JP5448903B2 - 光パルス試験装置 - Google Patents
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ここで、加算平均処理数を増やすためには、必然的に測定を繰り返し行う必要がある。一般に、測定を繰り返し行う際には、試験光パルスの繰り返し周期をFUTの長さに応じて設定しなければならない。これは一つの試験光パルスによるFUT遠端からの後方散乱光が測定器に戻る前のタイミングで二つ目の試験光パルスがFUTに入射された際には、一つ目の試験光パルスと二つ目の試験光パルスによる後方散乱光が重なり合ってしまい、正しい測定結果が得られなくなるからである。このように加算平均処理数を増やしてダイナミックレンジを向上させようとすると、ある所定の周期で繰り返し測定する必要があるため、測定時間が長延化するという課題がある。
しかしながら、加算平均処理数を増やすために測定を繰り返し行う必要があるが、加算平均処理数を増やしてダイナミックレンジを向上させる場合、それだけ測定に要する時間が増えるという問題点がある。
(1)被試験光ファイバからの反射光及び後方散乱光の反射率分布を測定する光パルス試験方法において、光源からの出力光を2分岐して局発光と試験光とし、前記試験光の周波数を所定の時間間隔毎に所定間隔だけ変化させ、光増幅させ、光パルス化し、光サーキュレータを通過し、被試験光ファイバに繰り返し入射し、前記光サーキュレータから出力される被試験光ファイバの各地点で反射または散乱により発生した後方散乱光と前記局発光を結合し光受信して電流信号を取得し、前記電流信号を複数の周波数成分毎に分離し、前記試験光の複数の周波数成分による被試験光ファイバからの反射光及び後方散乱光それぞれの反射率分布を求める態様とする。
(2)コヒーレント光を発する光源と、前記光源からの出力光を2分岐して局発光と試験光とを生成する分岐手段と、前記試験光の周波数を所定の時間間隔毎に所定間隔だけ変化させる光周波数制御手段と、前記光周波数制御手段の出力を光増幅し光パルス化して光パルス信号を生成する光パルス化手段と、前記光パルス信号を被試験光ファイバに入射し、前記被試験光ファイバの各地点で反射または散乱により発生した後方散乱光を取り込み出力する光サーキュレータと、前記後方散乱光と前記局発光を光結合する光結合手段と、前記光結合された光信号を光受信して電流信号を取得する光受信手段と、前記電流信号を複数の周波数成分毎に分離する周波数分離手段と、前記試験光の複数の周波数成分による被試験光ファイバからの反射光及び後方散乱光それぞれの反射率分布を求める演算処理手段とを具備する態様とする。
(5)(2)の構成において、前記周波数分離手段は、前記光受信手段からの出力電流を複数の系統に分配する信号分配手段と、分配された各系統の電流を周波数成分毎に分離するアナログ回路とを備える態様とする。
(7)(2)の構成において、前記光周波数制御手段は、搬送波抑圧光単側波帯変調器である態様とする。
(8)(2)の構成において、前記光周波数制御手段は、振幅変調器である態様とする。
(10)(2)の構成において、前記局発光の光路上に設置され、前記局発光の光周波数を一定幅シフトする光周波数シフト手段を備える態様とする。
(第1の実施形態)
図1は本発明の光パルス測定方法を採用する第1の実施形態の光パルス試験装置を示すブロック構成図である。同図に示す光パルス試験装置は、試験光の各周波数成分による被試験光ファイバからの反射光および後方散乱光の反射率分布を求めることができるものである。
光パルス化処理器16で光パルス化された試験光は、光サーキュレータ17を通過し、FUT18に入射される。FUT18では、試験光パルスによる後方散乱光が生じる。この後方散乱光は光サーキュレータ17に入射され、光パルス化処理器16の方向には戻らず、光受信器側のみに向かう。光サーキュレータ17から出力された後方散乱光は、上記局発光と結合素子19で結合される。この結合素子19からの出力光は、バランス型光受信器20で光受信されて電流信号となる。バランス型光受信器20から出力される電流信号は、ミキサー21で第2の正弦波発生器22からの電流信号とミキシングされた後、遮断周波数が後段の数値化処理器24のサンプリングレート程度に設定されているLPF(低域ろ過フィルタ)23によって高周波成分が遮断される。LPF23から出力される電流信号は数値化処理器24で数値化されてから演算処理装置25に入力される。
次に、上述したように構成される本実施形態の光パルス試験装置の動作について説明する。
(条件1)光源11からの出力光の線幅は、光周波数制御器13により所定周波数を持続させる時間の逆数よりも小さいこと。
