの先端の下降距離が等しい場合に、各計数用センサ51f、52f、53fから出力されるパルス数が等しくなるように、それぞれ異なる値に設定されている。
従って、最も長い第1センサアーム51bに取り付けられた第1回転円板51dでは、突起部51eの間隔が小さく、突起部51eの個数が最も多くなっているのに対して、最も短い第3センサアーム53bに取り付けられた第3回転円板53dでは、突起部53eの間隔が大きく、突起部53eの個数が最も少なくなっている。第2回転円板52dの突起部52eの個数は、第1回転円板51dの突起部51eの個数と、第3回転円板53dの突起部53eの個数との中間値程度になっている。
第1、第2、第3の各センサアーム51b、52b、53bの基端部には、排紙経路41における記録シートの搬送方向下流側に向って突出する検知片51g、52g、53gがそれぞれ一体的に設けられている。また、カバー44には、各センサアーム51b、52b、53bと一体的に回動する検知片51g、52g、53gのそれぞれが所定位置になったことを検出する第1〜第3の各ホームポジションセンサ51h、52h、53hがそれぞれ設けられている。
各ホームポジションセンサ51h、52h、53hは、例えば、各検知片51g、52g、53gが通過する領域を挟んで相互に対向する発光部と受光部とを有するフォトセンサによって構成されており、第1〜第3の各センサアーム51b、52b、53bの先端が、排紙ローラ42よりも上方の所定の高さの位置(ホームポジション)HPにまで回動された場合に、各検知片51g、52g、53gが発光部と受光部との間に位置して、受光部による光が受光されない状態になる。
図4は、記録シートSのカール矯正制御を実施する制御機構のブロック図である。この制御機構に設けられた制御部55には、シート積載高さ検出機構50に設けられた第1積載高さ検出器51、第2積載高さ検出器52、第3積載高さ検出器53の各計数用センサ51f、52f、53fの出力およびホームポジションセンサ51h、52h、53hの出力がそれぞれ与えられている。
また、制御部55には、操作パネル(図示せず)に設けられたシートサイズ設定部56およびプリント枚数設定部57の出力が与えられている。シートサイズ設定部56は、ユーザが記録シートのサイズを設定する場合に操作される。プリント枚数設定部57は、ユーザがプリント予定枚数を設定する場合に操作される。なお、制御部55には、外部の端末装置等から記録シートのサイズおよびプリント予定枚数についても入力されるようになっている。
制御部55は、第1〜第3の各積載高さ検出器51、52、53のそれぞれに設けられた第1センサモータ51a、第2センサモータ52a、第3センサモータ53aをそれぞれ制御するとともに、定着装置30において定着ベルト34を周回移動させる定着モータ32M、および、定着排出ローラ39aを回転させる定着排出モータ39Mを、それぞれ制御するようになっている。
制御部55は、クラッチ内蔵型の第1〜第3の各センサモータ51a、52a、53aのクラッチをオン状態として回転駆動することにより、第1〜第3の各センサアーム51b、52b、53bをそれぞれ上方に回動させる。そして、各ホームポジションセンサ51h、52h、53hによって、第1〜第3の各センサアーム51b、52b、53bがホームポジションHPになったことが検出されると、第1〜第3の各センサモータ51a、52a、53aの回転を停止させる。
また、制御部55は、排紙トレイ43上に所定枚数の記録シートSが積載された状態になると、第1〜第3の各センサモータ51a、52a、53aのクラッチをオフ状態とする。これにより、第1〜第3の各センサアーム51b、52b、53bがホームポジションHPから自重によって下方に回動することになる。
第1〜第3の各センサアーム51b、52b、53bが下方に回動されると、各センサアーム51b、52b、53bの先端が、排紙トレイ43上に積載された記録シートSにおける最上側の記録シートSにそれぞれ当接することにより、各センサアーム51b、52b、53bの下方への回動は停止する。
この場合、各センサアーム51b、52b、53bが下方に回動すると、各センサアーム51b、52b、53bと一体となった第1〜第3の各回転円板51d、52d、53dが回転し、計数用センサ51f、52f、53fからは、各センサアーム51b、52b、53bの回動量に応じたパルス信号が出力される。
