JP5431226B2 - チーズ食品およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、食品粉砕物を含有するチーズ食品の製造方法、および該製造方法で得られるチーズ食品に関する。
近年、チーズに対する嗜好性が多様化しており、これに伴って、使用形態、風味、食感の面で従来のチーズとの差別化を図る試みが多くなされている。なかでも、チーズと他の食品素材を組み合わせたプロセスチーズ等のチーズ食品が提供されており、例えば食肉加工品や魚介類の粉砕物をチーズに添加したり、直接練り込んだり、またチーズと他の食品素材を貼り合わせたりした、新規な風味や食感を味わうことができる製品が登場している。
このような食品素材を組み合わせたチーズ食品の形態は、加熱溶融された原料チーズと食品素材とを含む流動物を調製し、該流動物を成形して包材で包装する方法または該流動物を包装容器に充填する方法で製造されるポーションタイプが一般的である。
例えば、下記特許文献1には、熱で凝固する蛋白質を含浸させた食肉を加熱処理した後に、5〜5mmφ程度の粒径になるようにチョッパー処理したものを、加熱溶融したチーズ中に分散させ、ケーシングに充填して冷却した、ポーションタイプの肉入りチーズが記載されている。
また、下記特許文献2には、3mm程度の大きさに砕いてローストしたアーモンドを、クリームチーズ中に分散させたものを、予めシート状に成形された、2枚の帯状のチーズの間に、押出しながら積層して切断した積層チーズ食品が記載されている。
一方、プロセスチーズを中心としたチーズ食品において、シート状に成形したチーズの1枚1枚を個別に包装するのではなく、数枚から数十枚程度を積層した後に裁断して、まとめて包装する形態、いわゆる予め切れているブロックタイプのチーズ食品が提供されている。
特開昭63−198939号公報 特開2002−84968号公報
予め切れているブロックタイプのチーズ食品は、ブロックタイプでありながら使用時にスライスする必要がないという利便性に加え、個々に包装されたスライスチーズに比べて、使用後にごみとなる包装材が少なくて済むなどといった利点がある。したがって、例えばおつまみ等に好適であり、肉やアーモンド等の食品素材の粉砕物を含有させることができれば、さらに需要が伸びることが期待できる。
本発明者らの知見によれば、ポーションタイプのチーズ食品であれば、食品素材の粉砕物を含有させることは比較的容易である。しかしながら、予め切れているブロックタイプのチーズ食品、ダイス状にカットされたダイスタイプのチーズ食品、または小さい短冊状にカットされたシュレッドタイプのチーズ食品など、シート状に成形したチーズを切断する工程を経て製造されるチーズ食品に、食品粉砕物を含有させることは難しい。なぜなら、食品粉砕物を含有するシート状チーズを切断する際には、切断面から食品粉砕物が脱落しやすく、脱落すると切断面に脱落痕が残って外観が悪くなるだけでなく、脱落した食品粉砕物がチーズを傷つけて、切れや裂け等の切断不良が生じる場合がある。一方、かかる脱落や切断不良を防止するために、食品粉砕物の粒径を小さくすると、該食品粉砕物特有の風味や食感が充分に得られないという問題がある。
なお、特許文献2に記載されている積層チーズ食品において、アーモンドの粉砕物が含有されているのはクリームチーズの層でありシート状チーズではない。クリームチーズ層は柔らかいため、切断の際にアーモンドの脱落は生じ難い。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、シート状チーズを切断する工程を経て製造されるチーズ食品であって、食品粉砕物を含有し、該食品粉砕物の風味および食感が良好に得られるチーズ食品を、シート状チーズの切断不良を防止しつつ製造できるようにした、チーズ食品の製造方法、および該製造方法で得られるチーズ食品を提供することを課題とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、シート状チーズに含有させる食品粉砕物の大きさを特定の条件を満たすように調整することにより、該食品粉砕物を含有するシート状チーズを切断する際の切断不良が防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明のチーズ食品の製造方法は、シート状に成形した後に切断する工程を経て、食品粉砕物を含有するチーズ食品を製造する方法であって、溶融チーズと食品粉砕物とを含有する流動性混合