JP4956028B2 - 複合管 - Google Patents
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Description
一方、押出発泡法では、クロスヘッドダイから樹脂発泡体を押し出すと同時に管への被覆が完了するので、架橋発泡法に比べて手間がかからないという特徴がある。しかし、基本的に樹脂を架橋していないので樹脂の張力が弱く、発泡倍率を架橋発泡法ほど上げにくいという問題があった。
ここで、「略扇状形」とは、図5に示す大小2つの同心円の上の長円弧部1と短円弧部2および前記同心円の中心から外周方向へ放射状に伸びる2本の直線部3、3とで形成される形状である。
図6(a)は簡単な例として挙げる、二層の棒状発泡体13、14を管11に被覆した複合管の断面説明図である。図6(b)は図6(a)のような発泡体を作るための多孔ダイ34の一例である。図6(b)の多孔ダイから押し出された棒状の樹脂組成物は押出し直後から発泡し、複数の棒状発泡体は気泡が成長するにつれて互いに押し合い、チューブ状に成形するため、棒状発泡体の断面が略扇状形になるよう変形し、最終的に図6(a)に示すように配置される。
この棒状発泡体の断面が円から略扇状形に変形するときの変形の度合いを見る指標として、略扇状形の縦横比を下記式(A)のように定義する。
本発明の目的は前述した問題点を解決し、高い発泡倍率を得るための樹脂発泡体を形成する棒状発泡体の形状、発泡体の数、ダイの孔の数を提案することにより、発泡倍率の高い樹脂発泡体が被覆されて、高い断熱性と優れた施工性を兼ね備える複合管およびその製造方法を提供するものである。
すなわち、本発明は
(1)管の外表面に発泡体を被覆した複合管であって、前記発泡体は、棒状発泡体で層が形成されており、かつ、
前記発泡体の長手方向に垂直な断面における棒状発泡体の40%以上の形状が、大小2つの同心円の上の長短の円弧部と、前記同心円の中心から外周方向へ放射状に伸びる2本の直線部とで形成される略扇状形であり、下記式(1)の条件を満たすものであり、前記発泡体は、2つ以上の同心円上に配置された2以上の孔を有する多孔ダイから押し出された棒状発泡体が互いに融着または接着して層を形成していることを特徴とする複合管、
前記発泡体の長手方向に垂直な断面における棒状発泡体の形状が、大小2つの同心円の上の長短の円弧部と、前記同心円の中心から外周方向へ放射状に伸びる2本の直線部とで形成される略扇状形であり、下記式(1)の条件を満たすものであり、
前記発泡体は、2つ以上の同心円上に配置された2以上の孔を有する多孔ダイから押し出された棒状発泡体が互いに融着または接着して層を形成していることを特徴とする複合管、
各層を形成する棒状発泡体の数が下記式(2)の条件を満たすものであり、
前記発泡体は、2つ以上の同心円上に配置された2以上の孔を有する多孔ダイから押し出された棒状発泡体が互いに融着または接着して層を形成していることを特徴とする複合管、
(4)前記発泡体の発泡倍率が5〜30倍であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の複合管、
(5)前記発泡体がポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の複合管、
(6)前記発泡体がポリプロピレンからなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の複合管、
(7)前記発泡体の発泡剤が炭酸ガスであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の複合管、および、
(8)発泡性組成物を1つ以上の同心円状に配置された2以上の孔を有する多孔ダイから押し出して、管の外表面に発泡体を被覆する複合管の製造方法であって、前記多孔ダイの孔の数が下記式(2)の条件を満たす棒状発泡体の数と等しいことを特徴とする前記方法、
を提供するものである。
なお、本発明の「略扇状形」とは、図5に示す大小2つの同心円の上の長短の円弧部1、2と、前記同心円の中心から外周方向へ放射状に伸びる2本の直線部3、3とで形成される形状を言う。
また、本発明の複合管は、発泡体としてポリオレフィン系樹脂を用いることで、成形が容易であり、ポリプロピレンを用いることで、耐熱性が高いという利点を有する。
さらに、本発明の複合管は、発泡剤として炭酸ガスを用いることで、発泡剤が環境に与える負荷が少ない。
本発明の複合管の製造方法は、管に被覆した発泡体の偏肉が抑えられ、均一で、成形が容易である。
以上、発泡体が二層からなる場合について説明したが、式(C)の概念は発泡体が三層以上の層を形成する場合にも成り立つ。
すなわち、
