以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1〜図17は本発明の一実施の形態に係る回転電機を説明する図である。
図1において、回転電機1は、ダブルロータ形式の回転電機として構成されており、円筒形状に形成されたステータ100と、このステータ100よりも回転軸1C側に設けられた第2のロータとしてのアウタロータ200と、このアウタロータ200よりも回転軸1C側に設けられた第1のロータとしてのインナロータ300とを備えている。アウタロータ200およびインナロータ300は、回転軸1Cを回転中心として相対回転可能にそれぞれ支持されている。なお、図1は機械角360度のうちの180度分(1/2)の径方向断面図を図示している。
ステータ100はステータコア101を備えており、このステータコア101には、軸心に向かう径方向に延伸されている複数本のステータティース102が周方向に並列されている。このステータティース102は、後述するアウタロータ200の非磁性部材202の外周面202aにエアギャップG1を介して内周面102a側を対面させるように形成されている。
このステータ100は、ステータティース102の側面102b間をスロット103として、三相交流のW相、V相、U相に対応する電機子コイル104が納められている。電機子コイル104は分布巻きによりステータティース102に巻き回されている。電機子コイル104は、通電により磁束を発生させる。
ステータ100は、この電機子コイル104に三相交流が供給されることで、周方向に回転する回転磁界を発生し、発生した磁束をアウタロータ200やインナロータ300に鎖交させることによりこれらアウタロータ200およびインナロータ300をそれぞれ回転駆動させる。
アウタロータ200は、透磁率の高い鋼材などの軟磁性体からなるポールピース201と、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂等の磁束を通さない非磁性体からなる非磁性部材202とを有する。ポールピース201および非磁性部材202は軸線方向に延伸されている。なお、軸線方向は、回転軸1Cが延伸する方向と同じ方向を示す。
ポールピース201は、軸線方向に延在する棒状に形成されており、複数の電磁鋼板を周方向に積層したものからなる。なお、ポールピース201は、強磁性体の微細な粉末が圧縮して固められた圧粉磁心によって形成してもよい。この場合、圧粉磁心の表面が絶縁被膜で覆われているため、高調波磁束による渦電流損失を低減することができる。
非磁性部材202は、円筒形状に形成されており、嵌合孔202Cが周方向に所定の間隔ごとに配置されている。嵌合孔202Cは、軸線方向の一方の端面から他方の端面に向けて形成されている。
また、非磁性部材202は、周方向に隣り合う嵌合孔202Cの間に非磁性部202Aを有する。さらに、非磁性部材202は、嵌合孔202Cのステータ側とインナロータ側とにおいて周方向に隣り合う非磁性部202Aを接続するブリッジ部202Bを有する。非磁性部202Aとブリッジ部202Bとは、一体形成されている。
このように構成された非磁性部材202においては、非磁性部202Aおよびブリッジ部202Bで囲まれる空間が嵌合孔202Cとして構成される。ポールピース201は、嵌合孔202Cに嵌め込まれている。
したがって、本実施の形態のアウタロータ200は、軟磁性体のポールピース201と非磁性部202Aとが周方向に交互に配置されている。ポールピース201および非磁性部材202の詳細な構成については後述する。
アウタロータ200は、ステータ100のステータティース102の内周面102aと、後述するインナロータ300のロータティース302の外周面302aに対して、ポールピース201の外周面201aと内周面201bとが非磁性部材202のブリッジ部202Bを径方向に間に挟んで対向するように形成されている。非磁性部材202のブリッジ部202Bの径方向の幅は、非磁性部材202の非磁性部202Aの径方向の幅よりも小さく、ステータ100とポールピース201との間、およびポールピース201とインナロータ300との間での磁束の通過を妨げることがない程に小さい幅に設定されている。
したがって、このアウタロータ200は、ステータ100の電機子コイル104で発生し鎖交する磁束がポールピース201を効率よく通過する一方、非磁性部202Aではその磁束の通過を妨げる。このステータ100の電機子コイル104で発生する磁束は、アウタロータ200のポールピース201を通過した後には、後述するように、インナロータ300のロータティース302の外周面302aに鎖交して、再度、アウタロータ200のポールピース201を通過することにより、ステータ100に戻る磁気回路を形成する。
このとき、アウタロータ200は、ステータ100に対して相対回転するので、磁束を通過させるポールピース201と磁束の通過を制限する非磁性部202Aとが繰り返し切り換えられて磁気回路を形成する。
このようにアウタロータ200が回転することで、電機子コイル104で発生する回転磁界の極数および周波数を変更させることができる。この変調された回転磁界とインナロータ300が同期回転することによりトルクが発生する。
インナロータ300は、複数の電磁鋼板を軸線方向に積層したロータコア301を備えている。このロータコア301には、軸心から離隔する径方向に向かって延長されている複数本のロータティース(突極部)302が周方向に並列されている。ロータティース302は、アウタロータ200の非磁性部材202の内周面202bにエアギャップG2を介して外周面302aを対面させるように形成されている。
このロータティース302は、誘導コイルIと界磁コイルFとからなるロータ巻線330を有している。誘導コイルIは、隣接するロータティース302の側面302b間をスロット303として、ロータティース302のアウタロータ200側に巻き付けられている。界磁コイルFは、隣接するロータティース302の側面302b間をスロット303として、ロータティース302の軸心側に巻き付けられている。すなわち、誘導コイルIは、スロット303においてインナロータ300の径方向外側に巻き付けられており、界磁コイルFは、スロット303においてインナロータ300の径方向内側に巻き付けられている。
