JP5429751B2 - カーボンナノチューブ撚糸およびその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ撚糸およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、カーボンナノチューブ撚糸およびその製造方法に関する。
カーボンナノチューブは、電気特性、力学特性等に優れており、電界放出型ディスプレイ、導電性フィラー等をはじめ、様々な産業への利用および応用が期待されている。
近年、カーボンナノチューブからなる微細炭素繊維およびそれを使ったカーボンナノチューブシートが提案されている(非特許文献1および2)。
非特許文献1においては、化学気相成長法で基板上に高密度・高配向に成長させたカーボンナノチューブの集合体からカーボンナノチューブからなる撚糸を形成する方法が開示されている。
非特許文献2においては、化学気相成長法で基板上に高密度・高配向に成長させたカーボンナノチューブの集合体からカーボンナノチューブシートを形成する方法が提案されている。
前記の微細炭素繊維撚糸およびシートは、その既存にない形態から、新たな用途への使用が予想され、種々の産業への応用が期待されている。
産業への応用に際しては、上記のような微細炭素繊維撚糸やシートを連続的に、かつ均質に作製して巻き取れることが必須である。非特許文献1では、モーターの回転軸の先に爪楊枝製のスピンドル(錘)を装着し、該スピンドルの先端に複数本のカーボンナノチューブを接続した状態で、該スピンドルを回転させながら該スピンドルの先端がカーボンナノチューブの集合体基板から離れることで、カーボンナノチューブからなる撚糸を製造している。
Zhangら, Science, 306, 1358-1361, 2004 Zhangら, Science, 309, 1215-1219, 2005
しかしながら、上述の非特許文献1あるいは非特許文献2が教える方式を用いてカーボンナノチューブからなる撚糸を製造する場合、カーボンナノチューブの基板から引き出されたカーボンナノチューブからなる繊維が製造時に切れたり、製造されたカーボンナノチューブからなる撚糸は非常に細いため実用上の強度が十分ではないという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、生産時のハンドリングおよび実用に適した強度を有するカーボンナノチューブ撚糸およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、カーボンナノチューブを含む撚糸に電子線照射を行うことにより撚糸の強度が向上すること、架橋剤を添加したカーボンナノチューブ撚糸に電子線を照射すれば撚糸の強度がさらに向上することを見いだした。本発明者らは、かかる知見に基づき更に研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のカーボンナノチューブ撚糸およびその製造方法を提供する。
1.カーボンナノチューブを含む撚糸であって、
カーボンナノチューブが分子間で架橋構造を形成しているカーボンナノチューブ撚糸。
2.カーボンナノチューブと架橋剤とから製造される撚糸であって、
カーボンナノチューブが架橋剤により分子間で架橋構造を形成している上記項1に記載のカーボンナノチューブ撚糸。
3.カーボンナノチューブを含む撚糸に電子線を照射することを特徴とする上記項1に記載のカーボンナノチューブ撚糸の製造方法。
4.カーボンナノチューブと架橋剤とを含む撚糸に電子線を照射することを特徴とする上記項2に記載のカーボンナノチューブ撚糸の製造方法。
5.カーボンナノチューブに撚りを掛ける前及び/又は後に、架橋剤をカーボンナノチューブに接触させる上記項4に記載のカーボンナノチューブ撚糸の製造方法。
6.架橋剤を有機溶媒に溶解させた溶液にカーボンナノチューブを浸漬する、又は該溶液をカーボンナノチューブに散布することにより、架橋剤をカーボンナノチューブに接触させる、上記項5に記載のカーボンナノチューブ撚糸の製造方法。
7.上記項4に記載のカーボンナノチューブ撚糸の製造方法であって、
(1)基板上に化学気相成長させたカーボンナノチューブの集合体から微細炭素繊維を引き出して微細炭素繊維シート体を形成し、
(2)上記微細炭素繊維シート体に、架橋剤を有機溶媒に溶解した溶液を散布してカーボンナノチューブと架橋剤とを含む微細炭素繊維凝集体を形成し、
(3)上記微細炭素繊維凝集体に撚り掛けを施してカーボンナノチューブと架橋剤とを含む撚糸とし、
(4)上記撚糸に電子線を照射する、方法。
本発明によれば、生産時のハンドリングおよび実用に適した強度を有するカーボンナノチューブ撚糸およびその製造する方法を提供することができる。
本発明で使用することができるカーボンナノチューブ撚糸製造装置の概略構成図である。 カーボンナノチューブを高密度・高配向成長させた基板のSEM写真である。 基板から微細炭素繊維を引き出すための引出具を説明するための説明図である。 微細炭素繊維が形成された基板を交換する方法を説明する説明図である。 図1に示すカーボンナノチューブ撚糸製造装置の第1の変形例を示す概略構成図である。 図1に示すカーボンナノチューブ撚糸製造装置の第2の変形例を示す概略構成図である。 実施例2における電子線を照射する前後の撚糸の赤外吸収スペクトルである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のカーボンナノチューブ撚糸は、カーボンナノチューブを含む撚糸であって、カーボンナノチューブが分子間で架橋構造を形成している撚糸である。
本発明に用いられるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、又は多層のカーボンナノチューブのいずれでもよく、これらの混合物であってもよい。
カーボンナノチューブは、公知のカーボンナノチューブ製造方法を用いて製造することができる。カーボンナノチューブ製造方法として、例えば、化学気相成長法、空気中で綿状に成長させる方法等を挙げることができる。その中で、得られるカーボンナノチューブとしての品質が優れていることから、化学気相成長法を用いてカーボンナノチューブを製造することが好ましい。本発明で使用されるカーボンナノチューブ1本の一般的な直径は0.5〜100nm程度であり、長さは0.5μm〜1cm程度である。
本発明のカーボンナノチューブ撚糸は、撚糸中のカーボンナノチューブが分子間で架橋構造を形成していることを特徴としている。カーボンナノチューブの分子間に架橋構造が形成されることにより、カーボンナノチューブ撚糸の強度が向上する。
本発明のカーボンナノチューブ撚糸は、カーボンナノチューブを含む撚糸に電子線を照射することによって製造することができる。具体的には、カーボンナノチューブに撚りを掛けて撚糸の状態にした後に、電子線を照射する。
