JP5434397B2 - 双極型電池用集電体 - Google Patents

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Description

本発明は、双極型二次電池用集電体に関する。
近年、環境保護のため二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用電池の開発が鋭意行われている。自動車用途の電池としては、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン二次電池に注目が集まっている。特に双極型電池の場合は、集電体を介して縦方向(電極の積層方向)に電流が流れるため、電子の伝導パスを短くでき、高出力になる。これにより、電池電圧の高い電池が構成できる。
双極型電池は、正極活物質層および負極活物質層が各面に形成された集電体を構成部材として含む。集電体としては一般に金属箔が用いられてきたが、この集電体の軽量化を目的として、特許文献1では、カーボンフィラーを混合した導電性を有する樹脂を含む集電体が提案されている。
特開2006−190649号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の集電体は、高結晶性かつ高密度である樹脂を使用している。したがって、充放電に伴う負極の膨張収縮に集電体が追従できず、負極が剥離する恐れがある。そこで、本発明は、負極の膨張収縮に対して十分に追従できる集電体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に取り組み、鋭意研究を積み重ねた。その結果、集電体の一方の面側のエラストマーの含有量が、他方の面側のエラストマーの含有量よりも多い集電体を用いることにより、上記課題が解決されることを見出した。
上記の課題は、単純には、電極の膨張収縮に対応した可撓性のある(伸び歪み率の大きい)樹脂を用いることで改善可能であるが、そのような樹脂は不飽和結合を持つ構造であるため、正極電位において樹脂が分解を起こすという問題がある。この分解反応は、反応を加速させる正極電位において、集電箔内の導電性のあるカーボンフィラーと樹脂との界面で起こり、反応の活性化エネルギーが低い、特に不飽和結合部分と反応する。そこで、集電体にポリオレフィン樹脂を含有させることにより、このような問題も解消し得る。
双極型二次電池用集電体の一方の面側にエラストマーが多く存在することにより、この面を負極側に用いると、エラストマーが電位に対し安定に存在することができるため、負極の膨張収縮に追従し得る集電体が提供される。
双極型リチウムイオン二次電池の構造を示す断面概略図である。 好ましい実施形態である集電体を使用した双極型電極の断面概略図である。 双極型リチウムイオン二次電池の外観斜視図である。
まず、好ましい実施形態である双極型リチウムイオン二次電池について説明する。しかし、以下の実施形態のみには制限されない。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、双極型リチウムイオン二次電池10の全体構造を模式的に表した断面概略図である。図1に示す双極型リチウムイオン二次電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、電池外装材29の内部に封止された構造を有する。
図1に示すように、双極型リチウムイオン二次電池10の発電要素21は、集電体11の一方の面に電気的に結合した正極活物質層13が形成され、集電体11の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層15が形成された複数の双極型電極23を有する。各双極型電極23は、電解質層17を介して積層されて発電要素21を形成する。なお、電解質層17は、基材としてのセパレータの面方向中央部に電解質が保持されてなる構成を有する。この際、一の双極型電極23の正極活物質層13と前記一の双極型電極23に隣接する他の双極型電極23の負極活物質層15とが電解質層17を介して向き合うように、各双極型電極23および電解質層17が交互に積層されている。すなわち、一の双極型電極23の正極活物質層13と前記一の双極型電極23に隣接する他の双極型電極23の負極活物質層15との間に電解質層17が挟まれて配置されている。
隣接する正極活物質層13、電解質層17、および負極活物質層15は、一つの単電池層19を構成する。したがって、双極型リチウムイオン二次電池10は、単電池層19が積層されてなる構成を有するともいえる。また、電解質層17からの電解液の漏れによる液絡を防止する目的で、単電池層19の外周部には絶縁部31が配置されている。なお、発電要素21の最外層に位置する正極側の最外層集電体11aには、片面のみに正極活物質層13が形成されている。また、発電要素21の最外層に位置する負極側の最外層集電体11bには、片面のみに負極活物質層15が形成されている。ただし、正極側の最外層集電体11aの両面に正極活物質層13が形成されてもよい。同様に、負極側の最外層集電体11bの両面に負極活物質層15が形成されてもよい。
