JP2012122408A - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン10の気筒20内に燃料を噴射する燃料噴射手段2と、エンジン10の排気通路21に介装された触媒22の温度を検出する検出手段9と、触媒22の温度が所定温度以上であるときに、燃料噴射手段2で噴射される燃料の噴射圧を低下させる制御手段3eとを備える。
【選択図】図1
Description
しかし、これらの技術では、エンジンを回転させるのに必要な燃料とは別に、触媒上での酸化反応で消費される燃料,添加剤が必要となる。さらに、触媒上で排気中の炭素成分を酸化させるには、触媒温度が所定の活性温度に達していなければならない。つまり、触媒が十分に温まっていない状態では他の手法を用いて触媒を昇温させる必要がある。
また、上記のような点火リタード制御に加えて、燃料噴射時期を圧縮行程内に設定することで排気を昇温させる技術も知られている。点火直前の圧縮行程で燃料を噴射すると、燃料の筒内での拡散を抑制しやすく、筒内における燃料濃度の高い部位を点火プラグの近傍に局在化させやすくなる。これにより、点火時期の大幅なリタードが可能となり、排気温度がさらに上昇する。なお、圧縮行程で燃料を噴射する技術としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(2)また、前記制御手段が、各気筒の空燃比がストイキよりもややリーンとなる燃料量を圧縮行程で噴射する圧縮スライトリーン運転時に、前記燃料の噴射圧を低下させることが好ましい。
(4)また、前記制御手段が、前記燃料の噴射圧を低下させると同時に前記燃料の噴射期間を延長することが好ましい。
(5)あるいは、前記制御手段が、前記燃料の圧力を低下させる際に前記燃料の噴射期間を維持することが好ましい。
したがって、エンジンの排気通路に介装された触媒の温度を効率的に昇温させることができ、触媒の早期活性化を図ることができ、排気性能を向上させることができる。
本実施形態の制御装置は、図1に示す水冷式の多気筒エンジン10(以下、単にエンジン10と呼ぶ)に適用される。ここでは、エンジン10に設けられた各気筒(シリンダ)のうちの一つを示し、気筒20と呼ぶ。
高圧デリバリパイプ19Bには、燃圧レギュレータ28が併設されている。この燃圧レギュレータ28は、高圧デリバリパイプ19B内の燃料の圧力が適正範囲内に維持されるように、その圧力を調節するものである。例えば、インテークマニホールド内の圧力変動や高圧ポンプ8側から流入する燃料の圧力(圧送圧)等に応じて、高圧デリバリパイプ19B内の燃料の一部を燃料タンク23側へと環流させる機能を持つ。本実施形態の燃圧レギュレータ28で調節される燃圧PHIの目標値は、ECU3によって可変制御される。
[2−1.制御モード]
ECU3(Electronic Control Unit,電子制御装置)は、エンジン10の各気筒に対して供給される燃料噴射量,燃料供給手法及び点火タイミング等を総合的に制御する電子制御装置であり、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される。
ECU3には、エンジン10の始動時に実施される運転モード(制御状態)として、「MPIモード」,「DIモード」,「圧縮S/Lモード」及び「低噴射圧モード」の四種類のモードが設定されている。
ECU3には、上記の各モードでの制御を実施するためのソフトウェア又はハードウェアとして、モード判定部3a,MPI制御部3b,DI制御部3c,圧縮S/L制御部3d及び噴射圧制御部3eが設けられる。ECU3の入力側には水温センサ4,クランク角度センサ5,燃圧センサ6,アクセルペダルセンサ7及び排気温度センサ9が接続され、冷却水温W,回転角θCR(又は回転角θCRに基づいて演算されたエンジン回転数Ne),燃圧PHI,アクセルペダルの操作量θAC,排気温度CHAIがそれぞれ入力される。また、ECU3の出力側には、ポート噴射インジェクタ1,直噴インジェクタ2のほか、点火プラグ13,フィードポンプ27,高圧ポンプ8,ウォーターポンプ25,燃圧レギュレータ28等が接続される。
(1)エンジン10の始動
・エンジン回転数Neが所定回転数Ne0以上になった
(2)通常モード
・エンジン始動後、所定の始動時間TENDが経過した
・アクセル操作がなされた
・冷却水温Wが所定温度W0よりも低い
(3)MPIモード
・通常モードが設定されていない
(4)DIモード
・エンジン始動後、所定時間TA以内に燃圧PHIが所定圧PHI0以上となった
(ただし、所定時間TA<所定の始動時間TEND)
(5)圧縮S/Lモード
・DIモードが設定された状態でエンジン始動後、所定時間TAが経過し、
かつアクセル全閉
(6)低噴射圧モード
・圧縮S/Lモードの開始後、第二所定時間TBが経過し、
かつ触媒温度CCATが所定温度C0以上
一方、第二圧力P2は第一圧力P1よりも小さい値に設定されるため、触媒温度CCATが所定温度C0以上であって触媒活性が十分に高められた状態では、直噴インジェクタ2の噴射圧が低下する。これにより、噴霧微粒子の粒径が大きくなり(言い換えると噴霧が粗大化し)、気筒20内での燃焼反応性が僅かに低下するため、気筒20から排出される排気に含まれる未燃成分が増加する。
[3−1.メインフロー]
本制御装置のECU3でエンジン10の始動時に実行される制御のメインフローチャートを図3に例示する。このメインフローは、ECU3の内部で繰り返し実施されている。このメインフローのうち、ステップA1〜A30はおもにエンジン10が始動してからの経過時間が所定時間TA以内であるときの制御内容に対応する。一方、ステップA41以降は所定時間TAを超えたときの制御内容に対応する。
ステップA5では、モード判定部3aにおいて、エンジン回転数Neが所定回転数Ne0以上であるか否かが判定される。つまりここでは、クランキング中のエンジン10が始動できたか否かが判定される。このステップの条件成立時にはステップA6へ進み、非成立時にはステップA7へ進む。
