JP5429528B2 - 動力工具 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート、モルタル、タイル等の穿孔加工に用いられる振動ドリルに関し、特に、先端工具であるドリルビットに回転および振動を与えるラチェット構造を有する動力工具に関する。
振動ドリルは、例えば、下記特許文献1に開示されるように、コンクリートやモルタル、タイル等の脆性材料から成る被削材に穿孔作業を行う場合に使用される。
この種の振動ドリルは、モータによって回転駆動されるスピンドルを軸方向に移動可能に設け、該スピンドルの一端部に結着された第1ラチェットと、該第1ラチェットに対して、回転不能に、かつ軸方向に移動可能に対向配置した固定面を有する第2ラチェットとから成るラチェット構造を有する。また、互いに対向する第1ラチェットの回転面および第2ラチェットの固定面には、それら円周部に沿って互いに係合可能な鋸歯状(凹凸状)の爪部が形成され、かつ第2ラチェットの固定面が第1ラチェットの回転面に係合する方向にスプリングによって付勢される。
このような振動ドリルでは、一般に、先端工具であるドリルに回転と振動を同時に与える振動ドリルモードが選択できるように構成されている。この振動ドリルモードが選択された場合、スピンドルは軸方向に移動可能であって、ドリルを被削材に押し付けると、本体ハウジングと共に第1ラチェットがスピンドルと共に軸方向に移動し、第2ラチェットが第1ラチェットに当接して両者の鋸歯状爪部同士が係合する。
従って、振動ドリルモードにおいては、スピンドルと共に第1ラチェットが回転することによって、第2ラチェットの鋸歯状爪部が第1ラチェットの鋸歯状爪部を乗り越え、第2ラチェットが第1ラチェットに対して当接または離間動作を繰り返す。このために、スピンドルが軸方向に振動し、この振動がスピンドルからドリルチャックに取付けられたドリルビットに伝達されるので、ドリルビットに回転と同時に振動が与えられ、該ドリルビットによる被削材の穿孔作業の効率を改善することができる。この穿孔作業をより効率的に行うためには、第1および第2ラチェットの鋸歯状爪部が互いに均等に当接することが要求される。
特開2005−52905号公報
ところで、本出願人は、先に、振動ドリル(動力工具)の軽量化および低廉化を図るために、図5の構成図に示されるように、ハウジング1として樹脂成形体を採用した振動ドリル200を開発した。樹脂成形体のハウジング1は、交流電源コード3の電力によって駆動される交流電動モータ40を収容するモータカバー部1aと、第2ラチェット80を収容するインナーカバー部1bと、ドリルビット100が取付けられるスピンドル90および第1ラチェット70を収容するギヤカバー部1cとの三者に分割し、各ハウジング部材についてモータ等の構成部材を組込んだ後に、それらモータカバー部1a、インナーカバー部1bおよびギヤカバー部1cの三者をネジ等により一体に締結することにより、振動ドリル200を組立てた。
かかる振動ドリル200において、ドリルビットに振動を与えるためのラチェット構造には、周知の第1ラチェット(回転ラチェット)70および第2ラチェット(固定ラチェット)80を採用した。以下に周知のラチェット構造について説明する。
図7は、図5に示した振動ドリル200に採用した第2ラチェット80の構造を示す。第2ラチェット80は、従来のラチェット構造を有し、第1ラチェット70との接触面であるラチェット鋸歯状爪部80aと、該ラチェット鋸歯状爪部80aを保持するラチェット保持部80bとを有する。第2ラチェット80の外周辺の対向する両端部には、第2ラチェット80を上記インナーカバー部1b(図5参照)にネジ20a(図8参照)で固定するための第2ラチェット貫通孔80e、80f(図7参照)が設けられている。図8および図9は、図7に示した第2ラチェット80をインナーカバー1bに取付けた状態を示す。2つのネジ20a(図8参照)によってインナーカバー1bに締結されている。図9は、図8のA−A線断面図を示す。