カーボンナノチューブから撚糸を製造する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、カーボンナノチューブを、空気中で綿状に成長させる方法によって製造した場合には、木綿糸を製造する一般的な撚糸の製造方法によってカーボンナノチューブを含む撚糸を製造することができる。カーボンナノチューブを化学気相成長法によって製造した場合には、基板上に垂直に配向したカーボンナノチューブの集合体からカーボンナノチューブロープをシート状に引き出し、その後撚りを掛けることにより撚糸を製造することができる。後者の方法で得られたカーボンナノチューブを含む撚糸の撚糸径は0.5〜1000μm程度であり、長さは30cm〜100m程度であり、撚り数は500〜200000T/m程度である。
カーボンナノチューブを含む撚糸に照射する電子線の量は、通常50〜600kGy程度、好ましくは50〜400kGy程度である。電子線の照射量を50〜600kGy程度にすれば、カーボンナノチューブの特徴であるsp混成軌道の量を確保しつつ、カーボンナノチューブ撚糸自身の損傷を防いで撚糸強度を効率的に向上させることができる。逆に、電子線の照射量が50kGyより少なければ撚糸強度が向上せず、600kGyより多くなると、カーボンナノチューブが固く脆くなってしまい、強度低下を招く確率が高くなってしまう。電子線は、通常、10−2〜10−5Torr程度の高真空下で発生させ、窒素雰囲気下、10〜60℃程度で照射される。
カーボンナノチューブを含む撚糸に電子線を照射することにより、カーボンナノチューブを含む撚糸の強度が向上する。より詳細には、電子線を照射した撚糸は、使用した撚糸(基撚糸)に対して、引張り強度が1.5倍以上向上する。これは、電子線の作用によりカーボンナノチューブ表面の炭素原子間の二重結合が開裂し、隣接するカーボンナノチューブの炭素原子間に新たな結合が生成するためと考えられる。
カーボンナノチューブ撚糸に架橋構造が形成されているか否かは、例えば、撚糸をエタノール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒中で10分間程度超音波照射することにより確認することができる。超音波照射後に、撚糸の状態が保たれていれば、撚糸に架橋構造が形成されているということができ、超音波によって撚糸がほぐれてカーボンナノチューブがばらばらに分散した状態になれば、撚糸に架橋構造が形成されていないことがわかる。
本発明のカーボンナノチューブ撚糸は、架橋剤によりさらに架橋させることが好ましい。具体的には、カーボンナノチューブと架橋剤とから製造される撚糸であって、カーボンナノチューブが架橋剤により分子間で架橋構造を形成している撚糸である。
カーボンナノチューブと架橋剤とを含む撚糸に電子線を照射することにより、カーボンナノチューブからなる撚糸の強度をさらに向上させることができる。これは、電子線の作用により、単にカーボンナノチューブ間に結合が生成するのみならず、添加された架橋剤がカーボンナノチューブ間に、また、カーボンナノチューブのバンドル間にさえも架橋構造を形成するためと考えられる。
架橋剤として、架橋性基を分子内に1個以上有する化合物を用いることができる。架橋性基として、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アクリルアミド基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、メタクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基等のエチレン性不飽和基;シクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、グリシジル基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基等の小員環を有する架橋性基等が挙げられる。
これらの架橋性基の中で、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基が好ましい。
アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を分子内に1個含む単官能架橋剤として、例えば、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、ノナンジオールアクリレート、ブタンジオールアクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、3−フェノキシ−2−プロパノイルアクリレート、等が挙げられる。アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を分子内に2個含む二官能架橋剤として、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ノナプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、1,6−ビス(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−ヘキシルエーテル等が挙げられる。アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を分子内に3個以上含む多官能架橋剤として、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールにε−カプロラクトンを付加したポリオールにアクリル酸を反応させたカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)のカヤラッド(登録商標)DPCAシリーズ)、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(メタアクリロイルアルキレンジオキシ)シクロトリホスファゼン、トリス(アクリレートエチル)イソシアヌル酸等が挙げられる。
アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を分子内に2個含み、グリシジル基を分子内に1個含む多官能架橋剤として、例えば、N,N’−ビス(アクリレートエチル)−N”−グリシジルイソシアヌル酸等が挙げられる。
