以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置Aの内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置Aとして複写機を例示するが、画像形成装置は、プリンタ、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
画像形成装置Aは、本発明の一実施形態に係るシート搬送装置1を含んでいる。画像形成装置Aは、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10と、装置本体10上に配置される自動原稿給送装置20とを備える。装置本体10の内部には、複写する原稿画像を光学的に読み取る読取ユニット25と、シートに画像形成処理を行う画像形成部30と、画像形成部30へ搬送されるシートを貯留する給紙部40と、シートを給紙部40から画像形成部30を経由してシート排出口10Eまで搬送する搬送経路50と、搬送経路50の一部を構成するシート搬送路を内部に有する搬送ユニット60とが収容されている。
自動原稿給送装置20は、装置本体10の上面に回動自在に取り付けられている。自動原稿給送装置20は、装置本体10における所定の原稿読取位置(第1コンタクトガラス241が組み付けられた位置)に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置(第2コンタクトガラス242の配置位置)に載置する場合は、自動原稿給送装置20は上方に開けられる。自動原稿給送装置20は、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、原稿シートを、原稿読取位置(第1コンタクトガラス241が組み付けられた位置)を経由して搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
読取ユニット25は、装置本体10の上面に取り付けられている、自動原稿給送装置20から自動給送される原稿シートの読取用の第1コンタクトガラス241、又は手置きされる原稿シートの読取用の第2コンタクトガラス242を通して、原稿シートの画像を光学的に読み取る。読取ユニット25内には、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含む走査機構と、撮像素子とが収容されている(図略)。走査機構は、原稿シートに光を照射し、その反射光を撮像素子に導く。撮像素子は、前記反射光をアナログ電気信号に光電変換する。前記アナログ電気信号は、A/D変換回路でデジタル電気信号に変換された後、画像形成部30に入力される。
画像形成部30は、トナー画像を生成しこれをシート上に転写する作像部31と、前記トナー像をシートに定着させる定着部36とを含む。作像部31は、フルカラーのトナー像を形成するために、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つのユニット32Y、32M、32C、32Bkを含む画像形成ユニット32と、該画像形成ユニット32の上に隣接して配置された中間転写ユニット33と、中間転写ユニット33上に配置されたトナー補給部34とを含む。
各画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkは、感光体ドラム321と、この感光体ドラム321の周囲に配置された、帯電器322、露光器323、現像装置324、一次転写ローラー325及びクリーニング装置326とを含む。
感光体ドラム321は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム321としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器322は、感光体ドラム321の表面を均一に帯電する。露光器323は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム321の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
