以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
図6および図7に示すように、硬貨処理装置11として、硬貨の入金および出金を行う硬貨入出金機を示す。この硬貨処理装置11は、機体12を有し、この機体12の上部前側(図6左側が前側)には、硬貨を入金する入金口および硬貨を出金する出金口として機能する取引口13が形成されている。この取引口13には、図示しないシャッタが開閉可能に配置されている。
取引口13の下側には、硬貨を受け入れて貯留する受入部14が配置されている。この受入部14には、機体12外から取引口13に投入される入金硬貨などの硬貨を受け入れたり、機体12内から取引口13に払い出される出金硬貨や返却硬貨などの硬貨を受け入れる。この受入部14は、底面の一部が開閉可能で、その開放により硬貨を下方へ放出可能としている。
また、機体12内の上部側には、鉛直方向に対して上部が裏面側に傾斜し、表面が斜め上方に向く傾斜姿勢(図7に示すように、機体12の前面から見て、鉛直方向に対して上部が裏面側である左側に傾斜し、表面が右斜め上方に向く傾斜姿勢)に平板状のベース16が配置されている。このベース16の表面には、硬貨を1枚ずつ分離した状態で搬送する搬送通路17が配置されている。この搬送通路17は、搬送する硬貨の面をガイドする通路面および硬貨の周縁をガイドする通路壁を含む通路部18、およびこの通路部18上に沿って移動するように複数のプーリ19によって支持された搬送体としての搬送ベルト20を備えている。
搬送ベルト20は、通路部18との間に硬貨を受け入れ可能とする間隔をあけた状態に複数のプーリ19によって張設され、通路部18に対向する面からはベルト長手方向の所定間隔毎に硬貨保持部としての複数の搬送突起21が突設されている。そして、搬送ベルト20は、図示しないモータでプーリ19を回転させることにより、通路部18上を搬送ベルト20が移動し、この通路部18と搬送ベルト20との間でかつベルト長手方向に隣り合う搬送突起21間に硬貨を1枚ずつ受け入れ、搬送方向後側の搬送突起21で硬貨を押しながら搬送方向に搬送するように構成されている。
搬送通路17には、機体12の前後方向に設けられる第1の搬送通路部17a、この第1の搬送通路部17aの後端に接続された第2の搬送通路部17b、および第1の搬送通路部17aの上方位置で前後方向に設けられるとともに後端が第2の搬送通路部17bに接続された第3の搬送通路部17cが設けられている。第3の搬送通路部17cの前端は、取引口13に接続され、第3の搬送通路部17cの前端から受入部14に硬貨を搬送可能とする。以下、第3の搬送通部17cから第2の搬送通路部17bおよび第1の搬送通路部17aへ向けて硬貨を搬送する方向を収納搬送方向(第1の搬送方向)F1と呼び、逆に、第1の搬送通路部17aから第2の搬送通路部17bおよび第3の搬送通路部17cへ向けて硬貨を搬送する方向を出金搬送方向(第2の搬送方向)F2と呼ぶ。
また、搬送通路17の第1の搬送通路部17aの前端に繰出部23が接続され、第1の搬送通路部17aの繰出部23より後側および第3の搬送通路部17cに複数の金種別収納繰出部24が接続され、第3の搬送通路部17cの金種別収納繰出部24より前側に一時保留部25が接続されている。これら繰出部23、金種別収納繰出部24および一時保留部25は、基本的に同じ構成の硬貨繰出装置(硬貨収納繰出装置)26によって構成されている。
搬送通路17には、繰出部23、金種別収納繰出部24および一時保留部25の各接続位置に対応して、ガイド機構28が配置されている。このガイド機構28により、繰出部23、金種別収納繰出部24および一時保留部25と搬送通路17との間で出し入れする硬貨をガイドするか、搬送通路17内を搬送する硬貨を搬送方向下流側へ通過させるかに応じて選択的に切り換える。
図3には第1の搬送通路部17aの金種別収納繰出部24のガイド機構28を示す。このガイド機構28は、搬送通路17に対して進退移動可能とするガイド部材29を備え、このガイド部材29には、搬送通路17の下側位置に開口する金種別収納繰出部24の出入口26aに対して硬貨を案内するガイド部30、および出入口26aを閉塞して硬貨を搬送方向下流側へ案内する閉塞部31が設けられている。このガイド部材29は、ソレノイドなどの駆動で搬送通路17上に対して進退移動し、硬貨を搬送通路17から金種別収納繰出部24へ振り分けるとき、および硬貨を金種別収納繰出部24から搬送通路17へ繰り出すときには、ガイド部30が搬送通路17内に突出するとともに閉塞部31が出入口26aを開放する硬貨収納投出位置に移動し、また、硬貨を搬送通路17から金種別収納繰出部24へ振り分けない、および硬貨を金種別収納繰出部24から搬送通路17へ繰り出さないときには、ガイド部30が搬送通路17外に退避するとともに閉塞部31が出入口26aを閉塞する硬貨通過位置に移動する。