なお、この時点でエンジン10のクランキングが完了する。また、ここで設定された圧送量FHIが吐出されるように高圧ポンプ8に制御信号が出力される。これにより、直噴インジェクタ2A,2Bに導入される燃圧PHIが上昇する。
(高圧ポンプ8の圧送量FHI)=(フィードポンプ27の圧送量FLO)−(燃料噴射量)−α
ステップA8では、モード判定部3aにおいて、燃圧PHIが所定圧PHI0以上であるか否かが判定される。このステップの条件成立時にはステップA30へ進み、DIモードが設定される。この場合、MPI制御部3bによるポート噴射インジェクタ1の制御と並行して、DI制御部3cによる直噴インジェクタ2の制御が実施される。また、ステップA8の条件の非成立時にはステップA20へ進み、MPIモードが継続される。
一方、ステップA51の条件が非成立の場合には本メインフローを終了する。これにより、第二所定時間TBは圧縮S/L制御が実施される時間として確保される。つまり、低噴射圧制御は、圧縮S/L制御の継続時間が第二所定時間TBを超えた時点で開始される。
図4のサブフローは、例えば図3のメインフローのステップA60が実行される毎に、噴射圧制御部3eの内部で繰り返し実施される。
ステップB1では、排気温度センサ9で検出された排気温度CHAIが噴射圧制御部3eに読み込まれる。続くステップB2では、触媒温度算出部31において、排気温度CHAIに基づき触媒温度CCATが算出される。
上記のエンジン10を搭載した車両において、エンジン10の始動時に上記のフローチャートに従って制御が実施された場合の運転モードの設定状態と、エンジン10に関する各種パラメータの経時変動とを図5に示す。
車両のイグニッションスイッチが時刻t0に操作されると、図示しないスタータによるエンジン10のクランキングが開始される。フィードポンプ27から吐出される燃料の圧力PLOがエンジン回転数Neに応じて脈動しつつ上昇し、ポート噴射インジェクタ1に導入される低圧デリバリパイプ19A内の燃圧PLOが確保される。
時刻t2から所定時間TAが経過した時刻t4には、モード判定部3aにおいて圧縮S/Lモードが設定され、各気筒の直噴インジェクタ2及び点火プラグ13が圧縮S/L制御部3dに制御される。すなわち、直噴インジェクタ2からの燃料噴射のタイミングが各気筒の圧縮行程内で完了するように変更されるとともに、点火時期が遅角方向に変更される。
なお、エンジン10が始動した時刻t2からの所定の始動時間TENDが経過した時刻t6になると、モード判定部3aにおいて通常モードが設定される。これにより、MPIモードやDIモード,圧縮S/Lモード,低噴射圧モードが終了し、通常のエンジン10の制御が実施される。
このように本制御装置によれば、直噴インジェクタ2から気筒20内に供給される燃料の噴射圧を低下させることにより、噴霧微粒子の粒径を大きくすることができる。これにより、気筒20内での燃焼反応性を僅かに低下させると同時に、気筒20内での燃料成分の拡散や均一化を抑制することができる。つまり、燃焼安定性を低下させることなく排気中の未燃成分(例えば、未燃気体成分である一酸化炭素COや未燃液体成分である炭化水素HC)の含有量を増大させることができる。
したがって、触媒装置22での未燃成分の酸化反応を促進することができ、触媒温度CCATを効率的に昇温させることができ、触媒の早期活性化及び活性の更なる向上を促進することができる。
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、図2(a)に示すように、触媒温度CCATに関するしきい値である所定温度C0を境界として、燃圧PHIの目標値を二段階に設定するものを例示したが、具体的な燃圧PHIの目標値の設定手法はこれに限定されない。例えば、複数のしきい値を設定して燃圧PHIの目標値を多段階に設定してもよい。
また、ここでいう噴射期間の具体的な設定手法は多様に考えられ、例えば時間を基準とした期間としてもよいし、またはエンジン回転数Neやクランクシャフト17の角速度等を基準とした期間としてもよい。
3 ECU
3a モード判定部
3b MPI制御部
3c DI制御部
3d 圧縮S/L制御部
3e 噴射圧制御部
31 触媒温度算出部(検出手段)
32 高圧ポンプ制御部(制御手段)
6 燃圧センサ
8 高圧ポンプ
9 排気温度センサ
10 エンジン
22 触媒装置
28 燃圧レギュレータ
Claims (5)
- エンジンの気筒内に燃料を噴射する燃料噴射手段と、
前記エンジンの排気通路に介装された触媒の温度を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された前記触媒の温度が所定温度以上であるときに、前記燃料噴射手段で噴射される前記燃料の噴射圧を低下させる制御手段と
を備えたことを特徴とする、エンジンの制御装置。 - 前記制御手段が、各気筒の空燃比がストイキよりもややリーンとなる燃料量を圧縮行程で噴射する圧縮スライトリーン運転時に、前記燃料の噴射圧を低下させる
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンの制御装置。 - 前記制御手段が、前記触媒の温度が高いほど、前記噴射圧を低下させる
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のエンジンの制御装置。 - 前記制御手段が、前記燃料の噴射圧を低下させると同時に前記燃料の噴射期間を延長する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。 - 前記制御手段が、前記燃料の圧力を低下させる際に前記燃料の噴射期間を維持する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
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