JP2004044733A - 複合管およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱融着の継ぎ目がなく、断熱性が高く、かつ生産性が高い複合管およびその製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂発泡体(12)中に少なくとも2本の管(11)を所定間隔で保持してなる複合管であって、前記の少なくとも2本の管(11)の外周が均一な厚みの前記樹脂発泡体(12)で覆われており、かつ管外周に継ぎ目のない複合管(1)。
【選択図】 図1
【解決手段】樹脂発泡体(12)中に少なくとも2本の管(11)を所定間隔で保持してなる複合管であって、前記の少なくとも2本の管(11)の外周が均一な厚みの前記樹脂発泡体(12)で覆われており、かつ管外周に継ぎ目のない複合管(1)。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周囲に樹脂発泡体を被覆することによって複数の管を所定間隔で纏めた、樹脂発泡体の外周に継ぎ目のない複合管およびその製造方法に関する。詳しくは、給水給湯管、暖房管等として好適な、断熱性、施工性および生産性に優れた複合管に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の管を所定間隔で位置させ、断熱被覆層で覆った複合管がある。このような複合管は、例えば2本の管の一方に低温流体を流し、もう一方に高温流体を流すことで流体の温度を調節することができるので、例えば一般の戸建て住宅やアパートにおける給水給湯管や床暖房管として好適に利用されている。
【0003】
この従来の複合管を製造する方法としては、例えば特開昭59−230721号や特開平4−267126号に示されるように、シート状発泡体を短冊状に切断し、短冊状発泡体の中央部に2本の管を置いて管に短冊状発泡体を巻き付け、発泡体の長手方向の端部を熱融着して管を纏める方法や、実開平4−95198号に示されるように、アルミ蒸着テープを螺旋状に巻いて2本の管を纏める方法等がある。
【0004】
しかし、端部を熱融着する方法で製造された複合管は、製造時や使用時に熱融着した接合部が剥離するという問題や、シート状の発泡体を作ってから短冊状に加工し、銅管を挿通するため製造に時間と手間がかかるという問題があった。一方、アルミ蒸着テープで巻いたものは前記のような熱融着部が剥離するという問題はないものの、テープ自体に断熱性がほとんどないため外部への熱拡散が起こり熱効率が悪いという問題があった。
【0005】
また、複数本が並列された合成樹脂管の外周面を発泡合成樹脂で覆った複合管が特開平8−200557号に記載されている。しかし、この複合管は、外周面に覆った合成樹脂の断面外形が、断面が円形の管に対し多角形である。そのため外観の意匠性などは有するものの断熱性能上余分な発泡体部分を必要としていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解消するため、熱融着の継ぎ目がなく、断熱性が高く、かつ生産性が高い複合管およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、樹脂発泡体を少なくとも2本の管に対して同時に連続的に押出被覆することにより、長手方向に全く断熱材の継ぎ目がなくかつ断熱性が高い複合管を、高い生産効率で製造することができることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされるに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)樹脂発泡体中に少なくとも2本の管を所定間隔で保持してなる複合管であって、前記の少なくとも2本の管の外周が均一な厚みの前記樹脂発泡体で覆われており、かつ管外周に継ぎ目のないことを特徴とする複合管、
(2)前記樹脂発泡体の発泡倍率が2〜40倍であることを特徴とする(1)項に記載の複合管、
(3)前記樹脂発泡体の肉厚が1〜15mmであることを特徴とする(1)又は(2)項に記載の複合管、
【0009】
(4)前記樹脂発泡体がポリオレフィン系樹脂の発泡体であることを特徴とする(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の複合管、
(5)前記樹脂発泡体の周囲に未発泡樹脂からなるシース層を被覆してなる(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の複合管、
(6)前記管が架橋ポリエチレン系樹脂からなることを特徴とする(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の複合管、
(7)前記管が銅からなることを特徴とする(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の複合管、
【0010】
(8)前記樹脂発泡体を発泡させるための発泡剤が炭酸ガスであることを特徴とする(1)〜(7)項のいずれか1項に記載の複合管、および
(9)押出機のクロスヘッドに、発泡性樹脂及び発泡性樹脂とは垂直な方向から少なくとも2本の管を供給し、クロスヘッドのダイから発泡性樹脂を押し出し、発泡させると同時に前記の少なくとも2本の管に被覆させることを特徴とする(1)〜(8)項のいずれか1項に記載の複合管の製造方法
