図1は、ATM100と通信回線を介して接続されたホストコンピュータ200のシステム構成図であり、図2は、ATM100とホストコンピュータ200の内部構成を示すブロック図である。
図1に示すように、ATM100は、操作部101(拾得者情報入力部)と、媒体受付部と、紙幣入出金機構部104と、硬貨入出金機構部105、静脈認証機構部106とで構成される。また、ホストコンピュータ200は、ATM100と通信回線を介して接続された構成である。
媒体受付け部は、カード機構部・明細票機構部102と、通帳機構部103とで構成される。
また、ATM100は、銀行などに設置されているような顧客操作によって現金の入出金等の取引を行うことができる自動取引装置であって、側面形状がL型の箱状で、ATM100の中ほどの高さにある水平面に操作部101と、紙幣入出金機構部104と、硬貨入出金機構部105と、静脈認証機構部106とが配置され、水平面から上方垂直面にカード機構部・明細票機構部102と、通帳機構部103とが配置されている。
操作部101は、顧客が取引を行う際、取引金額の入力などのキー入力受付けと取引操作案内の表示を兼ねており、顧客が操作し易いようATM100の水平面の手前中央に配置されている。
紙幣入出金機構部104は、操作部101の左奥に配置されている。また、硬貨入出金機構部105は、操作部101の右奥に配置されている。紙幣入出金機構部104と硬貨入出金機構部105は、現金の入出金機能や識別、収納機能を有する。
静脈認証機構部106は、操作部101の右横に配置されている。静脈認証機構部106は、顧客の静脈を読取る静脈読取機能と顧客カードに記憶されている静脈データと照合して認証を行う認証機能を有する。
カード機構部・明細票機構部102は、上方垂直面の中ほど右側に配置されている。カード機構部・明細票機構部102は、顧客カードの挿入・排出機能と顧客カード情報の読取り書込み機能を有するカード機構部と、取引の内容を明細票に印字し排出する明細票機構部とが一体で構成されたものである。
通帳機構部103は、上方垂直面の中ほど左側に配置されている。通帳機構部103は、顧客の通帳を受付け、排出する機能と取引内容を印字する印字機能を有する。
また、ホストコンピュータ200は、ATM100と通信回線を介して接続されている。詳しくは後述するが、ホストコンピュータ200は、顧客がATM100を操作して取引を行う際に必要となる顧客情報などをATM100と受送信する機能と、顧客情報などを記憶する機能とを有する。
図2に示すように、ATM100の制御部110は、操作部101と、カード機構部・明細票機構部102と、通帳機構部103と、紙幣入出金機構部104と、硬貨入出金機構部105と、静脈認証機構部106、回線接続部111(登録部)とが接続されている。
また、ホストコンピュータ200のホストコンピュータ制御部201(判定部)は、ファイル部202と、口座情報ファイル制御部205と、回線接続部206とが接続されている。ファイル部202の内部には、口座情報ファイル203と、各種ファイル204(記憶部)とが記憶されている。
ATM100の制御部110は、CPU、メモリ等のハード構成と、プログラム等のソフト構成とで構成され、顧客がATM100を操作して取引を行う取引操作等の各種処理機能や接続された各部の動作を制御する制御機能を有する。
口座情報ファイル203は、顧客の氏名、口座番号、暗証番号などの顧客情報が記憶されている。また、各種ファイル204は、顧客の口座情報以外の各種情報が記憶されている。
口座情報ファイル制御部205は、ホストコンピュータ制御部201の指示により、ファイル部202の口座情報ファイル203や各種ファイル204に記憶された情報の入出力を行う。
ホストコンピュータ200のホストコンピュータ制御部201は、CPU、メモリ等のハード構成と、プログラム等のソフト構成とで構成され、接続された各部の制御を行う。
ATM100とホストコンピュータ200は、ATM100の回線接続部111とホストコンピュータ200の回線接続部206に接続された通信回線を介して、各制御部の指示により各種情報の受送信を行う。
