以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
「実施の形態1」
図1は、ハイブリッド型建設機械100を示す側面図である。尚、ハイブリッド型建設機械100は、油圧ショベルやリフティングマグネット(リフマグ)等を含む任意のタイプであってよい。
このハイブリッド型建設機械100の下部走行体1には、旋回機構2Aを介して上部旋回体3が搭載されている。また、上部旋回体3には、ブーム4、アーム5、及びバケット6と、これらを油圧駆動するためのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9に加えて、キャビン10及び動力源が搭載される。
図2は、実施の形態1におけるハイブリッド型建設機械100の要部構成を表すブロック図である。この図2では、機械的動力系を二重線、高圧油圧ラインを実線、パイロットラインを破線、電気駆動・制御系を一点鎖線でそれぞれ示す。
エンジン11と、電動発電機12は、ともに減速機13の入力軸に接続されている。また、この減速機13の出力軸には、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。
コントロールバルブ17は、本実施の形態1のハイブリッド型建設機械100における油圧系の制御を行う制御装置であり、このコントロールバルブ17には、下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9が高圧油圧ラインを介して接続される。
また、電動発電機12には、インバータ18を介してバッテリ19が接続されており、また、バッテリ19には、インバータ20を介して旋回モータ21が接続されている。
旋回モータ21の回転軸21aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。
操作装置26には、油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29がそれぞれ接続される。この圧力センサ29には、本実施の形態1のハイブリッド型建設機械100の電気系の駆動制御を行うコントローラ30が接続されている。
このような本実施の形態1のハイブリッド型建設機械100は、エンジン11、電動発電機12、及び旋回モータ21を動力源とするハイブリッド型の建設機械である。これらの動力源は、図1に示す上部旋回体3に搭載される。以下、各部について説明する。
エンジン11は、例えば、ディーゼルエンジンで構成される内燃機関であり、その出力軸は減速機13の一方の入力軸に接続される。このエンジン11は、ハイブリッド型建設機械100の運転中は常時運転される。
電動発電機12は、力行運転及び回生運転の双方が可能な電動機であればよい。ここでは、電動発電機12として、インバータ20によって交流駆動される電動発電機を示す。この電動発電機12は、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータで構成することができる。電動発電機12の回転軸は減速機13の他方の入力軸に接続される。
減速機13は、2つの入力軸と1つの出力軸を有する。2つの入力軸の各々には、エンジン11の駆動軸と電動発電機12の駆動軸が接続される。また、出力軸にはメインポンプ14の駆動軸が接続される。エンジン11の負荷が大きい場合には、電動発電機12が力行運転を行い、電動発電機12の駆動力が減速機13の出力軸を経てメインポンプ14に伝達される。これによりエンジン11の駆動がアシストされる。一方、エンジン11の負荷が小さい場合は、エンジン11の駆動力が減速機13を経て電動発電機12に伝達されることにより、電動発電機12が回生運転による発電を行う。電動発電機12の力行運転と回生運転の切り替えは、コントローラ30により、エンジン11の負荷等に応じて行われる。
メインポンプ14は、コントロールバルブ17に供給するための油圧を発生するポンプである。この油圧は、コントロールバルブ17を介して油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々を駆動するために供給される。メインポンプ14は、後述の如く2個のポンプ(減速機13の出力軸に直列に接続される第1のポンプ14A,第2のポンプ14B)を含む。
パイロットポンプ15は、油圧操作系に必要なパイロット圧を発生するポンプである。この油圧操作系の構成については後述する。
コントロールバルブ17は、高圧油圧ラインを介して接続される下部走行体1用の油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々に供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御することにより、これらを油圧駆動制御する油圧制御装置である。
インバータ18は、上述の如く電動発電機12とバッテリ19との間に設けられ、コントローラ30からの指令に基づき、電動発電機12の運転制御を行う。これにより、インバータ18が電動発電機12の力行を運転制御している際には、必要な電力をバッテリ19から電動発電機12に供給する。また、電動発電機12の回生を運転制御している際には、電動発電機12により発電された電力をバッテリ19に充電する。
バッテリ19は、インバータ18とインバータ20との間に配設されている。これにより、電動発電機12と旋回モータ21の少なくともどちらか一方が力行運転を行っている際には、力行運転に必要な電力を供給するとともに、また、少なくともどちらか一方が回生運転を行っている際には、回生運転によって発生した回生電力を電気エネルギとして蓄積するための電源である。尚、バッテリ19は、充放電可能なバッテリであれば種類は任意であり、鉛バッテリ、ニッケル水素バッテリ、リチウムイオンバッテリや電気2重層キャパシタ等の容量性負荷から構成されてもよい。