を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、管を形成する材料としては、銅、ステンレス等の金属や、ポリエチレン、ポリブテン、ポリプロピレンやこれらを架橋したもの等の樹脂が好ましく使用される。特に、金属管の場合は銅からなるものが好ましく、樹脂管の場合は架橋ポリエチレン系樹脂からなるものが好ましい。架橋ポリエチレン系樹脂としては、架橋ポリエチレン樹脂単体の他、架橋ポリエチレン樹脂と他のポリオレフィン系樹脂との混合物を用いることができる。好ましいポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。
【0012】
被覆層となる樹脂発泡体の材料としては、発泡成形体の素材として従来から使用されているものであれば使用可能であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレンプロピレンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルおよびこれらの樹脂の混合物等が好適に用いられる。特に、ポリオレフィン系樹脂の発泡体が好ましく、ポリオレフィン系樹脂は前記に挙げたものが好ましい。
【0013】
発泡剤としては、炭酸ガス、窒素ガスや熱分解型発泡剤が好適に用いられる。特に、炭酸ガスが好ましい。熱分解型発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等の熱分解型無機発泡剤、N,N’−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ化合物、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物等の熱分解型有機発泡剤等が挙げられる。
【0014】
樹脂管の架橋方法としては、常法の架橋方法でよく、例えばシラン架橋等を用いることができる。シラン架橋を行う際のシラン化合物としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなどを挙げることができる。シラン化合物の樹脂への配合量は、樹脂100質量部に対し、0.1〜50質量部であることが好ましく、特に0.5〜10質量部であることが好ましい。
【0015】
樹脂管および被覆層を形成するポリオレフィン系樹脂には、更に必要に応じて、熱安定剤、加工助剤、滑剤、衝撃改質剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料等が適宜添加されてもよい。
【0016】
本発明においては、少なくとも2本の管を樹脂発泡体にて纏めて被覆する。この際、熱効率を考慮して、管と管の間には所定の間隔が設けられる。好ましくは3〜20mm、より好ましくは5〜15mmの間隔が設けられる。
管に樹脂発泡体を被覆する方法としては、押出機内であらかじめ樹脂と発泡剤を十分混合し、押出機の先端に設けられたクロスヘッドのダイから樹脂を押し出すと同時に発泡させる、いわゆる押出発泡法で樹脂発泡体を被覆する方法が好ましい。すなわち、押出機の先端に設けられたクロスヘッドに、あらかじめ発泡剤と混合した樹脂(以下、発泡性樹脂という)および2本の管を供給し、発泡性樹脂をダイから押し出すとともに発泡させ、同時に2本の管に樹脂発泡体を被覆させる方法である。この方法によれば、発泡体を製造すると同時に複合管も製造できるので生産性がよく、2本の樹脂管をまとめて被覆するので長手方向に継ぎ目のない樹脂発泡体が得られる。なお、シート状の発泡体を短冊状に切断してからパイプ状に巻く必要がないので、パイプカバーに比べて生産効率が高い。また、発泡樹脂層を被覆しているので、アルミ蒸着テープを螺旋状に巻いたものと比べて断熱性が高く、実使用時の熱効率が高い。
樹脂発泡体の周囲には、耐傷性を高めるために、未発泡樹脂からなるシース層を被覆することが好ましい。
【0017】
樹脂発泡体の発泡倍率は、高い断熱性および耐傷性を有する複合管を得るために、2〜40倍が好ましく、2〜20倍がさらに好ましく、2〜10倍が特に好ましい。発泡倍率が2倍より低いと断熱性能に劣り、発泡倍率が40倍を超えると表面の耐傷性に劣る。
【0018】
樹脂発泡体の肉厚は、高い断熱性および可とう性を有する複合管を得るために、1〜15mmが好ましく、1〜10mmがさらに好ましく、1〜5mmが特に好ましい。樹脂発泡体の肉厚が1mmより薄いと断熱性に劣り、肉厚が15mmより厚いと複合管が太くなりすぎて施工性が低下する。
また、本発明の複合管においては、樹脂発泡体が均一な厚みで前記の少なくとも2本の管を覆っている。すなわち、樹脂発泡体は管の外周を取り囲む円状に設けられる。したがって該複合管の断面は多角形とはならず、管が2本の場合はメガネ形状となる。従来の、断面が多角形の複合管の場合は、外観意匠性等を重要視する形状のために断熱性能上余分な発泡体を必要としており、無駄なコストがかかっていた。これに対し本発明の複合管は、所定の断熱性能を満たすのに必要最低限の発泡体で構成されており、コストを削減することができる。