また、図6に示すように、第3の搬送通路部17cの金種別収納繰出部24と一時保留部25との間に、搬送する硬貨の少なくとも金種、真偽、正損などを識別する識別部33が配置されている。
なお、受入部14と繰出部23との間には、受入部14から放出される硬貨を繰出部23に導く図示しないシュートが配置されている。また、繰出部23では、入金硬貨と一緒に投入された異物を排出し、機体12の前面に設けられた返却口35へ返却可能とする。
次に、硬貨繰出装置26について、図1ないし図7を参照して説明する。
この硬貨繰出装置26では、硬貨処理装置11において外径が処理対象範囲内の硬貨C(なお、硬貨繰出装置26の説明において硬貨に符号Cを付すが、他の説明では硬貨の符号Cを省略する)を搬送通路17に繰り出し、処理対象範囲を外れた硬貨C1は搬送通路17に繰り出さないように構成されている。外径の処理対象範囲は、例えば、日本円硬貨を処理対象とした場合、1円硬貨の20mmから500円硬貨の26.5mmまでの範囲である。
硬貨繰出装置26は、ベース16の表面側に平行となるように、鉛直方向に対して上部が裏面41b側に傾斜し、表面41aが斜め上方に向く傾斜姿勢(図7参照)で回転する回転円盤41、この回転円盤41の表面41a側との間に硬貨Cを収納する収納部42を形成するカバー43、回転円盤41の表面41aの上部域に対向配置されて回転円盤41から搬送通路17へ向けて繰り出す硬貨Cをガイドする繰出ガイド44、この繰出ガイド44によって回転円盤41の上部域から搬送通路17へ繰り出す硬貨Cが通る湾曲した案内通路45、この案内通路45と搬送通路17とにまたがって配置される受渡円盤46、およびこの受渡円盤46に対向して配置される規制ガイド47などを備えている。
まず、図1ないし図4に示すように、回転円盤41は、回転軸49を中心として回転可能とし、表面41aの周辺域には、径方向の寸法を外径が処理対象範囲内の硬貨1枚の直径寸法より大きいとともに硬貨2枚分の直径寸法より小さい寸法として硬貨Cの硬貨面が接触可能とする硬貨接触面50が形成され、この硬貨接触面50の内周側に環状の溝部51が形成されている。
硬貨接触面50には、収納部42内で硬貨接触面50に硬貨面が接触する1枚の硬貨Cの周縁部に接触して回転円盤41の上部域に拾い上げる繰出突起52が、径方向には複数個ずつで、円周方向には外径が処理対象範囲の硬貨径より大きい所定の間隔をあけて複数配置されている。回転円盤41の表面41a(硬貨接触面50)からの繰出突起52の突出寸法は処理対象とする最小厚さ硬貨の厚さ寸法より小さく、厚さ方向に1枚の硬貨Cのみが引っ掛かるように構成され、また、繰出回転方向(図1ないし図4の反時計回り方向)に対向する先端面が曲面に形成され、反対の後端側の表面が回転円盤41の表面41aから傾斜状に立ち上がる傾斜面に形成されている。
溝部51の内周側には、各繰出突起52で回転円盤41の上部域に拾い上げられる硬貨Cの周縁下部側を支持する硬貨支持部53が、各繰出突起52の位置に対応して円周方向に複数配置されている。回転円盤41の表面41a(硬貨接触面50)からの硬貨支持部53の突出寸法は処理対象とする最小厚さ硬貨の厚さ寸法より小さく、厚さ方向に1枚の硬貨Cのみが載るように構成されている。硬貨支持部53と回転円盤41の外周縁との間の寸法は、径方向の寸法を外径が処理対象範囲内の硬貨1枚の直径寸法より大きいとともに硬貨2枚分の直径寸法より小さく、1枚の硬貨Cのみが載るように構成されている。
これら繰出突起52および硬貨支持部53によって、回転円盤41の回転により収納部42内の硬貨Cを1枚ずつ支持して回転円盤41の上部域に移動させるとともに繰出ガイド44と協働して回転円盤41の上部域から搬送通路17へ向けて繰り出す繰出手段54が構成されている。
回転円盤41の硬貨接触面50には、各繰出突起52および硬貨支持部53の位置に対応して、図示しない残留検知センサで収納部42内の硬貨Cの残留を検知するための複数のセンサ用孔部55が形成されている。
また、硬貨繰出装置26は、回転円盤41の回転により繰出手段54で回転円盤41の上部域に移動する硬貨Cのうち外径が処理対象範囲外の硬貨C1を繰出手段54から排除させて収納部42内に落下させる排除手段57を備えている。
この排除手段57は、外径が処理対象範囲の硬貨Cより小径の硬貨C1を排除させる複数の小径側排除部58を有している。各小径側排除部58は、図1および図2に示すように、各内周側の繰出突起52と各硬貨支持部53との間で、内周側の繰出突起52のさらに内周側に並んで回転円盤41の表面41a(硬貨接触面50)から突出された排除突起59であり、回転円盤41の繰出回転方向に対向する先端部およびその反対側の後端部には回転円盤41の表面41aから傾斜面や凹円弧面にて立ち上がる接触面60が形成されている。