現像装置324は、感光体ドラム321上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム321の周面にトナーを供給する。現像装置324は、2成分現像剤用のものであり、攪拌ローラー、磁気ローラー、及び現像ローラーを含む。攪拌ローラーは、2成分現像剤を攪拌しながら循環搬送することで、トナーを帯電させる。磁気ローラーの周面には2成分現像剤層が担持され、現像ローラーの周面には、磁気ローラーと現像ローラーとの間の電位差によってトナーが受け渡されることにより形成されたトナー層が担持される。現像ローラー上のトナーは、感光体ドラム321の周面に供給され、前記静電潜像が現像される。
一次転写ローラー325は、中間転写ユニット33に備えられている中間転写ベルト331を挟んで感光体ドラム321とニップ部を形成し、感光体ドラム321上のトナー像を中間転写ベルト331上に一次転写する。クリーニング装置326は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム321の周面を清掃する。
中間転写ユニット33は、中間転写ベルト331、駆動ローラー332、従動ローラー333及びテンションローラー334を備える。中間転写ベルト331は、これらローラー332、333、334に架け渡された無端ベルトであって、該中間転写ベルト331の外周面には、複数の感光体ドラム321からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。駆動ローラー332は中間転写ベルト331を周回させるための駆動力が付与されるローラーであり、その周面に対向して二次転写ローラー35が配置されている。駆動ローラー332と二次転写ローラー35とのニップ部は、中間転写ベルト331に重ね塗りされたフルカラーのトナー像をシートに転写する二次転写部35Aとなる。なお、従動ローラー333は、中間転写ベルト331の周回に応じて従動するローラー、テンションローラー334は中間転写ベルト331に所定の張力を付与するローラーである。
トナー補給部34は、イエロー用トナーコンテナ34Y、マゼンタ用トナーコンテナ34M、シアン用トナーコンテナ34C、及びブラック用トナーコンテナ34Bkを含む。これらトナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkの現像装置324に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。
定着部36は、誘導加熱方式で加熱される定着ベルトを外周に備えた定着ローラー361と、該定着ローラー361に押圧当接されて定着ニップ部を形成する加圧ローラー362とを含む。上記二次転写部35Aにおいてトナー像が二次転写されたシートは、上記定着ニップ部を通過し、加熱及び加圧されることで、トナー像がシート表面に定着される。
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートを収容する2段の給紙カセット40A、40Bを備える。これら給紙カセット40A、40Bは、装置本体20の前方から手前方向に引出可能である。給紙カセット40A、40Bは、自動給紙用に設けられたカセットであるが、装置本体10の右側面10Rには、手差し給紙用の給紙トレイ46も設けられている。給紙トレイ46は、その下端部において装置本体10に対して開閉自在に取り付けられている。ユーザーは、手差し給紙を行う場合、図示の通り給紙トレイ46を開き、その上にシートを載置する。
給紙カセット40A(40B)は、複数のシートが積層されてなるシート束を収納するシート収容部41と、前記シート束を給紙のためにリフトアップするリフト板42とを備える。給紙カセット40A(40B)の右端側の上部には、ピックアップローラー43と、給紙ローラー44とリタードローラー45とのローラー対が配置されている。ピックアップローラー43及び給紙ローラー44の駆動により、給紙カセット40A内のシート束の最上層のシートが1枚ずつ繰り出され、搬送経路50の上流端へ搬入される。一方、給紙トレイ46に載置されたシートは、同様にピックアップローラー461及び給紙ローラー462の駆動によって、搬入経路50へ搬入される。
