ところで、特許文献1に記載のインクジェットプリンタにおいては、被記録媒体の浮き上がりを防止する保護部材は、常に被記録媒体に接触していたが、これだと、被記録媒体の搬送を阻害するなどから、保護部材と搬送される被記録媒体の間には通常は間隔があいていて、被記録媒体が浮き上がってきたときだけ接触するという構成が好ましい。
そして、保護部材は、印字ヘッドのインクを噴射する噴射面の近くに配置されていることからインクが付着しやすく、汚れやすい。保護部材が汚れている状態で、浮き上がった被記録媒体が保護部材に接触すると、その汚れが被記録媒体に付着して、被記録媒体を汚してしまう。
そのため、保護部材を清掃して、保護部材に付着したインクを除去することが望ましいのではあるが、保護部材の清掃機構を設けると、清掃機構に堆積したインクが逆に保護部材に付着することを防ぐために清掃機構の清掃手段を設けるなど、非常に複雑な構成が必要になってしまう。複雑な構成を伴わずに保護部材の清掃を行うためには、保護部材を清掃する手段が1回限りの使い捨てであるのが好ましい。そこで、たとえば被記録媒体を保護部材に接触させるという方法が考えられる。保護部材と搬送される被記録媒体の間には間隔があいているので、例えば、通常使用する被記録媒体に比べて、かなり厚みのある媒体を清掃部材として使用しなくてはならないが、このようなかなり厚みのある清掃部材を搬送機構で搬送するのは困難である。また、厚みのある清掃部材や、インクで膨潤させて膨らませた清掃部材を保護部材に接触させたとしても、その接触位置や接触圧の分布は清掃部材の微妙な凹凸や角度により変化しコントロールできないため、清掃部材の全域を清掃するのは困難である。
そこで、本発明の目的は、搬送手段を用いて、保護部材の全域を確実且つ簡単に清掃することが可能なインクジェット記録装置及びこれに設けられた保護部材の清掃方法を提供することである。
本発明のインクジェット記録装置は、インクを噴射するノズルが開口したインク噴射面を有するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドが搭載されたキャリッジと、前記キャリッジを前記インク噴射面と平行な走査方向に往復走査させるキャリッジ走査手段と、前記インク噴射面と対向した搬送面に沿って、前記搬送面に載置された被記録媒体を前記走査方向と直交する搬送方向に搬送する搬送手段と、前記キャリッジに設けられるとともに、前記インクジェットヘッドの前記インク噴射面に対して前記走査方向の一方側に配置され、前記インク噴射面よりも前記搬送面側に突出した部分を有する保護部材と、前記インクジェットヘッド、前記キャリッジ走査手段、及び、前記搬送手段を制御する制御手段と、を備えており、前記制御手段は、前記搬送手段による前記被記録媒体の搬送、前記キャリッジ走査手段による前記キャリッジの走査、及び、前記インクジェットヘッドによるインク噴射を行わせて、前記被記録媒体に記録を行う記録モードと、前記搬送手段による、前記保護部材に接触可能な接触部を有する清掃部材の搬送と、前記キャリッジ走査手段による前記キャリッジの走査を行わせて、前記キャリッジに設けられた前記保護部材に付着したインクを前記接触部で除去する清掃モードと、の2つのモードから1つを選択して実行するように構成され、前記接触部は、前記清掃部材に部分的に形成されて、前記搬送方向に関して所定の接触幅を有するものであり、前記制御手段は、前記清掃モードを選択して実行するときには、前記清掃部材を前記接触幅以下の送り量で搬送させるごとに前記キャリッジの走査を行うように、前記搬送手段と前記キャリッジ走査手段を制御する。
本発明のインクジェット記録装置によると、清掃モードにおいて、清掃部材を接触部の接触幅以下の送り量で搬送させるごとに、キャリッジの走査を行う。このとき、清掃部材の接触部は保護部材の一部しか接触ないため、搬送手段により搬送可能である。そして、このキャリッジの走査により保護部材を清掃部材の接触部に接触させると、保護部材は清掃部材の接触部と接触した部分だけ清掃される。そして、搬送手段を用いて、清掃部材が接触部の接触幅以下の送り量で搬送されるごとに、キャリッジの走査が行われ、保護部材の全域を確実且つ簡単に清掃することができる。
また、前記清掃部材は、前記搬送面に載置された状態において前記走査方向に延びる折り目を有し、前記折り目の部分が前記インク噴射面と対向する際に前記搬送面から離れて搬送される記録紙であり、前記記録紙は、前記折り目の部分が前記接触部であることが好ましい。
これによると、記録が行われる記録紙を使って、この記録紙に折り目を入れると、折り目が走査方向に延びるので、折り目の部分がインク噴射面と対向する際に搬送面から離れるようにして搬送すると、折り目の部分、すなわち、山折りの先端部を接触部として、簡単に保護部材に接触させることができる。