小径側排除部58の先端側の接触面60は、繰出突起52と硬貨支持部53との両方に周縁部が接触して支持された外径が処理対象範囲内の硬貨Cの周縁位置より外側であって、その硬貨Cと接触しない位置であり、かつ、仮に外径が処理対象範囲より小さい小径硬貨C1の周縁部が繰出突起52と硬貨支持部53との両方に接触して支持されたとした場合にその小径硬貨C1の周縁位置より内側であって、内周側の繰出突起52または硬貨支持部53の一方に接触する小径硬貨C1の周縁部が内周側の繰出突起52または硬貨支持部53の他方に接触する前に接触する位置に配置されている。すなわち、繰出突起52と硬貨支持部53と小径側排除部58の先端側とに接する仮想円の直径が、処理対象範囲の硬貨Cの径の下限と同じ、もしくは下限よりもわずかに小さくなるように、小径側排除部58が配置されている。
したがって、外径が処理対象範囲より小径の硬貨C1は、内周側の繰出突起52と硬貨支持部53との両方に接触して支持されることはなく、内周側の繰出突起52または硬貨支持部53と小径側排除部58の先端側の接触面60とに接触することになり、その小径側排除部58の先端側の接触面60に接触することによって回転円盤41の表面41aから浮き上がり、収納部42に落下するように構成されている。
また、図3および図4に示すように、繰出ガイド44は、回転円盤41の硬貨接触面50との間に硬貨Cが入り込まない間隙をあけて対向配置されている。回転円盤41の硬貨接触面50に対向する繰出ガイド44の裏面には、回転円盤41の回転により各繰出突起52および小径側排除部58が通過可能とする図示しない溝部が形成されている。繰出ガイド44の先端は回転円盤41の溝部51内に入り込んだ状態に配置され、この繰出ガイド44の先端から連続する上縁に上方の搬送通路17へ向けて湾曲しながら硬貨Cを案内するガイド縁部44aが形成されている。
また、案内通路45は、通路面が回転円盤41の表面41a(硬貨接触面50)および搬送通路17の通路面と面一に形成され、回転円盤41の上部域と搬送通路17に開口する出入口26aとの間を接続している。この案内通路45には、ガイド部材29と一体に移動可能して案内通路45の通路面から出没する規制部63が配置されている。この規制部63は、ガイド部材29の閉塞部31が開放状態のときには案内通路45の通路面に埋没して硬貨Cの通過を許容し、閉塞部31が閉塞位置に移動したときには案内通路45の通路面から突出して案内通路45内に進入する硬貨Cを収納部42内に落下させるように構成されている。
また、受渡円盤46は、案内通路45と搬送通路17とにまたがった位置に、受渡円盤46の表面が回転円盤41の表面41a(硬貨接触面50)および搬送通路17の通路面と面一となるように回転可能に配置されている。受渡円盤46の周辺部には、硬貨Cの周縁部に当接して回転円盤41側から搬送通路17へ押しながら繰り出す突部65が突設されている。受渡円盤46は、回転円盤41と連動して回転駆動され、回転円盤41が繰出回転方向(図3および図4の反時計回り方向)に回転するときに、この受渡円盤46も繰出回転方向に(図3および図4の時計回り方向)に回転し、回転円盤41の繰出突起52で押されながら繰出ガイド44に沿って案内通路45に送り込まれる硬貨Cの周縁部に突部65が当接して搬送通路17へ繰り出すように構成されている。
また、図4および図5に示すように、規制ガイド47は、受渡円盤46の表面に対向する位置に配置されており、ベース16の表面に配置された支持部材67に対して、軸68により受渡円盤46の表面との間隔が変化するように揺動可能に軸支されているとともに、スプリング69のばね力により受渡円盤46の表面との間隔が狭まる方向に押し付けられている。規制ガイド47の上部にはレバー部70が突出され、このレバー部70に対して図示しないソレノイドの駆動で移動するリンク71が当接可能としている。
そして、図5(a)に示すように、硬貨繰出装置26から搬送通路17への硬貨Cの繰出時には、規制ガイド用のソレノイドは動作せず、リンク71は規制ガイド47のレバー部70を押さず、規制ガイド47は案内通路45および受渡円盤46の表面との間に硬貨Cが1枚通過する間隔を保持するようにスプリング69で押し付けられている。これにより、硬貨繰出装置26から搬送通路17へ硬貨Cが2枚重なった状態で繰り出されるのを確実に防止できる。また、図5(b)に示すように、搬送通路17から硬貨繰出装置26への硬貨Cの受入時には、規制ガイド用のソレノイドが動作され、リンク71で規制ガイド47のレバー部70がスプリング69の押し付けに抗して押され、規制ガイド47が受渡円盤46の表面から離反して間隔を拡大する。これにより、搬送通路17から案内通路45へ送り込まれる硬貨Cが案内通路45と規制ガイド47との間に入りやすく、硬貨繰出装置26に確実に受け入れて収納することができるように構成されている。