物を調製する工程(1)と、前記流動性混合物を冷却しながら薄層状に引き出して、食品粉砕物を含有するシート状チーズを形成する工程(2)と、前記工程(2)で得られたシート状チーズを複数枚積層して切断する工程(3)を有し、前記食品粉砕物が、ハム類、ベーコン類、ソーセージ類、魚介類の素干し品、魚介類の佃煮、魚介類の角煮、かまぼこ類、ちくわ類、および魚介類の燻製品からなる群から選択される1種以上であり、前記食品粉砕物を構成する全粒子のうち、目開き値(mm)が4以上の粒子が0質量%であり、目開き値(mm)が1.4以上かつ4未満の粒子が70質量%以上であり、かつ目開き値(mm)が1.4未満の粒子が30質量%以下であることを特徴とする。
前記シート状チーズのシート厚がXmm(X<4)であるとき、目開き値(mm)がX以上の粒子が0質量%であることが好ましい。
前記工程(1)において、原料チーズを加熱溶融した後に前記食品粉砕物を添加する工程(1A)を経て、前記流動性混合物を調製してもよく、または、原料チーズに前記食品粉砕物を添加した後に加熱溶融する工程(1B)を経て、前記流動性混合物を調製してもよい。
前記流動性混合物における前記食品粉砕物の含有量が、前記溶融チーズ100質量部に対して8質量部以下であることが好ましい。
前記流動性混合物における前記食品粉砕物の含有量が、前記溶融チーズ100質量部に対して4質量部以下であることが好ましい
前記食品粉砕物が、前記ソーセージ類としてサラミを含むことが好ましい。
また本発明は、本発明の方法で製造されたチーズ食品であって、前記食品粉砕物を含有するシート状チーズの切断物が5枚以上積層されているチーズ食品を提供する。
本発明のチーズ食品の製造方法によれば、シート状チーズを切断する工程を経て製造されるチーズ食品であって、食品粉砕物を含有し、該食品粉砕物の風味および食感が良好に得られるチーズ食品を、シート状チーズの切断不良を防止して、歩留まり良く製造できる。
本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
<目開き値>
本発明における目開き値とは、JIS規格(日本工業規格:Japanese Industrial Standards)に準拠したふるい分け試験方法通則(JIS Z8815)、又は試験用ふるい(金属製網ふるい:JIS Z8801−1)のふるい網の目の寸法等に規定に記載された「目開き」の定義に基づく値である。
すなわち、本発明において、目開き値(mm)が4以上の粒子とは、ふるい分け試験方法に基づいて、受器の上に試験用ふるい網の目の寸法(目開き)が4mmのふるいを重ね、ふるいの上に粒子群を静かに入れ、水平面内を一方向に、振幅幅約70mm、1分間約60往復の割合で振動させてふるい分けた際に、ふるい網を通過せずに残る大きさの粒子をいう。
目開き値(mm)が1.4以上4未満の粒子とは、受器の上に、まず試験用ふるい網の目の寸法(目開き)が1.4mmのふるいを重ね、その上段に4mmのふるいを重ね、この4mmのふるいの上に粒子群を静かに入れ、上記と同様の条件で振動させてふるい分けた際に、4mmのふるい網を通過し、1.4mmのふるい網を通過せずに残る大きさの粒子をいう。また該1.4mmのふるい網を通過した大きさの粒子を目開き値(mm)が1.4未満の粒子という。
<チーズ食品>
本発明におけるチーズ食品とは、「乳および乳製品の成分規格等に関する省令」における「プロセスチーズ」に該当するもの、または公正取引委員会に認定された「ナチュラルチーズ、プロセスチーズ及びチーズフードの表示に関する公正競争規約」で定義された「プロセスチーズ」または「チーズフード」に該当するものを指す。
<原料チーズ>
本発明に使用することが可能な原料チーズは、切断(裁断)可能なシート状チーズを形成できるものであればよく、種類は特に制限されない。1種でもよく、2種以上を混合して用いてもよい。目的とするチーズ食品の種類により、適宜選択することが可能である。一般的に半硬質チーズまたは硬質チーズに分類されるものを主として適宜選択することが好ましい。具体例としては、ーダチーズ、エダムチーズ、チェダーチーズ、パルメザンチーズ、エメンタールチーズ、グリエールチーズ等を例示できる。
<溶融チーズ>
本発明における「溶融チーズ」とは、原料チーズが加熱されて流動化状態になったものをいう。該流動化状態は、例えば、ポンプ圧送可能な程度に流動化している状態が好ましい。原料チーズを溶融する温度は、75〜95℃が好ましい。溶融チーズは均質化され、分離等の生じていないものであることが好ましい。
