しかしながら、従来の発光素子パッケージ100は、第2封止樹脂104に外力が作用すると、第2封止樹脂104の剥離、および、発光特性の低下を招来するという問題がある。
具体的には、発光素子パッケージ100では、特に外部に露出した第2封止樹脂104に、外力が作用する場面が多い。例えば、発光素子パッケージ100の搬送工程(製造工程)、複数の発光素子パッケージ100のモジュール化工程、発光素子パッケージ100および発光素子モジュールのハンドリング時、および、発光素子モジュールを液晶テレビ等に組み込むアセンブリ工程において、第2封止樹脂104に外力が作用しやすい。より詳細には、搬送工程では、フィーダ装置が発光素子パッケージ100を搬送経路中に供給する。モジュール化工程では、予めハンダペーストを印刷したモジュール基板に、複数の発光素子パッケージ100をアレイ状に搭載する。その後、リフロー炉に通して、ハンダを溶かして各発光素子パッケージ100をモジュール基板にハンダ付けする。この際、ピックアップツールが真空チャックにより発光素子パッケージ100を持ち上げる。ハンドリング時には作業者の指が第2封止樹脂104に接触することがある。アセンブリ工程では、発光素子パッケージ100(発光素子モジュール)がテレビ筺体に接触することがある。このため、発光素子パッケージ100の第2封止樹脂104に外力が作用する。その結果、第2封止樹脂104が剥離する。また、剥離しない場合であっても、発光素子パッケージ100内部のLED実装部(ワイヤ105およびワイヤワイヤボンド部)に歪みが生じ、電気的に断線する。
第2封止樹脂104が剥離した場合、即刻、作業者が不良を発見することができる。しかし、第2封止樹脂104が剥離せずにワイヤ105が断線した場合、点灯検査まで不良を発見できない。また、点灯検査で一時的に電気接続(点灯)が確認できたとしても、市場に流通してから実際の不良が発覚することもある。例えば、点灯検査では良品と判定されても、連続点灯時の温度上昇によって、電気接続不良(点灯不良)を起こすこともある。この場合、製品回収または修理、場合によっては製品交換などのコストが増大するばかりである。
そこで、第1封止樹脂103および第2封止樹脂104として、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂などの比較的硬度の高い樹脂を用いれば、第2封止樹脂104の剥離を防ぐことは可能である。しかし、発光素子パッケージ100は、ON/OFFの切換え時などに温度変化が生じる。すなわち、発光チップ102の駆動時には発光チップ102が高温になる。このため、通常、基板101は、高温に耐えうるセラミック基板である。しかし、この場合、セラミック基板とエポキシ樹脂やアクリル樹脂などとの線膨張係数の不一致が原因となり、使用中の温度変化(温度サイクル)によって、第1封止樹脂103および第2封止樹脂104にクラックが早期に発生する。第1封止樹脂103および第2封止樹脂104にクラックが発生すると、発光チップ102の実装に用いられるワイヤ105が断線してしまう。その結果、発光チップ102の点灯不良が生じる。さらに、発光チップ102の光がクラックから漏れ出し、輝度(明るさ)および色度(色合い)の顕著な変化や劣化など、発光特性の低下ももたらす。
さらに、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂の耐光性は低いため、第1封止樹脂103および第2封止樹脂104の透明性が使用中に著しく低下する。その結果、発光特性の低下をもたらす。
このため、第1封止樹脂103および第2封止樹脂104として、シリコーン系樹脂(シリコーン樹脂、エポキシ系シリコーン樹脂、フェニル系シリコーン樹脂など)などの弾性樹脂がよく用いられる。シリコーン系樹脂は、熱応力に対して柔軟に変形するため、第1封止樹脂103および第2封止樹脂104にクラックを発生させにくい。つまり、使用中の温度変化(温度サイクル)によるクラックの発生を防ぐことができる。従って、シリコーン系樹脂等の弾性樹脂を用いることによって、熱応力による耐クラック性(温度サイクル性)は向上する。
しかし、発光素子パッケージ100は、二重封止構造を構成する第1封止樹脂103と第2封止樹脂104とが密着して一体化された構成である。このため、第1封止樹脂103および第2封止樹脂104としてシリコーン系樹脂等の弾性樹脂を用いた場合であっても、第2封止樹脂104に作用する外力の影響(特に発光特性の低下)を軽減することはできない。
このように、従来の発光素子パッケージ100は、第2封止樹脂104に作用する外力による、第2封止樹脂104の剥離、および、発光特性の低下を軽減することはできない。
なお、透光性樹脂に作用する外力による影響を軽減するために、基板にザグリ部(凹部)を形成することも考えられる。すなわち、ザグリ部の底面に、発光素子チップを配置し、ザグリ部を埋めるように封止樹脂を充填すると共に、ザグリ部上に透光性樹脂(レンズ)を形成した発光素子パッケージとする。この場合、透光性樹脂に外力が加わっても、ザグリ部の底部に設けられた発光素子チップの実装部にかかる応力や歪みを軽減することはできる。しかし、通常よりも分厚い基板(セラミック基板)が必要になる上、ザグリ加工等を施す必要がある。このため、基板の生産歩留まりの低下、および、著しいコストの増大につながる。さらに、ザグリ部の底部に発光素子チップを配置するため、発光素子チップ周辺のセラミック壁によって光の取り出し効率が低下してしまう。このため、基板にザグリ部を形成することは、実用性に乏しい。