また、複合管をさや管に挿通する場合、従来の、断面が多角形の複合管は、余分な発泡体が存在するために、複合管を曲げる角度によってはさや管へ通しにくくなるが、本発明の複合管は必要最低限の発泡体で構成されているため、曲げやすく、さや管へ非常に通しやすいという優れた作用効果も奏する。
【0019】
以下、押出発泡法による本発明の好ましい実施態様を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の複合管の好ましい一実施態様を示す断面図である。同図に示すように複合管1は、2本の管11の周りに樹脂発泡体12を被覆した形となっている。樹脂発泡体の周囲には、耐傷性を高めるために未発泡樹脂からなるシース層を被せても良い。
【0020】
図2は、本発明の複合管の製造方法の好ましい一実施態様を示す側面図である。ここでは、管が樹脂製の場合について説明する。図2において、まず材料となる樹脂を押出機26に供給する。押出機26は樹脂管を押し出すための押出機であり、先端に設けられたダイ262より樹脂管21を押し出す。押出機のシリンダーの温度は、130〜180℃が好ましく、140〜170℃がより好ましい。また、ダイの温度は、160〜200℃が好ましく、170〜190℃がより好ましい。樹脂管21を巻き取りコイル27とする(図2(a))。管を架橋する場合は、例えばシラン架橋性コンパウンドを押出機26から押し出し、巻き取ったコイル27を温浴25に浸し、架橋した樹脂管のコイル24を得る(図2(b))。この際、温浴の温度は、80〜110℃が好ましく、90〜100℃がより好ましい。架橋は、後の工程でコイルを伸ばすのに熱を加えずに手で直すことができる程度の硬さとなるように行う。
【0021】
上記説明において、コイル24が架橋樹脂製の場合の例を示したが、以下コイル24は架橋しない樹脂製であってもよいし、銅等の金属製であってもよい。金属管のコイルは、熱間押出し後、所定の寸法まで圧伸加工を繰り返しながら細径化、薄肉化して製造する。
コイル24を2本用意し、押出機2のクロスヘッド22に2本の管11を供給する。押出機2は樹脂発泡体を押し出すための押出機であり、押出機2の先端にはクロスヘッド22が付設されている。押出機のシリンダーの温度は、150〜190℃が好ましく、160〜180℃がより好ましい。発泡剤として化学発泡剤を用いる場合は押出機2のホッパーから樹脂とともに化学発泡剤を供給し、ガスを用いる場合はガス供給弁23からガスを供給する。押し出された管11を押出機2のクロスヘッド22に供給し、クロスヘッド22から発泡性樹脂を押し出すとともに発泡させ、樹脂発泡体12を2本の管に被覆して、複合管1を製造する(図2(c))。
【0022】
クロスヘッド22の拡大断面図を図4に示す。図4は図2におけるクロスヘッド22内部の流路を示す図であり、クロスヘッドは、ダイ41とニップル42とからなる。図4において、2本の管11は管用通路44を通ってクロスヘッドに入り、被覆層となる樹脂は被覆樹脂用通路43を通ってクロスヘッドに入る。被覆樹脂はクロスヘッド内で流れの向きを直角に変え、管の長手方向と同じ向きに流れる。発泡性樹脂は、ダイ41の出口から押し出されると同時に発泡し、同時に2本の樹脂管を被覆する。本発明ではダイ41の形状を管11の外形に合わせて余分な発泡性樹脂を管11に供給しないように調節する。こうして図1に示すような管が均一な厚みの発泡性樹脂で覆われた複合管を得ることができる。
【0023】
管として樹脂管を用いる場合は、図3に示す方法を用いても良い。図3は、本発明の複合管の製造方法の別の好ましい一実施態様を示す側面図である。図3において、まず材料となる樹脂を押出機31に供給する。押出機31は樹脂管用押出機であり、先端に設けられたヘッド312から樹脂管を2本押し出す。押出機のシリンダーの温度は、130〜180℃が好ましく、140〜170℃がより好ましい。また、ヘッドの温度は、150〜190℃が好ましく、160〜180℃がより好ましい。押し出された管は冷却水槽33にて管表面を冷却し、管の形状を固定する。その後、管に耐熱性が必要な場合等には、電子線架橋装置34にて、適宜処理を行う。こうして押し出された管11を押出機32のクロスヘッド322に供給し、クロスヘッド322から発泡性樹脂を押し出すとともに発泡させ、同時に樹脂発泡体12を2本の管に被覆して、複合管1を製造する。この方法によれば、樹脂管の製造と樹脂管への樹脂発泡体の被覆を1ラインで行うことができるので生産性が高い。
【0024】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
断熱被覆管の製造方法として、図2に示した方法を用いた。押出機26としてφ100mm単軸押出機を用い、押出機2としてφ65mmの単軸押出機を使用した。押出機26のシリンダー温度は140℃〜180℃に、ダイ262の温度は140℃に設定した。また、押出機2のシリンダー温度は120〜170℃に設定した。
【0025】
まず、直鎖低密度ポリエチレンとシランコンパウンドからなる樹脂管成形材料を調製し、この樹脂管成形材料を押出機26より管状に押し出し、内径6.5mm、外径10mmの樹脂管21を得た。この樹脂管21を巻き取ってコイル27とした。
次に、コイル27を温浴25に8時間浸し、樹脂をシラン架橋させ、架橋した樹脂管24を得た。温浴の温度は93℃に設定した。
【0026】
