JP5452198B2 - Sトラップまたはpトラップの破封防止構造 - Google Patents
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Description
例えば、SトラップやPトラップを使用した洗面器の排水管路の場合、Sトラップ等の2次側(下流側)に通気弁を設けておき、誘導サイホン作用等によってSトラップ等の2次側に負圧が生じたら、通気弁が開いて大気が導入されることにより、排水管路内の負圧を解消してSトラップ等の破封を防止するものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
そこで、インサートの下端部を上記のような先細状とすれば、インサートの内径を抑えながら、インサートによって被覆されるトラップU管内面の面積を大きくすることができるので、排水の流通を損なわずに適切な破封防止効果が得られる。
この実施形態は、この発明による第1の破封防止構造を、洗面器等の排水トラップを構成するSトラップに適用したものである。
トラップU管(2)およびステッキ管(3)には、既製品が使用されており、例えば黄銅等の金属や、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂から形成されている。
垂直管部(21)の上半部には、拡管部(211)が形成されている。なお、この拡管部(211)は、既製品の一次側排水管を挿入するためのものであって、この実施形態のSトラップの場合、拡管部(211)は必須の構成要素ではない。
トラップU管(2)における拡管部(211)を除いた部分は、全長にわたってほぼ同一の内径を有している。
トラップU管(2)の流入側端部には、外向き環状のフランジ部(23)が形成されている。フランジ部(23)には、雄ネジ(231)が形成されている。
インサート(4)の材質は、特に限定されず、例えばABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂を使用することができるが、黄銅、ステンレス鋼等の金属であってもよい。
インサート(4)の上端部には、トラップU管(2)の流入側端面、即ち、フランジ部(23)の上面に受けられる外向き環状のフランジ部(41)が形成されている。
インサート(4)は、トラップU管(2)の流入側における曲管部(22)の一部と重なるように、下端部(42)が先細状となされている。
インサート(4)の下端には、環状内方凸部(43)が形成されている。この環状内方凸部(43)によって、インサート(4)に挿入される一次側排水管(5)の下端が受けられるようになっている。
インサート(4)の内径は、トラップU管(2)の内径よりも小さくなっている。また、インサート(4)は、その上半部の外径がトラップU管(2)の拡管部(211)の内径とほぼ等しく、下半部(但し、下端部(42)を除く。)の外径がトラップU管(2)における拡管部(211)を除いた部分の内径とほぼ等しいものとなされている。
インサート(4)外周面の上下2カ所に環状溝(44)が形成され、これらの環状溝(44)に、インサート(4)外周面とトラップU管(2)内周面との間をシールするOリング等の環状シール部材(P2)が配されている。
インサート(4)の上端面には、環状シール部材(P3)が嵌め入れられる環状凹部(45)が形成されており、袋ナット(62)が、環状シール部材(P3)を上から押さえながら、トラップU管(2)の雄ネジ(231)にねじ嵌められることにより、トラップU管(2)、インサート(4)および一次側排水管(5)が固定一体化されている。なお、図示は省略したが、一次側排水管(5)の上端部は、適宜の接続手段によって、洗面器等の排水口に接続される。
これに対して、図1のトラップ(1A)では、トラップU管(2)の流入側にインサート(4)が嵌め込まれていて、流入脚(11)の平均断面積が流出脚(12)の平均断面積よりも小さい、即ち、脚断面積比が1より大きくなっている。具体的には、例えば、トラップU管(2)およびステッキ管(3)の内径が30mmであるのに対して、インサート(4)の内径を23mmとすることにより、流出脚断面積Sb:流出脚断面積Sa=約440mm2:約720mm2、即ち、脚断面積比(Sb/Sa)=約1.6となされる。
従って、このSトラップ(1A)によれば、誘導サイホン作用等による封水の破壊が起こりにくい。しかも、Sトラップ(1A)の構成部材としては、既製品のトラップU管(2)およびステッキ管(3)に加えて、図1および図2に示すような単純な構造のインサート(4)を用意するだけでよいので、製造が容易であって、コストが抑えられる。さらに、このSトラップ(1A)は、通常のSトラップと変わらない外観構造を有しているので、通気弁を付設した場合のような余分な設置スペースを必要とせず、狭いスペースでの設置にも支障を来さない。
図3のSトラップ(1B)は、トラップU管(7)の流出側端部にステッキ管(3)を接続してなる。ステッキ管(3)は、既製品が使用されている。
垂直管材(71)の外径は、曲管材(72)の外径よりもやや大きいものなされている。垂直管材(71)の下端面外周部には環状垂下壁部(711)が形成されていて、この垂下壁部(711)が曲管材(72)の流入側端部に嵌め被せられて接着剤等によって接合されることにより、垂直管材(71)と曲管材(72)とが一体化されている。
なお、垂直管材と曲管材との接合構造および接合手段は、上記のものに限定されず、適宜変更可能である。
垂直管材(71)の下端には、環状内方凸部(712)が形成されている。この環状内方凸部(712)の上面によって、垂直管材(71)に挿入される一次側排水管(5)の下端が受けられるようになっている。
垂直管材(71)の外周面上端部には、雄ネジ(713a)付きフランジ部(713)が形成されている。
垂直管材(71)の上端面には、環状シール部材(P3)が嵌め入れられる環状凹部(714)が形成されており、袋ナット(62)が、環状シール部材(P3)を上から押さえながら、垂直管材(71)の雄ネジ(713a)にねじ嵌められることにより、トラップU管(7)に一次側排水管(5)が固定されている。