なお、図6に示すように、繰出部23、金種別収納繰出部24および一時保留部25の各硬貨繰出部26は、第1の搬送通路部17aと第3の搬送通路部17cとでの搬送方向の違いや硬貨Cを処理する機能の違いによって向きが逆になっているだけで、基本構成は同一に形成されている。
また、繰出部23においては、回転円盤41の表面41aからの繰出突起52および硬貨支持部53の突出高さが、金種別収納繰出部24や一時保留部25に比べて低く設定されている。
次に、図6に示すように、機体12内の下部には、金種別収納繰出部24に収納しきれないオーバーフロー硬貨を収納するオーバーフロースタッカ80が配置されているとともに、補充硬貨や回収硬貨を収納する硬貨カセット81が配置されている。オーバーフロースタッカ80と硬貨カセット81との間には、これらオーバーフロースタッカ80および硬貨カセット81から繰り出される硬貨を上方の一時保留部25に搬送する搬送機構82が配置されている。
オーバーフロースタッカ80には、硬貨を搬送機構82に繰り出すベルト83、および受入部14内の取り忘れ硬貨を回収する回収カセット84が配置されている。硬貨カセット81には、硬貨を搬送機構82に繰り出すベルト85、およびリジェクト硬貨を回収するリジェクトボックス86が配置されている。
また、第1の搬送通路部17aには、オーバーフロー硬貨をオーバーフロースタッカ80に分岐する分岐部87、取り忘れ硬貨を回収カセット84に分岐する分岐部88、リジェクト硬貨をリジェクトボックス86に分岐する分岐部89、および回収硬貨を硬貨カセット81に分岐する分岐部90が設けられている。
次に、硬貨処理装置11の動作を説明する。
まず、硬貨処理装置11の全体の処理動作について、図6を参照して説明する。
入金処理時には、取引口13のシャッタを開き、取引口13から投入される硬貨を受入部14に受け入れ、取引口13のシャッタを閉じた後、図示しないシュートを通じて受入部14内の硬貨を下方の繰出部23に放出する。
繰出部23内の硬貨を搬送通路17に1枚ずつ繰り出し、搬送通路17で出金搬送方向F2へ向けて搬送し、識別部33で識別する。正規と識別された硬貨は、搬送通路17から一時保留部25に振り分けて保留する。正規と識別されなかった硬貨は、搬送通路17から受入部14へ送り込み、取引口13の図示しないシャッタの開放により受入部14から取出可能とする。
取引口13に投入された全ての硬貨の保留または返却までの処理が完了した後、入金が承認されれば、一時保留部25内の硬貨を金種別収納繰出部24に収納し、また、キャンセルされれば、一時保留部25内の硬貨を返却することになる。
すなわち、入金が承認された場合には、一時保留部25内の硬貨を、搬送通路17に1枚ずつ繰り出し、搬送通路17で収納搬送方向F1へ向けて搬送し、識別部33で識別し、識別結果に基づいて該当する金種の金種別収納繰出部24に振り分けて収納する。金種別収納繰出部24が満杯となった金種の硬貨は、金種別収納繰出部24に収納せず、搬送通路17から分岐部87で分岐してオーバーフロースタッカ80に収納する。
キャンセルされた場合には、一時保留部25内の硬貨を、搬送通路17に1枚ずつ繰り出し、搬送通路17で収納搬送方向F1に搬送し、繰出部23に収納する。一時保留部25内の全ての硬貨を繰出部23に移動させた後、繰出部23内の硬貨を、搬送通路17に1枚ずつ繰り出し、搬送通路17で出金搬送方向F2へ向けて搬送し、搬送通路17から受入部14に送り込む。取引口13のシャッタの開放により、受入部14内から硬貨を取出可能とする。
ところで、繰出部23、金種別収納繰出部24および一時保留部25に採用されている硬貨繰出装置26は、硬貨を1枚ずつ繰出突起52と硬貨支持部53との両方に支持して繰り出すため、例えば変形貨などは繰出突起52や硬貨支持部53に支持されずに繰り出されにくい場合がある。この場合、外部から投入される硬貨に混入していた変形貨が繰出部23から偶然に繰り出され、一時保留部25や金種別収納繰出部24に送り込まれてしまうと、これら一時保留部25や金種別収納繰出部24から変形貨を繰り出せず、硬貨処理装置11がエラー停止することがある。そこで、本実施の形態の硬貨処理装置11では、繰出部23における回転円盤41の表面41aからの繰出突起52および硬貨支持部53の突出高さを、金種別収納繰出部24や一時保留部25に比べて低く設定することにより、繰出部23から変形貨を繰り出しにくくしている。これにより、変形貨が一時保留部25や金種別収納繰出部24に送り込まれて硬貨処理装置11がエラー停止するのを防止でき、繰出部23に残った変形貨は機体12の前面に設けられた返却口35へ返却することができる。
また、出金処理時には、出金する金種の金種別収納繰出部24内の硬貨を、搬送通路17に1枚ずつ繰り出し、搬送通路17で出金搬送方向F2に搬送し、識別部33で識別する。正規と識別された硬貨は、搬送通路17から受入部14に送り込み、また、正規と識別されなかった硬貨は、搬送通路17から一時保留部25に振り分けて保留する。
