JP5440312B2 - ロール状物の段差痕低減構造及びロール状物の製造方法 - Google Patents

ロール状物の段差痕低減構造及びロール状物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、巻芯に帯状物が複数巻重ねて巻き付けられたロール状物において、帯状物の巻き付け始端部に形成される段差に起因して帯状物に生じる段差痕を低減する段差痕低減構造に関する。また、本発明は、巻芯に巻き付けられた帯状物に段差痕が生じにくいロール状物の製造方法に関する。
一般に粘着テープや接着テープ(以降は、これらを総称してテープと記すこともある)は、巻芯に複数巻重ねて巻き付けられたロール状物として提供されている。テープを巻芯に巻き付ける際には、テープ先端(巻き付け始端部)を巻芯の外周面に貼り付けた後に、巻芯を回転させてテープを巻芯に巻き重ねてロール状物とする。粘着面又は接着面に剥離ライナーを備えるテープの場合は、テープ先端(巻き付け始端部)の剥離ライナーを両面粘着テープ,両面接着テープ,粘着剤,接着剤等により巻芯の外周面に粘着又は接着固定した後に、テープを巻芯に巻き重ねてロール状物とする。
ところが、図6,7に示すように、巻芯に固定された巻き付け始端部において、最内層のテープの外側面と巻芯の外周面との間でテープ厚さ分の段差(両面粘着テープで巻芯にテープを固定した場合は、テープ厚さと両面粘着テープ厚さを合わせた分の段差)が生じるため、この段差の上に巻き重ねられたテープは、段差により変形することとなる。そして、その変形したテープの上に巻き重ねられたテープにも変形が転写するため、巻き始めから数巻〜数十巻にわたってテープに幅方向筋状の歪み(本発明においては、この歪みを段差痕と称す)が生じるという問題があった。テープが厚いほど段差が大きくなるため、厚いテープにおいてはその影響も大きかった。
このような段差痕は、巻芯にテープを巻き重ねるにつれて徐々に目立たなくなるものの、段差痕が生じた部分は数メートルから数十メートルにもわたる場合があるため、テープの商品価値を大きく低下させていた。特に、外観や透明性が重視される、基材レス両面透明粘着テープ(透明粘着剤層の両面に剥離ライナーを有するテープ)等の光学用途のテープの場合は、段差痕により透明性や平面性が低下した部分は使用に適さず、廃棄処分されているのが実情であり、廃棄ロスが大きくなる原因となっていた。
このような背景から、段差痕の発生を低減する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1〜4には、巻芯の外周面の全面又は一部を発泡体,ゴム,ウレタン樹脂等の弾性体で覆い、その上にテープを巻き付ける技術が提案されている。これらの技術によれば、テープの巻き付け始端部が弾性体内に沈み込み、テープ厚さによる段差が緩和されるため、テープの段差痕が低減する。
また、特許文献5,6には、巻芯の外周面に軸方向に沿う切欠部を設け、この切欠部内に巻き付け始端部を固定してテープを巻き付ける技術が提案されている。この切欠部の深さはテープ厚さとほぼ等しいため、切欠部内に固定された巻き付け始端部の外側面は巻芯の外周面とほぼ面一となる。そのため、巻芯にテープを巻き付けた際に、巻き付け始端部のテープ厚さによる段差がほとんど生じないので、テープの段差痕の発生がほぼ防止される。
特開2004−338818号公報 特開2003−146495号公報 特開2006−82953号公報 特開2005−75521号公報 特開2007−112627号公報 特開2007−119230号公報