誘導コイルIは、ロータティース302毎にインナロータ300の周方向において隣同士が逆向きの周回巻線となる集中巻に形成されて、インナロータ300の周方向に配列されている。この誘導コイルIは、磁束が鎖交することにより誘導電流を発生(誘起)する。
界磁コイルFは、ロータティース302毎にインナロータ300の周方向において隣同士が逆向きの周回巻線となる集中巻になるように形成されて、インナロータ300の周方向に配列されている。この界磁コイルFは、界磁電流を供給されることにより励磁されて電磁石として機能する。
このように、誘導コイルIと界磁コイルFは、電流の向きが等しくなるように巻き回されている。
ここで、図1の機械角180度分の8つの誘導コイルIを、回転方向(反時計方向)に誘導コイルI1〜I8と呼んで区別する。また、機械角180度分の8つの界磁コイルFを回転方向に界磁コイルF1〜F8と呼んで区別する。
図2において、誘導コイルI1、I3、I5、I7と界磁コイルF1、F2、F3、F4は、ダイオードD1、D2と共に閉回路である整流回路C1を形成している。この整流回路C1において、3つ置きの誘導コイルI1、I5とダイオードD1が直列接続され、3つ置きの誘導コイルI3、I7とダイオードD2が直列接続され、界磁コイルF1、F2、F3、F4が直列接続されている。また、誘導コイルI1、I5、ダイオードD1からなる直列接続と誘導コイルI3、I7、ダイオードD2からなる直列接続は、両端部で並列接続された後、ダイオードD1、D2のカソード側で、界磁コイルF1、F2、F3、F4からなる直列接続に接続されている。このように、整流回路C1は、誘導コイルI1、I3、I5、I7で発生する交流の誘導電流をダイオードD1、D2でそれぞれ一方向に整流して界磁コイルF1、F2、F3、F4に直流界磁電流として供給するように結線された回路構成となっている。
また、誘導コイルI2、I4、I6、I8と界磁コイルF5、F6、F7、F8は、ダイオードD3、D4と共に閉回路である整流回路C2を形成している。この整流回路C2において、3つ置きの誘導コイルI2、I6とダイオードD3が直列接続され、3つ置きの誘導コイルI4、I8とダイオードD4が直列接続され、界磁コイルF5、F6、F7、F8が直列接続されている。また、誘導コイルI2、I6、ダイオードD3からなる直列接続と誘導コイルI4、I8、ダイオードD4からなる直列接続は、両端部で並列接続された後、ダイオードD3、D4のカソード側で界磁コイルF5、F6、F7、F8からなる直列接続に接続されている。このように、整流回路C2は、誘導コイルI2、I4、I6、I8で発生する交流の誘導電流をダイオードD3、D4でそれぞれ一方向に整流して界磁コイルF5、F6、F7、F8に直流界磁電流として供給するように結線された回路構成となっている。
この回路構成により、誘導コイルIで発生させた誘導電流を整流し界磁電流として界磁コイルFを励磁させることができるため、ロータティース302を電磁石として機能させることができる。
ここで、ダイオードD1、D2、D3、D4は、誘導コイルIや界磁コイルFを多極化させる場合でも、直列接続することにより使用数を抑えており、大量使用を回避するために、一般的なHブリッジ型の全波整流回路を形成するのではなく、それぞれ180度位相差になるように結線して、一方の誘導電流を反転させて半波整流出力する中性点クランプ型の半波整流回路を形成している。
整流回路C1、C2の界磁コイルFは、隣接するロータティース302毎の巻付方向を逆向きにされている。このことから、磁気回路の一部を構成するインナロータ300の一つのロータティース302は、アウタロータ200のポールピース201から誘導する方向となるS極を対面させる電磁石として機能するように磁化されている。また、隣接するもう一つのロータティース302は、磁束をアウタロータ200側に誘導する方向となるN極を対面させる電磁石として機能するように磁化されている。
ここで、図3にインナロータ300とアウタロータ200の間のギャップ磁束密度の調波解析結果を示す。ポールコンビネーションは、ステータ100が4極対、アウタロータ200が12極、インナロータ300が8極対の場合で、インナロータ300は、ソリッドロータ(磁気抵抗の脈動を持たないロータ)での結果である。
図3に示すように、ステータ100による4次の磁束が、アウタロータ200により変調され、低次の項の8次と、高次の項の16次のギャップ磁束が存在することが分かる。また、アウタロータ200によるパーミアンス直流重畳項により4次の磁束も存在することが分かる。
この変調されない非同期磁束の空間的な次数はステータの極対数となる。解析例の場合、インナロータ300に空間4次の磁束が鎖交する(機械角360°を1次としたとき)。
ここで、回転電機1のトルクの発生原理を説明する。インナロータ300は、ステータ100からアウタロータ200を介して鎖交する磁束のうち、そのアウタロータ200の回転によって変調された磁束がインナロータ300の回転と同期して鎖交する。
また、一方で、回転電機1は、インナロータ300の誘導コイルIに鎖交する磁束に、アウタロータ200により変調されずに(インナロータ300の回転に同期せずに)変動する成分が含まれており、これにより誘導コイルIに交流の誘導電流を発生させることができる。そして、その交流の誘導電流をダイオードD1、D2で整流して直流の界磁電流とし、界磁コイルFに通電することにより、ロータティース302を電磁石として機能させて界磁磁束を発生させることができる。このようにして、回転電機1はトルクを発生することができる。
なお、このとき、ステータ100のステータティース102からアウタロータ200のポールピース201を介してインナロータ300のロータティース302に鎖交する磁束は、分布巻きした電機子コイル104に交流電源から電力供給して発生させる。
ところで、この電機子コイル104は、本実施の形態では分布巻きを採用するが、集中巻きを採用してもよい。集中巻きを採用する場合には、ロータティース302に鎖交する磁束に分布巻きのコイルで発生する場合よりも多くの高調波成分を重畳させることができる。この磁束に重畳される高調波成分は、磁束量の変動として作用するため、誘導コイルIに誘導電流を効果的に発生させることができ、より大きな界磁電流を界磁コイルFに供給して界磁磁束を発生させることができる。