さらに、図1に示す双極型二次電池10では、正極側の最外層集電体11aに隣接するように正極集電板25が配置され、これが延長されて電池外装材29から導出している。一方、負極側の最外層集電体11bに隣接するように負極集電板27が配置され、同様にこれが延長されて電池外装材29から導出している。
図1に示す双極型リチウムイオン二次電池10においては、通常、各単電池層19の周囲に絶縁部31が設けられる。この絶縁部31は、電池内で隣り合う集電体11どうしが接触したり、発電要素21における単電池層19の端部の僅かな不揃いなどに起因する短絡が起こったりするのを防止する目的で設けられる。
なお、単電池層19の積層回数は、所望する電圧に応じて調節する。また、双極型リチウムイオン二次電池10では、電池の厚さを極力薄くしても十分な出力が確保できれば、単電池層19の積層回数を少なくしてもよい。双極型リチウムイオン二次電池10でも、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、発電要素21を電池外装材29に減圧封入し、正極集電板25および負極集電板27を電池外装材29の外部に取り出した構造とするのがよい。
以上、好ましい実施形態として双極型リチウムイオン二次電池を説明したが、後述する集電体を適用し得る電池は上記のものに限られない。例えば、双極型電池を構造・形態で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など特に制限されず、従来公知のいずれの構造にも適用されうる。
同様に双極型電池の電解質の形態で区別した場合にも、特に制限はない。例えば、非水電解液をセパレータに含浸させた液体電解質型電池、ポリマー電池とも称される高分子ゲル電解質型電池および固体高分子電解質(全固体電解質)型電池のいずれにも適用されうる。高分子ゲル電解質および固体高分子電解質に関しては、これらを単独で使用することもできるし、これら高分子ゲル電解質や固体高分子電解質をセパレータに含浸させて使用することもできる。
また、電池の電極材料または電極間を移動する金属イオンで見た場合にも、特に制限されず、公知のいずれの電極材料等にも適用されうる。例えば、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、カリウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、ニッケルカドミウム二次電池、ニッケル水素電池などが挙げられる。好ましくは、リチウムイオン二次電池である。これは、リチウムイオン二次電池では、セル(単電池層)の電圧が大きく、高エネルギー密度、高出力密度が達成でき、車両の駆動電源用や補助電源用として優れているためである。
(双極型二次電池用集電体)
以下、双極型二次電池用集電体について詳細に説明する。
図2は双極型電極23の断面概略図である。集電体11は、正極活物質層13と接する側に、ポリオレフィン樹脂と導電材とを含むポリオレフィン樹脂層2が配置されている。また、負極活物質層15と接する側に、エラストマーと導電材とを含むエラストマー層3が配置され、集電体11はこれらの二層で構成されている。エラストマー層3は、ポリオレフィン樹脂層2よりも厚くなっている。
従来の双極型電池、特に今後広範な応用が期待されるリチウムイオン電池においては、負極を構成する負極活物質として、炭素・黒鉛系負極材料や、リチウムと合金化しうるケイ素(Si)やスズ(Sn)等の合金系負極材料が用いられている。特に、合金系負極材料は、炭素・黒鉛系負極材料と比較して高いエネルギー密度を達成可能であり、車両用電池の候補として期待されている。
上記合金系負極材料は、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴う膨張収縮が大きい。例えば、リチウムイオンを吸蔵した場合の体積膨張は、黒鉛では約1.2倍であるのに対し、ケイ素系材料では約4倍にも達する。このように活物質が大きく膨張すると、充放電を繰り返すうちに、活物質同士の接触、または活物質層と集電体との密着性が低下する。その結果、負極活物質の割れや微粉化、または集電体からの剥離が起こり、所望のサイクル特性が得られないという問題が以前から指摘されていた。
充放電の際の負極活物質層の膨張収縮に樹脂を含む集電体が追従できないことは、従来の樹脂集電体に、ヤング率の高い高結晶性、高密度の樹脂を用いていたためである。負極活物質層の剥離を抑制するには、単純には、負極活物質層の膨張収縮に対応した可撓性の大きい樹脂を用いることで改善可能である。しかし、一方で、そのような樹脂は正極電位において樹脂が分解を起こすという問題があった。本発明者らは、この分解反応は、反応を加速させる正極電位において、集電体内の導電性のあるカーボン等のフィラーと樹脂との界面で起こり、反応の活性化エネルギーが低い、特に不飽和結合部分と反応することを見出した。このような分解反応が進行すると、樹脂及びカーボンフィラーの脱落が起こり、その結果、電池性能が低下する。