インバータ20は、上述の如く旋回モータ21とバッテリ19との間に設けられ、コントローラ30からの指令に基づき、旋回モータ21に対して運転制御を行う。これにより、インバータ20が旋回モータ21の力行を運転制御している際には、必要な電力をバッテリ19から旋回モータ21に供給する。また、旋回モータ21が回生運転をしている際には、旋回モータ21により発電された電力をバッテリ19へ充電する。
旋回モータ21は、力行運転及び回生運転の双方が可能な電動機であり、上述のインバータ20によってPWM(Pulse Width Modulation)駆動される。旋回モータ21は、好ましくは、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPMモータである。旋回モータ21は、上部旋回体3の旋回機構2Aを駆動するために設けられている。力行運転の際には、旋回モータ21の回転駆動力の回転力が旋回減速機24にて増幅され、上部旋回体3が加減速制御され回転運動を行う。また、上部旋回体3の慣性回転により、旋回減速機24にて回転数が増加されて旋回モータ21に伝達され、回生電力を発生させることができる。
なお、バッテリ19の充放電制御は、バッテリ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(力行運転又は回生運転)、及び、旋回モータ21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づき、コントローラ30によって行われる。
レゾルバ22は、旋回モータ21の回転軸21aの回転位置及び回転角度を検出するセンサであり、旋回モータ21と機械的に連結することで旋回モータ21の回転前の回転軸21aの回転位置と、左回転又は右回転した後の回転位置との差を検出することにより、回転軸21aの回転角度及び回転方向を検出するように構成されている。旋回モータ21の回転軸21aの回転角度を検出することにより、旋回機構2Aの回転角度及び回転方向が導出される。
メカニカルブレーキ23は、機械的な制動力を発生させる制動装置であり、旋回モータ21の回転軸21aを機械的に停止させる。このメカニカルブレーキ23は、電磁式スイッチにより制動/解除が切り替えられる。この切り替えは、コントローラ30によって行われる。
旋回減速機24は、旋回モータ21の回転軸21aの回転速度を減速して旋回機構2Aに機械的に伝達する減速機である。これにより、力行運転の際には、旋回モータ21の回転力を増力させ、より大きな回転力として旋回体へ伝達することができる。これとは逆に、回生運転の際には、旋回体で発生した回転数を増加させ、より多くの回転動作を旋回モータ21に発生させることができる。
旋回機構2Aは、旋回モータ21のメカニカルブレーキ23が解除された状態で旋回可能となり、これにより、上部旋回体3が左方向又は右方向に旋回される。
操作装置26は、旋回モータ21、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6を操作するための複数の操作部材26A〜26Fからなる。操作部材26A、26Bは、下部走行体1を走行操作するための一対のペダルであり、運転席の足下に設けられる。操作部材26A、26Bは、それぞれ、左側の車輪の走行用と右側の車輪の走行用に設けられる。操作部材26Cは、ブーム4を上げ下げ操作するためのレバーであり、上部旋回体3の運転席近傍に設けられる。操作部材26Dは、アーム5を開閉操作するためのレバーであり、上部旋回体3の運転席近傍に設けられる。操作部材26Eは、バケット6を開閉操作するためのレバーであり、上部旋回体3の運転席近傍に設けられる。操作部材26Fは、上部旋回体3を旋回操作するためのレバーであり、上部旋回体3の運転席近傍に設けられる。尚、操作部材26A〜26Fの配置位置や形式(レバーやペダル等の形式を含む)は任意である。
この操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される油圧(1次側の油圧)を運転者の操作量に応じた油圧(2次側の油圧)に変換して出力する。操作装置26から出力される2次側の油圧は、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17に供給されるとともに、圧力センサ29によって検出される。
操作部材26A〜26Eの各々が操作されると、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17が駆動され、これにより、油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9内の油圧が制御されることによって、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6が駆動される。
なお、油圧ライン27は、油圧モータ1A及び1Bを操作するために1本ずつ(すなわち合計2本)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9をそれぞれ操作するために2本ずつ(すなわち合計6本)設けられるため、実際には全部で8本あるが、説明の便宜上、1本にまとめて表す。
圧力センサ29では、操作部材26A〜26Fの各々の操作による油圧ライン28内の油圧の変化が別個独立的に圧力センサ29で検出される。圧力センサ29は、操作部材26A〜26Eの各々の操作により、旋回モータ21、ブーム4、アーム5、バケット6、及び下部走行体1の各々を操作するための油圧の変化を検出し、各々の操作による油圧ライン28内の油圧を表す電気信号を出力する。これらの電気信号は、コントローラ30に入力される。
コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成される。コントローラ30は、本実施の形態1のハイブリッド型建設機械100の各種の駆動制御を行う。コントローラ30は、例えば、圧力センサ29から出力される電気信号に基づいて、操作部材26Fの操作量及び操作方向に応じて、インバータ20を介して旋回モータ21を回転駆動させる。