制御部55は、計数用センサ51f、52f、53fから出力されるパルス数を計数して、計数されたパルス数に基づいて、排紙トレイ43上に積載された記録シートSのカール状態を判定する。
排紙トレイ43の載置面43a上に積載された複数の記録シートSは、カール状態に応じて積載状態が異なる。すなわち、記録シートSがカールしていない場合には、載置面43aに沿って平坦な状態になる。これに対して、トナー画像が形成された表面が突出側になるように湾曲したバックカール状態では、記録シートSは、排紙トレイ43の載置面43a上に、下方に向って突出した状態で載置される。また、トナー画像が形成された表面とは反対側面が突出側になるように湾曲したフェイスカール状態では、記録シートSは、排紙トレイ43の載置面43a上に、下方に向って突出した状態で載置される。
制御部55は、排紙トレイ43上に積載された記録シートSが、カールしていない状態、バックカール状態およびフェイスカール状態のいずれであるかを判定するとともに、カールの度合(カール度)を判定して、それらの判定結果に基づいて、定着モータ32Mおよび定着排出モータ39Mのそれぞれの回転速度を制御することによって、定着装置30の定着ニップNを通過する際の記録シートSの搬送速度と、定着排出ローラ39aおよび39bを通過する際の記録シートSの搬送速度との速度比を変更する。
排紙トレイ43の載置面43a上に載置された記録シートSのカール状態と、シート積載高さ検出機構50による検出状態との関係について、図5〜図7に基づいて説明する。なお、第1積載高さ検出器51、第2積載高さ検出器52、第3積載高さ検出器53の各計数用センサ51f、52f、53fは、図2に示すように、第1〜第3の各センサアーム51b、52b、53bがそれぞれホームポジションHPに位置している場合を基準として、ホームポジションHPからの下方への回動量に比例したパルス数を出力する。
従って、第1〜第3の各センサアーム51b、52b、53bのそれぞれがホームポジションHPに位置している場合には、各計数用センサ51f、52f、53fの出力パルス数は、それぞれ「0」にリセットされる。
排紙トレイ43の載置面43a上に積載された複数の記録シートSは、カールしていない場合には、第1〜第3の各センサアーム51b、52b、53bの先端が最上側の記録シートSに当接すると、第1〜第3の各計数用センサ51f、52f、53fの出力パルス数は全て等しくなる。
図5(a)は、A3サイズの複数の記録シートSが、排紙トレイ43の載置面43a上にバックカールした状態で積載された場合を示しており、第1センサアーム51bが、A3サイズの記録シートの長手方向の中央部の近傍に当接し、第3センサアーム53bがA3サイズの記録シートの長手方向における排紙方向上流側の端部に当接し、第2センサアーム52bが、第1センサアーム51bと第3センサアーム53bとのほぼ中間位置に当接する。
図5(a)に示す例では、第1計数用センサ51fの出力パルス数が「18」、第2計数用センサ52fの出力パルス数が「16」、第3計数用センサ53fの出力パルス数が「12」になっている。従って、排紙トレイ43上のA3サイズの記録シートは、長手方向の中央部において最も低く、排紙方向上流側の端部になるほど、順次高くなっていることから、バックカール状態であると判定される。
また、第1〜第3の各計数用センサ51f、52f、53fの出力パルス数における最大値と最小値との差を、記録シートSのカールの度合を示すカール度として算出する。カール度は、数値が大きくなるほど、平坦からの湾曲度が大きくなっていることになる。図5(a)に示す例では、最大出力パルス数が18、最小出力パルス数が12であることから、カール度は「6」になる。
図5(b)は、A3サイズの複数の記録シートSが、排紙トレイ43の載置面43a上にフェイスカールした状態で積載された場合を示しており、第1計数用センサ51fの出力パルス数が「8」、第2計数用センサ52fの出力パルス数が「10」、第3計数用センサ53fの出力パルス数が「16」になっている。従って、排紙トレイ43上のA3サイズの記録シートは、長手方向の中央部において最も高く、排紙方向上流側の端部になるほど、順次低くなっていることから、フェイスカール状態であると判定される。また、この場合のカール度は、「8」になる。
