以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態における中間転写方式の画像形成装置の概略構成を示す図であり、また、図2は直接転写方式の画像形成装置の概略構成を示す図である。
図1に示すように中間転写方式の画像形成装置は、カラー画像に対応し、複数の感光体ドラムを備えるタンデムカラー機であって、このタンデムカラー機は、ブラック(K)用の感光体ドラムK1、帯電器K2、現像器K4、クリーニング手段K5、および転写用帯電手段K6と、シアン(C)用の感光体ドラムC1、帯電器C2、現像器C4、クリーニング手段C5、および転写用帯電手段C6と、マゼンタ(M)用の感光体ドラムM1、帯電器M2、現像器M4、クリーニング手段M5、および転写用帯電手段M6と、イエロー(Y)用の感光体ドラムY1、帯電器Y2、現像器Y4、クリーニング手段Y5、および転写用帯電手段Y6と、光走査装置20と、中間転写ベルト105と、定着手段30、転写ローラ40、搬送ベルト41などを備えている。
光走査装置20は、ブラック用の発光部、シアン用の発光部、マゼンタ用の発光部、イエロー用の発光部を備えている。そして、ブラック用の発光部からの光はブラック用の走査光学系を介して感光体ドラムK1に照射され、シアン用の発光部からの光はシアン用の走査光学系を介して感光体ドラムC1に照射され、マゼンタ用の発光部からの光はマゼンタ用の走査光学系を介して感光体ドラムM1に照射され、イエロー用の発光部からの光はイエロー用の走査光学系を介して感光体ドラムY1に照射されるようになっている。なお、色毎に光走査装置20を備えていても良い。
各感光体ドラム1は、図1中の矢印の方向に回転し、回転順にそれぞれ帯電器2、現像器4、転写用帯電器6、クリーニング手段5が配置されている。各帯電器2は、対応する感光体ドラム1の表面を均一に帯電する。この帯電器2によって帯電された感光体ドラム1表面に光走査装置20により光が照射され、感光体ドラム1に静電潜像が形成されるようになっている。そして、対応する現像器4により感光体ドラム1表面に各色のトナー像が形成される。さらに、対応する転写用帯電器6により、中間転写ベルト105に各色のトナー像が順次転写され、最終的に転写ローラ40により、中間転写ベルト105から紙媒体に転写された後、搬送ベルト41で搬送されて定着手段30で紙媒体に画像が定着される。
また、図2に示す直接転写方式の画像形成装置においても、略同様の処理により、各帯電器2によって感光体ドラム1の表面を均一に帯電され、感光体ドラム1表面に光走査装置20からの光照射で、静電潜像が形成される。そして、対応する現像器4により感光体ドラム1表面に各色のトナー像が形成される。さらに、対応する転写用帯電器6により、搬送転写ベルト106上を搬送される紙媒体に各色のトナー像が順次転写され、最終的に定着手段30で紙媒体に画像が定着される。
ここで、図1,図2に示すような構成の画像形成装置において、中間転写方式のときは中間転写ベルト105を、直接転写方式のときは搬送転写ベルト106を高精度で駆動しなければ色ずれが発生してしまう。ベルトの高精度駆動のためには、全ての構成部品を高精度で作る方法も考えられるが、構成部品が多く、コストの面からも現実的には実現が困難である。
そこで、ベルトの速度変動を検出する検出手段を設け、その検出結果をベルトの駆動モータにフィードバックする方法が考えられる。このベルトの速度変動を検出するための検出手段として、前述の特許文献1では、ベルトに直接マークを形成する方法が行われていたが、このようなベルトに直接加工を行うことは難しく、また加工に時間を要することから量産性が悪く、大きなコストアップの要因でもあった。
本発明は、ベルトを直接加工することなく、簡便にベルト等の移動媒体の速度変動を検出し、かつベルト上に形成されたトナー画像パターンの位置ずれや画像濃度も同時に検出できるようにした画像検出装置を提供するものである。
図3は画像形成装置に展開した光走査装置の一例を示す概略構成図である。図3を参照しながら光走査装置20について説明する。図3に示すように、4つの感光体ドラム301,302,303,304(図1または図2の感光体1(K,C,M,Y)に相当する)を転写ベルト400(図1の中間転写ベルト105または図2の搬送転写ベルト106に相当する)の移動方向に沿って配列し、順次異なる色のトナー像を転写することでカラー画像を形成する画像形成装置において、各光走査装置を一体的に構成し単一の光偏向器(例えばポリゴンミラー)1050で全ての光ビームを走査する。ポリゴンミラー1050は6面とし、2段の構造としている。