さらに、前記記録紙の前記搬送方向に関する前記折り目の位置を記憶する記憶手段をさらに備えていることが好ましい。
これによると、記録用紙の搬送方向に関する折り目の位置を記憶していることで、搬送面上における搬送方向に関する折り目の位置を把握することが可能になり、最適な搬送制御を行うことができる。例えば、記憶手段に記憶された記録紙の折り目が保護部材と接触可能な位置にあるときだけ、清掃部材を接触部の接触幅以下の細かな送り量で搬送させるごとに、キャリッジの走査を行うことで、清掃時間を短縮することができる。
このとき、前記記憶手段は、複数種類の前記記録紙の形状及び大きさをそれぞれ記憶しており、さらに、これら前記複数種類の記録紙のそれぞれについて、前記搬送方向に関する前記折り目の位置を記憶していることが好ましい。
これによると、複数種類の記録紙の形状や大きさに応じて、それぞれ最適な搬送制御を行うことができる。例えば、記録紙の種類によらず、上述したように清掃時間を短縮することができる。
また、前記キャリッジは、前記走査方向に関して、前記インク噴射面と前記搬送面を搬送される前記被記録媒体が対向しない領域まで移動可能であり、前記制御手段は、前記清掃モードを選択して実行するときには、前記清掃部材が前記インク噴射面と対向する範囲を含まず、前記保護部材と対向する範囲を含む範囲内で前記キャリッジを往復走査させるように、前記キャリッジ走査手段を制御することが好ましい。
清掃部材は、接触部が保護部材に接触可能な高さを有しており、少し撓んだときなどに、インクジェットヘッドのインク噴射面に接触する可能性がある。すると、インク噴射面を傷つけやすく、また、インク噴射面に付着したインクが清掃部材に転写して、逆に保護部材を汚してしまうおそれもある。そこで、清掃部材がインク噴射面と対向しない範囲内で、キャリッジを往復走査させて、保護部材を清掃することで、上述した問題を解消することができる。
さらに、前記保護部材は、前記走査方向における前記インクジェットヘッドの両側にそれぞれ設けられており、前記搬送面の前記被記録媒体が搬送される領域よりも前記走査方向の一方側には、前記インクジェットヘッドの前記インク噴射面をキャッピング可能なキャップと前記インク噴射面を払拭可能なワイパとを含むメンテナンス手段が配置されており、前記制御手段は、前記清掃モードを選択して実行するときには、前記インクジェットヘッドよりも前記メンテナンス手段側に設けられた前記保護部材のみを清掃するように、前記キャリッジ走査手段及び前記搬送手段を制御することが好ましい。
インクジェットヘッドのメンテナンス手段としては、インク噴射面をキャッピングして吸引パージを行うためのキャップや、インク噴射面を払拭するためのワイパなどがあるが、吸引パージ後にキャップをインク噴射面から離したときには、キャップとインク噴射面との間にインクブリッジや泡状のインクがまたがって形成されていることがあり、被記録媒体が搬送される領域に向かってキャリッジが移動すると、インクジェットヘッドよりもメンテナンス手段側に設けられた保護部材は、インクブリッジや泡状のインクに接触して汚れてしまう。
また、ワイパによるワイピング時には、ワイパにより払拭したインクが、被記録媒体が搬送される領域に飛び散らないように、キャリッジがワイパに対して被記録媒体が搬送される領域に向かうように相対移動して、インク噴射面を払拭することがある。すると、ワイパからインクが飛び散った際には、この飛び散ったインクはインクジェットヘッドよりもメンテナンス手段側に設けられた保護部材に付着しやすい。このように、インクジェットヘッドよりもメンテナンス手段側に設けられた保護部材は汚れやすく、特に清掃する必要がある。したがって、この汚れやすく、特に清掃する必要がある保護部材だけを清掃することで清掃時間を短縮することができる。
加えて、前記保護部材は、前記搬送方向に延びた軸に回転自在に支持されたローラであることが好ましい。
これによると、保護部材は、記録紙の端部に当たっても抵抗が少なくひっかかりにくいのでジャムの原因になりにくいように、搬送方向に延びた軸に回転自在に支持されたローラである。その為、清掃部材の接触部と接触した状態で走査方向に移動しても、ローラ自体が回転して、清掃部材がローラに引っかかりにくく、ローラを清掃しやすい。
また、前記制御手段は、前記清掃モードを選択して実行するときには、前記ローラが前記接触部と接触している状態で、前記キャリッジを前記ローラの周長以上に移動させるように、前記キャリッジ走査手段を制御することが好ましい。
これによると、キャリッジを走査方向にローラの周長以上に移動させて、ローラの周方向に関する全域を確実に清掃することができる。