しかしながら、特許文献1〜4に提案の技術では、段差が全く生じないようにすることは困難であるため、段差痕の発生を完全に防止することができない場合があった。一方、特許文献5,6に提案の技術では、巻芯の外周面に設ける切欠部の深さは、巻き付けるテープの厚さに合致している必要があるので、巻き付けるテープの厚さに合う深さの切欠部を有する巻芯を製造する必要があった。また、テープの厚さが異なる種々のロール状物を製造する場合には、切欠部の深さが異なる複数の巻芯を用意する必要があった。さらに、切欠部内にテープの巻き付け始端部を固定する必要があるので、テープの巻き付け始端部を巻芯に固定する際に位置合わせ作業が必要であった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、段差痕の発生をほぼ完全に防止することが可能であるとともに、ロール状物の製造が容易なロール状物の段差痕低減構造を提供することを課題とする。また、巻芯に巻き付けられた帯状物に段差痕が生じにくく、ロール状物の製造が容易なロール状物の製造方法を提供することを併せて課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係るロール状物の段差痕低減構造は、巻芯の外周面に帯状物が複数巻重ねて巻き付けられてなり、前記帯状物の巻き付け始端部に前記帯状物の外側面と前記巻芯の外周面との間で形成される段差により、該段差の外側に巻重ねられた前記帯状物が変形して段差痕が生じ得るロール状物であり、前記段差を緩和する段差緩和部材を、前記巻き付け始端部の端面と前記巻芯の外周面との間に形成された空間をほぼ満たすように、前記巻き付け始端部の端面に隣接して配した。
また、前記帯状物が、粘着面又は接着面に剥離ライナーを備える粘着テープ又は接着テープであり、前記剥離ライナーを内側にして前記巻芯に巻き付けられて前記ロール状物が形成されているとともに、前記巻き付け始端部の前記剥離ライナーが粘着部材又は接着部材を介して前記巻芯の外周面に固定されている。
また、前記粘着部材又は前記接着部材の前記巻き付け始端部側に、前記帯状物の外側面と前記巻芯の外周面との間で前記段差が形成されるとともに、その反対側に前記粘着部材又は前記接着部材の外側面と前記巻芯の外周面との間で第二段差が形成されるロール状物であって、前記段差緩和部材を、前記巻き付け始端部の端面と前記巻芯の外周面との間に形成された空間をほぼ満たすように、前記巻き付け始端部の端面に隣接して配するとともに、前記第二段差を緩和する第二段差緩和部材を、前記粘着部材又は前記接着部材の端面と前記巻芯の外周面との間に形成された空間をほぼ満たすように、前記粘着部材又は前記接着部材の端面に隣接して配したことを特徴とする。
このような本発明に係るロール状物の段差痕低減構造においては、前記帯状物の巻き付け始端部の外側面と前記巻芯の外周面とが、前記段差緩和部材の外側面を介して滑らかに連結されていることが好ましい
前記ロール状物が前記第二段差緩和部材を備える場合には、前記粘着部材又は前記接着部材の外側面と前記巻芯の外周面とが、前記第二段差緩和部材の外側面を介して滑らかに連結されていることが好ましい。
さらに、前記段差緩和部材および前記第二段差緩和部材は、樹脂製とすることができる。この樹脂は、液状又はペースト状の硬化性樹脂であることが好ましく、前記段差緩和部材は、前記硬化性樹脂を、前記巻き付け始端部の端面と前記巻芯の外周面との間に形成された空間をほぼ満たすように配した後に硬化させて形成することができる。また、前記第二段差緩和部材は、前記硬化性樹脂を、前記粘着部材又は前記接着部材の端面と前記巻芯の外周面との間に形成された空間をほぼ満たすように配した後に硬化させて形成することができる。
また、本発明に係るロール状物の製造方法は、巻芯の外周面に帯状物を複数巻重ねて巻き付けてロール状物を製造するロール状物の製造方法であって、前記帯状物の巻き付け始端部を粘着部材又は接着部材を介して前記巻芯の外周面に固定する固定工程と、固定された前記巻き付け始端部に前記帯状物の外側面と前記巻芯の外周面との間で形成される段差を緩和する段差緩和部材を、前記帯状物の巻き付け始端部の外側面と前記巻芯の外周面とが、前記段差緩和部材の外側面を介して滑らかに連結されるように配するとともに、前記粘着部材又は前記接着部材を挟んで前記段差とは反対側に前記粘着部材又は前記接着部材の外側面と前記巻芯の外周面との間で形成される第二段差を緩和する第二段差緩和部材を、前記粘着部材又は前記接着部材の外側面と前記巻芯の外周面とが、前記第二段差緩和部材の外側面を介して滑らかに連結されるように配する段差緩和工程と、前記段差緩和部材及び前記第二段差緩和部材が配された前記巻芯に前記帯状物を複数巻重ねて巻き付ける巻き付け工程と、を備えることを特徴とする。