図3は、図2に示したハイブリッド型建設機械100におけるメインポンプ14関連の詳細構成を示す図である。
メインポンプ14は、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bからなる。第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bは共に、例えば可変斜板式油圧ポンプであり、斜板の角度を変更することでポンプ出力を変更することができる。すなわち第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bのそれぞれへの制御電流又は圧油を変更することにより斜板の角度を調整し、これにより第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの出力を変更することができる。
コントロールバルブ17は、複数の切換バルブ171−178を備える。複数の切換バルブ171−178は、第1のポンプ14Aの吐出側とリザーバタンク40を繋ぐ第1油路42に設けられる切換バルブ171−174の集合と、第2のポンプ14Bの吐出側とリザーバタンク40を繋ぐ第2油路44に設けられる切換バルブ175−178の集合とからなる。
切換バルブ171−174は、それぞれ、左走行用の油圧モータ1Aによる走行動作を実現するための作動油の供給状態を切り換える切換バルブ171、ブームシリンダ7によるブーム上げ2速動作を実現するための作動油の供給状態を切り換える切換バルブ173、及び、アームシリンダ8によるアーム開閉動作(1速)を実現するための作動油の供給状態を切り換える切換バルブ174である。
切換バルブ175−178は、それぞれ、右走行用の油圧モータ1Bによる走行動作を実現するための作動油の供給状態を切り換える切換バルブ175、バケットシリンダ9によるバケット開閉動作を実現するための作動油の供給状態を切り換える切換バルブ176、ブームシリンダ7によるブーム上げ・下げ動作(1速)を実現するための作動油の供給状態を切り換える切換バルブ177、及び、アームシリンダ8によるアーム開閉動作(2速)を実現するための作動油の供給状態を切り換える切換バルブ178である。
第1のポンプ14A側の第1油路42において、切換バルブ174より下流側とリザーバタンク40との間には、ネガコン絞り46(負帰還用の絞り)が挿入され、ネガコン圧(ネガコン絞り46の上流側圧力)Pn1がレギュレータ54に負帰還される。第1油路42には、第1油路42のリリーフ圧を調整する可変リリーフ弁50が接続されている。コントローラ30及びレギュレータ54は、ネガコン圧Pn1に基づいて、リザーバタンク40に戻る第1のポンプ14Aの吐出流量の損失を低減する態様で、第1のポンプ14Aを制御する(いわゆるネガコン制御を行う)。
同様に、第2のポンプ14Bの第2油路44において、切換バルブ178より下流側とリザーバタンク40との間には、ネガコン絞り48(負帰還用の絞り)が挿入され、ネガコン圧(ネガコン絞り48の上流側圧力)Pn2がレギュレータ56に負帰還される。第2油路44には、第2油路44のリリーフ圧を調整する可変リリーフ弁52が接続されている。コントローラ30及びレギュレータ56は、ネガコン圧Pn2に基づいて、リザーバタンク40に戻る第2のポンプ14Bの吐出流量の損失を低減する態様で、第2のポンプ14Bを制御する(いわゆるネガコン制御を行う)。
また、第1油路42及び第2油路44には、油圧回路の最高圧を制限するリリーフ弁60が接続されている。リリーフ弁60は、油圧回路内の圧力が所定の設定圧を超えると作動し、リザーバタンク62に油圧回路を連通させる。
図4は、実施の形態1におけるハイブリッド型建設機械100の各種動作とその際に使用する第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの関係を示す表図である。
図4に示すように、単独での旋回動作時は、旋回モータ21の電動化に伴い、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方が使用されない。尚、この際、旋回動作は、バッテリ19からの電力により駆動される旋回モータ21により実現される。また、単独でのブーム上げ動作(1速)時は、第2のポンプ14Bのみが使用され、第1のポンプ14Aは使用されない。また、単独でのブーム下げ動作時は、第2のポンプ14Bのみが使用され、第1のポンプ14Aは使用されない。また、単独でのバケット開閉動作時は、第2のポンプ14Bのみが使用され、第1のポンプ14Aは使用されない。また、ブーム上げ動作(1速)とバケット開閉の複合動作時は、第2のポンプ14Bのみが使用され、第1のポンプ14Aは使用されない。また、ブーム下げと旋回の複合動作時は、第2のポンプ14Bのみが使用され、第1のポンプ14Aは使用されない。この際、旋回動作は、バッテリ19からの電力により駆動される旋回モータ21により実現される。また、ブーム下げとバケット開閉の複合動作時は、第2のポンプ14Bのみが使用され、第1のポンプ14Aは使用されない。
ここで、単独での旋回動作時では、上述の如く第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方が使用されないので、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方の出力制限が行われる。出力制限の態様は任意であってよく、一例は図6を参照して後述する。また、単独でのブーム下げ動作時やブーム上げ動作(1速)とバケット開閉の複合動作時等では、上述の如く、第2のポンプ14Bのみが使用され、第1のポンプ14Aは使用されないので第1のポンプ14Aの出力制限が行われる。出力制限の態様は任意であってよく、一例は図6を参照して後述する。これにより、ハイブリッド型建設機械100の各種動作(操作部材26A〜26Fの各動作状態の組み合わせ)に応じて、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方又は一方の出力制限が適切に行われるので、ハイブリッド型建設機械100の各種動作を実現可能としつつ、損失を効率的に低減することができる。
