JP5447925B2 - 光硬化物複合体及び該光硬化物複合体を形成するための光硬化性組成物並びに光硬化物複合体の製造方法 - Google Patents

光硬化物複合体及び該光硬化物複合体を形成するための光硬化性組成物並びに光硬化物複合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、基板と、薄膜部及び該薄膜部から突出した突出部からなる光硬化物とを具備する光硬化物複合体及び該光硬化物複合体を形成するための光硬化性組成物並びに光硬化物複合体の製造方法に関するものであり、特に、半導体集積回路、光学素子等に適したパターンを有する光硬化物複合体に関する。
半導体集積回路の高密度化、高速化に伴い、集積回路のパターン線幅が縮小されているため微細なパターンが求められている。微細なパターンが基板上に形成された複合体の製造方法として、光ナノインプリントリソグラフィが注目されている。光ナノインプリントリソグラフィでは、微細な凹凸パターンを有するモールドを基板上等に設けられた光硬化性組成物からなる被転写材に押圧することによって被転写材をモールドの凹凸パターンに充填したのち、被転写材を露光して硬化し、その後モールドを被転写材から離型することにより、モールドの凹凸パターンが転写されたパターンを表面に有する光硬化物と基板とを具備する光硬化物複合体を製造する(例えば特許文献1等参照)。
このような光ナノインプリントリソグラフィでパターンを表面に有する光硬化物を形成すると、モールドの凹凸パターンの凸部と基板との間に形成される薄膜部、すなわちいわゆる残膜が生じる。そして、この残膜の厚さを制御するためにはモールドの押圧力や押圧時間を厳密に規定する必要があり、薄膜部の厚さを所望の値に制御することは困難なため、光硬化物を所望のパターン形状とすることは困難であった。また、基板の表面は通常完全には平坦ではない場合が多く、その基板上に形成されるパターンを有する光硬化物の薄膜部の厚さが均一になるように制御することは困難であった。なお、このような問題は、ナノインプリントリソグラフィにより形成されたものに限定されず、ナノインプリントリソグラフィよりもパターンサイズの大きい場合等においても存在する。
米国特許第6334960号明細書
本発明は、このような事情に鑑み、薄膜部の厚さが制御され所望のパターン形状を有する光硬化物複合体及び該光硬化物複合体を形成するための光硬化性組成物並びに光硬化物複合体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために種々検討した結果、光硬化物の薄膜部に厚さ方向に重ならない粒子を含有させて、該粒子によって薄膜部の厚さを規定することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明に到達した。
本発明に係る第1の光硬化物複合体は、基板と、前記基板上に形成された薄膜部と前記薄膜部から突出した突出部とを有する光硬化物と、を含み、前記薄膜部は、前記薄膜部の厚さ方向には重ならない粒子を含有し、前記薄膜部の厚さは前記粒子によって規定されていることを特徴とする。
上記の光硬化物複合体において、前記薄膜部の厚さが、20nm〜10μmであることが好ましい。
本発明に係る第2の光硬化物複合体は、基板と、前記基板上に形成された薄膜部と前記薄膜部から突出した突出部とを有する光硬化物と、を含み、前記薄膜部は、粒子を含有し、前記粒子の粒径が100nm未満の場合の前記薄膜部の厚さは前記粒径の−25%乃至+25%であり、前記粒子の粒径が100nm以上500nm未満の場合の前記薄膜部の厚さは前記粒径の−20%乃至+20%であり、前記粒子の粒径が500nm以上1000nm未満の場合の前記薄膜部の厚さは前記粒径の−15%乃至+15%であり、前記粒子の粒径が1000nm以上の場合の前記薄膜部の厚さは前記の粒径の−10%乃至+10%であることを特徴とする。
上記の光硬化物複合体において、前記粒子と前記光硬化物との屈折率の差が0.03以下であることが好ましい。
上記の光硬化物複合体において、前記粒子の粒径は500nm以上であり、前記粒子と前記光硬化物との屈折率の差が0.03以下であることが好ましい。
本発明に係る光硬化物複合体の製造方法は、粒子を含有する光硬化性組成物を基板と凹凸パターンを有するモールドとの間に挟み、前記光硬化性組成物に光を照射することにより硬化させて、前記基板と前記モールドの前記凹凸パターンの凸部との間に薄膜部を有する光硬化物を形成する第1の工程と、前記光硬化物を前記モールドから離型する第2の工程と、を含み、前記第1の工程において、前記粒子の粒径が100nm未満の場合の前記薄膜部の厚さは前記粒径の−25%乃至+25%であり、前記粒子の粒径が100nm以上500nm未満の場合の前記薄膜部の厚さは前記粒径の−20%乃至+20%であり、前記粒子の粒径が500nm以上1000nm未満の場合の前記薄膜部の厚さは前記粒径の−15%乃至+15%であり、前記粒子の粒径が1000nm以上の場合の前記薄膜部の厚さは前記の粒径の−10%乃至+10%であることを特徴とする。
上記の光硬化物複合体の製造方法において、前記光硬化性組成物の前記粒子の含有量は、前記光硬化性組成物の光硬化性成分全体積に対して、0.01%乃至30%であることが好ましい。
上記の光硬化物複合体の製造方法において、前記光硬化性組成物の25℃における粘度は、10Pa・sであることが好ましい。