検討した振動ドリル200は、上述した従来の振動ドリルと同様に、次の基本構成を有する。すなわち、図5に示されるように、先端工具のドリルビット100は、モータ40によって回転駆動されるスピンドル90を軸方向Z−Zに移動可能に設け、該スピンドル90上に結着された第1ラチェット70に第2ラチェット80を回転不能、かつ軸方向Z−Zに移動可能に対向配置する。また、ラチェット80の鋸歯状爪部80aが第1ラチェット70の鋸歯状爪部70aに係合するように、該第2ラチェット80を軸方向Z−Zにスプリング(図示なし)によって付勢する構造となっている。
動作モードは、ドリルビット100に回転のみを与える「ドリルモード」と、ドリルビット100に回転および振動を同時に与える「振動ドリルモード」のいずれか一方をチェンジレバー(図示なし)によって選択できるように構成されている。「振動ドリルモード」が選択された場合には、スピンドル90は軸方向Z−Zに移動可能であって、スイッチトリガ60を把持しながら、ドリルビット100を被削材110に押し付けると、第1ラチェット70がスピンドル90と共に軸方向Z−Zに移動し、第2ラチェット80が第1ラチェット70に当接して両者の鋸歯状爪部80aおよび70aが係合する。
従って、「振動ドリルモード」においては、スピンドル90と共に第1ラチェット70が回転することによって、第2ラチェット80の鋸歯状爪部80aが第1ラチェットの鋸歯状爪部70aを乗り越え、第2ラチェット80が第1ラチェット70に対して当接または離間動作を繰り返す。このために、スピンドル90が軸方向Z−Zに振動し、この振動がスピンドル90からドリルビット100に伝達されるので、ドリルビット100に回転と同時に振動が与えられ、該ドリルビット100による被削材110の穿孔作業の効率を向上させることができる。この穿孔作業を、より効率的に行うためには、第1および第2ラチェット70および80の鋸歯状爪部70aおよび80aがそれぞれ均等に当接することが要求される。
しかるに、本発明者等は、図5の構成図に示されるようなハウジング1に樹脂成形体を採用した振動ドリル200にあっては、ラチェットの摩耗について次のような問題点を招くことを見出した。すなわち、図5に示されるように、インナーカバー部1bおよびギヤカバー部1cに樹脂成形体を使用すると、第2ラチェット80を固着しているインナーカバー部1bが金属材料より可撓性がある樹脂材料で形成されるので、「振動ドリルモード」において、被削材110の穿孔時にインナーカバー部1bが撓み、第1ラチェット70の鋸歯状爪部70aおよび第2ラチェット80の鋸歯状爪部80aが均等に衝突もしくは係合しなくなるという問題を生ずる。このため、図8に示されるように、第2ラチェット80の円周状に配置された鋸歯状爪部80aの下部領域Ruに配置された爪部が、円周状の上部に配置された爪部に比較して摩耗が早く、所謂、偏摩耗を起こしてしまい、ドリルビット100による穿孔作業の効率を低下させてしまうという問題を招く。この偏摩耗の発生は、実験、検討の結果、次の理由によるものと考えられる。
図5の振動ドリル200の構成図に定性的に示されるように、振動ドリル200のハンドルハウジング部1d(モータハウジング部1aの垂下部)を、右手等の利き手で把持して、ドリルビット100の軸方向Z−Zと平行方向に押圧力(押付力)F1で荷重した場合、被削材110にドリルビット100の先端を押付けるので、スピンドル90の一端に取付けられた第1ラチェット70へ反力F3が生ずる。一方、モータ40のモータ回転軸40aを支承する第2軸受部50bは、インナーカバー部1bに保持されるので、インナーカバー1bの下方部に押圧力F2が作用する。
このため、第2ラチェット80を保持するインナーカバー部1bには、押圧力F2と反力F3による曲げモーメントが加わり、インナーカバー部1bが撓み、インナーカバー1bに固着された第2ラチェット80の鋸歯状爪部80aの形成面は、図6の定性的状態図に示すように、第1ラチェット70の垂直面(爪部形成面)70aに対して傾斜面で対向するように係合する。特に、円周状の鋸歯状爪部80aの下端部Ruにおいて深く接触し、第2ラチェット80の鋸歯状爪部80aの摩耗が大きくなる。なお、第1ラチェット70の鋸歯状爪部70aの垂直面は回転しているので、その摩耗は、固定面の鋸歯状爪部80aの摩耗に対して、比較的少ない。