本実施形態の双極型二次電池用集電体は、エラストマーおよびポリオレフィン樹脂を含み、一方の面側の前記エラストマーの含有量が、他方の面側の前記エラストマーの含有量よりも多い。ここで、一方の面側または他方の面側とは、集電体の一方の面または他方の面に近い方の、集電体中の一定の厚さの領域をいう。集電体を双極型電極に適用したときに、前記一方の面は負極活物質層と接し、前記他方の面は正極活物質層と接する。好ましくは、集電体は、前記一方の面側の表面にエラストマーと導電材とを含むエラストマー層が存在する。また、前記他方の面側の表面にポリオレフィン樹脂と導電材とを含むポリオレフィン樹脂層が存在する。より好ましくは集電体はこれらの二層で構成され、以下では、二層で構成される好ましい実施形態について主に説明する。
集電体の負極活物質層側にエラストマーを含有させることにより、エラストマーに可撓性があり、かつ、エラストマーが電位に対して安定に存在することができるために、集電体は負極の膨張収縮に追従できる。したがって、双極型二次電池に適用したとき、従来集電体が追従できなかったことによる、充放電時の負極の剥離が防止される。また、ポリオレフィン樹脂は単結合で構成されているため、集電体の正極活物質層側にポリオレフィン樹脂が含まれることにより、正極電位における樹脂集電体の分解反応が抑制される。よって、集電体の負極剥離の抑制と正極電位における耐性の向上とが実現され、このような集電体を双極型二次電池に使用すれば、電池のサイクル特性の向上が可能となる。
エラストマー層3は、エラストマーを好ましくは50〜99質量%、より好ましくは70〜95質量%含む。双極型二次電池用集電体の負極活物質層側に含まれるエラストマーの例としては、シリコーンゴム、シリコーン変性耐熱性ゴム、天然ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水添物(SEBS)、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴムなどが挙げられる。好ましくは、負極活物質層の膨張収縮への追従しやすさ等の点から、エチレンプロピレンゴムである。しかし、これらに限定されるわけではない。
ポリオレフィン樹脂層2は、ポリオレフィン樹脂を50〜99質量%、より好ましくは70〜95質量%含む。ポリオレフィン樹脂は、直鎖もしくは分岐状のα−オレフィンまたは環状オレフィンの単独重合体、共重合体、またはそれらの混合物を意味する。例えば、直鎖状または分岐鎖状のα−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、ペンテン、メチルブテン、ヘキセン、メチルペンテン、メチルペンテン、エチルペンテン、ジメチルペンテン、メチルヘキセン、ジメチルヘキセン、エチルヘキセン、エチルヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの重合体および共重合体のうち、ポリエチレン、ポリプロピレンがより好ましく、正極電位における分解防止の点から、特にポリエチレンが好ましい。同様に、ポリエチレンにポリプロピレンを1〜40質量%混合した混合樹脂も好ましく用いられる。
双極型二次電池用集電体は、上記エラストマーおよびポリオレフィン樹脂と共に導電材(導電性フィラー)を含み得る。導電材の例としては、これに限られるものではないが、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。このうち、少量の添加で良好な導電特性を示すことから、特にケッチェンブラックが好ましい。これらカーボン材料の他には、アルミニウム粒子、SUS粒子、カーボン粒子、銀粒子、金粒子、銅粒子、チタン粒子、これらの合金粒子なども使用できる。
導電材の含有量も特に制限はない。特に、樹脂が導電性高分子材料を含み、十分な導電性が確保できる場合は、導電材を必ずしも添加する必要はない。しかしながら、樹脂が非導電性高分子材料のみからなる場合は、導電性を付与するために導電材の添加が必須となる。この際の導電材の含有量は、非導電性高分子材料の全質量に対して、好ましくは5〜35質量%であり、より好ましくは5〜25質量%であり、さらに好ましくは5〜15質量%である。かような量の導電材を樹脂に添加することにより、樹脂の質量増加を抑制しつつ、非導電性高分子材料にも十分な導電性を付与することができる。
双極型二次電池用集電体は、上記エラストマーまたはポリオレフィン樹脂と共に、非導電性高分子材料を混合してもよい。非導電性高分子材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、およびポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
また、上記エラストマーおよびポリオレフィン樹脂と共に、導電性高分子材料を使用してもよい。導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、およびポリオキサジアゾールなどが挙げられる。かような導電性高分子材料は、導電性フィラーを添加しなくても十分な導電性を有するため、製造工程の容易化または集電体の軽量化の点において有利である。