これらのことから、回転電機1は、永久磁石を設けることなく、インナロータ300を電磁石トルク(回転力)により相対回転させることができる。このインナロータ300では、磁化方向(N極、S極)が周方向に向かって交互になるように並列されている電磁石としてロータティース302を機能させることにより、アウタロータ200およびステータ100との間で鎖交させる磁束をスムーズにスロット303を迂回させて受け渡すことができる。
この回転電機1は、ステータ100に対してアウタロータ200が相対回転し、また、その回転するアウタロータ200(ポールピース201)を経由する磁束が鎖交されるインナロータ300が電磁石トルクにより相対回転されるので、アウタロータ200を低速回転させ、インナロータ300を高速回転させることができる。また、反対に、アウタロータ200を高速回転させ、インナロータ300を低速回転させることもできる。
この回転電機1は、ステータ100、アウタロータ200およびインナロータ300の構造に応じて上述の回転駆動に必要なトルクが発生するようになっている。具体的には、ステータ100の電機子コイル104の極対数をAとし、アウタロータ200の極数となるポールピース201の数をHとし、インナロータ300の極対数となるロータティース(電磁石)302の極対数をPとしたときに、次式(1)を成立させる組み合わせとなる。
H=|A±P| ......(1)
この構造では、トルクを効果的に発生させてアウタロータ200とインナロータ300とをステータ100に対して効率よく相対回転させることができる。例えば、本実施の形態の回転電機1では、ステータ100の電機子コイル104の極対数A=4、アウタロータ200の極数H=12、および、インナロータ300のロータティース302の極対数P=8であり、上記の式(1)を満たしている。
図4に示すように、回転電機1は、ステータ100内にアウタロータ200が回転自在に収容されており、さらに、そのアウタロータ200内にインナロータ300が回転自在に収容されている。
また、アウタロータ200の非磁性部材202には、アウタ回転軸210が一体回転可能に連結されている。インナロータ300のロータコア301には、インナ回転軸310が一体回転可能に連結されている。これにより、回転電機1は、磁気変調原理を利用してアウタ回転軸210およびインナ回転軸310のそれぞれに動力を伝達することのできる磁気変調型二軸モータとして構成される。
したがって、回転電機1は、例えばステータ100を遊星歯車機構のサンギヤ、アウタロータ200を遊星歯車機構のキャリヤ、インナロータ300を遊星歯車機構のリングギヤとして機能させることができ、機械式の遊星歯車機構と同等の機能を備えることができる。なお、本実施の形態に係る回転電機1は、アウタロータ200がキャリヤとして機能するよう構成される。
この構造により、回転電機1は、例えば、ハイブリッド自動車にエンジン(内燃機関)と共に駆動源として搭載する場合、アウタロータ200のアウタ回転軸210とインナロータ300のインナ回転軸310とをそれぞれ車両の動力伝達経路に直接連結して、ステータ100の電機子コイル104にインバータを介して車両のバッテリを接続することにより駆動源と共に動力伝達機構としても機能させることができる。
(アウタロータ)
図4、図5において、アウタロータ200は、上述したポールピース201および非磁性部材202に加えて、鉄材からなるアウタ回転軸210と、円環状のフランジ215と、円筒状の円筒軸214とを備えている。
アウタ回転軸210は、円柱状の小径部210Aと、この小径部210Aの他端部に連続するフランジ形状の大径部210Bとからなる。大径部210Bは、回転軸1Cを中心とした径方向が小径部210Aの径方向よりも大きく形成されており、軸線方向の他端部側でポールピース201に対向している。
アウタ回転軸210の小径部210Aには、軸線方向の一端部から他端部に向かって、レゾルバリング221、レゾルバロータ220、リテーナ218が設けられている。レゾルバロータ220は、レゾルバリング221によって小径部210Aに一体回転自在に固定されている。リテーナ218は、円環状に形成されており、その内縁部の軸線方向の一端部側の側面で、後述するラジアルボールベアリング21の外輪を支持している。また、リテーナ218にはナット部218Aが設けられており、このナット部218Aには、後述するボルト26が螺合される。
フランジ215は、アウタ回転軸210の大径部210Bとポールピース201および非磁性部材202との間に設けられている。フランジ215は、例えばアルミ材などの非磁性体からなる。これにより、電機子コイル104により発生した磁束が鉄材からなるアウタ回転軸210に漏れ磁束として流れてしまうことが防止される。
大径部210Bおよびフランジ215には、周方向に並んだ複数の挿通孔210B1、215Aがそれぞれ形成されており、これらの挿通孔210B1、215Aには非磁性体ボルト219が挿通されている。非磁性部材202の非磁性部202Aには挿通孔202dが形成されており、この挿通孔202dには非磁性体ボルト219が挿通されている。
非磁性体ボルト219は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂等の磁束を通さない非磁性体で構成されている。このため、アウタロータ200は、ポールピース201(図1参照)が磁気的に独立し、非磁性体ボルト219を磁性体で構成した場合と比べてポールピース201によるパーミアンス変動(突極比)を大きくすることができる。これにより、回転電機1におけるトルク密度が向上する。
また、非磁性体ボルト219が非磁性体で構成されるため、ギャップ中に発生する高調波磁束に起因して非磁性体ボルト219内で発生する渦電流、および非磁性体ボルト219間で発生する渦電流による損失を低減することができる。
円筒軸214は、ポールピース201および非磁性部材202の軸線方向の他端部側(図4中、左端側)に設けられており、この円筒軸214には、非磁性体ボルト219の軸線方向の他端部が螺合される雌ねじ214Aが形成されている。