また、上述のように、特許文献2には、第2封止樹脂104を覆う色度調整部材を形成することが記載されている。この場合、最も外側に形成された色度調整部材に外力が直接作用し、第2封止樹脂104には直接作用しない。このため、発光チップ102およびワイヤ105に直接外力は作用しない。しかし、この色度調整部材は、第1封止樹脂103に含まれる蛍光体と同一の蛍光体を含有しており、色度のばらつきを軽減することが意図されており、外力から保護することは意図されていない。このため、特許文献2には、発光素子チップと同程度の厚さの非常に薄い(数十〜100μm程度)色度調整部材が記載されているにすぎない。また、色度調整部材の強度についても全く記載も示唆もされておらず、第2封止樹脂104およびワイヤ105が破損するほどの外力(数N〜数十Nのせん断方向の力)に耐え得るかどうかは不明である。さらに、色度調整部材がシリコーン樹脂から形成されている場合、外力によって変形して空気層を潰して、直接内部の第2封止樹脂104に外力が作用する。一方、色度調整部材がアクリル樹脂やエポキシ樹脂から形成されている場合、外力に耐え、発光素子パッケージを保護する機能を備えない。
一方、特許文献3では、撥油膜上に透光性樹脂(レンズ)を形成することが記載されている。しかし、この場合も、透光性樹脂が剥離しやすい。また、特許文献3に記載された、セラミック基板の表面にザグリ部等の微細加工を施すことも、上述と同様の理由で実用性に乏しい。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、2重構造の封止樹脂によって発光素子が封止された発光素子パッケージにおいて、封止樹脂に作用する外力の影響を軽減することのできる発光素子パッケージを提供することにある。さらに、本発明の別の目的は、そのような発光素子パッケージの製造方法、および発光素子パッケージを備えた発光素子アレイおよび表示装置を提供することにある。
本発明に係る発光素子パッケージは、上記の課題を解決するために、基板と、基板に実装された発光素子と、発光素子を封止する第1封止樹脂と、第1封止樹脂を被覆する第2封止樹脂とを備え、第1封止樹脂および第2封止樹脂が、いずれも基板に接しており、第1封止樹脂と第2封止樹脂との密着力Aが、第2封止樹脂と基板との密着力Bよりも小さいことを特徴としている。
本発明に係る発光素子パッケージは、第1封止樹脂および第2封止樹脂の2重構造によって発光素子が封止された構成である。このため、外側に配置される第2封止樹脂に外力が加わると、第2封止樹脂の剥離や、剥がれないまでも、第1封止樹脂に保護された発光素子部にダメージを及ぼす可能性がある。
上記の構成によれば、「第1封止樹脂と第2封止樹脂との密着力A<第2封止樹脂と基板との密着力B」である。つまり、第1封止樹脂と第2封止樹脂よりも、第2封止樹脂と基板の方が強固に密着している。このため、第2封止樹脂に外力が作用した場合、第2封止樹脂と基板との界面はずれにくく、第1封止樹脂と第2封止樹脂との界面はずれやすい。これにより、第2封止樹脂と基板との密着は維持される。従って、外力の作用による第2封止樹脂の剥離を防止することができる。さらに、第1封止樹脂と第2封止樹脂との界面がずれることによって、外力の作用による第1封止樹脂の歪みが軽減(吸収)される。これにより、第1封止樹脂に封止された発光素子が、第2封止樹脂に作用する外力から保護される。従って、発光素子の接続不良(断線)を回避することができると共に、発光特性の低下を軽減することができる。
このように、「密着力A<密着力B」とすることによって、第1封止樹脂および第2封止樹脂に作用する外力の影響を軽減することができる。
本発明に係る発光素子パッケージでは、上記基板に対する第1封止樹脂の接触角が鋭角であることが好ましい。
上記の構成によれば、基板に対する第1封止樹脂の接触角(θ1)が鋭角であるため、第2封止樹脂に外力が作用した場合、第1封止樹脂と第2封止樹脂との界面がずれやすくなる。その結果、第1封止樹脂と第2封止樹脂によって、外力を受け流しやすくなる。従って、第1封止樹脂および第2封止樹脂に作用する外力の影響を、より確実に軽減することができる。
本発明に係る発光素子パッケージでは、基板に対する第2封止樹脂の接触角が90°以下であり、上記基板に対する第1封止樹脂の接触角が、上記基板に対する第2封止樹脂の接触角よりも小さいことが好ましい。
上記の構成によれば、基板に対する第2封止樹脂の接触角(θ2)が90°以下であるため、第1封止樹脂と第2封止樹脂との界面がずれやすくなる。その結果、第1封止樹脂と第2封止樹脂によって、外力を受け流しやすくなる。しかも、「θ1<θ2≦90」であるため、より一層、外力を受け流しやすくなる。従って、第1封止樹脂および第2封止樹脂に作用する外力の影響を、より確実に軽減することができる。
本発明に係る発光素子パッケージでは、第1封止樹脂および第2封止樹脂のショアD硬度が、85以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、第1封止樹脂および第2封止樹脂が、いずれもショアD硬度85以下の比較的柔らかい樹脂から形成されている。これにより、第1封止樹脂および第2封止樹脂は、熱応力に対して柔軟に変形する。従って、発光素子パッケージの使用中の温度変化(温度サイクル)によるクラックの発生を防ぐことができる。