図6(a)は、長手方向が排紙方向に沿った状態でA4サイズの記録シートS(以下、この場合の記録シートのサイズをA4縦サイズとする)が排紙トレイ43の載置面43a上にバックカールした状態で載置された場合を示しており、第1センサアーム51bが、A4サイズの記録シートの長手方向の中央部近傍に当接し、第3センサアーム53bがA4サイズの記録シートの長手方向における排紙方向上流側の端部に当接し、第2センサアーム52bが、第1センサアーム51bと第3センサアーム53bとのほぼ中間位置に当接する。
図6(a)に示す例では、第1計数用センサ51fの出力パルス数が「17」、第2計数用センサ52fの出力パルス数が「17」、第3計数用センサ53fの出力パルス数が「12」になっている。従って、排紙トレイ43上のA4縦サイズの記録シートは、排紙方向上流側の端部において最も低く、この端部と長手方向の中央部近傍との間および長手方向の中央部近傍において低くなっていることから、バックカール状態であると判定される。また、この場合のカール度は、「3」になる。
図6(b)は、A4縦サイズの複数の記録シートSが、フェイスカールした状態で載置された場合を示しており、第1計数用センサ51fの出力パルス数が「13」、第2計数用センサ52fの出力パルス数が「13」、第2計数用センサ52fの出力パルス数が「16.5」(パルス信号の出力が、16番目のハイレベル信号と17番目のハイレベル信号との間のローレベル信号)になっている。
従って、排紙トレイ43上のA4縦サイズの記録シートは、排紙方向上流側の端部において最も低く、この端部と長手方向の中央部近傍との間および長手方向の中央部近傍において高くなっていることから、フェイスカール状態であると判定される。また、この場合のカール度は、「3.5」になる。
図7(a)は、幅方向が排紙方向に沿ったA4サイズの記録シートS(以下、この場合の記録シートのサイズをA4横サイズとする)が排紙トレイ43の載置面43a上にバックカールした状態で載置された場合を示しており、第1センサアーム51bが、A4横サイズの記録シートの幅方向における排紙方向下流側端部に当接し、第3センサアーム53bがA4横サイズの記録シートの幅方向における排紙方向上流側の端部に当接し、第2センサアーム52bが、第1センサアーム51bと第3センサアーム53bとのほぼ中間位置(A4横サイズの記録シートの幅方向の中央部近傍)に当接する。
図7(a)に示す例では、第1計数用センサ51fの出力パルス数が「16」、第2計数用センサ52fの出力パルス数が「7.5」、第3計数用センサ53fの出力パルス数が「16.5」になっている。従って、排紙トレイ43上のA4横サイズの記録シートは、幅方向の中央部近傍において最も低く、排紙方向の下流側および上流側のそれぞれの端部において高くなっていることから、バックカール状態であると判定される。また、この場合のカール度は、「1.5」になる。
図7(b)は、A4横サイズの記録シートがフェイスカールした状態で排紙トレイ43の載置面43a上に載置された場合を示しており、第1計数用センサ51fの出力パルス数が「17」、第2計数用センサ52fの出力パルス数が「15.5」、第2計数用センサ52fの出力パルス数が「17」になっている。従って、排紙トレイ43上のA4横サイズの記録シートは、排紙方向上流側および下流側の端部において低く、幅方向の中央部近傍において高くなっていることから、フェイスカール状態であると判定される。また、この場合のカール度は、「1.5」になる。
なお、図5〜図7における第1〜第3の各計数用センサ51f、52f、53fの出力パルス数および判定結果(カール状態、カール度)を、図8の表に示す。
以上のことから、制御部は、A3サイズの記録シートの場合には、第1計数用センサ51fの出力パルス数が最も多く、第2計数用センサ52fが第1計数用センサ51fの出力パルス数に対して1以上少なく、さらには、第3計数用センサ53fの出力パルス数が第2計数用センサ52fの出力パルス数に対して1以上少なくなっている場合には、バックカールしていると判定する。