一方で、低密度ポリエチレン樹脂100質量部に対して、発泡核剤としてタルク1質量部を配合してあるポリオレフィン系樹脂組成物(低密度ポリエチレン:ジェイレクスLD F122(MFR=2.0、商品名、日本ポリオレフィン社製)、タルク:ミクロエースL−1(商品名、日本タルク社製))からなる発泡樹脂層成形材料を調製し、押出機2に供給した。押出機2の中間部に設けられた炭酸ガス供給弁23から発泡層の吐出量の1質量部に相当する炭酸ガスを供給した。
【0027】
そして、架橋された2本の樹脂管11および押出機2より押し出された被覆層成形材料の溶融混練物を、共にクロスヘッド22内に供給した。溶融混練物は、ダイから押し出されて発泡すると同時に2本の樹脂管11を被覆した。かくして、外径10mmの樹脂管11の外周面に発泡倍率5倍で厚み2mm均一の樹脂発泡体が被覆された複合管1を得た。
【0028】
(実施例2)
実施例1と同様にして管に樹脂発泡体を被覆した後、発泡体の周りに未発泡低密度ポリエチレンからなる厚み0.5mmのシース層を被覆して複合管を得た。
【0029】
(比較例1)
樹脂管は実施例1と同じものを使用し、樹脂管に発泡体を被覆せずにアルミ蒸着テープを螺旋状に巻くことで2本の樹脂管を1つにまとめた複合管を得た。
【0030】
(比較例2)
樹脂管には実施例1と同じものを使用し、前記樹脂管の周りに厚み1cm、発泡倍率40倍の短冊状の架橋ポリエチレンシートを樹脂管に巻き付け、発泡体の端部を熱融着することで被覆して複合管を得た。
【0031】
実施例1〜2、比較例1〜2で得られた複合管について、断熱被覆管の発泡倍率、熱伝導率、製造時の熱融着部分の剥離によるロス率、製造に要する時間を測定した。発泡倍率は、空気比重式電子天秤により発泡体の密度を測定し、元の樹脂の密度を発泡体の密度で割ることにより算出した。熱伝導率はJIS1412に基づく方法で測定した。熱融着部分の剥離によるロス率は、熱融着部分の剥離によるロス分を全生産量で割った数字に100を乗じて求めた。製造に要する時間は相対的に表した。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1から明らかなように、アルミ蒸着テープを螺旋状に巻いた比較例1は熱伝導率が高く、断熱性に劣り熱効率が悪かった。端部を熱融着した比較例2は熱融着部分の剥離が生じ、また、生産に要する時間も長かった。これに対し、本発明の複合管は、断熱性が高く、熱融着部分が剥離することもなく、短い時間で製造することができた。
【0034】
【発明の効果】
本発明の複合管は、断熱性が高く、長手方向に継ぎ目がないので製造や施工の際に熱融着部分が裂ける心配がない。本発明の複合管は、特に、給水・給湯管、暖房管として好適である。
【0035】
また、本発明の複合管において、所定の断熱性能を満たすのに必要最低限の発泡体が均一な厚みで設けられており、余分な発泡体を使用せず、コストを削減することができる。また、余分な発泡体を使用しないことから、複合管をさや管に挿通する場合に、曲げやすく、さや管へ非常に通しやすいという優れた作用効果も奏する。
【0036】
特に、樹脂発泡体の発泡倍率を2〜40倍とした本発明の複合管は、断熱性に優れ、樹脂発泡体表面の耐傷性が高い。また、樹脂発泡体の肉厚を1〜15mmとした本発明の複合管は、断熱性および複合管の可とう性に優れている。
【0037】
また、樹脂発泡体の材料としてポリエチレン系樹脂を用いた本発明の複合管は、安価であり、かつ高い可とう性および断熱性を具備する。樹脂発泡体の周囲に未発泡樹脂からなるシース層を被覆した本発明の複合管は、高い耐傷性を具備する。管の材料として架橋ポリエチレン系樹脂を用いた本発明の複合管は、耐熱性および可とう性を具備する。管の材料として銅を用いた本発明の複合管は、耐熱性および管内を流れる流体に対する耐圧性を具備する。発泡剤として炭酸ガスを用いた本発明の複合管は、安価であり、樹脂発泡体の色が白く、発泡倍率が上がりやすいという特徴を有する。
【0038】
また、本発明の複合管の製造方法は、樹脂管に樹脂発泡体を押出発泡法にて連続的に被覆する方法なので生産性が高く、複合管表面に熱融着の継ぎ目がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の複合管の好ましい一実施態様を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の複合管の製造方法の好ましい一実施態様を示す側面図である。
【図3】図3は、本発明の複合管の製造方法の別の好ましい一実施態様を示す側面図である。
【図4】図4は、図2におけるクロスヘッド22の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 複合管
11 管
12 樹脂発泡体
2 押出機
21 管
22 クロスヘッド
41 ダイ
【発明の属する技術分野】
本発明は、周囲に樹脂発泡体を被覆することによって複数の管を所定間隔で纏めた、樹脂発泡体の外周に継ぎ目のない複合管およびその製造方法に関する。詳しくは、給水給湯管、暖房管等として好適な、断熱性、施工性および生産性に優れた複合管に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の管を所定間隔で位置させ、断熱被覆層で覆った複合管がある。このような複合管は、例えば2本の管の一方に低温流体を流し、もう一方に高温流体を流すことで流体の温度を調節することができるので、例えば一般の戸建て住宅やアパートにおける給水給湯管や床暖房管として好適に利用されている。