本発明に係る発光素子パッケージでは、第2封止樹脂のショアD硬度が、第1封止樹脂のショアD硬度未満であることが好ましい。
上記の構成によれば、第1封止樹脂が第2封止樹脂よりも硬い樹脂から形成されているため、第2封止樹脂に作用した外力によって第1封止樹脂と第2封止樹脂との界面がずれて、第1封止樹脂に外力による歪みが伝播するのを防ぐことができる。
本発明に係る発光素子パッケージでは、第1封止樹脂の厚さは、第2封止樹脂の厚さ未満であることが好ましい。
上記の構成によれば、第2封止樹脂が、第1封止樹脂よりも厚く形成されている。これにより、第2封止樹脂に作用した外力が、第1封止樹脂に伝わりにくい。従って、第1封止樹脂に封止された発光素子が、第2封止樹脂に作用する外力から、より確実に保護される。さらに、第1封止樹脂が薄く形成されているため、外力を受け流しやすくなる。従って、第1封止樹脂および第2封止樹脂に作用する外力の影響を、より確実に軽減することができる。
本発明に係る発光素子パッケージでは、第1封止樹脂および第2封止樹脂は、いずれもシリコーン系樹脂からなり、第1封止樹脂と第2封止樹脂との界面がプラズマ処理されていてもよい。
上記の構成によれば、第1封止樹脂と第2封止樹脂とがシリコーン系樹脂から形成されており、かつ、第1封止樹脂と第2封止樹脂との界面がプラズマ処理されている。これにより、第1封止樹脂と第2封止樹脂との密着力Aが相対的に低下し、「密着力A<密着力B」を維持することができる。なお、このように「密着力A<密着力B」が維持されるのは、シリコーン系樹脂に特有の効果であり、例えばエポキシ樹脂とエポキシ樹脂とを接着する場合に、プラズマ処理すると、エポキシ樹脂同士の密着力は向上する。
本発明に係る発光素子パッケージでは、第1封止樹脂および第2封止樹脂の屈折率が、互いに同一であってもよい。
上記の構成によれば、第1封止樹脂および第2封止樹脂が、同一の屈折率のシリコーン系樹脂から形成されている。これにより、「密着力A<密着力B」を維持しつつ、第1封止樹脂および第2封止樹脂の界面での光反射が抑制することができる。
本発明に係る発光素子パッケージでは、第1封止樹脂および第2封止樹脂の屈折率が、互いに同一であり、第1封止樹脂と第2封止樹脂との界面に、撥油材料が塗布されていてもよい。
上記の構成によれば、第1封止樹脂および第2封止樹脂の屈折率が同一であるため、第1封止樹脂および第2封止樹脂の界面での光反射が抑制される。従って、光反射による光取り出し効率の低下を防ぐことができる。さらに、第1封止樹脂と第2封止樹脂との界面に、撥油材料が塗布されているため、第1封止樹脂および第2封止樹脂が同一の樹脂から形成されていても、「密着力A<密着力B」を維持することができる。
本発明に係る発光素子パッケージでは、上記基板に対する第2封止樹脂の接触角が90°であってもよい。これにより、発光素子の光取り出し効率を向上させることができる。
本発明に係る発光素子パッケージの製造方法は、上記の課題を解決するために、基板に実装された発光素子を第1封止樹脂によって封止する封止工程と、第1封止樹脂を第2封止樹脂によって被覆する被覆工程とを有し、上記封止工程および被覆工程では、第1封止樹脂および第2封止樹脂がいずれも基板に接するように、第1封止樹脂および第2封止樹脂を塗布すると共に、第2封止樹脂を、第1封止樹脂よりも基板と強固に密着させることを特徴としている。
上記の方法によれば、第2封止樹脂が、第1封止樹脂よりも基板と強く密着させるため、第1封止樹脂と第2封止樹脂との密着力Aが、第2封止樹脂と基板との密着力Bよりも小さくなる。従って、第1封止樹脂および第2封止樹脂に作用する外力の影響を軽減することができる発光素子パッケージを製造することができる。
本発明に係る発光素子パッケージの製造方法では、上記発光素子が実装される基板上の領域の周囲に、撥油パターンを形成する工程を有し、上記封止工程は、撥油パターン内に第1封止樹脂を塗布してもよい。
上記の方法によれば、撥油パターンを形成する工程によって、基板上に撥油パターンが形成された後、封止工程によって、発光素子が第1封止樹脂によって封止される。これにより、第1封止樹脂の外周部(外縁部)が撥油パターンに接することによって、第1封止樹脂の形状が規定されるため、第1封止樹脂の形状のばらつきが少なくなる。従って、第1封止樹脂の形状のばらつきによって、発光特性が低下することがない。
本発明に係る発光素子パッケージの製造方法では、第1封止樹脂および第2封止樹脂の屈折率が、互いに同一であり、上記封止工程と被覆工程との間に、上記撥油パターンをプラズマ処理によって除去する工程を有してもよい。
上記の方法によれば、第1封止樹脂および第2封止樹脂の屈折率が同一であるため、第1封止樹脂および第2封止樹脂の界面での光反射が抑制される。従って、光反射による光取り出し効率の低下を防ぐことができる。さらに、プラズマ処理によって撥油パターンを除去すると同時に、第1封止樹脂の表面にもプラズマ処理が施される。これにより、第1封止樹脂と第2封止樹脂との密着力が、プラズマ処理が施されていない場合よりも低下する。従って、第1封止樹脂および第2封止樹脂が同一の樹脂から形成されていても、第2封止樹脂を、第1封止樹脂よりも基板と強固に密着させることができる。
本発明に係る発光素子パッケージの製造方法では、第1封止樹脂および第2封止樹脂の屈折率が、互いに同一であり、第1封止樹脂の表面に撥油材料を塗布する工程を有し、上記被覆工程は、第1封止樹脂および撥油材料を被覆してもよい。