より具体的に述べると、光走査装置20は、光源ユニット1001と、光源ユニット1001からの光ビームを偏向し走査する単一のポリゴンミラー1050と、ポリゴンミラー1050により走査された光ビームを感光体ドラム302の被走査面に結像する走査レンズ1061とを有しており、ここではポリゴンミラー1050に対して対向する方向に2ステーション分ずつ走査している。また、図3では、説明の簡略化のため、他の感光体ドラム301,303,304を走査するための3つの光源ユニットや走査レンズ以降の光学系は省略し、1ステーション分のみを図示している。
光源ユニット1001には、光源(例えば、半導体レーザ(LD)、LDアレイ等)、カップリングレンズ、アパーチャが搭載されている。光源ユニット1001の図示しない光源から射出された光束は、図示しないカップリングレンズによって略平行光化もしくは略発散光束化もしくは略収束光束化され、その後、図示しないアパーチャにより所望の光束幅に切り取られ、線像形成レンズ(例えばシリンドリカルレンズ)1041により、ポリゴンミラー1050近傍で副走査方向に一度集光され、走査レンズ1061からなる走査光学系により像面(被走査面)2001上にビームスポットを形成する。
このように、通常の光走査装置では、ポリゴンミラー1050のミラー間の面倒れによる光学特性の劣化を低減するため、ポリゴンミラー近傍で一度副走査方向に集光する面倒れ補正光学系が採用されている。走査レンズは樹脂製であり、回折格子を1つまたは複数を光学面上に形成しても良い。通常は、光偏向手段と像面の間に折り返しミラー1111,1121が挿入され、光路が折りたたまれる。また、走査光学系は1枚の走査レンズで構成される例を示したが、2枚もしくはそれ以上の走査レンズを用いても良い。ここで、光走査装置による書き込み開始位置を補正する書き込み開始位置補正手段(例えば液晶偏向素子)は、光源ユニット1001のカップリングレンズとシリンドリカルレンズ(線像形成レンズ1041)の間に設けるのが良い。
図4は本実施形態における実施例1の画像検出装置の基本的な構成例を示す図である。画像検出装置は第1検出手段として移動媒体の移動速度の検出と、それと平行し第2検出手段として、移動媒体上に形成されたトナー画像パターンの形成位置ずれ、および画像濃度も検出する機能を持っている。
図4に示すように、速度検出に関しては、移動媒体(中間転写ベルトや搬送転写ベルト等の無端ベルト状部材、またはドラム状部材、または紙などの記録媒体)53の速度や速度変動を検出するものであり、可干渉光であるレーザ光を発する第1光源51と、第1光源51から出射されたレーザ光を略平行光にするコリメートレンズ52と、1次元もしくは2次元画像を取得可能な受光素子アレイからなる第1エリアセンサ56と、移動媒体53と第1エリアセンサ56の間に設けられた第1結像レンズ54および開口絞り55を有している。
そして、第1光源51から出射され、コリメートレンズ52で略平行光にされたレーザ光を移動媒体53に対して斜めから照射し、移動媒体53の移動平面に対し垂直方向から1次元もしくは2次元の第1エリアセンサ56で撮像する。移動媒体53は表面もしくは内部に光拡散性を有する部材であり、レーザ光を照射すると、図4に示す分布の拡散反射光57を反射する。
本実施例1の画像検出装置においては、光源としてもうひとつ、発光ダイオード(LED)などの非干渉光を発する第2光源61と、1次元もしくは2次元画像を取得可能な受光素子アレイの第2エリアセンサ66と、移動媒体53と第2エリアセンサ66の間に設けられた第2結像レンズ64を有している。
拡散反射光57の一部を第1結像レンズ54に取り込んで、第1エリアセンサ56に結像すると、拡散レーザ光によるスペックルパターンと呼ばれるランダムな画像パターンが得られる。
このスペックルパターンは、移動媒体53の表面もしくは内部の微細ランダムな凹凸形状に対応したパターンであり、レーザ光のランダムな干渉により形成される。そのため、移動媒体53が移動すると、そのスペックルパターンも移動する。スペックルパターンの特徴として、撮像位置がレンズの光軸方向に前後してもスペックルパターンが失われることがないため、非常に安定に移動媒体53の表面もしくは内部の凹凸形状に対応した画像パターンを得ることができる。そのため、通常は第1エリアセンサ56と移動媒体53間のレンズは必要ではない。しかし、何らかの外乱により、移動媒体53が移動平面に対して傾きが発生してしまったとき、第1エリアセンサ56上でスペックルパターンが変化してしまい、後述する速度変化を検出する際に検出誤差が発生してしまう。
