JP5440482B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、気筒内に向けて燃料を噴射する直噴インジェクタを備えたエンジンの制御装置に関する。
従来、エンジン(内燃機関)の排気通路上に酸化触媒,三元触媒といった触媒装置を備えた車両の排気浄化制御の一つとして、触媒の温度を迅速に活性温度まで高めるべく排気温度を上昇させる昇温制御が知られている。昇温制御には、排気中に含まれる未燃成分の酸化熱を利用して排気温度を上昇させるものや、点火時期のリタードによって排気温度を上昇させるもの等が存在する。
前者は、排気中の炭素成分(炭化水素HCや一酸化炭素CO等)を触媒上で酸化させるときに生じる酸化熱を排気の昇温に利用するものである。例えば、筒内から排出される排気中に未燃液体成分(炭化水素HC)や未燃気体成分(一酸化炭素CO)が含まれるように、燃料噴射量や燃焼形態を制御する技術が知られている。また、排気通路上に燃料添加弁を追加して、炭化水素を排気中に直接添加する技術もある。
しかし、これらの技術では、エンジンを回転させるのに必要な燃料とは別に、触媒上での酸化反応で消費される燃料,添加剤が必要となる。さらに、触媒上で排気中の炭素成分を酸化させるには、触媒温度が所定の活性温度に達していなければならない。つまり、触媒が十分に温まっていない状態では他の手法を用いて触媒を昇温させる必要がある。
一方、後者は点火時期を圧縮上死点よりも遅角(リタード)側に制御して、排気行程後の排気通路内でも燃焼反応を進行させる(いわゆる後燃え状態とする)ことにより、排気温度を上昇させるものである。点火時期のリタードによって筒内での燃焼速度が低下すると、後燃えの傾向が強まり、排気温度がさらに上昇する。この場合、触媒上での酸化反応に頼ることなく排気温度を上昇させることが可能である。
また、上記のような点火リタード制御に加えて、燃料噴射時期を圧縮行程内に設定することで排気を昇温させる技術も知られている。点火直前の圧縮行程で燃料を噴射すると、燃料の筒内での拡散を抑制しやすく、筒内における燃料濃度の高い部位を点火プラグの近傍に局在化させやすくなる。これにより、点火時期の大幅なリタードが可能となり、排気温度がさらに上昇する。なお、圧縮行程で燃料を噴射する技術としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
特許3680551号公報
しかしながら、エンジンの気筒内での燃焼安定性を考慮すると、点火時期のリタード量には限界があり、排気の昇温速度をさらに上昇させることが難しい。一方、近年では、エンジンに要求される環境性能や車両に要求される排ガス浄化性能が高度化しており、触媒をより早期に活性化するための新たな手法が模索されている。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、排気の昇温速度を促進して触媒の早期活性化を図り、排気性能を向上させることである。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示するエンジンの制御装置は、エンジンの気筒内に燃料を噴射する燃料噴射手段と、前記エンジンの排気通路に介装された触媒の温度を検出する温度検出手段と、前記燃料噴射手段に導入される燃料の圧力を検出する圧力検出手段と、前記温度検出手段で検出された前記触媒の温度、及び、前記圧力検出手段で検出された前記圧力に基づき、前記燃料噴射手段の作動状態を制御する制御手段とを備える。
前記制御手段は、前記エンジンの始動に際して実施する制御モードとして、少なくとも前記圧力が所定値以上の状態で開始され、前記燃料噴射手段によって各気筒の空燃比がストイキよりもややリーンとなる燃料量を圧縮行程で噴射する圧縮スライトリーンモードを有する。
さらに、前記制御手段は、前記制御モードとして、前記圧縮スライトリーンモードでの運転時において前記温度検出手段で検出された前記触媒の温度が所定温度以上であるときに、前記燃料噴射手段で噴射される前記燃料の噴射圧を前記圧縮スライトリーンモードでの目標値に対し低下させる低噴射圧モードを有する。
(2)また、前記圧縮スライトリーンモードは、前記エンジンの始動後、所定時間が経過した後に開始されることが好ましい。
(3)また、前記エンジンを搭載する車両のアクセルの開度を検出する開度検出手段を備え、前記圧縮スライトリーンモードは、前記開度検出手段で検出された前記開度が全閉の際に行われることが好ましい。
)また、前記制御手段が、前記触媒の温度が高いほど、前記噴射圧を低下させることが好ましい。
)また、前記制御手段が、前記燃料の噴射圧を低下させると同時に前記燃料の噴射期間を延長することが好ましい。
)あるいは、前記制御手段が、前記燃料の圧力を低下させる際に前記燃料の噴射期間を維持することが好ましい。
開示のエンジンの制御装置によれば、低噴射圧モードにおける燃料の噴射圧を圧縮スライトリーンモードにおける目標値に対して低下させることにより、噴霧微粒子の粒径を大きくすることができる。これにより、噴射された燃料での層状燃焼を安定化させつつ、気筒内での燃料成分の拡散や均一化を抑制することができ、燃焼安定性を低下させることなく排気中の未燃成分(例えば、未燃気体成分である一酸化炭素COや未燃液体成分である炭化水素HC)の含有量を増大させることができる。
また、燃料の噴射圧を低下させるのは触媒温度が所定温度以上である場合に限られるため、増大した排気中の未燃成分触媒装置で酸化反応を促進することができ、触媒装置よりも下流側への未燃成分の流出量を減少させることができる。