本発明のインクジェット記録装置の保護部材の清掃方法は、インクを噴射するノズルが開口したインク噴射面を有するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドが搭載されたキャリッジと、前記キャリッジを前記インク噴射面と平行な走査方向に往復走査させるキャリッジ走査手段と、前記インク噴射面と対向した搬送面に沿って、前記搬送面に載置された被記録媒体を前記走査方向と直交する搬送方向に搬送する搬送手段と、前記キャリッジに設けられるとともに、前記インクジェットヘッドの前記インク噴射面に対して前記走査方向の一方側に配置され、前記インク噴射面よりも前記搬送面側に突出した部分を有する保護部材と、を備えたインクジェット記録装置の前記保護部材を清掃する清掃方法であって、折り目の入った記録紙を、前記搬送面に載置されたときに、前記折り目が前記走査方向と平行であり、且つ、前記折り目の部分が前記インク噴射面と対向する際に前記搬送面から離れるように載置して、前記キャリッジ走査手段により、前記記録紙の前記折り目と前記保護部材が前記搬送方向に沿って重なるように、前記キャリッジを移動させて、前記搬送手段による前記記録紙の搬送を行い、前記キャリッジに設けられた前記保護部材に付着したインクを前記記録紙の山折りの先端部に接触させて除去する。
本発明のインクジェット記録装置の保護部材の清掃方法によると、記録が行われる記録紙を使って、この記録紙に折り目を入れて、折り目が走査方向と平行であり、且つ、折り目の部分がインク噴射面と対向する際に搬送面から離れるようにして搬送すると、折り目の部分を簡単に保護部材に接触させることができる。そして、折り目の入った記録紙を搬送することで、保護部材の全域を確実且つ簡単に清掃することができる。また、記録紙には折り目を入れるだけで、保護部材に確実に接触させることができる。
搬送手段を用いて、保護部材に接触可能な接触部を有する清掃部材が、接触部の接触幅以下の送り量で搬送されるごとに、キャリッジの走査が行われて、保護部材の全域を確実且つ簡単に清掃することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。本実施形態は、インクジェットヘッドから記録用紙に対してインクを噴射することにより、記録用紙に所望の文字や画像などを記録するインクジェットプリンタに本発明を適用した一例である。
まず、本実施形態のインクジェットプリンタの概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタの概略平面図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ1(インクジェット記録装置)は、所定の走査方向(図1の左右方向)に沿って往復移動可能に構成されたキャリッジ2と、このキャリッジ2に搭載されたインクジェットヘッド3及び2つのローラ17a、17bと、記録用紙Pを走査方向と直交する搬送方向(図1の上方から下方)に搬送する搬送機構4と、搬送機構4により搬送される記録用紙Pを下面から支持するプラテン8と、インクジェットヘッド3のインク噴射性能を回復させるメンテナンス機構5と、各部の動作を制御して全体動作を司る制御装置50などを有している。
キャリッジ2は、走査方向に平行に延びる2本のガイド軸6、7に支持され、2本のガイド軸6、7に沿って走査方向に往復移動可能に構成されている。また、キャリッジ2には無端ベルト9が連結されており、キャリッジ駆動モータ63(図2参照)によって無端ベルト9が走行駆動されたときに、キャリッジ2は、無端ベルト9の走行にともなって走査方向に移動するようになっている。なお、本実施形態における2本のガイド軸6、7、無端ベルト9、キャリッジ駆動モータ63が、本発明におけるキャリッジ走査手段に相当する。
このキャリッジ2の下面には、インクジェットヘッド3が搭載されている。インクジェットヘッド3は、圧電式のアクチュエータにより、図示しないインクカートリッジから供給され、貯留された流路ユニットのインク流路内のインクを複数のノズル15から噴射させる。複数のノズル15は、搬送方向に複数並べて配置されてノズル列を形成しているとともに、このノズル列が走査方向に4列配列されている。そして、このインクジェットヘッド3の下面が、走査方向及び搬送方向と平行であり、複数のノズル15がそれぞれ開口するインク噴射面16となっており、ノズル列ごとに、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクが噴射される。
搬送機構4は、インクジェットヘッド3よりも搬送方向上流側(図1の上方)に配置された給紙ローラ10と、インクジェットヘッド3よりも搬送方向下流側に配置された排紙ローラ11とを有している。給紙ローラ10と排紙ローラ11は、それぞれ、給紙モータ61と排紙モータ62(図2参照)により回転駆動される。そして、この搬送機構4は、給紙ローラ10により、記録用紙Pを図1の上方からインクジェットヘッド3に供給するとともに、排紙ローラ11により、インクジェットヘッド3によって文字や画像などが記録された記録用紙Pを図1の下方へ排出するように構成されている。