そこで、前記の問題を回避するために、第1エリアセンサ56と移動媒体53の間に第1結像レンズ54を配置して、移動媒体53と第1エリアセンサ56が結像の共役関係になるように設定することが望ましい。このことにより、移動媒体53が移動平面に対して傾きが発生してしまっても、第1エリアセンサ56上でスペックルパターンの変化を小さくすることができ、速度検出誤差を小さく抑えることができる。
なお、第1結像レンズ54は、移動媒体53と第1エリアセンサ56が結像の共役関係になるように設定することが望ましいが、必ずしもこれに限定されず、結像の共役関係からずらしても、移動媒体53の傾きによるスペックルパターンの変化量の低減効果はある。したがって、移動媒体53に発生する傾きがそれほど大きくなければ、共役関係からずらしても、実用上十分な速度検出誤差に抑えることが可能である。
さらに、第1結像レンズ54は、移動媒体53を第1エリアセンサ56上に縮小結像する結像倍率で用いることが望ましい。そうすることで、移動媒体53上の広い範囲を第1エリアセンサ56上で縮小することができ、第1エリアセンサ56を小型化することができる。また縮小光学系とすることで、移動媒体53の移動速度が速いときでも、第1エリアセンサ56上でのスペックルパターンの移動速度は小さくすることができる。第1エリアセンサ56上の移動速度が小さいと、スペックルパターンを取得する時間間隔を長くすることができ、その結果演算処理の時間を稼ぐことができて移動媒体53の高速移動にも対処できるようになる、また電子回路の処理速度を低減することができ、低消費電力化、低コスト化が実現できる。
なお、本実施例1では、コリメートレンズ52でレーザ光を略平行光にして移動媒体53を照明したが、これに限定されず、コリメートレンズの配置により、レーザ光を集束光、あるいは発散光にして移動媒体53を照明しても良い。
また、図4に示す開口絞り55は、第1エリアセンサ56上におけるスペックルパターンの最小径の大きさに大きく影響する。スペックルパターンの検出時、第1エリアセンサ56上のスペックルパターンの最小径は、第1エリアセンサ56の1画素の大きさに対して適切な大きさにすることが望ましい。第1エリアセンサ56上のスペックルパターンの最小径は光源波長に正比例し、第1結像レンズ54の瞳径を見込む角度に逆比例する。開口絞り55により第1結像レンズ54の瞳径を最適化させて、スペックルパターンの最小径を第1エリアセンサ56の1画素の大きさと適正化させる。
第1エリアセンサ56で取得した1次元もしくは2次元画像から移動媒体53の速度を検出するためには、時間間隔τで取得した2つのスペックル画像間の相互相関関数を演算して、その相互相関のピークの生じる位置から時間間隔τのときのスペックルパターンの位置ずれ量Δを求める。
以上の時間間隔τ、およびピーク位置ずれ量Δより、移動媒体53の移動速度vは、(数1)として求められる。
ここで、Kは比例定数であり、レーザ光源やレンズの位置等の光学配置から決まり、このKは予め求めておく必要がある。
前記した2つのスペックル画像間の相互相関関数の演算は(数2)により行う。
ここで、2つのスペックル画像をf1、f2とする。またフーリエ変換をF[ ]、逆フーリエ変換をF
−1[ ]、記号★は相互相関演算を表し、*は位相共役を表す。
f1★f2*は相互相関演算後の画像データであり、f1、f2が2次元画像であれば2次元、f1、f2が1次元画像であれば1次元のデータである。f1★f2*の画像データにおいて、最も急峻なピーク(相関ピーク)強度の位置が2つのスペックル画像間の位置ずれ量を表している。したがって、最も急峻なピークを探すことによって、2つのスペックル画像間の移動量を算出できる。
以上の相互相関演算の方法は、高速フーリエ変換が利用できるため、比較的少ない演算量で、かつ高精度にスペックルパターン間の位置ずれ量Δを検出できる。よって、位置ずれ量Δと2つのスペックル画像間の時間差τがわかったので、移動媒体53の移動速度vを算出することができる。
また、非干渉光による移動媒体53上に形成された画像パターンの形成位置ずれ、および画像濃度を検出する方法について説明する。非干渉光を発する第2光源61の出射光は移動媒体53を照明し、移動媒体53で拡散反射した拡散反射光57は、第2結像レンズ64により1次元または2次元の第2エリアセンサ66に結像される。このとき、移動媒体53と第2エリアセンサ66は結像の共役関係となっている。このことにより移動媒体53上に形成された画像パターンは1次元または2次元の第2エリアセンサ66で光学像として光電変換される。
なお、図4において移動媒体53の移動は、移動方向58に示す方向、すなわち紙面に垂直方向である場合を示している。しかし、本発明はこれに限定されず、移動媒体53が面内の任意の方向に移動する場合にも同様に適用できる。