架橋剤として、上記のような架橋性基を分子内に1個含む単官能架橋剤、2個含む二官能架橋剤、3個以上含む多官能架橋剤のいずれを用いてもかまわない。架橋性基(C=C結合等)が1個だけの場合、カーボンナノチューブ又はそのバンドルが架橋性基(C=C結合等)の極近傍に2個以上存在しなければ、架橋構造は形成されないが、架橋性基(C=C結合等)を分子内に2個以上含んでいる場合、1個の架橋性基の周りに同時に2つのカーボンナノチューブが存在していなくてもよいため、架橋性基を分子内に2個含む架橋剤が好ましい。例えば、架橋剤分子の両末端に架橋性基が存在する場合、それだけ遠く離れて存在するカーボンナノチューブ同士を架橋することができる。同様の理由で、架橋剤分子内に3個以上の架橋性基を含む場合、あらゆる場所に存在するカーボンナノチューブ間を架橋する確率が高まることになる。
明確なデータはないが、通常、バンドル間は10オングストローム程度離れていると予想される。この程度離れたカーボンナノチューブ間に入り込んで有効に作用するためには、架橋性基間の距離が5オングストローム程度離れていること、すなわち架橋剤の分子サイズが、長径又は短径のいずれかが5オングストローム(5×10−10m)以上あることが望ましい。
これらの架橋剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
カーボンナノチューブと架橋剤とを含む撚糸は、カーボンナノチューブに撚りを掛ける前及び/又は後に、架橋剤をカーボンナノチューブに接触させることにより得ることができる。架橋剤とカーボンナノチューブとの接触は、撚りを掛ける前又は後のいずれかで行ってもよく、あるいは両方で行ってもかまわない。接触させる回数は、撚りを掛ける前後で少なくとも1回行えばよく、2回以上行ってもかまわない。
架橋剤とカーボンナノチューブとの接触は、具体的には、撚りを掛ける前又は後のカーボンナノチューブを、架橋剤を有機溶媒に溶解させた溶液で満たした浴を通過させるか、または該浴に浸漬して、カーボンナノチューブを含む撚糸中に架橋剤を含浸させる。有機溶媒は、速乾性に富むという観点から揮発性の高い有機溶媒が好ましい。揮発性の高い有機溶媒として、例えば、炭素数が1〜5の低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール);アセトン、ジエチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、テトラヒドロフランおよびそれらの混合液、あるいは水溶液を挙げることができる。溶液中の架橋剤濃度は、通常0.1〜10wt%であり、好ましくは0.1〜5wt%である。架橋剤の濃度を0.1〜10wt%にすれば、架橋剤が含浸しやすい粘度となり、効率よく架橋剤を含浸させることができる。カーボンナノチューブと溶液との接液時間は、溶液の濃度等により適宜設定すればよいが、カーボンナノチューブの撚り掛け後に架橋剤を含浸させる場合には、撚り掛け前に行う場合及び溶液を散布する場合よりも長時間溶液に接触させておくことが好ましい。
あるいは、撚りを掛ける前又は後のカーボンナノチューブに、架橋剤を有機溶媒に溶解させた溶液を散布する方法によっても架橋剤をカーボンナノチューブに接触させることができる。散布は、例えば、噴霧器、アトマイザー、加湿器、ネブライザー等を用いて行うことができる。有機溶媒は、速乾性に富むという観点から揮発性の高い有機溶媒が好ましく、上記と同様の有機溶媒を使用することができる。この場合の有機溶剤中の架橋剤濃度は、通常0.1〜10wt%であり、好ましくは0.1〜5wt%である。
上記の架橋剤をカーボンナノチューブに接触させる方法の中で、撚りを掛ける前に、架橋剤を含有する有機溶媒をカーボンナノチューブに噴霧する方法を用いることが好ましい。短時間で架橋剤をカーボンナノチューブの内部まで付与することができるからである。
撚りを掛ける前及び後の両方で、架橋剤をカーボンナノチューブに接触させる場合には、同じ方法を行っても、異なる方法を組み合わせて行ってもかまわない。
本発明のカーボンナノチューブ撚糸の好ましい製造方法として、
(1)基板上に化学気相成長させたカーボンナノチューブの集合体から微細炭素繊維を引き出して微細炭素繊維シート体を形成し、
(2)上記微細炭素繊維シート体に、架橋剤を有機溶媒に溶解した溶液を散布してカーボンナノチューブと架橋剤とを含む微細炭素繊維凝集体を形成し、
(3)上記微細炭素繊維凝集体に撚り掛けを施してカーボンナノチューブと架橋剤とを含む撚糸とし、
(4)上記撚糸に電子線を照射する方法
を挙げることができる。
この方法によれば、生産時のハンドリングおよび実用に適した強度を有するカーボンナノチューブを含む撚糸を安定的に連続して製造することができる。
以下、このカーボンナノチューブ撚糸の製造方法について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るカーボンナノチューブ撚糸製造方法に用いることができるカーボンナノチューブ撚糸製造装置の基本構成の一例を示す概略構成図である。
カーボンナノチューブ撚糸製造装置1は、基板上に化学気相成長させたカーボンナノチューブの集合体からカーボンナノチューブの撚糸を連続的に製造する装置であって、図1に示すように、基板固定手段2、引出手段3、撚掛手段4、散布手段5、挟持手段6および電子線照射手段7を備えている。
基板固定手段2は、化学気相成長させたカーボンナノチューブの集合体が形成された基板Zを固定する固定台であり、例えば、基板Zの一部を挟持することにより当該基板Zを固定している。この基板固定手段2に固定される基板Zに形成されるカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ撚糸の原料となる繊維であり、化学気相成長によって得られる、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、又は多層カーボンナノチューブである。また、これらカーボンナノチューブの形態は特に限定されるものではないが、容易にカーボンナノチューブ撚糸を形成しやすいため、好ましくは、基板上に高密度かつ高配向で形成されている単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、又は多層カーボンナノチューブが望ましい。なお、高密度かつ高配向とは、カーボンナノチューブ同士が隣接しながら基板平面に対して垂直に林立(垂直配向)していることをいい、具体的には、基板上のカーボンナノチューブの嵩密度が5mg/cm程度以上(好ましくは10〜500mg/cm程度)であることを示す。このように化学気相成長によって高密度で垂直配向させたカーボンナノチューブの集合体は、カーボンナノチューブフォレスト(carbon nanotube forest)、或いは、カーボンナノチューブの垂直配向構造体等と呼ばれる。化学気相成長によって形成されるカーボンナノチューブの長さは、平均で10μm以上であればよく、好ましくは、20μm以上である。カーボンナノチューブの平均直径は限定的ではなく、通常0.4〜500nm、好ましくは0.7〜200nm、より好ましくは0.7〜150nm程度である。カーボンナノチューブの層数は、1層以上であればよく、好ましくは1〜40層である。
