JP5450558B2 - 光走査装置及びこれを備えた画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、感光体に光を照射して露光させる光走査装置に関し、特に、装置内部の熱を放熱させる構造を備えた光走査装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置には、感光体に光を照射して感光体を露光させる光走査装置が備えられている。この光走査装置は、レーザー光などの光源、光源からの光を反射させるポリゴンミラー、ポリゴンミラーを回転させるモーター、ポリゴンミラーからの光を感光体に結像するfθレンズ、及びfθレンズを通った光を感光体へ反射させる反射ミラーを備えている。この種の光走査装置では、内部に塵や埃が進入しないように、気密性の高いケースによって前記各構成要素が収容されている。
ケースの内部が高気密にされると、内部に収容された構成要素、特に、前記モーターや前記モーターの駆動ドライバーなどから発生する熱が放熱されにくくなり、内部の温度が上昇する。内部が高温になると、前記ポリゴンミラーや反射ミラーなどが歪み、ポリゴンミラーによって走査された光が湾曲する現象(走査線湾曲)が生じる。そのため、従来から、前記光走査装置の内部の熱を放熱させる様々な工夫がそのケースに施されている。例えば、特許文献1には、内ケースにポリゴンミラーやモーターを収容し、この内ケースを外側から覆う外ケースが設けられた露光装置が開示されている。また、特許文献2には、開口を有するケースと、その内部に設けられた冷却ファンとを備え、更に、冷却ファンの駆動時にその風力によって前記開口を開き、冷却ファンの停止時に自重によって前記開口を閉じる蓋部材を備えた光書込み装置が開示されている。
特開2007−328335号公報 特開2009−175455号公報
しかしながら、特許文献1に記載の露光装置では、内ケースが外ケースによって外部から遮断されているため、外ケースの内部空間が内ケースに対して断熱効果を生じさせることになり、内ケースから直接の放熱ができなくなるという問題がある。また、特許文献2に記載の光書込み装置は、ケースに開口が設けられているため、その開口からの塵や埃の侵入を完全に防ぐことができない。詳細には、前記冷却ファンが停止して風力がなくなると前記蓋部材が前記開口を閉じる方向へ回動するが、このときに前記蓋部材の回動によって巻きこみ気流が発生し、その気流にのって微細な塵や埃が開口から内部に侵入するおそれがある。また、前記光書込み装置は、ポリゴンミラーのモーターと前記冷却ファンの2つの駆動手段を要するため、前記冷却ファンの組み付けや配線などの工程が増えて製造コストが上昇する。また、前記ケースを2つの駆動手段が固定可能な構造にする必要があり、また、各駆動手段による振動を抑制させる構造にする必要があるため、装置の構成が複雑になる。
そこで、本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷却ファンなどの駆動手段を設けることなく簡単な構成で内部の空気を循環させてポリゴンミラーの駆動手段を効率よく冷却させることが可能な光走査装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
(1) 本発明は、少なくともポリゴンミラー及び該ポリゴンミラーを回転させる駆動手段を収容し、内部が気密に保たれたケースと、前記ケースの鉛直上方側の外壁面の外側に該ケースから隔てられて設けられ、内部に気密な空間が形成された気密空間部と、前記ケースの内部と前記気密空間部の内部とを連通し、前記ケースと前記気密空間部との間で気流を生じさせる管状部材と、を具備する光走査装置として構成されている。