円筒軸214は、例えば非磁性体のステンレスで構成されている。これにより、電機子コイル104により発生した磁束が円筒軸214を介して外部に漏れ磁束として流れてしまうことが防止される。
アウタロータ200において、非磁性体ボルト219を軸線方向の他端部側から大径部210Bの挿通孔210B1、フランジ215の挿通孔215A、非磁性部材202の挿通孔202dに順次挿通し、円筒軸214の雌ねじ214Aに螺合することで、ポールピース201および非磁性部材202の軸線方向の一端部側(図4中、右端側)にフランジ215およびアウタ回転軸210が固定されるとともに、ポールピース201および非磁性部材202の軸線方向の他端部側に円筒軸214が固定される。
(インナロータ)
図4、図6において、インナロータ300は鉄材からなるインナ回転軸310を備えている。このインナ回転軸310の外周部には、軸線方向の一端部側から他端部側に向かって、バランスプレート311、スペーサ312、ロータ巻線330、スペーサ314、ダイオードホルダ315、バランスプレート316、Uナット317、リテーナ318、レゾルバロータ319、レゾルバリング320が設けられている。
バランスプレート311は、鉄材を円環状に形成したものからなり、内周縁部でインナ回転軸310の鍔部によって軸線方向に位置決めされている。バランスプレート311は、ロータ巻線330の軸線方向の一端部側(図4中、右端側)からスペーサ312を介してロータ巻線330を支持している。
スペーサ312は、ロータ巻線330の軸線方向の一端部とバランスプレート311との間に介装されている。スペーサ312は、回転軸1Cを中心とした径方向がロータ巻線330の径方向より小さく形成されており、ロータ巻線330とバランスプレート311との間に空間を形成している。スペーサ312は、アルミ材を円環状に形成したものからなる。バランスプレート311およびスペーサ312は、ロータ巻線330と一体回転するようにインナ回転軸310に対して回り止めされている。
バランスプレート316は、鉄材を円環状に形成したものからなり、内周縁部でUナット317によって軸線方向に位置決めされている。バランスプレート316は、ロータ巻線330の軸線方向の他端部側(図4中、左端側)からダイオードホルダ315およびスペーサ314を介してロータ巻線330を支持している。
スペーサ314は、ロータ巻線330の軸線方向の他端部とダイオードホルダ315との間に介装されている。スペーサ314は、ロータ巻線330より回転軸1Cを中心とした径方向の寸法が小さく形成されており、ロータ巻線330とダイオードホルダ315との間に空間を形成している。スペーサ314は、アルミ材を円環状に形成したものからなる。
ダイオードホルダ315は、円環状に形成された回路基板からなり、前述のダイオードD1〜D4を保持している。バランスプレート316、ダイオードホルダ315およびスペーサ314は、ロータ巻線330と一体回転するようにインナ回転軸310に対して回り止めされている。
Uナット317は、内周面に図示しない雌ねじが形成されており、インナ回転軸310の外周面に形成された図示しない雄ねじに螺合している。Uナット317がインナ回転軸310に螺合することで、ロータ巻線330は、スペーサ312、314およびダイオードホルダ315を介してバランスプレート311、316により軸線方向の両側から挟まれた状態で、インナ回転軸310に対して軸線方向および回転方向に固定される。
リテーナ318は、円環状に形成されており、その内縁部の軸線方向の他端部側(図4中、左端側)の側面で、後述するラジアルボールベアリング23の外輪を支持している。また、リテーナ318の外縁部の軸線方向の一端部側(図4中、右端側)には、ナット部318Aが設けられており、このナット部318Aには、後述するボルト25が螺合される。
(ケースを含めた全体構造)
図4において、回転電機1はケース10を備えており、このケース10の内部に前述のステータ100、アウタロータ200およびインナロータ300を収容している。
ケース10は、軸線方向の一端部側から他端部側に向かって、第1フランジ11、第1スペーサ12、第1ケース13、第2ケース14、第2スペーサ15、第2フランジ16を備えている。
第1ケース13は、円盤状のプレート部13Aと、このプレート部13Aの外縁部の他端部側に連続する円筒状の円筒部13Bとからなる。プレート部13Aの中心部には貫通孔13Cが形成されており、この貫通孔13Cにはアウタ回転軸210の小径部210Aが貫通している。
円筒部13Bの内周面にはステータ100が固定されている。また、円筒部13Bは、アウタロータ200のポールピース201および非磁性部材202と、インナロータ300のロータコア301およびロータ巻線330とに径方向で対向している。
このように、円筒部13Bの径方向内方には、回転電機1の主要部であるステータ100と、アウタロータ200のポールピース201および非磁性部材202と、インナロータ300のロータコア301およびロータ巻線330とが収容されている。
貫通孔13Cにはラジアルボールベアリング21が設けられている。ラジアルボールベアリング21は、第1ケース13のプレート部13Aに軸線方向の一端部からボルト26を挿通してリテーナ218のナット部218Aに螺合することで、軸線方向に位置決めされる。第1ケース13のプレート部13Aは、このラジアルボールベアリング21を介してアウタ回転軸210の小径部210Aを回転自在に支持している。
また、貫通孔13Cにはレゾルバセンサ31が固定されている。一方、アウタ回転軸210の小径部210Aには、レゾルバセンサ31と径方向で対向するように、円環状のレゾルバロータ220が設けられている。レゾルバロータ220は、レゾルバリング221によってアウタ回転軸210の小径部210Aに一体回転自在に固定されている。
レゾルバセンサ31は、レゾルバロータ220の回転角を検出することで、アウタロータ200の回転角を検出している。
第2ケース14は、円筒状の外筒部14Aと、この外筒部14Aの内周側に配置された円筒状の内筒部14Bと、外筒部14Aおよび内筒部14Bの軸線方向の他端部側に連続する円盤状のプレート部14Cとを有している。