上記の光硬化物複合体の製造方法において、前記光硬化性組成物の25℃における粘度は、50mPa・sであることが好ましい。
上記の光硬化物複合体の製造方法において、前記第1の工程は、前記基板と前記モールドとの間に0.01MPa乃至100MPaの圧力を加えることが好ましい。
本発明によれば、薄膜部に厚さ方向に重ならない粒子を含有させて、該粒子によって薄膜部の厚さを規定することにより、薄膜部の厚さが制御され所望のパターン形状を有する光硬化物複合体を提供することができる。また、本発明の光硬化物複合体の製造方法によれば、押圧力や押圧時間に依らず薄膜部の厚さを粒子により規定でき、容易に残膜の厚さを制御することができるため、薄膜部の厚さが制御され所望のパターン形状を有する光硬化物複合体を容易に得ることができる。
本発明の光硬化物複合体の一例を示す断面図である。 本発明の光硬化物複合体の製造方法の概略を示す断面図である。 本発明の光硬化物複合体の製造方法の概略を示す断面図である。 本発明の光硬化物複合体の製造方法の概略を示す拡大断面図である。 従来技術にかかる光硬化物複合体の製造方法の概略を示す拡大断面図である。
本発明の光硬化物複合体は、一例を示す断面図である図1に示すように、基板1と、該基板1上に形成され薄膜部2及び該薄膜部2から突出した突出部3からなるパターン形状の光硬化物7とを具備する。そして、薄膜部2は、該薄膜部2の厚さ方向に重ならない複数の粒子6を含有し、薄膜部2の厚さは該粒子6の粒径hによって規定されている。
このように、光硬化物7の薄膜部2に粒子6を含有させることにより、詳しくは後述するが、該粒子6により基板1と薄膜部2の厚さ方向の表面との間に粒子6の粒径と同程度の一定の間隔が設けられるため、薄膜部2の厚さが粒子6によって規定される。したがって、薄膜部2に含有させる粒子6の粒径を調整することにより、薄膜部2の厚さを所望の値、例えば、20nm〜10μm程度にすることができるので、薄膜部2の厚さが制御され所望のパターン形状を有する光硬化物7と基板1とを具備する光硬化物複合体となる。
基板1は、光硬化物7を設けることができるものであればよく、例えば、通常のインプリントリソグラフィによる光硬化物複合体の製造方法において用いられている基板でよい。具体例としては、シリコンウェハー等の半導体基板、GaAs、InAs、GaN等の化合物半導体、ガラス、石英、サファイア等の透明無機基板、セラミック基板、ポリカーボネート、PET(ポリエチレンテレフタラート)、トリアセチルセルロース等の合成樹脂基板、金属又は金属酸化物等が挙げられる。そして、基板1の表面は、粒子6や光硬化物7との接着性の向上や、光硬化物7の光硬化前の状態である被転写材層8の塗布状態改良等のために、前処理が施されていてもよい。前処理の具体例としては、湿式の表面洗浄やプラズマ、オゾン洗浄等による表面改質、シランカップリング剤のような接着性向上剤による処理等が挙げられる。詳しくは後述するが、この基板1が完全に平坦でなくても、本発明の光硬化物複合体は、光硬化物7の薄膜部2の厚さが均一に制御されたものとなる。
光硬化物7は、液状又は流動性のある光硬化性組成物を露光して光硬化性成分を硬化させたものである。光硬化性組成物としては、桂皮酸エステル系樹脂等の光二量性基を有する光二量化型、環化ゴム系レジスト等の光架橋剤を含有する光架橋型、エン/チオール型、ラジカル、カチオン等の光重合型等があるが、汎用性等の面から光重合型が最も好ましい。
光重合型の光硬化性組成物は、光重合性基を有する化合物及び光重合開始剤を含有する。光重合性基を有する化合物とは、ラジカル重合性基又はカチオン重合性基を有する化合物をいう。ラジカル重合性基の例としては、アクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。カチオン重合性基の例としては、エポキシ基、ビニロキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。光重合性基を有する化合物は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、ラジカル重合性基を有する化合物とカチオン重合性基を有する化合物とを併用してもよい。
光重合開始剤とは、光の照射により、上記光重合性基を有する化合物の重合を開始させることができるラジカル、カチオン等の活性種を発生する化合物をいう。光重合開始剤は、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤とに分類できる。ラジカル重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、α−アミノアルキルフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類、チタノセン類及びオキシムエステル類、トリハロメチルトリアジン類、その他トリハロメチル基を有する化合物等が挙げられる。カチオン重合開始剤の例としては、芳香族スルホニウム塩及び芳香族ヨードニウム塩等が挙げられる。重合開始剤は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤とを併用してもよい。さらに、光重合開始剤と共に増感剤を用いてもよい。
