JP6148617B2 - ハイブリッド式作業車両 - Google Patents
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Description
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、前記制御手段は、前記走行電動機からの回生電力が前記蓄電装置の充電可能電力を超えているとき、かつ、前記第1油圧アクチュエータが駆動されていないことを含む所定の条件が成立している場合は、前記発電電動機の負荷が大きくなるように前記第1可変容量油圧ポンプの傾転量を制御することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載のハイブリッド式作業車両において、前記制御手段は、前記走行電動機に要求される走行要求出力を算出し、前記走行電動機からの回生電力を前記蓄電装置に充電できない余剰電力を前記発電電動機の消費電力として算出し、走行要求出力と消費電力とに基づいて前記発電電動機の発電出力を算出し、前記発電出力に応じて前記エンジンの回転数を演算し、前記演算された回転数となるように前記エンジンを制御し、前記所定の条件は、回生時に前記エンジンが所定回転数内で駆動されていることをさらに含むことを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、前記可変容量油圧ポンプの吐出圧油を前記油圧アクチュエータに導いてその駆動を制御する制御弁と、前記制御弁が中立位置に切り替えられたときに前記可変容量油圧ポンプの吐出圧をタンクへ戻す戻り通路に設けられ、前記戻り通路を流れる吐出油の流量を制御する流量制御弁と、前記走行電動機からの回生電力が前記蓄電装置の充電可能電力を超えているときであって、前記要求回生制動力が所定の閾値以上のときは、その大きさに応じて、油圧回路内の圧損を調整し、前記可変容量油圧ポンプの吐出圧を調節する前記制御弁を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
図面を参照しながら、本発明の実施の形態によるハイブリッド式作業車両について説明する。図1は実施の形態のハイブリッド式作業車両200の一例として示されるホイールローダの外観側面図であり、図2はハイブリッド式作業車両200の主要構成を示す回路ブロック図である。
なお、キャパシタ3に代えて、たとえば鉛蓄電池や、リチウムイオンバッテリのようは2次電池を用いてもよい。
なお、図9を参照して後述するように、要求回生制動力が所定の閾値以上では、冷却ファン305の回転数が最大値なるように第2油圧ポンプ301の傾転量が最大値に制御される。
アクセル要求トルク Trq_acc_req …図6のアクセル要求トルクマップ
走行要求トルク Trq_drv_req …(2)式
走行要求出力値 Pwr_drv_req …(3)式
エンジン出力指令値 Pwr_eng_t …(9)式
回生電力低減指令値 dPwr_mot_t …(6)式
発電出力指令値 Pwr_gen_t …(8)式
発電電動機トルク指令値 Trq_gen_t …(10)式
走行電動機トルク指令 値 Trq_mot_t …(12)式
エンジン回転数指令値 Neng_t
制動トルク指令値 Trq_brk_t …(13)式
エンジン回転数 Neng
走行電動機回転数 Nmot
蓄電管理部110は、キャパシタ3の許容充電電力を演算して出力演算部140に出力する。蓄電管理部110には、コンバータ4で検出されるキャパシタ3の蓄電電圧が入力される。蓄電管理部110は、コンバータ4から入力したキャパシタ3の蓄電電圧と、メインコントローラ100内の記憶装置(不図示)に記憶された許容充電電力マップとに基づいて、キャパシタ3の許容充電電力を算出する。
油圧要求演算部120は、第1および第2油圧ポンプ9,301の油圧要求出力値Pwr_pmp_reqを演算する。油圧要求演算部120には、リフトレバーおよびバケットレバー、すなわち操作装置31からレバー信号が入力され、第1油圧ポンプ9とコントロールバルブ11との間に設けられた第1圧力センサ293から第1ポンプ圧ppmp1が入力される。また、第2圧力センサ294で検出した第2ポンプ圧Ppmp2と、油温センサ307で検出した油温が入力される。なお、説明を簡略化するため、ステアリングホイールの操作およびステアリングシリンダ12の動作については演算に含めないものとする。
Pwr_pmp_req=qpmp1_req・ppmp1+qpmp2_req・ppmp2 …(1)