したがって、本発明の目的は、上記した偏摩耗の問題点を解消し、穿孔速度の向上および工具の長寿命化を図った動力工具を提供することにある。
本発明の他の目的は、ラチェットを使用する振動ドリルにおいて、ラチェット鋸歯状爪部の摩耗を低減したラチェット構造を有する動力工具を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、ハウジングとして、軽量かつ低廉な樹脂成形体を使用したラチェット構造を有する動力工具を提供することにある。
上記本発明の目的を達成するために、本願において開示される発明のうち、代表的なものの特徴を説明すれば、次のとおりである。
本発明の一つの特徴によれば、モータ回転軸を有するモータと、前記モータを収容するハウジングと、前記モータにより回転駆動されるスピンドルと、前記スピンドルに固定され、前記ハウジングに対して前記スピンドルの回転軸の軸方向に移動可能な第1ラチェットと、前記第1ラチェットと係合可能な第2ラチェットと、を有する動力工具であって、前記第2ラチェットは、前記スピンドルの径方向に延伸する第2ラチェット延伸部を有する。
本発明の他の特徴によれば、前記モータは電動モータであり、前記モータ回転軸および前記スピンドル回転軸の軸方向は、ほぼ平行に延在し、前記第2ラチェット延伸部は、前記モータ回転軸よりも径方向外側へ延びるように構成される。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第2ラチェット延伸部は、前記モータ回転軸と交差する孔を有し、前記モータ回転軸の一部は、前記孔に挿入される。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ハウジングは、樹脂材料により構成されたインナーカバー部を有し、前記第2ラチェットは、前記インナーカバー部に固定される。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第2ラチェット延伸部は、前記スピンドル回転軸の径方向において、前記モータ回転軸を横切って延伸し、前記ハウジングは、前記第2ラチェットを収容するインナーカバー部と、前記スピンドルおよび前記第1ラチェットを収容するギヤカバー部と、前記モータを収容するモータカバー部と、を有し、前記モータカバー部、前記インナーカバー部および前記ギヤカバー部は、互いに三者に分離可能に一体接続される。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ギヤカバー部、前記インナーカバー部および前記ギヤカバー部はそれぞれ樹脂成形体によって形成され、前記インナーカバーは、前記モータカバー部と前記ギヤカバー部間に一体接続される。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第2ラチェット延伸部は、前記インナーカバー部と前記ギヤカバー部間の接続部に挟持される。
本発明のさらに他の特徴によれば、モータ回転軸を有するモータと、前記モータを収容するハウジングと、前記ハウジングから下方へと延びるハンドルハウジング部と、前記モータにより駆動されるスピンドルと、前記スピンドルに固定され、前記ハウジングに対して前記スピンドルの回転軸の軸方向に移動可能な第1ラチェットと、前記第1ラチェットと係合可能な第2ラチェットと、を有する動力工具であって、前記第2ラチェットに前記スピンドルの軸受を保持し、前記ハウジングの上方および下方で前記第2ラチェットを保持するように構成される。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ハウジングは、第2ラチェットを収容するインナーカバー部と、前記スピンドルおよび前記第1ラチェットを収容するギヤカバー部と、前記モータを収容するモータカバー部と、を有し、前記第2ラチェットは、前記インナーカバー部と前記ギヤカバー部とにより保持される。