本発明の光走査装置が駆動されると、前記駆動手段が回転駆動されて前記ポリゴンミラーが回転する。前記駆動手段が駆動されると、前記駆動手段が発熱し、その周辺の空気が暖められる。暖められた空気は前記ケース内で徐々に拡散しながら上方へ移動する。一方、前記気密空間部は、内部に前記駆動手段のような発熱部を有しないため、前記気密空間部の空気の温度は前記ケース内の温度、とりわけ前記駆動手段周辺の空気の温度よりも低い。このため、前記気密空間部の空気と前記ケース内の空気との間で自然対流が生じる。つまり、前記ケース内で暖められた空気は前記管状部材を通って前記気密空間部へ移動し、前記気密空間部の空気は前記管上部材を通って前記ケース内に移動する。前記気密空間部へ移動した温かい空気(暖気)は、前記気密空間部の外壁を熱伝達媒体として、外気との間で熱交換されて冷却される。一方、前記ケース内へ移動した冷たい空気(冷気)は、前記駆動手段と熱交換されて暖められる。このように、本発明の光走査装置には、前記気密空間部が設けられているため、前記気密空間部と前記ケースとの間で空気の自然対流が発生し、前記駆動手段の熱を効率良く装置の外部に放出することができる。
(2) 前記ポリゴンミラーは、前記駆動手段の鉛直上方に設けられている。この場合、前記管上部材は、前記ポリゴンミラーの回転中心軸の延長線上に設けられており、前記気密空間部は、前記ポリゴンミラーと対面する前記外壁面の外側に設けられていることが好ましい。
前記ポリゴンミラーが回転されると、前記ケースの内部には前記ポリゴンミラーの回転中心軸を中心とする渦状の回転気流が発生する。この回転気流の中心は回転気流が発生している部分よりも低圧となり、上方へ空気が移動し易い空間を形成する。このため、前記駆動手段によって暖められた空気は、その上方に設けられた前記ポリゴンミラーの回転中心軸付近を通って上方へ移動し易くなる。その回転中心軸の延長線上に前記管上部材が設けられている。そのため、前記ポリゴンミラーの回転中心軸付近を通って上方へ移動した空気は、何ら抵抗なく前記管状部材へ導かれて、前記ケースの外壁面の外側に設けられた前記気密空間部へ移動する。これにより、前記気密空間部と前記ケースとの間で自然対流による空気の循環が円滑に行われる。その結果、前記駆動手段の熱を効率良く装置の外部に放出することができる。
(3) 前記ケースと前記気密空間部との間に前記管状部材が少なくとも2つ設けられている。
このように構成されているため、前記ケースで暖められた空気が一方の管状部材を通って前記気密空間部に移動し、他方の管状部材から前記ケースへ移動するというように、一方向の自然対流が生じる。これにより、前記気密空間部と前記ケースとの間で自然対流による空気の循環が円滑に行われる。
(4) また、これら2つの前記管状部材のうち、少なくとも一方の前記管状部材は他方の前記管状部材よりも長く形成されている。この場合、長い方の前記管状部材が、前記ポリゴンミラーの回転中心軸の延長線上に設けられていることが好ましい。
この構成であれば、前記気密空間部の前記ポリゴンミラー側の部分が上方に位置し、前記ポリゴンミラーから遠い側の部分が下方に位置することになる。つまり、前記気密空間部は、前記ケースの前記外壁面に対して傾斜する。したがって、長い方の前記管状部材を通って前記気密空間部に移動した空気は、冷却されながら前記気密空間の傾斜に沿うようにして徐々に下方へ移動しつつ、短い方の他方の前記管状部材へ案内され、その管状部材を通って再び前記ケースへ移動する。これにより、自然対流による空気の移動がより円滑となり、前記気密空間部と前記ケースとの間で効率よく空気の循環が行われる。
(5) 前記気密空間部の外壁の熱伝達率は、前記ケースの外壁の熱伝達率よりも大きいことが好ましい。
前記気密空間部の外壁の熱伝達率を前記ケースの外壁の熱伝達率よりも大きくする具体的手段としては、例えば、前記気密空間部の外壁を前記ケースよりも熱伝導率の高い素材で形成することが考えられる。また、前記気密空間部と前記ケースとが同じ材質で形成されていた場合は、前記気密空間部の外壁をフィン構造とすることが考えられる。このように、前記気密空間部の外壁と前記ケースの外壁との間で熱伝達率に差を設けることで、前記気密空間部と前記ケースとの間でより強い自然対流を生じさせることができる。
本発明は、上述のいずれかに記載の光走査装置を備えた画像形成装置であってもよい。このような画像形成装置にも本発明は好ましく適用される。
本発明によれば、冷却ファンなどの駆動手段を設けることなく簡単な構成で内部の空気を循環させることにより、前記ポリゴンミラーの駆動手段を効率良く冷却させることができる。