上記の方法によれば、第1封止樹脂および第2封止樹脂の屈折率が同一であるため、第1封止樹脂および第2封止樹脂の界面での光反射が抑制される。従って、光反射による光取り出し効率の低下を防ぐことができる。さらに、第1封止樹脂の表面に撥油材料が塗布され、第2封止樹脂が、第1封止樹脂および撥油材料を被覆する。これにより、第1封止樹脂と第2封止樹脂との密着力が、撥油材料が塗布されていない場合よりも低下する。従って、第1封止樹脂および第2封止樹脂が同一の樹脂から形成されていても、第2封止樹脂を、第1封止樹脂よりも基板と強固に密着させることができる。
本発明に係る発光素子アレイは、前記いずれかの発光素子パッケージが複数接続されていることを特徴としている。また、本発明に係る表示装置は、前記いずれかの発光素子パッケージまたは発光素子アレイを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係る発光素子パッケージを発光素子アレイとして利用することができる。本発明に係る発光素子パッケージおよび発光素子アレイは、例えば、カラー液晶表示装置用のバックライト、信号灯、表示灯などの照明装置(光源)として種々の分野に応用することができる。すなわち、本発明に係る発光素子パッケージおよび発光素子アレイを搭載した表示装置等も、本発明の範疇に含まれる。
以上のように、本発明に係る発光素子パッケージは、第1封止樹脂および第2封止樹脂が、いずれも基板に接しており、第1封止樹脂と第2封止樹脂との密着力Aが、第2封止樹脂と基板との密着力Bよりも小さいことを特徴とする構成である。それゆえ、第1封止樹脂および第2封止樹脂に作用する外力の影響を軽減することができるという効果を奏する。
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。
(1)発光素子パッケージ
図1は、本発明の一実施形態に係るLEDパッケージ(発光素子パッケージ)の断面図である。図2は、本発明の実施の形態に係るLEDパッケージ10の上面図(平面図)である。
LEDパッケージ10は、基板1上に、1対の電極2,3と、2個のLEDチップ4と、LEDチップ4を封止する第1封止樹脂5と、第1封止樹脂5を被覆する第2封止樹脂6とを備えている。
基板1は、LEDチップ4が実装される配線基板(インターポーザ基板)である。基板1は、LEDパッケージ10の駆動による温度変化に耐えることができれば特に限定されるものではない。基板1は、例えば、ガラス基板、セラミック基板、プリント基板などを用いることができる。電極2,3の一方がアノード電極、他方がカソード電極である。電極2,3は、基板1上に形成された、LEDチップ4用の配線(配線パターン)である。なお、図示しないが、電極2,3(配線パターン)の一部は、ガラス等の絶縁部材によって、他から絶縁されている。
LEDチップ4は、LEDパッケージ10における発光素子である。LEDチップ4は、電極2と電極3との間に配置されている。LEDチップ4は、ワイヤ7によって、電極2,3に接続されている。これにより、基板1とLEDチップ4とが、電気的および機械的に接続される。
なお、図1および図2においては、2個のLEDチップ4が基板1の中央部に設置されている。LEDチップ4の設置数は、特に限定されるものではなく、1個以上であればよい。また、LEDチップ4の発光色も特に限定されるものではない。また、本実施形態では、LEDチップ4を発光素子としているが、半導体レーザ、有機EL素子等の他の発光素子を用いることも可能である。
第1封止樹脂5は、少なくとも一部が基板1に接しており、LEDチップ4を封止している。第1封止樹脂5は、さらに最も高い位置にあるワイヤ7も封止することが好ましい。つまり、第1封止樹脂5は、全てのワイヤ7を封止することが好ましい。第1封止樹脂5中には、LEDチップ4の放射光によって励起されて発光する蛍光体が混入されていてもよい。
第2封止樹脂6は、少なくとも一部が基板1に接しており、第1封止樹脂5を被覆している。LEDパッケージ10の光取り出し効率を向上させるため、第2封止樹脂6の表面がレンズ状(球面)になっている。
このように、LEDパッケージ10は、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6の2重構造によってLEDチップ4が封止された構成である。このため、外側に配置される第2封止樹脂6に外力が加わると、第2封止樹脂6の剥離が生じる可能性がある。また、通常、第2封止樹脂6が剥離する前に、LEDチップ4の実装部(ワイヤボンド接続部)が剥がれてしまうため、外観上は問題ないがLEDチップ4が点灯しない状況となる。
そこで、LEDパッケージ10は、第1封止樹脂と第2封止樹脂との密着力Aが、第2封止樹脂と基板との密着力Bよりも小さい(密着力A<密着力B)ことを最大の特徴としている。つまり、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6よりも、第2封止樹脂6と基板1の方が強固に密着している。このため、第2封止樹脂6に外力が作用した場合、第2封止樹脂6と基板1との界面はずれにくく、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との界面はずれやすい。これにより、第2封止樹脂6と基板1との密着は維持される。従って、外力の作用による第2封止樹脂6の剥離を防止することができる。さらに、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との界面がずれることによって、外力の作用による第1封止樹脂5の歪みが軽減(吸収)される。これにより、第1封止樹脂5に封止されたLEDチップが、第2封止樹脂6に作用する外力から保護される。従って、LEDチップ4の接続不良(ワイヤ7の断線)を回避することができると共に、発光特性の低下を軽減することができる。