例えば、ATM100から送信された顧客の暗証番号をホストコンピュータ200が受信すると、ホストコンピュータ制御部201は、顧客の口座情報ファイル203に記憶されている暗証番号と比較して、その結果をATM100に送信する。
次にATM100の周辺で拾得した遺失媒体の回収処理について説明する。
図3は、遺失媒体の回収動作を示すフローチャートであり、図4は、取引開始画面を示す画面構成図であり、図5は、拾得情報を示すデータ構成図であり、図6は、個人情報入力画面を示す画面構成図であり、図7は、個人情報入力再開画面を示す画面構成図である。
図3に示すように、ATM100周辺で他人のカードまたは通帳といった遺失媒体を拾得した者がATM100の前に立つと、ATM100は、図4に示す取引を開始する取引開始画面400を操作部101に表示する(ステップS300)。この取引開始画面400には、画面上部に「いらっしゃいませ」というメッセージと、その下に複数の取引選択ボタンが表示される。この複数の取引選択ボタンは、左列には上からお引き出しボタン401と、お預け入れボタン402と、お振り込みボタン403を、右列には上から残高照会ボタン404と、通帳記入ボタン405と、カード・通帳回収ボタン406と、その他の取引ボタン407を表示する。
拾得者によりカード・通帳回収ボタン406が押下されると、遺失媒体をカード機構部・明細票機構部102または通帳機構部103に挿入を促す案内画面が操作部101に表示される。拾得者が操作部101の操作案内に従い遺失媒体を挿入すると(ステップS301)、カード機構部・明細票機構部102または通帳機構部103は、遺失媒体に記憶されている口座番号などの遺失媒体情報を読取る。
次に制御部110は、操作部101に拾得者が謝礼金の受取りを希望するかどうかを確認する案内画面を表示する。拾得者が謝礼金の受取りを希望しないと入力した場合(ステップS302:No)、制御部110は、遺失媒体から読取られた遺失媒体情報と、回収された日時、回収されたATMの設置場所をホストコンピュータ200に送信する。通信回線を介して遺失媒体情報などを受信したホストコンピュータ200の指示により口座情報ファイル制御部205は、受信した遺失媒体情報と回収日時・場所を関連付けて各種ファイル204に図5に示す拾得情報500として記憶する(ステップS307)。その後、制御部110は、遺失媒体をATM100内の保管部に収納して取引を終了する。
この拾得情報500には、遺失媒体に記憶されている口座番号、媒体種別などの遺失媒体情報と、拾得者が入力した謝礼受取りの希望の有無や個人情報通達の承認、拾得者の氏名などの拾得者情報と、遺失媒体がATM100に回収された日時やATM100の設置場所の回収日時・場所情報とが記憶されている。
一方、図3のステップS302で拾得者が謝礼金の受取りを希望する入力をした場合(ステップS302:Yes)、制御部110は、拾得者に対して氏名や連絡先などの個人情報が遺失者に通達されることを承諾するか否かを確認する案内画面を操作部101に表示する。拾得者が個人情報通達を拒否する入力をすると(ステップS303:No)、制御部110は、拾得者に対して謝礼金を受取れなくなることを確認する案内画面を操作部101に表示する。拾得者が謝礼金受取りを希望する入力をした場合(ステップS310:No)、制御部110は、ステップS303に処理を戻し再度個人情報通達に関する確認を行う。
拾得者が謝礼金を受取れないことを了承する入力をすると(ステップS310:Yes)、制御部110は、遺失媒体から読取られた遺失媒体情報と、回収された日時、回収されたATMの設置場所をホストコンピュータ200に送信する。通信回線を介して遺失媒体情報などを受信したホストコンピュータ200の指示により口座情報ファイル制御部205は、受信した遺失媒体情報と回収日時・場所を関連付けて各種ファイル204に拾得情報500(図5参照)として記憶する(ステップS307)。その後、制御部110は、遺失媒体をATM100内の保管部に収納して取引を終了する。