また、図5に移動媒体上に形成されたトナー画像パターンの形成位置ずれを検出するトナーパターンの形状例を示す。x方向に移動する移動媒体上に4色のトナーパターン群が形成されている。図5中のx方向、y方向は画像形成装置の主走査方向がy方向、副走査方向がx方向に対応している。4色のトナーパターンとは、それぞれシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のトナーパターンである。
図5のトナーパターンA群は、長辺がy軸に平行に形成された矩形パターンであり、副走査方向のトナー形成位置ずれを検出するパターン群となる。トナーパターンB群は、長辺がy軸に対し45°方向に形成された矩形パターンであり、主走査方向のトナー形成位置ずれを検出するパターン群となる。
以上のトナーパターンA群,B群を用いて、副走査および主走査方向のトナー形成位置ずれを検出するには次のようにする。これらトナーパターン群を非干渉光を発する第2光源61のLED光で照明する。図5で示した楕円状の光分布がそれである。照明するLED光は固定であるが移動媒体53の移動に伴い、順次位置ずれ検出パターンをLED光がスキャンしていくことになる。1次元もしくは2次元の第2エリアセンサ66に結像されたトナーパターン像は光電変換され、その光電変換信号から各色矩形トナーパターンの長辺両側のエッジ位置を、しきい値を設定して検出し、その両側エッジ位置からその中央を、各トナーの形成位置とする。
この点について詳述する。図4の画像検出装置では、移動媒体53を第2結像レンズ64で第2エリアセンサ66に結像している。そこで、移動媒体53上にトナーパターンを形成すると、そのパターンは第2結像レンズ64により第2エリアセンサ66上に結像される。
図6(a)には第2エリアセンサ66上に結像されたトナーパターンの像を示す。画素が正方状に配列された2次元受光面の第2エリアセンサ66上に、移動媒体53上のLED光照明領域に対応した領域が結像され、その領域の中に移動媒体53上に形成されたトナーパターン像がある。第2エリアセンサ66の出力信号のうち、A画素行の画像信号を図6(b)に示す。これは、トナーパターン像の強度分布波形となっている。このトナーパターン像の画像信号から、適切に設定されたエッジ検出しきい値71を元にその前端、後端のエッジ位置72,73を検出し、このエッジ位置からトナーパターン中央位置74を特定して、トナーパターンの形成位置が特定できる。これにより図5に示したトナーパターン位置ずれ検出のためのトナー画像の位置を検出することができる。
なお、図6ではA画素行1行の画像信号を元にトナーパターン像を抽出していたが、これに限定されず、複数行の画像信号を列方向に加算してトナーパターン像を抽出するようにしても良い。
また、副走査方向の各色トナーパターンの形成位置ずれは、図5でいえば、先頭のシアントナー形成位置を基準に、各色トナーの形成位置までの時間を計測して求める。マゼンタトナーについては時間t1を、イエロートナーについては時間t2を、ブラックトナーについては時間t3がシアントナーに対しての形成位置となる。各時間が等差的であれば、各色のずれはないが、等差でない場合が形成位置ずれとなる。
一方、主走査方向の形成位置ずれは、トナーパターンA群とB群の同色同士の時間差で検出する。すなわち、シアントナーについては時間t4、マゼンタトナーについては時間t5、イエロートナーについては時間t6、ブラックトナーについては時間t7である。t4〜t7が同じであれば、各色とも主走査方向への形成位置ずれはないが、これが等しくないときには、各色で主走査方向に位置ずれが生じていることが検出できる。
以上の方法によって、移動媒体上に形成されたトナーパターンの形成位置ずれを検出することができる。
図7は前記に加えて、移動媒体上のトナーパターンの画像濃度も検出する場合を示す図である。図7(a)では移動媒体である、例えばベルト基体上にトナー階調パターンが形成されている。ベルト基体上に図4の画像検出装置のLED照明光が入射しており、ベルト基体のx方向移動とともにLED照明光はトナー階調パターンをなぞっていく。LED照明光がトナー階調パターンをなぞっていったときの、光電変換信号をベルト基体のx方向に対してプロットした模式図を図7(b)に示す。
図7(b)では階調のあるトナーパターンに対して、その反射率に比例したものとして光電変換信号がプロットされる。トナーパターンのないベルト基体の反射率の絶対値は既知であるので、図7(b)の縦軸の絶対値は反射率Rとして特定できる。反射率Rより、トナーパターンの画像濃度Dが、定義式「D=−logR」で算出できる。
