JP5449220B2 - 断熱パイプカバー - Google Patents
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Description
従来の断熱パイプカバーとしては、特許文献1に示すように、ポリエチレン製樹脂発泡シートを短冊状に加工したのち、幅方向に丸め、突き合わされた端面を溶着してパイプ状に成型されたパイプカバーが一般的である。
また、特許文献2のように、巻回したテープの一巻きとそれに隣合うテープの一巻きとを側縁部同士突き合わせ、又は側縁部同士重ね合わせるようにして、発泡材製テープを螺旋状に巻回し、かつ突き合わせ又は重ね合わせた側縁部同士を相互に熱融着によって接合してなる発泡材製内筒層と、内筒層上に巻回したテープの一巻きとそれに隣合うテープの一巻きとを側縁部同士突き合わせ、又は側縁部同士重ね合わせるようにして、発泡材製テープを螺旋状に巻回し、かつ突き合わせ又は重ね合わせた側縁部同士を相互に熱融着によって接合してなる発泡材製外筒層との積層筒体からなることを特徴とする断熱パイプカバーも製造されている。
しかし、特許文献1の断熱パイプカバーは、肉厚や形状を均一にするのが困難な為、パイプカバーの位置によって断熱性が異なるという難点があった。
また、特許文献2では肉厚が均一な円筒状の断熱パイプカバーを得られるが、その材料となる発泡テープには、特許文献1と同じくポリエチレン製樹脂架橋発泡シートを使用していた。ポリエチレンは熱伝導率が比較的高い樹脂であるのに加え、ポリエチレン製架橋発泡シートは気泡壁間距離が長くなりやすく熱伝導率が低くなりにくい為、所望の断熱性を発揮する為には、パイプカバーの肉厚を厚くする必要があった。ここで、気泡間距離とは、厚さ方向に隣接する気泡壁の距離であり、例えば気泡が完全な球状のときは気泡径と同じ値である。しかし、パイプカバーの肉厚が厚いと、配管設置時の必要スペースが大きくなることから、例えば小型のビルや戸建住宅への設置が難しいとの難点があった。
(1)巻回した樹脂発泡テープの側縁部を接合して製造された断熱パイプカバーであって、該樹脂発泡テープは熱可塑性樹脂からなり、該断熱パイプカバーの密度が、0.02〜0.09g/cm3であると共に、該断熱パイプカバーの10mm厚さ当たりの気泡壁数が40個以上であり、かつパイプカバーの厚さ方向に気泡径を見た際の幅方向の気泡壁間距離に対する厚さ方向の気泡壁間距離の比である気泡壁間距離のアスペクト比が外周側から内径側に向かって傾斜をもつことを特徴とする断熱パイプカバー。
(2)該断熱パイプカバーの気泡壁間距離が、厚さ方向に10μm〜100μmのものが20〜60%、100〜400μmのものが40〜80%の割合で含まれていることを特徴とする(1)項に記載の断熱パイプカバー。
(3)該断熱パイプカバーの断面形状が、多数の条を束ねた形状になっていることを特徴とする(1)又は(2)項に記載の断熱パイプカバー。
(4)前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂およびポリカーボネート系樹脂から選択される樹脂であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の断熱パイプカバー。
断熱パイプカバーの流れ、厚み方向42と断面との関係を図4に斜視図で示し、図7から後述するように気泡壁間距離71と気泡壁72の数が算出できる。
図4及び5に示した、断熱パイプカバーの肉厚10mm当たりの気泡壁数は、80個以上であることが好ましく、100個以上2000個以下がより好ましく、本発明においては40個以上である。気泡壁数が少なすぎると赤外線を反射させる能力に劣る為に充分な断熱性能が発揮できない。また2000個を超えると赤外線を反射せずに透過してしまい、断熱性能が低下する。ここで気泡壁とは厚さ方向における隣合う気泡と気泡の間の樹脂壁のことをいう。気泡壁数とは厚さ方向の気泡壁の数である。気泡壁数の測定方法は次の通りである。断熱パイプカバーの断面に対し、顕微鏡等を用いてスクリーンまたはモニタ等に拡大投影し、図7に示すように投影画像上において厚み方向42に線分73を引き、その直線と交差する気泡壁数72を計数する。通常サンプル厚さを10mmになるように切り出して観察するが、厚さが10mm丁度ではない場合には、厚さ10mmに換算して気泡壁数を求めてもよい。気泡壁数は樹脂を押出発泡し、その際に発泡剤を適当量混合し、かつ押出温度を適正な範囲