したがって、エンジンの排気通路に介装された触媒の温度を効率的に昇温させることができ、触媒の早期活性化を図ることができ、排気性能を向上させることができる。
一実施形態に係るエンジンの制御装置のブロック構成及びこの制御装置が適用されたエンジンの構成を例示する図である。 本制御装置に記憶される触媒温度と燃圧の目標値との対応関係を例示するマップであり、(a)は燃圧の目標値が二段階に設定されるものであり、(b)は燃圧の目標値が触媒温度に応じて連続的に設定されるものである。 本制御装置で実行されるエンジン始動時のフローチャートの例である。 本制御装置で実行される低噴射圧モード時のフローチャートの例である。 本制御装置による制御内容を説明するためのタイムチャートの例である。
図面を参照してエンジンの制御装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
[1.装置構成]
本実施形態の制御装置は、図1に示す水冷式の多気筒エンジン10(以下、単にエンジン10と呼ぶ)に適用される。ここでは、エンジン10に設けられた各気筒(シリンダ)のうちの一つを示し、気筒20と呼ぶ。
気筒20内には、コンロッドを介してクランクシャフト17に接続されたピストン16が往復摺動自在にはめ込まれている。コンロッドはピストン16の往復運動をクランクシャフト17の回転運動に変換するリンク部材である。また、気筒20の周囲には、冷却水の流路となるウォータージャケット18が設けられる。冷却水は、エンジン10を冷却するための冷媒である。ウォータージャケット18には冷却水通路24が接続されており、冷却水はこれらのウォータージャケット18及び冷却水通路24の内部を循環している。
冷却水通路24上には、電動式のウォーターポンプ25及びラジエータ26が介装される。ウォーターポンプ25は、印加電圧に応じた回転数で駆動され、その回転数に応じた流量(単位時間あたりの流量)の冷却水を吐出する流量可変型のポンプである。ウォーターポンプ25は図示しないバッテリに接続され、このバッテリからの電力供給を受けて作動する。なお、ウォーターポンプ25に印加される電圧(ウォーターポンプ25の回転数)は、後述するECU3で制御される。
ラジエータ26は冷却水と空気(例えば車両外部から導入される外気)との間で熱交換を行うことで冷却水を冷却する熱交換器である。エンジン10で発生した熱はウォータージャケット18内の冷却水に伝達され、ラジエータ26で放熱される。
燃焼室のシリンダヘッド側の頂面には、吸気ポート11及び排気ポート12が接続される。吸気ポート11の入口には吸気弁14が設けられ、排気ポート12の入口には排気弁15が設けられる。吸気弁14の開閉駆動により吸気ポート11と燃焼室とが連通又は閉鎖され、排気弁15の開閉駆動により排気ポート12と燃焼室とが連通又は遮断される。これらの吸気弁14及び排気弁15の上端部は、それぞれ図示しないロッカシャフトに接続され、ロッカシャフトの揺動によって個別に上下方向に往復駆動される。
燃焼室の頂面における吸気ポート11と排気ポート12との間には点火プラグ13が設けられる。点火プラグ13での着火のタイミングは、ECU3で制御される。また、排気ポート12に接続された排気通路21上には、触媒装置22が介装される。この触媒装置22は、排気中に含まれる炭素成分に対する酸化能を持つ触媒であり、例えば三元触媒や酸化触媒等を含むものである。
触媒装置22の近傍には、排気温度CHAIを検出する排気温度センサ9が設けられる。図1では、触媒装置22の上流側に設けられたものが図示されている。排気温度センサ9は、触媒装置22内の触媒温度CCATを把握するための温度センサであり、ここで検出された排気温度CHAIの情報はECU3に伝達される。なお、触媒温度CCATを直接検出する構成としてもよいし、排気温度CHAIに関係する他のパラメータを用いて触媒温度CCATを推定する構成としてもよい。本実施形態では、触媒装置22に流入する排気温度CHAIに基づいてECU3で触媒温度CCATを推定する場合の構成を説明する。
気筒20への燃料供給用のインジェクタとして、吸気ポート11内に燃料を噴射するポート噴射インジェクタ1と、気筒20内に直接的に燃料を噴射する直噴インジェクタ2(燃料噴射手段)とが設けられる。ポート噴射インジェクタ1から噴射された燃料は、例えば吸気ポート11内で霧化し、吸入空気とよく混ざった状態で気筒20内に導入される。一方、直噴インジェクタ2から噴射された燃料は、例えば筒内に形成される層状の空気流に乗って点火プラグ13の近傍に誘導され、吸入空気中に不均一に分布する。
なお、これらの二種類のインジェクタは、エンジン10に設けられる図示しない他の気筒にも設けられる。これらのポート噴射インジェクタ1及び直噴インジェクタ2から噴射される燃料量及びその噴射タイミングは、ECU3で制御される。例えば、ECU3から各インジェクタ1,2に制御パルス信号が伝達され、その制御パルス信号の大きさに対応する期間だけ、各インジェクタ1,2の噴射口が開放される。この場合、燃料噴射量は制御パルス信号の大きさ(駆動パルス幅)に応じた量となる。
ポート噴射インジェクタ1は、低圧デリバリパイプ19Aを介して燃料供給路19に接続される。低圧デリバリパイプ19Aは、各気筒のポート噴射インジェクタ1に対して燃料を分配するために設けられた管状通路である。また、各気筒の直噴インジェクタ2は、高圧デリバリパイプ19B及び高圧ポンプ8を介して燃料供給路19に接続される。高圧デリバリパイプ19Bは、低圧デリバリパイプ19A内よりも高圧の燃料を各気筒の直噴インジェクタ2に対して分配するための管状通路である。直噴インジェクタ2に導入される燃料の圧力(燃圧PHI)は、ポート噴射インジェクタ1に導入される燃料の圧力よりも高圧である。
