JP5440325B2 - 油性菓子生地の乾熱殺菌法 - Google Patents

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Description

本発明は、油性菓子生地の乾熱殺菌法に関し、カビ類、大腸菌群を効果的に殺菌するとともに、油性菓子生地の乾熱加熱による風味劣化を防止する乾熱殺菌法に関する。
チョコレート類を代表とする油性菓子は、一般的に低水分であるため菌の増殖が極めて起こりにくく、殺菌処理を行わなくても日持ちのする食品として流通されている。また、チョコレート類は独特の風味が重視される食品であるため、過度の加熱処理による風味劣化を回避するのが一般的である。このため、主にカカオマスやココアパウダーなどの原材料段階で低菌化させ、その原材料を用いてチョコレート生地を仕上げるのが通常である(例えば、特許文献1参照)。
チョコレート類を代表とする油性菓子の殺菌について開示する文献として、特許文献2が挙げられる。特許文献2は、水分含量10〜40%のガナッシュ類を、温度70〜85℃で10秒間〜5分間の殺菌に相当する加熱殺菌処理をした後、65〜90℃で包装容器内に押し出し、密封包装することを特徴とするチョコレート含有油性菓子包装体の製造法が開示されている。
しかしながら、特許文献2は水分を含有する素材と混合されたガナッシュ類の殺菌を開示するものである。含水油性菓子は経時的な菌の増殖が避けられないため、殺菌処理は必須の工程である。特許文献2は、含水量の少ない油性菓子生地の殺菌を開示するものではない。
一方、水分が2重量%以下のような油性菓子生地においても、昨今の食品の安心・安全へのニーズの高まりとともに食品の品質検査がより厳密になり、未殺菌の油性菓子生地において稀なケースではあるが品質検査によりカビ類が検出されることがある。このようなカビ類の検出がないように、しかもチョコレート風味が低下しないような殺菌方法が求められているが、特許文献2のような方法では低水分系ではカビ類を十分に殺菌することができない。
特許文献3は、例えば温度範囲110℃から130℃で10から30分間加熱し、チョコレートを滅菌したチョコレート生地からなるチョコレート片を含有するムースに関する発明を開示している。
また、特許文献4は、チョコレート生地を125℃、5〜10分間滅菌して、該チョコレート生地とムースやゼリーとの多層構造デザートとする方法を開示している。
さらに、特許文献5は、チョコレートまたはチョコレート類似品の滅菌方法に関し、かかる食品を水分活性0.7を超す値、好ましくは0.8を超す値にまで高め、この加水食品を加熱殺菌工程に処し、かつ、水分を回収する方法を開示している。
しかしながら、上記の特許文献3〜5の方法は、いずれもチョコレートの滅菌方法に関するものであり、このような比較的高温の加熱ではチョコレート類で重視されるチョコレート風味の低下や劣化が避けられないという問題がある。
なお、非特許文献1には、「カビは生育可能な温度域を超えると、分生子のみ形成の菌種にあっては湿熱の場合に60〜65℃のもとで10分以内に死滅するが、子嚢胞子の多くは80℃・10分程度を要し、厚膜胞子の死滅にはより長時間と高熱を要する。」と記載されているが、死滅に至る具体的な条件は開示されておらず、また、カビの殺菌と風味低下防止の両立について、何ら教示していない。
これまでに、チョコレート類を代表とする油性菓子生地を、風味劣化を抑えながら、カビ類、大腸菌群を効果的に殺菌する方法は開示されていない。
特開平6−169694号公報 特開2005−204593号公報 特開平6−303913号公報 米国特許6,203,831号明細書 特表2002−522037号公報
食品微生物学ハンドブック 1995 技報堂出版 7頁27行〜29行
本発明は、油性菓子生地の乾熱殺菌法に関し、油性菓子生地の風味劣化を抑えながら、カビ類、大腸菌群を効果的に殺菌する乾熱殺菌法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決する方法を鋭意検討した結果、油性菓子生地を特定の温度まで乾熱加熱し、該加熱温度で特定時間保持してから冷却することにより、上記課題が解決できるという知見を得て本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)油性菓子生地を80℃〜110℃に乾熱加熱し、該加熱温度で10分間以内保持してから冷却することを特徴とする油性菓子生地の乾熱殺菌法、
(2)油性菓子生地を90〜110℃に乾熱加熱し、該加熱温度で1〜7分間保持してから冷却することを特徴とする油性菓子生地の乾熱殺菌法、
