JP5453933B2 - 電磁ユニット - Google Patents
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Description
ここで、図28A,図28Bは特許文献1に記載されたリングコイルモータの例を示しており、図28Aはアウターロータ型、図28Bはインナーロータ型のステップモータである。
また、図28Bにおいて、11は回転軸、12,13は軸受、15はロータヨーク、16,17はステータヨーク、18,19はリング形コイル、20はマグネット板である。
ロータヨーク5,15及びステータヨーク6,7,16,17の対向面には歯が形成されており、これらの歯の間には永久磁石がそれぞれ配置されている。
これらのリングコイルモータでは、通常のモータのようにスロット内にコイルを配置する必要がなく、リング形コイルの製造も容易であると共に、ステータとロータとの相互作用によって高トルクを発生可能であるという特徴を有している。
しかし、図28A,図28Bに示したモータは、ラジアルギャップ、すなわちステータとロータとの対向面が形成するギャップが円筒形状であるモータを想定している。この種のモータは軸方向に長くなりがちなため、モータを扁平に形成することが難しい。特に、三相のコイルを軸方向に並べる場合には、モータの扁平化は一層実現しにくくなる。
この組立作業を容易にするために、ステータヨーク16,17をそれぞれ軸方向中央部付近で2分割し、コイルを挟んだ後に結合するという方法が考えられるが、その場合にはステータコアにおける磁路が分断されるため、磁気抵抗が大きくなり、結果としてトルク低下を招くという問題がある。
一方、図28Aに示したアウターロータ型のモータによれば、ステータヨーク6,7の周囲にリング形コイル8,9を配置するため組立作業は容易であるものの、この種のアウターロータ型のモータを適用できる製品分野は必ずしも多くはない。
また、本発明の他の目的は、ステータとロータとの磁気的な相互作用によって高トルクを発生可能な電磁ユニットを提供することにある。
前記ステータコアと同軸上に近接して配置されるリング形コイルと、
からなるステータユニット、
及び、
ロータ磁極を有し、かつ、前記ステータユニットと同軸上に配置されるロータユニット、
を備えた電磁ユニットにおいて、
前記ステータ磁性歯列の各歯は、前記ステータ磁性ヨークから軸方向に沿って形成されており、
前記ステータ磁性歯列が同心円状に2列形成され、
前記2列のステータ磁性歯列の間に前記リング形コイルが配置されて、前記2列のステータ磁性歯列に挟まれるように前記ロータ磁極を配置すると共に、
前記2列のステータ磁性歯列はそれぞれ同数の磁性歯を有し、
前記ロータ磁極は、回転軸方向に磁化された永久磁石部と、この永久磁石部を回転軸方向に挟む二つの軟磁性部とにより構成され、
前記二つの軟磁性部は、前記2列のステータ磁性歯列に空隙を介して対向配置された第1列,第2列の磁性歯列をそれぞれ有しており、
一方の軟磁性部の第1列の磁性歯が一方のステータ磁性歯列の磁性歯に対向し、かつ第2列の磁性歯が他方のステータ磁性歯列の間隙に対向しているときに、
他方の軟磁性部については、前記第1列と同じ側の第1列の磁性歯が一方のステータ磁性歯列の間隙に対向し、かつ前記第2列と同じ側の第2列の磁性歯が他方のステータ磁性歯列の磁性歯に対向するものである。
これにより、軸方向の長さが短い扁平な電磁ユニット及びリングコイルモータを、簡単な組立作業によって製造することができる。また、ステータ磁性歯列とロータ磁性歯列またはロータ磁極との磁気的な相互作用により、大きなトルクを発生させることが可能である。
更に、永久磁石部と軟磁性部とからなるロータユニットを備えた電磁ユニットを用いれば、リング状の永久磁石を用いる必要がなくなり、コストの低減が可能になる。
図1は、電磁ユニットに係る本発明の第1参考形態を示しており、図1Aは主要部の分解斜視図、図1Bは各部品を組み立てた状態の斜視図である。