図5は、実施の形態1におけるコントローラ30により実行される操作部材26A〜26Fの各動作状態の組み合わせに応じたポンプ出力制限制御の一例を示すフローチャートである。尚、コントローラ30は、操作部材26A〜26Fの各動作状態の組み合わせと出力制限対象のポンプ(第1のポンプ14Aのみ、又は、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方)との間の関係を予め規定したマップをメモリに備える。即ち、コントローラ30は、図4に示したような関係を予め規定したマップをメモリに保持しており、このマップを参照して以下の処理を実行する。
ステップ500では、操作部材26A〜26Fの少なくともいずれか1つが操作される結果として、操作された操作部材26A〜26Fに応じた操作信号が圧力センサ29から入力される。
ステップ502では、上記ステップ500で入力された操作信号に基づいて、下部走行体1の走行動作が有るか否かが判定される。即ち、上記ステップ500で入力された操作信号に、操作部材26A、26Bの少なくともいずれか1つが操作されることで発生される操作信号が含まれるか否かが判定される。下部走行体1の走行動作が有ると判定した場合は、ステップ514に進む(図4の番号3参照)。他方、下部走行体1の走行動作が無いと判定した場合は、ステップ504に進む。
ステップ504では、上記ステップ500で入力された操作信号に基づいて、アーム5の開閉動作が有るか否かが判定される。即ち、上記ステップ500で入力された操作信号に、操作部材26Dが操作されることで発生される操作信号が含まれるか否かが判定される。アーム5の開閉動作が有ると判定した場合は、ステップ514に進む(図4の番号2参照)。他方、アーム5の開閉動作が無いと判定した場合は、ステップ506に進む。
ステップ506では、上記ステップ500で入力された操作信号に基づいて、ブーム4の上げ2速動作が有るか否かが判定される。即ち、上記ステップ500で入力された操作信号に、ブーム4の上げ2速動作が生ずる操作部材26Cの操作信号が含まれるか否かが判定される。ブーム4の上げ2速動作が有ると判定した場合は、ステップ514に進む(図4の番号1参照)。他方、ブーム4の上げ2速動作が無いと判定した場合は、ステップ508に進む(図4の番号4〜10参照)。
ステップ508では、上記ステップ500で入力された操作信号に基づいて、バケット6の開閉動作又はブーム4の下げ動作が有るか否かが判定される。即ち、上記ステップ500で入力された操作信号に、バケット6の開閉動作又はブーム4の下げ動作を指示する操作部材26E,26Cの操作信号が含まれるか否かが判定される。バケット6の開閉動作及びブーム4の下げ動作のいずれかが有ると判定した場合は、ステップ510に進む(図4の番号5〜10参照)。他方、バケット6の開閉動作及びブーム4の下げ動作のいずれでも無いと判定した場合は、ステップ512に進む(図4の番号4参照)。
ステップ510では、第1のポンプ14Aの出力制限が実行される(図4の番号5〜10参照)。この際、上記ステップ500で入力された操作信号に応じた動作は第2のポンプ14Bの出力により実現される。
ステップ512では、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方の出力制限が実行される(図4の番号4参照)。この際、上記ステップ500で入力された操作信号(旋回動作のための操作信号)に応じた動作は旋回モータ21の出力により実現される。
ステップ514では、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの通常の出力制御が実行される。即ち上記ステップ510や512で実行されるような出力制限は実行されない。従って、上記ステップ500で入力された操作信号に応じた動作は第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方の出力により実現される(図4の番号1〜3参照)。
次に図6を参照して、上記ステップ510や512で実行される出力制限の実施態様の一例について説明する。
図6は、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの出力制限機構の一例を示す図である。図6において、図3に示した要素と同一の要素については同一の参照符号が付さされている。
可変リリーフ弁50,52は、リリーフ圧減少型可変リリーフ弁で制御ポートに高圧の油圧が作用するとリリーフ圧が減少する。この可変リリーフ弁50,52のパイロットポートに電磁切換弁113a,113bの各出力ポートをそれぞれ接続し、更に、電磁切換弁113a,113bの出力ポートはシャトル弁171,172の各一方の入力ポートにそれぞれ接続されている。また、電磁切換弁113a,113bの入力ポートにはパイロット油圧ポンプ116と油タンク117が接続されている。シャトル弁171,172の出力ポートは第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bのレギュレータ54、56の制御ポートにそれぞれ接続されている。電磁切換弁113a,113bのソレノイドはコントローラ30に接続されている。