本発明の実施形態に係る光走査装置30を備えたプリンター10の概略構成を示す模式断面図である。 図1の要部IIの部分拡大図であって、本発明の実施形態に係る光走査装置30の構成が示されている。 ケース39及びボックス50が簡略化された構成を示す模式斜視図であり、(A)は外観構成図であり、(B)は内部配置図である。 簡略化されたケース39及びボックス50の中央断面構造を示す模式断面図であり、(A)は連通管64による接続構造を示す断面図であり、(B)は内部配置図である。 簡略化されたケース39及びボックス50間に発生する自然対流を示す模式図であり、(A)はボックス50内の気流を示す図であり、(B)はケース39内の気流を示す図である。 従来の光走査装置101,102及び光走査装置30それぞれの放熱効果の検証結果を示す熱分布図である。 本発明の他の実施形態に係る光走査装置30Aを示す模式斜視図である。 光走査装置30Aを備えたプリンター10を示す模式斜視図である。 シフトガイド73の突出片76の構成の変形例を示す部分拡大図。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態は適宜変更できる。
[プリンター10]
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係るプリンター10(本発明の画像形成装置の一例)の概略構成について説明する。なお、ここで説明しない構成は一般的な電子写真方式の画像形成装置と同じ構成であるため、当該構成に関する説明を省略する。また、プリンター10は本発明の画像形成装置の一例に過ぎず、例えばファクシミリ装置及び複合機なども本発明の画像形成装置に該当する。また、以下においてプリンター10はカラー印刷対応機として説明するが、モノクロ印刷対応機であっても、本発明は適用可能である。
図1に示されるように、プリンター10は、4つの画像形成ユニット11、2つの光走査装置30(本発明の光走査装置の一例)、中間転写ベルト12、二次転写装置13、給紙装置14、定着装置15、及び排紙部16を備えている。また、プリンター10は、CPU、ROM及びRAMなどを有する制御ユニット(不図示)や、各種の操作入力及び情報表示が行われる操作表示部(不図示)なども備えている。2つの光走査装置30それぞれは、2つの画像形成ユニット11それぞれに対応しており、各画像形成ユニット11の下方に配置されている。
なお、本実施形態では、4つの画像形成ユニット11に対応する2つの光走査装置30がプリンター10に設けられた例について説明するが、例えば、4つの画像形成ユニット11それぞれに対応するように4つの光走査装置30が個別に設けられている構成や、3つ又は4つの画像形成ユニット11に対応する1つの光走査装置30が設けられている構成のプリンター10にも本発明は適用可能である。
4つの画像形成ユニット11は、図1の右から順にブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色に対応する一般的な電子写真方式のものである。それぞれの画像形成ユニット11は、感光体ドラム11A、帯電装置11B、現像装置11C、一次転写ローラ11D、クリーニング装置11Eを備えている。
プリンター10では、給紙装置14から供給される記録紙に以下の手順で画像が形成される。まず、帯電装置11Bにより感光体ドラム11Aが所定の電位に一様に帯電される。次に、光走査装置30によって感光体ドラム11Aの表面に画像データに基づくレーザー光が照射され、その表面に静電潜像が形成される。そして、現像装置11Cによって感光体ドラム11A上の静電潜像がトナー像として現像(可視像化)される。その後、一次転写ローラ11Dによって、図1中の矢印19に示す方向へ走行される中間転写ベルト12に、感光体ドラム11A上のトナー像が転写される。なお、中間転写ベルト12にトナー像が転写されると、感光体ドラム11Aはクリーニング装置115によってクリーニングされる。