図1Aにおいて、100Aはステータユニットであり、ステータコア101とリング形コイル300とから構成されている。なお、コイルは、一般には導線を複数回、巻回して構成するが、図では一つのリングとして表記してある。ステータコア101は、リング状のステータ磁性ヨーク102と、各歯が、前記ステータ磁性ヨーク102からその中心軸(z軸)に沿って形成され、かつ周方向に等間隔に配置された多数のステータ磁性歯列103と、を備えている。なお、図中のx軸,y軸は、z軸に直交してステータ磁性ヨーク102の半径方向の軸を示す。
ここで、ステータユニット100A及びロータユニット200Aの最大外径はほぼ等しい長さに形成されている。
図1Bに示すように、ステータ磁性歯列103の内側に位置するように、ステータ磁性ヨーク102と同軸上にリング形コイル300が載置され、更に、ロータユニット200Aのロータ磁性ヨーク201が同軸上に載置されて全体が形成される。
これにより、ロータ磁性歯列202とステータ磁性歯列103とは、z軸に直交する面(x−y軸上の平面)が互いに対向することになる。
図2Aにおいて、ステータユニット100Aの構成は図1Aと同様である。ロータユニット200Bは、図1Aにおけるロータユニット200Aとほぼ同様にロータ磁性ヨーク203とロータ磁性歯列204とから構成されているが、ロータユニット200Bの最大外径はステータ磁性歯列103の内径よりも短くなっている。
図2Bに示す如く、ステータ磁性歯列103の内側に位置するように、ステータ磁性ヨーク102と同軸上にリング形コイル300が載置され、更に、ロータユニット200Bが同軸上に載置されて全体が形成される。この参考形態では、ロータユニット200Bの最大外径がステータ磁性歯列103の内径よりも短いため、ステータ磁性歯列103の内側にロータユニット200Bが収容される。これにより、ステータ磁性歯列103の内周面とロータ磁性歯列204の外周面(何れの面も、z軸に平行な面である)とが対向することになる。
図3Aにおいて、ステータユニット100Aの構成は図1A,図2Aと同様である。ロータユニット200Cは、リング状のロータ磁性ヨーク205とその外周面に多数配置されたロータ磁性歯列206とから構成されているが、ロータ磁性歯列206の内径はステータ磁性歯列103の外径よりも長くなっている。
図3Bに示す如く、ステータ磁性歯列103の内側に位置するように、ステータ磁性ヨーク102と同軸上にリング形コイル300が載置され、更に、ステータ磁性歯列103をロータ磁性歯列206が包囲するようにロータユニット200Cが同軸上に載置されて全体が形成される。この参考形態では、ロータ磁性歯列206の内径がステータ磁性歯列103の外径よりも長いため、ロータ磁性歯列206の内側にステータユニット100Aが収容される。これにより、ステータ磁性歯列103の外周面とロータ磁性歯列206の内周面(何れの面も、z軸に平行な面である)とが対向することになる。
第2参考形態の電磁ユニットでは、ステータ磁性歯列103がステータ磁性ヨーク102の周方向に沿って等間隔に配置されている。このステータ磁性歯列103の内側に、ロータ磁性歯列204が対向配置される。また、リング形コイル300は、図4AのA−A断面図や図4BのA’−A’断面図に示される如く、ステータ磁性歯列103に沿って、ステータ磁性歯列103、ステータ磁性ヨーク102、ロータ磁性歯列204及びロータ磁性ヨーク203に挟まれた空間に配置されている。ここで、ステータ磁性歯列103及びロータ磁性歯列204の歯数は等しい。
なお、リング形コイル300の巻数にトルク発生原理上の制約はなく、コイル300に印加される電源の電圧に応じて適切に定めれば良い。
この状態は、ロータの位置としては最も磁気的に不安定な状態(高磁気エネルギー状態)であり、コイル300に電流を通流しても理論上はトルクが発生しない。しかし、実際には、ロータの位置が僅かにずれることにより、磁気エネルギーが小さくなって磁気的に安定するような方向にトルクが発生する。
コイル300を流れる電流が一定である時のステータ磁性歯列103とロータ磁性歯列204との位置ずれ角θ(ステータ磁性歯列103及びロータ磁性歯列204の位置が揃っている状態をθ=0°とし、歯の1ピッチを360°とする。)によるトルクの変化は、概略、図5のようになる。図5ではトルクの変化を簡易的に正弦波で示しているが、実際にはθに対するトルクの変化は正弦波とは限らず、一般に高調波を含む歪み波形となる。図5では、ステータ磁性歯列103とロータ磁性歯列204との位置関係を模式図的に併記してある。