また、A3サイズの記録シートの場合には、第1計数用センサ51fの出力パルス数が最も少なく、第2計数用センサ52fが第1計数用センサ51fの出力パルス数に対して1以上多く、さらには、第3計数用センサ53fの出力パルス数が第2計数用センサ52fの出力パルス数に対して1以上多くなっている場合には、フェイスカールしていると判定する。
さらに、A4縦サイズの記録シートの場合には、第3計数用センサ53fの出力パルス数が最も多く、しかも、第2計数用センサ52fおよび第1計数用センサ51fの両方の出力パルス数に対して1以上少なくなっている場合には、バックカールしていると判定する。
また、A4縦サイズの記録シートの場合には、第3計数用センサ53fの出力パルス数が最も少なく、しかも、第2計数用センサ52fおよび第1計数用センサ51fの両方の出力パルス数に対して1以上多くなっている場合には、フェイスカールしていると判定する。
さらに、A4横サイズの記録シートの場合に、第2計数用センサ52fの出力パルス数が最も多く、しかも、第1計数用センサ51fおよび第3計数用センサ53fの両方の出力パルス数に対して1以上少なくなっている場合には、バックカール状態になっていると判定する。
また、A4横サイズの記録シートの場合に、第2計数用センサ52fの出力パルス数が最も少なく、しかも、第1計数用センサ51fおよび第3計数用センサ53fの両方の出力パルス数に対して1以上多くなっている場合には、フェイスカール状態になっていると判定する。
さらに、いずれの場合にも、第1〜第3の各計数用センサ51f、52f、53fの出力パルス数における最大値と最小値との差を、カール度として算出する。そして、算出されたカール度と、バックカールおよびフェイスカールの判定結果とに基づいて、定着モータ32Mによる排紙速度と定着排出モータ39Mによる排紙速度との速度比が所定の割合で増減するように、定着モータ32Mおよび定着排出モータ39Mの回転をそれぞれ制御するようになっている。
定着モータ32Mおよび定着排出モータ39Mは、それぞれステッピングモータが使用されており、排紙トレイ43の載置面43a上に載置された記録シートSがカールしていない状態の場合には、定着モータ32Mによって周回移動される定着ベルト34と加圧ローラ31とによって搬送される記録シートSの搬送速度(以下、定着モータ32Mによる搬送速度とする)と、定着排出モータ39Mによって駆動される定着排出ローラ39aおよび39bによって搬送される記録シートSの搬送速度(以下、定着排出モータ39Mによる搬送速度とする)とが、等しくなるように、定着モータ32Mと定着排出モータ39Mとを制御する。
これに対して、排紙トレイ43の載置面43a上に載置された記録シートSがバックカール状態になっている場合には、定着排出モータ39Mによる搬送速度が、定着モータ32Mによる搬送速度よりも速くなるように、すなわち、定着モータ32Mの回転速度に対する定着排出モータ39Mの回転速度の比(以下、モータの速度比とする)が増加するように、定着モータ32Mと定着排出モータ39Mとを制御する。
このように、モータの速度比を増加させる場合、定着ニップNを通過した記録シートSが定着排出経路38を通って定着排出ローラ39aおよび39bに達すると、定着排出ローラ39aおよび39bによる記録シートSの搬送速度が、定着ニップNを通過する記録シートSの搬送速度よりも速いために、記録シートSは、定着排出経路38内において引っ張られた状態になる。
この場合、定着排出ローラ39aおよび39bは、定着ニップNにおける定着ローラ32の中心線CLに対して、定着ローラ32の配置方向側(記録シートSにおけるトナー画像が形成された面側)にずれて配置されているために、定着ニップNを通過した記録シートSは、定着ローラ32に巻き掛けられた定着ベルト34の周面に沿った状態、すなわち、フェイスカール状態で搬送されることになる。これにより、記録シートSのバックカールは矯正される。
排紙トレイ43の載置面43a上に載置された記録シートSがフェイスカール状態になっている場合には、定着排出モータ39Mによる搬送速度が、定着モータ32Mによる搬送速度よりも遅くなるように、すなわち、モータの速度比が減少するように定着モータ32Mと定着排出モータ39Mとを制御する。