プラテン8は、搬送方向に関する給紙ローラ10と排紙ローラ11の間において、キャリッジ2の下方(図1の紙面奥方向)に配置されており、インク噴射面16と対向するその上面には、図示しない複数のリブが形成されている。この複数のリブは記録用紙Pとの接触面積を減らして、記録用紙Pとの摩擦を小さくするもので、搬送方向に延びて配置されている。そして、複数のリブの先端部を含む仮想面が、記録用紙Pが搬送される搬送面8aとなっている。搬送面8aは、インク噴射面16と平行になっている。そして、記録用紙Pは搬送面8aに支持されながら、搬送面8aに沿って搬送される。
キャリッジ2の走査方向に関する両端部には、搬送方向に延在する軸に回転自在に支持されたローラ17a、17b(保護部材)がそれぞれ設けられている。2つのローラ17a、17bは、搬送方向に関して、ノズル15が配置されている長さよりも長く延びて、インクジェットヘッド3のインク噴射面16よりも下方に突出した部分を有しており、搬送面8aを搬送される記録用紙Pと接触したときに回転可能な従動ローラである。
例えば、記録用紙Pは、インクジェットヘッド3から噴射されたインクを吸収することで膨潤したときなどに曲がりを生じる。すると、仮に、2つのローラ17a、17bが設けられていない場合には、搬送面8aの記録用紙Pとインクジェットヘッド3のインク噴射面16の間の隙間は微小であるため、曲がった記録用紙Pがインク噴射面16に接触して、インク噴射面16に形成されたノズル15を傷つけるおそれがある。そこで、インク噴射面16よりも下方に突出した部分を有する2つのローラ17a、17bを設けることで、2つのローラ17a、17bが曲がった記録用紙Pに接触し、記録用紙Pがインク噴射面16に接触するのを防止している。
また、上述したように、記録用紙Pがインクを吸収して膨潤することによって曲がる場合、記録用紙Pは、特に、インクが着弾した直後に膨潤して曲がるが、本実施形態では、2つのローラ17a、17bが、搬送方向に関して、ノズル15が配置されている長さよりも長く延びている。そのため、曲がった記録用紙Pは、インク噴射面16ではなく、2つのローラ17a、17bに確実に接触する。このようにして、記録用紙Pがインク噴射面16に接触してしまうのを確実に防止することができる。
メンテナンス機構5は、走査方向に関するキャリッジ2の移動範囲のうち、搬送面8aの記録用紙Pと対向する印刷領域よりも外側(図1の右側)の領域(以下、メンテナンス領域と称する)に配置されており、インクジェットヘッド3のインク噴射面16に密着してキャッピングする吸引キャップ31と、吸引キャップ31と接続された吸引ポンプ33と、インク噴射面16を払拭するワイパ32などを有している。
吸引キャップ31は、ゴムや合成樹脂などの可撓性を有する材料で形成されており、図示しない昇降機構により昇降可能となっており、降下した状態では、ローラ17a、17bの下端よりもさらに低い位置であり、インクジェットヘッド3のインク噴射面16から離接した退避位置に位置する。そして、吸引キャップ31は、昇降機構により退避位置から上昇して、キャッピング位置に移動すると停止する。このキャッピング位置にある吸引キャップ31は、インクジェットヘッド3がメンテナンス領域にあり、インク噴射面16と対向しているときには、このインク噴射面16に密着し、複数のノズル15を覆う。
そして、吸引キャップ31がインクジェットヘッド3のインク噴射面16に密着してノズル15を覆っている状態で、吸引ポンプ33の吸引動作が行われたときには、吸引キャップ31とインク噴射面16によって形成される密閉空間内の空気が吸引されて圧力が低下し、ノズル15からインクが吸引キャップ31へ排出される。これにより、水分が蒸発して粘度が高くなった(増粘した)ノズル15内のインクや、インクジェットヘッド3内のインク流路に混入している気泡やゴミを、インクとともにノズル15から排出して、インクの噴射特性を回復させる、いわゆる吸引パージが可能となっている。
ワイパ32は、メンテナンス領域において、吸引キャップ31よりも走査方向に関する印刷領域側に吸引キャップ31と隣接して配置されている。また、ワイパ32は、ゴムなどの弾性を有する材料で形成されており、搬送方向にノズル列よりも長く延在しており、その先端が上方を向いている。