前記段差緩和工程においては、液状又はペースト状の硬化性樹脂を配した後に硬化させることにより、前記段差緩和部材および前記第二段差緩和部材を形成することが好ましい。
本発明に係るロール状物の段差痕低減構造によれば、帯状物の段差痕の発生をほぼ完全に防止することが可能であるとともに、ロール状物の製造が容易である。また、本発明に係るロール状物の製造方法によれば、巻芯に巻き付けられた帯状物に段差痕が生じにくく、ロール状物の製造が容易である。
第一実施形態に係る段差痕低減構造を説明するロール状物の要部拡大図である。 第二実施形態に係る段差痕低減構造を説明するロール状物の要部拡大図である。 第三実施形態に係る段差痕低減構造を説明するロール状物の要部拡大図である。 第一実施形態に係る段差痕低減構造の変形例を説明するロール状物の要部拡大図である。 第一実施形態に係る段差痕低減構造の別の変形例を説明するロール状物の要部拡大図である。 従来のロール状物のテープに生じた段差痕を説明する側面図である。 図6のロール状物の要部拡大図である。
本発明に係るロール状物の段差痕低減構造及びロール状物の製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明における「外側」及び「内側」とは、巻芯の径方向外方及び径方向内方を意味するものである。また、以降の各図においては、同一又は相当する部分には、同一の符号を付してある。
〔第一実施形態〕
第一実施形態に係る段差痕低減構造及び該段差痕低減構造を備えるロール状物の製造方法を、図1を参照しながら詳細に説明する。なお、第一実施形態においては、巻芯1に巻き付ける帯状物は、剥離ライナーを備えていない片面粘着テープである。ただし、剥離ライナーを備えていない片面接着テープ,両面接着テープ,片面に剥離ライナーを備えた両面粘着テープ・両面接着テープを用いた場合も、本実施形態と同様の段差痕低減構造及びロール状物の製造方法を適用可能である。
図示しない巻き取り装置の軸に円筒状の巻芯1を装着した後に、巻芯1の外周面1aの任意の部分に、片面粘着テープ2の先端(巻き付け始端部3)を貼り付けて固定した。剥離ライナーを備えていない粘着面を内側にして片面粘着テープ2を巻芯1に巻き付けるので、片面粘着テープ2の巻き付け始端部3を巻芯1に固定するに際しては、両面粘着テープ,両面接着テープ,粘着剤,接着剤等の粘着部材又は接着部材を用いる必要はなく、片面粘着テープ2の粘着面(内側面)の粘着力により巻芯1に固定することができる。
巻芯1に片面粘着テープ2の巻き付け始端部3を固定すると、巻き付け始端部3において、片面粘着テープ2の外側面2aと巻芯1の外周面1aとの間でテープ厚さ分の段差10が形成される。このまま段差10の上に片面粘着テープ2を巻き付けると、片面粘着テープ2のうち段差10の外側に位置する部分が段差10により変形して、段差痕が生じることとなる。そこで、巻き付け始端部3の端面2bと巻芯1の外周面1aとの間に形成された断面略三角形状の空間を満たして段差10を緩和する段差緩和部材5を配し、その上に片面粘着テープ2を巻き付けて、片面粘着テープ2に前述のような段差痕が生じることを防止する。
段差緩和部材5は、図1に示すように、断面略三角形状の柱状部材である。この段差緩和部材5を巻き付け始端部3の端面2bに隣接して配することにより、巻き付け始端部3の端面2bと巻芯1の外周面1aとの間に形成された断面略三角形状の空間が段差緩和部材5で満たされるので、段差10が緩和される。すなわち、片面粘着テープ2の巻き付け始端部3の外側面2aと巻芯1の外周面1aとが、段差緩和部材5の外側面5aを介して滑らかに連結されるため、段差10が緩和される。