このように、「密着力A<密着力B」とすることによって、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6に作用する外力の影響を軽減することができる。
ここで、「密着力」とは、LEDパッケージ10の不良(LEDチップ4の不点灯,第2封止樹脂の剥離,発光特性の低下など)の原因となる外力のうち、LEDパッケージ10の不良に最も影響を及ぼす「せん断強度」に基づいて評価(定義)することができる。図3は、LEDパッケージ10における密着力の評価方法を示す図である。具体的には、LEDパッケージ10の「密着力」は、図3のような、せん断強度試験によって、外力に対する耐性を数値化することが可能である。図3のように、応力印加ピン11を用いて、LEDパッケージ10(第2封止樹脂6)に対して力を加える。なお、応力印加ピン11の側面の直径は、第2封止樹脂6の高さ(厚さ)と同程度である。
密着力A(第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との密着力)は、可能な限り弱い方が外力の受け流しやすくなるため有利である。一方、密着力B(第2封止樹脂6と基板1との密着力)は、可能な限り強い方が第2封止樹脂6の剥離耐性の観点で有利である。ただし、外力によって第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との間に空間(第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との界面の浮き)が発生し、恒久的に空間が空いてしまうと、屈折率の異なる界面が出来てしまうことで界面での余計な光反射が起こり、光の取り出し効率が低下する。このため、密着力Aは、外力によって第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との間に空間が生じない程度であることが好ましい。
具体的には、単位面積当たりのせん断強度で表現した場合、密着力Aは、1mm2 当りの界面せん断強度(ニュートン:N)で、概ね0(N)以上、1N未満で剥離せず、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との界面ずれは発生するものの、恒久的な空間が残存することはなく、1N以上で剥離する程度であることが好ましい。このときの第2封止樹脂6の変形は、第2封止樹脂6の樹脂硬度にもよるが、概ね数十から数百μm程度である。このため、0N以上、1.5N以下程度の外力が作用している間は、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との界面がずれて外力の第1封止樹脂5への歪みの伝播を阻み、外力が解消されれば、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との界面のずれが元に戻る。また、1N以上の力がかかっても基板1と第1封止樹脂5の周縁で強固に密着した第2封止樹脂6に覆われているため、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との界面が剥離することなく界面ずれが発生する。このとき、そのまま第1封止樹脂5の内部のLEDチップ4の実装部に歪みが伝わるとワイヤボンド部の剥離やワイヤ7の断線が発生する。
一方、密着力Bは、第2封止樹脂6の剥離強度を確保する上では、1mm2 当り1N以上のせん断強度であることが好ましく、1.5N以上であることがより好ましい。密着力Bは密着力Aと略同等の1Nであっても、外力による基板1と第2封止樹脂6の界面ずれが発生しない。すなわち、この場合、レンズ形状の第2封止樹脂6がずれないので、デバイス特性を維持することができる。
図1において、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6がいずれもシリコーン樹脂であり、第2封止樹脂6の厚さ(レンズ高さ)1.2mm(すなわち、直径2.4mmのレンズ)を形成したLEDパッケージ10に対し、図3の方法で密着力を評価した。その結果、せん断時の消灯強度(LEDチップの実装部が破壊される強度)は、せん断強度は5〜7Nであった。すなわち、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との界面、および、第2封止樹脂6と基板1との界面が共に存在する状態で、1mm2 当りのせん断力が1.1〜1.5Nで、不点灯状態となった。なお、第2封止樹脂6の剥離強度(レンズ剥離強度)は、6〜8Nとなり、第2封止樹脂6が剥離しても点灯しているLEDパッケージもあった。