本発明に用いる微細炭素繊維は、例えば、アセチレン等の炭化水素ガスを用いて化学気相成長法を行うことにより基板上に高密度かつ高配向の状態で製造できる。
基板Zは限定的でなく、プラスチック基板、ガラス基板、Si基板、鉄、銅等の金属及びこれらの合金等の金属基板を用いることができるが、本発明では、Si基板に鉄を蒸着又はスパッタリング等すること、又は鉄溶液を塗布すること等により、鉄を被膜させた鉄皮膜Si基板を用いることが好ましい。これにより、高密度かつ高配向で形成されたカーボンナノチューブ集合体を製造できる。
気相成長時の温度はいずれの温度で行ってもよいが、特に高温で行うことが好ましく、例えば600〜1000℃程度で行うことが好ましい。また、気相成長時の圧力は限定的でないが、通常、大気圧で行えばよい。
ガスは、炭素を含んでいればよく、通常はアセチレン等の炭化水素を使用すればよい。なお、ヘリウム等の希ガス又は不活性ガスをキャリアガスとして用いてもよい。
反応時間は、製造条件により応じて適宜設定できるが、例えば、3分〜2時間程度とすればよい。
上記のようにして基板上に形成されたカーボンナノチューブの集合体の写真を図2に示す。図2は、倍率300倍のSEM写真であり、カーボンナノチューブが基板Z上に高密度で垂直配向している様子が示されている。基板上に高密度・高配向で成長したカーボンナノチューブの一部を把持してカーボンナノチューブの集合体から引き離すことにより、カーボンナノチューブは基板上から連続的に引き出される。
引出手段3は、基板Zからカーボンナノチューブをカーボンナノチューブシート体の状態で引き出すための装置であり、本実施形態においては、撚掛手段4により撚りが掛けられ、さらに電子線が照射されるカーボンナノチューブ撚糸を巻き取る巻き取り装置31により引出手段3を構成している。ここで、カーボンナノチューブシート体とは、基板Zに形成されたカーボンナノチューブの集合体から引き出されたカーボンナノチューブが一方向に配列して連続的につながり、例えば、幅1μm〜1m、厚さ10nm〜1cmのシート状態を形成しているものをいう。
巻き取り装置31は、撚糸が巻回されるボビン311と、ボビン311を回転駆動する駆動モーター(図示せず)とを備えている。ボビン311の回転軸は、基板Zから引き出される微細炭素繊維の引出方向(図中において矢印Aで示す方向)と直交する軸線と平行となるように設定されている。なお、長尺のカーボンナノチューブの撚糸を巻き取る為にボビン311をトラバース駆動させることが好ましい。また、巻き取り時の滑りを防止するために、ボビン311の表面に滑り防止加工が施されてもよい。滑り防止加工の方法は限定されるものではなく、例えば、ゴムライニングや樹脂コーティング、梨地、エンボスを施す方法等が挙げられる。
撚掛手段4は、基板Zから引き出されたシート状のカーボンナノチューブの引出方向に沿う回転軸を有するリング状の回転体41と、基板Zから引き出されたカーボンナノチューブを挟持可能な把持装置42と、回転体41を回転軸周りに回転駆動させるモーター(図示せず)とを備えている。把持装置42は、リング状の回転体41の中央部に配設されており、基板Zから引き出されたカーボンナノチューブを挟持する一対の回転可能なローラー421,421によって構成されている。各ローラー421の回転軸は、基板Zから引き出されるカーボンナノチューブの引き出し方向に直交する軸線と平行となるように設定されている。このような構成により、基板Zから引き出されたカーボンナノチューブに撚りを掛けながら撚糸を製造しつつ、製造された撚糸を後方側(引出手段3側)に導くことができる。
散布手段5は、引出手段3によって引き出されたカーボンナノチューブシート体に霧状液体を噴霧してカーボンナノチューブ凝集体を形成するための装置であり、例えば、噴霧器、アトマイザー、加湿器やネブライザー等を挙げることができる。本実施形態では、超音波により霧状液体を生成するネブライザーを採用している。散布手段5により霧状に散布される液体は、速乾性に富むという観点から揮発性の高い液体(易揮発性液体)に、架橋剤が添加された液体であることが好ましい。本実施形態においては、易揮発性液体として、エタノールを採用している。なお、霧状に散布される液体は、炭素数が1〜5の低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール)の他、例えば、アセトンやジエチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、テトラヒドロフランおよびそれら混合液、あるいは水溶液であってもよい。
架橋剤として、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アクリルアミド基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、メタクリルアミド基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基等のエチレン性不飽和基;シクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、グリシジル基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基等の小員環を有する架橋性基等の架橋性基を分子内に1個以上有する化合物を用いることができる。本実施形態では、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を分子内に1個含む単官能架橋剤(例えば、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、ノナンジオールアクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、3−フェノキシ−2−プロパノイルアクリレート等)、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を分子内に2個含む二官能架橋剤(例えば、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ノナプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、1,6−ビス(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−ヘキシルエーテル)、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を分子内に3個以上含む多官能架橋剤(例えば、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールにε−カプロラクトンを付加したポリオールにメタアクリル酸を反応させたカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)のカヤラッド(登録商標)DPCAシリーズ)、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(メタアクリロイルアルキレンジオキシ)シクロトリホスファゼン、トリス(アクリレートエチル)イソシアヌル酸等)、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を分子内に2個含み、グリシジル基を分子内に1個含む多官能架橋剤(N,N’−ビス(アクリレートエチル)−N”−グリシジルイソシアヌル酸等)等を使用する。易揮発性液体中の架橋剤濃度は、通常0.1〜10wt%であり、好ましくは0.1〜5wt%である。