光硬化物7の薄膜部2が含有する粒子6は、球状またはそれに近い形状の微細な固体である。粒子6の材質に特に限定はなく、基板1と薄膜部2の厚さ方向の表面との間に一定間隔を保持できる程度の強度があるものであればよく、圧力によりある程度変形するものでもよい。例えば、インプリント法で製造する場合は、粒子6の弾性率は被転写材層8の弾性率の1.5倍以上、好ましくは10倍以上である。粒子6の材質としては、例えば、シリカ等の無機物、樹脂等の有機物、有機−無機ハイブリッド材料が挙げられる。粒子を光硬化性組成物に含有させることにより薄膜部2に粒子6を含有させる場合は、該光硬化性組成物に含有される光重合性基を有する化合物、光重合開始剤、有機溶剤等の成分に侵されないものであることが好ましい。粒子6には表面処理が施されていてもよい。また、粒子6をあらかじめ有機溶剤などの分散媒に分散させたものを光硬化性組成物に含有させてもよい。なお、この場合分散媒に均一に分散されていることが望ましく、分散剤や添加剤等が添加されていてもよい。
粒子6は薄膜部2の厚さを規定するために設けているので、粒子6の粒径hは、薄膜部2の厚さと同程度であることが好ましい。例えば粒子6の粒径hが100nm未満の場合、薄膜部2の厚さはhの±25%、hが100nm以上500nm未満の場合、薄膜部2の厚さはhの±20%、hが500nm以上1000nm未満の場合、薄膜部2の厚さはhの±15%、hが1000nm以上の場合、薄膜部2の厚さはhの±10%の範囲にそれぞれ規定されることが好ましい。
図1では、同一の粒子6を薄膜部2に複数含有するものを示したが、粒子6の粒径は同一でなくてもよく粒子6の粒径に分布があってもよいが、薄膜部2の厚さを均一に規定するためには、粒径は揃っていたほうがよい。なお、粒径が異なる粒子6を含有させた場合、薄膜部2の厚さ方向の粒径が相対的に大きい粒子6によって薄膜部2の厚さが規定されることになる。粒子6の平均粒径及び粒径分布は、例えば粒度分布計を用いて測定することができる。
本発明の光硬化物複合体を光学部品等として用いる場合には透過率の低下等を防ぐため、粒子6の屈折率は、光硬化物7との屈折率との差が0.03以下であることが好ましい。また、薄膜部2を後にドライエッチングにより除去する場合には均一にエッチングするため、粒子6のドライエッチングレートに対する光硬化物7のドライエッチングレートの比率が0.8〜1.2であることが望ましい。ここで粒子6のドライエッチングレートに対する光硬化物7のドライエッチングレートの比率とは、光硬化物7のドライエッチングレートの値を粒子6のドライエッチングレートの値で割った値をいう。さらに、光硬化物複合体を電気的特性が必要とされる層間絶縁膜等に用いる場合には、一定の電気的特性を得るため、粒子6は光硬化物7との比誘電率の差が0.5以下であることが望ましい。この場合、両者の比誘電率は同一の測定条件で測定する。
なお、図1では、突出部3にも粒子6を含有するものを示したが、薄膜部2のみに粒子6を含有していてもよい。
次に、上記光硬化物複合体の製造方法の一例である本発明の光硬化物複合体の製造方法について、図2を用いて説明する。なお、図2は、本発明の光硬化物複合体の製造方法の概略を示す断面図である。
本発明の光硬化物複合体の製造方法は、光インプリントリソグラフィにより、基板1上に薄膜部2と該薄膜部2から突出した突出部3からなりモールド4の凹凸パターンが転写されたパターンを表面に有する光硬化物を形成するものであり、粒子6を含有する光硬化性組成物を用いて形成した被転写材層8を基板1とモールド4とで挟みこんで、モールド4の凹凸パターンの凸部の薄膜部2を形成する薄膜部形成面5と基板1とを粒子6を介して対向させて基板1に対してモールド4を押圧することにより、モールド4の凹凸パターンに被転写材層8を充填すると共に、薄膜部形成面5と基板1との間に粒子6により厚さが規定された薄膜部2を形成したのち、被転写材層8を露光して硬化する成形工程と、該被転写材層8からモールド4を離型してパターンを形成する離型工程とを具備する。なお、図2(d)に示すように、薄膜部2とは、基板1上にインプリントリソグラフィにより形成されたパターンを有する光硬化物において、モールド4の凹凸パターンの凸部が被転写材層8と接触して形成された面を上面とする部分をいい、この薄膜部2から突出した部分を突出部3という。また、モールド4の凹凸パターンの凸部において、被転写材層8と接触して薄膜部2を形成する面を薄膜部形成面5という。
具体的には、例えば、図2(a)に示すように、まず基板1上に粒子6を含有する光硬化性組成物を塗布して、基板1上に被転写材層8及び粒子6からなる層を設ける。なお、この粒子6と被転写材層8を光硬化した光硬化物7とで、薄膜部2と突出部3が形成される。粒子6は、薄膜部形成面5に対向する領域の少なくとも一部に含有されていればよく、薄膜部形成面5に対向する領域以外の領域に含有されていなくてもよい。また、図2では基板1上に粒子6を含有する光硬化性組成物を塗布したが、図3に示すように、モールド4の薄膜部形成面5に粒子6を含有する光硬化性組成物を塗布してもよく、また、基板1の薄膜部形成面5に対向する領域とモールド4の薄膜部形成面5の両方に粒子6を含有する光硬化性組成物を塗布してもよい。
被転写材層8及び粒子6を設けるための本発明の光硬化性組成物は、上記光重合性基を有する化合物や光重合開始剤等の光硬化性成分及び粒子6を有する。