(3)油性菓子生地を90〜105℃に乾熱加熱し、該加熱温度で4〜6分間保持してから冷却することを特徴とする油性菓子生地の乾熱殺菌法、
(4)油性菓子生地中の油脂分の構成脂肪酸組成が、リノール酸含量が15重量%以下かつリノレン酸含量が1重量%以下である(1)〜(3)のいずれか1に記載の乾熱殺菌法、
(5)油性菓子生地の水分が2重量%以下である(1)〜(4)のいずれか1に記載の乾熱殺菌法、
(6)油性菓子生地がチョコレート類である(1)〜(5)のいずれか1に記載の乾熱殺菌法、
である。
油性菓子生地の風味劣化を抑えながら、カビ類、大腸菌群を効果的に殺菌することが可能となり、安心・安全で風味の優れた油性菓子生地の提供が可能となった。
本発明における油性菓子とは、水分含量が5重量%未満であり、油脂を連続相として、カカオマスやココアなどのカカオ固形分、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエーパウダーなどの乳固形分、大豆粉、小麦粉、米粉などの穀粉類、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、小麦蛋白などの植物性蛋白質、ナッツペースト類、澱粉類、砂糖、乳糖、グルコースなどの糖類、各種果汁粉末、香辛料、色素、乳化剤、香料などから選ばれる1種以上が混合されたものである。本発明における油性菓子の例として、チョコレート類、フィリングクリーム類、サンドクリーム類及びセンタークリーム類等が挙げられる。
本発明におけるチョコレート類の例としては、原料としてカカオマス、ココアパウダー、砂糖などの糖類、ココアバターなどの油脂、乳化剤、香料等を使用して作られるダークチョコレート、原料としてカカオマス、ココアパウダー、砂糖などの糖類、ココアバター等の油脂、全脂粉乳等の乳製品類、乳化剤、香料等を使用して作られるミルクチョコレート、砂糖などの糖類、ココアバター等の油脂、全脂粉乳等の乳製品類、乳化剤、香料等を使用して作られるホワイトチョコレート、ホワイトチョコレートを色素で着色、香料で風味付けしたカラーチョコレート等が挙げられる。また、カカオ分の含量により、ココアバターの一部または全部を植物性油脂に置換したチョコレート(カカオ分35%以上)、準チョコレート(カカオ分15%以上)、ミルクチョコレート(カカオ分21%以上)、準ミルクチョコレート(カカオ分7%以上)、チョコレート利用食品であるチョコレートコーチング(カカオ分8%以上)、乳製品を使用したチョコレートコーチング(カカオ分5%以上)の他、カカオ分非含有のホワイトコーチングやカラーコーチングのようにも区別されるが、いずれも本発明におけるチョコレート類に含まれる。また、チョコレート類中の油脂には、油溶性の色素、レシチン、乳化剤、抗酸化剤等を適宜添加することが出来る。
本発明におけるフィリングクリーム類とは、焼き菓子やパンの中に封入された油性クリームであり、サンドクリーム類とは焼き菓子やチョコレートの間に挟まれた形状の油性クリームである。また、センタークリームとはシェルチョコレートの中心部に封入された形態の油性クリームである。かかるクリーム類は、概して上記のチョコレート類と同様の原材料、製法を用いて製造されたものが好適に利用できる。
本発明に用いる油性菓子生地の油脂分は特に限定されないが、概ね20〜80重量%、好ましくは25〜75重量%、より好ましくは30〜70重量%であるのが好ましい。20重量%以下では生地の粘度が高くなりすぎて、乾熱殺菌処理が困難でしかも滑らかな口当たりにならないため、好ましくない。80重量%以上では、油脂分が高すぎるため、油っぽい食感となり風味も弱くなる傾向にあり、やはり好ましくない。
本発明に用いる油性菓子生地の油脂は特に限定されないが、油性菓子生地中の油脂分の構成脂肪酸組成が、リノール酸含量15重量%以下かつリノレン酸含量1重量%以下、好ましくはリノール酸含量13重量%以下かつリノレン酸含量0.75重量%以下、より好ましくはリノール酸含量10重量%以下かつリノレン酸含量0.5重量%以下であるものが好ましい。上限を超えると油脂の酸化安定性が低下して、乾熱加熱処理による油脂の風味劣化が顕著になるため好ましくない。
上記の油脂としては、ココアバター、ヤシ油、パーム核油、MCT、パーム油、ひまわり油、菜種油、大豆油、米糠油、コーン油、綿実油、シア脂、サル脂、コクム脂、イリッペ脂などの植物油、豚脂、牛脂、魚油などの動物脂、かかる動植物油脂の水素添加油、分別油、エステル交換油の1種以上を適宜選択して使用することができる。