上記のように双極型二次電池用集電体をエラストマー層およびポリオレフィン樹脂層の二層で構成すると、製造工程が簡便になり好ましい。これらの二層で構成する際には、各層の厚さが1〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。各層の厚さが1〜200μmの範囲であると、厚さ方向の抵抗を十分低く抑えることができる。
各層同士の厚さの関係は、ポリオレフィン樹脂層の厚さがエラストマー層の厚さ以下であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン樹脂層がエラストマー層の1/2〜1/10であることが好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン樹脂層がエラストマー層の1/5〜1/10である。ポリオレフィン樹脂層がエラストマー層以下の厚さであると、ポリオレフィン樹脂層がより薄くなることから集電体の抵抗が低下し、好ましい。さらに、エラストマー層がより厚くなることにより、負極活物質層の膨張収縮による集電体の伸び歪み性を向上することができ、負極活物質層の膨張収縮に、集電体がより敏感に追従できる。
各層の面直方向の抵抗については、ポリオレフィン樹脂層の抵抗がエラストマー層の抵抗よりも大きいことが好ましい。ポリオレフィン樹脂層の面直方向の抵抗をエラストマー層より大きくすることで、集電体の正極活物質層側において、分解反応が起きる界面での反応が起きにくくなり、集電体の正極電位への耐性を向上させることができる。具体的には、好ましくはポリオレフィン樹脂層の抵抗がエラストマー層の抵抗の2〜10倍、より好ましくは、ポリオレフィン樹脂層の抵抗がエラストマー層の抵抗の5〜10倍である。
また、集電体全体としては、面直方向の抵抗は、好ましくは1000mΩ・cm以下であり、より好ましくは100〜300mΩ・cmである。また、集電体の平面方向の抵抗は、好ましくは10Ω・cm以上であり、より好ましくは100〜1000Ω・cmである。
単層の双極型二次電池用集電体、または、ポリオレフィン樹脂層およびエラストマー層は、それぞれ従来公知の手法により製造できる。例えば、スプレー法またはコーティング法を用いることにより製造可能である。具体的には、樹脂、導電材、添加剤等の材料を含むスラリーを調製し、これを塗布し硬化させる手法が挙げられる。あるいは、材料を従来公知の混合方法にて混合し、得られた混合物をフィルム状に成形することで得られる。また、例えば、特開2006−190649号に記載の方法のように、インクジェット方式により集電体またはそれを構成する各層を作製してもよい。
ポリオレフィン樹脂層とエラストマー層とを貼り合わせる方法としては、既存の樹脂薄膜の成膜技術や積層、貼合わせ技術などを適宜組み合わせて利用することができる。すなわち、ポリオレフィン樹脂層とエラストマー層とを、熱圧着によって貼り合わせる手法や、イオン遮断層の表面に導電性材料が添加された高分子材料や導電性高分子材料などを含むスラリーを塗布して乾燥させ樹脂層を形成する方法を用いてもよい。好ましくは、120〜160℃で熱融着する。3層以上の積層構造の集電体もこれらの手法を繰り返すことで、集電体を作製することができる。ただし、接着剤を使用した場合には、貼り合わせて作製した集電体の面直方向の抵抗が好ましくは1Ω・cm以下となるようにする。
以上、二層で構成される双極型二次電池用集電体を説明してきたが、負極活物質側および正極活物質層側で上記のような物理的または化学的機能を果たすことができれば、集電体は単一層で構成されていてもよい。集電体の負極活物質層に接する側が、負極活物質層の膨張収縮に追従する程度にエラストマーを含んでいれば、その他の樹脂を含んでもよい。同様に、正極活物質層側も、ポリオレフィン樹脂が分解反応を抑制できる程度に含まれていれば、それ以外の樹脂を含んでもよい。エラストマーとポリオレフィン樹脂とは、集電体の厚さ方向に逆の濃度勾配を有していてもよい。また、上記のように集電体がエラストマー層およびポリオレフィン樹脂層を備える場合にも、間に1以上の中間層を含んでもよい。
本実施形態の双極型二次電池用集電体によりもたらされる効果について記載する。
(a)集電体の負極活物質層側にエラストマー層を配置することにより、充放電時の負極の膨張収縮に集電体が追従でき、負極活物質層の剥離を抑制できる。
(b)集電体の正極活物質と接触する側にポリオレフィン樹脂層を配置することにより、樹脂集電体が正極電位においても分解せず、安定して存在する。
(c)ポリオレフィン樹脂層の面直方向の抵抗をエラストマー層より大きくすることで、分解反応が起きる界面での反応が起きにくくなり、正極電位の耐性を向上させることができる。
(d)ポリオレフィン樹脂層の厚さがエラストマー層の厚さより薄いことで抵抗が下がり、電池特性を向上させることができる。また、エラストマー層をより厚くすることにより、樹脂集電体は負極活物質層の膨張収縮により追従しやすくなる。