正規と識別されなかった硬貨が一時保留部25に送り込まれた場合には、金種別収納繰出部24からの硬貨の投出を完了し、出金分の硬貨が受入部14に送り込まれた後、一時保留部25内の硬貨を、搬送通路17に1枚ずつ繰り出し、搬送通路17で収納搬送方向F1に搬送し、識別部33で識別し、再識別によって正規と識別された硬貨は該当する金種別収納繰出部24に収納し、再識別でも正規と識別されなかった硬貨は搬送通路17の分岐部89で分岐してリジェクトボックス86に収納する。
出金分の硬貨を受入部14に送り込んだら、取引口13のシャッタの開放により、受入部14から硬貨を取出可能とする。
取引口13のシャッタを開放してから所定時間経過しても、受入部14上に硬貨が残留していることを図示しないセンサで検知している場合には、取り忘れ硬貨であると判断し、その取り忘れ硬貨を回収する。すなわち、取引口13のシャッタを閉じた後、受入部14内の取り忘れ硬貨を下方の繰出部23に放出する。繰出部23内の取り忘れ硬貨を、搬送通路17に1枚ずつ繰り出し、搬送通路17で出金搬送方向F2へ向けて搬送し、識別部33で識別した後に一時保留部25に一時保留し、この取り忘れ硬貨の金種および枚数を確認した後、一時保留部25から搬送通路17へ硬貨を1枚ずつ繰り出し、搬送通路17で収納搬送方向F1に搬送し、搬送通路17の分岐部88で分岐して回収カセット84に収納する。
また、補充処理時には、オーバーフロースタッカ80または硬貨カセット81に収納されている硬貨を、搬送機構82に繰り出し、搬送機構82で一時保留部25に搬送する。一時保留部25内の硬貨を、搬送通路17に1枚ずつ繰り出し、搬送通路17で収納搬送方向F1へ向けて搬送し、識別部33で識別し、識別結果に基づいて該当する金種の金種別収納繰出部24に振り分けて収納する。金種別収納繰出部24が満杯となった金種の硬貨は、金種別収納繰出部24に収納せず、搬送通路17から分岐部87で分岐してオーバーフロースタッカ80に収納する。
次に、硬貨繰出装置26の動作について、図1ないし図5を参照して説明する。
回転円盤41の表面41aとカバー43との間の収納部42に収納している硬貨Cを繰り出すには、回転円盤41および受渡円盤46が繰出回転方向に回転する。
回転する回転円盤41で収納部42内の硬貨を攪拌するとともに、回転円盤41の回転方向に隣り合う繰出突起52間、および硬貨支持部53とカバー43との間に1枚の硬貨Cが入り込んで、硬貨接触面50に1枚の硬貨Cの面が接触することにより、その硬貨Cに対して回転方向後側(回転方向上流側)の繰出突起52が硬貨Cの周縁部に当接した状態で、回転円盤41の上部域に拾い上げて行く。
硬貨Cが回転円盤41の上部域に移動すると、図1の2点鎖線および図2(a)に示すように、硬貨Cの周縁部が繰出突起52に当接したまま、硬貨Cが重力によって回転円盤41の中心側へ向けて下降移動して硬貨支持部53に接触して載り、硬貨Cの周縁部が繰出突起52と硬貨支持部53との両方に接触して支持された状態となる。すなわち、硬貨Cが、外径が処理対象範囲内の場合であれば、小径側排除部58に接触することはなく、繰出突起52と硬貨支持部53との両方に接触して支持された状態となる。
繰出突起52と硬貨支持部53との両方に接触して支持された硬貨Cは、繰出ガイド44に到達することで、硬貨Cの周縁部が繰出ガイド44に乗り上げ、その後も繰出突起52で押されることにより、繰出ガイド44のガイド縁部44aに沿って回転円盤41から案内通路45へ押し出される。
硬貨Cが回転円盤41から案内通路45へ押し出されることにより、案内通路45内を回転している受渡円盤46の突部65が硬貨Cに接触し、この突部65で繰出突起52から硬貨Cを受け取って引き続き押しながら搬送通路17に繰り出す。
搬送通路17では、搬送ベルト20が硬貨繰出装置26の回転円盤41および受渡円盤46と同期して回転しており、硬貨繰出装置26から繰り出される硬貨Cを搬送ベルト20の搬送突起21間に受け入れて搬送する。
また、収納部42内に外径が処理対象範囲外の小径硬貨C1が混入していて、回転円盤41の回転により、回転円盤41の回転方向に隣り合う繰出突起52間、および硬貨支持部53とカバー43との間に1枚の小径硬貨C1が入り込んで、硬貨接触面50に1枚の小径硬貨C1の面が接触した場合、外径が処理対象範囲内の硬貨Cと同様に、その小径硬貨C1に対して回転方向後側(回転方向上流側)の繰出突起52が小径硬貨C1の周縁部に当接した状態で、回転円盤41の上部域に拾い上げて行く。