なお、ステータ側、ロータ側が共に磁性歯列のみを有する場合には、電流の極性を変更しても、トルク−θ特性は同じになる。
ステータユニット100Aの構成は、第2参考形態(図2A,図2B,図4A〜図4C)と同様である。
ステータ磁性歯列103の内周面には、ロータ磁極207の外周面が対向している。また、図6A〜図6Cに示す如く、ステータ磁性歯列103に沿って、このステータ磁性歯列103とステータ磁性ヨーク102、ロータ磁極207及びロータ磁性ヨーク203に挟まれた空間にリング形コイル300が配置されている。ここで、ステータ磁性歯列103とロータ磁極207のN極,S極の対(ロータ磁極対)数は等しい。
本参考形態におけるロータ磁極207の構成方法は様々考えられるが、最も単純なものは、N極,S極に対応した永久磁石を配置する構造である。
このように、ロータ磁極207が存在する場合には、コイル300に通流する電流の極性によって発生トルクの方向が変化する点が、第2参考形態のようにロータ磁性歯列204を有する場合と異なる。なお、ロータユニットがロータ磁極207とロータ磁性歯列204との両方を備えている場合には、両特性を合成したトルク特性が現れることとなる。
コイル300を流れる電流が一定である時のステータ磁性歯列103とロータ磁極207との位置ずれ角θ(ステータ磁性歯列103及びロータ磁極のN極の位置が揃っている状態をθ=0°とし、歯の1ピッチを360°とする)によるトルクの変化は、概略、図7のようになる。図5の場合と同様に、θに対するトルクの変化は正弦波とは限らず、一般に高調波を含む歪み波形となる。図7では、ステータ磁性歯列103とロータ磁極207との位置関係を模式図的に併記してある。
この参考形態によれば、コイル300に通流する電流の極性を反転することにより、トルクの極性が反転する。
なお、ロータユニット200A〜200D及びステータユニット100Aの支持機構については図示していないが、z軸方向及びx軸,y軸方向(半径方向)の位置を維持しつつ、周知の機構によって相対的に回転可能に保持すれば良い。
また、ステータ磁性歯列の数とロータ磁性歯列あるいはロータ磁極対の数とは、必ずしも等しくする必要はない。その理由は、前述したように、ロータの回転に応じて磁気エネルギーが変化すればトルクが発生するからである。
更に、ステータコア、ロータユニットは、いずれも周方向に分割可能とすることができる。すなわち、構造に周方向の周期性があるため、例えば120°毎、90°毎に同形状のコア、磁極を周方向に並べて配置することによって、図1A〜図3B等に示すステータコア、ロータユニットを構成することができる。それらの結合は接着によってもよいし、または図示しない支持構造によってもよい。本発明に係る電磁ユニットまたはモータでは、磁束が主にリングコイルを囲むように流れ、周方向には殆ど流れないため、上記のようなコアの分割による影響が少ないという特徴がある。
図8Aにおいて、100Bはステータユニットであり、ステータコア104とリング形コイル300とから構成されている。ステータコア104は、リング状のステータ磁性ヨーク105と、ヨーク105の端面(z軸に直交する面)に、周方向に沿って互いに等間隔に配置された第1のステータ磁性歯列106と、その内側に所定の隙間をおいて、周方向に沿って互いに等間隔に配置された第2のステータ磁性歯列107とからなっている。
本参考形態によれば、ロータ磁性歯列209またはロータ磁極が対向する2列のステータ磁性歯列106,107のそれぞれに対してトルクを発生させることができるため、トルクを一層大きくすることができる。
図9には現れていないが、3個のロータユニット及び3個のステータユニットは、それぞれ機械的に連結されて各1個のロータ及びステータを形成しており、ロータユニットとステータユニットとは相対的に回転可能に保持されている。
図9には、一つの電磁ユニット401を基準とした上記位置関係を示すために、z軸に平行な基準線dを表示してある。