上記本発明の一つの特徴によれば、第2ラチェットは、スピンドルの径方向に延伸する第2ラチェット延伸部を有するので、第2ラチェットと、インナーカバー部およびギヤカバー部との接触面積を増加することができる。従って、振動ドリルモードにおける第1ラチェットと第2ラチェットの当接時に、すなわち両者の係合時に、インナーカバー部への衝撃を均等に緩和することができる。これにより、図5に示されるような工具の荷重(F1)に基づくインナーカバー部(1b)の撓みを防止することによって、第2ラチェット(80)を第1ラチェット(70)に対して均等に当接させ、第2ラチェットの鋸歯状爪部の部分領域(Ru)における偏摩耗を抑制することができる。これによって、穿孔作業の効率を向上させると共に、長寿命の動力工具を提供することができる。
上記本発明の他の特徴によれば、第2ラチェットは、インナーカバー部に収容されるので、第2ラチェットの鋸歯状爪部が摩耗した場合には、前記インナーカバー部を、モータカバー部等の他のハウジング部から分離することによって、第2ラチェットを容易に交換することができ、保守管理が容易な動力工具を提供することができる。
上記本発明のさらに他の特徴によれば、インナーカバー部は、金属材料より軽量な樹脂成形体で構成されるので、軽量で、かつ低廉な動力工具を提供することができる。
上記本発明のさらに他の特徴によれば、第2ラチェットがハウジングの上下部で保持されため、回転軸方向に対して第2ラチェットの傾きおよびスピンドルの傾きが解消される。その結果、スピンドルは、第2ラチェットに設けられた軸受部の内周部に均等に荷重を与えるように当接するので、軸受部の偏摩耗を防止して寿命を向上させることができる。
本発明の上記および他の目的、ならびに本発明の上記および他の新規な特徴は、本明細書の以下の記述および添付図面から更に明らかにされる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材または要素には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施形態の説明では、振動ドリルのモータ回転軸の軸方向を水平方向に設置した状態で、便宜上、水平方向を左右方向、垂直方向を上下方向として参照するが、特別な実施形態に限定するものではない。
図1は、本発明に係る動力工具を振動ドリルに適用した場合の一実施形態を示す要部断面図を含む全体構造図、図2は、本発明に係る動力工具に使用される第2ラチェットの正面図(前面図)、図3は、図2に示した第2ラチェットをインナーカバー部に装着した場合の正面図、図4は、図3のA−A線に沿う断面図をそれぞれ示す。
<振動ドリル30の全体構成について>
図1を参照して本発明の一実施形態に係る振動ドリル30の全体の構成について説明する。
振動ドリル30は、各構成部材を収容するハウジング1を備える。このハウジング1は、電動モータ4を収容するモータカバー部1aと、スピンドル9および第1ラチェット(回転ラチェット)7を収容するギヤカバー部1cと、第2ラチェット(固定ラチェット)8を収容するインナーカバー部1bとの3者が分離可能に組立てられたもので、各ハウジング部材1a、1bおよび1cは、振動ドリル工具30の軽量化および低廉化を図るために、樹脂成形体によって構成されている。なお、モータカバー部1aは、その後端部において垂下して延びるハンドルハウジング部1dを含み、ハンドルハウジング部1dと一体に樹脂成形されている。
ハンドルハウジング部1d内には、下端部から電源コード3が導入されており、この電源コード3は、ハンドルハウジング部1d内に収容されたスイッチ機構部(図示なし)を介して電動モータ4に電気的接続されている。また、ハンドルハウジング部1d内には、上記スイッチ機構部を操作して電動モータの起動、回転制御を行うためのスイッチトリガ6が設けられている。