【0003】
この従来の複合管を製造する方法としては、例えば特開昭59−230721号や特開平4−267126号に示されるように、シート状発泡体を短冊状に切断し、短冊状発泡体の中央部に2本の管を置いて管に短冊状発泡体を巻き付け、発泡体の長手方向の端部を熱融着して管を纏める方法や、実開平4−95198号に示されるように、アルミ蒸着テープを螺旋状に巻いて2本の管を纏める方法等がある。
【0004】
しかし、端部を熱融着する方法で製造された複合管は、製造時や使用時に熱融着した接合部が剥離するという問題や、シート状の発泡体を作ってから短冊状に加工し、銅管を挿通するため製造に時間と手間がかかるという問題があった。一方、アルミ蒸着テープで巻いたものは前記のような熱融着部が剥離するという問題はないものの、テープ自体に断熱性がほとんどないため外部への熱拡散が起こり熱効率が悪いという問題があった。
【0005】
また、複数本が並列された合成樹脂管の外周面を発泡合成樹脂で覆った複合管が特開平8−200557号に記載されている。しかし、この複合管は、外周面に覆った合成樹脂の断面外形が、断面が円形の管に対し多角形である。そのため外観の意匠性などは有するものの断熱性能上余分な発泡体部分を必要としていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解消するため、熱融着の継ぎ目がなく、断熱性が高く、かつ生産性が高い複合管およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、樹脂発泡体を少なくとも2本の管に対して同時に連続的に押出被覆することにより、長手方向に全く断熱材の継ぎ目がなくかつ断熱性が高い複合管を、高い生産効率で製造することができることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされるに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)樹脂発泡体中に少なくとも2本の管を所定間隔で保持してなる複合管であって、前記の少なくとも2本の管の外周が均一な厚みの前記樹脂発泡体で覆われており、かつ管外周に継ぎ目のないことを特徴とする複合管、
(2)前記樹脂発泡体の発泡倍率が2〜40倍であることを特徴とする(1)項に記載の複合管、
(3)前記樹脂発泡体の肉厚が1〜15mmであることを特徴とする(1)又は(2)項に記載の複合管、
【0009】
(4)前記樹脂発泡体がポリオレフィン系樹脂の発泡体であることを特徴とする(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の複合管、
(5)前記樹脂発泡体の周囲に未発泡樹脂からなるシース層を被覆してなる(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の複合管、
(6)前記管が架橋ポリエチレン系樹脂からなることを特徴とする(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の複合管、
(7)前記管が銅からなることを特徴とする(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の複合管、
【0010】
(8)前記樹脂発泡体を発泡させるための発泡剤が炭酸ガスであることを特徴とする(1)〜(7)項のいずれか1項に記載の複合管、および
(9)押出機のクロスヘッドに、発泡性樹脂及び発泡性樹脂とは垂直な方向から少なくとも2本の管を供給し、クロスヘッドのダイから発泡性樹脂を押し出し、発泡させると同時に前記の少なくとも2本の管に被覆させることを特徴とする(1)〜(8)項のいずれか1項に記載の複合管の製造方法
を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、管を形成する材料としては、銅、ステンレス等の金属や、ポリエチレン、ポリブテン、ポリプロピレンやこれらを架橋したもの等の樹脂が好ましく使用される。特に、金属管の場合は銅からなるものが好ましく、樹脂管の場合は架橋ポリエチレン系樹脂からなるものが好ましい。架橋ポリエチレン系樹脂としては、架橋ポリエチレン樹脂単体の他、架橋ポリエチレン樹脂と他のポリオレフィン系樹脂との混合物を用いることができる。好ましいポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。
【0012】
被覆層となる樹脂発泡体の材料としては、発泡成形体の素材として従来から使用されているものであれば使用可能であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレンプロピレンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルおよびこれらの樹脂の混合物等が好適に用いられる。特に、ポリオレフィン系樹脂の発泡体が好ましく、ポリオレフィン系樹脂は前記に挙げたものが好ましい。
【0013】