挟持手段6は、引出手段3によって引き出され、散布手段5により架橋剤を含む易揮発性液体(以下、この架橋剤を含む易揮発性液体を「霧状液体」という)が散布されたカーボンナノチューブシート体(カーボンナノチューブ凝集体)を挟持する装置であり、例えば、図1に示すように、カーボンナノチューブ凝集体を挟んだ上下にそれぞれ配置される一対の回転可能なローラー61,61により構成されている。各ローラー61の回転軸は、基板Zから引き出されるカーボンナノチューブシート体の引出方向と直行する軸線と平行となるように設定されている。挟持手段6がある方が、糸ゆれしないため、より安定に糸切れせず糸を撚掛手段4へ送ることができる。なお、各ローラー61を回転駆動する駆動モーターを別途設け、一対のローラー61,61が、基板Zから微細炭素繊維を引き出すように構成してもよい。このような構成の場合、挟持手段6である一対のローラーが、引出手段3の機能をも備えることになる。
電子線照射手段7は、引出手段3によって引き出され、散布手段5により霧状液体が散布され、挟持手段6を通過し、撚掛手段4によってより撚りを掛けられた撚糸に電子線を照射する装置である。電子線照射装置部は、照射部と電源部とからなる。照射部は、電子線を発生する部分である。真空チャンバー内のフィラメントで生じた熱電子をグリッドで引き出し、さらに高電圧を印加して電子を加速する。電源部は、高電圧電源及びフィラメント電源からなる。真空チャンバー内は通常10−3〜10−6Torrに保たれる。カーボンナノチューブ撚糸は、不活性気体、一般的には窒素で満たされた試料室内を通過する際に電子線を照射される。試料室内は、通常20〜100℃、より好ましくは20〜60℃に保たれる。
上記のような構成を有する基板固定手段2、引出手段3、撚掛手段4、散布手段5、挟持手段6および電子線照射手段7は、図1に示すように配置されている。すなわち、基板Zから引き出されるカーボンナノチューブの引出方向に沿って、上流側(図1の左側)から基板固定手段2、散布手段5、挟持手段6、撚掛手段4、電子線照射手段7、引出手段3の順に配置されており、基板固定手段2に固定された基板Zから引き出されたカーボンナノチューブは、散布手段5が配置される領域を通過した後、挟持手段6、撚掛手段4、電子線照射手段7、引出手段3の順に移動する。なお、電子線照射手段7は、必ず撚掛手段4と引出手段3との間に配置されていなければならないわけではなく、引出手段3の下流側に配置され、オフラインで電子線照射処理をすることも可能である。
このように構成されたカーボンナノチューブ撚糸製造装置1を用いてカーボンナノチューブの撚糸を連続的に製造する方法について、以下説明する。
最初に、基板Zに形成されるカーボンナノチューブを引き出して、当該カーボンナノチューブをカーボンナノチューブ撚糸製造装置1にセッティングする方法について説明する。
まず、化学気相成長させたカーボンナノチューブの集合体が形成された基板Zを基板固定手段2に固定する。
次に、例えば、図3に示す引出具8を用いて、基板Z上に形成されるカーボンナノチューブの集合体の側面からカーボンナノチューブを引き出す。この引出具8は、極細軸状部81を有しており、その素材は、鉄、アルミニウム、ステンレス、プラスチック、木材、ガラス等であり、特に制限されるものではない。引出具8はカーボンナノチューブに対して適度な摩擦抵抗を有していれば良く、引出具8に摩擦を生じさせるために、引出具8の表面に、溝の形成および/または、エンボス加工により微細な突起を形成することが望ましい。引出具8の極細軸状部81の直径は基板Z上に成長させられたカーボンナノチューブの平均高さに依存して決まる。微細炭素繊維の平均高さの約1/3以下の直径であることが好ましい。微細炭素繊維の約1/3以下の直径であれば、基板Z上のカーボンナノチューブの集合体の中で引出具8が1回転した時に極細軸状部81の周りにほぼ1周以上捲きついてくる。高確率でカーボンナノチューブを引き出すには1周以上捲きついていることが大事である。刃径0.03mm〜のマイクロドリルが市販されており、これを引出具8に用いることもできる。
このような構造を有する引出具8を用いて、基板Z上に形成されるカーボンナノチューブの集合体の側面からカーボンナノチューブを引き出すには、まず、引出具8の極細軸状部81を基板Z上に成長しているカーボンナノチューブの側面に突き刺して進入させる。この進入深さは0.01mm以上であることが望ましい。引出具8の極細軸状部81を突き刺す高さ位置は基板Z上に成長しているカーボンナノチューブの平均高さの1/2以下の高さが好ましい。この進入時に引出具8は回転していても、回転が停止していてもよい。引出具8の極細軸状部81が0.01mm以上進入したところで進入を停止させる。この場所に引出具8が留まった状態で引出具7を1秒間〜5分間、1〜1000rpmで回転させて、カーボンナノチューブを把持した後、回転を止め、引出具8を後退させて散布手段5が配置される領域を介して、挟持手段6を構成する一対のローラー61,61間を通過させる。その後、撚掛手段4の一対のローラー421,421間を通過させ、引出手段3である巻き取り装置31のボビン311上まで移動させる。ここで、撚掛手段4を高速回転させて引き出したカーボンナノチューブに所望の撚りを掛ける。その後、引き出したカーボンナノチューブ撚糸をボビン311に接触させて、ボビン311を回転させ、カーボンナノチューブ撚糸をボビン311に固定した後、ボビン311の回転を一旦停止する。そして、挟持手段6のローラー61,61、撚掛手段4のローラー421,421により引き出されたカーボンナノチューブを挟み込むことにより装置のセッティングが完了する。