十分に段差10を緩和して段差痕が生じることを防止するためには、図1に示すように、片面粘着テープ2の巻き付け始端部3の外側面2aと段差緩和部材5の外側面5aとが滑らかに連続し、且つ、巻芯1の外周面1aと段差緩和部材5の外側面5aとが滑らかに連続することが好ましい。
巻芯1の外周面1aと段差緩和部材5の外側面5aとができるだけ滑らかに連続するようにするためには、段差緩和部材5は巻き付け始端部3からできるだけ離れた位置まで延びていることが好ましく、図1で言えば、できるだけ左下方に延びていることが好ましい。ただし、図4に示すように、巻き付け始端部3の外側の角部2cを通り巻芯1の外周面1aと接する接線(図4では破線で示してある)と、巻芯1の外周面1aとの接点の位置まで延びていれば十分である。
段差緩和部材5の外側面5aは、図1に示すように、円弧面(断面円弧状の曲面)等の曲面が好ましいが、平面でもよい。すなわち、図4では破線で示される平面でもよい。また、図1,4に示すように、外側に向かって凸状の曲面が好ましいが、逆に凹状の曲面でもよい。
また、片面粘着テープ2の巻き付け始端部3の外側面2aと段差緩和部材5の外側面5aとができるだけ滑らかに連続するようにするためには、両面2a,5aを面一とすることが好ましいが、図5に示すように、段差緩和部材5が巻き付け始端部3の外側の角部2cを越えて巻き付け始端部3の外側面2aを覆うように延びていてもよい。
このような段差緩和部材5は、樹脂,金属,セラミックス等からなる素材を必要な形状に加工して得ることができる。必要な形状に加工した段差緩和部材5を巻芯1上に配してもよいが、この方法では、段差緩和部材5の製造に手数や時間を要するとともに、正確な形状に加工することに困難性がある。液状又はペースト状の硬化性樹脂を用いて段差緩和部材5を製造すれば、上記のような不都合が生じることがない。
すなわち、液状又はペースト状の硬化性樹脂を、巻き付け始端部3の端面2bと巻芯1の外周面1aとの間に形成された断面略三角形状の空間を満たすように配し、曲面部分を有するヘラや形状可変型のヘラを用いて、余分な硬化性樹脂を取り除きつつ形状を整えて、巻芯1の外周面1aと段差緩和部材5の外側面5aとが硬化性樹脂によって滑らかに連続するように成形する。この硬化性樹脂は、熱,光(紫外線・電子線等の放射線を含む),水分,時間等により硬化する性質を有しているため、その硬化方式に従って硬化させれば、樹脂製の段差緩和部材5が得られ、巻芯1上に適切に配される。
例えば、硬化性樹脂が熱硬化性樹脂であれば、液状又はペースト状の熱硬化性樹脂を巻芯1上に配した後に、熱硬化性樹脂の硬化温度以上に加熱すれば、熱硬化性樹脂を硬化させて段差緩和部材5を得ることができる。ただし、熱により片面粘着テープ2に悪影響が出るおそれがあることや、硬化作業の容易性や効率性を考えると、瞬時に硬化が可能な紫外線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂(電子線等の放射線硬化性樹脂を含む)を用いることがより好ましい。また、硬化性樹脂の代わりに、硬化性エラストマーを用いてもよい。
さらに、ホットメルト樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることも可能である。すなわち、加熱して液状とした熱可塑性樹脂を、巻き付け始端部3の端面2bと巻芯1の外周面1aとの間に形成された断面略三角形状の空間を満たすように配して、前述と同様にヘラを用いて成形した後に冷却すると、液状の熱可塑性樹脂が固化して段差緩和部材5が得られ、巻芯1上に適切に配される。
ただし、液状又はペースト状の硬化性樹脂や硬化性エラストマーは、揮発成分(例えば水や有機溶媒)を含んでおらず、不揮発成分(樹脂,充填材,添加剤)のみで構成されていることが好ましい。揮発成分が含まれていると、揮発成分の揮発により段差緩和部材5も体積が収縮するため、巻き付け始端部3の外側面2aと段差緩和部材5の外側面5a、及び、巻芯1の外周面1aと段差緩和部材5の外側面5aが、それぞれ滑らかに連続しなくなるおそれがある。その結果、段差10の緩和が不十分となって、段差痕が生じるおそれがある。