なお、説明を簡略化するため、第1および第2油圧ポンプ9、301の効率は考慮しない。また、以下の計算式において油圧ポンプを含む全ての機器類の効率は考慮しない。
走行要求演算部130は、走行時に走行電動機7F,7Rに要求されるトルクである走行要求トルクTrq_drv_reqを(2)式に基づいて算出して出力し、走行時に走行電動機7で消費または発生(回生)される電力である走行要求出力値Pwr_drv_reqを(3)式に基づいて算出して出力する。このとき、走行要求演算部130は、メインコントローラ100の記憶装置(不図示)に記憶されたアクセル要求トルクマップを用いて演算を行う。
Tre_drv_req=Trq_acc_req−sign(Nmot)・Kbrk・Vbrk …(2)
ただし、signは符号関数であり、引数が正の場合は1を、負の場合は「−1」を、0の場合は「0」を返すものとする。さらに、前後進スイッチ信号VFNRは、前後進スイッチが前進方向の場合は「1」を、後進方向の場合は「−1」を、中立の場合は「0」を示す。Kbrkは比例定数であり、ブレーキペダルの操作によって過不足のない減速が得られるように予め設定されている。
Pwr_drv_req=VDC・IDC_mot …(3)
(3)式によれば、回生運転時の走行要求出力値Pwr_drv_reqは負の値をとる。
出力管理部140には、エンジンコントローラ2からのエンジン回転数Nengと、蓄電管理部110からの許容充電電力Pwr_chg_maxと、油圧要求演算部120からの油圧要求出力値Pwr_pmp_reqと、走行要求演算部130からの走行要求出力値Pwr_drv_reqとが入力される。
出力管理部140は、(4)式に基づいて余剰電力Pwr_supを算出する。また、(5)式に基づいて傾転角増加指令dDpmpを算出して出力し、(6)式に基づいて回生電力低減指令値dPwr_mot_tを算出して出力し、(8)式に基づいて発電出力指令Pwr_gen_tを算出して出力し、(9)式に基づいてエンジン出力指令値Pwr_eng_tを算出して出力する。
なお、出力管理部140は、エンジン回転数を受信して演算に用いているが、エンジン1、発電電動機5および第1および第2油圧ポンプ9、301が機械的に接続されているため、エンジン回転数に代えて発電電動機5および第1または第2油圧ポンプ9の回転数をセンサ等を介して適宜受信して演算に用いてもよい。
出力管理部140は、走行要求演算部130で(3)式から算出した走行要求出力値Pwr_drv_reqを受信する。この走行要求出力値Pwr_drv_reqが0以上であれば、出力管理部140はハイブリッド式作業車両200が力行運転中と判断し、走行要求出力値Pwr_drv_reqが負であればハイブリッド式作業車両200が回生運転中と判断する。ハイブリッド式作業車両200が回生運転中と判断すると、出力管理部140は、蓄電管理部110からの許容充電電力Pwr_chg_maxと、走行要求演算部130からの走行要求出力値Pwr_drv_reqとを用いて、以下の式(4)により、余剰電力Pwr_supを算出する。
Pwr_sup=max(|Pwr_drv_req|−Pwr_chg_max,0)…(4)
なお、回生電力で駆動される発電電動機5の負荷は、エンジン1の回転抵抗トルクと第1油圧ポンプ9と第2油圧ポンプ301の負荷である。すなわち、第1油圧ポンプ9の負荷は式(5)で算出される傾転角増加指令dDpmp_tに基づく負荷である。第2油圧ポンプ9の負荷は傾転量が最大値の時の吸収トルクに相当する負荷である。これら回生時の第1および第2油圧ポンプ9,301の傾転量増加は傾転角制御部170から各ポンプのレギュレータに対する制御であり、余剰電力で駆動中の発電電動機5にとって負荷が増量されることとなる。
すなわち、出力管理部140は、(4)式で算出される余剰電力Pwr_supから以下のことを認識することができる。
(a)余剰電力Pwr_supが0のとき、回生電力でキャパシタ3を充電することができると認識する。
(b)余剰電力Pwr_supが0ではないとき、回生電力でキャパシタ3を充電することのみでは不十分であると認識する。