で調整する等の方法により上記範囲に調節できる。その際、気泡核剤を用いると調整が容易になる。
断熱パイプカバーに含まれる気泡に対しては、後述する、パイプカバー厚み方向42の気泡壁間距離について、厚さ方向に10μm〜100μmの気泡(小気泡A)が20〜60%、101〜400μmの気泡(大気泡B)が40〜80%の割合で含まれていることが好ましい。気泡Aと気泡Bが上記の割合で存在することにより広い範囲の赤外線を反射することが可能になり、断熱性が向上する。小気泡Aの割合が多すぎると長波長側の赤外線反射効果が薄れ、少なすぎると短波長側の赤外線反射効果が薄れる。
また、本発明において上記断熱パイプカバーは、厚さ方向に気泡径を見た際、気泡壁間距離のアスペクト比(幅方向の気泡壁間距離に対する厚さ方向の気泡壁間距離の比)が傾斜を持つ。アスペクト比は、内径側が小さく、外周側に向かって徐々に大きくなるような傾斜でも、外周側が小さく、内径側に向かって徐々に大きくなるような傾斜でも構わないが、特に外周側から内径側に向かってアスペクト比が小さくなるような傾斜をもつことが好ましい。このような傾斜を持つ気泡を生成することで広い範囲の赤外線を反射することが可能になり、以下のような効果がある。
アスペクト比に傾斜を付ける為には、例えばテープの片側のみを延伸したり、圧縮する等の手法により行うことができる。
樹脂発泡体の製造方法としては、ガス発泡、化学発泡等を使用することができる。ガス発泡の場合、発泡剤としては炭酸ガス、窒素ガス、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスのほか、ブタン、ペンタン、テトラフルオロプロペン等の揮発性発泡剤を使用してよい。化学発泡の場合、化学発泡剤としてはアゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、重層などを使用してよい。樹脂との親和性、安全性の観点からは炭酸ガスを用いることが好ましい。
また熱可塑性樹脂には増核作用を有する気泡核剤を含有させても良い。具体的にはタルク、金属石鹸などであり、その量は通常10質量%以下である。
ダイ(多孔ダイ)から樹脂を押し出すと同時に発泡させて得た発泡テープを直接(切断せずそのまま)マントル成形機に供給し、当該発泡テープの側縁部を熱で融着させながら発泡テープを並列巻回する。この巻回は螺旋状に行う。
前記のマントル成形機110としては、図3に示したようにそれ自体公知のものが使用でき、特にマントルシャフト31の周囲に、フレキシブルシャフト32が螺旋状に巻回された構造のものが好ましく用いられる。すなわち、ギアボックス33に接続されたフレキシブルシャフト32が軸を中心に回転することにより、マントルシャフト31の周囲に沿って、多孔ダイ17の一部21から供給された樹脂発泡テープ18を捲回すことができる。なお、111は押さえローラーであり、供給された発泡テープ18をその回転により、確実にマントルシャフト31に巻きつけるように作用する。
実施例及び比較例において得られたパイプカバーサンプルの各物性の測定、評価は以下の方法にて行った。その結果を表1に示した。
(気泡壁数、気泡壁間距離の測定)
図4に示すように、得られたパイプカバー112より一部を切り出し図5に示すサンプルを得る。前記の方法により走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてサンプルの気泡膜部断面の倍率30倍の顕微鏡写真を撮影し、前述の方法で厚さ10mm当りの気泡壁72の数と気泡壁間距離71を求めた(図7参照)。
本発明において断熱性の評価方法としては、以下のような手法を使用した。製造直後の発泡パイプカバーから図4の流れ方向41に長さ500mmの試験体を切り出し、該試験片を23℃、湿度50%の雰囲気下に保存した。製造後10日後に、該試験体に適合する銅管を挿入し、内側に0℃の冷媒を流せる装置に導入した。この装置を30℃、湿度50%の雰囲気下に24時間以上保持し、試験体の端から250mm付近の表面温度を測定し、雰囲気温度と表面温度の温度差を断熱性評価の指標とした。評価基準は、温度差が2℃未満であれば判定は良好(○)であり、2℃以上2.5以下は実用し得る範囲(△)であり、2.5℃を越えるものは不良(×)である。