本発明に用いる油性菓子生地の油脂は、構成脂肪酸組成のリノール酸含量15重量%以下かつリノレン酸含量1重量%以下とするのが好ましい。油性菓子の硬さや固化速度を調整するために、油脂として低融点の液状油脂を部分的に用いる必要がある場合は、かかる脂肪酸含量の低いパーム油低融点部、パーム核油軟質部、ハイオレイックひまわり油、米糠油等の油脂を使用することが好ましい。
本発明に用いる油性菓子生地の水分は、5重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下であるのが好ましい。水分が5重量%以上になると、カビの発生するリスクが高くなり、より過度の殺菌条件が必要となるため、好ましくない。
本発明は油性菓子生地全般に適用できるが、特に油性菓子として菓子類表面に露出することの多いチョコレート類への適用が望ましい。チョコレート類の用途の例としては、焼き菓子、パン、冷菓などのコーチング用チョコレート、板状チョコレート、チップ状チョコレート、焼き菓子やナッツ類との組み合わせチョコレートなどが挙げられる。
本発明の乾熱加熱とは、油性菓子生地を熱水、蒸気または電熱などにより間接的に加熱できるような食品タンク中や配管中で連続的に加熱する各種間接加熱装置で、水を加えることなくあらかじめ常法通り調製した油性菓子生地を加熱する方法が適用できる。食品タンク中で加熱する場合は、伝熱面での過加熱を防ぎ、食品タンク中での油性菓子生地を均一にするため、乾熱加熱中は適宜プロペラなどで攪拌するのが好ましい。
乾熱加熱の到達温度の好ましい範囲は、80〜110℃、例えば84〜104℃、86〜102℃、88〜100℃、89〜99℃、90〜98℃、91〜107℃、92〜96℃、93〜101℃、94〜106℃、95〜105℃、96〜104℃、97〜103℃、98〜102℃、99〜101℃などであり、好ましくは90〜110℃、より好ましくは90〜105℃、であり、さらに好ましくは94〜100℃である。80℃未満ではカビ添加生地での殺菌効果が不十分であり、110℃を超えると油性菓子生地の風味劣化が顕著となる問題があり、いずれも好ましくない。
乾熱加熱で設定温度に到達してからは、当該設定温度で10分間以内、好ましくは0〜8分間、例えば1〜3分間、1〜5分間、2〜4分間、1〜7分間、2〜6分間、3〜5分間、2〜8分間、3〜7分間などであり、最も好ましくは4〜6分間保持するのが好ましい。保持中は、油性菓子生地の品温を保つため適宜加熱と攪拌を継続するのが望ましい。保持時間が10分間を超えると、油性菓子生地の風味劣化が起こりやすくなるため好ましくない。
上記の保持が終了したら、できるだけ速やかに油性菓子生地を30〜60℃の、油性菓子生地の油脂結晶化による増粘が起こらず流動性の良好な温度、油性菓子生地の融点より10〜30℃高い温度まで冷却する。速やかに冷却するために、冷却水ジャケットで冷却しながら適宜攪拌するのが好ましく、冷却時間としては2時間以内、好ましくは1時間以内、より好ましくは40分以内、さらに好ましくは20分以内であることが望ましい。速やかに冷却するほど、油性菓子生地の風味劣化を最小限に留めることができる利点がある。
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらに限定されるものではない。なお、例中、部は特に明記されていない限り、いずれも重量基準を意味する。
試作例1(チョコレート生地Aの調製)
カカオマス41.6部、ココアパウダー12部、脱脂粉乳6.4部、菜種硬化油(融点35℃)3.2部、米糠油16.8部、ハイオレイックひまわり油20部、レシチン0.5部、ステアリン酸モノグリセリド0.3部、チョコレート香料0.255部の配合で、常法通りチョコレート生地を調製した。本チョコレート生地の油脂分を常法通り溶剤抽出して、構成脂肪酸組成を測定したところ、リノール酸含量が13.0%、リノレン酸含量が0.6%であった。また、本チョコレート生地の水分は0.6%であった。
実施例1
上記チョコレート生地Aを40℃に調温してから、チョコレート生地1.5kgに対しペニシリウム属青カビの約1cm直径の1/2コロニー(チョコレート品質検査で検出された青カビ)を添加、混合した。該生地をジャケット付き混合攪拌器で低速攪拌しながら、約8分間で品温が80℃になるまで乾熱加熱した。80℃に到達してから保持することなしに、冷却水に切り替えて低速攪拌しながら約20分間で品温40℃まで冷却した。冷却後のチョコレート生地1mlと生理食塩水9mlをボルテックスミキサーで30分間混合し、混合液1mlを直径9cmのシャーレに採取しあらかじめ50℃保温の市販カビ・酵母用寒天培地15mlを加え、混合した。該シャーレを倒置して25℃、3日間保存してカビの発生状況を観察した。
併せて、乾熱加熱、保持及び冷却後のチョコレート風味をパネラー10人により、下記の基準で風味を評価し、その平均を風味評価とした。その結果、風味評価は4.8であった。