このようにして各画像形成ユニット11によって順に中間転写ベルト12にトナー像が重ねて転写されると、中間転写ベルト12にカラー像が形成される。そして、中間転写ベルト12上のカラー像は、二次転写装置13によって記録紙に転写される。その後、定着装置15によって記録紙上のトナー像が溶融定着されると、その記録紙が排紙部16に排出される。
[光走査装置30]
次に、図2乃至図6を参照して、光走査装置30について説明する。なお、図3乃至図6では、理解を容易にするために、構成が簡素化された光走査装置30が示されている。光走査装置30は、感光体ドラム11Aへ向けてレーザー光を照射するものである。図2に示されるように、光走査装置30は、レーザー光源(不図示)、ポリゴンミラー32(本発明のポリゴンミラーの一例)、モーター33(本発明の駆動手段の一例)、ドライバー基板34(本発明の駆動手段の一例)、fθレンズ35A,35B、偏向ミラー37A,37B,37C、及びこれらを収容するケース39(本発明のケースの一例)を備えている。この光走査装置30には、1つのポリゴンミラー32に対して、前記レーザー光源、fθレンズ35A,35B、及び偏向ミラー37A,37B,37Cがそれぞれ2組設けられている。
ポリゴンミラー32は、アルミニウム製であって、前記レーザー光源からのレーザー光を反射させる6つの反射面を有する回転多面境である。ポリゴンミラー32は、平面視で正六角形状に形成されている。ポリゴンミラー32の下方にモーター33が設けられている。つまり、ポリゴンミラー32は、モーター33の鉛直上方に設けられている。モーター33は、鉛直上方(図2における上下方向)へ延びる出力軸41を有しており、その出力軸41にポリゴンミラー32が連結されている。これにより、モーター33がドライバー基板34によって回転駆動されると、ポリゴンミラー32が出力軸41を回転中心軸として回転される。
モーター33によってポリゴンミラー32が回転されると、前記レーザー光源からポリゴンミラー32へ向けて出射されたレーザー光は、ポリゴンミラー32によって反射されて、その反射光は、光路43(図2の矢印付き波線参照)を通って感光体ドラム11Aの表面上で所定方向へ走査される。詳細には、前記レーザー光源から出射された水平方向のレーザー光は、ポリゴンミラー32の回転によって随時反射角度が変化する前記反射面で反射されることにより、水平方向に走査される。そして、そのレーザー光は、fθレンズ35A及びfθレンズ35Bを経て偏向ミラー27Aに到達し、更に、偏向ミラー27A、偏向ミラー27B、及び偏向ミラー27Cによって感光体ドラム11Aへ向かうように偏向されて、感光体ドラム11Aの表面上で結像される。
[ケース39]
ケース39は、ポリゴンミラー32やモーター33、ドライバー基板34などを収容するものである。このケース39は、例えば、熱伝導性を備えた合成樹脂によって形成されたものである。上述したように、光走査装置30では、ケース39の内部空間を光路43に沿ってレーザー光が通るため、ケース39の内部に塵や埃などの塵埃が侵入すると、レーザー光が塵埃によって乱反射し、感光体ドラム11Aの静電潜像が乱される。そのため、ケース39は、内部と外部との間で空気が出入りできないように気密に保たれている。詳細には、図3に示されるように、ケース39は、鉛直上側の上壁45と、鉛直下側の底壁46と、側方を4辺で囲む側壁47とによって内部空間が気密となるように形成されている。なお、偏向ミラー37Cから感光体ドラム11Aへレーザー光が進むように、上壁45と光路43とが交差する部分には透明板48(図2参照)が嵌め込まれている。
図3及び図4に示されるように、ケース39の上壁45には、円筒形状の連通管64(本発明の管状部材の一例)が設けられている。連通管64は、ケース39と同じ材質、つまり、熱伝導率が同じ合成樹脂で形成されたものである。連通管64は上端及び下端の両方が開放された樹脂管であり、その断面積はケース39の平面面積よりも十分に小さい。連通管64は、上壁45の中央部に立設されており、その下端が上壁45を貫通するようにケース39に連結されている(図4(A)参照)。これにより、連通管64の内部とケース39の内部とが空気の出入りが可能なように連通する。もちろん、連通管64と上壁45との連結部は、塵埃が侵入できないように気密構造となっている。本実施形態では、連通管64は、上壁45の外側であって、ポリゴンミラー32の回転中心軸66の延長線上に設けられている。