図7(c)は、図7(b)の反射率分布を定義式により画像濃度分布に変換したときの模式図である。図7(c)より、非干渉光であるLED光の照明、および結像により、移動媒体上のトナーパターンの画像濃度も検出する画像検出装置が提供できる。
ただし、本実施例1のように検出する被検出面が同一領域の場合、可干渉光によるスペックルパターンを用いた移動媒体の速度検出と、非干渉光による移動媒体上に形成された画像パターンの形成位置ずれ、および画像濃度検出を時間的に同時に行うことは互いにノイズとして影響するため好ましくない。これを回避するため、可干渉光によるスペックルパターンを用いた移動媒体の速度検出と、非干渉光による移動媒体上に形成された画像パターンの形成位置ずれ、および画像濃度検出を時間的に重ならない独立した時間領域で行うようにする。可干渉光を発する第1光源と非干渉光を発する第2光源は、各々独立して排他的に点灯させて、可干渉光と非干渉光が同時に被検出面に照射されないようにする。
図8は、参考例の画像検出装置であり、図4に示した第1エリアセンサ56と第2エリアセンサ66に対して、結像レンズを共通的に1個配置するように構成したものである。2つのエリアセンサに対して共通の結像レンズ44で結像させるため、移動媒体53上の被検出面の検出位置は、第1のエリアセンサ56に対してはa点、第2のエリアセンサ66に対してはb点を各センサに結像して検出するようにする。前記a点からは拡散反射光57−1が、b点からは拡散反射光57−2が生じ、これらを共通の結像レンズ44の入射瞳径で取り込んで、それぞれのエリアセンサに結像する。この場合、移動媒体53上の検出位置が異なっていても、その位置が予めわかっていれば、本発明の目的に対しては特に問題はない。この別の例に対しても画像検出装置の動作としては前述の図4に示した例と同様である。
図9は本実施形態における実施例2の画像検出装置を示す図である。本実施例2では、図4,図8の各実施例における可干渉光の第1光源51と非干渉光の第2光源61に対応した別々の第1,第2エリアセンサ56,66を1個の1次元もしくは2次元エリアセンサ46とし、共用化したものである。可干渉光を発する第1光源51と非干渉光を発する第2光源61を用いるのは、図4,図8の例と同じであるが、両光源からの照明光が移動媒体53で拡散反射された反射光は共通の結像レンズ44、開口絞り45により、共通のエリアセンサ46に結像する。この構成により画像検出装置の全体の大きさが小型化でき、また部品点数削減による簡易化、低コスト化を計ることができる。
ただし、このように結像系およびエリアセンサを共通化した場合も可干渉光によるスペックルパターンを用いた移動媒体53の速度検出と、非干渉光による移動媒体53上に形成された画像パターンの形成位置ずれ、および画像濃度検出を同時に行うことは困難となる。これを可能とするため、可干渉光によるスペックルパターンを用いた移動媒体53の速度検出と、非干渉光による移動媒体53上に形成された画像パターンの形成位置ずれ、および画像濃度検出を時間的に重ならない独立した時間領域で行うようにする。可干渉光を発する第1光源51と非干渉光を発する第2光源61は、各々独立して排他的に点灯させて、可干渉光によるスペックルパターンと非干渉光による画像パターンが同一のエリアセンサで重複して光電変換されないようにする必要がある。
前述した各実施例の画像検出装置において、可干渉光を発する第1光源51と、非干渉光を発する第2光源61は間欠的に点灯されるが、その点灯タイミングは1次元もしくは2次元のエリアセンサ46の画像読み出しフレームの駆動タイミングと時間的に同期して点灯させる。特に、1フレーム当たり、1回の点灯を行うことが望ましい。これは移動媒体53の移動で、エリアセンサ上の結像パターンは時々刻々移動しており、1フレーム当たり複数回の点灯は複数の移動位置の情報が1フレーム内に混在してしまい、高精度な検出が困難となってしまうからである。
また、1フレーム当たり1回の点灯のときの点灯時間は、1フレームの読み出し時間より短くすることが望ましい。これを数値例で示すと、移動媒体53の移動速度が300mm/secとする。これを結像レンズで0.5倍の結像倍率で縮小結像する。このときエリアセンサ上の像移動速度は150mm/secとなる。エリアセンサのフレーム周波数を1KHzとすると、1フレーム中の像移動距離は150μm/secとなる。