このように、モータの速度比を減少させる場合、定着ニップNを通過した記録シートSが定着排出経路38を通って定着排出ローラ39aおよび39bに達すると、定着排出ローラ39aおよび39bによる記録シートSの搬送速度が、定着ニップNを通過する記録シートSの搬送速度よりも遅いために、記録シートSは、定着排出経路38内においてフェイスカール状態になる。
この場合、定着ニップNを通過した記録シートSは、定着ローラ32に巻き掛けられた定着ベルト34の周面に密着した状態になっているために、記録シートSが、定着排出経路38内においてフェイスカール状態になると、図9に示すように、定着ニップNを通過した直後における記録シートSはバックカール状態になる。このように、定着ニップNを通過した直後において、加熱された状態の記録シートSがバックカール状態になることによって、記録シートSのフェイスカール状態が矯正されることになる。
定着ニップNを通過した直後の記録シートSは、定着ニップNにおいて加熱されることによって高温状態を維持しているために、トナーが完全に記録シートSに定着した状態にはなっていない。従って、このような高温状態で、記録シートSをバックカール状態とすることによって、フェイスカール状態になった記録シートSを効果的に矯正することができる。
なお、モータの速度比は、カール度の大きさに基づいて変更されるようになっている。すなわち、カール度が大きくなるほどモータの速度比の変化率が大きくなるように、設定される。図8の表に、カール度に基づいて設定されたモータの速度比の一例を併記している。図8においては、モータの速度比を増加率(+)および減少率(−)でそれぞれ示している。
このようなモータの速度比を変更制御する場合において、さらに、記録シートSが厚紙である場合には、普通紙の場合よりも、モータ速度比の増加率および減少率を、それぞれ大きくするようにしてもよい。すなわち、記録シートSが厚くなると、カールしにくくなるために、カールを矯正するための力も大きくなることから、記録シートSが厚紙の場合にカールが生じていれば、モータ速度比の増加率および減少率を、普通紙の場合よりも大きくする。これにより、記録シートSが厚紙であっても、厚紙に生じたカールを確実に矯正することができる。
図10は、記録シートSが厚紙であることによって、モータ速度比の増加率および減少率をそれぞれ大きく補正する場合の補正倍率の一例を示している。普通紙の場合の坪量は、90g/m2以下であり、この場合のモータ速度比の増加率および減少率を基準(1倍)とすると、厚さが増加して坪量が増加するほど、モータ速度比の増加率および減少率がそれぞれ増加するように、普通紙の場合の基準の増加率および減少率に対して、1よりも大きな倍率を乗じるようにしている。
図10に示す例では、記録シートSの坪量が、90〜157g/m2の場合は、モータ速度比の増加率および減少率を基準の1.2倍、157〜210g/m2の場合は、モータ速度比の増加率および減少率を基準の1.5倍、210g/m2以上の場合は、モータ速度比の増加率および減少率を基準の1.8倍としている。
なお、記録シートSの坪量については、例えば、操作パネルに、記録シートの厚さを設定するための機構、搬送経路に記録シートの厚さを測定するセンサ等を設けることによって、取得することができる。
図11は、制御部55において実行されるカール矯正制御のフローチャートである。制御部55は、まず、記録シートのサイズおよびプリント予定枚数Pnを取得する(図10のステップS11参照、以下同様)。記録シートのサイズは、シートサイズ設定部56からの入力または端末装置からの入力によって取得することができる。プリント予定枚数Pnは、プリント枚数設定部57からの入力または端末装置からの入力によって取得することができる。
次いで、制御部55は、取得されたプリント予定枚数Pnが、予め設定された枚数Pa以上になっているかを判定し(ステップS12)、取得されたプリント予定枚数Pnが、予め設定された制御実行枚数Pa以上(Pn≧Pa)の場合(ステップS12において「YES」)にカール矯正制御を実行する。Pn≧Paでない場合(ステップS12において「NO」)には、カール矯正制御を実行することなく終了する。