出力管理部140は、ハイブリッド式作業車両200が回生運転中と判断すると、エンジン1の回転数Nengが第1設定閾値Neng_th1以下であるか、さらに第2設定閾値Neng_th2以下であるかを判定する。ここで、第1設定閾値Neng_th1および第2設定閾値Neng_th2は、「エンジン1のアイドル回転数<第1設定閾値Neng_th1<第2設定閾値Neng_th2<min(エンジン1の最高回転数、第1油圧ポンプ9の最高回転数、第2油圧ポンプ301の最高回転数)」を満たすように設定されている。第1設定閾値Neng_th1および第2設定閾値Neng_th2は、メインコントローラ100の記憶装置に記憶され、必要に応じて適宜再設定が可能である。なお、エンジン1の回転数に代えて、発電電動機5の回転数を用いても良いし、第1油圧ポンプ9の回転数を用いても良いし、第2油圧ポンプ301の回転数を用いても良い。
なお、ハイブリッド式作業車両200が力行運転中と判断された場合には、出力管理部140は、エンジン回転数Nengの大小にかかわらず、エンジン1を通常モードと判定する。
以上のように、この実施の形態のハイブリッド作業車両200ではエンジン1の運転モードを以下の4つのモードに分類している。
回生運転時は、低回転モードと、回転抑制モードと、高回転モードに分類し、力行運転時は、通常モードに分類する。
出力管理部140は、油圧要求演算部120で(1)式から算出された油圧要求出力値Pwr_pmp_reqに基づいて、ステアリングシリンダ12、リフトシリンダ13およびバケットシリンダ14のいずれが動作中であるかを判定する。第1油圧ポンプ9の吐出量が第1ポンプ最小吐出流量より多ければ、出力管理部140はステアリングシリンダ12、リフトシリンダ13およびバケットシリンダ14が動作中であると判定する。
さらに、出力管理部140は、以下の3つの条件(i)〜(iii)を満たす場合に、第1油圧ポンプ9の傾転角を増加するための傾転角増加指令dDpmp_tを下記(5)式にしたがって算出する。
(i)ハイブリッド式作業車両200が回生運転中と判定された場合
(ii)走行電動機7F,7Rの余剰電力で発電電動機5が駆動されているとき、ステアリングシリンダ12、リフトシリンダ13およびバケットシリンダ14のいずれも動作中でないと判定された場合
(iii)エンジン1が回転抑制モードまたは高回転モードと判定されている場合
dDpmp_t=max{KnD(Neng−Neng_th1),0}…(5)
ただし、KnDは、第1設定閾値Neng_th1と実回転数Nengの差から傾転角増加指令を算出する比例定数であり、あらかじめメインコントローラ100に記憶されている。
出力管理部140は、走行電動機7F,7Rの余剰電力で発電電動機5が駆動され、かつエンジン1が高回転モードと判定された場合に、走行電動機7F,7Rが発電する回生トルクを低減するための回生電力低減指令値dPwr_mot_tを算出する。出力管理部140は、エンジンコントローラ2から入力されたエンジン指示回転数Nengと、第2設定閾値Neng_th2とを用いて、以下の(6)式により回生電力低減指令値dPwr_mot_tを算出する。
dPwr_mot_t=max{KnP(Neng−Neng_th2),0}…(6)
なお、(6)式において、KnPは、第2設定閾値Neng_th2とエンジン指示回転数Nengとの差から回生電力低減指令値を算出する比例定数である。
エンジン1が通常モード、低回転モード、回転抑制モードのいずれかの場合には、出力管理部140は回生電力低減指令値dPwr_mot_tを0に設定する。
出力管理部140は、ハイブリッド式作業車両200が回生運転中であると判定した場合に、走行電動機7F,7Rで発生する回生電力のうち発電電動機5で消費すべき電力である消費電力Pwr_cnsを算出する。出力管理部140は、算出した余剰電力Pwr_supと、算出した回生電力低減指令値dPwr_mot_tとを用いて、以下の(7)式から消費電力Pwr_cnsを算出する。
Pwr_cns=max(Pwr_sup−dPwr_mot_t,0)…(7)
ただし、出力管理部140は、ハイブリッド式作業車両200が力行運転中と判定した場合には、消費電力Pwr_cnsを0に設定する。すなわち、出力管理部140は、回生運転時にのみ、(7)式により消費電力Pwr_cnsを算出する。
Pwr_gen_t=max(Pwr_drv_req,0)−Pwr_cns …(8)
力行運転時、消費電力Pwr_cnsは0に設定され、また、走行要求出力値Pwr_drv_reqは正の値をとるので、(8)式の発電出力指令Pwr_gen_tは、(3)式で算出される走行要求出力値Pwr_drv_reqとなる。一方、回生運転時、走行要求出力値Pwr_drv_reqは負の値をとるので、(8)式の発電出力指令Pwr_gen_tは、(7)式で算出される消費電力Pwr_cnsとなる。