例えば、エリアセンサの1画素の大きさを10μmとすると、エリアセンサの1フレーム時間だけ光源が点灯していた場合、点灯時間中にエリアセンサ上の画像は150μm動いてしまい、これは15画素分の動きに相当する。このような状況では、速度検出、位置ずれ検出のための位置分解能が150μm程度となってしまい、高精度な速度検出、位置ずれ検出はできない。そこで例えば、光源の点灯時間を1フレームの読み出し時間の1/10の0.1msとすると、点灯している間の像移動量は15μmとなり、点灯時間中1.5画素分しか移動せず、位置分解能が15μm程度の高精度な速度検出、位置ずれ検出が可能となる。
以上のように光源の点灯時間を1フレームの時間間隔より短い時間間隔で発光させることは、可干渉光によるスペックルパターンによる速度検出だけでなく、非干渉光による画像パターンの位置ずれ検出の場合にも適用される。光源の点灯時間を1フレームの時間間隔より短い時間間隔で発光させる方法は、可干渉光を発する第1光源として、半導体レーザを用いる場合、および非干渉光を発する第2光源として発光ダイオード(LED)を用いる場合、ともに発光が短パルス化することになり、連続発光よりも高出力な発光が可能となり、また同一発光パワーのときは光源寿命が長くできる等の利点が得られる。
また、前述したものとは別の方法として、第1,第2光源は各フレーム時間だけ間欠的に点灯させておき、各光源からの結像光を光電変換するエリアセンサの露光蓄積時間を1フレームの時間間隔より短い時間間隔となるように、エリアセンサを読み出し駆動して実現する方法もある。
図10は図9に示した実施例の画像検出装置の検出動作のタイミングチャートである。図10において、横軸が時間軸であり、(a)はエリアセンサ46の動作タイミングを示し、1フレーム時間TF0の繰返しによる連続撮像動作である。1フレーム時間TF0はエリアセンサ46の受光に伴うスペックルパターンの露光蓄積動作Sの露光蓄積時間TSと、信号読み出し動作Rの読み出し時間TRから成り立つ。本実施例3では、可干渉光を発する第1光源51による移動媒体53の移動速度検出と、非干渉光を発する第2光源61による移動媒体53上に形成された画像パターンの形成位置ずれ、および画像濃度検出をエリアセンサ46の各フレームに同期して、1フレーム毎、交互に行っている。
図10(b)は図9の可干渉光を発する第1光源51の発光タイミングチャートを示し、1フレームおきに発光パルスCで示す、発光時間TCで発光させる。このとき、TC<TF0であり、第1光源51の発光時間TCが1フレーム時間TF0より小さく設定されている。また、第1光源51の発光時間TCが露光蓄積時間TSより小さく設定され、TC<TSでもある。
図10(c)に相互相関処理のタイミングチャートを示す。第1光源51の発光に伴うスペックルパターンの読み出し後、画像信号は破線矢印1で示されるタイミングで受け渡され、動作領域MCで示される相関演算処理により、フレームメモリに記憶されている2フレーム前のスペックルパターン画像信号との間での相互相関演算が行われる。この相関演算により、相関ピーク位置のずれ量を検出して、2フレーム前と現フレーム間の移動媒体53の移動量が検出でき、結果からこの間の移動速度が算出できる。
図10(d)は図9における非干渉光を発する第2光源61の発光タイミングを示し、図10(b)とは1フレームおきに発光パルスIで示す、発光時間TIで発光させる。このとき、TI<TF0であり、第2光源61の発光時間が1フレーム時間TF0より小さく設定されている。また、第2光源61の発光時間TIが露光蓄積時間TSより小さく設定され、TI<TSでもある。
図10(e)に第2光源61による移動媒体53上の画像パターンの形成位置ずれの検出タイミングチャートを示す。第2光源61の発光に伴う形成画像パターンの読み出し後、画像信号は破線矢印3で示されるタイミングで受け渡され、また同時に相関演算処理により検出された移動媒体53の速度情報も破線矢印2で示されるタイミングで受け渡され、これら信号を合わせて動作領域MPで示される位置ずれ検出処理により、移動媒体53上に形成された画像パターンの形成位置ずれが検出される。
この検出処理には2フレーム前の第2光源61の発光で検出された画像形成位置と、第1光源51の発光で検出された移動媒体53の移動速度と、現フレームでの第2光源61の発光で検出された画像形成位置の3つの情報から検出処理される。第2光源61の発光で画像検出位置が検出される様子を図11に示す。図11(a)はエリアセンサ46の2次元受光面上に結像された移動媒体53上の第2光源61によるLED光照明領域、およびLED光照明領域内にある位置ずれ検出用のトナーパターン像を示す。