コントローラ30は、第1のポンプ14Aの出力制限を実行するとき(図5のステップ510又は512)、制御信号を出力して、電磁切換弁113aを状態「イ」から「ロ」に切り換える。他方、コントローラ30は、第1のポンプ14Aの出力制限を実行しないとき(図5のステップ514)、制御信号を出力して、電磁切換弁113aを状態「ロ」から「イ」に切り換える。電磁切換弁113aが状態「ロ」に切り換わると、パイロットポンプ116からのパイロット圧が作用する状態となる一方、電磁切換弁113aが状態「イ」に切り換わると、パイロットポンプ116からのパイロット圧が作用しない状態となる。可変リリーフ弁50はパイロットポートにパイロットポンプ116からのパイロット圧が作用するとリリーフ圧を、例えば最低リリーフ圧にまで下げる。また、パイロット圧が作用していないとき(油タンク圧のとき)は、例えば最高リリーフ圧にし、可変リリーフ弁50から圧油は流出されず、全ての圧油はネガコン絞り46を経由してリザーバタンク40に流出する。ここで、可変リリーフ弁50のリリーフ圧を低下させると、ネガコン圧Pn1も低下し、負帰還制御をしているために第1のポンプ14Aの吐出量が増大する。つまり、斜板を操作するためには、ネガコン圧を所定値よりも高くする必要がある。従って、所定値のネガコン圧を得るために、ポンプの吐出圧を最小にすることができない。そこで、実施の形態1では、シャトル弁171を介してレギュレータ54にパイロット圧を作用させて、第1のポンプ14Aの吐出量を減少させる。即ち、レギュレータ54にパイロット圧が作用されると、第1のポンプ14Aの斜板が操作されて吐出量が低減される。この際、第1のポンプ14Aの斜板は、好ましくは、最低吐出量(最低出力)となる角度まで移動される。このようにして、第1のポンプ14Aの出力制限が実現される。電磁切換弁113aの状態を「ロ」に切り換えると、パイロットポンプ116からのパイロット圧がレギュレータ54に作用する。これにより、第1のポンプ14Aからの吐出量が低下するに応じて、第1のポンプ14Aの吐出圧も低下する。これと同時に、パイロットポンプ116からのパイロット圧が可変リリーフ弁50に作用し、作動油を積極的にリザーバタンク40へ戻すように開口される。これにより、第1のポンプ14Aへの負荷が低減され、第1のポンプ14Aの吐出圧を最低にすることができる。
同様に、コントローラ30は、第2のポンプ14Bの出力制限を実行するとき(図5のステップ512)、制御信号を出力し、電磁切換弁113bを状態「イ」から「ロ」に切り換える。他方、コントローラ30は、第2のポンプ14Bの出力制限を実行しないとき(図5のステップ514)、電磁切換弁113bを状態「ロ」から「イ」に切り換える。電磁切換弁113bが状態「ロ」に切り換わると、パイロットポンプ116からのパイロット圧が作用する状態となる一方、電磁切換弁113bが状態「イ」に切り換わると、パイロットポンプ116からのパイロット圧が作用しない状態となる。可変リリーフ弁52はパイロットポートにパイロットポンプ116からのパイロット圧が作用するとリリーフ圧を、例えば最低リリーフ圧にまで下げる。また、パイロット圧が作用していないとき(油タンク圧のとき)は、例えば最高リリーフ圧にし、可変リリーフ弁52から圧油は流出されず、全ての圧油はネガコン絞り48を経由してリザーバタンク40に流出する。ここで、可変リリーフ弁52のリリーフ圧を低下させると、ネガコン圧Pn2も低下し、負帰還制御をしているために第2のポンプ14Bの吐出量が増大する。つまり、斜板を操作するためには、ネガコン圧を所定値よりも高くする必要がある。従って、所定値のネガコン圧を得るために、ポンプの吐出圧を最小にすることができない。そこで、実施の形態1では、シャトル弁171を介してレギュレータ56にパイロット圧を作用させて、第2のポンプ14Bの吐出量を減少させる。即ち、レギュレータ56にパイロット圧が作用されると、第2のポンプ14Bの斜板が操作されて吐出量が低減される。この際、第2のポンプ14Bの斜板は、好ましくは、最低吐出量(最低出力)となる角度まで移動される。このようにして、第2のポンプ14Bの出力制限が実現される。電磁切換弁113bの状態を「ロ」に切り換えると、パイロットポンプ116からのパイロット圧がレギュレータ56に作用する。これにより、第2のポンプ14Bからの吐出量が低下するに応じて、第2のポンプ14Bの吐出圧も低下する。これと同時に、パイロットポンプ116からのパイロット圧が可変リリーフ弁52に作用し、作動油を積極的にリザーバタンク40へ戻すように開口される。これにより、第2のポンプ14Bへの負荷が低減され、第2のポンプ14Bの吐出圧を最低にすることができる。
以上説明した実施の形態1によるハイブリッド型建設機械100によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
上述の如く、ハイブリッド型建設機械100の各種動作(操作部材26A〜26Fの各動作状態の組み合わせ)に応じて、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方又は一方の出力制限が適切に行われるので、旋回モータ21の電動化(建設機械のハイブリッド化)に伴い生じうる第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bでのエネルギの無駄を無くして、省エネルギ化を図ることができる。
図7は、第1のポンプ14Aの吐出圧P1の変化態様の一例を示すグラフである。図7では、横軸に時間を取り、縦軸に第1のポンプ14Aの吐出圧P1を示す。
時刻t0〜t1の間では、第1のポンプ14Aと連通する駆動部が使用されているため、第1のポンプ14Aも使用状態となる。時刻t1にて、第1のポンプ14Aと連通する全ての駆動部が停止状態(使用されない状態)となる。従来のネガコン制御では、第1のポンプ14Aと連通する全ての駆動部が停止状態となると、ネガコン圧Pn1がレギュレータ54に作用することで、第1のポンプ14Aの吐出圧P1を低減させていた。しかしながら、上述の如く、レギュレータ54を作用させるための所定値以上のネガコン圧を得るためには、第1のポンプ14Aの吐出圧を最低にはできない。