上述した吸引パージ後、吸引キャップ31がインクジェットヘッド3のインク噴射面16から離間したときには、インク噴射面16にはノズル15から排出されたインクの一部が付着している。そこで、ワイパ32を図示しない昇降機構により、その先端がローラ17a、17bの下端よりもさらに低い位置からインク噴射面16よりも上方に突出する位置まで移動させた後、インクジェットヘッド3をキャリッジ2とともにメンテナンス領域から印刷領域に向かって走査方向に移動させて、ワイパ32によりインク噴射面16に付着したインクを拭き取るようになっている。
このとき、インクジェットヘッド3をキャリッジ2とともにメンテナンス領域から印刷領域に向かって移動させて、ワイパ32によるワイピングを行っているときには、ワイパ32は印刷領域側に撓んでいる(図3参照)。このとき、仮に、ワイパ32が復元して、その復元力によりインクが飛び散ったとしても、このインクは走査方向に関して印刷領域とは反対側(外側)に飛び散る。これにより、印刷領域にあるプラテン8などにワイパ32から飛び散ったインクが付着して、プラテン8上を搬送される記録用紙Pが汚れるのを防止している。
次に、インクジェットプリンタ1の全体制御を司る制御装置50について説明する。図2は、インクジェットプリンタの電気的な構成を示すブロック図である。制御装置50は、例えば、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、インクジェットプリンタ1の全体動作を制御するための各種プログラムやデータなどが格納されたROM(Read Only Memory)と、CPUで処理されるデータなどを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などを備え、ROMに格納されたプログラムがCPUで実行されることにより、以下に説明するような種々の制御を行うものであってもよい。あるいは、演算回路を含む各種回路が組み合わされたハードウェア的なものであってもよい。
図2に示すように、この制御装置50は、ヘッド制御部51と、搬送制御部52と、キャリッジ制御部53と、メンテナンス制御部54とを有している。ヘッド制御部51は、外部装置であるPC60から入力されたデータに基づいて、インクジェットヘッド3を制御して、記録用紙Pに画像や文字などを記録させる。
搬送制御部52は、搬送機構4の給紙モータ61及び排紙モータ62を制御して、給紙ローラ10及び排紙ローラ11によって記録用紙Pを搬送方向下流側に搬送させる。キャリッジ制御部53は、キャリッジ駆動モータ63を制御して、キャリッジ2を走査方向に往復移動させて、インクジェットヘッド3を往復走査させる。
メンテナンス制御部54は、吸引ポンプ33を制御して、上述した吸引パージを行わせた後、ワイパ32を昇降駆動させて、ワイピングを行わせる。
ところで、インク噴射面16への記録用紙Pの接触を防止する2つのローラ17a、17bは、種々の理由により汚れてしまうことがある。そして、汚れたローラ17a、17bが、記録用紙Pに接触すると、その汚れが記録用紙Pに付着して、記録用紙Pを汚してしまう。このローラ17a、17bが汚れる原因としてはさまざまあるが、例えば、インクジェットヘッド3によるインク噴射が行われることで、インクジェットヘッド3周辺にインクミストが浮遊し、キャリッジ2の両端に配置されたローラ17a、17bにこのインクミストが付着して、ローラ17a、17bが汚れてしまう。
ただし、インクミストによるローラ17a、17bの汚れは、さほど大きくなく、吸引パージ後やワイピング後における、メンテナンス領域側のローラ17aが特に汚れやすい。図3は、ワイピング時におけるインクジェットヘッド近傍の側面図である。図3に示し、上述したように、ワイパ32は、ワイピング時に印刷領域側に撓んでいる。そして、ワイパ32が復元すると、その復元力によりインクは印刷領域と反対側(外側)に向かって飛び散る。すると、インクジェットヘッド3よりも印刷領域から離れた位置に設けられたローラ17aに付着してしまい、ローラ17aが汚れてしまう。
また、インク噴射面16を吸引キャップ31によりキャッピングして吸引パージ時を行った後、吸引キャップ31をインク噴射面16から離接した退避位置に退避させると、インク噴射面16と吸引キャップ31との間に、インクブリッジや泡状のインクがまたがって形成されることがある。その状態で、ワイピングなどで、キャリッジ2とともにインクジェットヘッド3がメンテナンス領域から印刷領域に移動すると、インクジェットヘッド3よりもメンテナンス領域側に設けられたローラ17aは、そのインクブリッジや泡状のインクに接触することになり汚れてしまう。
このように、インクジェットヘッド3の両端に配置された2つのローラ17a、17bは、上述した理由などで汚れて接触した記録用紙Pを汚してしまうおそれがあるが、本実施形態においては、2つのローラ17a、17bの中でも特に汚れやすいローラ17aだけを清掃する。