次いで、散布手段5、撚掛手段4、電子線照射手段7及び引出手段3を駆動させることにより、カーボンナノチューブ撚糸の連続紡糸を開始する。撚掛手段4の回転数は、例えば、1〜60000rpmの間で調整できる。回転数が小さすぎると、カーボンナノチューブ撚糸に印加できる撚り数が少な過ぎることによって、カーボンナノチューブ撚糸の糸強度が不足してしまうため好ましくない。一方回転数が大き過ぎると、カーボンナノチューブからのカーボンナノチューブ撚糸の引出安定性が低下するため、好ましくない。また、ボビン311および/または、ローラー61、ローラー421の回転数を調整することにより紡糸速度を調整することができる。紡糸速度は、例えば、0.005〜30m/分の間で調整することができる。巻き取り速度が小さ過ぎては生産性が乏しく、実用的でない。一方巻き取り速度が大き過ぎると、カーボンナノチューブ撚糸に印加できる撚り数が少な過ぎることによって、カーボンナノチューブ撚糸の糸強度が不足してしまうため好ましくない。
引出手段3である巻き取り装置31のボビン311が回転することにより、基板Zに形成されるカーボンナノチューブが引き出される。この引き出されたカーボンナノチューブには、撚りが形成されておらずシート状の形態を有している。このシート状のカーボンナノチューブ(カーボンナノチューブシート体)には、散布手段5によって霧状液体が散布されるが、この霧状液体の噴霧により、カーボンナノチューブを構成する各カーボンナノチューブは濡れることにより互いに凝集し、各カーボンナノチューブ間の間隔が小さくなる。さらに、霧状液体に含まれる架橋剤が、続く電子線の照射によってカーボンナノチューブ間で架橋するため、カーボンナノチューブ撚糸の強度が向上する。霧状液体の噴霧量は、0.01〜10ml/分である。
このように各カーボンナノチューブ間の間隔が小さくなり、カーボンナノチューブの密度が高められたカーボンナノチューブシート体(カーボンナノチューブ凝集体)は、挟持手段6を通過し、撚掛手段4の高速回転作用により所望の撚りが掛けられ、電子線照射手段7によって、10−2〜10−5Torrの高真空下で発生させた電子線を、窒素雰囲気下、10〜60℃で50〜600kGy照射した後、引出手段3である巻き取り装置31のボビン311に巻き取られる。
次に、基板Zの交換を行う方法について図4を用いて説明する。基板Zからカーボンナノチューブを引き出して連続して撚糸を製造する場合、基板Z上に形成される微細炭素繊維の集合体の量が少なくなり基板Zを交換する必要が生じるが、このような場合には、以下のようにして基板Zを交換する。まず、基板Z上に形成されるカーボンナノチューブの集合体の量が少なくなった段階で、一旦、カーボンナノチューブ撚糸製造装置1の駆動を停止する。次に、挟持手段6を操作して、カーボンナノチューブを挟んでいる一対のローラーを互いに離隔する方向に移動させる。その後、基板固定手段2に保持されている基板(旧基板Z1)に隣接させて新しい基板を配置し、当該新しい基板(新基板Z2)からカーボンナノチューブを引き出す(図4(a))。なお、新基板Z2から引き出されたカーボンナノチューブもシート状の形態を有している。そして、旧基板Z1から引き出されているシート状のカーボンナノチューブに重ね合わせて積層シート体を形成した後、散布手段5を駆動させて当該積層シート体に霧状液体を噴霧して積層シート体を凝集させて、カーボンナノチューブ凝集積層体を形成する。その後、撚掛手段4を駆動させて、新旧それぞれの基板Z1,Z2から引き出されたカーボンナノチューブが重なっている部分に撚りを掛ける(図4(b))。次いで、旧基板Z1から引き出されているカーボンナノチューブを切断し、基板固定手段2から旧基板Z1を取り外して新基板Z2と交換する(図4(c))。そして、挟持手段6を操作して、新基板Z2から引き出されたカーボンナノチューブを一対のローラーで挟み込んで基板の交換が完了する。基板交換完了後、カーボンナノチューブ撚糸製造装置1を駆動し新基板Z2を用いた製糸を再開する。このように、旧基板Z1から引き出されたカーボンナノチューブと新基板Z2から引き出されたカーボンナノチューブとをつなぎ合わせて製糸することができるので、撚糸の製糸長に制約を受けることはない。
本実施形態に係るカーボンナノチューブ撚糸製造装置1は、撚掛手段4によってシート状のカーボンナノチューブに撚りが掛けられた後段階において、カーボンナノチューブ撚糸に電子線を照射する電子線照射手段7を備えているため、電子線の作用によりカーボンナノチューブ表面の炭素原子間の二重結合を開裂させて、隣接するカーボンナノチューブの炭素原子間に直接又は架橋剤を介して新たに結合を生成させることができ、その結果、カーボンナノチューブ撚糸の強度が向上する。
本実施形態に係るカーボンナノチューブ撚糸製造装置1は、撚掛手段4によってシート状のカーボンナノチューブに撚りが掛けられる前段階において、カーボンナノチューブ霧状液体を噴霧する散布手段5を備えているため、易揮発性液体によってカーボンナノチューブを凝集させ、密接度を高めることができ、その結果、各カーボンナノチューブ間の摩擦抵抗力が向上し、このような繊維体に所望の撚り掛けを施し撚糸を形成する。さらに霧状液体には架橋剤が含まれているため、電子線照射によってカーボンナノチューブ撚糸の強度がさらに向上する。これにより、ハンドリングおよび実用に適した強度を有するカーボンナノチューブ撚糸を安定的に連続して製造することができる。
また、散布手段5において霧状に噴霧される液体として、アルコール等の易揮発性液体を採用しているので、シート状のカーボンナノチューブに噴霧された霧状の易揮発性液体は、カーボンナノチューブ繊維体を構成する各カーボンナノチューブを互いに凝集させた後、速やかに気化する。したがって、撚掛手段4により撚りが掛けられる段階において、シート状のカーボンナノチューブを迅速に乾燥した状態に戻すことができ、撚り掛け工程において撚糸が切断されるような事態を確実に防止することができる。
また、基板Zから引き出されたシート状のカーボンナノチューブを挟持する挟持手段6が、散布手段5と撚掛手段4との間に配置されているため、散布手段5により霧状液体が噴霧されて濡れた状態となっているカーボンナノチューブ繊維に撚りが掛かることを防止できる。この結果、散布手段5により霧状液体が散布されているカーボンナノチューブ繊維が途中で切断されることを確実に防止できる。
また、基板Zを交換する場合において、新旧の基板Z1,Z2からそれぞれ引き出されたシート状の微細炭素繊維体を重ね合わせて形成した積層シート体に霧状液体を噴霧することにより、シート状に引き出されていたカーボンナノチューブが凝集する。この凝集体に撚りを掛けることにより、旧基板Z1から引き出された微細炭素繊維と新基板Z2から引き出されたカーボンナノチューブ繊維とをつなぎ合わせるため、撚糸のつなぎ目部分における糸強度を高めることが可能になる。