上記で説明した双極型リチウムイオン二次電池は、集電体の構成に特徴を有する。以下、その他の主要な構成部材について説明する。
(活物質層)
[正極活物質層および負極活物質層]
活物質層は活物質を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。
正極活物質層は、正極活物質を含む。正極活物質としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni−Co−Mn)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質としては、例えば、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、リチウム−遷移金属複合酸化物(例えば、LiTi12)、金属材料、リチウム合金系負極材料などが挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、炭素材料またはリチウム−遷移金属複合酸化物が、負極活物質として用いられる。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
各活物質層に含まれるそれぞれの活物質の平均粒子径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜20μmである。
正極活物質層および負極活物質層は、バインダを含んでもよい。活物質層に用いられるバインダとしては、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり活物質層に使用が可能となる。これらのバインダは、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
活物質層中に含まれるバインダ量は、活物質を結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは活物質層に対して、0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
活物質層に含まれうるその他の添加剤としては、例えば、導電助剤、電解質塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマー等が挙げられる。
導電助剤とは、正極活物質層または負極活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。活物質層が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。
正極活物質層および負極活物質層中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、非水溶媒二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。各活物質層の厚さについても特に制限はなく、電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、各活物質層の厚さは、2〜100μm程度である。
(電解質層)
電解質層を構成する電解質としては、液体電解質またはポリマー電解質が用いられうる。液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられうる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiBETI等の電極の活物質層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない真性ポリマー電解質に分類される。
ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系ポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質層にセパレータを用いてもよい。セパレータの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜が挙げられる。
真性ポリマー電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が真性ポリマー電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
ゲル電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
(最外層集電体)
最外層集電体の材質としては、例えば、金属や導電性高分子が採用されうる。電気の取り出しやすさの観点からは、好適には金属材料が用いられる。具体的には、例えば、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅などの金属材料が挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性、電池作動電位という観点からは、アルミニウム、銅が好ましい。