図9では、3個の電磁ユニット401の間でステータ磁性歯列103の位置が基準線dを基準としてずれており、ロータ磁性歯列に関しては揃っている。しかし、上述のようにロータ磁性歯列とステータ磁性歯列との相対的な位置関係がずれていれば良いので、例えば3個の電磁ユニット401の間でステータ磁性歯列の位置を揃え、ロータ磁性歯列の位置をずらしても良い。
図10において、(a)は、第1の電磁ユニット401における、電流一定の場合のトルク−θ特性であり、図5に示したものと同じである。ここで、位置ずれ角θに応じて図10(b)に示す電流(間欠的な波形とする)をコイル300に通流すると、図10(c)に示すようなトルクが第1の電磁ユニット401に発生する。これは、図10(a)においてトルクが負となる期間に電流を通流すると、前述のとおり電流極性に依らず連続的に得たいトルクの方向とは逆方向のトルクが発生してしまうため、その期間は電流を通流していないことによる。
図10(d)に示した合成トルクは、一定のトルクに脈動成分が重畳した波形となっていることから、連続的なトルク発生が可能であることが分かる。これが、本発明に係るリングコイルモータのトルク発生の原理である。
上記の説明は、ロータユニットがロータ磁極を有さない場合のものである。しかし、ロータユニットがロータ磁極を有する場合も本発明は適用可能である。すなわち、電磁ユニットを3個以上用い、それぞれの電磁ユニットにおける無負荷誘導起電力が等間隔位相差となるように各電磁ユニット間の位置を決め、電磁ユニットの個数に応じた相数(例えば、電磁ユニット3個の場合には三相)の電流を各コイルに通流することによって、同様にモータとして機能させることができる。
この参考形態は、ロータユニットがロータ磁極210を有しており、このロータユニットとステータユニットからなる電磁ユニット402を2個、z軸方向に背中合わせに連結して扁平なモータを構成したものである。
各ロータユニットにおいては、N極,S極のロータ磁極210が周方向に交互に配置されており、これらのロータ磁極210の外周面がステータ磁性歯列103の内周面に対向している。
図11では、2個の電磁ユニット402の間でステータ磁性歯列103の位置が基準線eを基準としてずれており、ロータ磁極210に関しては揃っている。しかし、上述のようにロータ磁極とステータ磁性歯列との相対的な位置関係がずれていれば良いので、例えば2個の電磁ユニット402の間でステータ磁性歯列の位置を揃え、ロータ磁極の位置をずらしても良い。
図12において、(a)は、第1の電磁ユニット402における、電流一定の場合のトルク−θ特性であり、図10(a)に示したものと同じである。ここで、位置ずれ角θに応じて図12(b)に示す電流をコイル300に通流すると、図12(c)に示すようなトルクが第1の電磁ユニット402に発生する。図10の場合と異なり、電流としては交番電流を与えるものとし、その結果、図12(c)のように正側にバイアスのある脈動トルクが得られる。図12(a)において、トルクが負となる期間には電流極性を反転させることで、所望の方向にトルクを発生することができる。
電磁ユニット402が2個の場合、ステータ磁性歯列とロータ磁極との位置関係は、位置ずれ角θ=90°となるように配置されている。2個の電磁ユニット402の発生トルクは図12(d)のようになり、これらの合計値がモータとしての合成トルクとなる。
実際には、トルク−θ特性は高調波を含むことが多く、その場合には、コイル300に正弦波電流を通流すると高調波に応じた脈動トルクが重畳することになる。一定のトルクを得るためには、モータの磁気設計によってトルク−θ特性における高調波を極力減らすこと、及び、高調波による脈動トルクを打ち消すような電流波形とすることが有効である。図10について説明したのと同様に、コイル300に通流する電流波形の調整は、インバータによって高い自由度で実現可能である。
本発明を実現する場合、ステータユニットまたはロータユニットの磁性材料として通常の積層綱板を使用するのは明らかに困難である。積層綱板は電気機器の鉄心材料として多用されているが、基本的には同じ形状の板を重ねて構成するため、断面形状が均一な機器用の材料と言える。従って、断面形状に均一性のないステータユニット等を有する電磁ユニットを実現するためには、積層綱板以外の材料を用いる必要がある。