搬送経路50は、給紙部40から作像部31を経由して定着部36の出口までシートを搬送する主搬送路50Aと、シートに対して両面印刷を行う場合に片面印刷されたシートを作像部31に戻すための反転搬送路50Bと、主搬送路50Aの下流端から反転搬送路50Bの上流端へシートを向かわせるためのスイッチバック搬送路50Cと、主搬送路50Aの下流端から装置本体10の左側面10Lに設けられたシート排出口10Eまでシートを水平方向に搬送する水平搬送路50Dとを含む。この水平搬送路50Dの大半は、搬送ユニット60の内部に備えられているシート搬送路60Pで構成されている。
主搬送路50Aの、二次転写部35Aよりも上流側には、レジストローラー対51が配置されている。シートは、レジストローラー対51にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、二次転写部35Aに送り出される。この他、主搬送路50Aには、シートを搬送するための搬送ローラー52が複数配置されている。他の搬送路50B、50C、50Dも同様である。
搬入経路50の最下流端には、排紙ローラー53を備えた排紙ユニット530が、搬送ユニット60に隣接して配置されている。排紙ローラー53は、装置本体10の左側面10Lに配置される図略の後処理装置に、シート排出口10Eを通してシートを送り込む。なお、後処理装置が取り付けられない画像形成装置では、シート排出口10Eの下方にシート排出トレイが設けられる。
搬送ユニット60は、定着部36から搬出されるシートを、シート排出口10Eまで搬送するユニットである。本実施形態の画像形成装置Aは、定着部36が装置本体10の右側面10R側に配置され、シート排出口10Eは、右側面10Rと対向する装置本体10の左側面10L側に配置されている。従って、搬送ユニット60は、装置本体10の右側面10Rから左側面10Lに向けて、シートを水平方向に搬送する。
搬送ユニット60は、下ガイド部材60Aと、上ガイド部材60Bとで構成されるハウジング60Hと、下ガイド部材60A及び上ガイド部材60Bの間において水平方向に延びるシート搬送路60Pとを含む。シート搬送路60Pの右端側(上流端側)には、定着部36から搬出されるシートを受け入れるための搬入口(開口)611が、シート搬送路60Pの左端側(下流端側)には、シートを排紙ユニット530へ送り出すための搬出口612がそれぞれ設けられている。
搬送ユニット60は、装置本体10に設けられた収容空間(読取ユニット25とトナー補給部との間に設けられる空間)に、装置本体10から前方(図1の紙面の手前)に引き出し可能に装着されている。例えばシートジャムが生じた場合、ユーザーは搬送ユニット60を装置本体10から引き出してジャム処理を行う。
また、搬送ユニット60の搬入口611側(右端側)には、シートのカールを矯正するデカーラー装置613(カール矯正部)が脱着可能に取り付けられている。デカーラー装置613は、トナー像が転写されたシートが定着部36で加熱加圧されることによって、シートが保有してしまうことがあるカール癖を矯正する装置である。デカーラー装置613は、定着部36よりも、シートの搬送方向下流側に配置されており、鉄ローラーのような剛性ローラーとスポンジローラーのような弾性ローラーとを含み、これらローラーのニップ部にシートが通過されることで、前記カール癖が矯正される。
搬送ユニット60の近傍には、搬送ユニット60(ハウジング60H)内部に空気流を取り込むための給気ダクトDが配置されている。給気ダクトDは、略L字状の構成とされており、給気ダクトDの端部D1が、搬送ユニット60とデカーラー装置613とが相対する箇所に対向しており、当該箇所からハウジング60H内に空気流を送り込む。給気ダクトDの他方の端部である端部D2は、搬送ユニット60の右側面に位置しており、端部D2の近傍には、端部D2から給気ダクトD内部に空気流を送り込むシロッコファン(給気部)Fが配置されている。
これら、搬送ユニット60、デカーラー装置613、給気ダクトD、シロッコファンF、及び搬送装置50により、本発明の一実施形態に係るシート搬送装置1が構成されている。
以下、シート搬送装置1について、図2〜図7を用いて詳細に説明する。図2は、搬送ユニット60の斜視図であって、上ガイド部材60Bが開放されている状態を示す図である。図3は、搬送ユニット60を裏面側から見た斜視図である。