上記のようにして段差緩和部材5を配したら、巻き取り張力及び巻き取り速度を所望の値に設定して、巻き取り装置の軸を回転させながら、片面粘着テープ2を巻芯1に複数巻重ねて巻き付けてロール状物とした。巻き付ける片面粘着テープ2の長さは特に限定されるものではないが、例えば100mである。
巻き付けが終了したロール状物から片面粘着テープ2を引き出して、その外観を目視にて観察したところ、段差痕はほぼ発生していなかった。よって、この片面粘着テープ2は品質が高く、貼り合わせにおいて不具合が生じにくい。また、段差痕が生じている部分は使用できず廃棄されるような用途においても、廃棄する部分がほとんどないので、廃棄ロスが極めて少なく経済的である。さらに、段差痕がほとんどないため、外観,透明性,平面性が特に重視される光学用途の粘着テープとして好適である。例えば、液晶パネル等の光学機器に使用される光学用粘着テープとして好適である。
さらに、片面粘着テープ2の厚さ等の差異に応じて異なる巻芯1を複数用意する必要が無く、どのような粘着テープであっても全く同様の手法で、段差痕が生じないようにロール状物を製造することができる。さらに、片面粘着テープ2の巻き付け始端部3は、巻芯1の外周面1aのどの部分に固定しても差し支えないので、巻き付け始端部3を巻芯1に固定する際に位置合わせ作業が不要である。よって、ロール状物の製造が容易である。
〔第二実施形態〕
第二実施形態に係る段差痕低減構造及び該段差痕低減構造を備えるロール状物の製造方法を、図2を参照しながら詳細に説明する。なお、第二実施形態に係る段差痕低減構造及び該段差痕低減構造を備えるロール状物の製造方法の構成及び作用・効果は、第一実施形態とほぼ同様であるので、異なる部分のみ説明し、同様の部分の説明は省略する。
第二実施形態においては、巻芯1に巻き付ける帯状物は、剥離ライナーを備える片面粘着テープである。ただし、剥離ライナーを備える片面接着テープや、少なくとも内側面に剥離ライナーを備える両面粘着テープ・両面接着テープを用いた場合も、本実施形態と同様の段差痕低減構造及びロール状物の製造方法を適用可能である。特に、粘着剤層、剥離ライナーの厚さが比較的厚い(例えば、粘着剤層の厚さ:25〜250μm、剥離ライナーの厚さ:25〜125μm)、粘着剤層の両面に剥離ライナーを有する基材レス両面透明粘着テープのロール状物の製造方法としては好適である。さらに、粘着面や接着面を備えない単なるフィルム・紙基材等や、粘着剤や接着剤とは異なる他の機能性材料が膜状に塗工されたフィルム・紙基材等を、帯状物として用いた場合も適用可能である。
図示しない巻き取り装置の軸に円筒状の巻芯1を装着した後に、巻芯1の外周面1aの任意の部分に、片面粘着テープ2の先端(巻き付け始端部3)を貼り付けて固定した。剥離ライナーを備える粘着面を内側にして片面粘着テープ2を巻芯1に巻き付けるので、両面粘着テープ7を用いて、片面粘着テープ2の巻き付け始端部3を巻芯1に固定した。なお、両面粘着テープ7の代わりに両面接着テープを用いてもよい。
巻芯1に片面粘着テープ2の巻き付け始端部3を固定すると、巻き付け始端部3において、片面粘着テープ3の外側面2aと巻芯1の外周面1aとの間で、片面粘着テープ2の厚さと両面粘着テープ7の厚さの合計分の段差10が形成される。そこで、巻き付け始端部3の端面2bと巻芯1の外周面1aとの間に形成された断面略三角形状の空間を満たして段差10を緩和する段差緩和部材5を配した。そして、その上に片面粘着テープ2を巻き付けて、片面粘着テープ2に段差痕が生じることを防止した。
段差緩和部材5については、第一実施形態の場合と全く同様であるので、その詳しい説明は省略するが、第二実施形態の場合も第一実施形態と同様に、段差緩和部材5の形状を図4,5に示すようにしてもよい。
〔第三実施形態〕
第三実施形態に係る段差痕低減構造及び該段差痕低減構造を備えるロール状物の製造方法を、図3を参照しながら詳細に説明する。なお、第三実施形態に係る段差痕低減構造及び該段差痕低減構造を備えるロール状物の製造方法の構成及び作用・効果は、第二実施形態とほぼ同様であるので、異なる部分のみ説明し、同様の部分の説明は省略する。