(タブおよびリード)
電池外部に電流を取り出す目的で、タブを用いてもよい。タブは最外層集電体や集電板に電気的に接続され、電池外装材であるラミネートシートの外部に取り出される。
タブを構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用のタブとして従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。タブの構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。より好ましくは軽量、耐食性、高導電性の観点からアルミニウム、銅などである。なお、正極タブと負極タブとでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。
正極端子リードおよび負極端子リードに関しても、必要に応じて使用する。正極端子リードおよび負極端子リードの材料は、公知のリチウムイオン二次電池で用いられる端子リードを用いることができる。なお、電池外装材から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
(電池外装材)
電池外装材としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、発電要素を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロン(登録商標)をこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが望ましい。
(絶縁部)
絶縁部は、電解質層からの電解液の漏れによる液絡を防止する。また、絶縁部は、電池内で隣り合う集電体どうしが接触したり、発電要素における単電池層の端部の僅かな不揃いなどに起因する短絡が起こったりするのを防止する目的で設けられる。
絶縁部を構成する材料としては、絶縁性、固体電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよい。例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴムなどが用いられうる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点から、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が、絶縁部の構成材料として好ましく用いられる。
なお、上記の双極型リチウムイオン二次電池は、従来公知の製造方法により製造することができる。
<双極型電極>
双極型電極は、上述したように、図2に示した構造を備える。すなわち、集電体の負極活物質層側はエラストマー層が配置され、正極活物質層側はポリオレフィン樹脂層が配置されている。それにより、双極型二次電池に用いれば、充放電時の負極の剥離が防止され、かつ、正極電位における樹脂集電体の分解も抑制される。したがって、サイクル特性の向上した電池を提供できる。
(e)本実施形態の双極型電極は、充放電時に負極活物質の剥がれが抑制され、正極電位における集電体の分解が防止されるため、サイクル特性に優れた双極型電池を構成し得る。
<双極型リチウムイオン二次電池の外観構成>
図3は、双極型電池の代表的な形態である積層型の扁平な双極型リチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。図3に示すように、積層型の扁平なリチウムイオン二次電池50では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極タブ58、負極タブ59が引き出されている。発電要素57は、リチウムイオン二次電池50の電池外装材52によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素57は、正極タブ58および負極タブ59を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素57は、先に説明した図1に示す双極型のリチウムイオン二次電池10の発電要素21に相当するものであり、正極活物質層13、電解質層17および負極活物質層15で構成される単電池層(単セル)19が複数積層されたものである。
なお、上記リチウムイオン電池は、積層型の扁平な形状のものに制限されず、巻回型のリチウムイオン電池では、円筒型形状のものであってもよい。また、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよい。上記円筒型の形状のものでは、その外装材に、ラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。好ましくは、発電要素がアルミニウムラミネートフィルムで外装される。当該形態により、軽量化が達成されうる。