このように磁性材料として磁性粉501を用いることで透磁率を高めると共に、絶縁物502を用いたコーティングによって磁束変化に伴う渦電流を抑制し、損失を低減させることができる。
以上のように、圧粉磁心を用いれば形状の自由度が向上するので、本発明に係る電磁ユニットやリングコイルモータを構成する磁性材料として好適である。
ロータ磁極の構成方法としては、図11に示したように、リング状の永久磁石を用い、その周方向に沿ってN極,S極を交互に着磁することが考えられる。また、他の方法としては、リング状の磁性ヨークの内周部及び外周部に大小二つのリング状の永久磁石を貼り付けることもできる。
しかし、一般に、リング状の永久磁石は高価であるため、より安価で同等の作用を果たすロータ磁極の提供が望まれており、本発明の第8参考形態はこの課題に応えるものである。
また、200Fはリング状のロータユニットであり、上述した内外2列のステータ磁性歯列の間に僅かな空隙を介して配置されている。このロータユニット200Fは、回転方向にネオジム磁石等からなる永久磁石部221と鉄系の合金等からなる軟磁性部222とを交互に配置して構成されている。永久磁石部221の総数は磁性歯120,130の総数に等しく、軟磁性部222の総数も磁性歯120,130の総数に等しい。
これらの永久磁石部221及び軟磁性部222により、ロータ磁極が構成されている。
前記同様に105はステータ磁性ヨーク、300はリング形コイルを示す。
まず、図15Aはロータユニット200Fの一部を示したものであり、永久磁石部221a,221b,221c,……は、符号▲で示すようにロータユニット200Fの回転方向に沿って交互に逆向きに着磁されている。このため、二つの永久磁石部に挾まれる軟磁性部222a,222b,222c,……は、順番にS極,N極,S極,……の磁極を形成することになる。
なお、図15B(図15A,図15Cも同様)では、便宜的に、永久磁石部221a,221b,221c、軟磁性部222a,222b,222c,222d及びステータ磁性歯列120X,130Xが直線上に配置されるように図示してあるが、これらは、図14から明らかなように、実際には回転軸を中心とした同心円上にそれぞれ配置されるものである。
すなわち、永久磁石部221b,221cによる磁束は、軟磁性部222b,222d→磁性歯120a,120b→ステータ磁性ヨーク105→磁性歯130a→軟磁性部222c→永久磁石部221b,221c→軟磁性部222b,222dという経路h’(図15Bの経路hとは逆の経路)を通って還流するので、この経路h’がリング形コイル300に鎖交する。
本参考形態によれば、永久磁石部のみからなる高価なリング状の永久磁石が不要になり、永久磁石部と軟磁性部とを交互に配置することで、リング状の永久磁石と同形であって同様の作用を果たすロータユニットを形成することができる。このため、電磁ユニットまたはリングコイルモータの製造コストの低減が可能である。
図16に示す第1実施形態は、上記の課題を解決するものである。すなわち、図16において、ロータユニット200Gは、回転軸方向に磁化されたリング形の永久磁石部223と、この永久磁石部223を回転軸方向の両側から挟むように配置されたリング状の軟磁性部224,225とを備えている。そして、これらの軟磁性部224,225には、半径方向の外側及び内側に各々2列の磁性歯224A,224B、225A,225Bがそれぞれ突設されている。
ここで、軟磁性部224の磁性歯224Aは、請求項1における第1列の磁性歯、磁性歯224Bは第2列の磁性歯にそれぞれ相当し、同様に軟磁性部225の磁性歯225Aは、請求項1における第1列の磁性歯、磁性歯225Bは第2列の磁性歯にそれぞれ相当する。
なお、図14と同様に、図16に示した構造は電磁ユニットの全周にわたり周期的に形成されている。
上述した構成において、リング形の永久磁石部223を用いる代わりに、複数の扇形の永久磁石を回転方向に連結しても良いし、直方体の小形の永久磁石を多数連結して全体としてリング形に形成しても良い。