光硬化性組成物における光重合性基を有する化合物の含有率は、光硬化性組成物の総量100質量部に対して、50〜99.99質量部が好ましい。50質量部未満では光重合性基の量が少ないことにより、99.99質量部を超えると、光重合性基を有する化合物に対する光重合開始剤の割合が低くなることにより、いずれも光硬化性が低下するためである。さらに、光重合性基を1分子中に2つ以上有する光重合性基を有する化合物を、光硬化性組成物の総量100質量部に対して5質量部以上、好ましくは20質量部以上含有するのが望ましい。光架橋により光硬化物の機械的強度を向上させるためである。また、光硬化性組成物における光重合開始剤の含有率は、光重合性基を有する化合物100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。0.01質量部未満では光重合性基を有する化合物に対する光重合開始剤の割合が低くなり、光硬化性が低下する。また20質量部を超えると、光硬化性組成物に対する光重合開始剤の溶解性が低下し、実用的でないためである。
また、光硬化性組成物には、その性能に悪影響を及ぼさない範囲で非光硬化性オリゴマーや非光硬化性ポリマー、密着性付与剤(例えば、シランカップリング剤等)、有機溶剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、及び重合禁止剤等の添加物が含有されていてもよい。また、電気的特性等を付与するために粒子6以外の他の粒子が含有されていてもよい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて含有されていてもよい。
光硬化性組成物の粒子6の含有量は、後段の成形工程でモールド4を押圧した際に薄膜部2の厚さ方向に粒子6が重ならず、薄膜部2の厚さを一定に規定できる量であればよい。例えば、光硬化性組成物の光硬化性成分全体積に対し0.01〜30%であり、好ましくは0.1〜10%、さらに好ましくは0.1〜5%である。なお、光硬化性成分とは、露光により反応して硬化する成分をいい、上記光重合性基を有する化合物、光二量性基を有する化合物、光重合開始剤、光架橋剤が該当し、光硬化しない有機溶剤等は該当しない。なお、粒子6は、上記光硬化性成分や必要に応じて添加する添加剤に均一に分散されていることが望ましく、光硬化性組成物中に分散剤等を添加してもよい。
また、光硬化性組成物は基板1やモールド4への塗膜形成性を良好にする上では、大気圧環境下、室温ないし室温近辺の温度にて液状を呈しているものを用いることが好ましい。具体的には、光硬化性組成物がモールド4の凹凸パターンに充填できる程度の流動性を有することが好ましい。例えば、粘度が25℃で10Pa・s以下であればよいが、100mPa・s以下が好ましく、50mPa・s以下がさらに好ましく、25mPa・s以下が最も好ましい。粘度の測定方法としては、例えば、TOKIMEC社製のB型粘度計を用いて測定する方法が挙げられる。
モールド4は、表面に所望の凹凸のパターンが形成されていればよい。モールド4の材質の例としては、石英ガラス、合成樹脂等の透明なものの他、シリコン、シリコンカーバイド、酸化シリコン、ニッケル等の金属や金属酸化物等の光を透過しないものも挙げられる。モールド4の外観は、通常のインプリントリソグラフィにおいて用いられているモールド4の外観と同様のものでよく、例えば外観が直方体状又はロール状であってよい。
また、モールド4表面に形成されている凹凸のパターンは、通常のインプリントリソグラフィにおいて用いられているモールド4の表面に形成されている凹凸のパターンと同様のものであってよいが、それに限定されるものでない。例えば、モールドの材料の表面に窪みを形成することにより凹部を形成したモールド4としてもよく、この場合、相対的に表面側に突出した部分が凸部となる。また、モールド4の材料の表面に突起を設けることにより凸部を形成したモールド4としてもよく、この場合、相対的に内側に窪んだ部分が凹部となる。さらに、原盤の材料の表面に窪みまたは突起を設けることにより形成した凹凸パターンを有する原盤を用い、この原盤を鋳型として形成したモールド4としてもよい。凹凸のパターンの各凹部の断面の形状は、正方形、長方形、半月形、またはそれら形状に類似した形状等でもよく、各凹部は、例えば、深さが1nm〜100μm程度、開口部の幅が1nm〜100μm程度のものであってよい。
また、後段の離型工程でモールド4と光硬化物7との離型性を良好にするために、モールド4の表面に、離型処理が施されていてもよい。離型処理は気相法や液相法等により、パーフルオロ系又は炭化水素系の高分子化合物、アルコキシシラン化合物又はトリクロロシラン化合物、ダイヤモンドライクカーボン等に例示される公知の離型処理剤を用いて行うことができる。
粒子6を含有する光硬化性組成物を用いて基板1等に粒子6及び被転写材層8からなる層を形成する方法は特に限定されず、例えば、必要に応じ溶剤等で希釈した粒子6を含有する光硬化性組成物の塗布や滴下、具体的には、スピンコート、ロールコート、ディップコート、グラビアコート、ダイコート、カーテンコート、インクジェット塗布及びディスペンサー塗布等が挙げられる。
被転写材層8の厚さは、モールド4に形成された凹凸のパターンの凹部に充填される被転写材層8の量、例えば凹凸のパターンの凹部の深さなどを考慮して設定すればよい。また、モールド4や基板1の全面を覆うように被転写材層8を設けてもよく、一部のみを覆うように設けてもよい。