例えば、一般的なプロセスチーズの製造工程において、原料チーズを加熱、乳化する工程を経て、成形工程に供される溶融状態のチーズ、またはそれとほぼ同等の溶融状態にある溶融チーズを好ましく用いることができる。なお、本発明においては、溶融状態にあればよく、それ以前の工程については特に制限は無い。
溶融チーズは、原料チーズの溶融物と混合したときに溶解する、または乳化状態となる添加物を含有していてもよい。かかる添加物は、公知のものを適宜使用できる。例えば、水、溶融塩(クエン酸塩、リン酸塩など)、pH調整剤(重曹など)等が挙げられる。
<食品粉砕物>
本発明のチーズ食品に含まれる食品粉砕物は、通常に食される状態の大きさが、目開き値(mm)が4以上の大きさであって、粉砕により特定の粒径範囲の粒状に加工できる固体食品を、粉砕したものである。粉砕(カッティング)は、食品の種類に応じて、フードカッター、スライサー、ミートチョッパー等を適宜選択して使用できる。
なお、例えば荒挽きコショウなど、通常、目開き値(mm)が4未満の粒状で食される食品は、本発明における食品粉砕物には含まれないものとする。
食品粉砕物としては、肉類(例えば、食肉加工品)、魚介類(例えば水産加工品)、野菜、植物の種子などが挙げられる。これらは1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、食肉加工品、水産加工品、野菜類、ナッツ類、およびドライフルーツからなる群から選択される1種以上が好ましい。
肉類としては、牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉等の食肉;これらの食肉を蒸す、焼く、煮る、揚げる、または炒める等の方法で調理した肉調理品;ハム類、ベーコン類、ソーセージ類等のJAS規格[日本農林規格:Japanese Agricultural Standars](JAS法[農林物資の規格化および品質表示の適正化に関する法律]に基づく)において規定された食肉加工品;等が例示される。特に食肉加工品が、保存性や加工性の点で好ましい。なかでも、サラミソーセージ等の、お酒のおつまみ等として直接食されるソーセージ類は、チーズとの相性も良く、本発明においては特に好ましいものである。
魚介類としては、水産加工品が例示され、例えば、魚卵(明太子、からすみ)、素干し品(するめ、いか一夜干し、干しだこ、身欠きにしん等)、塩乾品(あじ開き干し、さんま開き干し、いわし丸干し、あじ丸干し、さんま丸干し等)、煮干し品(煮干しいわし、干ししらうお、ほたるいか煮干し、しらす干し、ちりめん、釜揚げしらす、いかなご釜揚げ、釜揚げさくらえび、かちえび、干しあわび、干しなまこ、干しほたて貝柱、乾燥かき等)、海産魚介藻類の佃煮(あさり佃煮、こんぶ佃煮、こうなご佃煮等)、角煮(かつお・まぐろ角煮等)、かまぼこ類、ちくわ類、燻製品等が挙げられる。
野菜としては、豆類、トマト、ピーマン、パセリ、ブロッコリー、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、ショウガ、ニンジン、いも類、ゴボウ、タケノコ、きのこ類等、及びこれらを蒸す、焼く、煮る、揚げる、炒める、または乾燥する等の方法で調理した野菜調理品が例示される。
植物の種子としては、いわゆるナッツ類が挙げられ、具体的には、アーモンド、クルミ、カシューナッツ、ピスタチオナッツ、マカダミアナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーカン等が例示される。
ドライフルーツとしては、レーズン(ブドウ)、フィグ(イチジク)、プルーン、干し柿、アンズ(アプリコット)、プラム、ブルーベリー、クランベリー、オレンジピール(オレンジの果皮)、レモンピール(レモンの果皮)、柚子、リンゴ、マンゴー、パパイヤ、バナナ、パイナップル等が例示される
本発明においてチーズ食品に含有させる食品粉砕物は、該食品粉砕物を構成する全粒子(100質量%)のうち、目開き値(mm)が4以上の粒子が0質量%であり、目開き値(mm)が1.4以上かつ4未満の粒子が50質量%以上であり、かつ目開き値(mm)が1.4未満の粒子が50質量%以下である。食品を粉砕した後、必要に応じて目開き値(mm)が4以上の粒子および/または目開き値(mm)が1.4未満の粒子を除去するなどの調整を行うことができる。
食品粉砕物として2種以上を混合して用いる場合は、混合後の全粒子(100質量%)において上記の粒径範囲の条件を満たせばよい。