図2を参照して、下ガイド部材60Aは、左右方向に延びる複数のリブ62Aを備える。これらリブ62Aの先端縁は、ハウジング60H内を搬送されるシートの下面をガイドする下側ガイド面となる。上ガイド部材52も同様に、左右方向に延びる複数のリブ62Bを備え、これらリブ62Bの先端縁が上側ガイド面となる。シート搬送路60Pは、下側ガイド面と上側ガイド面とが、所定間隔をおいて対向配置されることで形成される。
下ガイド部材60Aに対し上ガイド部材60Bは、搬送ユニット60の後端部(引き出し方向奥部)の側においてヒンジ結合部603により回動自在に連結されている。具体的には、下ガイド部材60Aの後方板602Aと、上ガイド部材60Bの後縁部602Bとが、ヒンジ結合部603により連結されている。下ガイド部材60Aは、上面開口を備える箱状の部材であり、上ガイド部材60Bがその上面開口をカバーする態様で、搬送ユニット60のハウジング60Hが形成される。上ガイド部材60Bは、下ガイド部材60Aに対して常時閉状態とされ、装置本体10に収容される。搬送ユニット60が装置本体から引き出されると、ユーザーは、上ガイド部材60Bの前縁部601Bに突設されている取っ手604Bを持って、上ガイド部材60Bを上方へ開放することができる。
図4は、デカーラー装置613の外観の一例を示した斜視図である。図4(a)は、下方に湾曲したシートのカールを矯正する位置である第1位置にあるデカーラー装置613の斜視図であり、図4(b)は、上方に湾曲したシートのカールを矯正する位置である第2位置にあるデカーラー装置613の斜視図である。尚、第2位置は、第1位置から180度反転された位置である。
デカーラー装置613は、筐体613Aと、筐体613Aに回転可能に支持される第1ローラー613B及び第2ローラー613Cとを含む。筐体613Aは、第1ローラー613Bの両端部及び第2ローラー613Cの両端部を回転可能に支持する支持板613Dを備える。支持板613Dは、駆動機構613Eが構築される第1支持板613Fと、第1支持板613Fに対向する第2支持板613Gとを含む。第1支持板613F及び第2支持板613Gはともに略円板形状をなす。第1支持板613F及び第2支持板613Gは、これらの間で延びる複数の接続板613Hにより接続される。
第1ローラー613Bは、第1支持板613Fと第2支持板613Gとの間で延びるシャフト613Iと、シャフト613Iの周面から半径方向に延出する環状の複数の弾性部材613Jとを含む。複数の弾性部材613Jは、所定間隔を以て、シャフト613Iの長手方向軸に沿って整列される。尚、弾性部材613Jの間隔は、カールの矯正処理を施与されるシートの幅寸法に応じて定められ、一定であってもよく、一定でなくともよい。弾性部材613Jは、例えば、ゴムやスポンジのような弾性変形可能な材料から形成される。
第2ローラー613Cは、弾性部材613Jよりも硬質に形成された円柱状のローラーである。第2ローラー613Cは、第1ローラー613Bに対して略平行に、第1支持板613Fと第2支持板613Gとの間で延びる。
図5は、図4におけるA−A線に沿うデカーラー装置613の概略断面図である。図5と併せて、図4を参照しつつ、デカーラー装置613が更に説明される。
第2ローラー613Cは、第1ローラー613Bの弾性部材613Jに食い込むように圧接される。この結果、弾性部材613Jの周面は、内方(シャフト613Iに向かう方向)に弾性変形した面S1(以下、変形面S1と称する)となり、湾曲したニップ部が形成される。シートがニップ部を通過する間、シートのカールが矯正されることとなる。
図2中の矢印は、シートの搬送方向を示す。第1位置にあるデカーラー装置613中、上流側に位置する接続板613Hは、便宜的に第1接続板613H(1)及び第2接続板613H(2)と称される。第1位置にあるデカーラー装置613中、下流側に位置する接続板613Hは、便宜的に第3接続板613H(3)及び第4接続板613H(4)と称される。
第1接続板613H(1)及び第4接続板613H(4)は、略水平方向に真っ直ぐ延びる。第2接続板613H(2)は、支持板613Dの内方から外方に向けて、第1接続板613H(1)から離間する方向に屈曲する。第3接続板613H(3)は、支持板613Dの内方から外方に向けて、第4接続板613H(4)から離間する方向に屈曲する。第1接続板613H(1)及び第2接続板613H(2)は、第1ローラー613Bと第2ローラー613Cとの間の接触部(ニップ部)に向けて狭まるシートの第1搬送路500を形成する。第3接続板613H(3)及び第4接続板613G(4)は、第1ローラー613Bと第2ローラー613Cとの間の接触部(ニップ部)から拡がるシートの第2搬送路501を形成する。