図9の画像検出装置における移動媒体53上のトナーパターン像を、結像レンズ44を介してエリアセンサ46に結像している。移動媒体53上に形成したトナーパターン像のエリアセンサ46から出力信号のうち、A画素行の画像信号を図11(b)に示す。トナーパターンの強度分布波形となっている。このトナーパターン像の画像信号から、適切に設定されたエッジ検出しきい値71を元に、その前端のエッジ位置72、後端のエッジ位置73を検出し、これらのエッジ位置からトナーパターン中央位置74を算出して、トナーパターンの形成位置を特定している。
トナーパターン像の形成位置の数値化は図11(b)に示すように、エリアセンサ46の列の原点となる画素X0を設定し、X0からトナーパターン中央位置74までの距離X2が形成位置となる。エリアセンサ46には画素が高精度に配列されているので、この画素間隔を目盛りとして形成位置を高精度に算出することができる。
なお、図11(a)ではA画素行1行の画像信号を元にトナーパターン像を抽出していたが、これに限定されず、複数行の画像信号を列方向に加算してトナーパターン像を抽出するようにしても良い。
また、エリアセンサ46上の光学像は、結像レンズ44の歪曲収差により、必ずしも移動媒体53上の相似パターンとはなっていないが、結像レンズ44の歪曲収差を数値的に逆補正することで、収差の影響を回避することができる。
以上の方法により、トナーパターン像の形成位置ずれを検出する場合、図5に示した位置ずれ検出のためのトナーパターン群全体がエリアセンサ46に一度の撮像で取り込めれば、前述した方法で形成位置ずれを検出できるが、一度の撮像で全体を取り込めない場合は、図10に示したタイミングチャートのように、2フレームに1回で取り込むように、非干渉光の第2光源61の照射による画像信号の隣接する2画像から形成位置ずれを求める。
具体的には、隣接する2画像の最初の画像中で基準となるトナーパターン像のパターン形成位置のX1を、原点画素X0を基点に算出し、同様に2フレーム後の画像中で注目パターンのパターン形成位置のX2を、原点画素X0を基点に算出する。さらに図10で示した、破線矢印2で示されるタイミングで受け渡された相関演算処理により検出された移動媒体の速度v1から、2フレーム間の移動媒体の移動距離L1は(数3)により算出できる。
ここで、tfはフレーム繰返し時間である。
以上より、基準パターンに対する注目パターンの形成位置Xは(数4)より算出できる。
このように、画像検出装置で検出された移動媒体の移動速度v1も使って、形成トナーパターンの形成位置検出が高精度にできる。
図12は図9に示した実施例3の画像検出装置の別の検出動作のタイミングチャートである。図12において、横軸が時間軸であり、(a)はエリアセンサ46の動作タイミングを示し、1フレーム時間TF0の繰返しによる連続撮像動作である。ここでいう1フレーム時間TF0は、図10に示した1フレーム時間TF0をとってある。図12も同様に可干渉光を発する第1光源51による移動媒体53の移動速度検出と、非干渉光を発する第2光源61による移動媒体53上に形成された画像パターンの形成位置ずれ、および画像濃度検出をエリアセンサ46の各フレームに同期して、1フレーム毎、交互に行っている。
図12(b)は図9の可干渉光を発する第1光源51の発光タイミングチャートを示し、1フレームおきに発光パルスCで示す、発光時間TCで発光させる。このとき、図12(a)に示すエリアセンサ46の受光に伴うスペックルパターンの露光蓄積動作Sの露光蓄積時間TSが、TS<TF0であり、露光蓄積時間TSが1フレーム時間より小さく設定されている。ここでは、第1光源51の発光時間TCが露光蓄積時間TSよりは大きく設定され、TC>TSである。
図12(c)に相互相関処理のタイミングチャートを示す。第1光源51の発光に伴うスペックルパターンの読み出し後、画像信号は破線矢印1で示されるタイミングで受け渡され、動作領域MCで示される相関演算処理により、フレームメモリに記憶されている2フレーム前のスペックルパターン画像信号との間での相互相関演算が行われる。この相関演算により、相関ピーク位置のずれ量を検出して、2フレーム前と現フレーム間の移動媒体53の移動量が検出でき、結果からこの間の移動速度が算出できる。
図12(d)は図9における非干渉光を発する第2光源61の発光タイミングを示し、図12(b)とは1フレームおきに発光パルスIで示す、発光時間TIで発光させる。このとき、TS<TF0,TS<TIとなるように設定されている。