すなわち、図16のロータユニット200Gは、図14におけるロータユニット200Fの永久磁石部221と軟磁性部222との相互作用によるトルク発生の原理を維持しつつ、永久磁石部の個数を減らすようにロータユニットの構造をトポロジー的に変形したものと理解することもできる。
図17の最上段において、軟磁性部222の磁化の状態はロータユニット200Fの回転方向に沿って一つおきに等しくなるため、これらを結合した場合でも、永久磁石部221による磁束のステータユニットへの経路を維持することができる。
この原理を利用すれば、図17の最上段に示すロータユニット200Fを図示のごとく次第に変形し、最終的に図17の最下段に示すロータユニット200Gのように簡略化することが可能である。なお、図17の最下段の図は、図16におけるロータユニット200Gのみを半径方向の一点から見た状態を模式的に表したものであり、図17における224Cは軟磁性部224の磁性歯(図16における磁性歯224Aまたは224B)を示し、図17における225Cは軟磁性部225の磁性歯(図16における磁性歯225Aまたは225B)を示している。
この実施形態は、図17の最下段に示したロータユニット200Gの磁性歯224C,225Cを、永久磁石部223側にそれぞれ拡張して磁性歯224D,225Dを形成したものである。この場合、磁性歯224D,225DのN極,S極は回転方向に交互に存在するため、互いに干渉することなく面積を増加させることができる。
なお、図18では、軟磁性部224及びその磁性歯224Dを一点鎖線により、軟磁性部225及びその磁性歯225D、並びに永久磁石部223を実線により表してある。ここで、磁性歯224D,225Dは、それぞれ異極の軟磁性部225,224との間に十分な間隔を保有させて、永久磁石部223からの磁束が極間で漏れないようにすることが必要である。
ちなみに、図18の構成による磁束の経路は、永久磁石部223→軟磁性部224→外側のステータ磁性歯列の磁性歯(図16の磁性歯140)→ステータ磁性ヨーク105→内側のステータ磁性歯列の磁性歯(図16の磁性歯150)→軟磁性部225→永久磁石部223となる。
すなわち、図19に示す如く、1個のリング状のステータ磁性ヨーク108のz軸方向の両側(ステータ磁性ヨーク108の表裏)に、基準線eを基準として周方向にずれるようにステータ磁性歯列103がそれぞれ形成されている。他の構成は図11と同一であるため、説明を省略する。
この参考形態によれば、ステータ磁性ヨーク108の表裏に形成されるステータ磁性歯列103同士の(1/4)歯ピッチの位置ずれを高精度に決めることができる。また、ステータ磁性ヨーク108が単一であるため、磁路を有効利用してステータ磁性ヨーク108の厚さを減少させることができ、使用材料を少なくすることが可能である。
図20では、図8A,図8Bのステータコア104を周方向に沿って4分割した例を示してあり、実際には、4分割された分割コア109をフレームへの焼き嵌め等の機械的手段により連結して使用する。
これに対し、本実施形態のようにステータコアを複数に分割すれば、金型やプレス機の小型化を可能にしてコストの低減を図ることができる。
また、金型を小さくすると一般に寸法精度が向上すると共に、一部の分割コア109が損傷した場合にはその分割コア109だけを不良扱いすればよいので、歩留まりの向上も期待できる。
図20ではステータコアを4分割してあるが、ステータコアは任意の複数に分割可能である。但し、複数の分割コアがすべて同一形状となるように等分割すれば、部品を共用することができ、好都合である。
なお、図19に示したように、ステータ磁性ヨーク108の表裏にステータ磁性歯列103をそれぞれ形成してなる一体的なステータコアを、周方向に複数に分割しても良い。
よって、ステータコアを分割した分割コア109の突き合わせ面に隙間を設けることができる。これにより、分割コア109の突き合わせ面の加工精度、隙間距離の精度を緩和することができ、金型加工コストの低減、ステータコアの歩留まりの向上が可能になる。
また、分割コア109の突き合わせ面に隙間を設けることにより、分割コア109の熱膨張に対応することができる。すなわち、分割コア109の熱膨張量を設計時に把握しておき、最大膨張時に分割コア109同士がぶつからないような隙間を設けておくことにより、応力を緩和しつつ、ステータ磁性歯列とロータとの距離を高精度に保つことができる。