第1ケース13と第2ケース14は、第1ケース13の円筒部13Bと第2ケース14の外筒部14Aとを軸線方向に付き合わせて図示しないボルトで締結することにより、ステータ100、アウタロータ200およびインナロータ300を収容した状態で連結されている。
外筒部14Aは、アウタロータ200の円筒軸214の軸線方向の他端部と径方向に対向しており、ラジアルボールベアリング22を介して、円筒軸214を回転自在に支持している。
ここで、本実施の形態のアウタロータ200は、ポールピース201および非磁性部材202が軸線方向の一端部側でアウタ回転軸210の大径部210Bに固定された、カップ型構造となっている。
このようなカップ型構造のアウタロータ200を、第1ケース13に対して例えば片持ち支持させると、固有振動が発生した場合や、アウタロータ200に作用する電磁吸引力とアウタロータ200の固有振動とが共振して過大な力が作用した場合に、電磁振動が大きくなってしまう。また、アウタロータ200が偏心駆動した場合には、片持ち支持しているラジアルボールベアリングに過大な負荷がかかり、そのラジアルボールベアリングの耐久性に影響を与えてしまう。
そこで、本実施の形態では、アウタロータ200の軸線方向の他端部側、すなわち円筒軸214を、アウタ回転軸210を支持しているラジアルボールベアリング21よりも回転軸1Cを中心とした径方向の寸法が大きいラジアルボールベアリング22によって第2ケース14に対して支持する構成とした。
これにより、本実施の形態のアウタロータ200は、両持ち支持構造をとることができ、上述したような電磁振動の増大や、ラジアルボールベアリング21に対して偏心駆動による過大な負荷がかかることを防止することができる。
ここで、アウタロータ200の重心位置は、円筒軸214の軸線方向の長さによって決まる。例えば、円筒軸214の軸線方向の長さが短ければ、アウタロータ200の重心位置は軸線方向の一端部側(図4中、右端側)に偏る。これとは反対に、円筒軸214の軸線方向の長さが長ければ、アウタロータ200の重心位置は軸線方向の他端部側(図4中、左端側)に偏る。
こうした重心位置の偏りがあると、ラジアルボールベアリング21、22のそれぞれにかかる負荷を均等にすることができない。このため、ラジアルボールベアリング21、22のうち、大きな負荷がかかるラジアルボールベアリングについては、過大な負荷に対応できる大きさのものを採用しなければならない。この場合、ラジアルボールベアリングの配置スペースを確保することが難しい。
そこで、本実施の形態では、ラジアルボールベアリング21、22のそれぞれにかかる負荷が均等となるような位置にアウタロータ200の重心位置が位置するよう、円筒軸214の軸線方向の長さを設定している。
また、本実施の形態のポールピース201および非磁性部材202は、軸線方向の両端がそれぞれ円筒軸214およびアウタ回転軸210の大径部210Bに連結されている。このため、円筒軸214の軸線方向の他端部側の端面、および大径部210Bの軸線方向の一端部側の端面のそれぞれに、回転のアンバランスを修正するためのバランス修正面を設けることができる。
したがって、アウタロータ200について、軸線方向の片側のみにバランス修正面を設ける場合と比較して、軸線方向の他端部側および軸線方向の一端部側のそれぞれのバランス修正量を削減できる。このため、軸線方向の両端部側のそれぞれにおいて、重りをつけたり、切削したりする等のバランス修正を行うためのスペースを小さくすることができる。
また、軸線方向の両端部側のそれぞれにおいて、バランス修正を行うことができるため、静的なバランス修正に限らず、動的なバランス修正を行うことができる。これにより、アウタロータ200を構成する各回転要素の同心度を高精度に維持することができる。
内筒部14Bの内周にはレゾルバセンサ32が固定されている。一方、インナ回転軸310には、レゾルバセンサ32と径方向で対向するように、円環状のレゾルバロータ319が設けられている。レゾルバロータ319は、レゾルバリング320によってインナ回転軸310に一体回転自在に固定されている。
レゾルバセンサ32は、レゾルバロータ319の回転角を検出することで、インナロータ300の回転角を検出している。
内筒部14Bの軸線方向の一端部の内周にはラジアルボールベアリング23が設けられている。ラジアルボールベアリング23は、内筒部14Bに軸線方向の他端部からボルト25を挿通してリテーナ318のナット部318Aに螺合することで、軸線方向に位置決めされる。第2ケース14の内筒部14Bは、ラジアルボールベアリング23を介してインナ回転軸310を回転自在に支持している。
アウタ回転軸210の大径部210Bの内周にはラジアルボールベアリング24が設けられている。大径部210Bは、ラジアルボールベアリング24を介してインナ回転軸310の一端部を回転自在に支持している。
第1スペーサ12には貫通孔12Aが形成されており、この貫通孔12Aは、レゾルバセンサ31から延びる配線31Aが貫通している。また、第1スペーサ12は、第1ケース13と第1フランジ11との間に介装されることで、配線31Aが通過する空間を第1ケース13と第1フランジ11との間に確保している。
第2スペーサ15には貫通孔15Aが形成されており、この貫通孔15Aは、レゾルバセンサ32から延びる配線32Aが貫通している。また、第2スペーサ15は、第2ケース14と第2フランジ16との間に介装されることで、配線32Aが通過する空間を第2ケース14と第2フランジ16との間に確保している。
第1ケース13の軸線方向の一端部側には、円筒状の第1スペーサ12を介して、図示しないボルトにより第1フランジ11が固定されている。第1フランジ11は、第1ケース13より回転軸1Cを中心とした径方向の寸法が大きいフランジ形状に形成されており、図示しないボルトにより車両の車体に固定される。
第1フランジ11の内周側において、アウタ回転軸210の小径部210Aの軸線方向の一端部にはカップリング33が設けられている。アウタ回転軸210の小径部210Aには、カップリング33を介して、例えば図示しない車両の駆動軸が連結される。アウタ回転軸210の回転は、このカップリング33を介して車両の駆動軸に伝達される。