高圧ポンプ8は、エンジン10のクランクシャフト17と連動する図示しないギヤを介して駆動力を受け、燃料供給路19内の燃料をさらに加圧して高圧デリバリパイプ19B内へと圧送する機械式の流量可変型ポンプである。高圧ポンプ8から吐出される燃料の圧送量FHIは、ECU3で可変制御される。
高圧デリバリパイプ19Bには、燃圧レギュレータ28が併設されている。この燃圧レギュレータ28は、高圧デリバリパイプ19B内の燃料の圧力が適正範囲内に維持されるように、その圧力を調節するものである。例えば、インテークマニホールド内の圧力変動や高圧ポンプ8側から流入する燃料の圧力(圧送圧)等に応じて、高圧デリバリパイプ19B内の燃料の一部を燃料タンク23側へと環流させる機能を持つ。本実施形態の燃圧レギュレータ28で調節される燃圧PHIの目標値は、ECU3によって可変制御される。
燃料供給路19の上流側にはフィードポンプ27が設けられる。このフィードポンプ27は、燃料タンク23に蓄えられた燃料を燃料供給路19側へと圧送する電動式又は機械式のポンプである。フィードポンプ27によって圧送される燃料の圧力PLOは、ポート噴射インジェクタ1に導入される燃料の圧力PLOとなる。フィードポンプ27から吐出される燃料の圧力PLO及び圧送量FLOは、エンジン10の作動時にはほぼ一定としてもよいし、ECU3によって可変制御されるものとしてもよい。
本実施形態のフィードポンプ27は、高圧ポンプ8と同様に、エンジン10から駆動力を受けて作動するポンプである。高圧デリバリパイプ19Bには、直噴インジェクタ2に導入される燃圧PHIを検出する燃圧センサ6が設けられる。ここで検出された燃圧PHIの情報はECU3に伝達される。
また、このエンジン10には、クランクシャフト17の回転角θCRを検出するクランク角度センサ5が設けられる。クランク角度センサ5で検出されたクランクシャフト17の回転角θCRに関する情報はECU3に伝達される。なお、単位時間あたりの回転角θCRの変化量からエンジン回転数Neを把握することができる。したがって、クランク角度センサ5はエンジン10のエンジン回転数Neを検出する手段としての機能を持つ。エンジン回転数Neは、クランク角度センサ5で検出されたクランクシャフトの回転角θCRに基づいてECU3が演算する構成としてもよいし、エンジン回転数Neをクランク角度センサ5の内部で演算する構成としてもよい。
冷却水通路24上の任意の位置には、冷却水温Wを検出する水温センサ4が設けられる。また、エンジン10を搭載した車両の任意の位置には、アクセルペダルの踏み込み量に対応する操作量θACを検出するアクセルペダルセンサ7が設けられる。水温センサ4で検出された冷却水温W及びアクセルペダルセンサ7で検出された操作量θACの情報はECU3に伝達される。
[2.制御構成]
[2−1.制御モード]
ECU3(Electronic Control Unit,電子制御装置)は、エンジン10の各気筒に対して供給される燃料噴射量,燃料供給手法及び点火タイミング等を総合的に制御する電子制御装置であり、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される。
ECU3には、エンジン10の始動時に実施される運転モード(制御状態)として、「MPIモード」,「DIモード」,「圧縮S/Lモード」及び「低噴射圧モード」の四種類のモードが設定されている。
MPIモードは、各気筒のポート噴射インジェクタ1から燃料を供給する制御モードである。ポート噴射インジェクタ1から吸気ポート11内に噴射される燃料に要求される燃料の圧力PLOは比較的低圧であり、すなわちポート噴射インジェクタ1に導入される燃圧が比較的低圧であっても、噴射された燃料を吸気ポート11内で霧化させることが可能である。したがって、MPIモードは、例えばエンジン10を始動させる時やクランキング中から実施可能なモードであるといえる。
DIモードは、各気筒の直噴インジェクタ2から燃料を供給する制御モードである。直噴インジェクタ2から気筒20内に噴射される燃料に要求される燃圧PHIは比較的高圧であり、すなわち直噴インジェクタ2に導入される燃圧PHIが比較的高圧でなければ、噴射された燃料での層状燃焼を安定化させることが難しい。したがって、DIモードはMPIモードよりもやや遅れて実施されるモードであり、例えばエンジン10の始動後に実施される。本実施形態では、直噴インジェクタ2に導入される燃圧PHIがある程度上昇した時点でDIモードが設定される。
圧縮S/Lモードは、排気の早期昇温を図るために圧縮スライトリーン運転を実施するモードであり、空燃比がスライトリーン(ストイキよりも僅かにリーンの空燃比であり、例えば14.7〜16の範囲内の空燃比)になるように、各気筒の直噴インジェクタ2から圧縮行程で燃料を供給しつつ、点火時期を大幅にリタードさせるものである。このモードは、DIモードが設定されている状態でのみ、DIモードと重複して設定される。つまり、圧縮S/Lモードは、DIモードと同様に、直噴インジェクタ2への燃圧PHIが比較的高圧であることを条件としたモードであるといえる。本実施形態では、エンジン10の始動後、所定の時間が経過した時点ですでにDIモードが設定されている場合に、圧縮S/Lモードが設定される。
圧縮S/Lモードでは点火直前の圧縮行程で燃料が噴射されるため、筒内における燃料濃度の高い部位を点火プラグ13の近傍に局在化させやすい(燃料の筒内での拡散を抑制しやすい)という利点があり、適切なタイミングで燃料を供給することで点火時期の大幅なリタードが可能となる。また、点火時期を遅らせて排気行程後の排気通路内でも燃焼反応を進行させる(いわゆる後燃え状態とする)ことにより、排気温度を上昇させることが可能である。なお、点火リタードによって気筒20内での燃焼速度が低下すると、後燃えの傾向が強まり、排気温度はさらに上昇する。