換言すると、力行時の発電出力指令Pwr_gen_tは走行要求出力値Pwr_drv_reqであり、回生時の発電出力指令Pwr_gen_tは消費電力Pwr_cnsであり、負の値をとる。
Pwr_eng_t=Pwr_pmp_req+Pwr_gen_t…(9)
力行運転時、出力管理部140が算出するエンジン出力指令Pwr_eng_tは、第1ポンプ要求流量qpmp1_reqと第1ポンプ圧力ppmp1との積に、第2ポンプ要求流量qpmp2_reqと第2ポンプ圧力ppmp2との積を加算した油圧要求出力値Pwr_pmp_req((1)式で算出される)に、(8)式で算出した走行要求出力値Pwr_drv_reqである発電出力指令Pwr_gen_tを加算したものとなる。
回生運転時、出力管理部140が算出するエンジン出力指令Pwr_eng_tは、第1ポンプ要求流量qpmp_reqと第1ポンプ圧力ppmpとの積に、第2ポンプ要求流量qpmp2_reqと第2ポンプ圧力ppmp2との積を加算した油圧要求出力値Pwr_pmp_req((1)式で算出される)に、(7)式で算出した消費電力Pwr_cnsである発電出力指令Pwr_gen_tを加算したものとなる。
換言すると、力行時のエンジン出力指令Pwr_eng_tは油圧要求出力値Pwr_pmp_reqに走行要求出力値Pwr_drv_reqを加算したものであり、回生時のエンジン出力指令Pwr_eng_tは油圧要求出力値Pwr_pmp_reqから消費電力Pwr_cnsを減算したものである。
目標回転数演算部150は、エンジンコントローラ2に送信するエンジン回転数指令Neng_tを算出する。目標回転数演算部150は、出力管理部140で算出されたエンジン出力指令Pwr_eng_tが正の場合、エンジン等燃費マップを用いて、最もエンジン効率が高くなる動作点を算出する。そして、目標回転数演算部150は、算出した動作点でのエンジン回転数をエンジン回転数指令Neng_tとする。エンジンコントローラ2は、エンジン回転数指令Neng_tを目標回転数演算部150から受信すると、そのエンジン回転数指令が示すエンジン回転数でエンジン1を回転させる。また、Pwr_engが負の場合、エンジン指示回転数がそのまま目標値となる。ただし、エンジン指示回転数Nengが第2設定閾値Neng_th2を超える場合、第2設定閾値Neng_th2がそのままエンジンコントローラ2へ送信される。
発電電動機制御部160には、エンジンコントローラ2からの実エンジン回転数Nengと、出力管理部140からの発電出力指令Pwr_gen_tと、目標回転数演算部150からのエンジン回転数指令Neng_tとが入力される。発電電機制御部160は、これらの値を用いて、以下の(10)式によって発電電動機トルク指令値Trq_gen_tを算出する。
Trq_gen_t=Kp(Neng_t−Neng)
−Pwr_gen_t/Neng …(10)
ただし、Kpは、エンジン回転数Nengとエンジン回転数指令Neng_tとの差から発電電動トルクを算出する比例定数である。
そして、発電電動機制御部160は、算出した発電電動機トルク指令値Trq_gen_tを発電インバータ6に送信する。これにより、発電電動機5が駆動制御される。
エンジン回転数指令Neng_tがエンジン回転数Nengより高い場合というのは、エンジン回転数Nengがラグダウンしている状況である。これを放置すると、最悪の場合エンジンストールしてしまうため、発電電動機制御部160は、エンジン回転数Neng_tとエンジン実回転数Nengの偏差量に応じて発電電動機5のトルク指令Trq_gen_tを低減し、ラグダウンを抑える制御を行う。
一方、エンジン回転数指令Neng_tがエンジン回転数Nengより低い場合は、エンジン回転数がオーバーシュートしている状況である。今度は、エンジンが過回転になる虞があり、これを防止するため、トルク指令Trq_gen_tを増大させ、オーバーシュートを抑える制御を行う。
傾転角制御部170は、下記の(11)式に基づいて、傾転角制御信号VDp1_tを算出して、この傾転角制御信号に基づいて第1油圧ポンプ9の図示しないレギュレータを駆動することによって、第1油圧ポンプ9の傾転角、すなわち容量を制御する。傾転角制御部170は、エンジンコントローラ2からのエンジン回転数Nengと、油圧要求演算部120からの第1ポンプ要求流量qpmp1_reqと、出力管理部140からの傾転角増加指令dDpmp_tとを用いて、以下の式(11)によって傾転角制御信号(傾転角制御指令)VDp1_tを算出する。
VDp1_t=KDp1{(qpm1p_req/Neng)+dDpmp1_t} …(11)