次に、図2(b)に示すように、基板1とモールド4とで被転写材層8を挟みこむ。その際、薄膜部形成面5と基板1とが粒子6を介して対向するようにし基板1に対してモールド4を押圧する。
ここで、基板1をモールド4に押圧しても、モールド4を基板1に押圧してもよく、基板1及びモールド4の両方を押圧してもよい。基板1やモールド4を押圧する力は、例えば、0.01〜100MPa程度とすることができる。また、力をかけず、モールド4や基板1の自重による押圧でもよい。
このように、薄膜部形成面5と基板1とが粒子6を介して対向するようにして基板1に対してモールド4を押圧することにより、図2(c)に示すように、モールド4の凹凸パターンに被転写材層8が充填される。また、押圧の際にモールド4の凸部の薄膜部形成面5と基板1との間に存在する光硬化性組成物が粒子6間の空隙に押し出される。また、粒子6が厚さ方向に重ならないように基板1上に並び、薄膜部形成面5と基板1との間の距離が粒子6の粒径hと同程度に保たれる。このように、薄膜部形成面5と基板1との間の粒子6により、押圧力や押圧時間に依らず、基板1に対してモールド4を押圧する動きが規制され、粒子6により厚さが規定された薄膜部2が形成される。
ここで、インプリントリソグラフィでは、通常モールド4の凹凸パターンの凸部と基板1との間に薄膜部2、すなわちいわゆる残膜が生じる。そして、残膜の厚さを制御するためには、基板1やモールド4を押圧する力や押圧時間を厳格に管理する必要があり、従来残膜の厚さを所望の値に制御することは困難であった。特に、いわゆるナノインプリントリソグラフィのように、薄膜部2の厚さが薄くなる場合には、厚さを所望の値に規定することが困難であった。
また、基板1の表面は完全には平坦ではない場合が多く、特に微細な凹凸パターンを有するモールド4を用いるナノインプリントリソグラフィでは、基板1の表面が平坦ではないことに起因して、その基板1上に形成されるパターンを有する光硬化物の残膜の厚さを均一になるように制御することは困難であった。詳述すると、従来技術にかかる光硬化物複合体の製造方法の概略を示す断面図である図5に示すように、表面が完全には平坦でなくうねりのある基板1(図5(a))に被転写材層8を形成し(図5(b))た後、モールド4を押圧して(図5(c))モールド4の凹凸パターンに被転写材層8を充填すると(図5(d))、図5(d)矢印で示すように、基板1のうねりに起因して、薄膜部2の厚さは不均一になることが多い。よって、従来の光硬化物複合体の製造方法では、所望のパターン形状の光硬化物を基板1上に形成できないという問題が生じやすかった。
しかしながら、本発明においては、モールド4を押圧する際に、被転写材層8は厚さ方向に重ならない粒子6を薄膜部形成面5と基板1との間に所定量含有するため、モールド4の押圧力や押圧時間に依らず、基板1に対してモールド4を押圧する動きが粒子6で規制される。したがって、薄膜部2の厚さを用いる粒子6の粒径により所望の値に規定できる。なお、粒子6の含有量が多くモールド4を押圧する際に厚さ方向に重なってしまうと、基板1に対してモールド4を押圧した際に粒子が動くため、基板1に対してモールド4を押圧する動きを規制できない。
また、本発明においては、平坦性が低い基板を用いても、図4に示すように、薄膜部2の厚さを均一にすることができる。詳述すると、表面が完全には平坦でなくうねりのある基板1に、所定量の粒子6を含有する光硬化性組成物を塗布等して被転写材層8及び粒子6からなる層を形成し(図4(a))、その後モールド4を押圧して(図4(b))モールド4の凹凸パターンに被転写材層8を充填すると(図4(c))、基板1に対してモールド4を押圧する動きが厚さ方向に重ならない粒子6により規制されるので、図4(c)矢印で示すように、薄膜部2の厚さをほぼ均一にできる。なお、本発明の光硬化物複合体の製造方法を用いると、薄膜部2の厚さを通常の方法では制御しにくい20nm〜10μmの範囲にある場合でも、容易に一定の厚さに制御することができる。
このように、所定量の粒子6を含有する光硬化性組成物を用いるという容易な方法により、容易に残膜の厚さを所望の値で均一になるように制御することができる。なお、図2においては、粒子6とモールド4とが接触し薄膜部2の厚さが粒子6の粒径hと同一になっているものを示したが、例えば被転写材の粘度が高い場合等は、粒子6とモールド4との間に被転写材層8を介しており、薄膜部2の厚さが粒子6の粒径hよりも大きくなる場合がある。
被転写材層8とモールド4とを共に水平に保って被転写材層8とモールド4とを接触させることが好ましいが、得られるパターンに支障が生じなければ、水平に保つことに限定する必要はない。なお、従来の光インプリントリソグラフィにおける装置を用いることができる。
次いで、モールド4の凹凸パターンに被転写材層8を充填すると共に薄膜部形成面5と基板1との間に厚さ方向に重ならない粒子6により厚さが規定された薄膜部2を形成した状態で被転写材層8を露光し、硬化させて光硬化物7とする。露光に用いる光源は、光硬化性組成物が硬化する波長の光を照射できるものであればよい。光源の例としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、水銀キセノンランプ、XeCl、KrFやArF等のエキシマーレーザー、紫外あるいは可視光レーザー、及び紫外あるいは可視光LED等が挙げられる。光の照射量は、被転写材層8を硬化させることができる量であればよい。本発明を工業的に実施する際には、通常、10J/cm以下の範囲内で照射量を選定するとよい。なお、基板1及びモールド4のうち、照射する光に対して実質的に透明である部材の側から被転写材層8に光を照射する。