図3のステップS303で、拾得者が個人情報の通達を承諾する入力をした場合(ステップS303:Yes)、制御部110は、図6に示すように拾得者の氏名、連絡先と謝礼金の振込先口座番号の入力を促す個人情報入力画面600を表示する(ステップS304)。
この個人情報入力画面600には、画面上部に「個人情報入力」と「入力する個人情報の項目を選択し、全項目の入力が済みましたら確認を押してください」というメッセージと、その下に入力した氏名が表示される氏名欄601とその右横に氏名入力ボタン604を、その下に入力した連絡先が表示される連絡先欄602とその右横に連絡先入力ボタン605を、さらにその下に入力した口座番号が表示される口座番号欄603とその右横に口座番号入力ボタン606を表示し、画面下部には左から拾得者のカード・通帳を読み込ませるカード・通帳による自動入力ボタン607と、操作を取り消す取消ボタン608と、入力を確定する確認ボタン609とを表示する。
このとき拾得者は、操作部101に表示される個人情報入力画面600の入力ボタン(604〜606)を押下して個人情報を直接入力する手段と、カード・通帳による自動入力ボタン607を押下して拾得者のカードまたは通帳に記憶されている顧客情報を読み込ませて個人情報を自動入力させる手段とを選択することができる。
拾得者によりカード・通帳による自動入力ボタン607が押下されると、制御部110は、拾得者のカードまたは通帳をカード機構部・明細票機構部102または通帳機構部103に挿入を促す案内画面を表示する。拾得者は、操作部101に表示される案内画面に従って操作を行い、拾得者のカードまたは通帳をカード機構部・明細票機構部102または通帳機構部103に読み込ませる。
拾得者のカードまたは通帳が読み込まれると、制御部110は、読取った顧客情報をもとに顧客の氏名を個人情報入力画面600の氏名欄601に、連絡先を連絡先欄602、口座番号を口座番号欄603に表示する。
また、個人情報を直接入力することを選択した拾得者が謝礼金の振込先口座番号を氏名や連絡先よりも先に入力した場合、ホストコンピュータ200は、口座情報ファイル203を検索し、その口座番号に該当する顧客氏名と連絡先とを氏名欄601と連絡先欄602に自動的に入力表示する。
拾得者が確認ボタン609を押下し、制御部110が全ての項目の入力を確認すると(ステップS305:Yes)、制御部110は、拾得した遺失媒体の種別や日時、ATMの設置場所と拾得者の氏名などが記載された明細票を印字しカード機構部・明細票機構部102より排出する(ステップS306)。
その後、制御部110は、遺失媒体から読取られた遺失媒体情報と、回収された日時、回収されたATMの設置場所と、拾得者が入力した氏名、連絡先、口座番号といった拾得者情報をホストコンピュータ200に送信する。通信回線を介して遺失媒体情報などを受信したホストコンピュータ200の指示により口座情報ファイル制御部205は、受信した遺失媒体情報と回収日時・場所と拾得者情報を関連付けて各種ファイル204に拾得情報500(図5参照)として記憶する(ステップS307)。その後、制御部110は、遺失媒体をATM100内の保管部に収納して取引を終了する。
図3のステップS305で全ての項目が入力されていないと(ステップS305:No)、制御部110は、拾得者に対して入力途中で操作を終了するかどうかを確認する案内画面を操作部101に表示する。
拾得者が入力途中で操作を終了しない入力をした場合(ステップS320:No)、制御部110は、ステップS304に処理を戻し、個人情報の入力を再開する。一方、拾得者が入力途中で操作を終了する入力をした場合、(ステップS320:Yes)、制御部110は、氏名欄601に氏名が入力されているかどうかの判定を行う。
氏名欄601に氏名が入力されていないと(ステップS321:No)、制御部110は、遺失媒体をカード機構部・明細票機構部102または通帳機構部103から排出する(ステップS322)。
その後、制御部110は、遺失媒体の遺失媒体情報と操作を受付けた日時、ATMの設置場所の情報をホストコンピュータ200に送信する。これら情報を受信したホストコンピュータ200の指示により口座情報ファイル制御部205は、受信した情報を関連づけて各種ファイル204に操作履歴として記憶する(ステップS323)。その後、制御部110は、取引を終了する。