なお、KDpは、第1油圧ポンプの傾転角を目標値とするために必要な傾転制御信号を算出するための比例定数である。
また、力行運転中と判定された場合には、出力管理部140は傾転角増加指令dDpmp_tを0に設定する。さらに、回生運転中、回生電力の全量がキャパシタ3に充電することができず余剰電力が0でなく、かつ、第1油圧ポンプ9の負荷が小さいときには、出力管理部140は、(5)式で算出された傾転角増加指令dDpmp_tを出力する。その結果、第1油圧ポンプ9の傾転角が大きくなって余剰電力の消費量が増加する。
VDp2_t=KDp2{qpmp2_req/Neng) …(11A)
なお、KDp2は、第2油圧ポンプ301の傾転角を目標値とするために必要な傾転制御信号を算出するための比例定数である。
走行電動機・ブレーキ制御部180には、走行要求演算部130で(2)式から算出された走行要求トルクTrq_drv_reqと、回転数センサ22からの走行電動機回転数Nmotと、出力管理部140で(6)式から算出された回生電力低減指令値dPwr_mot_tとが入力されている。走行電動機・ブレーキ制御部180は、これらの値を用いて、以下の(12)式によって走行電動機トルク指令値Trq_mot_tを算出する。
Trq_mot_t=Trq_drv_req+dPwr_mot_t/Nmot …(12)
Trq_brk_t=dPwr_mot_t/|Nmot| …(13)
ブレーキ制御部190は、走行電動機・ブレーキ制御部180で演算された制動トルク指令値Trq_brk_tから次式(14)を用いてブレーキ制御信号Vbrk_tを演算する。
Vbrk_t=KbrkTrq_brk_t …(14)
ただし、Kbrkは、制動トルク指令値Trq_brk_tと油圧ブレーキの実際の制動トルクとが一致するように予め設定された比例定数である。
ブレーキ制御信号Vbrk_tに基づいて、油圧ブレーキ制御弁36a、36bを駆動して油圧ブレーキ35a、35bが車輪18を制動する。これが回生協調時の機械的ブレーキ力である。
以下、メインコントローラ100により行われる処理について詳細に説明する。以下の説明は、ハイブリッド式作業車両200が力行運転中の場合と、回生運転中の場合とに分けて行う。
−力行運転の場合−
力行運転時に走行電動機・ブレーキ制御部180から出力される走行電動機トルク指令値Trq_mot_tを説明する。上述したように、走行電動機トルク指令値Trq_mot_tは(12)式から算出される。力行運転時、走行電動機・ブレーキ制御部180は、走行電動機トルク指令値Trq_mot_tとして、走行要求トルク指令Trq_drv_reqを出力する。走行用インバータ8F,8Rはこの走行要求トルク指令Trq_drv_reqにより駆動され、走行電動機7F,7Rは要求されたトルクを出力する。
回生時に走行電動機・ブレーキ制御部180から出力される走行電動機トルク指令値Trq_mot_tを説明する。上述したように、走行電動機トルク指令値Trq_mot_tは(12)式から算出される。回生時、走行要求トルクTrq_drv_reqは負であり、回生電力低減指令値dPwr_mot_tが所定値となる。走行要求トルクの絶対値|Trq_drv_req|から、回生電力低減指令値dPwr_mot_tを走行電動機回転数Nmotの絶対値で除して求めた回生電力低減トルクを減算した値の負の値が走行電動機トルク指令値Trq_mot_tとなる。これが回生制動トルクである。インバータ8F,8Rはこの回生制動トルク指令に基づいて駆動され、走行電動機7F,7Rからの回生電力を取り出し、発電機インバータ6により発電電動機6を駆動制御する。
エンジン1が低回転モードの場合、すなわちエンジン1の回転数Nengが第1設定閾値Neng_th1以下の場合、出力管理部140は、余剰電力Pwr_supと、回生電力低減指令値dPwr_mot_tとを用いて、上記の(7)式から消費電力Pwr_cnsを算出する。上述したように、エンジン1が低回転モードの場合には、出力管理部140は回生電力低減指令値dPwr_mot_tを0に設定するので、低回転モードの場合には、余剰電力Pwr_supが消費電力Pwr_cnsとなる。
エンジン1が回転抑制モードの場合、出力管理部140は、ステアリングシリンダ12、リフトシリンダ13およびバケットシリンダ14のいずれも動作中でなければ傾転角増加処理を行った後、上記の式(7)から消費電力Pwr_cnsを算出する。傾転角増加処理では、出力管理部140は、エンジン回転数Nengと、第1設定閾値Neng_th1とを用いて、上記の式(5)により傾転角増加指令dDpmp_tを算出する。そして、出力管理部140は、低回転モードの場合と同様に上記の式(7)から消費電力Pwr_cnsを算出する。上述したように、エンジン1が回転抑制モードの場合には、出力管理部140は回生電力低減指令値dPwr_mot_tを0に設定するので、回転抑制モードの場合においても、余剰電力Pwr_supが消費電力Pwr_cnsとなる。