(条件2)光周波数制御器13による周波数シフト間隔は、周波数を持続させる所定時間間隔の逆数の自然数倍であること。
(条件3)光周波数制御器13による所定周波数シフト総量は、数値化処理器24のサンプリングレートの1/2以下であること。
(条件4)演算処理によるフーリエ変換の周波数分解能の自然数倍は、光周波数制御器13による周波数シフト間隔であること。
周波数間隔Δνは周波数持続時間Δtに対して、以下の関係式を満足させる必要がある。
図3に帯域100[kHz] 、中心周波数がそれぞれ100[kHz]と200[kHz]、300[kHz]の信号のパワースペクトルを示す。式を満たしている場合には、光周波数変更手段でシフトさせた周波数は、SINC関数の2乗の形をとるパワースペクトルのゼロ点位置にそれぞれ配置されるため、それぞれのパワースペクトル成分が直交する。
条件3は演算処理装置25で光周波数の分離を実行するためには、ミキサー21でミキシングする第2の正弦波発生器22の出力信号の周波数を調整した後、数値化処理器24に入力される複数の周波数成分を持った電流信号の最小周波数と最大周波数が以下の関係式を満たすようにする必要がある。
条件4は、光周波数制御器13により複数の周波数成分をもった信号電流を周波数成分毎に分離するには、演算処理装置25において以下に説明する処理を施す必要があることを意味している。
数値化処理器24により離散的な値となった信号は、後述する離散フーリエ変換により、周波数毎の振幅値を算出することができる。その離散フーリエ変換を実行する際の窓関数の窓長をLとすると、得られる周波数スペクトルの周波数分解能はfs/Lとなる。周波数シフト間隔と周波数分解能を等しくするためには、以下の条件式が必要となる。
まず、局発光の電界分布を次式で表す。
この時の電流信号は、次式で表される。
これに対し、条件2を満たした上で、周波数制御器13で周波数を所定の時間間隔毎に所定の周波数幅だけシフトさせた試験光を音響光学素子でパルス化し、FUT18に入射した場合には、その時刻を起点(t=0)として、t秒後に入射端に戻ってくる後方散乱光の電界分布は、次式で表される。
ここで、n=fstはサンプリング指標であり、n=0,1,2,...,N-1の範囲の整数値をとる。また、Nはサンプリング総数であり、N=fsTとなる。ここで、Tは測定の繰り返し周期である。
遅延時間については数値演算処理を用いて、(i-1)Δtだけそれぞれ時間をずらす操作を行うことで補正することができる。これよりL/2個の反射率および時間について等価なOTDR波形を一回の測定で得ることが出来る。
以上の演算処理で得られたL/2個のOTDR波形をすべて足し合わせ、L/2で割ることにより加算平均処理を行う。
図4(b)に以上の処理を施したOTDR波形の模式図を示す。
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る光パルス測定装置の構成を示すブロック構成図である。図5において、図1と同一部分には同一符号を付して示し、ここでは異なる部分について説明する。図5において、バランス型光受信器20で得られた電流信号は信号分配器26でc系統のミキサー211〜21cに分配され、それぞれ第2の正弦波発生器221〜22cからの正弦波電流信号とミキシングされた後、LPF231〜23cで高周波成分が除去されて数値化処理器24に送られる。数値化処理器24では、全ての系統の電流信号を数値化し、演算処理装置25に送る。
バランス型光受信器20に光が受信されるまでの構成は第1の実施形態と同様の処理を施し、バランス型光受信器20から出力される信号は、信号分配器26によってc系統に分配される。ここで、cはc=1,2,3,…の値を持つ自然数である。分配後、各系統の信号電流はそれぞれミキサー211〜21cでνA +ν0 +Δν,νA +ν0 +2Δν,…,νA +ν0 +cΔνの周波数に設定された第2の正弦波発生器221〜22cからの電流とミキシングされる。各ミキサー211〜21cからの出力電流はパルス幅の逆数程度の遮断周波数に設定されたLPF221〜22cによって高周波成分が遮断される。ここで高周波成分を除去された各信号電流は各々数値化処理器24に入力され、数値化される。数値化されたc個のそれぞれの電流値は演算処理装置25によって2乗し、繰り返し測定を行い、加算平均処理を行う。これよりc個のOTDR波形を得ることができる。最後に、得られたc個のOTDR波形について遅延時間を補正し、加算平均処理させ、得られた数値列を対数表示し、最終的に高いダイナミックレンジを有したOTDR波形を得ることができる。