モータハウジング部1aに収容された電動モータ4は、交流モータより構成され、電動モータ4のモータ回転軸4aの一端部は第1軸受部5aに支承され、モータ回転軸4aの他端部は第2軸受部5bに支承されている。特に、第2軸受部5bは、図5に示した振動ドリル200と同様に、インナーカバー部1bの軸受保持部24に保持されている。モータ4の回転軸4aには冷却ファン14が取付けられ、モータ4から発生する熱や第2ラチェット8に発生する熱を放散し易くする。
電動モータ4のモータ回転軸4aは、第2ラチェット8の延伸部8cに設けられたピニオンギヤ挿入部8dを挿通して第2ラチェット8と交差して延在する右端部を有し、該右端部にはピニオンギヤ4bが形成され、ギヤカバー部1cに収容された第1ラチェット7のキヤ部7bと噛合っている。
ギヤカバー部1c内には、スピンドル9が、その回転軸方向に挿通され、且つその回転軸方向に可動するように軸受部(スラスト軸受部)9aによって軸支されている。また、スピンドル9は、第2ラチェット8が第1ラチェット7に係合する方向に、スプリング13によって回転軸方向に付勢されている。先端工具(ドリルビット)を保持するためのチャック10は、スピンドル9の一端部に左ネジによって固定されている。
スピンドル9の他端部側は、第2ラチェット8のラチェット爪部8aの中央部に設けられた貫通孔8g(図3および図4参照)を挿通して延在し、その終端部は、後述するように、チェンジプレート12との間にボール9bを挟持する。また、スピンドル9の他端部側には第1ラチェット7が固着されており、上記電動モータ4の回転駆動力は、モータ回転軸4aのピニオンギヤ4bおよび第1ラチェット7のギヤ7bを介してスピンドル9に伝達され、チャック10に接続された先端工具に振動回転力を与える。
図1に示されるように、インナーカバー部1bの後面部には、動作モードを「振動ドリルモード」または「ドリルモード」に切換るためのチェンジレバー11が装着されている。チェンジレバー11にはチェンジプレート12が接続され、チェンジレバー11を、例えば、紙面を横切る方向に移動すると、チェンジプレート12も紙面を横切る方向にスライドするように構成されている。図1に示す位置は、「ドリルモード」の状態にある。
チェンジプレート12が「ドリルモード」の位置にある場合は、スピンドル9に保持されるボール9bは、図1に示されるように、チェンジプレート12の平面部に当接するので、第1ラチェット7の鋸歯状爪部7aと第2ラチェット8の鋸歯状爪部7aとは離間して、両者は当接または係合しない。この場合には、モータ4が回転しても振動は発生しないので、振動ドリル30は、鉄鋼や木材等の被削材に効率よく穴を空けることが可能である。
チェンジレバー11を「振動ドリルモード」へ切換えると、第2ラチェット8の貫通孔8gに露出するチェンジプレート12が、図1に示された平面部から孔部12a(図4参照)にスライドする。この状態でチャック10に保持された先端工具が被削材に押付けられると、ボール9bはチェンジプレート12の孔部12aに嵌り、第1ラチェット7の鋸歯状爪部7aと第2ラチェット8の鋸歯状爪部7aとは当接または係合することとなる。その結果、モータ4の回転力がピニオンギヤ4bを介して第1ラチェット7に伝達され、第1ラチェット7の鋸歯状爪部7aの回転に伴い、第1ラチェット7の鋸歯状爪部7aと第2ラチェット8の鋸歯状爪部7aとの間で打撃が生じて振動が発生する。この振動回転により、振動ドリル30は、コンクリート、モルタル、石材等の脆性材料の被削材に効率よく穴を空けることが可能となる。
<第2ラチェット8の構成について>
図2に示されるように、本発明に係る第2ラチェット8は、ラチェット鋸歯状爪部8aと、ラチェット鋸歯状爪部8aのラチェット保持部8bと、ラチェット鋸歯状爪部8aの外周下部に延伸するラチェット延伸部(ラチェット補強部)8cとから構成されている。