エンジン1が高回転モードの場合、出力管理部140は、回生電力低減処理を行った後、上記の式(7)から消費電力Pwr_cnsを算出する。回生電力低減処理では、出力管理部140は、エンジン回転数Nengと、第2設定閾値Neng_th2とを用いて、上記の式(6)により回生電力低減指令値dPwr_mot_tを算出する。なお、高回転モードの場合であっても、出力管理部140は、ステアリングシリンダ12、リフトシリンダ13およびバケットシリンダ14のいずれも動作中でなければ、回転抑制モードの場合と同様に傾転角増加処理を行う。
回生運転中の走行電動機7F,7Rによる回生電力がキャパシタ3に充電可能な許容充電電力を上回っている場合、すなわち、回生運転中にキャパシタ3に充電できない場合、上述したように、走行電動機7F,7Rの発電電力で発電電動機5を駆動して回生電力を消費する。また、第1油圧ポンプ9の傾転量を大きくする制御を行って、エンジン1の負荷を大きくして発電電動機5の消費電力を大きくする。さらに、本発明によるハイブリッド式作業車両の第1の実施形態においては、冷却モータ用油圧ポンプ301の傾転量を大きくしてポンプ吸収馬力を大きくし、これにより、発電電動機5の負荷を大きする。その結果、発電電動機5で消費する回生電力を増加させることができ、回生ブレーキ力を増大化することができる。
なお、上記の閾値Trq_drv_th1は、発電電動機5の最大吸収馬力に相当する回生制動力の値として設定され、予めメモリ(不図示)等に格納されている。すなわち、走行電動機7F,7Rからの回生電力が発電電動機5の最大消費電力を超えるときは、冷却モータ用油圧ポンプ301の傾転量を増加させて回生電力消費量を増加させる。
(1)第1の実施の形態のハイブリッド式作業車両は、蓄電装置であるキャパシタ3と、エンジン1によって駆動される発電電動機5と、発電電動機5によって駆動される第1可変容量油圧ポンプである掘削用の第1油圧ポンプ9と、第1油圧ポンプ9から供給される圧油によって駆動される第1油圧アクチュエータであるステアリングシリンダ12,リフトシリンダ13,バケットシリンダ14と、発電電動機5によって駆動される第2可変容量油圧ポンプである第2油圧ポンプ301と、第2油圧ポンプ301から供給される圧油によって駆動される第2油圧アクチュエータである油圧モータ304と、蓄電装置3および発電電動機5と電気的に接続され、蓄電装置3および発電電動機5からの電力で駆動されて車輪18に走行駆動力を与える走行電動機7F,7Rとを備え、走行電動機7F,7Rが回生制動時に発生する回生電力で蓄電装置3を充電するようにしている。そして、走行電動機7F,7Rからの回生電力が蓄電装置3の充電可能電力を超えているとき、発電電動機5の負荷が大きくなるように第2油圧ポンプ301の傾転量を制御する制御手段であるメインコントローラ100を備える。
したがって、第2油圧ポンプ301を駆動している発電電動機5の負荷が大きくなり、回生時のブレーキ力を大きくすることができる。第1および第2油圧ポンプと第1および第2油圧アクチュエータは作業車両に必須の構成である。したがって、既存の構成を用いて回生時のブレーキ力の増加を実現することができるので、製造コストの増加を抑制できる。
図面を参照して、本発明によるハイブリッド式作業車両の第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態による作業車両は、コントロールバルブ11の戻り油路に固定絞り310を設け、回生制動時に第1油圧ポンプ9の負荷をさらに大きくするものである。
以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、油圧回路に固定容量式流量制御弁を設ける点で第1の実施の形態とは異なる。
Q=kd2{(P1−P2)/ρ}1/2 …(15)
なお、dは固定絞り310の直径、P1は固定絞り310の上流側の圧力、P2は固定絞り310の下流側の圧力、ρは流体の単位体積重量を表す。
F=P1Q=kd2{P12(P1−P2)/ρ}1/2 …(16)