ここでは図1に示すシステムを用いた。第一押出機11にはΦ40mmの単軸押出機、第二押出機12にはΦ65mmの単軸押出機を用いた。材料にはポリプロピレン(MFR=2)を用い、ガスには純度99%の炭酸ガスを使用した。ダイには図2に示す面を有する多孔ダイ17を使用した。多孔ダイ17の孔径(22の径)は1mm、面積20mm2当たりの孔数は15個とした。
まず、ポリプロピレンを図1のホッパー13に供給し、170〜210℃に設定された第一押出機11内で樹脂を溶融させた。一方、ガスポート16からは昇圧機15で10MPaの圧力に昇圧された炭酸ガスを供給し、第一押出機11内で樹脂とガスを混錬させた。樹脂とガスの混合物は165〜200℃に設定された第二押出機12に搬送され、押出機内を進むにつれて均一に冷却された。
最終的に図1の多孔ダイ17から発泡テープ18が押し出された。多孔ダイ17の圧力は12MPaであった。押し出された発泡テープ18は底辺が20mm、高さが15mmの平行四辺形をしていた。発泡テープ18の表面をライスターで軽く溶融させ、外径30mm、ピッチ13mmに調整されたマントル成形機110と押さえローラー111の間に供給した。マントル成形機110のフレキシブルシャフト32の回転速度は押し出される発泡テープ18の線速度よりもやや速く設定し、発泡テープに若干テンションがかかるようにした。巻回された発泡テープ18は端部同士で熱融着し、最終的に内径30mm、厚さ15mmの断熱パイプカバー112が得られた。
材料としてポリプロピレン(MFR=2)99%に対して気泡核剤(ポリスレンEE207E(永和化成製)を1%混合した以外は、実施例1と同様に実験を行った。
材料としてポリプロピレン(MFR=2)98%に対して気泡核剤(ポリスレンEE207E(永和化成製)を2%混合した以外は、実施例1と同様に実験を行った。
実施例4及び5においては発泡体の密度を0.06g/cm3にしたこと以外は、実施例1と同様にしてマントル成形機に発泡体を供給した。また、実施例6においては発泡体の密度を0.07g/cm3にしたこと以外は、実施例1と同様にしてマントル成形機に発泡体を供給した。実施例4〜6の結果は下記表1に示すとおりであった。
比較例1においては、発泡体の密度を0.1g/cm3にしたこと以外は、実施例1と同様にしてマントル成形機に発泡体を供給した。しかし、この場合には密度が0.09g/cm3より大きい為、下記表1に示すとおり不合格となった。
12 第二押出機
13 ホッパー
14 ガスボンベ
15 昇圧機
16 ガスポート
17 多孔ダイ
18 発泡テープ
19 ヒーター
22 孔
31 マントルシャフト
32 フレキシブルシャフト
33 ギアボックス
110 マントル成形機
111 押さえロール
112 断熱パイプカバー
Claims (4)
- 巻回した樹脂発泡テープの側縁部を接合して製造された断熱パイプカバーであって、該樹脂発泡テープは熱可塑性樹脂からなり、該断熱パイプカバーの密度が、0.02〜0.09g/cm3であると共に、該断熱パイプカバーの10mm厚さ当たりの気泡壁数が40個以上であり、かつパイプカバーの厚さ方向に気泡径を見た際の幅方向の気泡壁間距離に対する厚さ方向の気泡壁間距離の比である気泡壁間距離のアスペクト比が外周側から内径側に向かって傾斜をもつことを特徴とする断熱パイプカバー。
- 該断熱パイプカバーの気泡壁間距離が、厚さ方向に10μm〜100μmのものが20〜60%、100〜400μmのものが40〜80%の割合で含まれていることを特徴とする請求項1に記載の断熱パイプカバー。
- 該断熱パイプカバーの断面形状が、多数の条を束ねた形状になっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱パイプカバー。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂およびポリカーボネート系樹脂から選択される樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の断熱パイプカバー。
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