発泡剤としては、炭酸ガス、窒素ガスや熱分解型発泡剤が好適に用いられる。特に、炭酸ガスが好ましい。熱分解型発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等の熱分解型無機発泡剤、N,N’−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ化合物、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物等の熱分解型有機発泡剤等が挙げられる。
【0014】
樹脂管の架橋方法としては、常法の架橋方法でよく、例えばシラン架橋等を用いることができる。シラン架橋を行う際のシラン化合物としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなどを挙げることができる。シラン化合物の樹脂への配合量は、樹脂100質量部に対し、0.1〜50質量部であることが好ましく、特に0.5〜10質量部であることが好ましい。
【0015】
樹脂管および被覆層を形成するポリオレフィン系樹脂には、更に必要に応じて、熱安定剤、加工助剤、滑剤、衝撃改質剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料等が適宜添加されてもよい。
【0016】
本発明においては、少なくとも2本の管を樹脂発泡体にて纏めて被覆する。この際、熱効率を考慮して、管と管の間には所定の間隔が設けられる。好ましくは3〜20mm、より好ましくは5〜15mmの間隔が設けられる。
管に樹脂発泡体を被覆する方法としては、押出機内であらかじめ樹脂と発泡剤を十分混合し、押出機の先端に設けられたクロスヘッドのダイから樹脂を押し出すと同時に発泡させる、いわゆる押出発泡法で樹脂発泡体を被覆する方法が好ましい。すなわち、押出機の先端に設けられたクロスヘッドに、あらかじめ発泡剤と混合した樹脂(以下、発泡性樹脂という)および2本の管を供給し、発泡性樹脂をダイから押し出すとともに発泡させ、同時に2本の管に樹脂発泡体を被覆させる方法である。この方法によれば、発泡体を製造すると同時に複合管も製造できるので生産性がよく、2本の樹脂管をまとめて被覆するので長手方向に継ぎ目のない樹脂発泡体が得られる。なお、シート状の発泡体を短冊状に切断してからパイプ状に巻く必要がないので、パイプカバーに比べて生産効率が高い。また、発泡樹脂層を被覆しているので、アルミ蒸着テープを螺旋状に巻いたものと比べて断熱性が高く、実使用時の熱効率が高い。
樹脂発泡体の周囲には、耐傷性を高めるために、未発泡樹脂からなるシース層を被覆することが好ましい。
【0017】
樹脂発泡体の発泡倍率は、高い断熱性および耐傷性を有する複合管を得るために、2〜40倍が好ましく、2〜20倍がさらに好ましく、2〜10倍が特に好ましい。発泡倍率が2倍より低いと断熱性能に劣り、発泡倍率が40倍を超えると表面の耐傷性に劣る。
【0018】
樹脂発泡体の肉厚は、高い断熱性および可とう性を有する複合管を得るために、1〜15mmが好ましく、1〜10mmがさらに好ましく、1〜5mmが特に好ましい。樹脂発泡体の肉厚が1mmより薄いと断熱性に劣り、肉厚が15mmより厚いと複合管が太くなりすぎて施工性が低下する。
また、本発明の複合管においては、樹脂発泡体が均一な厚みで前記の少なくとも2本の管を覆っている。すなわち、樹脂発泡体は管の外周を取り囲む円状に設けられる。したがって該複合管の断面は多角形とはならず、管が2本の場合はメガネ形状となる。従来の、断面が多角形の複合管の場合は、外観意匠性等を重要視する形状のために断熱性能上余分な発泡体を必要としており、無駄なコストがかかっていた。これに対し本発明の複合管は、所定の断熱性能を満たすのに必要最低限の発泡体で構成されており、コストを削減することができる。
また、複合管をさや管に挿通する場合、従来の、断面が多角形の複合管は、余分な発泡体が存在するために、複合管を曲げる角度によってはさや管へ通しにくくなるが、本発明の複合管は必要最低限の発泡体で構成されているため、曲げやすく、さや管へ非常に通しやすいという優れた作用効果も奏する。
【0019】
以下、押出発泡法による本発明の好ましい実施態様を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の複合管の好ましい一実施態様を示す断面図である。同図に示すように複合管1は、2本の管11の周りに樹脂発泡体12を被覆した形となっている。樹脂発泡体の周囲には、耐傷性を高めるために未発泡樹脂からなるシース層を被せても良い。
【0020】
図2は、本発明の複合管の製造方法の好ましい一実施態様を示す側面図である。ここでは、管が樹脂製の場合について説明する。図2において、まず材料となる樹脂を押出機26に供給する。押出機26は樹脂管を押し出すための押出機であり、先端に設けられたダイ262より樹脂管21を押し出す。押出機のシリンダーの温度は、130〜180℃が好ましく、140〜170℃がより好ましい。また、ダイの温度は、160〜200℃が好ましく、170〜190℃がより好ましい。樹脂管21を巻き取りコイル27とする(図2(a))。管を架橋する場合は、例えばシラン架橋性コンパウンドを押出機26から押し出し、巻き取ったコイル27を温浴25に浸し、架橋した樹脂管のコイル24を得る(図2(b))。この際、温浴の温度は、80〜110℃が好ましく、90〜100℃がより好ましい。架橋は、後の工程でコイルを伸ばすのに熱を加えずに手で直すことができる程度の硬さとなるように行う。