第三実施形態において巻芯1に巻き付ける帯状物は、第二実施形態と同様である。巻芯1に両面粘着テープ7を介して片面粘着テープ2の巻き付け始端部3を固定すると、両面粘着テープ7の巻き付け始端部側(図3においては両面粘着テープ7の左側)に、片面粘着テープ2の外側面2aと巻芯1の外周面1aとの間で、片面粘着テープ2の厚さと両面粘着テープ7の厚さの合計分の段差10が形成される。さらに、両面粘着テープ7を挟んで段差10とは反対側(図3においては両面粘着テープ7の右側)に両面粘着テープ7の外側面7aと巻芯1の外周面1aとの間で、両面粘着テープ7の厚さ分の第二段差11が形成される。
そこで、巻き付け始端部3の端面2bと巻芯1の外周面1aとの間に形成された断面略三角形状の空間を満たして段差10を緩和する段差緩和部材5を配するとともに、両面粘着テープ7の端面7bと巻芯1の外周面1aとの間に形成された断面略三角形状の空間を満たして第二段差11を緩和する第二段差緩和部材8を配し、その上に片面粘着テープ2を巻き付けて、片面粘着テープ2に段差痕が生じることを防止した。
段差緩和部材5については、第二実施形態の場合と全く同様であるので、その詳しい説明は省略するが、第三実施形態の場合も第二実施形態と同様に、段差緩和部材5の形状を図4,5に示すようにしてもよい。また、第二段差緩和部材8については、段差緩和部材5の場合と全く同様にして形成することができる。すなわち、断面略三角形状の柱状部材を、両面粘着テープ7の端面7bに隣接して配することにより、両面粘着テープ7の端面7bと巻芯1の外周面1aとの間に形成された断面略三角形状の空間が第二段差緩和部材8で満たされるので、第二段差11が緩和される。すなわち、両面粘着テープ7の外側面7aと巻芯1の外周面1aとが、第二段差緩和部材8の外側面8aを介して滑らかに連結されるため、第二段差11が緩和される。
十分に第二段差11を緩和して段差痕が生じることを防止するためには、図3に示すように、両面粘着テープ7の外側面7aと第二段差緩和部材8の外側面8aとが滑らかに連続し、且つ、巻芯1の外周面1aと第二段差緩和部材8の外側面8aとが滑らかに連続することが好ましい。
巻芯1の外周面1aと第二段差緩和部材8の外側面8aとができるだけ滑らかに連続するようにするためには、第二段差緩和部材8は両面粘着テープ7の端面7bからできるだけ離れた位置まで延びていることが好ましく、図3で言えば、できるだけ右下方に延びていることが好ましい。ただし、段差緩和部材5の場合と同様に、両面粘着テープ7の端部の外側の角部7cを通り巻芯1の外周面1aと接する接線と、巻芯1の外周面1aとの接点の位置まで延びていれば十分である。
第二段差緩和部材8の外側面8aは、段差緩和部材5の場合と同様に、円弧面(断面円弧状の曲面)等の曲面が好ましいが、平面でもよい。また、外側に向かって凸状の曲面が好ましいが、逆に凹状の曲面でもよい。
また、両面粘着テープ7の外側面7aと第二段差緩和部材8の外側面8aとができるだけ滑らかに連続するようにするためには、両面7a,8aを面一とすることが好ましいが、段差緩和部材5の場合と同様に、第二段差緩和部材8が両面粘着テープ7の端部の外側の角部7cを越えて両面粘着テープ7の外側面7aを覆うように延びていてもよい。
このような第二段差緩和部材8は、樹脂,金属,セラミックス等からなる素材を必要な形状に加工して得ることができる。必要な形状に加工した第二段差緩和部材8を巻芯1上に配してもよいが、段差緩和部材5の場合と同様に、液状又はペースト状の硬化性樹脂を用いて第二段差緩和部材8を製造するとよい。硬化性樹脂を用いて第二段差緩和部材8を製造する方法は、段差緩和部材5の場合と同様であるので、その説明は省略する。
上記のようにして段差緩和部材5及び第二段差緩和部材8を配したら、巻き取り張力及び巻き取り速度を所望の値に設定して、巻き取り装置の軸を回転させながら、片面粘着テープ2を巻芯1に複数巻重ねて巻き付けてロール状物とした。