その後、図2(d)に示すように、光硬化物7からモールド4を離型することにより、モールド4の凹凸パターンが転写されたパターンを表面に有し、薄膜部2の厚さが粒子6により規定された光硬化物7を基板1上に形成することができる(離型工程)。なお、粒子6は薄膜部2に少なくとも一部が含まれている。また、離型する際には、基板とモールドとを共に水平に保って離型することが好ましいが、水平に保つことに限定する必要はない。
光硬化性組成物が光により硬化する成分や熱により硬化する成分を含有する場合は、成型物の強度を向上させるために、離型工程の後に、光または熱により被転写材層8を硬化する工程をさらに有していてもよい。
上述した図2では、基板1上に粒子6及び被転写材層8を形成した光硬化物複合体の製造方法を示したが、図3に示すように、粒子6及び被転写材層8はモールド4の薄膜部形成面5に形成してもよい。なお、図3は、粒子6を薄膜部形成面5に設けた光硬化物複合体の製造方法を示す断面図であり、図2と同一の部材には同一の番号を付し、重複する説明は省略してある。
まず、図3(a)に示すように、所定量の粒子6を含有する光硬化性組成物をモールド4に塗布して、モールド4の凹凸パターンの凸部の薄膜部形成面5に、被転写材層8及び粒子6からなる層を設ける。
次に、図3(b)に示すように、基板1とモールド4とで被転写材層8を挟みこむ。その際、薄膜部形成面5と基板1とが粒子6を介して対向するようにし基板1に対してモールド4を押圧する。このように、薄膜部形成面5と基板1とが粒子6を介して対向するようにして基板1に対してモールド4を押圧することにより、図3(c)に示すように、モールド4の凹凸パターンに被転写材層8が隅々まで充填され、また、薄膜部形成面5と基板1との間に、厚さ方向に重ならない粒子6により厚さが規定された薄膜部2が形成される。
次いで、露光して被転写材層8を硬化した後、図3(d)に示すように、被転写材層8からモールド4を離型することにより、モールド4の凹凸パターンが表面に転写され、また、薄膜部2の厚さが粒子6により規定された光硬化物7を基板1上に形成することができる(離型工程)。なお、粒子6は薄膜部2に少なくとも一部が含まれている。
上述した例では、所定量の粒子6を含有する光硬化性組成物を用いてインプリントリソグラフィにより薄膜部2と突出部3とを同時に形成する製造方法を示したが、これに限定されず、例えば、薄膜部2と突出部3とを別々に設けるようにしてもよい。
以下、実施例を示しながら本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(光硬化性組成物Aの調製)
光重合性化合物としてベンジルアクリレート15質量部、トリエチレングリコールジアクリレート55質量部、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート25質量部と、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール5質量部とを配合し、ベンジルジメチルケタールが溶解するまで室温で攪拌した。ここに比重1.65、平均粒径540nmの球状粒子(商品名:オプトビーズ500S、日産化学工業(株)製)1.65質量部を添加し、湿式微粒化装置(スギノマシン製)を用いて室温で2時間撹拌して粒子を分散させて液状の光硬化性組成物Aを調製した。粒子の含有量は、光硬化性組成物Aの光硬化性成分全体積に対し1%である。粒子の分散度は1.1であった。なお、粒子の分散度及び平均粒径は25℃において粒度分布計(商品名:High Performance Particle Sizer、Malvern社製)を用いて測定した。
(モールドの離型処理)
高さ250nm、幅250nmでラインアンドスペースが1:1のラインパターンを有する1インチ角の石英モールドを純水で洗浄後、UVオゾンクリーナーで30分間処理した。これを1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリメトキシシランの1質量%ハイドロフルオロエーテル(COCH)溶液に浸漬し、引き上げた後、室温、常圧で一昼夜放置し乾燥させた。これをハイドロフルオロエーテルに浸漬して余分な1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリメトキシシランを除き、表面に離型処理を施した石英モールドを得た。
(光硬化物複合体の形成)
調製した上記光硬化性組成物Aを洗浄済みのガラス基板上に滴下した。次に上記の離型処理済石英モールドとガラス基板とを対向させて光硬化性組成物Aを挟み込み、インプリント装置(商品名;ST−02、東芝機械(株)製)を用いて0.3MPaの圧力で押圧して、モールドの凹凸パターンに光硬化性組成物Aを充填した。モールドを押圧していくと、モールドの薄膜部形成面と基板の間に存在する厚さ方向に重ならない粒子により、途中で押圧する動きが規制され、粒子の最大粒径と同程度の厚さの薄膜部が形成された。その後、超高圧水銀ランプを用いて1J/cm露光して光硬化性組成物Aを硬化させて成形した後、モールドを離型し、モールドの凹凸形状が転写された薄膜部と該薄膜部から突出した突出部とからなる光硬化物を基板上に形成した光硬化物複合体を得た。得られた光硬化物の薄膜部の厚さを表面粗さ計で5箇所測定して薄膜部の厚さの平均値及び標準偏差を求めた。結果を表1に示す。表1に示すように、薄膜部の厚さの面内ばらつきが少ない光硬化物複合体が得られた。