曲管材(72)の内径は、ステッキ管(3)の内径と一致させられている。
曲管材(72)の流出側端部には、雄ネジ(722)を有する外向き環状フランジ部(721)が形成されている。このフランジ部(721)とステッキ管(3)のフランジ部(33)とが偏平環状のシール材(P1)を介して突き合わせられた状態で、曲管材(72)の雄ネジ(722)に袋ナット(61)がねじ嵌められることにより、トラップU管(7)がステッキ管(3)に接続されている。
従って、このSトラップ(1B)によれば、誘導サイホン作用等による封水の破壊が起こりにくい。また、Sトラップ(1B)の製造に際しては、既製品のステッキ管(3)に加えて、Uトラップ(7)の構成部材として図3に示すような単純な構造の垂直管材(71)および曲管材(72)を用意すればよいので、製造が容易であって、コストが抑えられる。さらに、この実施形態のSトラップ(1B)は、通常のSトラップとほとんど変わらない外観構造を有しているので、通気弁を付設した場合のような余分な設置スペースを必要としない。
図4のSトラップ(1C)は、トラップU管(8)の流出側端部にステッキ管(3)を接続してなる。ステッキ管(3)には、既製品が使用されている。
トラップU管(8)の外径は、ステッキ管(3)の外径と一致させられている。
トラップU管(8)の流入側、より具体的には、垂直管部(81)の上端から曲管部(82)の一部に入り込んだレベルまでの部分に、管内方に張り出した厚肉部(83)が一体に形成されている。
トラップU管(8)における肉厚部(83)を除いた部分の内径は、ステッキ管(3)の内径と一致させられており、当然ながら、肉厚部(83)の内径はそれより小さくなっている。
トラップU管(8)における厚肉部(83)の下端には、環状内方凸部(84)が形成されている。この環状内方凸部(84)の上面によって、トラップU管(8)に挿入される一次側排水管(5)の下端が受けられるようになっている。
トラップU管(8)の外周面上端部には、雄ネジ(851)付きフランジ部(85)が形成されている。
トラップU管(8)の上端面には、環状シール部材(P3)が嵌め入れられる環状凹部(86)が形成されており、袋ナット(62)が、環状シール部材(P3)を上から押さえながら、トラップU管(8)の雄ネジ(851)にねじ嵌められることにより、トラップU管(8)に一次側排水管(5)が固定されている。
トラップU管(8)の流出側端部とステッキ管(3)の流入側端部との接続構造は、図1に示す第1の実施形態と同じであるので、詳しい説明は省略する。
従って、このSトラップ(1C)によれば、誘導サイホン作用等による封水の破壊が起こりにくい。また、ステッキ管(3)については既製品をそのまま使用することが可能であるので、その分だけコストが抑えられる。さらに、この実施形態のSトラップ(1C)は、通常のSトラップと変わらない外観構造を有しているので、通気弁を付設した場合のような余分な設置スペースを必要としない。
また、それ以外にも、特許請求の範囲に記載されたこの発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜の変更を加えた上で、この発明を実施することは勿論可能である。
(11):流入脚
(12):流出脚
(2)(7)(8):トラップU管
(22):曲管部
(3):ステッキ管
(4):インサート
(41):フランジ部
(42):先細状の下端部
(43):環状内方凸部
(5):一次側排水管
(7):トラップU管
(71):垂直管材
(72):曲管材
(8):トラップU管
(83):厚肉部
Claims (6)
- トラップU管(2)の流出側端部にステッキ管(3)を接続してなるSトラップ(1A)、または、トラップU管の流出側端部にキセル管を接続してなるPトラップにおいて、トラップU管(2)の流入側に垂直筒状のインサート(4)が嵌め込まれることにより、流入脚(11)の平均断面積が流出脚(12)の平均断面積よりも小さくなされていることを特徴とする、SトラップまたはPトラップの破封防止構造。
- インサート(4)の上端に、トラップU管(2)の流入側端面に受けられる外向きのフランジ部(41)が形成されていることを特徴とする、請求項1記載のSトラップまたはPトラップの破封防止構造。
- インサート(4)は、トラップU管(2)の流入側における曲管部(22)の一部の内面と重なるように、下端部(42)が先細状となされていることを特徴とする、請求項1または2記載のSトラップまたはPトラップの破封防止構造。
- インサート(4)の下端に環状内方凸部(43)が形成され、インサート(4)に挿入される一次側排水管(5)の下端が環状内方凸部(43)によって受けられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載のSトラップまたはPトラップの破封防止構造。
- トラップU管(7)の流出側端部にステッキ管(3)を接続してなるSトラップ(1B)、または、トラップU管の流出側端部にキセル管を接続してなるPトラップにおいて、トラップU管(7)が、垂直管材(71)の下端に、垂直管材(71)の内径よりも大きい内径を有する略U形の曲管材(72)の一端を接合してなり、それによって流入脚(11)の平均断面積が流出脚(12)の平均断面積よりも小さくなされていることを特徴とする、SトラップまたはPトラップの破封防止構造。
- トラップU管(8)の流出側端部にステッキ管(3)を接続してなるSトラップ(1C)、または、トラップU管の流出側端部にキセル管を接続してなるPトラップにおいて、トラップU管(8)が、その流入側に管内方に張り出した厚肉部(83)を有しており、それによって流入脚(11)の平均断面積が流出脚(12)の平均断面積よりも小さくなされていることを特徴とする、SトラップまたはPトラップの破封防止構造。
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