制御実行枚数Paは、カール矯正制御を実行することによってプリント効率が低下するおそれがあることから、プリント予定枚数Pnが少ない場合に、カール矯正制御を実行しないように設定される。制御実行枚数Paとしては、例えば5枚程度に設定される。
ステップS12においてPn≧Paの場合には、第1、第2、第3の各積載高さ検出器51、52、53における第1、第2、第3の各センサモータ51a、52a、53aのそれぞれをクラッチ連結状態(オン状態)として回転駆動する(ステップS13)。これにより、第1、第2、第3の各センサアーム51b、52b、53bが、それぞれ、上方に回動される。
第1、第2、第3の各センサアーム51b、52b、53bが上方に回動されて、それぞれの先端がホームポジションHPに達すると、第1〜第3の各ホームポジションセンサ51h、52h、53hがオン状態(ステップS14)になる。これにより、第1、第2、第3の各センサモータ51a、52a、53aは、それぞれクラッチ連結状態を維持して、回転駆動が停止される(ステップS15)。第1、第2、第3の各センサアーム51b、52b、53bは、第1、第2、第3の各センサモータ51a、52a、53aがクラッチ連結状態になっていることから、それぞれの先端部がホームポジションHPに位置した状態で停止される。
このような状態になると、制御部55は、プリント動作の開始を指示する(ステップS16)。これにより、画像形成部Aおよび給紙部Bが駆動されてプリント動作が開始される。プリント動作が開始されることにより、給紙部Bの給紙カセット41に収容された所定サイズの記録シートSが画像形成部Aに供給されて、画像形成部Aにて形成されたトナー画像が記録シートSに転写されて、定着装置30へと搬送される。
定着装置30では、搬送される記録シートSが定着ニップNを通過する間に、トナー画像を記録シートSに定着させて、定着排出経路38を通って、定着排出ローラ39aおよび39bへと搬送し、定着排出ローラ39aおよび39bによって排紙経路41へと搬送する。この場合、定着排出ローラ39aおよび39bによる記録シートSの搬送速度と、定着ニップNを通過する記録シートSの搬送速度とがほぼ等しくなるように、定着排出モータ39Mおよび定着モータ32Mがそれぞれ制御されている。
定着排出ローラ39aおよび39bによって排紙経路41に搬送された記録シートSは、排紙経路41を通って、排紙ローラ42によって、排紙トレイ43の載置面43a上に排出される。この場合、第1、第2、第3の各センサアーム51b、52b、53bは、それぞれの先端がホームポジションHPに位置していることから、記録シートSは、第1、第2、第3の各センサアーム51b、52b、53bに当接することなく、円滑に排紙トレイ43の載置面43a上に排出される。
このようにして、複数枚の記録シートSに対して連続してプリント動作が実行される。この場合、制御部55は、プリント動作の実行回数(プリント実行枚数Pk)を取得しており、プリント実行枚数Pkが予め設定されたカール測定枚数Pbのm倍(mは1以上の整数)に達するかを判定し(ステップS17)、プリント実行枚数Pkがカール測定枚数Pbのm倍になる毎に(ステップS17において「YES」)、プリント動作が中断される(ステップS18)。
カール測定枚数Pbは、排紙トレイ43上に載置された記録シートSのカールを測定するタイミングの指標である。カール測定枚数Pbが少ない場合には、プリント動作が頻繁に中断されるためにプリント効率が低下することになる。また、カール測定枚数Pbが多い場合には、記録シートSを適切にカール矯正できないおそれがある。このことから、カール測定枚数Pbは、10枚程度に設定される。
プリント動作が中断されると、第1、第2、第3の各積載高さ検出器51、52、53における第1、第2、第3の各センサモータ51a、52a、53aのそれぞれのクラッチを連結解除(オフ)状態とする(ステップS19)。これにより、第1、第2、第3の各センサアーム51b、52b、53bが、それぞれ、自重によって下方に回動し、各センサアーム51b、52b、53bのそれぞれの先端が、排紙トレイ43の載置面43a上に積載された記録シートSの最上側の記録シートSに、それぞれ当接する。