一方、図4〜図6は、比較のために用いた従来のLEDパッケージ110,120,130の断面図である。図4のLEDパッケージ110は、第1封止樹脂103および第2封止樹脂104の断面が、同心半円形上である。図5のLEDパッケージ120は、第1封止樹脂103の断面が矩形であり、第1封止樹脂103の表面が球面ではなく平面となっている。図6のLEDパッケージ130は、第1封止樹脂103と第2封止樹脂104とが同一樹脂からなり、密着力低下処理が施されていない。第1封止樹脂103および第2封止樹脂104は、いずれもシリコーン樹脂である。第2封止樹脂104の厚さ(レンズ高さ)1.2mm(すなわち、直径2.4mmのレンズ)を形成したLEDパッケージ110,120,130に対し、同様に密着力を評価した。その結果、せん断時の消灯強度は、せん断強度は2〜3Nであった。すなわち、第1封止樹脂103と第2封止樹脂104との界面、および、第2封止樹脂104と基板101との界面が共に存在する状態で、1mm2 当りのせん断力が0.44〜0.66Nで、不点灯状態となった。なお、第2封止樹脂104の剥離強度(レンズ剥離強度)は、6〜8Nとなり、第2封止樹脂104が剥離すると、LEDパッケージ110,120,130は全て消灯した。
第1封止樹脂5および第2封止樹脂6は、「密着力A<密着力B」となれば、どのような樹脂を使用してもよい。ただし、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6の選択時には、以下の条件を考慮することが好ましい。
基板1に対する第1封止樹脂5の接触角(θ1)は鋭角であることが好ましい。これにより、第2封止樹脂6に外力が作用した場合、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との界面がずれやすくなる。その結果、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6によって、外力を受け流しやすくなる。従って、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6に作用する外力の影響を、より確実に軽減することができる。
さらに、基板1に対する第2封止樹脂6の接触角(θ2)も90°以下であることが好ましく、「θ1<θ2≦90」であることがより好ましい。これにより、第2封止樹脂6に外力が作用した場合、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との界面がずれやすくなる。その結果、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6によって、外力を受け流しやすくなる。「θ1<θ2≦90」であれば、より一層、外力を受け流しやすくなる。従って、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6に作用する外力の影響を、より確実に軽減することができる。なお、LEDチップ4の光取り出し効率を高める上では、接触角(θ2)が90°であることが好ましい。
第1封止樹脂5および第2封止樹脂6のショアD硬度は、85以下であることが好ましい。すなわち、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6が、いずれもショアD硬度85以下の比較的柔らかい樹脂から形成されていることが好ましい。これにより、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6は、熱応力に対して柔軟に変形する。従って、LEDパッケージ10の使用中の温度変化(温度サイクル)によるクラックの発生を防ぐことができる。
信越化学製のストレートシリコーン樹脂のショアD硬度は70度から75度であるが、それと比較して硬度が高いメチルフェニルシリコーン樹脂(ショアD硬度80度、85度の2種)とエポキシ系シリコーン樹脂(ショアD硬度88度)について温度サイクル信頼性の比較評価を行った。具体的には、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6として、それぞれ、ショアD硬度70度および75度シリコーン樹脂を用い、図1のようにレンズ封止したLEDパッケージ(セラミックパッケージ)、および、80度および85度のフェニル系シリコーン樹脂を用い、レンズ封止したLEDパッケージの場合、120℃/30分〜−40℃/30分の温度サイクル試験において1000サイクル後にもクラック等の問題は発生しなかった。しかし、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6として、88度のエポキシ系シリコーン樹脂を用いたLEDパッケージの場合、同条件の温度サイクル試験において、250サイクル以下で第2封止樹脂6にクラックが発生し、同時にワイヤボンド部の剥離によるLED不灯となる不良が発生した。このようにショアD硬度が85度以下の第1封止樹脂5および第2封止樹脂6によって、基板1(セラミック基板)上のLEDチップ4と実装部(ワイヤ7)を封止することで、顕著に安定した温度サイクル寿命を実現することができる。
一方、ショアD硬度が15度未満の第1封止樹脂5および第2封止樹脂6によって、レンズ成型を行ったLEDパッケージ10(セラミック基板パッケージ)では、温度サイクル寿命は非常に長く良好な結果であった。しかし、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6自体が非常に柔らかく僅かな外力で大きく歪み、LEDパッケージ10のテーピング工程におけるフィーダ装置内での落下やモジュール工程でのパッケージピックアップ時に大きく変形してワイヤ断線などが発生する問題があった。また、ワイヤ断線を防止するためにピックアップツールに小さな応力を感知するロードセルを搭載する必要があるなどハンドリング装置の高コスト化、調整作業の煩雑化が問題であった。しかし、ショアD硬度15度以上であれば、本願の適用により大きな問題は発生しなかった。従って、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6のショアD硬度は、15以上、85以下であることが好ましい。