第2ケース14の軸線方向の他端部側には、円筒状の第2スペーサ15を介して、図示しないボルトにより第2フランジ16が固定されている。第2フランジ16は、第2ケース14より回転軸1Cを中心とした径方向の寸法が大きいフランジ形状に形成されており、図示しないボルトにより車両の車体に固定される。
第2フランジ16の内周側において、インナロータ300のインナ回転軸310の軸線方向の他端部にはカップリング34が設けられおり、このカップリング34の他端部には、例えば、車両の図示しないエンジンの出力軸が連結される。インナ回転軸310には、このカップリング34を介してエンジンの回転が伝達される。
なお、本実施の形態の回転電機1では、アウタ回転軸210に車両の駆動軸が連結され、インナ回転軸310にエンジンの出力軸が連結されるが、他の実施の形態の回転電機として、アウタ回転軸210にエンジンの出力軸が連結され、インナ回転軸310に車両の駆動軸が連結されてもよい。
(ポールピースおよび非磁性部材)
次に、図7から図9を参照して、ポールピース201および非磁性部材202の詳細な構成について説明する。
図7に示すように、複数のポールピース201は、それぞれ図示しない圧入治具を用いて非磁性部202Aおよびブリッジ部202Bで囲まれる空間である嵌合孔202Cに軸線方向から圧入されるようになっている。
これにより、図8に示すように、ポールピース201と非磁性部202Aとが周方向に交互に配置された状態で、ポールピース201と非磁性部材202とが一体化される。一体化されたポールピース201と非磁性部材202とは、フランジ215を介してアウタ回転軸210に取り付けられる(図5参照)。
図9に示すように、非磁性部材202のブリッジ部202Bは、周方向に隣り合う非磁性部202Aを接続するように、嵌合孔202Cの径方向内側および径方向外側に形成されている。
ポールピース201は、ステータ100側およびインナロータ300側において嵌合孔202Cに対してすきまばめで保持されるようになっている。
すなわち、ポールピース201は、嵌合孔202Cの径方向内側および径方向外側に形成された各ブリッジ部202Bに対してすきまばめで保持されている。したがって、ポールピース201は、各ブリッジ部202Bとの間に所定の隙間を確保した状態で各ブリッジ部202Bに対して保持されている。これにより、ポールピース201を嵌合孔202Cに圧入する際に、ブリッジ部202Bに過度な荷重がかかってしまうことが防止される。
ポールピース201は、周方向において嵌合孔202Cに対してしまりばめで保持されるようになっている。
すなわち、ポールピース201は、周方向に隣接する非磁性部202Aに対してしまりばめで保持されている。したがって、ポールピース201は、周方向に隣接する非磁性部202Aに対して軸線方向に亘って面接触した状態で保持されている。
これにより、アウタロータ200が周方向に回転した際にポールピース201に作用するトルクをしまりばめ部分で受けることができる。また、しまりばめ部分においては非磁性部202Aがポールピース201に対して軸線方向に亘って面接触しているので、ポールピース201にトルクが作用した際に非磁性部202Aからポールピース201に対して反作用が働く。これにより、ポールピース201が軸心に対して捩れることを防止することができる。したがって、アウタロータ200は、ポールピース201の捩れを発生させることなく、トルクをポールピース201および非磁性部材202からアウタ回転軸210に伝達することができる。
なお、ポールピース201は、生産性を考慮して各ブリッジ部202Bおよび各非磁性部202Aに対してすきまばめで保持される構成としてもよい。この場合、ポールピース201の外周面または嵌合孔202Cの内周面に接着剤を塗布した状態で、ポールピース201を嵌合孔202Cに挿入することにより、ポールピース201を嵌合孔202Cに強固に固定することができる。
また、ポールピース201は、各ブリッジ部202Bおよび各非磁性部202Aに対してしまりばめで保持される構成としてもよい。この場合、接着剤は不要となる。
(結合構造)
次に、図10から図14を参照して、非磁性部材202と円筒軸214との結合構造、非磁性部材202とフランジ215との結合構造、およびフランジ215とアウタ回転軸210との結合構造について説明する。
本実施の形態では、非磁性部材202、アウタ回転軸210、円筒軸214およびフランジ215の同心度を確保するため、図10中、一点鎖線Aで囲まれた結合部分において非磁性部材202と円筒軸214とがインロー結合され、かつ図10中、一点鎖線Bで囲まれた結合部分において非磁性部材202とフランジ215とがインロー結合され、フランジ215とアウタ回転軸210とがインロー結合される。
具体的には、図11に示すように、円筒軸214の軸線方向の一端部側(アウタロータ200と軸線方向に対向する端部側)の内縁部には、円筒軸214の外径より回転軸1C(図4参照)を中心とした径方向の寸法が小さい小径部214aが周方向全域に亘って形成されている。
一方、非磁性部材202の軸線方向の他端部側(円筒軸214と軸線方向に対向する端部側)の内縁部には、円筒軸214の小径部214aに嵌合する切欠き部200aが周方向の全域に亘って形成されている。切欠き部200aは、非磁性部材202の軸線方向の一端部側(フランジ215と軸線方向に対向する端部側)の内縁部にも形成されている。
図13は、非磁性部材202の軸線方向の他端部側に形成された切欠き部200aを示す斜視図である。図13に示すように、非磁性部材202の軸線方向の他端部側に形成された切欠き部200aは、各ポールピース201の軸線方向の他端部の内縁部に形成された切欠き201Bと、非磁性部材202の軸線方向の他端部の内縁部に形成された切欠き202Dとによって構成されている。
また、非磁性部材202の軸線方向の一端部側に形成された切欠き部200aについても、各ポールピース201の軸線方向の一端部の内縁部に形成された切欠き201Bと、非磁性部材202の軸線方向の一端部の内縁部に形成された切欠き202Dとによって構成されている。
非磁性部材202と円筒軸214とは、非磁性部材202の軸線方向の他端部側に形成された切欠き部200aと小径部214aとが嵌め合わされることによってインロー結合される。なお、非磁性部材202に小径部、円筒軸214に切欠き部を形成し、これらをインロー結合する構成であってもよい。