これに対して、実施の形態1によれば、時刻t1にて第1のポンプ14Aと連通する全ての駆動部が停止状態と判断されると、上述の如く、パイロットポンプ116からのパイロット圧によりレギュレータ54を作用させ、傾転角を最小となるまで小さくする。即ち、第1のポンプ14Aの斜板を最低吐出量まで移動させることで、吐出量を低減させる。これにより、第1のポンプ14Aの吐出圧P1についても、従来のネガコン制御の場合よりも小さくすることができる。
「実施の形態2」
本実施の形態2は、上述の実施の形態1の下部走行体1用の油圧モータ1A、1Bを、バッテリ19を電源として動作する走行用発電機201A,201Bに置き換えた点が主に異なる。以下では、本実施の形態2に特有の構成を重点的に説明し、その他の構成は上述の実施の形態1と同様であってよく、同一の参照符号を付して説明を省略する。尚、コントローラ300については、以下で詳説する走行用発電機201A,201Bに関連する制御内容(ソフトウェアやマップ)だけが上述の実施の形態1のコントローラ30と異なるものであってよい。
図8は、実施の形態2におけるハイブリッド型建設機械200の要部構成を表すブロック図である。
走行用発電機201A,201Bは、ハイブリッド型建設機械200の左右輪にそれぞれ設けられ、左走行用発電機201Aと右走行用発電機201Bとして機能する。左走行用発電機201Aに関連する構成と、右走行用発電機201Bに関連する構成とは、実質的に同一であり、バッテリ19に対して並列に接続されている。以下では、主に、左走行用発電機201Aに関連する構成を代表として説明し、右走行用発電機201Bに関連する構成の説明は適宜省略する。
コントロールバルブ170は、本実施の形態2のハイブリッド型建設機械200における油圧系の制御を行う制御装置であり、このコントロールバルブ170には、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9が高圧油圧ラインを介して接続される。コントロールバルブ170は、高圧油圧ラインを介して接続されるブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々に供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御する。即ち、操作部材26C,26D,26Eの各々が操作されると、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ170が駆動され、これにより、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9内の油圧が制御されることによって、ブーム4、アーム5、及びバケット6が駆動される。
インバータ240は、左走行用発電機201Aとバッテリ19との間に設けられ、コントローラ300からの指令に基づき、左走行用発電機201Aに対して運転制御を行う。これにより、インバータ240が左走行用発電機201Aの力行を運転制御している際には、必要な電力をバッテリ19から左走行用発電機201Aに供給する。また、左走行用発電機201Aが回生運転をしている際には、左走行用発電機201Aにより発電された電力をバッテリ19へ充電する。
左走行用発電機201Aは、力行運転及び回生運転の双方が可能な電動機であり、上述のインバータ240によってPWM駆動される。左走行用発電機201Aは、好ましくは、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPMモータである。力行運転の際には、左走行用発電機201Aの回転駆動力の回転力が左走行減速機244にて増幅され、下部走行体1が加減速制御される。また、下部走行体1の慣性走行により、左走行減速機244にて回転数が増加されて左走行用発電機201Aに伝達され、回生電力を発生させることができる。
なお、バッテリ19の充放電制御は、バッテリ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(力行運転又は回生運転)、旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)、及び、左走行用発電機201Aや右走行用発電機201Bの運転状態(力行運転又は回生運転)に基づき、コントローラ300によって行われる。
レゾルバ242は、左走行用発電機201Aの回転軸241aの回転位置及び回転角度を検出するセンサであり、左走行用発電機201Aと機械的に連結することで左走行用発電機201Aの回転前の回転軸241aの回転位置と、左回転又は右回転した後の回転位置との差を検出することにより、回転軸241aの回転角度及び回転方向を検出するように構成されている。
メカニカルブレーキ243は、機械的な制動力を発生させる制動装置であり、左走行用発電機201Aの回転軸241aを機械的に停止させる。このメカニカルブレーキ243は、電磁式スイッチにより制動/解除が切り替えられる。この切り替えは、コントローラ300によって行われる。
走行機構2Bは、左走行減速機244のメカニカルブレーキ243が解除された状態で走行可能となり、これにより、下部走行体1が前後方向等に走行される。
左走行減速機244は、左走行用発電機201Aの回転軸241aの回転速度を減速して走行機構2Bに機械的に伝達する減速機である。これにより、力行運転の際には、左走行用発電機201Aの回転力を増力させ、より大きな推進力として下部走行体1へ伝達することができる。これとは逆に、回生運転の際には、下部走行体1で発生した推進力に基づく回転数を増加させ、より多くの回転動作を左走行用発電機201Aに発生させることができる。