走行電動機7F,7Rが回生制動時に発生する回生電力でキャパシタ3を充電するようにしたハイブリッド式作業車両200が有するメインコントローラ100は、走行電動機7F,7Rによって発生する回生電力を消費する発電電動機5の負荷を増大させるために、可変容量式の第1油圧ポンプ9の容量を制御するとともに、第2油圧ポンプ301の傾転量を最大値にして圧油を油圧モータ304に供給するようにした。また、第1油圧ポンプ9から吐出された圧油の戻り流路に固定絞り310を設けるようにした。したがって、余剰電力の一部が固定絞り310にて消費され、第1油圧ポンプ9の負荷をさらに増大することができる。したがって、第1油圧ポンプ9と第2油圧ポンプ301を駆動している発電電動機5の負荷をより大きくすることができるので、第1の実施の形態の場合と比べて、さらに回生時のブレーキ力を大きくすることができる。
図面を参照して、本発明によるハイブリッド式作業車両の第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態による作業車両は、第1の実施の形態の作業車両に対して、第1および第2油圧ポンプ9,301を固定容量型のポンプとし、固定絞り310を可変絞り313に変更したものである。
以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、油圧回路に可変容量式流量制御弁を設けるとともに、油圧回路に設けられた油圧ポンプは固定容量式のものを用いる点で第1の実施の形態とは異なる。
なお、上記の閾値Trq_drv_th1は、発電電動機5の最大吸収馬力に相当する回生制動力の値として設定され、予めメモリ(不図示)等に格納されている。すなわち、走行電動機7F,7Rからの回生電力が発電電動機5の最大消費電力を超えるときは、可変絞り313の絞り面積を小さくして回生電力消費量を増加させる。
なお、第2油圧ポンプ301は固定容量であり、油温に応じて冷却ファン速を速くすることはできない。すなわち、図9に示したような油温に応じた傾転制御は行わない。
走行電動機7F,7Rが回生制動時に発生する回生電力でキャパシタ3を充電するようにしたハイブリッド式作業車両200が有するメインコントローラ100は、走行電動機7F,7Rによって発生する回生電力を増大させるために、可変絞り313を制御して、固定容量式の第3油圧ポンプ311から吐出された作動油の圧力を変更可能に制御するようにした。したがって、余剰電力で駆動されて第3油圧ポンプ311を駆動している発電電動機5の負荷が大きくなり、回生時のブレーキ力を大きくすることができる。
(1)実施形態の作業車両200では、一対の走行電動機7F,7Rを使用しているが、一つの走行電動機を使用した作業車両でもよい。
(2)ステアリングシリンダ12を、第2油圧ポンプ301の圧油で駆動するようにし、ステアリングシリンダ12の戻り油で油圧モータ304を駆動するようにしてもよい。
(3)エンジン1により駆動された発電電動機5によって走行電動機7F,7Rを駆動するシリーズハイブリッド式を用いるものに代えて、エンジン1により走行駆動力を得るとともに、エンジン1により駆動された発電電動機5による電力で駆動される走行電動機によって走行駆動力を得るようにしたパラレルハイブリッド式を用いてもよい。
(5)第3の実施形態の作業車両はホイールローダで説明したが、回生電力が蓄電装置3の充電可能電力を超えているとき、発電電動機5の負荷が大きくなるように可変絞り313の絞り量を制御する種々のハイブリッド式作業車両にも本発明を適用できる。
たとえば、第1および第2可変容量油圧ポンプと、それらのポンプから吐出される圧油で駆動される第1および第2油圧アクチュエータとを必須の構成部品として備え、回生電力を蓄電装置に充電できないとき、第2可変容量油圧ポンプの傾転量を大きくして回生制動力を大きくするようにした、種々のハイブリッド式作業車両にも本発明を適用できる。
すなわち、本発明は、要求回生制動力の大きさにかかわらず、第2可変容量油圧ポンプの傾転量を大きくして回生制動力を増大させるものでもよい。
あるいは、第1および第2固定容量油圧ポンプと、それらのポンプから吐出される圧油で駆動される第1および第2油圧アクチュエータとを必須の構成部品として備え、回生電力を蓄電装置に充電できないときであって、要求回生制動力が所定の閾値以上のときは、その大きさに応じて第1固定容量油圧ポンプの戻り油路を絞り、第1固定容量油圧ポンプの負荷を大きくして回生制動力を大きくするようにした、種々のハイブリッド式作業車両にも本発明を適用できる。
5…発電電動機、 7F,7R…走行電動機、
9…第1油圧ポンプ、 12…ステアリングシリンダ、