以上、本発明に使用することができるカーボンナノチューブ撚糸製造装置1の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な構成は上記実施形態に限定されない。例えば、図5に示すように、基板固定手段2により保持される基板Zと散布手段5との間に、基板Zから引き出されたカーボンナノチューブシート体が挿通される貫通孔91が形成された保護カバー9を配置するような構成を採用してもよい。このような構成により、散布手段5から噴霧される霧状液体が、基板Z上のカーボンナノチューブの集合体に降り注ぐことを防止して、基板Zからカーボンナノチューブを確実に引く出すことができる状態に維持することができる。
また、上記実施形態においては、図1に示すように単一の基板Zからカーボンナノチューブを引き出して撚糸を製造する構造について説明したが、例えば、図6に示すように複数の基板Zからカーボンナノチューブを引き出して撚糸を製造することも可能である。このような場合、図6に示すように各基板Zからそれぞれ引き出されたシート状のカーボンナノチューブを重ね合わせて積層シート体を形成し、当該積層シート体に散布手段5から霧状液体を噴霧することによりカーボンナノチューブ凝集積層体を形成し、その後、撚掛手段4によって撚り掛けを施す。各基板Zからそれぞれ引き出されたシート状のカーボンナノチューブ繊維体を重ね合わせて形成した積層シート体に霧状液体を噴霧することにより、各微細炭素繊維体を構成する各微細炭素繊維が凝集すると共に、各カーボンナノチューブ繊維体を互いに密接に積層させることができる。この結果、複数の基板Zからカーボンナノチューブを引き出して撚糸を製造する場合であっても、ハンドリングに適した強度を有する撚糸を確実に製造することが可能になる。
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、散布手段5(オムロン製超音波式ネブライザーNE−U07)から噴霧する、霧状液体の粒子径は1μm〜5μmである。ここで、霧状液体の粒子径は、イギリス・マルバーン社製のレーザ回折式粒度分布測定装置「マスターサイザー2000」を用いて計測することができる。この装置における粒子径の測定原理は、Mie理論に基づくレーザ回折・散乱法に基づいている。液滴の体積基準の累積粒度分布を作成し、50%径(メディアン径)をもって霧状液体の粒子径としている。
撚糸の直径の測定:日本電子社製の走査電子顕微鏡「JSM−7401F」を用いて、SEM写真を撮影して糸径を測定した。
引張り強度:日本計測システム(株)製の自動荷重試験機「MAX−1KN−S」を用いて、糸長1cm、引張り速度1mm/分で引張り試験を行った。
<実施例1>
シリコン基板(市販品、1cm)に鉄をスパッタリングすることにより、厚さ4nmの鉄皮膜からなる触媒層が積層されたシリコン基板を製造した。この基板を熱CVD装置内に設置し、熱CVD法を行うことにより基板上にカーボンナノチューブ集合体を形成させた。熱CVD装置内に供給するガスは、アセチレンガス及びヘリウムガスの混合ガス(アセチレンガス5.77vol%)とした。熱CVD条件としては、温度:700℃、圧力:大気圧下、初期段階におけるアセチレンガス濃度の上昇速度:0.10vol%/秒、反応時間:10分とした。基板上に成長させたカーボンナノチューブの平均長さは180μm、太さは15nm、層数は10層、嵩密度は30mg/cmであり、高密度かつ高配向で形成されていた(図2)。
上記のようにして得られたカーボンナノチューブ集合体にマイクロナイフ(フェザー剃刀製マイクロサージカルブレードK−715、先端角15°)を用いて、幅100μmの直線状の部分を画定した、カーボンナノチューブ基板Zを作製した。
カーボンナノチューブ基板Zから、一部のカーボンナノチューブを削り取り、基板の保持に必要なシリコン部分を露出させ、カーボンナノチューブ撚糸製造装置1(図1)の基板固定手段2に基板を保持させた。
幅100μmのカーボンナノチューブ集合体の側面に、引出具8(先端直径30μmの市販マイクロドリル)を深さ0.1mm突き刺し、1000rpmで1秒間回転させて、カーボンナノチューブを絡め付けて把持した後、引出具8の回転を止め、当該引出具8をモーター駆動により基板Zから離反させることにより、カーボンナノチューブを連鎖的に連続して引き出した。
引出具8を後退させて散布手段5が配置される領域を介して、挟持手段6を構成する一対のローラー61,61間を通過させた。その後、撚掛手段4の一対のローラー421,421間を通過させ、引出手段3である巻き取り装置31のボビン311上まで移動させ、引き出した微細炭素繊維をボビン311に固定した。
その後、挟持手段6を構成する一対のローラー61,61、撚掛手段4の一対のローラー421,421により微細炭素繊維を挟持した。
基板固定手段2と挟持手段6の間に配置した散布手段5(オムロン製超音波式ネブライザーNE−U07)から粒子径1μm〜5μmのエタノール霧を0.1ml/分の噴霧量で微細炭素繊維に噴霧しながら、撚掛手段4を8000rpmで回転させ、さらに巻取り速度0.1m/分で10mの撚糸を巻き取った。作製した撚糸の直径は0.8μmであった。
この撚糸を糸長1cmになるように正方形のホルダーに固定して、10−4Torrで発生させた電子線を、窒素雰囲気下、50℃で200kGy照射した後、引張り強度を測定した。引張り強度は895MPaであった。
この撚糸をエタノール10ml中で10分間超音波照射(IUCHI VS−100III SUNPAR、45kHz、100W)したが、分散しなかった。
<実施例2>
エタノールの代わりにノナンジオールアクリレート1gをエタノール100mlに溶解した溶液を用いて噴霧した以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ撚糸を作製した。撚糸の直径は1.5μmであり、電子線を200kGy照射した。このカーボンナノチューブ撚糸の引張り強度は1603MPaであった。
この撚糸をエタノール10ml中で10分間超音波照射したが、分散しなかった。
なお、製造されたカーボンナノチューブ撚糸に架橋構造が形成されていることを確認するため、電子線照射の前後において赤外吸収スペクトルを測定した。図7に、電子線を照射する前後の撚糸の赤外吸収スペクトルを示す。図7において、「架橋剤あり、電子線無し」が電子線照射前のスペクトルを表し、「架橋剤あり、電子線あり」が電子線照射後のスペクトルを表す。電子線照射後のスペクトルでは、照射前に存在したノナンジオールアクリレートのC=Cに基づく1400cm−1の吸収が消失している。このことから、電子線照射によってカーボンナノチューブ間に架橋反応が起こったことがわかる。なお、図7における「架橋剤無し、電子線無し」は、レファレンス(カーボンナノチューブのみからなる撚糸)の赤外吸収スペクトルである。
<実施例3>
エタノールの代わりにノナンジオールアクリレート5gをエタノール100mlに溶解した溶液を用いて噴霧した以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ撚糸を作製した。撚糸の直径は1.1μmであり、電子線を200kGy照射した。このカーボンナノチューブ撚糸の引張り強度は1201MPaであった。