以下の説明において、第1位置にあるデカーラー装置613のニップ部の縁のうち、ニップ部に向かうシートを受け入れる縁を始端縁613K(1)と称し、ニップ部を通過したシートが排出される縁を終端縁613K(2)と称する。尚、以下の説明において、デカーラー装置613が第2位置にあるとき、始端縁613K(1)はニップ部を通過したシートが排出される縁となり、終端縁613K(2)はニップ部に向かうシートを受け入れる縁となる。
図4(a)のような第1位置にあるデカール装置613は、下方に湾曲したシートのカールを矯正することができる。下方に湾曲したシートは、始端縁613K(1)により受け入れられて、上方に湾曲した変形面S1に沿って、第1ローラー613Bと第2ローラー613Cとの間で形成されるカール矯正部を通過し、終端縁613K(2)から排出される。この結果、下方へのシートの湾曲量が低減されることとなる。
一方、デカール装置613が、図4(b)のような第2位置にあるとき、第2ローラー613Cは、第1ローラー613Bの上方に位置するため、変形面S1は下方に湾曲する。
上方に湾曲したシートは、終端縁613K(2)により受け入れられて、下方に湾曲した変形面S1に沿って、第1ローラー613Bと第2ローラー613Cとの間で形成されるカール矯正部を通過し、始端縁613K(1)から排出される。その結果、第2位置にあるデカール装置613は、上方に湾曲したシートのカールを矯正することとなる。
第2ローラー613Cは、第1支持板613Fの外面上に形成される駆動機構613Eを介して駆動力を受け、回転する。第1ローラー613Bは、第2ローラー613Cの回転に追従して、回転する。これにより、カール矯正部を通過するシートは下流へ搬送されることとなる。
駆動機構613Eでは、第1支持板613Fの外面から突出した円筒形状の複数の支持筒613Mの先端によって、略扇形のギア板613Lが支持される。ギア板613Lは、第1支持板613Fに対して相対的に回転することはできない。ギア板613Fには、略扇形の切り欠き部が形成され、この切り欠き部を通じて、第1ギア613Nが外方へ突出する。ギア板613Lの外面中心から外方にシャフト613Oが延出する。シャフト613Oに入力ギア613Pが回転可能に取り付けられる。
入力ギア613Pは、図略のモーターのシャフトの先端に取り付けられたギアと噛み合っており、モーターの回転に伴って回転する。入力ギア613Pは、第1ギア613Nと噛み合っており、入力ギア613Pの回転が第1ギア613Nに伝達される。
そして、第1ギア613Nは、第2ギア613Qと噛み合っており、第2ギア613Qの回転によって、第2ローラー613Cが回転する。このため、第1ギア613Nが回転すると第2ギア613Qが回転し、結果的に、第2ローラー613Cが第2回転軸C2周りに回転する。そして、第1ローラー613Bは第2ローラー613Cに追従して、第2回転軸C2の延出方向に沿う第1回転軸C1周りに回転する。
これにより、図略のモーターの回転により入力ギア613Pが回転すると、その回転力が、第1ギア613N、第2ギア613Q、第2ローラー613Cの順に伝わるから、第2ローラー613Cが第2回転軸C2周りに回転する。そして、第1ローラー613Bは、第2ローラー613Cに追従して回転するから、第1回転軸C1周りに回転する。
図2及び図3に戻り、下ガイド部材60Aは、上述の下側ガイド面の前方部に前ブロック601Aを有する。前ブロック601Aには、上ガイド部材60Bが閉じられた状態で上述した取っ手604Bが嵌合される凹部604Aが設けられている。前ブロック601Aのさらに前方には、化粧ブロック614が取り付けられている。化粧ブロック614の左右方向の略中央部には、搬送ユニット60をユーザーが引き出す際に把持するグリップ615が備えられている。
また、下ガイド部材60Aの右側下縁及び左側下縁には、ガイドレール616が取り付けられている(左側下縁のものは図略)。ガイドレール616は、装置本体10の側に取り付けられている図略のガイドレールを嵌め合わされ、搬送ユニット60の引き出しを案内する。