第1封止樹脂5の厚さは、第2封止樹脂6の厚さ未満であることが好ましい。この場合、第2封止樹脂6が、第1封止樹脂5よりも厚く形成されているため、第2封止樹脂6に作用した外力が、第1封止樹脂5に伝わりにくい。従って、第1封止樹脂5に封止されたLEDチップ4が、第2封止樹脂6に作用する外力から、より確実に保護される。さらに、第1封止樹脂5が薄く形成されているため、外力を受け流しやすくなる。従って、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6に作用する外力の影響を、より確実に軽減することができる。さらに、第1封止樹脂5は、最も高い位置にあるワイヤ7を封止し、かつ、できる限り薄く形成することが好ましい。これにより、外力を受け流しやすくなり、歪みを軽減させて、第1封止樹脂5内部のLEDチップ4やワイヤ7を保護することができる。
第1封止樹脂5および第2封止樹脂6の屈折率は、できる限り近似していることが好ましく、同一であることがより好ましい。第1封止樹脂5および第2封止樹脂6の屈折率が近似(好ましくは同一)である場合、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6の界面での光反射が抑制される。従って、光反射による光取り出し効率の低下を防ぐことができる。
例えば、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6の屈折率を同一にするためには、同一の樹脂から形成することが考えられる。しかし、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6が互いに同一樹脂である場合、「密着力A<密着力B」の条件を満たさなくなる。このため、密着力Aを相対的に低下させる必要がある。
そこで、例えば、シリコーン樹脂である第1封止樹脂5の表面にプラズマ処理を施せば、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との密着力Aが相対的に低下し、「密着力A<密着力B」を維持することができる。
なお、このように「密着力A<密着力B」が維持されるのは、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6が、シリコーン系樹脂から形成されている場合に特有の効果であり、例えばエポキシ樹脂とエポキシ樹脂とを接着する場合に、プラズマ処理すると、エポキシ樹脂同士の密着力は向上する。すなわち、通常。プラズマ処理は、表面吸着汚染物質を除去する効果や樹脂表面の活性化を期待して行われる。このため、エポキシ樹脂等の接着剤などでは、プラズマ処理によって密着力が向上する。しかし、シリコーン樹脂に関しては、もともと密着(凹凸表面への樹脂の入り込みによるアンカー効果は若干機能する)しているだけで、化学的な接着(水素結合等)がなされていない。このため、エポキシ樹脂等の接着剤の場合に得られる効果が発現しないものと考えられる。シリコーン樹脂は、表面がタック性(ねちゃねちゃ感)があるため、シリコーン樹脂同士の密着力が強く、プラズマ処理によってその元々備えたタック性を低下させているため、シリコーン樹脂同士の密着性を低下させているのではないかと推測される。
また、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との界面に、撥油材料(図示せず)が塗布されていてもよい。撥油材料とは、基板1よりも、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6に対する濡れ性が低い材料である。撥油材料としては、例えば、フッ素ポリマーを挙げることができる。この場合も、撥油材料が塗布されているため、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6が同一の樹脂から形成されていても、「密着力A<密着力B」を維持することができる。
第1封止樹脂5および第2封止樹脂6は、例えば、シリコーン樹脂(シリコーン樹脂,エポキシ変性シリコーン樹脂,アルキッド変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、ポリエステル変性シリコーン樹脂、フェニルシリコーン樹脂)、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂などの透明樹脂から形成されている。より具体的には、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6として、信越化学社製のSCR-1011(A/B),SCR-1012(A/B),SCR-1016(A/B),KER-2500(A/B),KER-2600(A/B),ASP-1010(A/B),ASP-1020(A/B)(いずれも商品名)、ダウコーニング社製のSE 1700 Clear(商品名)を用いることができる。第1封止樹脂5および第2封止樹脂6を構成する透明樹脂は、透過率が高いほど好ましい。