コントローラ300は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成される。コントローラ300は、本実施の形態2のハイブリッド型建設機械200の各種の駆動制御を行う。コントローラ300は、例えば、圧力センサ29から出力される電気信号に基づいて、操作部材26Fの操作量に応じて、インバータ20を介して旋回用電動機21を回転駆動させたり、操作部材26B,26Aの操作量に応じて、インバータ220及び240を介して右走行用発電機201B及び左走行用発電機201Aを回転駆動させたりする。
図9は、図8に示したハイブリッド型建設機械200におけるメインポンプ14関連の詳細構成を示す図である。
メインポンプ14は、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bからなる。第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bは共に、例えば可変斜板式油圧ポンプであり、斜板の角度を変更することでポンプ出力を変更することができる。すなわち第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bのそれぞれへの制御電流又は圧油を変更することにより斜板の角度を調整し、これにより第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの出力を変更することができる。
コントロールバルブ17は、複数の切換バルブ173−178を備える。複数の切換バルブ173−178は、第1のポンプ14Aの吐出側とリザーバタンク40を繋ぐ第1油路42に設けられる切換バルブ173、174の集合と、第2のポンプ14Bの吐出側とリザーバタンク40を繋ぐ第2油路44に設けられる切換バルブ176−178の集合とからなる。
切換バルブ173、174は、それぞれ、ブームシリンダ7によるブーム上げ2速動作を実現するための作動油の供給状態を切り換える切換バルブ173、及び、アームシリンダ8によるアーム開閉動作(1速)を実現するための作動油の供給状態を切り換える切換バルブ174である。
切換バルブ176−178は、それぞれ、バケットシリンダ9によるバケット開閉動作を実現するための作動油の供給状態を切り換える切換バルブ176、ブームシリンダ7によるブーム上げ・下げ動作(1速)を実現するための作動油の供給状態を切り換える切換バルブ177、及び、アームシリンダ8によるアーム開閉動作(2速)を実現するための作動油の供給状態を切り換える切換バルブ178である。
第1のポンプ14A側の第1油路42において、切換バルブ174より下流側とリザーバタンク40との間には、ネガコン絞り46(負帰還用の絞り)が挿入され、ネガコン圧(ネガコン絞り46の上流側圧力)Pn1がレギュレータ54に負帰還される。第1油路42には、第1油路42のリリーフ圧を調整する可変リリーフ弁50が接続されている。コントローラ30及びレギュレータ54は、ネガコン圧Pn1に基づいて、リザーバタンク40に戻る第1のポンプ14Aの吐出流量の損失を低減する態様で、第1のポンプ14Aを制御する(いわゆるネガコン制御を行う)。
同様に、第2のポンプ14Bの第2油路44において、切換バルブ178より下流側とリザーバタンク40との間には、ネガコン絞り48(負帰還用の絞り)が挿入され、ネガコン圧(ネガコン絞り48の上流側圧力)Pn2がレギュレータ56に負帰還される。第2油路44には、第2油路44のリリーフ圧を調整する可変リリーフ弁52が接続されている。コントローラ30及びレギュレータ56は、ネガコン圧Pn2に基づいて、リザーバタンク40に戻る第2のポンプ14Bの吐出流量の損失を低減する態様で、第2のポンプ14Bを制御する(いわゆるネガコン制御を行う)。
また、第1油路42及び第2油路44には、油圧回路の最高圧を制限するリリーフ弁60が接続されている。リリーフ弁60は、油圧回路内の圧力が所定の設定圧を超えると作動し、リザーバタンク62に油圧回路を連通させる。
図10は、実施の形態2におけるハイブリッド型建設機械200の各種動作とその際に使用する第1のポンプポンプ14A,第2のポンプ14Bの関係を示す表図である。
図10に示すように、単独での走行動作時は、下部走行体1用の油圧モータ1A、1Bの電動化(即ち、走行用発電機201A,201Bの導入)に伴い、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方が使用されない。尚、この際、走行動作は、バッテリ19からの電力により駆動される走行用発電機201A,201Bにより実現される。また、単独での旋回動作時は、旋回モータ21の電動化に伴い、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方が使用されない。尚、この際、旋回動作は、バッテリ19からの電力により駆動される旋回モータ21により実現される。また、単独でのブーム上げ動作(1速)時は、第2のポンプ14Bのみが使用され、第1のポンプ14Aは使用されない。また、単独でのブーム下げ動作時は、第2のポンプ14Bのみが使用され、第1のポンプ14Aは使用されない。また、単独でのバケット開閉動作時は、第2のポンプ14Bのみが使用され、第1のポンプ14Aは使用されない。また、ブーム上げ動作(1速)とバケット開閉の複合動作時は、第2のポンプ14Bのみが使用され、第1のポンプ14Aは使用されない。また、ブーム下げと旋回の複合動作時は、第2のポンプ14Bのみが使用され、第1のポンプ14Aは使用されない。この際、旋回動作は、バッテリ19からの電力により駆動される旋回モータ21により実現される。また、ブーム下げとバケット開閉の複合動作時は、第2のポンプ14Bのみが使用され、第1のポンプ14Aは使用されない。