【0021】
上記説明において、コイル24が架橋樹脂製の場合の例を示したが、以下コイル24は架橋しない樹脂製であってもよいし、銅等の金属製であってもよい。金属管のコイルは、熱間押出し後、所定の寸法まで圧伸加工を繰り返しながら細径化、薄肉化して製造する。
コイル24を2本用意し、押出機2のクロスヘッド22に2本の管11を供給する。押出機2は樹脂発泡体を押し出すための押出機であり、押出機2の先端にはクロスヘッド22が付設されている。押出機のシリンダーの温度は、150〜190℃が好ましく、160〜180℃がより好ましい。発泡剤として化学発泡剤を用いる場合は押出機2のホッパーから樹脂とともに化学発泡剤を供給し、ガスを用いる場合はガス供給弁23からガスを供給する。押し出された管11を押出機2のクロスヘッド22に供給し、クロスヘッド22から発泡性樹脂を押し出すとともに発泡させ、樹脂発泡体12を2本の管に被覆して、複合管1を製造する(図2(c))。
【0022】
クロスヘッド22の拡大断面図を図4に示す。図4は図2におけるクロスヘッド22内部の流路を示す図であり、クロスヘッドは、ダイ41とニップル42とからなる。図4において、2本の管11は管用通路44を通ってクロスヘッドに入り、被覆層となる樹脂は被覆樹脂用通路43を通ってクロスヘッドに入る。被覆樹脂はクロスヘッド内で流れの向きを直角に変え、管の長手方向と同じ向きに流れる。発泡性樹脂は、ダイ41の出口から押し出されると同時に発泡し、同時に2本の樹脂管を被覆する。本発明ではダイ41の形状を管11の外形に合わせて余分な発泡性樹脂を管11に供給しないように調節する。こうして図1に示すような管が均一な厚みの発泡性樹脂で覆われた複合管を得ることができる。
【0023】
管として樹脂管を用いる場合は、図3に示す方法を用いても良い。図3は、本発明の複合管の製造方法の別の好ましい一実施態様を示す側面図である。図3において、まず材料となる樹脂を押出機31に供給する。押出機31は樹脂管用押出機であり、先端に設けられたヘッド312から樹脂管を2本押し出す。押出機のシリンダーの温度は、130〜180℃が好ましく、140〜170℃がより好ましい。また、ヘッドの温度は、150〜190℃が好ましく、160〜180℃がより好ましい。押し出された管は冷却水槽33にて管表面を冷却し、管の形状を固定する。その後、管に耐熱性が必要な場合等には、電子線架橋装置34にて、適宜処理を行う。こうして押し出された管11を押出機32のクロスヘッド322に供給し、クロスヘッド322から発泡性樹脂を押し出すとともに発泡させ、同時に樹脂発泡体12を2本の管に被覆して、複合管1を製造する。この方法によれば、樹脂管の製造と樹脂管への樹脂発泡体の被覆を1ラインで行うことができるので生産性が高い。
【0024】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
断熱被覆管の製造方法として、図2に示した方法を用いた。押出機26としてφ100mm単軸押出機を用い、押出機2としてφ65mmの単軸押出機を使用した。押出機26のシリンダー温度は140℃〜180℃に、ダイ262の温度は140℃に設定した。また、押出機2のシリンダー温度は120〜170℃に設定した。
【0025】
まず、直鎖低密度ポリエチレンとシランコンパウンドからなる樹脂管成形材料を調製し、この樹脂管成形材料を押出機26より管状に押し出し、内径6.5mm、外径10mmの樹脂管21を得た。この樹脂管21を巻き取ってコイル27とした。
次に、コイル27を温浴25に8時間浸し、樹脂をシラン架橋させ、架橋した樹脂管24を得た。温浴の温度は93℃に設定した。
【0026】
一方で、低密度ポリエチレン樹脂100質量部に対して、発泡核剤としてタルク1質量部を配合してあるポリオレフィン系樹脂組成物(低密度ポリエチレン:ジェイレクスLD F122(MFR=2.0、商品名、日本ポリオレフィン社製)、タルク:ミクロエースL−1(商品名、日本タルク社製))からなる発泡樹脂層成形材料を調製し、押出機2に供給した。押出機2の中間部に設けられた炭酸ガス供給弁23から発泡層の吐出量の1質量部に相当する炭酸ガスを供給した。
【0027】
そして、架橋された2本の樹脂管11および押出機2より押し出された被覆層成形材料の溶融混練物を、共にクロスヘッド22内に供給した。溶融混練物は、ダイから押し出されて発泡すると同時に2本の樹脂管11を被覆した。かくして、外径10mmの樹脂管11の外周面に発泡倍率5倍で厚み2mm均一の樹脂発泡体が被覆された複合管1を得た。
【0028】
(実施例2)
実施例1と同様にして管に樹脂発泡体を被覆した後、発泡体の周りに未発泡低密度ポリエチレンからなる厚み0.5mmのシース層を被覆して複合管を得た。
【0029】
(比較例1)
樹脂管は実施例1と同じものを使用し、樹脂管に発泡体を被覆せずにアルミ蒸着テープを螺旋状に巻くことで2本の樹脂管を1つにまとめた複合管を得た。
【0030】
(比較例2)
樹脂管には実施例1と同じものを使用し、前記樹脂管の周りに厚み1cm、発泡倍率40倍の短冊状の架橋ポリエチレンシートを樹脂管に巻き付け、発泡体の端部を熱融着することで被覆して複合管を得た。
【0031】