ケース39の鉛直上方に1つのボックス50(本発明の気密空間部の一例)が設けられている。ボックス50は、光走査装置30の駆動時にケース39内のモーター33やドライバー基板34から発せられた熱を効率よく外部に放出する用途として設けられたものである。このボックス50は、ポリゴンミラー32と対面する外壁の外側、つまり、ケース39の鉛直上方側の上壁45の外側に、ケース39から隔てられた状態で設けられている。ボックス50は、鉛直方向に扁平な直方体形状を呈しており、ケース39と同じ材質、つまり、熱伝導率が同じ合成樹脂で形成されている。ボックス50の内部にはなにも収容されておらず、鉛直上側の上壁55と、鉛直下側の底壁56と、側方を4辺で囲む側壁57とによって囲まれた空間だけが存在している。ボックス50は、ケース39と同じように、内部空間が気密状態となるように形成されている。
ボックス50の底壁56の中央部に連通管64の上端が連結されている。詳細には、連通管64は、その上端が底壁56を貫通するようにボックス50に連結されている(図4(A)参照)。これにより、連通管64の内部とボックス50の内部とが空気の出入り可能なように連通する。つまり、連通管64は、ケース39の内部とボックス50の内部とを連通するように、ケース39とボックス50とを連結している。
本実施形態では、ボックス50における外壁の熱伝達率が、ケース39における外壁の熱伝達率に比べて大きくなるように設定されている。詳細には、ボックス50の上壁55は熱伝達率が15W/mとなるように、底壁56は熱伝達率が3.5W/mとなるように、また、側壁57の熱伝達率が7.5W/mとなるように、それぞれの厚みや形状が定められている。これに対して、ケース39の各外壁は、熱伝達率が7.5W/m未満となるように、それぞれの厚みや形状が定められている。具体的には、ボックス50の外壁をフィン構造にしたり、ケース39の外壁よりも薄く形成したりすることが考えられる。また、ボックス50の外壁をケース39よりも熱伝導率の高い素材で形成してもよい。
このように構成された光走査装置30が駆動されると、モーター33やドライバー基板34が発熱し、その周辺の空気が暖められる。一方、ボックス50は、内部にモーター33などの発熱部を有しないため、ボックス50内の空気の温度はケース39内の温度、とりわけモーター33やドライバー基板34の周辺の空気の温度よりも低い。このため、ボックス50内の空気とケース39内の空気との間で自然対流が生じる。詳細には、図5(B)に示されるように、モーター33によって矢印68の方向へポリゴンミラー32が回転されるため、モーター33の近傍で暖められた空気(暖気)は、ポリゴンミラー32の回転によって生じる渦状の回転気流によって回転中心軸66の回りを移動しつつ、自然対流によって徐々に上方へ移動する。上方へ移動した暖気は、連通管64の下端に到達すると、連通管64の内部を通ってボックス50へ移動する(図5(A)参照)。そして、その暖気は、ボックス50内を対流しつつ、各外壁を熱交換媒体として、ボックス50の外部の空気との間で熱交換がなされて冷却される。
一方、ボックス50内に存在していた相対的に冷たい空気(冷気)は、ケース39からボックス50に移動してきた暖気と入れ替わって、連通管64を通ってケース39へ移動する(図5(A)参照)。ボックス50からケース39へ移動した冷気は、回転するポリゴンミラー32による回転気流に乗って矢印68の方向へ移動しつつ、自然対流によって徐々に下方へ移動する。そして、モーター33やドライバー基板34の周辺に到達すると、モーター33やドライバー基板34との間で熱交換がなされて、前記冷気が暖められる。そして、暖められた空気は、自然対流によって再び上昇してボックス50へ向かう。このように、ボックス50とケース39との間で空気の自然対流が発生し、ボックス50とケース39との間で空気が循環するため、モーター33やドライバー基板34の熱を効率良く光走査装置30の外部に放出することができる。