図1は、本発明の複合管の好ましい一実施態様を示す断面図である。本発明の複合管は、管11の外表面が棒状発泡体12によって被覆されている。該棒状発泡体12は同心円状に配置され互いに融着または接着して同心円状の層を形成し、管11に近い側から第1層(図1中、棒状発泡体13、・・・で形成)、第2層(図1中、棒状発泡体14、・・・で形成)、・・・、第i層(図1中、棒状発泡体16、・・・で形成)、・・・、第N層(図1中、棒状発泡体18・・・で形成)の多重の被覆層を形成している。ここで、Nは1以上の整数を表し、iは1以上N以下の整数を表す。なお、図1中、図示されていないが、15及び17の部分にも棒状発泡体12が同様に同心円状に配置され多重の被覆層を形成している。各棒状発泡体12の直径は互いに等しいことが好ましいが、必要に応じて異なっていてもよい。棒状発泡体の直径を異ならせる方法としては、多孔ダイの孔径に変化をつけること等が考えられるがこれに限られるものではない。
なお、棒状発泡体は、長手方向に直線状でも良いし、スパイラル状でも良く、前記発泡体の長手方向に垂直な断面において、本願発明の形状を有していれば良い。
棒状発泡体は互いに接触していれば良いが、互いに融着または接着していると好ましい。また、棒状発泡体は同心円状の層を形成すると好ましい。
ポリオレフィン系樹脂とは、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエン三元共重合体、スチレンブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンアクリル酸樹脂等が挙げられるがこれらに限られるものではない。更に上記各樹脂のシラン変性、カルボン酸変性等の変性体なども用いることができ、またこれらの樹脂は単独、又は2種以上の混合物として使用することができる。
なお、本発明では棒状発泡体13、14同士には界面が存在し、先行技術(例えば特開昭60−85920号公報)のように完全に溶融一体化してチューブ状の発泡体を形成するわけではない。
前記ダイの孔の断面形状は、断面積に対する表面積の比が小さいものが好ましく、この比が最も小さい円形が特に好ましいが、必要に応じて多角形や楕円形としてもよい。
ホッパー31には樹脂組成物を供給し、ガス注入弁32にはガス発泡剤を供給することができる。クロスヘッド33には管11が上から挿通され、クロスヘッド33の下部に設けられたダイ34より樹脂組成物を押し出し、管11に樹脂組成物を被覆することができる。クロスヘッド33を通り抜けた樹脂組成物が被覆された管11は下流に設けられた成形機36によって成形される。
まず、樹脂と発泡剤や他の添加剤とからなる樹脂組成物を押出機30のホッパー31に供給する。押出機30は単軸押出機、二軸押出機のいずれを用いることもできるし、両者を組み合わせてタンデム押出システムとしてもよい。発泡性を考慮すればタンデム押出システムを用いることが好ましい。ガス発泡剤を使用する場合は、押出機30の側面に設けられたガス注入弁32からガスを注入してもよい。
上述したように、以上の製造方法は、本発明を実施するための一例であり、本発明を実現できる方法であれば特に上記方法に限定されるものではない。
図3に示した製造設備で、押出機としてタンデム押出システムを用いた。タンデム押出システムの1段目押出機としてφ40mm単軸押出機、2段目押出機としてφ65mm単軸押出機を用いた。ダイには1つの同心円状に8つの孔が配置された多孔ダイを使用した。
次に、ポリプロピレン(SD632、商品名、サンアロマー社製;MFR=3.0g/10min(230℃、2.16kgf))100質量部に対して、タルク(タルクMG、商品名、日本タルク社製)1質量部を加えて樹脂発泡体成形材料を調製し、併せて1段目押出機のシリンダー温度を170℃〜220℃に、2段目押出機の設定温度を175℃〜220℃に、ダイ温度を170℃に設定した。
多孔ダイを1つの同心円状に10個の孔が配置されたものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして複合管を作製した。
(実施例3)
サイジングダイの内径を25.9mmにするとともに、多孔ダイを1つの同心円状に12個の孔が配置されたものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして複合管を作製し、発泡体肉厚5mmの複合管を作製した。
(実施例4)
サイジングダイの内径を25.9mmにするとともに、多孔ダイを1つの同心円状に16個の孔が配置されたものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして複合管を作製し、発泡体肉厚5mmの複合管を作製した。
