JP5435705B2 - 樹脂−セラミックス複合材料およびその製造方法 - Google Patents
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以下、実施例を比較例とともに挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。まず、所定量のMn3N粉末、Sn粉末およびCu粉末をMn3Cu0.5Sn0.5Nの配合となるよう計量した。これらを均一混合し、1t/cm2(=98MPa)で一軸成形し、50×50mmの成形体を得た。
上述した実施例1と同様の樹脂−セラミックス複合材料の製造方法および評価方法に従って、別途、樹脂−セラミックス複合材料を作製し、その特性を評価した。ただし、Mn3N、CuおよびSnの加熱温度を830℃とし、仮焼体の体積比率を58%(線膨張係数:−4.2×10−6/℃)とした。仮焼体の形状を測定したところ、成形体に対して縦方向と横方向の平均で1.3%収縮していた。また、線膨張係数が3.5×10−5/℃のエポキシ樹脂を仮焼体に浸透させた。その結果、得られた樹脂−セラミックス複合材料の線膨張係数は、0℃以上40℃以下で1.8×10−6/℃であった。
上述した実施例1と同様の樹脂−セラミックス複合材料の製造方法および評価方法に従って、別途、樹脂−セラミックス複合材料を作製し、その特性を評価した。ただし、Mn3N、CuおよびSnの組成をMn3.226Cu0.387Sn0.387Nとし、加熱温度を860℃とし、仮焼体の体積比率を66%(線膨張係数:−5.1×10−6/℃)とした。仮焼体の形状を測定したところ、成形体に対して縦方向と横方向の平均で2.6%収縮していた。また、線膨張係数が4.2×10−5/℃のフェノール樹脂を浸透に使用した。その結果、得られた樹脂−セラミックス複合材料の線膨張係数は、0℃以上40℃以下で1.8×10−6/℃であった。
上述した実施例3と同様の樹脂−セラミックス複合材料の製造方法および評価方法に従って、別途、樹脂−セラミックス複合材料を作製し、その特性を評価した。ただし、Mn3N、CuおよびSnの加熱温度を870℃とし、仮焼体の体積比率を67%(線膨張係数:−6.2×10−6/℃)とした。仮焼体の形状を測定したところ、成形体に対して縦方向と横方向の平均で2.8%収縮していた。また、線膨張係数が5.7×10−5/℃のポリエステル樹脂を仮焼体に浸透させた。その結果0〜40℃での線膨張係数は−1.9×10−6/℃であった。
上述した実施例1と同様の樹脂−セラミックス複合材料の製造方法および評価方法に従って、別途、樹脂−セラミックス複合材料を作製し、その特性を評価した。ただし、Mn3N、CuおよびSnの組成をMn3Cu0.5Sn0.5Nとし、加熱温度850℃で5時間保持し、仮焼体の体積比率を61%(線膨張係数:−6.4×10−6/℃)とした。仮焼体の形状を測定したところ、成形体に対して縦方向と横方向の平均で1.6%収縮していた。また、線膨張係数が5.7×10−5/℃のポリエステル樹脂を浸透に使用した。その結果、得られた樹脂−セラミックス複合材料の線膨張係数は、0℃以上40℃以下で5.2×10−7/℃であった。
実施例1と同様の配合で成形体を作製し、加熱温度を900℃、保持時間を5時間として熱処理し、別途、仮焼体を作製した。ただし、このときの仮焼体の体積比率は78%(線膨張係数:−17.3×10−6/℃)であり、成形体からの収縮率は5.3%であった。この仮焼体に実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂(線膨張係数:3.3×10−5/℃)を浸透させ、150℃で熱硬化させた。得られた樹脂−セラミックス複合材料を実施例1と同様の方法で線膨張係数を測定したところ、0℃以上40℃以下の温度範囲で−7.5×10−6/℃の線膨張係数が得られ、複合材料は負膨張性を示した。
実施例1と同様の配合で成形体を作製し、加熱温度を890℃、保持時間を5時間として熱処理し、別途、仮焼体を作製した。ただし、このときの仮焼体の体積比率は69%(線膨張係数:−8.8×10−6/℃)であり、成形体からの収縮率は4.1%であった。この仮焼体に実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂(線膨張係数:3.3×10−5/℃)を浸透させ、150℃で熱硬化させた。得られた樹脂−セラミックス複合材料を実施例1と同様の方法で線膨張係数を測定したところ、0℃以上40℃以下の温度範囲で−2.6×10−6/℃の線膨張係数が得られ、複合材料は負膨張性を示した。
実施例1と同様の配合で成形体を作製し、加熱温度を900℃、保持時間を2時間として熱処理し、別途、仮焼体を作製した。ただし、このときの仮焼体の体積比率は73%(線膨張係数:−13.2×10−6/℃)であり、成形体からの収縮率は5.1%であった。この仮焼体に実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂(線膨張係数:3.3×10−5/℃)を浸透させ、150℃で熱硬化させた。得られた樹脂−セラミックス複合材料を実施例1と同様の方法で線膨張係数を測定したところ、0℃以上40℃以下の温度範囲で−4.5×10−6/℃の線膨張係数が得られ、複合材料は負膨張性を示した。
実施例1と同様の配合で成形体を作製し、加熱温度を940℃、保持時間を5時間として熱処理し、別途、仮焼体を作製した。ただし、このときの仮焼体の体積比率は81%(線膨張係数:−19.3×10−6/℃)であり、成形体からの収縮率は6.1%であった。この仮焼体に実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂(線膨張係数:3.3×10−5/℃)を浸透させ、150℃で熱硬化させた。得られた樹脂−セラミックス複合材料を実施例1と同様の方法で線膨張係数を測定したところ、0℃以上40℃以下の温度範囲で−9.1×10−6/℃の線膨張係数が得られ、複合材料は負膨張性を示した。