一方、氏名欄601に氏名が入力されていると(ステップS321:Yes)、制御部110は、遺失媒体の遺失媒体情報と、回収した日時、ATMの設置場所と、拾得者の氏名が記載された明細票を印字しカード機構部・明細票機構部102より排出する(ステップS306)。
その後、制御部110は、遺失媒体情報と回収した日時、ATMの設置場所と、拾得者情報をホストコンピュータ200に送信する。これら情報を受信したホストコンピュータ200の指示により口座情報ファイル制御部205は、受信した情報を関連づけて各種ファイル204に拾得情報500として記憶する(ステップS307)。その後、制御部110は、遺失媒体をATM100内の保管部に収納して取引を終了する。
このとき、氏名のみを入力した拾得者は、個人情報の残りを後日入力することができる。後日、氏名のみを入力した拾得者により取引開始画面400(図4参照)のその他取引ボタン407が押下されると、制御部110は、図7に示す個人情報入力再開画面700を表示する。
この個人情報入力再開画面700には、画面上部に「いらっしゃいませ」というメッセージと、その下に複数の取引選択ボタンが表示される。この複数の取引選択ボタンは、左列には上から定期貯金ボタン701と、宝くじ購入ボタン702を、右列には上から暗証番号変更ボタン703と、個人情報入力ボタン704を、画面下部左端に全画面に戻るリターンボタン705を表示する。
個人情報入力の再開を希望する拾得者により個人情報入力ボタン704が押下されると、制御部110は、明細票の日付と氏名の入力を促す案内画面を操作部101に表示する。拾得者が明細票の日付と氏名を入力すると、制御部110は、回線接続部111を介してホストコンピュータ200に日付と氏名を送信する。
それを受信したホストコンピュータ制御部201は、記憶された拾得情報500の拾得者情報と回収日時・場所情報を検索し、一致する拾得情報500から拾得者情報を回線接続部206を介してATM100に送信する。拾得者情報を受信したATM100の制御部110は、拾得者情報をもとに図6に示す個人情報入力画面600の各欄(601〜603)に入力済み情報を操作部101に表示し、図3のステップS304から処理を再開する。
次に銀行から郵送あるいは窓口で遺失媒体が返還された顧客が、拾得者に対してATM100から振込みにより謝礼金を支払う処理について説明する。
図8は、謝礼金支払い動作を示すフローチャートであり、図9は、振込先指定画面を示す画面構成図である。
図8に示すように、顧客が来るとATM100は、図4に示す取引を開始する取引開始画面400を操作部101に表示する(ステップS801)。顧客によりお振り込みボタン403が押下されると、制御部110は、顧客に対してカード機構部・明細票機構部102にカードの挿入を促す案内画面を表示する(ステップS802)。
顧客がカードを挿入してカード機構部・明細票機構部102がカードの顧客情報を読取ると、制御部110は、カードに記憶されている氏名や口座番号などの顧客情報を通信回線部111を介してホストコンピュータ200に送信する。
ここで、顧客情報を受信したホストコンピュータ制御部201は、各種ファイル204に記憶されている遺失媒体情報と受信した顧客情報とを比較して遺失歴があるかを確認する。遺失歴がなければ(ステップS803:No)、ホストコンピュータ制御部201は、回線接続部206を介して遺失歴がないことをATM100に送信する。遺失歴がないことを受信したATM100は、通常取引を行い(ステップS813)、その後取引を終了する。
一方、遺失歴がある場合(ステップS803:Yes)、ホストコンピュータ制御部201は、関連づけて記憶されている拾得者情報を参照しそこに謝礼金受取り希望があるかどうかを確認する。拾得者情報に謝礼金受取り希望がない場合(ステップS804:No)、ホストコンピュータ制御部201の指示により口座情報ファイル制御部205は、各種ファイル204に記憶された遺失物情報と拾得者情報などの遺失歴を消去する(ステップS812)。その後、ホストコンピュータ制御部201は、通常取引が可能であることをATM100に送信する。その後ATM100は、通常取引を再開し(ステップS813)、その後取引を終了する。