図2に示すように、制御装置50は、上述した構成に加えて、さらに、モード選択部55と、記憶部56と、表示制御部57とを有している。モード選択部55は、PC60から入力された信号に基づいて、記録モードと清掃モードのいずれかのモードを選択する。記録モードとは、PC60から入力されたデータに基づいて記録用紙Pに記録動作を行うモードである。清掃モードは、ローラ17aの清掃を行うモードである。
記憶部56は、例えば、A4、レターなどの複数種類の記録用紙Pの形状や大きさを記憶しており、さらに、搬送面8aに載置したときに走査方向に沿って折り目19(図4参照)が入るように半分に折り曲げたときの、記録用紙Pの先端からの折り目19の位置を、複数種類の記録用紙Pについて、それぞれ記録している。表示制御部57は、清掃モードにおいてユーザに行ってもらう動作内容をPC60のディスプレイ65に表示させる。
次に、清掃モードにおけるローラ17aの清掃動作について説明する。図4は、清掃モードで用いられる記録用紙であり、(a)は記録用紙の平面図であり、(b)は記録用紙の側面図である。図5は、ローラの清掃時におけるインクジェットヘッド近傍の正面図である。図6は、ローラの清掃時におけるインクジェットヘッド近傍の側面図である。図7は、ローラの清掃時におけるインクジェットヘッド近傍の平面図である。
まず、モード選択部55により清掃モードが選択されると、キャリッジ制御部53によりキャリッジ駆動モータ63を制御して、キャリッジ2とともにインクジェットヘッド3を、走査方向に関する印刷領域よりも外側の領域であり、メンテナンス領域とは反対側の領域(図1の印刷領域よりも左方の領域)に移動させる。
そして、表示制御部57によりPC60のディスプレイ65に、図4(a)、(b)に示すように、記録用紙Pを半分に折り曲げる旨を表示させる。本実施形態においては、記録用紙Pの長手方向の両端を近づけるように半分に折り曲げて、搬送方向に関する真ん中に幅方向に沿った折り目19を入れている。そして、折り目19を入れた記録用紙Pを開くと、くの字状になる。
その後、表示制御部57によりPC60のディスプレイ65に、折り目19が入った記録用紙Pを、図示しない手差しトレイに縦向きであり、且つ、折り目19の部分が上に山折りになるように載置する旨を表示させる。なお、インクジェットプリンタ1は、図示しない手差しトレイに、折り目19が入った記録用紙Pを縦向きであり、且つ、折り目19の部分が上に山折りになるように載置すると、折り目19が走査方向と平行になり、且つ、折り目19の部分がインク噴射面16と対向する際に搬送面8aから離れるようにして搬送されるように構成されている。
そして、上述したようなディスプレイ65への表示内容の通りに図示しない手差しトレイに折り目19が入った記録用紙Pを載置して、搬送制御部52により給紙モータ61を制御して、この折り目19が入った記録用紙Pを、折り目19の方向が走査方向と平行になり、折り目19の部分がインク噴射面16と対向する際に搬送面8aから離れるようにして搬送する。すると、搬送面8aに載置された記録用紙Pの折り目19の部分は、上方に向かって山折りになっており、ローラ17aの下端よりも高い位置となっている。
そして、記録用紙Pの先端を図示しないセンサにより検出しており、記録用紙Pの先端を検出すると、PC60から入力されたデータから記録用紙Pの種類を判別して、記憶部56を参照して、搬送方向に関するこの記録用紙Pの折り目19の位置が把握される。その後、搬送制御部52により給紙モータ61と排紙モータ62を制御して、記録用紙Pの折り目19が搬送方向に関してローラ17aの搬送方向上流側の端部と重なる位置(図6の搬送方向に関するA1位置)まで、記録用紙Pを搬送する。
続いて、図5〜7に示すように、キャリッジ制御部53によりキャリッジ駆動モータ63を制御して、搬送される記録用紙Pがインク噴射面16と対向する範囲を含まず、ローラ17aと対向する範囲を含む範囲内で、キャリッジ2を往復走査させる。このとき、キャリッジ制御部53によりキャリッジ駆動モータ63を制御して、記録用紙Pがローラ17aと対向する範囲において、ローラ17aの周長以上にキャリッジ2を走査方向の一方に走査させる(以下、清掃動作と称する)。
すると、記録用紙Pの折り目19の部分は、ローラ17aと対向したときに、ローラ17aと接触する。この記録用紙Pの接触部18の搬送方向に関する接触幅は、ローラ17aの下端と搬送面8aの間隔や、記録用紙Pの厚みによって変化するが、およそ記録用紙Pの厚みの2倍よりも少し広い幅x1である。この記録用紙Pの接触部18は、ミクロ的に見て幅を有しているとともに、ローラ17aに接触して幅を有している。そして、ローラ17aは、記録用紙Pに接触して周長以上に回転して、記録用紙Pに接触した部分だけ清掃されて、付着したインクが除去される。