目開き値(mm)が4以上の粒子を含まないと、食品粉砕物を含有するシート状チーズを切断する工程における切断不良を良好に防止できる。また、切断時の食品粉砕物の脱落が生じにくい。目開き値(mm)が1.4以上かつ4未満の粒子が50質量%以上であり、かつ目開き値(mm)が1.4未満の粒子が50質量%以下であると、本発明のチーズ食品を食べたときに、食品粉砕物の風味および食感が良好に得られ、チーズに食品粉砕物を添加したことによる効果が充分に得られる。
目開き値(mm)が1.4以上かつ4未満の粒子は70質量%以上が好ましく、100質量%でもよい。目開き値(mm)が1.4未満の粒子は30質量%以下が好ましく、0%でもよい。
また、シート状チーズのシート厚がXmm(X<4)である場合は、食品粉砕物を構成する全粒子(100質量%)のうち、目開き値(mm)がX以上の粒子が0質量%であることが好ましい。必要に応じて大きい粒子を除去する。
食品粉砕物が、目開き値(mm)がX以上の粒子を含んでいないと、シート状チーズを形成した際に、シート状チーズの表面または裏面に食品粉砕物が突出するのを防止できる。かかる食品粉砕物の突出は、均一で安定した冷却工程の妨げになるため好ましくない。
<その他の副原料>
本発明のチーズ食品は、上記溶融チーズおよび食品粉砕物以外の副原料を含有してもよい。該副原料は、原料チーズの溶融物と混合したときに溶解せず、乳化状態ともならない添加物であり、チーズの製造において公知のものを適宜使用できる。例えば香辛料、ゴマなどが挙げられる。
<チーズ食品の製造方法>
[工程(1)]
まず、溶融チーズと食品粉砕物とを含有する流動性混合物を調製する、原料チーズを加熱溶融した後に食品粉砕物を添加する工程(1A)を経て流動性混合物を調製する方法でもよく、または、原料チーズに食品粉砕物を添加した後に加熱溶融する工程(1B)を経て流動性混合物を調製する方法でもよい。いずれの方法においても、流動性混合物中に食品粉砕物が均一に分散されるように混合を行うことが好ましい。
工程(1A)を経る方法は食品粉砕物が加熱されない点で好ましく、工程(1B)を経る方法は充分に殺菌処理を行える点で好ましい。
食品粉砕物の添加量は、溶融チーズ100質量部に対して8質量部以下であることが好ましく、溶融チーズ100質量部に対して4質量部以下であることがより好ましい。該食品粉砕物の添加量が8質量部を超えると、シート状チーズを切断または裁断する際に、上記食品粉砕物がカット面に頻繁に出現してしまうため、著しく外観を損なったり、切断または裁断の操作に支障をきたすおそれがあるため好ましくない。食品粉砕物の添加量の下限値は特に限定されないが、食品粉砕物を含有させたことによる効果が充分に得られやすい点で1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましい。
流動性混合物の温度は、次の工程でシート状に成形できる程度の流動性が得られる温度であればよい。風味等の熱劣化を防ぐうえでは温度が低い方が好ましい。例えば75〜95℃程度が好ましく、80〜90℃程度がより好ましい。
[工程(2)]
次に、得られた流動性混合物を冷却しながら薄層状に引き出して、シート状チーズを形成する。
例えば、所定の冷却温度に保持されているステンレスコンベア上に、流動性混合物を押し出し、シート状に成形しながら圧延処理を行って厚さを均一にし、所定のシート温度になるまで、該ステンレスコンベアとの接触を保つ方法で行うことができる。
冷却温度およびシート温度は、流動性混合物をシート状に成形することができ、かつ成形後は、シート状チーズの保形性が維持されるように設定する。シート状チーズが保形性を有するとは、流動性がなくて放置しても形状を保つ状態であるとともに、シート状チーズ中において食品粉砕物の移動および脱落が生じないことを意味する。
例えば冷却温度は−15〜20℃程度が好ましく、0〜10℃程度がより好ましい。
シート温度は15℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましい。該シート温度が15℃を超えると、保型性が維持できなくなるおそれがあるため好ましくない。
ステンレスコンベアの移動速度は適宜設定できる。例えば200cm/分程度が好ましい。