また、圧縮S/Lモードでは気筒20内での混合気の層状化により、空燃比をリーンにしつつ未燃気体成分である一酸化炭素(CO)を排気中に残留させることが可能である。この場合、排気中には燃焼に寄与しなかった空気成分(酸素)も残留するため、触媒装置22での酸化反応が促進され、排気の温度が上昇する。言い換えると、圧縮S/Lモードでは、各気筒から排出される排気中に一酸化炭素及び酸素の両方を残留させる制御が実施される。
低噴射圧モードは、触媒温度CCATに応じて直噴インジェクタ2に導入される燃圧PHIを増減させる制御モードである。このモードは、圧縮S/Lモードが設定されている状態でのみ、圧縮S/Lモードと重複して設定される。本実施形態では、圧縮S/Lモードが設定されてから所定の時間が経過した時点以後に、低噴射圧モードが設定される。つまり、圧縮S/Lモードが設定されていない場合には、低噴射圧モードも設定されない。また、本実施形態では、触媒温度CCATが所定温度C0以上である場合に燃圧PHIを低下させる制御が実施される。
低噴射圧モードでは、直噴インジェクタ2の噴射圧を減少させることにより、気筒20内に供給される燃料の噴霧微粒子の粒径を大きくし、燃焼後に気筒20から排出される排気中の未燃成分(例えば、未燃液体成分である炭化水素HCや未燃気体成分である一酸化炭素CO)の含有量を増大させる制御が実施される。つまり、低噴射圧モード時の制御は、圧縮S/Lモード時における未燃成分の酸化反応をさらに促進するように作用する。
なお、エンジン10の始動時ではない場合等に実施される制御モードとして、上記の四種類のモードとは別個に「通常モード」が設定される。この通常モードは、エンジン10の始動後ある程度の時間が経過して排気温度が十分に昇温したときや、運転者によるアクセル操作がなされて車両が走行し始めたときに設定される。また、通常モードは、冷却水温Wが低く、圧縮S/Lモードやリッチリーンモードといった制御モードでの燃焼安定性が確保しにくい場合にも設定される。なお、具体的な通常モード時の制御内容は任意であり、例えばエンジン10の運転状態や車両の走行状態に応じて適宜設定される。
[2−2.制御部]
ECU3には、上記の各モードでの制御を実施するためのソフトウェア又はハードウェアとして、モード判定部3a,MPI制御部3b,DI制御部3c,圧縮S/L制御部3d及び噴射圧制御部3eが設けられる。ECU3の入力側には水温センサ4,クランク角度センサ5,燃圧センサ6,アクセルペダルセンサ7及び排気温度センサ9が接続され、冷却水温W,回転角θCR(又は回転角θCRに基づいて演算されたエンジン回転数Ne),燃圧PHI,アクセルペダルの操作量θAC,排気温度CHAIがそれぞれ入力される。また、ECU3の出力側には、ポート噴射インジェクタ1,直噴インジェクタ2のほか、点火プラグ13,フィードポンプ27,高圧ポンプ8,ウォーターポンプ25,燃圧レギュレータ28等が接続される。
モード判定部3aは、エンジン10の始動と上記の各モードの設定条件及び設定解除条件を判定するものである。モード判定部3aで判定される条件を以下に例示する。通常モードは他のモードと重複して設定されないモードである。一方、通常モード以外の各モードについては、他のモードと重複して設定されうる。ここで設定されたエンジンの始動及び制御モードに関する情報は、MPI制御部3b,DI制御部3c,圧縮S/L制御部3d及び噴射圧制御部3eに伝達される。
(1)エンジン10の始動
・エンジン回転数Neが所定回転数Ne0以上になった
(2)通常モード
・エンジン始動後、所定の始動時間TENDが経過した
・アクセル操作がなされた
・冷却水温Wが所定温度W0よりも低い
(3)MPIモード
・通常モードが設定されていない
(4)DIモード
・エンジン始動後、所定時間TA以内に燃圧PHIが所定圧PHI0以上となった
(ただし、所定時間TA<所定の始動時間TEND
(5)圧縮S/Lモード
・DIモードが設定された状態でエンジン始動後、所定時間TAが経過し、
かつアクセル全閉
(6)低噴射圧モード
・圧縮S/Lモードの開始後、第二所定時間TBが経過し、
かつ触媒温度CCATが所定温度C0以上
MPI制御部3bは、MPIモード時の制御を司るものであり、ポート噴射インジェクタ1に制御パルス信号を出力して、燃料を吸気ポート11内に噴射させる機能を持つ。ここで出力される制御パルス信号の大きさ(パルス幅)は、ポート噴射インジェクタ1から実際に噴射される燃料量に対応する。
DI制御部3cは、DIモードに係る制御を司るものであり、直噴インジェクタ2に制御パルス信号を出力して、燃料を気筒20内に噴射させる機能を持つ。ここで出力される制御パルス信号の大きさ(パルス幅)は、直噴インジェクタ2から実際に噴射される燃料量に対応する。また、DI制御部3cは、エンジン10が始動すると高圧ポンプ8を制御して、高圧デリバリパイプ19B内の燃圧PHIを上昇させる機能を持つ。ここでいうエンジン10の始動とは、モード判定部3aで判定されるエンジン10の始動を意味し、エンジン回転数Neが所定回転数Ne0以上になった時点でエンジン10が始動したものとする。
圧縮S/L制御部3dは、圧縮S/Lモード時の制御を司るものであり、圧縮行程内で燃料が噴射されるように、各気筒の直噴インジェクタ2に制御信号を出力する機能を持つ。また、各気筒の点火プラグ13に制御信号を出力して点火時期を遅角させる機能を持つ。