また、図3に示すタブ58、59の取り出しに関しても、特に制限されるものではなく、正極タブ58と負極タブ59とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極タブ58と負極タブ59をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出すようにしてもよい。また、巻回型のリチウムイオン電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
上記リチウムイオン電池は、電気自動車やハイブリッド電気自動車や燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
(f)本実施形態の双極型リチウムイオン二次電池は、充放電時に負極活物質の剥がれが抑制され、正極電位における集電体の分解が防止されるため、サイクル特性に優れた双極型リチウムイオン二次電池となる。
以下、実施例を通して双極型二次電池用集電体を説明する。
(実施例1)
実施例1では、双極型二次電池用集電体を、ポリオレフィン樹脂層とエラストマー層との二層構成として作製した。
ポリオレフィン樹脂としてポリエチレン、導電材としてケッチェンブラックを、ポリエチレンおよびケッチェンブラックの全量に対して5質量%混練し、押し出して厚さ20μmのポリオレフィン樹脂層(体積抵抗率10mΩ・m、面直方向の抵抗0.02Ω)を製造した。エラストマーとしてエチレンプロピレンゴム、導電材としてケッチェンブラックを、エチレンプロピレンゴムおよびケッチェンブラックの全量に対して7質量%を混合し、キャスト法にて厚さ80μmのエラストマー層(体積抵抗率1mΩ・m、面直方向の抵抗0.008Ω)を製造した。ポリプロピレンの層とエチレンプロピレンゴムの層とを、120〜160℃に加熱し、熱融着により貼り合わせて、集電体を完成させた。集電体の抵抗は0.028Ω(電極との接触抵抗は除く)であった。
(比較例1)
比較例1では、以下のように単層の集電体を作製した。エチレンプロピレンゴムおよび、導電材としてケッチェンブラックを、エチレンプロピレンゴムおよびケッチェンブラックの全量に対して7質量%を混合し、キャスト法にて厚さ100μmの集電体(体積抵抗率1mΩ・m、面直方向の抵抗0.01Ω)を製造した。
(耐電位試験)
上記のように製造した実施例1および比較例1の集電体について、以下のように耐電位試験を行った。三極式のガラスセルを使用し、対極にリチウム、参照極にリチウム、作用極には実施例1および比較例1の集電体を用い、リード線を取り付け、電解液に浸漬した。この系に4.2Vの一定の電圧を印加し、その時に流れる電流値を測定した。測定結果を以下の表1に示す。電解液には1MのLiPF溶液を用いた。作用極の幾何表面積は1.0cmであった。
Figure 0005434397
(比較)
表1に示した結果より、ポリオレフィン樹脂層を正極側に設けることで容量(電流量 mAh)が約1/5に低減することが分かった。このことは、実施例1の集電体の充放電による樹脂の分解が、比較例1の集電体に比べて抑制されたことを示している。樹脂の分解反応に伴って電子が移動するため、分解が生じると電流値および電流量は増加するためである。ポリオレフィン樹脂は、エラストマーに比べて反応の活性化エネルギーが高く、この結果から樹脂自体が分解しにくいことが分かる。
(実施例2)
実施例2では、上記実施例1と同様の方法で作製した集電体を使用して、双極型二次電池を製造し、後述するサイクル試験を行った。
[電極]
アセチレンブラック(AB)(導電助剤)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(バインダ)、平均粒子径5μmのリチウムニッケル酸化物系活物質(LiNiO)およびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いて、正極活物質層用スラリーを作製した。各成分の配合比は、リチウムニッケル酸化物系活物質:AB:PVDF=86:6:8(質量比)とした。また、アセチレンブラック(AB)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ハードカーボン及びNMPを用いて、負極活物質層用スラリーを作製した。各成分の配合比は、ハードカーボン:AB:PVDF=85:5:10(質量比)とした。調製した正極活物質層用スラリーを双極型二次電池用集電体のポリオレフィン樹脂層上に塗布し、乾燥させることによって、厚さ30μmの正極活物質層を形成した。また、集電体のエラストマー層上に負極活物質層用スラリーを塗布し、乾燥させることによって、厚さ20μmの負極活物質層を形成した。このようにして集電体のポリオレフィン樹脂層上に正極活物質層を、エラストマー層上に負極活物質層を形成した積層体を得た。
[電池の作製]