<風味評価基準>: 5点 非常に良好
4点 良好
3点 やや風味が薄い
2点 風味が薄い
1点 風味不良
実施例2
実施例1の乾熱加熱温度を90℃に変えて、40℃から約10分間で90℃まで加熱し、保持時間及び冷却時間は実施例1と同条件としたチョコレート生地を、実施例1同様のカビ発生試験に供した。
また、乾熱加熱、保持及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は4.7であった。
実施例3
実施例1の乾熱加熱温度を100℃に変えて、40℃から約12分間で100℃まで加熱し、保持時間及び冷却時間は実施例1と同条件としたチョコレート生地を、実施例1同様のカビ発生試験に供した。
また、乾熱加熱、保持及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は4.7であった。
実施例4
実施例1の乾熱加熱温度を100℃に変えて、40℃から約12分間で100℃まで加熱し、該温度で5分間保持し、冷却時間は実施例1と同条件としたチョコレート生地を、実施例1同様のカビ発生試験に供した。
また、乾熱加熱、保持及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は4.7であった。
実施例5
実施例1の乾熱加熱温度を110℃に変えて、40℃から約14分間で110℃まで加熱し、該温度で2分間保持し、冷却時間は実施例1と同条件としたチョコレート生地を、実施例1同様のカビ発生試験に供した。
また、乾熱加熱、保持及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は4.0であった。
実施例6
実施例1の乾熱加熱温度を110℃に変えて、40℃から約14分間で110℃まで加熱し、該温度で10分間保持し、冷却時間は実施例1と同条件としたチョコレート生地を、実施例1同様のカビ発生試験に供した。
また、乾熱加熱、保持及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は3.2であった。
比較例1
チョコレート生地Aを40℃に調温してから、チョコレート生地A1.5kgに対しペニシリウム属青カビ1/2コロニーを添加、混合してから、乾熱加熱することなく該チョコレート生地を実施例1同様のカビ発生試験に供した。
該チョコレート生地の風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は4.8であった。
比較例2
実施例1の乾熱加熱温度を70℃に変えて、40℃から約6分間で70℃まで加熱し、保持時間及び冷却時間は実施例1と同条件としたチョコレート生地を、実施例1同様のカビ発生試験に供した。
また、乾熱加熱、保持及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は4.7であった。
比較例3
実施例1の乾熱加熱温度を110℃に変えて、40℃から約14分間で110℃まで加熱し、該温度で12分間保持し、冷却時間は実施例1と同条件としたチョコレート生地を、実施例1同様のカビ発生試験に供した。
また、乾熱加熱、保持及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は2.5であった。
参考例1
チョコレート生地Aに青カビを添加することなく、また乾熱加熱することなく、該チョコレート生地を実施例1同様のカビ発生試験に供した。
また、該チョコレート生地の風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は4.8であった。
表1に、実施例1〜6、比較例1〜3及び参考例1のテスト結果を示す。
Figure 0005440325
上記表1のように、実施例1〜5はいずれも比較例1の乾熱加熱なしと対比して、大幅なカビ殺菌効果を示し、風味評価も良好であった。乾熱加熱温度が70℃とやや低い比較例2では殺菌効果が不十分であり、逆に110℃、12分の比較例3では殺菌効果十分でも風味劣化が顕著であった。なお、青カビ無添加の参考例1では、乾熱加熱なしでもカビの発生は認められなかった。
試作例2(チョコレート生地Bの調製)
試作例1のチョコレート生地Aの配合において、ハイオレイックひまわり油20部を大豆油20部に変えて、常法通りチョコレート生地Bを調製した。本チョコレート生地Bの油脂分を常法通り溶剤抽出して、構成脂肪酸組成を測定したところ、リノール酸含量が28.2%、リノレン酸含量が3.0%であった。また、本チョコレート生地の水分は0.6%であった。