前述したように、ステータ磁性歯列は、ロータ磁性歯列またはロータ磁極と対向して磁束の流れを変化させることにより、トルクを発生する。従って、ロータとの対向面から見たステータ磁性歯列の磁気抵抗が歯の有無に応じて変化することが重要である。つまり、歯が存在する部分の磁気抵抗が低く、歯が存在しない部分の磁気抵抗が高くなっていることが必要である。
更に、ステータ磁性歯列106,107では、先端部から根元部に向かって磁束密度が大きくなるため、根元部ほど磁気飽和しやすくなる。よって、隣合う歯同士を結合ブリッジ110によって連結することにより、結合ブリッジにも磁束が流れて磁束密度を低下させ、もって磁気飽和をしにくくすることが可能である。
なお、この第4実施形態は、前述したすべての実施形態の電磁ユニットに適用することができる。
一方、結合ブリッジが太いほど機械的強度が増す。つまり、結合ブリッジの太さについては、磁気特性と機械特性のとの間でトレードオフの関係が存在するが、その最適点については、磁界解析や強度解析等によって見出すことができる。
ステータ磁性歯列106,107の根元部にはコイル300が収納される分、ロータ磁性歯列や磁極から距離を確保できるため、結合ブリッジをロータ磁性歯列などに一層近接させることができ、図22A,図22Bに示す如く、根元の太い結合ブリッジ112を用いることができる。この結合ブリッジ112によって機械的強度を高め、磁束密度を更に低下させることができる。
結合ブリッジの詳細な形状、構造は種々考えられるが、原則的には、上述したように先端部側が比較的薄く、根元部、特にコイル300の収納部近傍は太く形成することが望ましい。
図23の例では、永久磁石部221の着磁方向がロータユニット200Fの周方向と一致しており、永久磁石部221の着磁方向に直交する面はロータユニット200Fの中心軸を含む(言い換えればロータユニット200Fの半径を含む)位置関係となっている。この場合、永久磁石部221の着磁方向に直交する面の断面積は、ロータユニット200Fの半径方向の永久磁石部221の幅Wmagに依存する。なお、図23において、200rはロータユニット200Fの半径を含む径線を示し、221r’は永久磁石部221の着磁方向に直交する面を示しており、図23では面221r’に径線200rが含まれることとなる。
この第10参考形態によれば、永久磁石部221dの着磁方向に直交する面の断面積を増加させ、永久磁石部221dが発生する磁束量を増加させてモータのトルクを増大させることができる。
なお、前述した角度αの大きさにより、軟磁性部226の内周面及び外周面の周方向位置がずれる。従って、図25Bに示すごとく、軟磁性部226の内周面及び外周面にそれぞれ適切に対向するように、外側及び内側のステータ磁性歯列120X,130Xの位置を調整する必要がある。
図23,図24等に示したロータユニット200F,200Iでは、軟磁性部222,226が個々に分離しているため、組立が難しいという問題がある。この点に鑑み、本発明の第11参考形態はロータユニットの組立を容易化したものである。
この構造によれば、軟磁性部227を一体化することができ、しかも永久磁石部221eを軟磁性部227により抱き込む形で固定できるため、ロータユニット200Jの組立作業を大幅に容易化することができる。なお、軟磁性部227を構成するために積層された多数の鋼板は、通しピンを用いたり、かしめ加工、接着等によって一体的に固定すればよい。
この問題を解消するため、軟磁性部227における永久磁石部埋込用の孔を径方向になるべく長く形成してブリッジ部221fの幅を狭くし、このブリッジ部221fを磁気飽和させて磁気抵抗を大きくする必要がある。
この種の技術は、例えば、特開2002−281700号公報(発明の名称:埋込み磁石型回転機の回転子)の段落[0014]、図1等に記載されているように、通常の埋込磁石型同期モータにおいて永久磁石の漏れ磁束を低減するために採用されている技術と同様であるため、ここでは詳述を省略する。