ラチェット鋸歯状爪部8aの中央部には、スピンドル9の端部が挿通する貫通孔8gが形成されている。また、ラチェット延伸部8cには、モータ回転軸4a(ピニオンギヤ部4b)が挿通するピニオンギヤ挿入部8dが形成され、ラチェット延伸部8cは、ピニオンギヤ挿入部8dに挿通されるモータ回転軸4aと交差してインナーカバー部1bの高さ方向に延在する。貫通孔8gの内周部には、軸受部8hが形成されており、軸受部8hは、スピンドル9の一端部を回転可能に保持している。
図3に示されるように、第2ラチェット8は、インナーカバー部1bに保持され、2つのネジ挿入孔8eおよび8f(図2参照)を介してそれぞれネジ20aによってインナーカバー部1bに締結もしくは装着される。ラチェット延伸部8cは、図4に示されるように、インナーカバー部1bのリブ部(肉厚部)に当接され、かつピニオンギヤ挿入部8dからインナーカバー部1bの外壁内周部の間に下端部が収まるように、下方向へ延在する。
ラチェット延伸部8cを有する第2ラチェット8が、図4に示すように、インナーカバー部1bにネジ20aによって締結された後、この組立体は、インナーカバー部1bの外周部に設けられたネジ挿入孔23a、23bおよび23c(図3参照)を介して、図1に示されるように、ネジ21aによってギヤカバー部1cと共にモータカバー部1aに締結、接続される。
動力工具30の組立時において、ハンドルハウジング部1dを含むモータカバー部1aは、電動モータ4のモータ回転軸4aの中心軸に沿った垂直面で2分される合成樹脂材料の半割ハウジングを用いてモータ4等の構成部材を組み付け、ネジ22a、22b、22cを用いて該一対の半割ハウジングを締結することによって組立てられる。
<動力工具30の振動ドリルモードの動作について>
前述したようにチェンジレバー11を「振動ドリルモード」に切換えて、振動ドリル30のハンドルハウジング部1dを把持して、先端工具のドリルを被削材に押し付けると、ハウジング1がスプリング13を圧縮しながらスピンドル9に対して前進するため、インナーカバー部1bおよび第2ラチェット8も一体的に前進し、第2ラチェット8のラチェット鋸歯状爪部8aと第1ラチェット7のラチェット鋸歯状爪部7aとが互いに当接する。
第2ラチェット鋸歯状爪部8aと第1ラチェット鋸歯状爪部7aが当接すると、両鋸歯状爪部(凹凸部)8a、7aが係合し、また、スピンドル9と共に第1ラチェット7が回転すると、両鋸歯状爪部8a、7aが軸方向に離間する。このように、第1ラチェット7および第2ラチェット8は、両鋸歯状爪部8a、7aによって当接、離間動作を繰り返すので、スピンドル9が軸方向に振動する。さらに、この振動がスピンドル9からチャック10を経て先端工具のドリルに伝達されるため、ドリルには回転と同時に振動を与えることができる。
ここで、本発明によれば、第2ラチェット8のラチェット保持部8bから延伸するラチェット延伸部8cがインナーカバー部1bとギヤカバー部1cとにより挟持されるので、図5に示すようなハンドルハウジング部1dの押付力によるインナーカバー部1bの撓み、および第2ラチェット8の傾きを抑制することができる。すなわち、図6に示すような第2ラチェットの傾きを抑制し、第2ラチェット8のラチェット鋸歯状爪部8aを第1ラチェット7のラチェット鋸歯状爪部7aに均等に当接することができる。
その結果、第2ラチェット8のラチェット鋸歯状爪部8aの偏摩耗を低減し、被削材への打撃力を改善することができ、それによって、穿孔作業の効率を向上させることができる。また、第2ラチェット8の偏摩耗を防止することができるので、第2ラチェット8の所定時間以上の長寿命化が期待できる。また、ラチェット延伸部8cによる放熱効果により、モータ4から発生する熱や第2ラチェット8に発生する摩擦熱を放散し易くする。
さらに、第2ラチェット8は、モータハウジング部1aからインナーカバー部1bを分離して締付けネジ20a(図3参照)を取り外すことによって簡単に交換できるので、工具の保守管理が容易にできる。また、本発明によれば、インナーカバー部1bは、合成樹脂材料によって形成することができるので、動力工具30の重量を軽減し、作業性が良く、かつ低廉な動力工具を提供することができる。