ここで、単独での走行動作時又は単独での旋回動作時では、上述の如く第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方が使用されないので、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方の出力制限が行われる。出力制限の態様は任意であってよく、一例は図6を参照して前述した通りである。また、単独でのブーム下げ動作時やブーム上げ動作(1速)とバケット開閉の複合動作時等では、上述の如く、第2のポンプ14Bのみが使用され、第1のポンプ14Aは使用されないので第1のポンプ14Aの出力制限が行われる。出力制限の態様は任意であってよく、一例は図6を参照して前述した通りである。これにより、ハイブリッド型建設機械200の各種動作(操作部材26A〜26Fの各動作状態の組み合わせ)に応じて、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方又は一方の出力制限が適切に行われるので、ハイブリッド型建設機械200の各種動作を実現可能としつつ、損失を効率的に低減することができる。
図11は、実施の形態2におけるコントローラ300により実行される操作部材26A〜26Fの各動作状態の組み合わせに応じたポンプ出力制限制御の一例を示すフローチャートである。尚、コントローラ300は、操作部材26A〜26Fの各動作状態の組み合わせと出力制限対象のポンプ(第1のポンプ14Aのみ、又は、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方)との間の関係を予め規定したマップをメモリに備える。即ち、コントローラ300は、図10に示したような関係を予め規定したマップをメモリに保持しており、このマップを参照して以下の処理を実行する。
ステップ600では、操作部材26A〜26Fの少なくともいずれか1つが操作される結果として、操作された操作部材26A〜26Fに応じた操作信号が圧力センサ29から入力される。
ステップ604では、上記ステップ600で入力された操作信号に基づいて、アーム5の開閉動作が有るか否かが判定される。即ち、上記ステップ600で入力された操作信号に、操作部材26Dが操作されることで発生される操作信号が含まれるか否かが判定される。アーム5の開閉動作が有ると判定した場合は、ステップ614に進む(図10の番号2参照)。他方、アーム5の開閉動作が無いと判定した場合は、ステップ606に進む。
ステップ606では、上記ステップ600で入力された操作信号に基づいて、ブーム4の上げ2速動作が有るか否かが判定される。即ち、上記ステップ600で入力された操作信号に、ブーム4の上げ2速動作が生ずる操作部材26Cの操作信号が含まれるか否かが判定される。ブーム4の上げ2速動作が有ると判定した場合は、ステップ614に進む(図10の番号1参照)。他方、ブーム4の上げ2速動作が無いと判定した場合は、ステップ608に進む(図10の番号3〜10参照)。
ステップ608では、上記ステップ600で入力された操作信号に基づいて、バケット6の開閉動作又はブーム4の下げ動作が有るか否かが判定される。即ち、上記ステップ600で入力された操作信号に、バケット6の開閉動作又はブーム4の下げ動作のための操作部材26E,26Cの操作信号が含まれるか否かが判定される。バケット6の開閉動作及びブーム4の下げ動作のいずれかが有ると判定した場合は、ステップ610に進む(図10の番号5〜10参照)。他方、バケット6の開閉動作及びブーム4の下げ動作のいずれでも無いと判定した場合は、ステップ612に進む(図10の番号3、4参照)。
ステップ610では、第1のポンプ14Aの出力制限が実行される(図10の番号5〜10参照)。この際、上記ステップ600で入力された操作信号に応じた動作は第2のポンプ14Bの出力により実現される。尚、本ステップ610における出力制限の実行態様は、任意であるが、例えば図6を参照して上述した実行態様と同様であってもよい。
ステップ612では、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方の出力制限が実行される(図10の番号3、4参照)。この際、上記ステップ600で入力された操作信号(旋回動作又は走行動作のための操作信号)に応じた動作は旋回モータ21又は走行用発電機201A,201Bの出力により実現される。尚、本ステップ612における出力制限の実行態様は、任意であるが、例えば図6を参照して上述した実行態様と同様であってもよい。
ステップ614では、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの通常の出力制御が実行される。即ち上記ステップ610や612で実行されるような出力制限は実行されない。従って、上記ステップ600で入力された操作信号に応じた動作は第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方の出力により実現される(図10の番号1、2参照)。
以上説明した実施の形態2によるハイブリッド型建設機械200によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
上述の如く、ハイブリッド型建設機械200の各種動作(操作部材26A〜26Fの各動作状態の組み合わせ)に応じて、第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bの双方又は一方の出力制限が適切に行われるので、走行モータ及び旋回モータの電動化(建設機械のハイブリッド化)に伴い生じうる第1のポンプ14A及び第2のポンプ14Bでのエネルギの無駄を無くして、省エネルギ化を図ることができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述した実施例では、ネガコンが例示されているが、本発明は、ポジコンを含む任意の制御態様に対して適用可能である。また、上述した実施例では、パラレル型のハイブリッドシステムが例示されているが、本発明は、シリーズ型のハイブリッドシステムに対して適用可能である。また、リフティングマグネットの場合は、吸着器が上述した実施例における各種電動機21,201A,201Bと同様の扱いであってよい。