このため、本発明の第12参考形態では、ロータユニットの組立をある程度容易にしながら、前記ブリッジ部221fに起因したトルクの減少を防止するようにした。
前者の方法では、360°を複数に等分して所定数(例えば図27に示すように6個)の軟磁性部228を形成し、これらの軟磁性部228を円周上に等間隔に配置したうえで永久磁石部221eを取り付け、固定すればよい。
一方、後者の方法では、ブリッジ部221fを切断する工程が増えるものの、それ以前の工程については軟磁性部が一体化されているため組立が容易である。また、ブリッジ部221fを切断する前に軟磁性部を強固に固定し、ブリッジ部221fを切断した後も残りの部分が動かないようにしておくことで、切断後の軟磁性部228の相対位置を高精度に決めることができる。
101,104,111:ステータコア
102,105,108:ステータ磁性ヨーク
103,106,107,120X,130X:ステータ磁性歯列
109:分割コア
110,112:結合ブリッジ
112a:基片部
112b:段部
120,120a,120b,130,130a,130b,140,150:磁性歯
125,135,145,155:間隙
200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G,200H,200I,200J,200K:ロータユニット
201,203,205,208:ロータ磁性ヨーク
202,204,206,209,:ロータ磁性歯列
207,210:ロータ磁極
221,221a,221b,221c,221d,221e,223:永久磁石部
221f:ブリッジ部
221g:間隙
222,222a,222b,222c,222d,224,225,226,227,228:軟磁性部
224A,224B,224C,224D,225A,225B,225C,225D:磁性歯
300:リング形コイル
401,402:電磁ユニット
501:磁性粉
502:絶縁物
Claims (4)
- リング状のステータ磁性ヨークと、前記ステータ磁性ヨークの周方向に沿って規則的に配置された複数のステータ磁性歯列と、を有するリング状のステータコアと、
前記ステータコアと同軸上に近接して配置されるリング形コイルと、
からなるステータユニット、
及び、
ロータ磁極を有し、かつ、前記ステータユニットと同軸上に配置されるロータユニット、
を備えた電磁ユニットにおいて、
前記ステータ磁性歯列の各歯は、前記ステータ磁性ヨークから軸方向に沿って形成されており、
前記ステータ磁性歯列が同心円状に2列形成され、
前記2列のステータ磁性歯列の間に前記リング形コイルが配置されて、前記2列のステータ磁性歯列に挟まれるように前記ロータ磁極を配置すると共に、
前記2列のステータ磁性歯列はそれぞれ同数の磁性歯を有し、
前記ロータ磁極は、回転軸方向に磁化された永久磁石部と、この永久磁石部を回転軸方向に挟む二つの軟磁性部とにより構成され、
前記二つの軟磁性部は、前記2列のステータ磁性歯列に空隙を介して対向配置された第1列,第2列の磁性歯列をそれぞれ有しており、
一方の軟磁性部の第1列の磁性歯が一方のステータ磁性歯列の磁性歯に対向し、かつ第2列の磁性歯が他方のステータ磁性歯列の間隙に対向しているときに、
他方の軟磁性部については、前記第1列と同じ側の第1列の磁性歯が一方のステータ磁性歯列の間隙に対向し、かつ前記第2列と同じ側の第2列の磁性歯が他方のステータ磁性歯列の磁性歯に対向することを特徴とする電磁ユニット。 - 請求項1に記載した電磁ユニットにおいて、
前記ステータコアが、その周方向に沿って分割された複数の分割コアからなることを特徴とする電磁ユニット。 - 請求項2に記載した電磁ユニットにおいて、
隣り合う前記分割コアの間に隙間を設けたことを特徴とする電磁ユニット。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載した電磁ユニットにおいて、
前記ステータ磁性歯列の隣り合う歯同士を、前記ロータとの対向面から離れた位置において磁性体により連結したことを特徴とする電磁ユニット。
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