シート状チーズの厚み(シート厚)は、1〜30mmが好ましく、2〜15mmがより好ましく、3〜8mmが特に好ましい。1mm未満であるとシート状チーズ内への食品粉砕物の導入・分散が良好に行われなくなったり、シート状チーズの保型性が維持できなくなる可能性があるため好ましくない。30mmを超えると、当該工程の後に実施される切断または裁断の工程に支障をきたすおそれがあるため好ましくない。
[工程(3)]
次いで、得られたシート状チーズを、1枚のまま、又は複数枚積層して切断(または裁断)する。積層枚数は、特に限定されないが、多すぎると切断の操作が困難になるため100枚以下が好ましい。切断形状は特に限定されず、目的のチーズ食品に応じて適宜設定できる。例えば、丸形、正方形、長方形等の四角形;三角形;星形等の目的の形状に切断(または裁断)する。
予め切れているブロックタイプのチーズ食品を製造する場合は、厚みが1〜30mm程度のシート状チーズの複数枚、例えば5〜20枚を積層し、カッター又はピアノ線等で、縦が20〜50mm、横が20〜50mm程度の四角形に切断することが好ましい。
ダイスタイプのチーズ食品を製造する場合は、厚みが3〜30mm程度のシート状チーズを、1枚のまま、カッター又はピアノ線等で、一辺が3〜30mmの四角形に切断することが好ましい。
なお、同様の工程を実施することで、シュレッドタイプのチーズ食品を製造することが可能である。
こうして得られるシート状チーズの切断物を、必要に応じてガス置換包装など公知の方法で包装して、チーズ食品が得られる。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(溶融チーズの調製)
ゴーダチーズ(森永乳業社製)30kg、チェダーチーズ(森永乳業社製)30kg、クエン酸ナトリウム1000g、ポリリン酸ナトリウム500g、重曹200g、及び水2500gを加えて、低速乳化釜で110rpmで攪拌しながら82℃まで加熱して溶融チーズを調製した。
(食品粉砕物の調製)
これとは別に、サラミソーセージをサイレントカッター(カッタークリアランス:0.3〜0.6mm)で粉砕して、サラミソーセージの細片(食品粉砕物)を調製した。粉砕して得られたサラミソーセージ細片の粒の大きさを、金属製網ふるい(JIS Z8801−1、東京スクリーン社製)のふるい網を使用して測定した。
ふるい網の目開き値(mm)/メッシュ[線径(mm)]が、それぞれ、4.75/4[1.60)、4/5[1.40]、2/9[0.953]、1.4/12[0.717]を用いて測定したところ、
4.75/4[1.60]および4/5[1.40]のふるい網を通過せずに残ったサラミソーセージ細片が0%、
2/9[0.953]のふるい網を通過せずに残ったサラミソーセージ細片が42.8%、
1.4/12[0.717]のふるい網を通過せずに残ったサラミソーセージ細片が39.3%、
1.4/12[0.717]のふるい網を通過したサラミソーセージ細片が17.9%であった。
すなわち、目開き値(mm)が4以上の粒子が0質量%であり、目開き値(mm)が1.4以上かつ4未満の粒子が82.1質量%であり、かつ目開き値(mm)が1.4未満の粒子が17.9質量%であった。
(流動性混合物の調製)
前記で得た溶融チーズに、粉砕した得られた前記サラミソーセージ細片と香辛料類を添加して混合し、流動性混合物を得た。該流動性混合物における各成分の含有割合は、溶融チーズが98質量%、サラミソーセージ細片が1.5質量%、香辛料類が0.5質量%であった。これを換算すると、溶融チーズの100質量部に対して、サラミソーセージ細片が1.53質量部、香辛料類が0.51質量部である。
(シート状チーズ・チーズ食品の製造)
前記で得た流動性混合物(85℃)を、移動するステンレスベルト(2℃)上に引き出して、シート状に成形し、厚みが4.5mmのシート状チーズ(10℃)を得た。
得られたシート状チーズ(サラミソーセージ細片入り)を11枚積層したものを32mm×55mmの四角形に裁断した。得られたブロックを、ガス置換包装してチーズ食品を得た。このチーズ食品は、一包装あたり11枚(90g)の、予め切れているブロックタイプの、サラミソーセージ入りチーズ食品である。
次に試験例を示して本発明を詳細に説明する。
[試験例1]
本試験は、食品粉砕物の大きさと、該食品粉砕物を添加したシート状チーズの裁断性について検討するために行った。
(1)シート状チーズの製造
実施例1において、サラミソーセージの粉砕条件を変更したほかは、実施例1と同様にして、厚みが4.5mmのシート状チーズ(サラミソーセージ細片入り)を製造した。