小径硬貨C1が回転円盤41の上部域に移動すると、図1の実線および図2(b)に示すように、小径硬貨C1の周縁部が繰出突起52に当接したまま、小径硬貨C1が重力によって回転円盤41の中心側へ向けて下降移動するが、小径硬貨C1の周縁部が硬貨支持部53に当接する前に小径側排除部58の接触面60に接触して乗り上げ、小径硬貨C1の下部側が回転円盤41の表面から浮き上がり、小径硬貨C1が硬貨支持部53に接触して支持されることなく、下方の収納部42内に落下し、小径硬貨C1が繰り出されることがない。
このように、排除手段の小径側排除部58により、回転円盤41の回転により繰出手段54で回転円盤41の上部域に移動される硬貨Cのうち外径が処理対象範囲外の小径硬貨C1を繰出手段54から排除させて収納部42内に落下させるため、外径が処理対象範囲外の小径硬貨C1を繰り出すのを防止できる。
小径側排除部58は、回転円盤41の回転により繰出手段54で回転円盤41の上部域に移動される外径が処理対象範囲内の硬貨Cには接触せず、外径が処理対象範囲外の小径硬貨C1のみに接触可能とする回転円盤41の表面位置から突出するため、小径硬貨C1との接触によってその小径硬貨C1を繰出手段54から確実に排除させ、繰り出されるのを確実に防止できることができるとともに、簡単な構造で実現できる。
そのため、硬貨処理装置11によれば、硬貨繰出装置26から搬送通路17に外径が処理対象範囲外の小径硬貨C1を繰り出すのを防止できるため、エラーの発生を低減できる。
そして、硬貨繰出装置26を適用した繰出部23において、小径硬貨C1が繰り出されずに残った場合には、この繰出部23のカバー43の下部に設けられている図示しない排出口を開放して小径硬貨C1を排出し、機体12の前面に設けられた返却口35へ返却することができ、硬貨処理装置11がエラー停止することなく、処理を継続できる。
また、硬貨繰出装置26から硬貨を繰り出す際、変形貨であったり、硬貨枚数が少数であって特に1枚の場合、収納部42内の硬貨が回転する回転円盤41の繰出突起52などで弾かれて、硬貨が収納部42の底部で暴れてしまい、硬貨が繰出突起52に引っ掛からず、硬貨を繰り出すことができないことがある。硬貨繰出装置26から硬貨が繰り出されないことは、回転円盤41のセンサ用孔部55を通じて図示しないセンサにより検知される。
このような場合には、回転円盤41の回転を一旦停止した後、必要に応じて回転円盤41を繰出回転方向に対して反対に逆転させた後、回転円盤41を繰出回転方向に回転させるリトライ動作を行う。また、リトライ動作を複数回行っても硬貨が繰り出されない場合には、回転円盤41の繰出回転方向に回転する回転速度を通常よりも遅くしてゆっくり回転させることにより、硬貨が繰出突起52に引っ掛かりやすくし、硬貨繰出装置26から硬貨を確実に繰り出すことができる。
この場合、回転円盤41の回転速度を遅くするのに伴って、受渡円盤46の回転速度および搬送ベルト20の回転速度も同期して遅くする。
次に、図8に第2の実施の形態を示す。
排除手段57は、小径側排除部58に加えて、外径が処理対象範囲の硬貨Cより大径の大径硬貨C2を排除させる大径側排除部101を有している。この大径側排除部101は、回転円盤41の表面41aの周辺部近傍に形成された環状の溝部102、および回転円盤41の上部域で溝部102を利用して大径硬貨C2を排除する排除部材103を備えている。
溝部102は、硬貨支持部53からの径方向の距離が、処理対象範囲内の硬貨Cの外径寸法よりも大きい位置で、処理対象範囲外の大径硬貨C2の外径寸法を含む位置に形成されている。
排除部材103は、ベース16などの固定部位に取り付けられており、先端が回転円盤41の表面41aの上部域に対向して配置され、その先端には溝部102内に入り込む排除部104が形成され、回転円盤41の繰出回転方向に対して対向する排除部104の端面には、溝部102内の底位置から排除部材103の表面位置まで立ち上がる傾斜面である接触面105が形成されている。
そして、回転円盤41の回転により、回転円盤41の回転方向に隣り合う繰出突起52間、および硬貨支持部53とカバー43との間に外径が処理対象範囲内の1枚の硬貨Cが入り込んで、硬貨接触面50に1枚の硬貨Cの面が接触した場合に、その硬貨Cに対して回転方向後側(回転方向上流側)の繰出突起52が硬貨Cの周縁部に当接した状態で、回転円盤41の上部域に拾い上げて行く。
硬貨Cが回転円盤41の上部域に移動すると、硬貨Cの周縁部が繰出突起52に当接したまま、硬貨Cが重力によって回転円盤41の中心側へ向けて下降移動して硬貨支持部53に接触して載り、硬貨Cの周縁部が繰出突起52と硬貨支持部53との両方に接触して支持された状態となる。これにより、硬貨Cの周縁部は、回転円盤41の溝部102より内周側に位置し、大径側排除部101の排除部材103の内周側を通過して正常に繰り出されていく。