(実施例2)
球状粒子として比重1.65、平均粒径2200nmの球状粒子(商品名:オプトビーズ2000M、日産化学工業(株)社製)1.65質量部を用いた他は、実施例1と同様の方法で光硬化性組成物Bを調製した。また実施例1と同様の方法で光硬化物複合体を得た。結果を表1に示す。
(実施例3)
球状粒子として比重1.65、平均粒径6500nmの球状粒子(商品名:オプトビーズ6500M、日産化学工業(株)社製)1.65質量部を用いた他は、実施例1と同様の方法で光硬化性組成物Cを調製した。また実施例1と同様の方法で光硬化物複合体を得た。結果を表1に示す。
(実施例4)
光重合性化合物として2−ヒドロキシエチルアクリレート30質量部、エポキシアクリレート(商品名:エポキシエステル80MFA、共栄社化学(株)製)50質量部、及びペンタエリスリトールトリアクリレート15質量部と、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン5質量部とを配合し、室温で攪拌した。ここに平均粒径230nmのシリカ微粒子の分散体(商品名:MP−2040、日産化学工業(株)社製)25質量部を添加し、湿式微粒化装置を用いて室温で2時間撹拌して粒子を分散させて液状の光硬化性組成物Dを調製した。調製した上記光硬化性組成物Dを洗浄済みのガラス基板上に膜厚400〜500nmになるようにスピンコートした後、60℃のホットプレート上で10分加熱して分散媒を除去した。次に実施例1の離型処理済石英モールドとガラス基板とを対向させて光硬化性組成物Dを挟み込み、インプリント装置(商品名;ST−02、東芝機械(株)製)を用いて0.3MPaの圧力で押圧して、モールドの凹凸パターンに光硬化性組成物Dを充填した。モールドを押圧していくと、モールドの薄膜部形成面と基板の間に存在する厚さ方向に重ならない粒子により、途中で押圧する動きが規制され、粒子の最大粒径と同程度の厚さの薄膜部が形成された。その後、超高圧水銀ランプを用いて1J/cm露光して光硬化性組成物Dを硬化させて成型した後、モールドを離型し、モールドの凹凸形状が転写された薄膜部と該薄膜部から突出した突出部とからなる光硬化物を基板上に形成した光硬化物複合体を得た。得られた光硬化物の薄膜部の厚さを表面粗さ計で5箇所測定して薄膜部の厚さの平均値及び標準偏差を求めた。結果を表1に示す。
(実施例5)
球状粒子として平均粒径35nmのシリカ微粒子の分散体(商品名:スノーテックスCM、日産化学工業(株)社製)を用いたこと以外は実施例4と同様の方法で光硬化性組成物Eを調製した。また実施例4と同様の方法で光硬化物複合体を得た。結果を表1に示す。
(実施例6)
球状粒子として、平均粒径500nmのアクリル微粒子(商品名:リオスフィア、東洋インキ(株)社製)1質量部を用いた他は、実施例1と同様の方法で光硬化性組成物Gを調製した。また、実施例1と同様の方法で光硬化物複合体を得た。結果を表1に示す。
(比較例1)
光硬化性組成物Aを、球状粒子を添加しない光硬化性組成物Fとした以外は実施例1と同様の方法で光硬化物複合体を得た。結果を表1に示す。粒子を添加した実施例1と比較して薄膜部の厚さのばらつきが大きく、薄膜部の厚さが均一な光硬化物複合体を得ることができなかった。
Figure 0005447925
(屈折率の評価)
比較例1の光硬化性組成物Fの光硬化物、実施例6で使用したアクリル微粒子及び実施例1で使用した球状粒子の波長589nm、23℃における屈折率の値を表2に示す。また、光硬化性組成物Fの光硬化物と各粒子との屈折率の差を表3に示す。光硬化性組成物Fの光硬化物の屈折率は多波長アッベ屈折計(型番:DR−M2、アタゴ(株)製)を用いて測定した。また粒子の屈折率はBecke法により求めた。
この結果、実施例6の光硬化物複合体では、アクリル微粒子と光硬化性組成物Fの光硬化物との屈折率差が0.03以下であるため、該複合体の透過率の低下が見られず、光学部材として有用であることが分かった。一方、実施例1の光硬化物複合体では、球状粒子と光硬化性組成物Fの光硬化物との屈折率差が0.03を超えるため、該複合体の透過率の低下が見られ、光学部材としては使用し難いことが分かった。
Figure 0005447925
Figure 0005447925
(ドライエッチングレートの評価)
光硬化性組成物Fの膜厚約1μmの塗布膜をシリコンウェハー上に形成し、不活性ガス中で超高圧水銀ランプを用いて1J/cm露光して光硬化性組成物を硬化させた。次にドライエッチング装置(型番:RIE101IPH、SAMCO社製)を用いて下記条件で上記硬化物をドライエッチングし、エッチング前後の膜厚差から光硬化性組成物Fの光硬化物のドライエッチングレートを求めた。結果を表2に示す。また、実施例6で使用したアクリル微粒子及び実施例1で使用した球状微粒子のドライエッチングレートに対する光硬化性組成物Fの光硬化物のドライエッチングレートの比率を表3に示す。
<エッチング条件>
酸素ガス流量・・・・5mL/min
アルゴンガス流量・・0.5mL/min
チャンバー圧力・・・1Pa
バイアス電力・・・・50W