この撚糸をエタノール10ml中で10分間超音波照射したが、分散しなかった。
<実施例4>
エタノールの代わりにノナンジオールアクリレート1gをエタノール100mlに溶解した溶液を用いて噴霧した以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ撚糸を作製した。撚糸の直径は1.5μmであり、電子線を500kGy照射した。このカーボンナノチューブ撚糸の引張り強度は1220MPaであった。
この撚糸をエタノール10ml中で10分間超音波照射したが、分散しなかった。
<実施例5>
エタノールの代わりにトリス(アクリレートエチル)イソシアヌル酸1gをエタノール100mlに溶解した溶液を用いて噴霧した以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ撚糸を作製した。撚糸の直径は1.5μmであり、電子線を200kGy照射した。このカーボンナノチューブ撚糸の引張り強度は1443MPaであった。
この撚糸をエタノール10ml中で10分間超音波照射したが、分散しなかった。
<実施例6>
エタノールの代わりにカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(カヤラッドDPCA 30:日本化薬)1gをエタノール100mlに溶解した溶液を用いて噴霧した以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ撚糸を作製した。撚糸の直径は1.5μmであり、電子線を200kGy照射した。このカーボンナノチューブ撚糸の引張り強度は1951MPaであった。
この撚糸をエタノール10ml中で10分間超音波照射したが、分散しなかった。
<実施例7>
エタノールの代わりにブタンジオールアクリレート1gをエタノール100mlに溶解した溶液を用いて噴霧した以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ撚糸を作製した。撚糸の直径は1.5μmであり、電子線を200kGy照射した。このカーボンナノチューブ撚糸の引張り強度は1301MPaであった。
この撚糸をエタノール10ml中で10分間超音波照射したが、分散しなかった。
<実施例8>
エタノールの代わりにヘキサンジオールアクリレート1gをエタノール100mlに溶解した溶液を用いて噴霧した以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ撚糸を作製した。撚糸の直径は1.5μmであり、電子線を200kGy照射した。このカーボンナノチューブ撚糸の引張り強度は1736MPaであった。
この撚糸をエタノール10ml中で10分間超音波照射したが、分散しなかった。
<実施例9>
エタノールの代わりにN,N’−ビス(アクリレートエチル)−N”−グリシジルイソシアヌル酸1gをエタノール100mlに溶解した溶液を用いて噴霧した以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ撚糸を作製した。撚糸の直径は1.5μmであり、電子線を200kGy照射した。このカーボンナノチューブ撚糸の引張り強度は1393MPaであった。
この撚糸をエタノール10ml中で10分間超音波照射したが、分散しなかった。
<実施例10>
エタノールの代わりにカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(カヤラッドDPCA 30:日本化薬)1gをエタノール100mlに溶解した溶液を用いて噴霧して、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ撚糸を作製した後、さらにこのカーボンナノチューブ撚糸をカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(カヤラッドDPCA 30:日本化薬(株)製)1gをエタノール100mlに溶解した溶液に3分間浸漬して風乾した。撚糸の直径は1.5μmであり、電子線を200kGy照射した。このカーボンナノチューブ撚糸の引張り強度は2300MPaであった。
この撚糸をエタノール10ml中で10分間超音波照射したが、分散しなかった。
<比較例1>
電子線を照射しなかったこと以外は実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ撚糸を作製した。撚糸の直径は0.8μmであり、カーボンナノチューブ撚糸の引張り強度は160MPaであった。
この撚糸をエタノール10ml中で超音波照射したところ、4分間で分散し、淡黒色透明の溶液になった。
これらの結果より、電子線を照射したことにより、カーボンナノチューブを含む撚糸が高強度化されたことがわかる。さらに、架橋剤を添加して電子線を照射したことにより撚糸の強度がさらに向上している。
以上の説明から明らかなように、本発明の方法によれば、製造時のハンドリングおよび実用に適した強度を有するカーボンナノチューブ撚糸を連続的に製造することが可能となる。
1 カーボンナノチューブ撚糸製造装置
2 基板固定手段
3 引出手段
4 撚掛手段
41 回転体
42 把持装置
5 散布手段
6 挟持手段
7 電子線照射手段
8 引出具
9 保護カバー

Claims (5)

  1. カーボンナノチューブと架橋剤とから製造される撚糸であって、
    カーボンナノチューブが架橋剤により分子間で架橋構造を形成しているカーボンナノチューブ撚糸。
  2. カーボンナノチューブと架橋剤とを含む撚糸に電子線を照射することを特徴とする請求項に記載のカーボンナノチューブ撚糸の製造方法。
  3. カーボンナノチューブに撚りを掛ける前及び/又は後に、架橋剤をカーボンナノチューブに接触させる請求項に記載のカーボンナノチューブ撚糸の製造方法。
  4. 架橋剤を有機溶媒に溶解させた溶液にカーボンナノチューブを浸漬する、又は該溶液をカーボンナノチューブに散布することにより、架橋剤をカーボンナノチューブに接触させる、上記項に記載のカーボンナノチューブ撚糸の製造方法。
  5. 請求項に記載のカーボンナノチューブ撚糸の製造方法であって、
    (1)基板上に化学気相成長させたカーボンナノチューブの集合体から微細炭素繊維を引き出して微細炭素繊維シート体を形成し、
    (2)上記微細炭素繊維シート体に、架橋剤を有機溶媒に溶解した溶液を散布してカーボンナノチューブと架橋剤とを含む微細炭素繊維凝集体を形成し、
    (3)上記微細炭素繊維凝集体に撚り掛けを施してカーボンナノチューブと架橋剤とを含む撚糸とし、
    (4)上記撚糸に電子線を照射する、方法。
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