一方、拾得者情報に謝礼金受取り希望がある場合(ステップS804:Yes)、ホストコンピュータ制御部201は、回線接続部206を介して謝礼金受取り希望があることをATM100に送信する。謝礼金受取り希望を受信したATM100の制御部110は、図9に示す振込先指定画面900を操作部101に表示する(ステップS805)。
この振込先指定画面900には、画面上部に「振込先選択」と「お振り込み先を選択し、確認を押してください」というメッセージと、その下に複数の取引選択ボタンが表示される。この複数の取引選択ボタンは、左列には上から振込先Aボタン901と、振込先Bボタン902と、拾い主の口座ボタン903を、右列には上から振込カードボタン904と、新しいお振込先ボタン905を、画面下部右端に全ての操作を取り消す取消ボタン906と、入力を確定する確認ボタン907を表示する。
なお、拾い主の口座ボタン903は、遺失媒体が返還されてかつ拾得者が謝礼金を希望している場合に表示される。
また、ステップS801で、顧客がその他の取引ボタン407を押下することで、図9に示す振込先指定画面900を操作部101に表示することもできる。
振込先指定画面900が表示された顧客が拾い主の口座ボタン903を押下すると(S806)、制御部110は、拾得者の氏名、振込先などを操作部101に表示する(S807)。このとき、制御部110は、操作部101に振込先口座番号の具体的な数字を表示しない。
顧客は、操作部101に表示される案内画面に従って、任意の謝礼金の額を入力し確定する(ステップS808)。その後、制御部110は、顧客に対して振込みを行うかどうかの確認メッセージを操作部101に表示する。ここで、顧客が振込みを取り消す入力をすると(ステップS809:No)、制御部110は、取引を終了する。この場合、ホストコンピュータ制御部201は、遺失歴の消去を行わない。
一方、顧客が振込み開始を承諾する入力をすると(ステップS809:Yes)、制御部110は、拾得者への振込みを開始する。その後、制御部110は、振込み日時、振込み金額、振込み先氏名などの振込み情報を明細票に印字し、カード機構部・明細票機構部102より排出する(S810)。
また、制御部110は、謝礼金支払い完了情報を回線接続部111を介してホストコンピュータ200に送信する。謝礼金支払い完了情報を受信したホストコンピュータ制御部201の指示により口座ファイル制御部205は、各種ファイル204に記録された遺失媒体情報や拾得者情報などを消去して通常取引中止状態を解除する(ステップS811)。ホストコンピュータ制御部201は、回線接続部206を介して通常取引中止が解除されたことをATM100に送信する。その後、ATM100は、取引を終了する。
以上に説明した遺失媒体処理システムより、無人で遺失媒体を回収することができ、かつ安全に謝礼金の受渡しをすることができる。
また、ATM100を管理する管理者は、各種ファイル204に遺失媒体情報が記憶されると、メール等によりATM100内に遺失媒体が届けられたことを知ることができ、遺失者からの問い合わせ対して遺失媒体情報を照会して対応することができる。
また、拾得者が個人情報入力操作を途中で終了し、かつ氏名が未記入の場合、遺失媒体は、カード機構部・明細票機構部102または通帳機構部103から排出されるが、操作履歴が遺失媒体情報に関連付けられて各種ファイル204に記憶される。このため、遺失媒体が警察などに届けられなかった場合、操作履歴に記憶された操作日時や防犯カメラの映像から拾得者を特定することもできる。
さらに、謝礼金受取りを希望する拾得者は、その旨を拾得者情報として遺失媒体情報と関連付けて記憶されることで、遺失者に対して法律上認められた謝礼金を請求する権利を行使することができる。
カード機構部・明細票機構部102または通帳機構部103で受付けた顧客媒体が各種ファイル204に記憶された遺失媒体情報と一致するかホストコンピュータ制御部201で判定し一致すると判定した場合に、拾得者への謝礼金支払い処理を実行する構成とすることにより、遺失者は、拾得者情報に記憶された振込先への振込みにより謝礼金を支払うことができる。