なお、第2封止樹脂6の屈折率は外部(空気)との屈折率差ができる限り小さいことが望ましい。また、第2封止樹脂6の表面は球面形状(第2封止樹脂6がドーム状)であれることが好ましい。これにより、第2封止樹脂6と外部との界面における反射を低減することができる。従って、LEDパッケージ10の光取り出し効率を高めることができる。
LEDパッケージ10は、アレイ状に複数接続することによって、LEDモジュール(発光素子アレイ)として利用することができる。図7は、LEDアレイ20の斜視図である。図7のように、複数のLEDパッケージ10を接続したLEDアレイ20は、例えば、カラー液晶表示装置に搭載されるバックライト等の種々の照明装置に利用することができる。すなわち、LEDパッケージ10およびLEDアレイ20を搭載したカラー液晶表示装置(表示装置)も、本発明の範疇に含まれる。
(2)LEDモジュールの製造方法
次に、図8に基づいて、LEDパッケージ10の製造方法を説明する。図8の(a)〜(c)は、LEDパッケージ10の製造工程を示す平面図である。LEDパッケージ10は、基板1に実装されたLEDチップ4を第1封止樹脂5によって封止する封止工程と、第1封止樹脂5を第2封止樹脂6によって被覆する被覆工程とを有する。さらに、本実施形態では、第1封止樹脂5の形状のばらつきを低減するため、LEDチップ4が実装される基板1上の領域の周囲に、撥油パターン9を形成する工程を有する。
具体的には、まず、図8の(a)のように、電極2,3(配線パターン)を有する基板1を準備する。次に、図8の(b)のように、LEDチップ4が実装される基板1上の領域の周囲に、撥油インクを塗布し、リング状(円形)の撥油パターン9を形成する。この際、LEDチップ4との接続のため、撥油パターン9の内部に電極2,3の一部が配置される。
なお、撥油パターン9を構成する撥油インクは、基板1よりも第1封止樹脂5に対する濡れ性が低ければ特に限定されるものではない。例えば、透明の撥液インクとして、フッ素ポリマーなどの撥油材料を用いることができる。
次に、図8の(c)のように、撥油パターン9内(基板1の中央部)にLEDチップ4を搭載した後、ワイヤ7によってLEDチップ4と電極2,3とを接続する。その後、LEDチップ4の周囲に第1封止樹脂5を塗布し第1封止樹脂5によってLEDチップ4を封止する(封止工程)。
撥油パターン9内の領域(LEDチップ4が搭載された基板1上の領域)は、第1封止樹脂5に対する濡れ性の高い(親液性)領域である。一方、撥油パターン9は、第1封止樹脂5に対する濡れ性の低い(撥油性)領域である。これにより、撥油パターン9内のLEDチップ4の周囲に第1封止樹脂5を塗布すると、第1封止樹脂5は、基板1上を拡がり、撥油パターン9の内側面(内壁面)に接する。すなわち、撥油パターン9が、第1封止樹脂5の拡がりを食い止める(堰き止める)。つまり、撥油パターン9は、第1封止樹脂5によってLEDチップ4を封止する際に、基板1に対する接触角がおおきくなりすぎて、撥油パターン9の外に流れ出るのを防止する。このため、第1封止樹脂5の塗布量が撥油パターン9内に収まる程度であれば、第1封止樹脂5の外周部(外縁部)の全域が、撥油パターン9の内側面に当接した状態となる。これにより、撥油パターン9が第1封止樹脂5の制御する結果、硬化後の第1封止樹脂5の表面が球面(凸レンズ状)となる。
撥油パターン9は、LEDチップ4が包囲されるように形成する。撥油パターン9の形状は特に限定されるものではないが、リング状(円形)であることが好ましい。これにより、第1封止樹脂5の表面形状を、確実に球面とすることができる。
次に、図8の(d)のように、撥油パターン9を除去した後、第1封止樹脂5を第2封止樹脂6によって被覆する(被覆工程)。
撥油パターン9の除去方法は特に限定されるものではないが、例えば、プラズマ処理によって除去することができる。プラズマ処理による除去は、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6が同一のシリコーン系樹脂から形成されている場合に有効である。この場合、プラズマ処理によって撥油パターン9が除去されると同時に、第1封止樹脂5の表面にもプラズマ処理が施される。これにより、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との密着力が、プラズマ処理が施されていない場合よりも低下する。従って、第1封止樹脂5および第2封止樹脂6が同一のシリコーン系樹脂から形成されていても、第2封止樹脂6を、第1封止樹脂5よりも基板1と強固に密着させることができる。
一方、被覆工程は、特に限定されるものではないが、例えば、金型に第2封止樹脂6を充填し、その金型と、第1封止樹脂5が形成された基板1とを加熱および加圧することによって、第2封止樹脂6を硬化することによって行うことができる。このようにして、LEDパッケージ10を製造することができる。
なお、プラズマ処理に代えて、撥油パターン9の除去後に、第1封止樹脂5の表面に撥油材料を塗布する工程を行い、被覆工程では、第1封止樹脂および撥油材料を被覆してもよい。この場合も、第1封止樹脂5と第2封止樹脂6との密着力が、撥油材料が塗布されていない場合よりも低下する。従って、第2封止樹脂6を、第1封止樹脂5よりも基板1と強固に密着させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。