所定量のMn3N粉末、Sn粉末およびCu粉末をMn3Cu0.5Sn0.5Nの配合となるように計量した。これらを均一混合し、1t/cm2(=98MPa)で一軸成形して、50×50mmの成形体を得た。そして、成形体を窒素雰囲気中で加熱した。このときの最高温度は850℃で、5時間保持し仮焼体を得た。このようにして作製した仮焼体を解砕して粉末にし、アルミ製の箱に重装充填した。この粉末に実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂(線膨張係数:3.3×10−5/℃)を浸透させ、150℃で熱硬化させた。なお、得られた樹脂−セラミックス複合材料についてアルキメデス法で密度を測定し、負膨張材の体積比率を計算したところ、その体積比率は43%であった。この複合材料を実施例1と同様の方法で熱膨張を測定したところ、0℃以上40℃以下の温度範囲で1.2×10−5/℃の線膨張係数が得られ、複合材料は正膨張性を示した。
実施例1と同様の配合で成形体を作製し、加熱温度を750℃、保持時間を1時間として熱処理し、別途、仮焼体を作製した。ただし、このときの仮焼体の体積比率は49%(線膨張係数:−9.8×10−6/℃)であり、成形体からの収縮率は0.3%であった。仮焼体の形状を測定したところ、成形体に対して縦方向と横方向の平均で0.6%収縮していた。この仮焼体に実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂(線膨張係数:3.3×10−5/℃)を浸透させ、150℃で熱硬化させた。得られた樹脂−セラミックス複合材料を実施例1と同様の方法で線膨張係数を測定したところ、0℃以上40℃以下の温度範囲で1.1×10−5/℃の線膨張係数が得られ、複合材料は正膨張性を示した。
実施例1と同様の配合で成形体を作製し、加熱温度を960℃、保持時間を5時間として熱処理し、別途、仮焼体を作製した。ただし、このときの仮焼体の体積比率は96%(線膨張係数:−23.1×10−6/℃)であり、成形体からの収縮率は9.2%であった。この仮焼体に実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂(線膨張係数:3.3×10−5/℃)を浸透させ、150℃で熱硬化させた。得られた樹脂−セラミックス複合材料を実施例1と同様の方法で線膨張係数を測定したところ、0℃以上40℃以下の温度範囲で−19.5×10−6/℃の線膨張係数が得られ、複合材料は大きな負膨張性を示した。また、同じ温度条件で作製した仮焼体に同様に樹脂を浸透させて同様に線膨張係数を測定したところ、0℃以上40℃以下の温度範囲で−16.1×10−6/℃の線膨張係数が得られ、線膨張係数の再現性が確認されなかった。これは仮焼体に閉気孔部が発生し、その部位に樹脂が浸透しなかったためと考えられる。
図1は、実施例および比較例の実験結果を示す表である。実施例1〜5の実験結果に示すように、成形体からの収縮率が1%以上の侵入型窒化マンガンセラミックスからなる仮焼体を作製し、適当な樹脂を浸透、硬化させると、上記の温度領域で低い線膨張係数を有する樹脂−セラミックス複合材料が得られることが分かった。特に、実施例5では、複合材料について5.2×10−7/℃という零に近い線膨張係数が得られている。また、実施例6の実験結果に示すように、熱処理温度を900℃と高く設定し、体積比率の高い仮焼体を用いた場合には、負の熱膨張性を有する樹脂−セラミックス複合材料を得ることができることが分かった。
Claims (5)
- 樹脂とセラミックスとが複合されてなる樹脂−セラミックス複合材料であって、
Mn 4-x-y Cu x Sn y N(0<x+y<4)で表される侵入型窒化マンガンセラミックスの粒子からなり、多孔体として形成される強化材と、
前記強化材に浸透した樹脂からなるマトリックスと、を備え、
前記強化材は、前記粒子間のネッキングにより、前記粒子間が化学結合していない成形体より線方向の寸法で1%以上小さく、50%以上の体積比率を有し、
0℃以上40℃以下の温度領域において、−15×10 -6 /℃以上3×10 -6 /℃以下の線膨張係数を有することを特徴とする樹脂−セラミックス複合材料。 - 前記強化材は、前記粒子間のネッキングにより、前記粒子間が化学結合していない成形体より線方向の寸法で5%以上小さいことを特徴とする請求項1記載の樹脂−セラミックス複合材料。
- 前記強化材は、70%以上の体積比率を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の樹脂−セラミックス複合材料。
- 樹脂とセラミックスとが複合されてなる樹脂−セラミックス複合材料の製造方法であって、
Mn 4-x-y Cu x Sn y N(0<x+y<4)で表される侵入型窒化マンガンセラミックスの粒子からなる成形体を作製する工程と、
前記成形体を熱処理し、収縮率1%以上で収縮させて体積比率50%以上の仮焼体を作製する工程と、
前記仮焼体に樹脂を浸透させる工程と、を含み、
前記一連の工程により0℃以上40℃以下の温度領域において、−15×10 -6 /℃以上3×10 -6 /℃以下の線膨張係数を有する樹脂−セラミックス複合材料を製造することを特徴とする樹脂−セラミックス複合材料の製造方法。 - 前記成形体を熱処理し、収縮率5%以上で収縮させて体積比率70%以上の仮焼体を作製することを特徴とする請求項4記載の樹脂−セラミックス複合材料の製造方法。
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