その後、搬送制御部52により給紙モータ61と排紙モータ62を制御して、記録用紙Pをローラ17aとの接触幅x1以下の送り量で搬送し(以下、送り動作と称する)、上述したような清掃動作を再度行う。このように、送り動作のたびに清掃動作を行い、記録用紙Pの折り目19が搬送方向に関してローラ17aの搬送方向下流側の端部と重なる位置(図6の搬送方向に関するA2位置)まで清掃動作が終了すると、搬送制御部52により給紙モータ61と排紙モータ62を制御して、記録用紙Pを停止させることなく排出する。
本発明のインクジェットプリンタ1によると、清掃モードにおいて、搬送機構4を用いて、折り目19の入った記録用紙Pを接触部18の接触幅以下の送り量で搬送させるごとに、キャリッジ2の走査を行うことで、ローラ17aの全域を確実且つ簡単に清掃することができる。また、このとき、静止したインクジェットヘッド3に対して、記録用紙Pの搬送だけを行って、ローラ17aを清掃するのではなく、記録用紙Pを停止させて、キャリッジ2の走査も行うため、ローラ17aの全周を清掃でき、ローラ17aに付着したインクをより確実に除去することができる。なお、本実施形態における折り目19の入った記録用紙Pが、本発明における清掃部材に相当する。
また、清掃部材として、記録が行われる記録用紙Pを使って、この記録用紙Pに折り目19を入れて、折り目19が走査方向と平行になり、折り目19の部分がインク噴射面16と対向する際に搬送面から離れるようにして搬送するだけで、折り目19の部分、すなわち、山折りの先端部を接触部18として、簡単にローラ17aに接触させることができる。
さらに、記録用紙Pの搬送方向に関する折り目19の位置を記憶していることで、搬送面8a上における搬送方向に関する折り目19の位置を把握することが可能になり、最適な搬送制御を行うことが可能になる。例えば、上述したように、記録用紙Pの接触部18が搬送方向に関してローラ17aの搬送方向の両端と重なる位置A1から位置A2の範囲だけ、送り動作のたびに清掃動作を行い、それ以外の記録用紙Pの接触部18が位置A1まで搬送されるまでと、位置A2から排出されるまでは、記録用紙Pを停止させずに搬送することで、清掃時間を短縮することができる。また、複数種類の記録用紙Pの形状及び大きさをそれぞれ記憶しており、さらに、これら複数種類の記録用紙Pのそれぞれについて、搬送方向に関する折り目19の位置を記憶していることで、複数種類の記録用紙Pの形状や大きさに応じて、それぞれ最適な搬送制御を行うことができる。
また、搬送面8aに載置された記録用紙Pの折り目19の部分は、ローラ17aに接触可能な高さを有しており、インクジェットヘッド3のインク噴射面16に接触しやすい。すると、インク噴射面16を傷つけやすく、また、インク噴射面16に付着したインクが記録用紙Pの折り目19の部分に転写して、逆にローラ17aを汚してしまうおそれがある。そこで、記録用紙Pがインク噴射面16と対向しない範囲内で、キャリッジ2を往復走査させて、ローラ17aを清掃することで、上述した問題を解消することができる。なお、キャリッジ2のインクジェットヘッド3とローラ17aの間には、インクカートリッジ(図示せず)から供給されたインクを一時貯留するサブタンク(図示せず)内に滞留する空気を排出するための排気ユニットが設けられているため、記録用紙Pがインク噴射面16と対向しない範囲内で、キャリッジ2を往復走査させて、ローラ17aを清掃しやすい。
さらに、2つのローラ17a、17bのうち、インクジェットヘッド3よりもメンテナンス機構5側に設けられており、汚れやすく、特に清掃する必要があるローラ17aだけを清掃することで清掃時間を短縮することができる。
また、インク噴射面16に接触しないように記録用紙Pを保護する保護部材として、搬送方向に延びた軸に回転自在に支持されたローラ17a、17bを用いることで、清掃モードを選択して実行するときに、記録用紙Pの接触部18と接触した状態でローラ17aが走査方向に移動しても、ローラ自体が回転して、記録用紙Pの接触部18がローラ17aに引っかかりにくく、ローラを清掃しやすい。
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
本実施形態においては、キャリッジ2の両側に設けられた2つのローラ17a、17bのうち特に汚れやすいメンテナンス機構5側のローラ17aだけ清掃していたが、2つのローラ17a、17bの両方とも清掃してもよいし、ローラ17bだけ清掃してもよい。
また、本実施形態においては、キャリッジ2の両側にそれぞれローラ17a、17bが設けられていたが、どちらか一方のみ設けられていてもよい。