噴射圧制御部3eは、低噴射圧モード時に実施される低噴射圧制御を司るものである。低噴射圧制御では、触媒温度CCATに応じて高圧デリバリパイプ19B内の燃圧PHIが燃圧レギュレータ28で調整され、すなわち直噴インジェクタ2の噴射圧が制御される。噴射圧制御部3eには、触媒温度算出部31(検出手段)及び高圧ポンプ制御部32(制御手段)が設けられる。
触媒温度算出部31(検出手段)は、排気温度センサ9で検出された排気温度CHAIに基づき、触媒装置22内の触媒温度CCATを算出するものである。ここでは、例えば触媒の熱容量に基づく時間応答差を考慮し、排気温度CHAIの変動に対して所定の遅れを持って追従するように変動するものして触媒温度CCATを算出する。この場合、排気温度CHAIと触媒温度CCATとの温度差や排気流量,触媒の熱容量等を用いて触媒温度CCATの値やその変化速度を補正してもよい。
なお、具体的な触媒温度CCATの検出,算出手法は任意であり、例えば触媒装置22に内蔵された温度センサの検出情報から直接的に触媒温度CCATを検出してもよいし、公知の演算手法を利用して、触媒装置22の上流側,内部,下流側のうちの少なくとも一箇所の排気温度に基づいて触媒温度CCATを演算してもよい。触媒温度算出部31で得られた触媒温度CCATの情報は、高圧ポンプ制御部32に伝達される。
高圧ポンプ制御部32(制御手段)は、燃圧PHIの目標値を触媒温度CCATに応じて設定するとともに、燃圧センサ6で検出される燃圧PHIがその目標値に一致する、あるいは近づくように、燃圧レギュレータ28を制御するものである。高圧ポンプ制御部32には、触媒温度CCATと燃圧PHIの目標値との関係を規定したマップ,演算式等が予め記憶されている。例えば、図2(a)のマップに示すように、触媒温度CCATが所定温度C0未満であるときに燃圧PHIの目標値が第一圧力P1に設定され、触媒温度CCATが所定温度C0以上であるときに燃圧PHIの目標値が第二圧力P2(P1>P2)に設定される。このように高圧ポンプ制御部32は、触媒温度算出部31から入力された触媒温度CCATに基づいて目標値を設定し、燃圧PHIを制御する。
ここで設定される第一圧力P1は、DIモード時に要求される燃圧PHIと略同一の値に設定される。したがって、触媒温度CCATが所定温度C0未満であって触媒活性が十分に高まっていない状態では、直噴インジェクタ2の噴射圧が低噴射圧モードの設定の前後で変化しない。
一方、第二圧力P2は第一圧力P1よりも小さい値に設定されるため、触媒温度CCATが所定温度C0以上であって触媒活性が十分に高められた状態では、直噴インジェクタ2の噴射圧が低下する。これにより、噴霧微粒子の粒径が大きくなり(言い換えると噴霧が粗大化し)、気筒20内での燃焼反応性が僅かに低下するため、気筒20から排出される排気に含まれる未燃成分が増加する。
[3.フローチャート]
[3−1.メインフロー]
本制御装置のECU3でエンジン10の始動時に実行される制御のメインフローチャートを図3に例示する。このメインフローは、ECU3の内部で繰り返し実施されている。このメインフローのうち、ステップA1〜A30はおもにエンジン10が始動してからの経過時間が所定時間TA以内であるときの制御内容に対応する。一方、ステップA41以降は所定時間TAを超えたときの制御内容に対応する。
ステップA1では、モード判定部3aにおいて、エンジン10の始動開始からの経過時間が所定の始動時間TEND以内であるか否かが判定される。ここでいう始動時間TENDは、エンジン10が通常モードで制御され始めるまでの時間である。本制御装置ではエンジン10が始動してから始動時間TENDが経過するまでの間に、上記のMPIモードやDIモード,圧縮S/Lモード,低噴射圧モードが適宜設定され、各モードに対応する制御が実施される。なお、始動時間TENDの判定基準となるエンジン10の始動開始時刻は、エンジン回転数Neに基づいて判定される。このステップの条件成立時にはステップA2へ進み、非成立時にはステップA10へ進む。
ステップA2では、冷却水温Wが所定温度W0以上である否かが判定される。冷却水温Wが低すぎる状態では筒内での燃焼安定性が低下するため、ここでは冷却水温Wが所定温度W0以上である場合にのみ、通常モード以外の各モードが設定される。このステップの条件成立時にはステップA3へ進み、非成立時にはステップA10へ進む。なお、ステップA10では通常モードが設定される。
ステップA3では、エンジン10のクランキングが完了したか否かが判定される。ここでまだエンジン10が始動していないクランキング中であれば、ステップA20へ進む。一方、すでにエンジン10が始動してクランキングが完了していれば、ステップA4へ進む。なお、ステップA20ではMPIモードが設定され、MPI制御部3bで各気筒のポート噴射インジェクタ1が制御される。
ステップA4では、モード判定部3aにおいて、エンジン10の始動からの経過時間が所定時間TA以内であるか否かが判定される。この条件は、DIモードの設定条件の一つである。このステップの条件成立時にはステップA5へ進み、非成立時にはステップA41へ進む。
ステップA5では、モード判定部3aにおいて、エンジン回転数Neが所定回転数Ne0以上であるか否かが判定される。つまりここでは、クランキング中のエンジン10が始動できたか否かが判定される。このステップの条件成立時にはステップA6へ進み、非成立時にはステップA7へ進む。