また、図12に示すように、フランジ215の軸線方向の他端部側(非磁性部材202と軸線方向に対向する端部側)の内縁部には、フランジ215の外径より回転軸1C(図4参照)を中心とした径方向の寸法が小さい小径部215Bが周方向全域に亘って形成されている。フランジ215の小径部215Bは、非磁性部材202の軸線方向の一端部側の内縁部に形成された切欠き部200aに嵌合するようになっている。
非磁性部材202とフランジ215とは、非磁性部材202の軸線方向の一端部側に形成された切欠き部200aと小径部215Bとが嵌め合わされることによってインロー結合される。なお、非磁性部材202に小径部、フランジ215に切欠き部を形成し、これらをインロー結合する構成であってもよい。
さらに、フランジ215の軸線方向の一端部側(アウタ回転軸210の大径部210Bと軸線方向に対向する端部側)の内縁部には、フランジ215の外径より回転軸1C(図4参照)を中心とした径方向の寸法が小さい小径部215Cが周方向全域に亘って形成されている。
一方、アウタ回転軸210の大径部210Bの軸線方向の他端部側(フランジ215と軸線方向に対向する端部側)の内縁部には、フランジ215の小径部215Cに嵌合する切欠き部210Cが周方向の全域に亘って形成されている。
フランジ215とアウタ回転軸210とは、上述の小径部215Cと切欠き部210Cとが嵌め合わされることによってインロー結合される。なお、アウタ回転軸210に小径部、フランジ215に切欠き部を形成し、これらをインロー結合する構成であってもよい。
このように、非磁性部材202、アウタ回転軸210、円筒軸214およびフランジ215の各結合部分においてインロー結合されるため、非磁性部材202、アウタ回転軸210、円筒軸214およびフランジ215を互いに結合する際に容易に同心度を確保することができる。これにより、アウタロータ200の偏心駆動が防止される。
また、非磁性部材202、アウタ回転軸210、円筒軸214およびフランジ215は、同心度が確保されるため、回転振動を低減することができる。これにより、回転時の騒音を低減でき、またこれら回転要素を支持するラジアルボールベアリングの寿命を長くすることができる。
また、非磁性部材202、アウタ回転軸210、円筒軸214およびフランジ215を互いに結合する際は、インロー結合を用いて容易に同心度を確保することができるため、非磁性体ボルト219(図5参照)による締結作業が容易となり、組立性が向上する。
また、図14に示すように、上述のようにインロー結合された非磁性部材202、アウタ回転軸210、円筒軸214およびフランジ215は、同軸治具500を用いて同軸度が確保された状態で、非磁性体ボルト219によって互いに締結される。
同軸治具500には、ラジアルボールベアリング22で支持される円筒軸214の軸線方向の他端部(図14中、下端側)が嵌る溝500aが形成されている。溝500aは、円筒軸214との間に適正なはめあい公差を有するよう形成されている。
また、同軸治具500には、ラジアルボールベアリング24で支持されるアウタ回転軸210の大径部210Bに嵌合する凸部500bが形成されている。凸部500bは、大径部210Bの内周面との間に適正なはめあい公差を有するよう形成されている。
(ポールピースの周方向の幅)
次に、図15および図16を参照して、アウタロータ200のポールピース201の周方向の幅について説明する。
図15に示すように、ポールピース201の周方向の幅は、角度θ1で示すことができ、非磁性部202Aの周方向の幅は、角度θ2で示すことができる。以下においては、それぞれの周方向の幅を角度θ1、θ2として説明を行う。
本実施の形態の回転電機1は、上述したようにアウタロータ200の極数となるポールピース201の数が「12」である。このため、アウタロータ200の機械角360度のうち、1つのポールピース201と、そのポールピース201の周方向のいずれか一方向に隣り合う1つの非磁性部202Aとが占める角度は、30[deg]である。したがって、図15において、角度θ1+角度θ2=30[deg]である。
本実施の形態の回転電機1においては、ポールピース201の角度θ1と非磁性部202Aの角度θ2との関係をどのように定めるかによって、アウタロータ200とインナロータ300との間のエアギャップG2およびブリッジ部202Bにおける変調磁束(8次のギャップ磁束)の大きさが異なる。
図16は、ポールピース201の角度θ1とギャップ磁束密度との関係を示したグラフである。例えば角度θ1が10[deg]の場合、前述の「角度θ1+角度θ2=30[deg]」の関係から角度θ2は20[deg]となる。この場合、角度θ1が角度θ2より小さいため、ポールピース201の周方向の幅が非磁性部202Aの周方向の幅より小さくなる。
このように、ポールピース201の周方向の幅が非磁性部202Aの周方向の幅より小さい場合には突極比が小さくなるため、図16に示すように8次のギャップ磁束は小さくなる。また、この場合、非磁性部202Aの周方向の幅がポールピース201の周方向の幅よりも大きくなるため、磁気抵抗が大きくなり、その結果、図16に示すように非同期磁束である4次のギャップ磁束も小さくなる。
一方、角度θ1が25[deg]の場合、前述の「角度θ1+角度θ2=30[deg]」の関係から角度θ2は5[deg]となる。この場合、角度θ1が角度θ2より大きいため、ポールピース201の周方向の幅が非磁性部202Aの周方向の幅より大きくなる。
このように、ポールピース201の周方向の幅が非磁性部202Aの周方向の幅より大きい場合にはステータ100とアウタロータ200との間の短絡磁束が多くなるため、図16に示すように8次のギャップ磁束および4次のギャップ磁束は小さくなる。
これらに対して、角度θ1が15[deg]の場合、前述の「角度θ1+角度θ2=30[deg]」の関係から角度θ2は15[deg]となる。この場合、角度θ1と角度θ2とが均等となるため、ポールピース201の周方向の幅と非磁性部202Aの周方向の幅とが均等となる。
このように、ポールピース201の周方向の幅と非磁性部202Aの周方向の幅とが均等である場合には、図16に示すように8次のギャップ磁束および4次のギャップ磁束が最大となる。