さらに、本実施形態においては、清掃動作として、記録用紙Pがインク噴射面16と対向しない範囲内で、キャリッジ2を往復走査させて、ローラ17aを清掃していたが、記録モードでの記録動作時のように、記録用紙Pの上方を通過させながらキャリッジ2を往復走査させてもよい。こうすることで、2つのローラ17a、17bを1度に清掃することができる。
加えて、本実施形態においては、記録用紙Pの長手方向の両端を近づけるように半分に折り曲げて、搬送方向に関する真ん中に幅方向に沿った折り目19を入れていたが、折り目19を入れる位置は任意の位置であってもよい。また、幅方向に沿った折り目19ではなく、幅方向に対して傾いた方向に沿った斜めに折り目を入れてもよい。記録用紙Pに折り目を複数入れて、山折りが多い側をインク噴射面16と対向するように上方を向けて搬送してもよい。これによると、上方を向いた山折りの数だけ接触回数が増えて、より確実にローラに付着したインクを除去することができる。
また、本実施形態においては、記録用紙Pの接触部18が搬送方向に関してローラ17aの搬送方向の両端と重なる位置A1から位置A2の範囲だけ、送り動作のたびに清掃動作を行うために、記録用紙Pの搬送方向に関する折り目19の位置を記憶して、搬送面8a上における搬送方向に関する折り目19の位置を把握していたが、センサを設けて、搬送面8aを搬送される記録用紙Pの折り目19の位置を直接検出してもよい。
さらに、本実施形態においては、ワイパ32によるインク噴射面16のワイピングのタイミングとして、ノズル15からインクを排出する吸引パージ後のワイピングについて説明したが、記録動作を複数回行って、インク噴射面16にノズル15から排出されたインクの一部が付着している可能性が高いときなど、いかなるタイミングで行ってもよい。
また、本実施形態においては、記録が行われる記録用紙Pに折り目19を入れて、ローラの清掃部材としていたが、例えば、図8に示すように、部分的に可撓性のローラとの接触部70を有し、搬送機構4により搬送可能な清掃専用のクリーニングシート71などを清掃部材としてもよい。
さらに、本実施形態においては、インク噴射面16に接触しないように記録用紙Pを保護する保護部材として、搬送方向に延びた軸に回転自在に支持されたローラ17a、17bを用いていたが、保護部材としてはローラに限らず、搬送機構4による記録用紙Pの搬送を阻害しないような接触抵抗の小さな部材であれば、例えば、板などいかなる部材であってもよい。
また、本実施形態においては、2つのローラ17a、17bは、キャリッジ2に固定されて、キャリッジ2の走査方向の移動に対して一体的に追従するように構成されていたが、キャリッジ2の走査方向の移動に対して追従可能あれば、キャリッジ2に間接的に設けられてもよい。
さらに、本実施形態においては、清掃モードにおいてユーザに行ってもらう動作をPC60のディスプレイ65に表示させていたが、インクジェットプリンタ1がディスプレイなどの表示部を備えている場合には、この表示部に表示させてもよい。また、表示部による表示に限らず、例えば、出力マイクを備え、音声によるガイドであってもよく、清掃モードにおいてユーザに行ってもらう動作を報知する表示部以外の報知部を備えていてもよい。さらに、このような清掃モードにおいてユーザに行ってもらう動作を報知部を備えていなくてもよい。
また、本実施形態においては、手差しトレイに折り目19の入った記録用紙Pを載置して、ローラ17aの清掃を行っていたが、例えば、給紙トレイからUターン型の給紙パスを有するインクジェットプリンタの場合には、この給紙トレイに折り目19の入った記録用紙Pを載置してローラ17aの清掃を行ってもよい。この場合、折り目19が入った記録用紙Pを、給紙トレイに縦向きであり、且つ、折り目19の部分が下に谷折りになるように載置する。すると、記録用紙Pが反転して、折り目19の部分がインク噴射面16と対向する際に搬送面8aから離れるようにして搬送されるようになる。
この清掃モードで実用的に使用できる記録用紙Pの搬送方向の長さは、このインクジェットプリンタで印刷できる搬送方向長さ最小の記録用紙Pの2倍以上の長さであることが好ましい。給紙トレイから記録用紙PをPFローラまで搬送する給紙ローラ10と、PFローラとの距離は、上記最小の記録用紙Pの長さよりは短く構成されている。給紙ローラ10は記録用紙Pを後ろから押す形で搬送するので、もし記録用紙Pの折り目19が給紙ローラ10とPFローラの間に存在して、且つ、記録用紙Pの先端がPFローラにまだ届いていないとなると、折り目19のところで記録用紙Pが腰砕けになって、給紙パスの中でジャムしてしまう可能性が非常に大きくなる。これが生じないようにするには、記録用紙Pの折り目19が給紙ローラ10にかかったときには記録用紙Pの先端がすでにPFローラに達している必要があり、記録用紙Pの折り目19が用紙中央にあるとすれば、清掃に用いる記録用紙Pの長さは最小用紙の2倍以上であることが少なくとも必要である。