図6は、本発明に係る光パルス試験装置の第3の実施形態の構成を示すブロック構成図である。本実施形態は、第1の実施形態で実行していた、バランス型光受信器20で得られた電流信号を第2の正弦波発生器22からの電流とミキサー21でミキシングする処理に代えて、局発光側に正弦波発生器22と同じ周波数シフト量を備えた光周波数シフター27を用いることを要旨とする。本実施形態の長所は以下説明する処理を光の信号の段階で処理するので、第1の実施形態の電気回路構成が少なくて済む。短所は光信号の装置構成部品が多くなることである。
試験光についての処理は第1の実施形態と同様に行い、局発光の線路上には第1の実施形態の第2の正弦波発生器22と同じ|νA −ν0 |の周波数シフト量を備えた光周波数シフター27を配置する。具体的には、光周波数シフター27は音響光学素子を直流駆動した音響光学シフターである。試験光パルスによるFUT18からの後方散乱光は光サーキュレータ17に入力され、光パルス化処理器16の方向には戻らず、光受信器側のみに向かう。光サーキュレータ17から出力された後方散乱光は、局発光と結合素子で結合される。この結合素子からの出力光は、バランス型光受信器20で受信される。バランス型光受信器20からの出力電流は、遮断周波数が後段の数値化処理器24のサンプリングレート程度に設定されているLPF22によって高周波成分が遮断される。LPF22からの出力電流は数値化処理器24で数値化されてから、演算処理装置25に入力される。
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
Claims (10)
- 被試験光ファイバからの反射光及び後方散乱光の反射率分布を測定する光パルス試験装置において、
コヒーレント光を発する光源と、
前記光源からの出力光を2分岐して局発光と試験光とを生成する分岐手段と、
前記試験光の周波数を所定の時間間隔毎に、最大周波数と最小周波数の差が数値化処理器のサンプリングレートの1/2以内になる周波数間隔で変化させる光周波数制御手段と、
前記光周波数制御手段の出力を光増幅し光パルス化して光パルス信号を生成する光パルス化手段と、
前記光パルス信号を被試験光ファイバに入射し、前記被試験光ファイバの各地点で反射または散乱により発生した後方散乱光を取り込み出力する光サーキュレータと、
前記後方散乱光と前記局発光を光結合する光結合手段と、
前記光結合された光信号を光受信して電流信号を取得する光受信手段と、
前記電流信号を数値化し、数値演算処理によって複数の周波数成分毎に分離する周波数分離手段と、
前記試験光の複数の周波数成分による被試験光ファイバからの反射光及び後方散乱光それぞれの反射率分布を求める演算処理手段と
を具備することを特徴とする光パルス試験装置。 - 前記光周波数制御手段は、演算処理によるフーリエ変換の周波数分解能の自然数倍を、前記周波数間隔とすることを特徴とする請求項1記載の光パルス試験装置。
- 前記周波数分離手段は、
信号電流を発生する局発信号源と、
前記光受信手段からの出力電流を前記局発信号源からの電流とミキシングするミキサーと、
前記ミキサーの出力電流を低域ろ過するフィルタと、
前記フィルタからの出力電流を数値化する数値化手段とを備え、
前記演算処理手段は、前記数値化手段から出力される電流値に対して演算処理を行い、周波数分離を行うことを特徴とする請求項1に記載の光パルス試験装置。 - 前記演算処理手段は、前記数値化手段で数値化された電流値をi(n)とするとき、i(n)をフーリエ変換したI(k,m)を算出することにより、電流値の周波数分離を行うことを特徴とする請求項3に記載の光パルス試験装置。
- 前記周波数分離手段は、
前記光受信手段からの出力電流を複数の系統に分配する信号分配手段と、
分配された各系統の電流を周波数成分毎に分離するアナログ回路と
を備えることを特徴とする請求項1記載の光パルス試験装置。 - 前記光周波数制御手段は、位相変調器であることを特徴とする請求項1に記載の光パルス試験装置。
- 前記光周波数制御手段は、搬送波抑圧光単側波帯変調器であることを特徴とする請求項1に記載の光パルス試験装置。
- 前記光周波数制御手段は、振幅変調器であることを特徴とする請求項1に記載の光パルス試験装置。
- 前記光パルス化手段は、音響光学素子であることを特徴とした請求項1に記載の光パルス試験装置。
- 前記局発光の光路上に設置され、前記局発光の光周波数を一定幅シフトする光周波数シフト手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の光パルス試験装置。
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