第1、第2、第3の各センサアーム51b、52b、53bが下方に回動すると、その回動の間に、第1、第2、第3の各計数用センサ51f、52f、53fは、各センサアーム51b、52b、53bの回動量に応じたパルス数を出力する。第1、第2、第3の各計数用センサ51f、52f、53fのそれぞれの出力は、制御部55に与えられている。
制御部55は、第1、第2、第3の各計数用センサ51f、52f、53fから出力されるパルス数を計数する(ステップS20)。そして、前述したように、第1、第2、第3の各計数用センサ51f、52f、53fから出力されるパルス数に基づいて、排紙トレイ43上の記録シートSのカール状態を判定するとともに、カール度を算出して(ステップS21)、判定されたカール状態と算出されたカール度に基づいて、定着排紙モータ39aと定着モータ32Mとの回転速度比であるモータ速度比の増加率または減少率を設定する(ステップS22)。この場合、モータ速度比を、記録シートSの厚さ(坪量)に基づいて補正してもよい。
その後、プリント実行枚数Pkが、プリント予定枚数Pnになっているかを確認する(ステップS23)。プリント実行枚数Pkが、プリント予定枚数Pnになっている場合には(ステップS23において「YES」)、カール矯正制御は終了するが、プリント予定枚数Pnになっていない場合には(ステップS23において「NO」)、ステップS13に戻り、ステップS13からステップS15までの動作が繰り返された後に、ステップS16においてプリント動作が開始されることになる。
この場合には、ステップS22において設定されたモータ速度比の増加率または減少率になるように、定着排出モータ39Mおよび定着モータ32Mがそれぞれ制御される。従って、定着ニップNを通過した記録シートSは、モータ速度比が増加される場合には、バックカールが矯正され、モータ速度比が減少される場合には、フェイスカールが矯正されることになる。
このようにして、記録シートSのカールが矯正されるために、排紙トレイ43上における記録シートSの積載性が向上する。従って、排紙トレイ43上に所定枚数の記録シートSを確実に積載することができる。しかも、定着ニップNを通過した後の記録シートSの搬送速度を変更することによって記録シートSのカールを矯正しているために、定着ニップNを通過する記録シートSの定着条件については変更されず、従って、各記録シートSにおけるトナー画像の定着性が低下するおそれがない。
<変形例>
上記の実施形態において、シート積載高さ検出機構50の各積載高さ検出器51、52、53において、各センサアーム51b、52b、53bの回動量に基づいて、排紙トレイ43の載置面43a上に積載された記録シートSの積載高さを検出する構成であったが、このような構成に限らず、非接触型のセンサを用いて記録シートSの積載高さを検出するようにしてもよい。
この場合には、例えば、各センサアーム51b、52b、53bの先端が排紙トレイ43の載置面43aにそれぞれ当接する所定位置の上方に、反射型の光学式センサを各所定位置に対向して配置すればよい。あるいは、排紙トレイ43の側面におけるそれぞれの所定位置に、垂直方向に沿った反射型の光学アレイセンサを設けて、それぞれの所定位置における記録シートSの積載高さを検出する構成としてもよい。
また、カール矯正制御において、同一のジョブ内において、1度、排紙トレイ43上の記録シートSのカール状態およびカール度を判定して、モータ速度比を設定すれば、記録シートSのカール状態およびカール度は、ほぼ一定であると推定されることから、それ以降は、設定されたモータ速度比によってカール矯正制御を実施するようにしてもよい。
定着モータ32Mおよび定着排出モータ39Mは、それぞれステッピングモータを使用する構成であったが、DCブラシレスモータを使用してもよい。
また、定着装置30としては、加熱ベルト35と加圧ローラ33とによって定着ニップN2を形成する構成に限らず、加熱ローラと加圧ローラとによって定着ニップNを形成する構成であってもよく、あるいは電磁誘導方式によって加熱する構成であってもよい。
さらに、本発明に係る画像形成装置は、プリンタに限らず、複写機、MFP(Multiple Function Peripheral)、FAX等にも適用できる。