巻き付けが終了したロール状物から片面粘着テープ2を引き出して、その外観を目視にて観察した。第二段差11を緩和するための対策が施されていない第二実施形態に対して、第三実施形態においては、第二段差11を緩和するための対策が上記のように施されているので、段差痕は第二実施形態よりもさらに軽減されており、ほぼ発生しなかった。
なお、上記の各実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は第一〜第三実施形態やその変形例に限定されるものではない。
例えば、第一〜第三実施形態においては、段差緩和部材5及び第二段差緩和部材8を断面略三角形状の柱状部材として、巻き付け始端部3の端面2bと巻芯1の外周面1aとの間に形成された断面略三角形状の空間の全部、及び、両面粘着テープ7の端面7bと巻芯1の外周面1aとの間に形成された断面略三角形状の空間の全部を満たしていたが、これら空間の一部を満たすようにしても、段差10及び第二段差11を緩和して段差痕を低減することが可能である。例えば、段差緩和部材5及び第二段差緩和部材8を断面円形又は断面楕円形の柱状部材として、前記空間の一部を満たすようにすれば、段差痕を低減することが可能である。
また、第二及び第三本実施形態においては、剥離ライナーを備える粘着面を内側にして片面粘着テープ2を巻芯1に巻き付けたが、片面粘着テープ2の基材を内側にして巻芯1に巻き付けてもよく、その場合も全く同様に段差緩和部材5や第二段差緩和部材8を配すればよい。
さらに、第一〜第三実施形態において使用する粘着テープ2(又は接着テープ)の幅、厚さ、基材の材質、基材粘着面側に塗布された粘着剤(又は基材接着面側に塗布された接着剤)、剥離ライナーの種類は、特に限定されるものではなく、一般的なものを問題なく採用可能である。
粘着テープ2の基材の材質の例としては、樹脂,紙,布,金属箔等があげられる。このうち樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン,ポリプロピレン)、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリウレタン樹脂,ポリノルボルネン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、AS樹脂、ABS樹脂等があげられる。これらの樹脂のうち1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また、樹脂中に粉末,繊維等のフィラーが混合された樹脂組成物でもよい。また、ポリウレタン発泡体やエラストマー発泡体等の発泡体樹脂からなるシートあるいはフィルム等も基材として使用できる。
なお、基材レス両面テープの場合は、片方の剥離ライナーを基材の替わりとして使用する。すなわち、片方の剥離ライナーの剥離処理面側に粘着剤を塗工し、もう一方の剥離ライナーの剥離処理面側を粘着剤面に転写ラミネートする。
また、巻芯1の形状,サイズ,材質についても、特に限定されるものではなく、一般的な巻芯を問題なく採用可能である。形状としては、管状や円柱状があげられ、材質としては、例えば金属(鉄,アルミニウム,ステンレス鋼等),樹脂(ポリエチレン・ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂,ABS樹脂やベークライト樹脂等),紙等があげられる。また、樹脂を含浸した紙があげられる。
1 巻芯
1a 外周面
2 片面粘着テープ
2a 外側面
2b 端面
3 巻き付け始端部
5 段差緩和部材
5a 外側面
7 両面接着テープ
7a 外側面
7b 端面
8 第二段差緩和部材
8a 外側面
10 段差
11 第二段差

Claims (8)

  1. 巻芯の外周面に帯状物が複数巻重ねて巻き付けられてなり、前記帯状物の巻き付け始端部に前記帯状物の外側面と前記巻芯の外周面との間で形成される段差により、該段差の外側に巻重ねられた前記帯状物が変形して段差痕が生じ得るロール状物において、