実施例7
実施例1のチョコレート生地Aをチョコレート生地Bに変えて、40℃から約12分間で100℃まで加熱し、保持時間及び冷却時間は実施例1と同条件としたチョコレート生地を、実施例1同様のカビ発生試験に供した。25℃、3日間保存してカビの発生状況を観察した結果、カビの発生は認められなかった。
また、乾熱加熱、保持及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は2.5であった。
実施例8
実施例7の乾熱加熱温度を110℃に変えて、40℃から約14分間で110℃まで加熱し、該加熱温度で10分間保持し、冷却時間は実施例7と同条件で乾熱加熱処理したチョコレート生地を、実施例1同様のカビ発生試験に供した。25℃、3日保存してカビの発生状況を観察した結果、カビの発生は認められなかった。
また、乾熱加熱、保持及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は1.5であった。
表2に、実施例7〜8のテスト結果を示す。
Figure 0005440325
上記表2のように、構成脂肪酸組成のリノール酸含量およびリノレン酸含量が高い実施例7〜8は、風味劣化が認められた。
試作例3(チョコレート生地Cの製造)
ココアパウダー11.0部、砂糖25.0部、大豆油10部、ヤシ油17部、パームオレイン7部、ハイオレイックひまわり油30部、レシチン0.5部、バニラ香料0.03部、チョコレート香料0.05部の配合で常法通りチョコレート生地Cを調製した。
本チョコレート生地Cの油脂分を常法通り溶剤抽出して、構成脂肪酸組成を測定したところ、リノール酸含量が14.6%、リノレン酸含量が0.9%であった。また、本チョコレート生地の水分は0.7%であった。
実施例9
上記チョコレート生地Cを40℃に調温してから、チョコレート生地1.5kgに対しペニシリウム属青カビ1/2コロニー(チョコレート品質検査で検出された青カビ)を添加、混合した。該生地をジャケット付き混合攪拌器で低速攪拌しながら、約11分間で品温が94℃になるまで乾熱加熱した。94℃に到達してから保持することなしに、冷却水に切り替えて低速攪拌しながら約20分間で品温40℃まで冷却した。冷却後のチョコレート生地1mlと生理食塩水9mlをボルテックスミキサーで30分間混合し、混合液1mlを直径9cmのシャーレに採取しあらかじめ50℃保温の市販大腸菌用寒天培地15mlを加え、混合した。該シャーレを倒置して25℃、3日間保存してカビの発生状況を観察した。
併せて、乾熱加熱、保持及び冷却後のチョコレート風味評価を、実施例1同様に行った結果、風味評価は3.5であった。
実施例10
実施例9のペニシリウム属青カビをクラッドスポリウム属黒カビの約1cm直径の1/2コロニー(食品品質検査で検出された黒カビ)に変えて、乾熱加熱温度及び冷却時間は実施例9と同条件としたチョコレート生地を、実施例9同様のカビ発生試験に供した。
また、乾熱加熱及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は3.5であった。
実施例11
実施例9のペニシリウム属青カビをアスペルギルス属麹カビの約1cm直径の1/2コロニー(食品品質検査で検出された麹カビ)に変えて、乾熱加熱温度及び冷却時間は実施例9と同条件としたチョコレート生地を、実施例9同様のカビ発生試験に供した。
また、乾熱加熱及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は3.5であった。
比較例4
実施例9の乾熱加熱温度を76℃に変えて、40℃から76℃まで約7分間で加熱し、実施例9と同じ青カビ添加及び同冷却時間で調製したチョコレート生地を、実施例9同様のカビ発生試験に供した。
また、乾熱加熱及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は3.6であった。
比較例5
実施例10の乾熱加熱温度を76℃に変えて、40℃から76℃まで約7分間で加熱し実施例10と同じ黒カビ添加及び同冷却時間で調製したチョコレート生地を、実施例10同様のカビ発生試験に供した。
また、乾熱加熱及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は3.6であった。
比較例6
実施例11の乾熱加熱温度を76℃に変えて、40℃から76℃まで約7分間で加熱し、実施例11と同じ麹カビ添加及び同冷却時間で調製したチョコレート生地を、実施例11同様のカビ発生試験に供した。
また、乾熱加熱及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は3.6であった。