振込先は、遺失媒体情報と関連づけて記憶された拾得者情報にあらかじめ記憶されているため、遺失者が振込先を入力する手間を省くとともに、遺失者に非表示で伝えることができる。
よって、拾得者は、法律上謝礼金受取りに必要な個人情報のみを遺失者に伝えることができ、かつ遺失者と直接対面することなく謝礼金を受取ることができる。これにより、双方が犯罪等の無用なトラブルに巻き込まれるのを回避することができる。
また、拾得者に謝礼金受取りの有無を入力させる確認処理を実行し、入力された謝礼金受取りの意志情報を各種ファイル204に記憶することにより、拾得者は、遺失媒体が遺失者に返還された際、法律に基づき遺失者に対して謝礼金を請求する権利を行使するかどうかをあらかじめ決定し、拾得者情報として記憶することができる。
また、謝礼金受取り要求の意志情報が拾得者情報に記憶されている場合、通常取引を許否する通常取引停止処理を実行することにより、遺失者は、謝礼金を希望する拾得者へ謝礼金を支払うまで一切の通常取引を行うことができなくなる。従って、遺失者は、謝礼金を支払う義務から逃れることができず、また、謝礼金の受取りを希望する拾得者は、その権利を守られることとなる。
また、拾得した遺失媒体の投入を受付け遺失媒体の遺失媒体情報を読取るカード機構部・明細票機構部102または通帳機構部103と、拾得者の情報を入力許容する操作部101と、遺失媒体情報と拾得者情報とを関連付けて登録する登録部とを備えた自動取引処理装置とすることにより、拾得された遺失媒体は、周囲に届け出る施設、警察署がない場合でも無人で稼動するATM100に回収させることができ、かつ謝礼金受取りを希望する拾得者が安全に謝礼金を受取ることができる遺失媒体処理システムを実現することができる。
さらに従来、ATM100に遺失媒体を回収させるには、拾得者は、拾得した遺失媒体をATM100に挿入して意図的に取り忘れ状態を再現させる必要があった。しかし、これはATM100に取り忘れ媒体回収機能があることを認識している顧客でしかできない手段である。本発明では、取引開始画面400にカード・通帳回収ボタン406を常時表示することにより、遺失媒体処理システムは、取り忘れ媒体回収機能よりも顧客に周知され易くなる。
また、カード機構部・明細票機構部102または通帳機構部103で拾得した遺失媒体の投入を受付け遺失媒体の遺失媒体情報を読取り、操作部101で拾得者の情報を入力許容して、各種ファイル204に関連付けて記憶された遺失媒体情報と拾得者情報に基づいて謝礼金の支払いを行う謝礼金支払い方法とすることにより、拾得者は、遺失媒体拾得にかかる謝礼金請求権を行使するうえで、遺失者に必要最低限の個人情報のみを伝えて安全に謝礼金の受取りを行うことができる。
なお、前記実施例ではATM100を自動取引装置として挙げているが、取引媒体としてカードを使用する両替機のような自動取引装置にも適用しても同様の効果を得ることができる。
また、各種ファイル204は、自動取引装置と通信回線で接続された顧客の口座情報などを取扱うホストコンピュータ200にある記憶装置とすることができる。
登録部は、顧客の口座情報などを取扱うホストコンピュータ200と通信回線を介して通信する回線接続部111と回線接続部206で構成することができる。
さらに、図3のステップS304で拾得者が拾得者情報を入力する際、制御部110は、静脈認証機構部106で拾得者の静脈を採取し拾得者情報の1つとして各種ファイル204に記憶するようにしてもよい。これにより拾得者をより特定することができ、顧客から故意に顧客媒体を盗んで謝礼金を請求するような謝礼金詐欺などの犯罪に対する抑止力とすることができる。
また、実施例では拾得者が個人情報を後日再入力する際、明細票の日付と氏名を入力したが、あらかじめ明細票に拾得情報番号を印字しておき、制御部110は、拾得者に拾得情報番号の入力を求めるようにし、ホストコンピュータ200は、受信した拾得情報番号をもとに拾得情報を検索するようにしてもよい。