図12(e)に第2光源61による移動媒体53上の画像パターンの形成位置ずれの検出タイミングチャートを示す。第2光源61の発光に伴う形成画像パターンの読み出し後、画像信号は破線矢印3で示されるタイミングで受け渡され、また同時に相関演算処理により検出された移動媒体53の速度情報も破線矢印2で示されるタイミングで受け渡され、これら信号は合わせて動作領域MPで示される位置ずれ検出処理により、移動媒体53上に形成された画像パターンの形成位置ずれが検出される。これ以後のトナーパターンの形成位置算出は図11で説明した方法で算出できる。
本発明の実施形態における実施例3の画像形成装置は、前述の実施例の画像検出装置を図1に示した中間転写タイプの画像形成装置に適用したものである。本実施例4の画像検出装置は、図1に示す中間転写ベルト105の最終感光体ドラムK1の位置より下流側に配置され、中間転写ベルト105自身の送り速度を常時検出する。これと平行して中間転写ベルト105に各感光体ドラムから転写されたトナー画像パターンのうち、図5に示すようなトナーパターンを検知してトナー画像パターンの形成位置ずれを検出することができる。
また、図7に示すようなトナー階調パターンを検知してトナー画像パターンの画像濃度を検出することができる。このように1つの画像検出装置により、中間転写ベルト105の速度変動、トナー画像パターン形成位置ずれ、および画像濃度の3つを検出することができる。
また、本実施形態の実施例4は、前述の実施例4と同様に画像検出装置を図2に示した直接転写タイプの画像形成装置に適用したものである。本画像検出装置は、紙等の記録媒体を搬送する搬送転写ベルト106の最終感光体ドラムK1の位置より下流側に配置され、搬送転写ベルト106自身の送り速度を常時検出する。これと平行して、搬送転写ベルト106上を搬送される紙等の記録媒体に転写されたトナー画像パターンも検出する。搬送転写ベルト106上を搬送される紙に各感光体ドラムから転写されたトナー画像パターンのうち、図5に示すようなトナーパターンを検知してトナー画像パターンの形成位置ずれを検出することができる。また、図7に示すようなトナー階調パターンを検知してトナー画像パターンの画像濃度を検出することができる。このように1つの画像検出装置により、搬送転写ベルト106の速度変動、トナー画像パターン形成位置ずれ、および画像濃度の3つを検出することができる。
また、前述した実施例3、4における画像形成装置において、搭載した画像検出装置の検出信号に応じて、ベルト送り速度を一定に制御するためフィードバックにより転写ベルト送りのモータ駆動を制御する手段(ベルト速度補正手段)を備える。
具体的には、前述した図1の画像形成装置に適用した場合は、画像検出装置で検出した中間転写ベルト105の速度変動を元に、転写ベルト送り手段のモータ駆動制御にフィードバックして、ベルト送り速度を一定にする。あるいは、図2の画像形成装置に適用した場合は、画像検出装置で検出した搬送転写ベルト106の速度変動を元に、転写ベルト送り手段のモータ駆動制御にフィードバックして、ベルト送り速度を一定にする。
また、画像検出装置で検出したトナー画像パターンの形成位置ずれ結果を元に、副走査方向の位置ずれに対しては、書き込み開始位置を補正する手段(書き込み開始位置補正手段)を備え、例えば、図1,2の画像形成装置ともに、位置ずれに応じて画像書き込み走査ラインの選択を変えて、副走査方向のトナー画像位置ずれを減少させる。また、副走査線の間隔以下のずれの補正に対しては、走査光学系中に液晶などで形成した可変光偏向素子を用いて、書き込み光ビームを副走査方向に微小偏向させて補正する方法などがある。
また、画像検出装置で検出したトナー画像パターンの主走査方向の位置ずれに対しては、各主走査の主走査書き込み位置をずらす手段を設けて補正する。
以上の画像形成装置において、光走査装置による書き込み開始位置を補正する書き込み開始位置補正手段、あるいは中間転写ベルトまたは搬送転写ベルトの送り速度を補正するベルト速度補正手段、あるいはその両方の手段を備えて構成しても良いが、少なくとも一方を設けることでも良い。
さらに、前述の画像検出装置で検出したトナー階調パターンの画像濃度値に対して、各色が適正な階調を持つ画像濃度となるように、現像器の現像バイアスにフィードバックし制御する、あるいは感光体ドラムの帯電器の電圧にフィードバックし制御する、あるいは光走査装置のレーザ書き込みパワーを調整して露光量を調整して、各色が適正な階調を持つ画像濃度となるように制御を行う。
以上に説明した各実施例では、本発明の画像検出装置として電子写真プロセスを用いた画像形成装置に適用した例を挙げ説明してきたが、本発明の画像検出装置はこれに限定されるものではなく、インクジェットプロセス等による多色カラーの画像形成装置における記録紙の移動速度変動検出、および記録紙上の各色インク画像パターンの位置ずれ、および画像濃度検出にも同様に適用できる。