また、収納部42内に外径が処理対象範囲外の大径硬貨C2が混入していて、回転円盤41の回転により、回転円盤41の回転方向に隣り合う繰出突起52間、および硬貨支持部53とカバー43との間に1枚の大径硬貨C2が入り込んで、硬貨接触面50に1枚の大径硬貨C2の面が接触した場合にも、外径が処理対象範囲内の硬貨Cと同様に、その大径硬貨C2に対して回転方向後側(回転方向上流側)の繰出突起52が大径硬貨C2の周縁部に当接した状態で、回転円盤41の上部域に拾い上げて行く。
大径硬貨C2が回転円盤41の上部域に移動すると、大径硬貨C2の周縁部が重力によって回転円盤41の中心側へ向けて下降移動し、硬貨支持部53に当接して載ったとしても、大径硬貨C2の周縁部の上部側は溝部102上で大径側排除部101の排除部材103と当接する軌跡上に位置する。
そのため、大径硬貨C2の周縁部が排除部材103の排除部104の接触面105に当接して乗り上げ、大径硬貨C2の上部側が回転円盤41の表面から浮き上がり、大径硬貨C2が繰出突起52および硬貨支持部53から外れて下方の収納部42内に落下し、大径硬貨C2が繰り出されることがない。
このように、大径側排除部101は、回転円盤41の回転により繰出手段54で回転円盤41の上部域に移動される外径が処理対象範囲内の硬貨Cには接触せず、外径が処理対象範囲外の大径硬貨C2のみに接触可能とする回転円盤41の周辺域に配置されるため、大径硬貨C2との接触によってその硬貨C2を繰出手段54から確実に排除させることができるとともに、簡単な構成で実現できる。
硬貨処理装置11によれば、硬貨繰出装置26から搬送通路17に外径が処理対象範囲外の大径硬貨C2を繰り出すのを防止できるため、エラーの発生を低減できる。
なお、回転円盤41の溝部102は、回転円盤41の周面に開口する溝形状でもよい。
次に、図9に第3の実施の形態を示す。
排除手段57は、小径側排除部58として、回転円盤41を貫通して設けられた複数の孔部111、この孔部111を通じて回転円盤41の裏面41b側から表面41a側に進退可能とする排除部材112、およびこの排除部材112を進退させる進退機構113を有している。
各孔部111は、各内周側の繰出突起52と各硬貨支持部53との間に形成されているとともに、繰出突起52と硬貨支持部53との両方に周縁部が接触して支持された外径が処理対象範囲内の硬貨Cの周縁位置より外側で、かつ繰出突起52と硬貨支持部53との両方に接触して支持された外径が処理対象範囲より小径の硬貨C1の周縁位置より内側の領域を含み、その領域を中間に置いて回転円盤41の周方向に長い長孔に形成されている。
排除部材112は、孔部111を貫通可能とする円柱状のピン115によって形成されている。
進退機構113は、排除部材112をプランジャの先端に連結した駆動部としてのソレノイド116を有し、このソレノイド116のオンにより排除部材112を回転円盤41から後退させ、ソレノイド116のオフによりプランジャに装着されたスプリング117の押す力で排除部材112が回転円盤41へ向けて進出するように構成されている。
さらに、回転円盤41の回転位置を検知する図示しないセンサ、およびこのセンサの検知に基づく回転円盤41の回転位置にタイミングを合わせて排除部材112を孔部111から回転円盤41の表面41a側に進退させて外径が処理対象範囲外の小径硬貨C1のみを排除するようにソレノイド116の駆動を制御する図示しない制御部を有している。
制御部の制御によりソレノイド116で排除部材112を進退させるタイミングは、接触部材112が回転円盤41に接触することなく、孔部111を通じて、回転円盤41の裏面41b側から表面41a側に進出するとともに、その後に回転円盤41の裏面41b側に後退することを前提とし、繰出突起52と硬貨支持部53との両方に周縁部が接触して支持された外径が処理対象範囲内の硬貨Cには接触せず、繰出突起52と硬貨支持部53との両方に接触して支持された外径が処理対象範囲より小径の硬貨C1には接触するタイミングとされている。
そして、回転円盤41が繰出回転方向に回転するときに、回転円盤41の回転位置の検知に基づいてソレノイド116が作動され、排除部材112が孔部111を通じて回転円盤41の裏面41b側から表面41a側に進退する。
このとき、繰出突起52と硬貨支持部53との両方に接触して回転円盤41の上部域に移動されるのが、外径が処理対象範囲内の硬貨Cの場合には、硬貨Cに排除部材112が接触することがなく、硬貨Cは正常に繰り出されていく。
一方、繰出手段54の繰出突起52と硬貨支持部53との両方に接触して回転円盤41の上部域に移動されるのが、外径が処理対象範囲外の小径硬貨C1の場合には、回転円盤41に対向する小径硬貨C1の硬貨面に排除部材112の先端が接触し、小径硬貨C1が回転円盤41から浮き上がり、小径硬貨C1の周縁部が繰出突起52および硬貨支持部53から外れて収納部42に落下し、小径硬貨C1が繰り出されることはない。