得られた正極活物質層・集電体・負極活物質層の積層体を160×130mmの大きさに切り取った。次に、外縁から10mmの外周部に形成された正極活物質層および負極活物質層を剥がし取り、集電体であるポリオレフィン樹脂層およびエラストマー層表面を露出した。これにより、各活物質層面が140×110mmであり、外縁から10mmの外周部の集電体が露出した双極型電極を得た。
得られた双極型電極の、正極活物質層が形成された面のポリオレフィン樹脂層露出部分(活物質未塗布部分)に、シール用シート(PP/PEN/PPを積層した3層構造品)を配置した。次に、170×140mmの樹脂系セパレータ(宇部興産製微多孔膜)を正極活物質層が形成された側の双極型電極が全て覆われるように配置した。その後、活物質未塗布部に対応するセパレータ上にシール用シートを配置し、その上から、双極型電極の負極活物質層面を重ねた。かようにして、双極型電極(負極活物質層・集電体・正極活物質層)・セパレータ・双極型電極(負極活物質層・集電体・正極活物質層)・・・セパレータ・双極型電極(負極活物質層・集電体・正極活物質層)、の順番で積層した。最終的に、双極型電極13枚をセパレータを介して積層し、シールすることによって、単電池層が12個積層された双極型二次電池構造体を作製した。
電解液として、エチレンカーボネート(EC)およびプロピレンカーボネート(PC)の等体積混合溶液にリチウム塩であるLiPFが1.0Mの濃度に溶解した溶液を準備した。そして、上記の双極型二次電池構造体を、電解液に含浸し、双極型電極間に配されたセパレータに保持させることにより、電解質層を形成した。
このようにして電解質層を形成後、双極型二次電池構造体を直列になるように4つ重ね、電流取り出し用のアルミタブを挟み、外装材としてアルミラミネートフィルムを用いて真空密封することで、48直列の双極型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例2)
集電体として、上記比較例1と同様の方法で製造した集電体を使用した以外は、実施例2と同様にして双極型リチウムイオン二次電池を作製した。
(サイクル試験)
上記の方法で作製した実施例2および比較例2の双極型リチウムイオン二次電池について、25℃の雰囲気下、定電流方式(CC、電流:5C)で200Vまで充電した。次いで、10分間休止させた後、定電流(CC、電流:5C)で120Vまで放電し、放電後10分間休止させた。この充放電過程を1サイクルとし、20サイクルの充放電試験を行い、放電容量維持率を調べた。結果を下記の表2に示す。なお、表2において「放電容量維持率」は、1サイクル目の放電容量に対する、1、5、10、20サイクル目の放電容量の割合を表す(百分率表示)。
Figure 0005434397
表2の結果から分かるように、比較例2では20サイクル後には容量維持率が1/2近くに低下したが、実施例2では81.4%と高い比率で維持された。このことは、本発明の集電体の使用により、負極活物質層の剥離が抑制され、かつ、正極活物質層側の樹脂の分解が抑制されたことを示している。比較例2においては、正極活物質層側の樹脂が分解し、分解電流が流れることで樹脂中のフィラーの脱離が起こり、それに伴って正極側の電極の剥離も引き起こされる。その結果、電池性能の低下が観察されたものである。
2 ポリオレフィン樹脂層、
3 エラストマー層、
10、50 双極型リチウムイオン二次電池、
11 集電体、
11a 正極側の最外層集電体、
11b 負極側の最外層集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 電解質層、
19 単電池層、
21、57 発電要素、
23 双極型電極、
25 正極集電板、
27 負極集電板、
29、52 電池外装材、
31 絶縁部、
58 正極タブ、
59 負極タブ。

Claims (7)

  1. エラストマーおよびポリオレフィン樹脂を含む双極型二次電池用集電体であって、
    一方の面側の前記エラストマーの含有量が、他方の面側の前記エラストマーの含有量よりも多い双極型二次電池用集電体。
  2. 前記一方の面側の表面にエラストマーと導電材とを含むエラストマー層が存在する請求項1に記載の双極型二次電池用集電体。
  3. 前記他方の面側の表面にポリオレフィン樹脂と導電材とを含むポリオレフィン樹脂層が存在する請求項1または2に記載の双極型二次電池用集電体。
  4. 前記ポリオレフィン樹脂層の面直方向の抵抗が、前記エラストマーと導電材とを含むエラストマー層よりも大きい請求項3に記載の双極型二次電池用集電体。
  5. 前記ポリオレフィン樹脂層の厚さが前記エラストマー層の厚さ以下である請求項3または4に記載の双極型二次電池用集電体。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の双極型二次電池用集電体を用い、前記一方の面上に負極活物質層が形成され、前記他方の面上に正極活物質層が形成された双極型電極。
  7. 請求項6に記載の双極型電極を用いた双極型電池。
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