ステップA7では、エンジン10がまだ始動できていないため、DI制御部3cにおいて高圧ポンプ8の圧送量FHIがFHI=0に設定され、すなわち高圧ポンプ8が停止した状態とされる。一方、ステップA6に進んだ場合には、すでにエンジン10が始動しており、高圧ポンプ8が安定して作動するため、DI制御部3cにおいて高圧ポンプ8の圧送量FHIが以下の式に従って設定される。
なお、この時点でエンジン10のクランキングが完了する。また、ここで設定された圧送量FHIが吐出されるように高圧ポンプ8に制御信号が出力される。これにより、直噴インジェクタ2A,2Bに導入される燃圧PHIが上昇する。
(高圧ポンプ8の圧送量FHI)=(フィードポンプ27の圧送量FLO)−(燃料噴射量)−α
この式中の「燃料噴射量」とは、ポート噴射インジェクタ1及び直噴インジェクタ2から噴射される燃料量の合計である。なお、MPIモードでは、ポート噴射インジェクタ1から噴射される燃料量と同義である。
ステップA8では、モード判定部3aにおいて、燃圧PHIが所定圧PHI0以上であるか否かが判定される。このステップの条件成立時にはステップA30へ進み、DIモードが設定される。この場合、MPI制御部3bによるポート噴射インジェクタ1の制御と並行して、DI制御部3cによる直噴インジェクタ2の制御が実施される。また、ステップA8の条件の非成立時にはステップA20へ進み、MPIモードが継続される。
エンジン10の始動からの経過時間が所定時間TAを超えると、ステップA4からステップA41へと制御が進行する。ステップA41では、モード判定部3aにおいて、その時点でDIモードが設定されているか否かが判定される。つまりここでは、エンジン10の始動からの経過時間が所定時間TA以内のときに燃圧PHIが所定圧PHI0以上まで上昇したか否かが判定される。このステップの条件成立時にはステップA42へ進み、非成立時にはステップA70へ進む。なお、ステップA70ではMPIモードが継続され、DIモードやこれに続く圧縮S/L制御等は実施されない。
ステップA42では、モード判定部3aにおいて、アクセル開度が全閉(例えば、アクセルペダルの操作量θACがθAC≒0)であるか否かが判定される。ここでアクセル操作がなされている場合にはステップA80へ進み、通常モードが設定される。一方、アクセル操作がない場合にはステップA50へ進み、圧縮S/Lモードが設定される。圧縮S/Lモードでは、MPI制御部3bによるポート噴射インジェクタ1の制御と並行して、圧縮S/L制御部3dによる直噴インジェクタ2及び点火プラグ13の制御が実施される。すなわち、各気筒の圧縮行程内で燃料が噴射されるように直噴インジェクタ2に制御信号が出力されるとともに、点火時期を遅角させるように各気筒の点火プラグ13に制御信号が出力される。
これに続くステップA51では、モード判定部3aにおいて、圧縮S/Lモードの開始後、第二所定時間TBが経過したか否かが判定される。このステップの条件成立時にはステップA60へ進み、低噴射圧モードを設定するか否かを判定するためのサブフローが実施される。このサブフローを図4に例示する。なお、このサブフローは、MPI制御部3bによる制御及び圧縮S/L制御部3dによる制御に重複して実施される。
一方、ステップA51の条件が非成立の場合には本メインフローを終了する。これにより、第二所定時間TBは圧縮S/L制御が実施される時間として確保される。つまり、低噴射圧制御は、圧縮S/L制御の継続時間が第二所定時間TBを超えた時点で開始される。
[3−2.サブフロー]
図4のサブフローは、例えば図3のメインフローのステップA60が実行される毎に、噴射圧制御部3eの内部で繰り返し実施される。
ステップB1では、排気温度センサ9で検出された排気温度CHAIが噴射圧制御部3eに読み込まれる。続くステップB2では、触媒温度算出部31において、排気温度CHAIに基づき触媒温度CCATが算出される。
ステップB3では、高圧ポンプ制御部32において、触媒温度CCATが所定温度C0以上であるか否かが判定される。ここで、触媒温度CCATが所定温度C0未満である場合にはステップB4に進み、燃圧PHIの目標値が第一圧力P1に設定される。したがって、続くステップB7では、高圧デリバリパイプ19B内の燃圧PHIが第一圧力P1になるように燃圧レギュレータ28が制御される。
一方、ステップB3で触媒温度CCATが所定温度C0未満であった場合には、ステップB5へ進んで低噴射圧モードが設定され、さらにステップB6で燃圧PHIの目標値が第二圧力P2に設定される。続くステップB7では、燃圧PHIが第二圧力P2まで減少するように燃圧レギュレータ28が制御され、直噴インジェクタ2の噴射圧が低下する。これにより、気筒20内の噴霧が粗大化し、気筒20から排出される排気に含まれる未燃成分が増加する。
[4.作用]
上記のエンジン10を搭載した車両において、エンジン10の始動時に上記のフローチャートに従って制御が実施された場合の運転モードの設定状態と、エンジン10に関する各種パラメータの経時変動とを図5に示す。
車両のイグニッションスイッチが時刻t0に操作されると、図示しないスタータによるエンジン10のクランキングが開始される。フィードポンプ27から吐出される燃料の圧力PLOがエンジン回転数Neに応じて脈動しつつ上昇し、ポート噴射インジェクタ1に導入される低圧デリバリパイプ19A内の燃圧PLOが確保される。
このとき、冷却水温Wが所定温度W0以上であれば、ECU3のモード判定部3aにおいてMPIモードが設定され、各気筒のポート噴射インジェクタ1がMPI制御部3bに制御される。これにより、ポート噴射インジェクタ1に入力される制御パルス信号(駆動パルス幅)が時刻t1に増大し、各気筒の吸気ポート11への燃料噴射が開始される。なお、この時点ではまだ高圧ポンプ8が作動していないため、高圧デリバリパイプ19B内の燃圧PHIは低圧デリバリパイプ19A内の燃圧PLOとほぼ同一値である。