    前記段差を緩和する段差緩和部材を、前記巻き付け始端部の端面と前記巻芯の外周面との間に形成された空間をほぼ満たすように、前記巻き付け始端部の端面に隣接して配し、
    前記帯状物が、粘着面又は接着面に剥離ライナーを備える粘着テープ又は接着テープであり、前記剥離ライナーを内側にして前記巻芯に巻き付けられて前記ロール状物が形成されているとともに、前記巻き付け始端部の前記剥離ライナーが粘着部材又は接着部材を介して前記巻芯の外周面に固定され、
    前記粘着部材又は前記接着部材の前記巻き付け始端部側に、前記帯状物の外側面と前記巻芯の外周面との間で前記段差が形成されるとともに、その反対側に前記粘着部材又は前記接着部材の外側面と前記巻芯の外周面との間で第二段差が形成されるロール状物であって、
    前記段差緩和部材を、前記巻き付け始端部の端面と前記巻芯の外周面との間に形成された空間をほぼ満たすように、前記巻き付け始端部の端面に隣接して配するとともに、
    前記第二段差を緩和する第二段差緩和部材を、前記粘着部材又は前記接着部材の端面と前記巻芯の外周面との間に形成された空間をほぼ満たすように、前記粘着部材又は前記接着部材の端面に隣接して配したことを特徴とするロール状物の段差痕低減構造。
  2. 前記帯状物の巻き付け始端部の外側面と前記巻芯の外周面とが、前記段差緩和部材の外側面を介して滑らかに連結されていることを特徴とする請求項1に記載のロール状物の段差痕低減構造。
  3. 前記粘着部材又は前記接着部材の外側面と前記巻芯の外周面とが、前記第二段差緩和部材の外側面を介して滑らかに連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロール状物の段差痕低減構造。
  4. 前記段差緩和部材および前記第二段差緩和部材が樹脂製であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のロール状物の段差痕低減構造。
  5. 前記段差緩和部材および前記第二段差緩和部材は、液状又はペースト状の硬化性樹脂を、前記粘着部材又は前記接着部材の端面と前記巻芯の外周面との間に形成された空間をほぼ満たすように配した後に硬化させて形成したものであることを特徴とする請求項4に記載のロール状物の段差痕低減構造。
  6. 巻芯の外周面に帯状物を複数巻重ねて巻き付けてロール状物を製造するロール状物の製造方法であって、
    前記帯状物の巻き付け始端部を粘着部材又は接着部材を介して前記巻芯の外周面に固定する固定工程と、
    固定された前記巻き付け始端部に前記帯状物の外側面と前記巻芯の外周面との間で形成される段差を緩和する段差緩和部材を、前記帯状物の巻き付け始端部の外側面と前記巻芯の外周面とが、前記段差緩和部材の外側面を介して滑らかに連結されるように配するとともに、前記粘着部材又は前記接着部材を挟んで前記段差とは反対側に前記粘着部材又は前記接着部材の外側面と前記巻芯の外周面との間で形成される第二段差を緩和する第二段差緩和部材を、前記粘着部材又は前記接着部材の外側面と前記巻芯の外周面とが、前記第二段差緩和部材の外側面を介して滑らかに連結されるように配する段差緩和工程と、
    前記段差緩和部材及び前記第二段差緩和部材が配された前記巻芯に前記帯状物を複数巻重ねて巻き付ける巻き付け工程と、
    を備えることを特徴とするロール状物の製造方法。
  7. 前記段差緩和工程は、液状又はペースト状の硬化性樹脂を、前記粘着部材又は前記接着部材の端面と前記巻芯の外周面との間に形成された空間を満たすように配し、その後に前記硬化性樹脂を硬化させて前記第二段差緩和部材を形成することを特徴とする請求項6記載のロール状物の製造方法。
  8. 前記段差緩和工程は、液状又はペースト状の硬化性樹脂を、前記巻き付け始端部の端面と前記巻芯の外周面との間に形成された空間を満たすように配し、
    その後に前記硬化性樹脂を硬化させて前記段差緩和部材を形成することを特徴とする請求項6に記載のロール状物の製造方法。
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