溶融チーズに添加する6通りのサラミソーセージ細片(試料A〜F)の大きさを表1に示す。表1は、各ふるい網を通過せずに残ったサラミソーセージ細片の割合(単位:質量%)を示す。「通過」の項は全てのふるい網を通過したサラミソーセージ細片の割合を示す。
Figure 0005431226
(2)試験方法
得られた厚み4.5mmのシート状チーズ(サラミソーセージ細片入り)を11枚積層し、カッターで裁断した際の裁断性について目視により検討した。裁断性の評価は以下の基準に基づいて行った。結果を表2に示す。
◎:シート状チーズからサラミソーセージ細片は脱落せず、シート状チーズは良好に目的の形状に裁断された。
○:シート状チーズからのサラミソーセージ細片の脱落がみられるが、シート状チーズは目的の形状に裁断された。
×:シート状チーズからのサラミソーセージ細片の脱落がみられ、シート状チーズは目的の形状に裁断できなかった(チーズ切れまたはチーズ裂けが生じた)。
Figure 0005431226
(3)試験結果
表2の結果より、サラミソーセージ細片として試料A、試料B、または試料Cを用いた場合は、裁断時にシート状チーズからサラミソーセージ細片は脱落せず、シート状チーズは良好に裁断されることが判明した。さらに、これらの試料A〜Cを用いたシート状チーズは、チーズに含まれるサラミのうま味のアクセントが効いた、バランスの良い風味であった。
また、サラミソーセージ細片として試料D、試料Eを用いた場合は、裁断時に、サラミソーセージ細片のシート状チーズからの脱落が若干みられたものの、シート状チーズに切れや裂けは生じず、目的の形状に裁断されることが判明した。
一方、サラミソーセージ細片として試料Fを使用した場合は、裁断時に、サラミソーセージ細片がシート状チーズから脱落し、さらにチーズ切れおよびチーズ裂けも生じてしまい、目的の形状に裁断できないことが判明した。

Claims (8)

  1. シート状に成形した後に切断する工程を経て、食品粉砕物を含有するチーズ食品を製造する方法であって、溶融チーズと食品粉砕物とを含有する流動性混合物を調製する工程(1)と、前記流動性混合物を冷却しながら薄層状に引き出して、食品粉砕物を含有するシート状チーズを形成する工程(2)と、前記工程(2)で得られたシート状チーズを複数枚積層して切断する工程(3)を有し、
    前記食品粉砕物が、ハム類、ベーコン類、ソーセージ類、魚介類の素干し品、魚介類の佃煮、魚介類の角煮、かまぼこ類、ちくわ類、および魚介類の燻製品からなる群から選択される1種以上であり、
    前記食品粉砕物を構成する全粒子のうち、目開き値(mm)が4以上の粒子が0質量%であり、目開き値(mm)が1.4以上かつ4未満の粒子が70質量%以上であり、かつ目開き値(mm)が1.4未満の粒子が30質量%以下であることを特徴とする、チーズ食品の製造方法。
  2. 前記食品粉砕物が、前記ソーセージ類としてサラミを含む、請求項1に記載のチーズ食品の製造方法。
  3. 前記シート状チーズのシート厚がXmm(X<4)であるとき、目開き値(mm)がX以上の粒子が0質量%である、請求項1または2に記載のチーズ食品の製造方法。
  4. 前記工程(1)において、原料チーズを加熱溶融した後に前記食品粉砕物を添加する工程(1A)を経て、前記流動性混合物を調製する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のチーズ食品の製造方法。
  5. 前記工程(1)において、原料チーズに前記食品粉砕物を添加した後に加熱溶融する工程(1B)を経て、前記流動性混合物を調製する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のチーズ食品の製造方法。
  6. 前記流動性混合物における前記食品粉砕物の含有量が、前記溶融チーズ100質量部に対して8質量部以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載のチーズ食品の製造方法。
  7. 前記流動性混合物における前記食品粉砕物の含有量が、前記溶融チーズ100質量部に対して4質量部以下である、請求項に記載のチーズ食品の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法で得られるチーズ食品であって、前記食品粉砕物を含有するシート状チーズの切断物が5枚以上積層されているチーズ食品。
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