エンジン回転数Neが徐々に上昇し、時刻t2に所定回転数Ne0以上になると、モード判定部3aでエンジン10が始動したと判定される。この時刻t2は、通常モードや圧縮S/Lモードの設定条件に係る経過時間の計測開始時刻に相当する。このとき、DI制御部3cから高圧ポンプ8に制御信号が出力され、高圧ポンプ8が駆動される。これにより、高圧ポンプ8から吐出される燃料の圧送量FHIは、時刻t2以降に増大し、高圧デリバリパイプ19B内の燃圧PHIが上昇する。また、エンジン10の始動により排気熱が排気通路21及び触媒装置22に移動し、触媒温度は徐々に上昇する。
時刻t3に燃圧PHIが所定圧PHI0以上になると、モード判定部3aにおいてDIモードが設定され、各気筒の直噴インジェクタ2がDI制御部3cに制御される。これにより、直噴インジェクタ2に入力される制御パルス信号(駆動パルス幅)が時刻t3に増大し、各気筒内への燃料噴射が開始される。
時刻t2から所定時間TAが経過した時刻t4には、モード判定部3aにおいて圧縮S/Lモードが設定され、各気筒の直噴インジェクタ2及び点火プラグ13が圧縮S/L制御部3dに制御される。すなわち、直噴インジェクタ2からの燃料噴射のタイミングが各気筒の圧縮行程内で完了するように変更されるとともに、点火時期が遅角方向に変更される。
圧縮S/Lモードでは、点火リタードに伴って排気温度が上昇する。また、排気中に一酸化炭素及び酸素が存在するため、触媒装置22での酸化反応が促進される。これにより、圧縮S/Lモードが設定された時刻t4以降の触媒温度はさらに上昇し、触媒が早期に活性化する。なお、時刻t4は、低噴射圧モードの設定条件に係る経過時間の計測開始時刻に相当する。
時刻t4から第二所定時間TBが経過した時刻t5になると、噴射圧制御部3eでサブフローが実行され、低噴射圧モードを設定するか否かの判定が開始される。このとき、触媒温度CCATが所定温度C0以上であれば低噴射圧モードが設定され、燃圧レギュレータ28が噴射圧制御部3eに制御される。これにより、直噴インジェクタ2に導入される燃圧PHI、延いては直噴インジェクタ2の噴射圧が低下する。また、気筒20内に噴射される噴霧微粒子の粒径が大きくなり、気筒20から排出される排気に含まれる未燃成分が増加する。
一方、触媒温度CCATは所定温度C0以上であり十分に活性化された状態であるため、排気中の未燃成分は触媒装置22内の触媒上で酸化反応に消費される。したがって、低噴射圧制御が実施される時刻t5以降の触媒温度の上昇勾配はさらに増大し、触媒の更なる活性化が促進される。
なお、エンジン10が始動した時刻t2からの所定の始動時間TENDが経過した時刻t6になると、モード判定部3aにおいて通常モードが設定される。これにより、MPIモードやDIモード,圧縮S/Lモード,低噴射圧モードが終了し、通常のエンジン10の制御が実施される。
[5.効果]
このように本制御装置によれば、直噴インジェクタ2から気筒20内に供給される燃料の噴射圧を低下させることにより、噴霧微粒子の粒径を大きくすることができる。これにより、気筒20内での燃焼反応性を僅かに低下させると同時に、気筒20内での燃料成分の拡散や均一化を抑制することができる。つまり、燃焼安定性を低下させることなく排気中の未燃成分(例えば、未燃気体成分である一酸化炭素COや未燃液体成分である炭化水素HC)の含有量を増大させることができる。
また、燃料の噴射圧を低下させるのは、触媒温度CCATが所定温度C0以上である場合に限られるため、増大した排気中の未燃成分を触媒装置22で効率的に酸化させることができる。これにより、触媒装置22よりも下流側への未燃成分の流出を確実に防止することができ、エンジン10の排気性能を向上させることができる。
したがって、触媒装置22での未燃成分の酸化反応を促進することができ、触媒温度CCATを効率的に昇温させることができ、触媒の早期活性化及び活性の更なる向上を促進することができる。
また、上記の制御装置の低噴射圧モードは、圧縮S/Lモードが設定されている状態でのみ設定される。つまり、本実施形態では圧縮スライトリーン運転と重複して低噴射圧制御が実施される。低噴射圧制御は、圧縮スライトリーン運転で排気中に生成される一酸化炭素や酸素といった触媒装置22での酸化反応を促進する成分をさらに増量させるように作用する。したがって、圧縮スライトリーン運転に対して低噴射圧制御を適用することにより、圧縮スライトリーン運転で達成される昇温作用をさらに増幅することができ、排気温度を極めて効率的かつ迅速に上昇させることが可能となる。
[6.変形例等]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、図2(a)に示すように、触媒温度CCATに関するしきい値である所定温度C0を境界として、燃圧PHIの目標値を二段階に設定するものを例示したが、具体的な燃圧PHIの目標値の設定手法はこれに限定されない。例えば、複数のしきい値を設定して燃圧PHIの目標値を多段階に設定してもよい。
あるいは、図2(b)に示すように、触媒温度CCATが高温であるほど燃圧PHIの目標値を減少させることも考えられる。この場合、触媒活性が高い状態であるほど排気中の未燃成分の含有量を増大させることができ、触媒装置22での酸化反応をさらに加速することができる。したがって、触媒の早期活性化に拍車をかけることができる。