比較例7
実施例10の乾熱加熱温度を115℃に変えて、40℃から115℃まで約15分間で加熱し、実施例10と同じ黒カビ添加及び同冷却時間で調製したチョコレート生地を、実施例10同様のカビ発生試験に供した。
また、乾熱加熱及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は1.5であった。
参考例2
チョコレート生地Cにカビを添加することなく、また乾熱加熱することなく、該チョコレート生地を実施例1同様のカビ発生試験に供した。
該チョコレート生地の風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は4.5であった。
表3に、実施例9〜11、比較例4〜7及び参考例2のテスト結果を示す。
Figure 0005440325
上記表3のように、実施例9〜11はいずれも比較例4〜6と対比して、大幅なカビ殺菌効果を示し、風味評価も良好であった。乾熱加熱温度が76℃とやや低い比較例4〜6では殺菌効果が不十分であり、逆に115℃と高い比較例7では殺菌効果十分でも風味劣化が顕著であった。なお、カビ無添加の参考例2では、乾熱加熱なしでもカビの発生は認められなかった。
実施例12
チョコレート生地Cを40℃に調温してから、チョコレート生地1.5kgに対し大腸菌群(エンテロバクター・サカザキ)の直径約1mmの1コロニーを添加、混合した。該生地をジャケット付き混合攪拌器で低速攪拌しながら、約11分間で品温が94℃になるまで乾熱加熱した。94℃に到達してから保持することなしに、冷却水に切り替えて低速攪拌しながら約20分間で品温40℃まで冷却した。冷却後のチョコレート生地1mlと生理食塩水9mlをボルテックスミキサーで30分間混合し、混合液1mlを直径9cmのシャーレに採取しあらかじめ50℃保温の市販寒天培地15mlを加え、混合した。該シャーレを倒置して35±1℃、20±2時間保存して大腸菌群の発生状況を観察した。
併せて、乾熱加熱、保持及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は3.5であった。
実施例13
実施例12の乾熱加熱温度94℃到達後の保持時間なしを保持時間5分に変えて、他は実施例12と同条件で調製したチョコレート生地を、実施例12同様の大腸菌群発生試験に供した。
また、乾熱加熱及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は3.5であった。
比較例8
実施例12の乾熱加熱温度を76℃に変えて、40℃から76℃まで約7分間で加熱し、実施例12と同じ大腸菌群を添加し同冷却時間で調製したチョコレート生地を、実施例10同様の大腸菌群発生試験に供した。
また、乾熱加熱及び冷却後のチョコレート風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は3.6であった。
参考例3
チョコレート生地Cに大腸菌群を添加することなく、また乾熱加熱することなく、該チョコレート生地を実施例12同様の大腸菌群発生試験に供した。
該チョコレート生地の風味評価を実施例1同様に行った結果、風味評価は4.5であった。
表4に、実施例12〜13、比較例8及び参考例3のテスト結果を示す。
Figure 0005440325
上記表4のように、実施例12〜13はいずれも比較例8と対比して、大幅な大腸菌群殺菌効果を示し、風味評価も良好であった。乾熱加熱温度が76℃とやや低い比較例8では殺菌効果が不十分であった。なお、大腸菌群無添加の参考例3では、乾熱加熱なしでも大腸菌群の発生は認められなかった。
本発明は、風味劣化を抑えながら、カビ類、大腸菌群を効果的に殺菌することができる殺菌法を提供するものであり、製菓および食品等の分野で利用できる。

Claims (4)

  1. 水分が2重量%以下の油性菓子生地を90〜110℃に乾熱加熱し、該加熱温度で1〜7分間保持してから冷却することを特徴とする油性菓子生地の乾熱殺菌法。
  2. 水分が2重量%以下の油性菓子生地を90〜105℃に乾熱加熱し、該加熱温度で4〜6分間保持してから冷却することを特徴とする油性菓子生地の乾熱殺菌法。
  3. 油性菓子生地中の油脂分の構成脂肪酸組成が、リノール酸含量が15重量%以下かつリノレン酸含量が1重量%以下である請求項1または2に記載の乾熱殺菌法。
  4. 油性菓子生地がチョコレート類である請求項1〜のいずれか1項に記載の乾熱殺菌法。
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