この場合、4次のギャップ磁束が大きくなることにより、誘導コイルIにおいて効率よく誘導電流を発生させることができる。また、8次のギャップ磁束が大きくなることにより、トルク密度を大きくすることができる。
なお、図16に示すように、8次のギャップ磁束および4次のギャップ磁束は、角度θ1が20[deg]の場合も、角度θ1が15[deg]の場合と同程度となる。したがって、本実施の形態の回転電機1においては、ポールピース201の角度θ1を15[deg]ないし20[deg]の範囲に設定することが好ましい。より好ましくは、ポールピース201の角度θ1を15[deg]に設定する。
そこで、本実施の形態では、ポールピース201の周方向の幅と非磁性部202Aの周方向の幅とが均等となるよう、ポールピース201と非磁性部202Aとが周方向に交互に配置されるようにした。これにより、誘導コイルIにおいて効率よく誘導電流を発生させることができ、かつトルク密度を大きくすることができる。
以上のように、本実施の形態に係る回転電機1において、アウタロータ200は、円筒形状の非磁性部材202の嵌合孔202Cにポールピース201が嵌め込まれた構成を有する。
このため、本実施の形態に係る回転電機1は、アウタロータ200のポールピース201が円筒形状の非磁性部材202に保持されることとなる。したがって、アウタロータ200の機械的な強度を向上させることができる。また、周方向に隣り合うポールピース201の間を非磁性部202Aで構成することができるため、各ポールピース201を磁気的に独立させることができる。この結果、アウタロータ200は、本実施の形態のような構成としても突極比の低下を招くことがない。
また、アウタロータ200のポールピース201は、ステータ100側およびインナロータ300側において嵌合孔202Cに対してすきまばめで保持され、周方向において嵌合孔202Cに対してしまりばめで保持されている。
このため、本実施の形態に係る回転電機1は、アウタロータ200が回転した際にポールピース201に作用するトルクをしまりばめ部分で受けることができる。また、しまりばめ部分においては非磁性部202Aがポールピース201に対して軸線方向に亘って面接触しているので、ポールピース201にトルクが作用した際に非磁性部202Aからポールピース201に対して反作用が働く。これにより、ポールピース201が軸心に対して捩れることを防止することができる。したがって、アウタロータ200は、ポールピース201の捩れを発生させることなく、トルクをポールピース201および非磁性部材202からアウタ回転軸210に伝達することができる。
また、本実施の形態に係る回転電機1において、アウタロータ200は、ポールピース201の周方向の幅と非磁性部202Aの周方向の幅とが均等となるよう、ポールピース201と非磁性部202Aとが周方向に交互に配置されているため、誘導コイルIにおいて効率よく誘導電流を発生させることができ、かつトルク密度を大きくすることができる。
本発明の実施の形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
本実施の形態の回転電機1は、ラジアルギャップ構造のインナーロータタイプであるが、アキシャルギャップ構造またはアウタロータ構造であってもよい。また、アウタロータ200の極数は、本実施の形態の極数に限らない。また、各コイルには、銅線、アルミ導体、リッツ線を用いることができる。また、ポールピース201やロータコア301には、積層電磁鋼板に代えて、軟磁性複合材料であるSMC(Soft Magnetic Composite)コアを用いることができる。また、回転電機1は、ハイブリッド車両のみでなく、風力発電機、工作機械等の他の産業分野にも適用することができる。
また、その他の実施の形態としては、インナロータ300のロータティース302内に永久磁石を埋設してもよい。この永久磁石は、回転電機1のダイオードD1、D2またはダイオードD3、D4により整流してロータティース302を電磁石として機能させるときの磁化方向に、磁極(N極、S極)が一致するように配置される。この場合には、ロータティース302の電磁石の磁力に、永久磁石の磁力を加えて機能させることができ、より大きな磁力を作用させてインナロータ300を大きなトルクで回転駆動させることができる。なお、この永久磁石は、誘導コイルIにより機能させる電磁力を補助するだけの磁力で十分であることから、例えば、ネオジウム磁石のような希少で高価な永久磁石である必要はなく、安定供給可能で安価な種類のものを採用すればよい。一方で、ネオジウム磁石のような希少で高価な永久磁石を採用してもよく、この場合、安定して大きなトルクを得ることができる。
また、本実施の形態の回転電機1のステータ100において、電機子コイル104が集中巻きによりステータティース102に巻き回された構成であってもよい。この場合、ポールピース201が複数の電磁鋼板を周方向に積層したものからなるため、複数の電磁鋼板を軸線方向に積層したものと比べて、ステータ100とアウタロータ200との間を短絡する磁束を低減することができる。これにより、トルク密度を向上させることができる。
すなわち、電機子コイル104が集中巻きにした場合においてポールピース201が複数の電磁鋼板を軸線方向に積層したものである場合には、図17に示すように、ステータ100とアウタロータ200との間で短絡する磁束が発生する。磁気変調型二軸モータは、ステータ100からアウタロータ200を介してインナロータ300に磁束が流れることで閉磁路を形成しトルクを発生させる。このため、図17に示すような短絡磁束は、トルクを大幅に低下させる要因となる。
これに対して、上述した例では、ポールピース201が複数の電磁鋼板を周方向に積層したものからなる。このため、各電磁鋼板の積層面が絶縁されていることから周方向に流れる短絡磁束を妨げることができ、かつステータ100からインナロータ300に磁束を向かわせることができる。これにより、上述した例では、図17に示すような短絡磁束を低減することができる。また、ステータ100からアウタロータ200を介してインナロータ300に磁束が流れる閉磁路を形成しやすくすることができる。この結果、上述した例では、トルク密度を向上させることができる。