ここで、図6を参照して、本発明の放熱効果の検証結果について説明する。図6(A)は、内部が気密にされたケース39だけを有する従来の光走査装置101の熱分布図である。図6(B)は、内部が気密にされた内ケース39Aと、その内ケース39Aを覆う外ケース39Bとを有する従来の光走査装置102の熱分布図である。図6(C)は、ケース39と連通管64とボックス50を有する光走査装置30の熱分布図である。なお、図中のH1は最も高温の領域を示しており、H9が最も低温の領域を示している。これらの熱分布図は、いずれも、同じ条件、つまり、モーター33の駆動時間や回転速度、シミュレーション時間などを同じにして、放熱効果をコンピュータによりシミュレートしたものである。
図6(A)によれば、従来の光走査装置101では、ケース39内の熱が比較的高いことが理解できる。また、図6(B)によれば、光走査装置102よりは放熱効果があるものの、外ケース39Bによる断熱効果が作用しているため、十分に冷却されている部分があるものの、未だ高温を保っている部分があることが理解できる。また、図6(C)によれば、ボックス50において空気の放熱効果が顕著に現れていることが理解できる。また、ケース39内においても、最も低温の領域は存在しないが、ケース39内が均等な温度に保たれていることが理解できる。この熱分布図から、光走査装置39において自然対流による空気の循環が円滑に行われていることが理解できる。また、ケース39内が均等な温度に保たれているため、ケース39に収容されたfθレンズ35A,35Bや、偏向ミラー37A,37B,37Cが部分的に偏った温度にならないため、これらの各構成要素に温度変化を原因とする歪みが生じにくくなる。
また、上述したように、本実施形態では、ポリゴンミラー32の回転中心軸66を中心とする渦状の回転気流が発生すると、この回転気流の中心は回転気流が発生している部分よりも低圧となり、上方へ空気が移動し易くなる。その回転中心軸66の延長線上に連通管64が設けられている。そのため、ポリゴンミラー32の回転中心軸66付近を通って上方へ移動した空気は、何ら抵抗なく連通管64へ導かれて、ケース39の上壁45の外側に設けられたボックス50へ移動する。これにより、ボックス50とケース39との間で自然対流による空気の循環が円滑に行われて、その結果、モーター33等の熱を効率良く光走査装置30の外部に放出することができる。
また、ボックス50の外壁の熱伝達率は、ケース39の外壁の熱伝達率よりも大きいため、ボックス50とケース39との間でより強い自然対流を生じさせることができる。
なお、上述の実施形態では、連通管64をポリゴンミラー32の回転中心軸66の延長線上に設けることとしたが、連通管64が回転中心軸66の延長線を外れた位置に設けられた構成であっても、自然対流による空気の循環が円滑に行われるため、モーター33等の熱を効率良く光走査装置30の外部に放出することができる。
また、上述の実施形態では、ケース39の上壁45に連通管64を連結し、上壁45の上方にボックス50を設ける構成としたが、本発明の他の実施形態として、図7(A)に示されるように、ケース39の側壁47に連通管64を設け、その連通管64の端部にボックス50が連結された光走査装置30Aが考えられる。この光走査装置30Aでは、連通管64は、側壁47において上壁45側の端部に連結される。これにより、ボックス50の一部が上壁45よりも鉛直上方に配置される。このため、図7に示されるように、ボックス50とケース39との間で空気の温度差による自然対流が生じ、ボックス50内においても空気の対流によって外気と熱交換が行われる。これにより、自然対流による空気の循環によって、モーター33等の熱が効率良く光走査装置30の外部に放出される。また、図8に示されるように、ボックス50が側壁47側に配置されることで、光走査装置30Aをプリンター10に設けた場合に、ケース39と感光体ドラム11A等との間を狭めることができ、プリンター10の高さ方向のサイズをコンパクトにすることができる。