13…リフトシリンダ、 14…バケットシリンダ、
100…メインコントローラ、 110…蓄電管理部、
120…油圧要求演算部、 130…走行要求演算部、
140…出力管理部、 150…目標回転数演算部、
160…発電電動機制御部、 170…傾転角制御部、
180…走行電動機・ブレーキ制御部、 200…ハイブリッド式作業車両、
293,294…圧力センサ、 300…冷却装置
301…第2油圧ポンプ、 304…油圧モータ、
305…冷却ファン、 307…油温センサ、
310…固定容量式流量制御弁(固定絞り)、 311…第3油圧モータ、
312…第4油圧モータ、 313…流量制御弁(可変絞り)
Claims (4)
- 蓄電装置と、
エンジンによって駆動される発電電動機と、
前記エンジンによって駆動され、前記発電電動機の回転軸と直接または間接的に連結された可変容量油圧ポンプと、
前記可変容量油圧ポンプから供給される圧油によって駆動される油圧アクチュエータと、
前記蓄電装置および前記発電電動機と電気的に接続され、前記蓄電装置および前記発電電動機からの電力で駆動されて車輪に走行駆動力を与える走行電動機とを備え、
前記走行電動機が回生制動時に発生する回生電力で前記蓄電装置を充電するようにしたハイブリッド式作業車両において、
前記走行電動機からの回生電力が前記蓄電装置の充電可能電力を超えているとき、前記発電電動機の負荷が大きくなるように前記可変容量油圧ポンプの傾転量を制御する制御手段を備え、
前記可変容量油圧ポンプは、前記発電電動機の回転軸と連結された第1可変容量油圧ポンプと、前記発電電動機の回転軸と直接または間接的に連結された第2可変容量油圧ポンプとを含み、
前記油圧アクチュエータは、前記第1可変容量油圧ポンプから供給される圧油によって駆動される第1油圧アクチュエータと、前記第2可変容量油圧ポンプから供給される圧油によって駆動される第2油圧アクチュエータとを含み、
前記第2油圧アクチュエータは作動油冷却ファンを駆動するための油圧モータであり、
前記制御手段は、前記走行電動機からの回生電力が前記蓄電装置の充電可能電力を超えているとき、前記発電電動機の負荷が大きくなるように前記第2可変容量油圧ポンプの傾転量を制御し、
要求回生制動力が所定制動力以上の場合には、作動油の温度に関わらず、前記第2可変容量油圧ポンプの傾転量を所定制動力未満の場合の前記第2可変容量油圧ポンプの傾転量より大きい値に設定するとともに、前記要求回生制動力が所定制動力未満の場合には、作動油の温度に対応して前記第2可変容量油圧ポンプの傾転量を大きくすることを特徴とするハイブリッド式作業車両。 - 請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、
前記制御手段は、前記走行電動機からの回生電力が前記蓄電装置の充電可能電力を超えているとき、かつ、前記第1油圧アクチュエータが駆動されていないことを含む所定の条件が成立している場合は、前記発電電動機の負荷が大きくなるように前記第1可変容量油圧ポンプの傾転量を制御することを特徴とするハイブリッド式作業車両。 - 請求項2に記載のハイブリッド式作業車両において、
前記制御手段は、
前記走行電動機に要求される走行要求出力を算出し、
前記走行電動機からの回生電力を前記蓄電装置に充電できない余剰電力を前記発電電動機の消費電力として算出し、
走行要求出力と消費電力とに基づいて前記発電電動機の発電出力を算出し、
前記発電出力に応じて前記エンジンの回転数を演算し、
前記演算された回転数となるように前記エンジンを制御し、
前記所定の条件は、回生時に前記エンジンが所定回転数内で駆動されていることをさらに含むことを特徴とするハイブリッド式作業車両。 - 請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、
前記可変容量油圧ポンプの吐出圧油を前記油圧アクチュエータに導いてその駆動を制御する制御弁と、
前記制御弁が中立位置に切り替えられたときに前記可変容量油圧ポンプの吐出圧をタンクへ戻す戻り通路に設けられ、前記戻り通路を流れる吐出油の流量を制御する流量制御弁と、
前記走行電動機からの回生電力が前記蓄電装置の充電可能電力を超えているときであって、前記要求回生制動力が所定の閾値以上のときは、その大きさに応じて、油圧回路内の圧損を調整し、前記可変容量油圧ポンプの吐出圧を調節する前記制御弁を制御する制御手段とを備えることを特徴とするハイブリッド式作業車両。
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