実施例1〜2、比較例1〜2で得られた複合管について、断熱被覆管の発泡倍率、熱伝導率、製造時の熱融着部分の剥離によるロス率、製造に要する時間を測定した。発泡倍率は、空気比重式電子天秤により発泡体の密度を測定し、元の樹脂の密度を発泡体の密度で割ることにより算出した。熱伝導率はJIS1412に基づく方法で測定した。熱融着部分の剥離によるロス率は、熱融着部分の剥離によるロス分を全生産量で割った数字に100を乗じて求めた。製造に要する時間は相対的に表した。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1から明らかなように、アルミ蒸着テープを螺旋状に巻いた比較例1は熱伝導率が高く、断熱性に劣り熱効率が悪かった。端部を熱融着した比較例2は熱融着部分の剥離が生じ、また、生産に要する時間も長かった。これに対し、本発明の複合管は、断熱性が高く、熱融着部分が剥離することもなく、短い時間で製造することができた。
【0034】
【発明の効果】
本発明の複合管は、断熱性が高く、長手方向に継ぎ目がないので製造や施工の際に熱融着部分が裂ける心配がない。本発明の複合管は、特に、給水・給湯管、暖房管として好適である。
【0035】
また、本発明の複合管において、所定の断熱性能を満たすのに必要最低限の発泡体が均一な厚みで設けられており、余分な発泡体を使用せず、コストを削減することができる。また、余分な発泡体を使用しないことから、複合管をさや管に挿通する場合に、曲げやすく、さや管へ非常に通しやすいという優れた作用効果も奏する。
【0036】
特に、樹脂発泡体の発泡倍率を2〜40倍とした本発明の複合管は、断熱性に優れ、樹脂発泡体表面の耐傷性が高い。また、樹脂発泡体の肉厚を1〜15mmとした本発明の複合管は、断熱性および複合管の可とう性に優れている。
【0037】
また、樹脂発泡体の材料としてポリエチレン系樹脂を用いた本発明の複合管は、安価であり、かつ高い可とう性および断熱性を具備する。樹脂発泡体の周囲に未発泡樹脂からなるシース層を被覆した本発明の複合管は、高い耐傷性を具備する。管の材料として架橋ポリエチレン系樹脂を用いた本発明の複合管は、耐熱性および可とう性を具備する。管の材料として銅を用いた本発明の複合管は、耐熱性および管内を流れる流体に対する耐圧性を具備する。発泡剤として炭酸ガスを用いた本発明の複合管は、安価であり、樹脂発泡体の色が白く、発泡倍率が上がりやすいという特徴を有する。
【0038】
また、本発明の複合管の製造方法は、樹脂管に樹脂発泡体を押出発泡法にて連続的に被覆する方法なので生産性が高く、複合管表面に熱融着の継ぎ目がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の複合管の好ましい一実施態様を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の複合管の製造方法の好ましい一実施態様を示す側面図である。
【図3】図3は、本発明の複合管の製造方法の別の好ましい一実施態様を示す側面図である。
【図4】図4は、図2におけるクロスヘッド22の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 複合管
11 管
12 樹脂発泡体
2 押出機
21 管
22 クロスヘッド
41 ダイ
Claims (9)
- 樹脂発泡体中に少なくとも2本の管を所定間隔で保持してなる複合管であって、前記の少なくとも2本の管の外周が均一な厚みの前記樹脂発泡体で覆われており、かつ管外周に継ぎ目のないことを特徴とする複合管。
- 前記樹脂発泡体の発泡倍率が2〜40倍であることを特徴とする請求項1に記載の複合管。
- 前記樹脂発泡体の肉厚が1〜15mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合管。
- 前記樹脂発泡体がポリオレフィン系樹脂の発泡体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合管。
- 前記樹脂発泡体の周囲に未発泡樹脂からなるシース層を被覆してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合管。
- 前記管が架橋ポリエチレン系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合管。
- 前記管が銅からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合管。
- 前記樹脂発泡体を発泡させるための発泡剤が炭酸ガスであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合管。
- 押出機のクロスヘッドに、発泡性樹脂及び発泡性樹脂とは垂直な方向から少なくとも2本の管を供給し、クロスヘッドのダイから発泡性樹脂を押し出し、発泡させると同時に前記の少なくとも2本の管に被覆させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合管の製造方法。
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2002
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