また、図9に示されるように、本発明の他の実施形態として、ケース39とボックス50とが第1連通管64A及び第2連通管64B(いずれも本発明の管状部材の一例)によって連結された光走査装置30Bが考えられる。この光走査装置30Bでは、第1連通管64Aが第2連通管64Bよりも長く形成されている。また、第1連通管64Aは、ポリゴンミラー32の回転中心軸66の延長線上に設けられている。一方、第2連通管64Bは、上壁45において側壁47側の端部に設けられている。
このように構成されているため、ケース39で暖められた空気が第1連通管64Aを通ってボックス50に移動し、ボックス50内で外気と熱交換しながら冷却され、冷却された空気が第2連通管64Bを通ってケース39へ移動する。このように、自然対流による一方向の循環が行われることにより、ボックス50とケース39との間で空気の循環が円滑に行われて、モーター33等の熱が効率良く光走査装置30の外部に放出される。
また、第1連通管64Aが第2連通管64Bよりも長く形成されているため、ボックス50において回転中心軸66側の端部50Aが側壁47側の端部50Bよりも上位に位置する。このため、ボックス50は、ケース39の上壁45に対して傾斜することになる。これにより、第1連通管64Aを通ってボックス50に移動した空気は、冷却されながらボックス50の傾斜に沿うようにして徐々に斜め下方へ移動しつつ、第2連通管64Bへ案内され、その第2連通管64Bを通って再びケース39へ移動する。これにより、自然対流による空気の移動がより円滑となり、ボックス50とケース39との間で効率よく空気の循環が行われる。
本発明は、感光体に光を照射して露光させる光走査装置及びこれを備えた画像形成装置に利用可能である。
10:プリンター
30,30A,30B:光走査装置
32:ポリゴンミラー
33:モーター
34:ドライバー基板
35A,35B:fθレンズ
37A,37B,37C:偏向ミラー
39:ケース
45:上壁
47:側壁
50:ボックス
55:上壁
64,64A,64B:連通管
66:回転中心軸


Claims (5)

  1. 少なくともポリゴンミラー及び該ポリゴンミラーを回転させる駆動手段を収容し、内部が気密に保たれたケースと、
    前記ケースの鉛直上方側の外壁面の外側に該ケースから隔てられて設けられ、内部に気密な空間が形成された気密空間部と、
    前記ケースの内部と前記気密空間部の内部とを連通し、前記ケースと前記気密空間部との間で気流を生じさせる管状部材と、を具備し、
    前記ポリゴンミラーは、前記駆動手段の鉛直上方に設けられており、
    前記管状部材は、前記ポリゴンミラーの回転中心軸の延長線上に設けられており、
    前記気密空間部は、前記ポリゴンミラーと対面する前記外壁面の外側に設けられている光走査装置。
  2. 少なくともポリゴンミラー及び該ポリゴンミラーを回転させる駆動手段を収容し、内部が気密に保たれたケースと、
    前記ケースの鉛直上方側の外壁面の外側に該ケースから隔てられて設けられ、内部に気密な空間が形成された気密空間部と、
    前記ケースの内部と前記気密空間部の内部とを連通し、前記ケースと前記気密空間部との間で気流を生じさせる管状部材と、を具備し、
    前記ケースと前記気密空間部との間に前記管状部材が少なくとも2つ設けられており、
    少なくとも一方の前記管状部材が他方の前記管状部材よりも長く形成されることにより前記ケースの鉛直上方側の外壁面に対して傾斜した状態で前記気密空間部が前記外壁面の外側に設けられている光走査装置。
  3. 長い方の前記管状部材が、前記ポリゴンミラーの回転中心軸の延長線上に設けられている請求項2に記載の光走査装置。
  4. 前記気密空間部の外壁の熱伝達率は、前記ケースの外壁の熱伝達率よりも大きい請求項1からのいずれかに記載の光走査装置。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の光走査装置を備えた画像形成装置。
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