このように、回転円盤41の回転により繰出手段54で回転円盤41の上部域に移動される外径が処理対象範囲外の小径硬貨C1に対向する回転円盤41の位置に設けられた孔部111から、進退機構113によって排除部材112を回転円盤41の表面41a側に進退させることにより、小径硬貨C1に排除部材112が接触してその小径硬貨C1を繰出手段54から確実に排除させることができる。
なお、この小径側排除部58に適用した排除手段57の構成は、大径側排除部101にも適用できる。また、小径側排除部58と大径側排除部101とで1つのソレノイド116を共用してもよい。
次に、図10に第4の実施の形態を示す。
排除手段57は、小径側排除部58として、回転円盤41を貫通して設けられた複数の孔部111、この孔部111を通じて回転円盤41の裏面41b側から表面41a側に進退可能とする排除部材112、およびこの排除部材112を進退させる進退機構113を有している。
各孔部111は、各内周側の繰出突起52と各硬貨支持部53との間に形成されているとともに、繰出突起52と硬貨支持部53との両方に周縁部が接触して支持された外径が処理対象範囲内の硬貨Cの周縁位置より外側で、かつ繰出突起52と硬貨支持部53との両方に接触して支持された外径が処理対象範囲より小径の硬貨C1の周縁位置より内側の領域を含み、その領域を中間に置いて回転円盤41の周方向に長い長孔に形成されている。
進退機構113は、ローラ119、およびこのローラ119を回転可能に支持する支持部材120を有している。ローラ119は、回転方向が回転円盤41の回転方向と一致する向きで、回転円盤41の孔部111の回転軌跡と一致する位置に配置されている。ローラ119およびこのローラ119を支持する支持部材120の先端側は、回転円盤41の孔部111を貫通して回転円盤41の裏面41b側から表面41a側に進退可能とされている。支持部材120は、板ばねで構成され、基端側がベース16などの固定部位に取り付けられており、支持部材120が弾性変形してローラ119が回転円盤41の裏面41bに接触するように支持しているとともに、ローラ119に回転円盤41の孔部111が対向するときに弾性変形に対する反発力でローラ119が孔部111に進入するように支持している。
排除部材112は、支持部材120の先端側から回転円盤41の表面41a側へ向けて突出された突部121によって形成されている。この突部121は、ローラ119が回転円盤41の孔部111に進入したときに、回転円盤41の表面41aから突出するように構成されている。
これら回転円盤41の孔部111、ローラ119、支持部材120および排除部材112は、ローラ119が回転円盤41の裏面41bから孔部111に進入したタイミングで、繰出突起52と硬貨支持部53との両方に周縁部が接触して支持された外径が処理対象範囲内の硬貨Cには排除部材112の突部121が接触せず、繰出突起52と硬貨支持部53との両方に接触して支持された外径が処理対象範囲より小さい小径硬貨C1に排除部材112の突部121が接触するように構成されている。
そして、回転円盤41が繰出回転方向に回転するときに、回転円盤41の孔部111がローラ119の位置に到達する毎に、ローラ119が回転円盤41の裏面41bから孔部111に進入し、その後、ローラ119が孔部111の縁部に当接し、孔部111から後退して回転円盤41の裏面41bに接触する。
このとき、繰出突起52と硬貨支持部53との両方に接触して回転円盤41の上部域に移動されるのが、外径が処理対象範囲内の硬貨Cの場合には、硬貨Cに排除部材112が接触することがなく、硬貨Cは正常に繰り出されていく。
一方、繰出手段54の繰出突起52と硬貨支持部53との両方に接触して回転円盤41の上部域に移動されるのが、外径が処理対象範囲外の小径硬貨C1の場合には、回転円盤41に対向する小径硬貨C1の硬貨面に排除部材112が接触し、小径硬貨C1が回転円盤41から浮き上がり、小径硬貨C1の周縁部が繰出突起52および硬貨支持部53から外れて収納部42に落下し、小径硬貨C1が繰り出されることはない。
このように、回転円盤41の回転により繰出手段54で回転円盤41の上部域に移動される外径が処理対象範囲外の小径硬貨C1に対向する回転円盤41の位置に設けられた孔部111から、進退機構113によって排除部材112を回転円盤41の表面41a側に進退させることにより、小径硬貨C1に排除部材112が接触してその小径硬貨C1を繰出手段54から確実に排除させることができる。
なお、この小径側排除部58に適用した排除手段57の構成は、大径側排除部101にも適用できる。
また、排除手段57を備えた硬貨繰出装置26は、繰出部23、金種別収納繰出部24および一時保留部25の全てに適用してもよいが、少なくとも繰出部23に適用すればよく、外部から機内に投入される外径が処理対象範囲外の硬貨が搬送通路17に繰り出されるのを防止できる。
また、硬貨処理装置は、硬貨入出金機に限らず、硬貨入金機、硬貨出金機、硬貨計数機、および硬貨包装機などの硬貨を処理する機器に適用できる。