下ガイド部材60Aには、ほぼ等間隔で左右方向に配列された、2個の単位ローラーで1組の第1、第2、第3搬送ローラー631A、632A、633Aが組み付けられている。これらローラー631A、632A、633Aの一部は、下ガイド面を規定するリブ62Aの先端縁よりも上方に突出し、回転駆動力が与えられることによって、シート搬送路60Pを通過するシートに搬送力を与える。なお、上ガイド部材60Bには、これら搬送ローラー631A、632A、633Aと各々対向する位置に、搬送ローラー631A、632A、633Aと搬送ニップを形成する従動コロ631B、632B、633Bが取り付けられている。
第1、第2、第3搬送ローラー631A、632A、633Aには、それぞれ第1、第2、第3駆動軸651、652、653が、同軸で一体的に取り付けられている。これら駆動軸651、652、653が軸回りに回転することで、搬送ローラー631A、632A、633Aも回転する。この回転に伴い、搬送ニップを形成している従動コロ631B、632B、633Bも従動回転する。
第2、第3駆動軸652、653の後端には、装置本体10の側に備えられている第1、第2駆動モーター71M、72M(図10参照)から回転駆動力の入力を受ける第1、第2ユニット側カップリング661、662が取り付けられている。
これに対し、第1駆動軸651の後端には、カップリングが取り付けられていない。カップリングに代えて、第1駆動軸651の前端には、第1ギアローラー651Eが装着されている。また、第2駆動軸652の後端にも、第2ギアローラー652Eが装着されている。これらギアローラー651E、652Eは、ハウジング60Hの前方板605Aよりも外方に突出している。内周面にギア溝を備えた無端ベルト66が、ギアローラー651E、652E間に架け渡されている。第2駆動軸652の回転力は、無端ベルト66を介して第1駆動軸651に与えられる。従って、第2駆動軸652のカップリング661に回転力が与えられると、第1駆動軸651及び搬送ローラー631Aも回転する。
また、下ガイド部材60Aには、シート搬送路60Pにシートが存在するか否かを検知するために、第1、第2アクチュエーター64A、64Bが左右方向に間隔を置いて配置されている。第1アクチュエーター64Aは、シート搬送路60Pの上流側におけるシートジャムを、第2アクチュエーター64Bは、シート搬送路60Pの下流側におけるシートジャムを専ら検出する。
第1アクチュエーター64Aは、シート搬送路60Pに突出した第1姿勢(図2はこの第1姿勢を示している)と、シート搬送路60Pを通過するシートと干渉して傾倒する第2姿勢との間で姿勢変更するシート検知片641Aと、後方板602A(ハウジング60H)の外部に配置され、シート検知片641Aと連動して姿勢変更する揺動片643Aと、シート検知片641Aと揺動片643Aとを連結する連結棒642Aとを含む。連結棒642Aはリブ62Aで回動自在に支持されている。第2アクチュエーター64Bも同様に、シート検知片641B、連結棒642B及び揺動片643Bを備える。
シート検知片641Aの一部は、前記第1姿勢のとき、リブ62Aの先端縁(下側ガイド面)よりも突出する。シート搬送路60Pをシートが通過するとき、当該シートはシート検知片641Aを押下し、下側ガイド面内に没入させる。この没入の際、第1アクチュエーター64Aは、連結棒642Aの軸回りに揺動し、揺動片643Aも連動して揺動する。第2アクチュエーター64Bの動作も同様である。
図6は、デカーラー装置613を取り外した状態の搬送ユニット60を右側から見たときの図である。図6(a)は、搬送ユニット60を右側から見た斜視図、図6(b)は、搬送ユニット60を右側から見た平面図、図6(c)は、図6(a)の拡大図である。
搬送ユニット60は、下ガイド部材60Aが上ガイド部材60Bで覆われた状態で、下ガイド部材60Aと上ガイド部材60Bとの間で空間が形成されるとともに、ハウジング60Hの右側面に、断面が前後方向に長い長方形の開口69が形成される。
デカーラー装置613は、搬出口613Rが開口69に対向するようにして、搬送ユニット60に取り付けられている。これにより、開口69は、デカーラー装置613によりカールが矯正されたシートを受け付ける。
給気ダクトDは、端部D1が開口69に対面するように配置されている。端部D2には、シロッコファンFからの空気流が送り込まれ、さらに、端部D2に送り込まれた空気流は、給気ダクトDを通じて端部D1に送り込まれる。端部D1に送り込まれた空気流は、開口69に向けて送り込まれる。