次に、実施例1及び6に記載の方法で光硬化物複合体の形成を行い、上記エッチング条件を用いてドライエッチングし残膜の除去を試みた。結果を表3に示す。実施例6では粒子のドライエッチングレートに対する光硬化物のドライエッチングレートの比率が0.8〜1.2の範囲内であるため均一なエッチングが可能であった。一方実施例1では粒子のドライエッチングレートに対する光硬化物のドライエッチングレートの比率が0.8〜1.2の範囲を外れているため、一部局在的なエッチングが見られた。
(電気的特性の評価)
光硬化性組成物Fの膜厚約1μmの塗布膜を10cm角のガラス基板上に形成し、不活性ガス中で超高圧水銀ランプを用いて1J/cm露光して光硬化性組成物Fを硬化させた。次に誘電率測定装置(型番:PSS−003A、KEYCOM社製)を用いて、25℃、周波数10GHzにおける光硬化性組成物Fの光硬化物の比誘電率を測定した。測定結果を表2に示す。また、実施例6で使用したアクリル微粒子及び実施例1の球状微粒子の比誘電率測定結果を表2に、実施例6で使用したアクリル微粒子及び実施例1の球状微粒子と光硬化性組成物Fの光硬化物との比誘電率の差を表3に示す。
この結果、実施例6の光硬化物複合体では、アクリル微粒子と光硬化性組成物Fの光硬化物との比誘電率差が0.5以下であるため、形成した光硬化物の比誘電率は面内均一性が高く、電気的特性は良好であった。一方、実施例1の光硬化物複合体では、球状粒子と光硬化性組成物Fの光硬化物との比誘電率差が0.5を超えているため、形成した光硬化物の比誘電率は面内均一性が比較的低く、電気的特性は実施例6の場合と比較して劣っていた。

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された薄膜部前記薄膜部から突出した突出部とを有する光硬化物と、を含み、
    前記薄膜部は、前記薄膜部の厚さ方向には重ならない粒子を含有し
    前記薄膜部の厚さは前記粒子によって規定されていること、
    を特徴とする光硬化物複合体。
  2. 基板と、
    前記基板上に形成された薄膜部前記薄膜部から突出した突出部とを有する光硬化物と、を含み、
    前記薄膜部は、粒子を含有し
    前記粒子の粒径が100nm未満の場合の前記薄膜部の厚さは前記粒径の−25%乃至+25%であり、
    前記粒子の粒径が100nm以上500nm未満の場合の前記薄膜部の厚さは前記粒径の−20%乃至+20%であり、
    前記粒子の粒径が500nm以上1000nm未満の場合の前記薄膜部の厚さは前記粒径の−15%乃至+15%であり、
    前記粒子の粒径が1000nm以上の場合の前記薄膜部の厚さは前記の粒径の−10%乃至+10%であること、
    を特徴とする光硬化物複合体。
  3. 請求項1に記載の光硬化物複合体において、
    前記薄膜部の厚さが、20nm〜10μmであること、
    を特徴とする光硬化物複合体。
  4. 請求項1又は2に記載の光硬化物複合体において、
    前記粒子と前記光硬化物との屈折率の差が0.03以下であること、
    を特徴とする光硬化物複合体。
  5. 請求項2に記載の光硬化物複合体において、
    前記粒子の粒径は500nm以上であり、
    前記粒子と前記光硬化物との屈折率の差が0.03以下であること、
    を特徴とする光硬化物複合体。
  6. 粒子を含有する光硬化性組成物を基板と凹凸パターンを有するモールドとの間に挟み、前記光硬化性組成物に光を照射することにより硬化させて、前記基板と前記モールドの前記凹凸パターンの凸部との間に薄膜部を有する光硬化物を形成する第1の工程と、
    前記光硬化物を前記モールドから離型する第2の工程と、を含み、
    前記第1の工程において、
    前記粒子の粒径が100nm未満の場合の前記薄膜部の厚さは前記粒径の−25%乃至+25%であり、
    前記粒子の粒径が100nm以上500nm未満の場合の前記薄膜部の厚さは前記粒径の−20%乃至+20%であり、
    前記粒子の粒径が500nm以上1000nm未満の場合の前記薄膜部の厚さは前記粒径の−15%乃至+15%であり、
    前記粒子の粒径が1000nm以上の場合の前記薄膜部の厚さは前記の粒径の−10%乃至+10%であること、
    を特徴とする光硬化物複合体の製造方法。
  7. 請求項に記載の光硬化物複合体の製造方法において、
    前記光硬化性組成物の前記粒子の含有量は、前記光硬化性組成物の光硬化性成分全体積
    に対して、0.01%乃至30%であること、
    を特徴とする光硬化物複合体の製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載の光硬化物複合体の製造方法において、
    前記光硬化性組成物の25℃における粘度は、10Pa・sであること、
    を特徴とする光硬化物複合体の製造方法。
  9. 請求項8に記載の光硬化物複合体の製造方法において、
    前記光硬化性組成物の25℃における粘度は、50mPa・sであること、
    を特徴とする光硬化物複合体の製造方法。
  10. 請求項6乃至9のいずれかに記載の光硬化物複合体の製造方法において、
    前記第1の工程は、前記基板と前記モールドとの間に0.01MPa乃至100MPaの圧力を加えること、
    を特徴とする光硬化物複合体の製造方法。
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