多孔ダイを1つの同心円状に3個の孔が配置されたものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして複合管を作製した。
(比較例2)
多孔ダイを1つの同心円状に20個の孔が配置されたものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして複合管を作製した。
(比較例3)
多孔ダイを1つの同心円状に5個の孔が配置されたものに変更したこと以外は、実施例3と同様にして複合管を作製した。
(比較例4)
多孔ダイを1つの同心円状に30個の孔が配置されたものに変更したこと以外は、実施例3と同様にして複合管を作製した。
これに対し、実施例1〜4はいずれも発泡倍率が10.0〜16.8倍と高く、良好な断熱性を有することがわかった。
製造設備、操作条件、樹脂発泡体成形材料は実施例1と同様とした。ダイには2つの同心円状に孔が配置され、中心側の同心円に14個の孔が、外表面側の同心円に孔が20個配置された多孔ダイに変更した以外は、実施例1と同様にして発泡体肉厚10mmの複合管を作製した。発泡倍率は17.8倍(シース除く)であった。
(実施例6)
多孔ダイの中心側の同心円には16個の孔が、外表面側の同心円には22個の孔が配置されたものに変更した以外は、実施例5と同様にして複合管を作製した。
(実施例7)
多孔ダイの中心側の同心円には16個の孔が、外表面側の同心円にも16個の孔が配置されたものに変更した以外は、実施例5と同様にして複合管を作製した。
多孔ダイの中心側の同心円には20個の孔が、外表面側の同心円には14個の孔が配置されたものに変更した以外は、実施例5と同様にして複合管を作製した。
(実施例9)
多孔ダイの中心側の同心円には18個の孔が、外表面側の同心円には12個の孔が配置されたものに変更した以外は、実施例5と同様にして複合管を作製した。
(実施例10)
多孔ダイの中心側の同心円には5個の孔が、外表面側の同心円には20個の孔が配置されたものに変更した以外は、実施例5と同様にして複合管を作製した。
多孔ダイの中心側の同心円には30個の孔が、外表面側の同心円には20個の孔が配置されたものに変更した以外は、実施例5と同様にして複合管を作製した。
(実施例12)
多孔ダイの中心側の同心円には14個の孔が、外表面側の同心円には7個の孔が配置されたものに変更した以外は、実施例5と同様にして複合管を作製した。
(実施例13)
多孔ダイの中心側の同心円には14個の孔が、外表面側の同心円には40個の孔が配置されたものに変更した以外は、実施例5と同様にして複合管を作製した。
多孔ダイの中心側の同心円には5個の孔が、外表面側の同心円には7個の孔が配置されたものに変更した以外は、実施例5と同様にして複合管を作製した。
(比較例6)
多孔ダイの中心側の同心円には30個の孔が、外表面側の同心円には40個の孔が配置されたものに変更した以外は、実施例5と同様にして複合管を作製した。
実施例5〜13および比較例5〜6で得られた複合管の発泡倍率は、上記と同様水中置換法で測定した。これらの数値と得られた結果を表2−1、表2−2に示す。
これに対し、表2−1、表2−2に示すように、実施例5〜13はいずれも発泡倍率が6.6〜17.8倍と高いものが得られた。特に、実施例5〜9については、内外層とも縦横比が0.656〜2.5の範囲に入っており、また、実施例10、11は棒状発泡体の断面積の割合が50%を超える外層が縦横比0.97であり、発泡倍率10.6〜17.8倍と高いものが得られた。そして、実施例12、13は断面積の割合が40%を超える内層が縦横比0.937であり、発泡倍率7.9、6.6といずれも5倍以上である。
12 棒状発泡体
13 第一層の棒状発泡体
14 第二層の棒状発泡体
16 第i層の棒状発泡体
18 第N層の棒状発泡体
30 押出機
31 ホッパー
32 ガス供給口
33 クロスヘッド
34 多孔ダイ
36 サイジングダイ
41 ニップル
43 孔部
Claims (8)
- 前記発泡体の発泡倍率が5〜30倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合管。
- 前記発泡体がポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合管。
- 前記発泡体がポリプロピレンからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合管。
- 前記発泡体の発泡剤が炭酸ガスであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合管。
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