開口69には、給気ダクトDからの空気流を搬送ユニット60の左側に向けて整流する整流部材691が複数配置されている。
この構成によれば、デカーラー装置613によりカールが矯正されたシートが、デカーラー装置613から開口69に受け渡される。そして、開口69に受け渡されたシートは、搬送ローラー631A、631B、631Cによってシート搬送路60Pを搬送される。このとき、開口69により受け入れられた空気流がハウジング60H内部に取り込まれるから、シート搬送路60Pを搬送されるシートに空気流が当たってシートが冷却される。
そして、開口69に受け入れられた空気流は、開口69に配置された整流部材691によりシート搬送路60Pの左側に向けて整流されるから、シート搬送路60Pを搬送されるシートの左側にも空気流が当たる。このため、シートをより好適に冷却することができる。
図2に戻り、搬送ユニット60の上ガイド部材60Bには、複数の排気口Hが形成されている。これらの排気口Hは、図2及び図6における実線矢印で示すような空気流がハウジング60H内に取り込まれたとき、空気流を、図6における点線矢印で示すように、排気口Hを通じてハウジング60Hの外部に排気する。
このように、上ガイド部材60Bには、複数の排気口Hが形成されているから、ハウジング60H内部において、開口69と排気口Hとの間で空気流の経路が形成される。これにより、ハウジング60Hに空気流を好適に取り込むことができるから、シート搬送路60Pを搬送されるシートをさらに好適に冷却することが可能となる。
図7は、搬送ユニット60を後方側から見た斜視図である。
第1、第2ユニット側カップリング661、662と、第1、第2アクチュエーター64A、64Bの揺動片643A、643Bとは、搬送ユニット60のハウジング60Hの最後部を画定する後方板602Aよりも外側に突出して配置されている。この他、後方板602Aには、搬送ユニット60のアース端子67と、搬送ユニット60を位置決めするための一対のガイドピン681、682が突設されている。
図8は、搬送ユニット60が装置本体10の収容空間に装着されている状態を示す斜視図である。図9は、搬送ユニット60が装置本体10から引き出されている状態を示す斜視図である。図10は、搬送ユニット60と装置本体10との接続態様を説明するための模式的な図である。
図8及び図9を参照して、装置本体10の搬送ユニット60を受け入れる収容空間の奥部には、搬送ユニット60の後方板602Aと対向する対向壁70が備えられている。搬送ユニット60が装置本体10に装着されているとき(図8)、後方板602Aと対向壁70とは近接する。一方、搬送ユニット60が装置本体10から引き出された状態のとき(図9)、後方板602Aと対向壁70とは互いに離間する。
対向壁70には、第1、第2本体側カップリング71、72と、透過型のフォトインタラプターからなる第1、第2光学センサー73A、73Bと、アース板74と、一対のピン孔751、752とが備えられている。さらに、図10の模式図も参照して、装置本体10には、第1、第2本体側カップリング71、72にそれぞれ連結される第1、第2モーター71M、72Mと、制御部75とが備えられている。
第1、第2本体側カップリング71、72は、搬送ユニット60が装置本体10の所定位置に装着された装着状態で、それぞれ搬送ユニット60の第1、第2ユニット側カップリング661、662と係合する。第1モーター71Mは回転駆動力を発生し、その駆動力は、係合状態にある第1本体側カップリング71と第1ユニット側カップリング661とを通して第2駆動軸652に伝達される。
また、上述の通り、無端ベルト66を通して、駆動力は第1駆動軸651にも伝達される。この駆動力によって、第1、第2搬送ローラー631A、632Aは回転駆動される。第2モーター72Mも回転駆動力を発生し、その駆動力は、係合状態にある第2本体側カップリング72と第2ユニット側カップリング662とを通して第3駆動軸653に伝達され、第3搬送ローラー633Aは回転駆動される。なお、モーター71M又は72Mの一方を省き、ベルトドライブ方式で本体側カップリング71、72に駆動力を与えるようにしても良い。