また、上述の実施形態では、燃圧レギュレータ28を制御することで直噴インジェクタ2に導入される燃圧PHIを変更しているが、高圧ポンプ8での燃料の吐出量や吐出圧を制御することで燃圧PHIを変更してもよい。あるいは、上述の実施形態の直噴インジェクタ2の代わりに、噴射圧を自ら調整可能なインジェクタを用いることも考えられる。少なくともインジェクタからの噴射圧が低下すれば、噴霧微粒子の粒径を増大させることが可能である。
また、上述の実施形態の低噴射圧制御の制御対象は燃圧PHIのみとされているが、このような制御に加えて、直噴インジェクタ2から噴射される燃料噴射量に関する制御を実施してもよい。燃圧PHIの低下によって単位時間あたりに気筒20内に供給される燃料量が減少する場合には、その減少量に応じて燃料の噴射期間を延長(例えば、直噴インジェクタ2の駆動パルス幅を増大)してもよい。このような制御を付加することにより、気筒20内に供給される燃料噴射量を変化させることなく燃料の粒径を粗大化することができる。
また、ここでいう噴射期間の具体的な設定手法は多様に考えられ、例えば時間を基準とした期間としてもよいし、またはエンジン回転数Neやクランクシャフト17の角速度等を基準とした期間としてもよい。
あるいは、低噴射圧制御を開始する前後で燃料の噴射期間を変更することなく維持してもよい。例えば、直噴インジェクタ2の低噴射圧制御時の駆動パルス幅を、圧縮S/Lモード時の駆動パルス幅と同一にすることが考えられる。この場合、気筒20内に供給される燃料量が減少するほど、排気中の粒子状物質〔PM,炭素微粒子(すす)に炭化水素やサルフェート等が付着した〕の含有量も減少する。したがって、触媒装置22での酸化反応に係る排気中の炭素成分を確保しつつ不要な成分を取り除くことができ、排気性能をさらに向上させることができる。
また、上述の制御装置では、エンジン10の始動時の制御モードとして、通常モード,MPIモード,DIモード,圧縮S/Lモード等の各種モードを備えたECU3を例示したが、これらの制御モードは上述の制御装置に必須の要素ではない。また、各モードの設定条件は上述の実施形態に記載されたものに限定されず、他の複数のパラメータを用いて設定条件を定めてもよい。具体的な他のパラメータとしては、吸気流量やインテークマニホールド圧(吸気圧),過給圧(ターボ圧),吸気温度(給気温度),外気温,車速等を用いることが考えられる。
また、上述の実施形態では、低噴射圧モードの開始条件として、圧縮S/Lモードが設定されてから第二所定時間TBが経過したことが定められているが、具体的な低噴射圧モードの開始条件はこれに限定されない。少なくとも触媒温度CCATが所定温度C0以上であれば、低噴射モードを設定してもよいし、他の制御モードの設定に依存することなく独立して実施させてもよい。
2 直噴インジェクタ(燃料噴射手段)
3 ECU
3a モード判定部
3b MPI制御部
3c DI制御部
3d 圧縮S/L制御部
3e 噴射圧制御部
31 触媒温度算出部(検出手段)
32 高圧ポンプ制御部(制御手段)
6 燃圧センサ
8 高圧ポンプ
9 排気温度センサ
10 エンジン
22 触媒装置
28 燃圧レギュレータ

Claims (6)

  1. エンジンの気筒内に燃料を噴射する燃料噴射手段と、
    前記エンジンの排気通路に介装された触媒の温度を検出する温度検出手段と、
    前記燃料噴射手段に導入される燃料の圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記温度検出手段で検出された前記触媒の温度、及び、前記圧力検出手段で検出された前記圧力に基づき、前記燃料噴射手段の作動状態を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段が、前記エンジンの始動に際して実施する制御モードとして、
    少なくとも前記圧力が所定値以上の状態で開始され、前記燃料噴射手段によって各気筒の空燃比がストイキよりもややリーンとなる燃料量を圧縮行程で噴射する圧縮スライトリーンモードと、
    前記圧縮スライトリーンモードでの運転時において前記温度検出手段で検出された前記触媒の温度が所定温度以上であるときに、前記燃料噴射手段で噴射される前記燃料の噴射圧を前記圧縮スライトリーンモードでの目標値に対し低下させる低噴射圧モードとを有する
    ことを特徴とする、エンジンの制御装置。
  2. 前記圧縮スライトリーンモードは、前記エンジンの始動後、所定時間が経過した後に開始される
    ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。
  3. 前記エンジンを搭載する車両のアクセルの開度を検出する開度検出手段を備え、
    前記圧縮スライトリーンモードは、前記開度検出手段で検出された前記開度が全閉の際に行われる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンの制御装置。
  4. 前記制御手段が、前記触媒の温度が高いほど、前記噴射圧を低下させる
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
  5. 前記制御手段が、前記噴射圧を低下させると同時に前記燃料の噴射期間を延長する
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
  6. 前記制御手段が、前記噴射圧を低下させる際に前記燃料の噴射期間を維持する
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
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