第1、第2光学センサー73A、73Bは、シートがシート搬送路60Pを通過したか否か、若しくは、シートがシート搬送路60Pで滞留(ジャム)しているか否かを検知するセンサーであって、検査光を発生する発光素子と、前記検査光を受光する受光素子、及び両素子の光路に配置される遮光空間とを備えている。搬送ユニット60が前記装着状態であるとき、第1、第2アクチュエーター64A、64Bの揺動片643A、643Bは、第1、第2光学センサー73A、73Bの前記遮光空間に進入可能な状態となる。
この状態で、シートがシート搬送路60Pの上流側に差し掛かり、第1アクチュエーター64Aのシート検知片641Aがシートと干渉して傾倒すると、揺動片643Aも揺動して姿勢変更する。かかる姿勢変更により、揺動片643Aは第1光学センサー73Aの前記遮光空間に進入し、前記光路を遮断する。これにより、前記受光素子は検査光を受光しない状態となる。その後、シートの後端がシート検知片641Aを通過すると、シート検知片641Aは第1アクチュエーター64Aの重力バランスによって復帰揺動する。この揺動によって、揺動片643Aは前記遮光空間から退避し、光路の遮断は解消される。以降は、前記受光素子は検査光を受光する状態となる。第2アクチュエーター64Bについても同様である。
制御部75は、第1、第2モーター71M、72Mの動作を制御すると共に、第1、第2光学センサー73A、73Bの出力に基づいてシートの搬送ユニット60の通過態様を判定する。制御部75は、画像形成処理が作像部31で実行されると、そのシートがハウジング60H内に搬入されるタイミングで、第1、第2モーター71M、72Mに駆動信号を与える。これにより、第1、第2、第3搬送ローラー631A、632A、633Aは回転駆動され、シートを搬送する。
また、制御部75は、第1、第2光学センサー73A、73Bが短時間でON(受光)−OFF(遮光)を示す信号を出力している場合、シート搬送路60Pを正常に通過したと判定する。一方、OFF(遮光)状態が所定の閾値よりも長い期間継続した場合、シート搬送路60Pにおいてシートジャムが発生したと判定する。この場合、制御部75は、操作パネル等にシートジャムの発生をユーザーに報知する情報を表示させる。
そしてまた、制御部75は、シロッコファンFを駆動させるためのモーターMの回転を制御することにより、シロッコファンFの駆動を制御する。尚、シロッコファンFを駆動させるモーターMは、装置本体10内の適所に配置されている。
制御部75は、第1光学センサー73Aの出力に基づいて、シートがハウジング60H内に搬入されたことを検出するから、シートがハウジング60H内に搬入されたことを検出したとき、シロッコファンFを駆動させて、空気流を、給気ダクトDを通じてハウジング60H内に取り込ませる。これにより、シートがハウジング60H内に搬入されるタイミングで空気流をハウジング60H内に取り込ませる。
以上の動作は、搬送ユニット60が装置本体10に対して装着状態とされている場合の動作である。これに対し、搬送ユニット60が装置本体10から引き出された引き出し状態では、第1、第2本体側カップリング71、72と第1、第2ユニット側カップリング661、662との係合は解除される。また、第1、第2アクチュエーター64A、64Bの揺動片643A、643Bは、第1、第2光学センサー73A、73Bから離間し、もはや前記遮光空間に進入し得ない状態となる。一方で、ユーザーがジャム処理を終える等して、引き出し状態から装着状態に搬送ユニット60が復帰されると、これらも元の状態に復帰する。
以上説明した通り、本発明のシート搬送装置1によれば、搬送ユニット60のハウジング60Hには、デカーラー装置613によりカールが矯正されたシートを受け入れるための開口69が、デカーラー装置613と対向して設けられている。これにより、シートはカールの矯正処理が施された後開口69に受け入れられる。
そして、ハウジング60H内には、シートをさらに搬送方向下流側に向けて搬送するためのシート搬送路60Pが形成されており、開口69を通じてハウジング60H内部には、シロッコファンFにより送り込まれた空気流が給気ダクトDを通じて取り込まれるから、シートは、空気流により冷却されつつ、シート搬送路60Pにより搬送方向下流側に向けて搬送される。
その結果、デカーラー装置613を通過した後のシートがさらに搬送方向下流側に搬送される前にシートを好適に冷却することが可能となる。