さらに、上述したように、第2ラチェット8の貫通孔8gの内周部には軸受部8hが形成されているが、軸受部8hは、第2ラチェット8と同様に、回転軸方向に対する傾きが解消されるので、スピンドル9の内周部に均等に当接して偏摩耗が防止され、軸受部8hの寿命も向上させることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
本発明の実施形態に係る動力工具の全体構成図。 図1に示した動力工具に使用される第2ラチェットの正面図(前面図)。 は、図2に示した第2ラチェットをインナーカバー部に装着した場合の正面図、 は、図3に示した第2ラチェットおよびインナーカバー部のA−A線に沿う断面図。 本出願人が先に検討した動力工具の構成図。 図5に示した動力工具の第1ラチェット部および第2ラチェット部の構成図。 図5に示した動力工具に使用した従来の第2ラチェットの正面図(前面図)。 は、図7に示した第2ラチェットをインナーカバー部に装着した場合の正面図、 は、図8に示した第2ラチェットおよびインナーカバー部のA−A線に沿う断面図。
1:ハウジング 1a:モータカバー部 1b:インナーカバー部
1c:ギヤカバー部 1d:ハンドルハウジング部
3:電源ケーブル 4:モータ 4a:モータ回転軸
4b:ピニオンギヤ部 5a:第1軸受部 5b:第2軸受部
6:スイッチトリガ 7:第1ラチェット
7a:第1ラチェット鋸歯状爪部 7b:第1ラチェットギヤ
8:第2ラチェット 8a:第2ラチェット鋸歯状爪部
8b:第2ラチェット保持部 8c:第2ラチェット延伸部
8d:ピニオンギヤ挿入部 8e、8f:ネジ挿入孔 8g:貫通孔
8h:軸受部 9:スピンドル 9a:スラスト軸受部 9b:ボール
10:チャック 11:チェンジレバー 12:チェンジプレート
12a:ボール嵌挿用孔部 13:付勢用スプリング 14:冷却用ファン
20a:ネジ 21a:ネジ 22a、22b、22c:ネジ
23a、23b、23c:ネジ挿入孔 24:軸受保持部 30:動力工具
40:モータ 40a:モータ回転軸 50a:第1軸受部
50b:第2軸受部 60:スイッチトリガ 70:第1ラチェット
70a:ラチェット鋸歯状爪部 80:第2ラチェット
80a:ラチェット鋸歯状爪部 90:スピンドル 100:先端工具
110:被削材 200:動力工具

Claims (5)

  1. モータ回転軸を有するモータと、
    前記モータを収容するハウジングと、
    前記モータにより回転駆動されるスピンドルと、
    前記スピンドルに固定され、前記ハウジングに対して前記スピンドルの回転軸の軸方向に移動可能な第1ラチェットと、
    前記第1ラチェットと係合可能な第2ラチェットと、
    を有する動力工具であって、
    前記ハウジングは、樹脂材料により構成されたインナーカバー部を有し、
    前記第2ラチェットは、前記スピンドルの径方向に延伸する第2ラチェット延伸部を有し、前記インナーカバー部に固定されていることを特徴とする動力工具。
  2. 前記モータは電動モータであり、前記モータ回転軸および前記スピンドルは、モータ回転軸方向にほぼ平行に延在し、前記第2ラチェット延伸部は、前記モータ回転軸よりも径方向外側に延びるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載された動力工具。
  3. 前記第2ラチェット延伸部は、貫通孔を有し、前記モータ回転軸の一部は、前記貫通孔に挿入されていることを特徴とする請求項2に記載された動力工具。
  4. モータ回転軸を有するモータと、
    前記モータを収容するハウジングと、
    前記モータにより回転駆動されるスピンドルと、
    前記スピンドルに固定され、前記ハウジングに対して前記スピンドルの回転軸の軸方向に移動可能な第1ラチェットと、
    前記第1ラチェットと係合可能な第2ラチェットと、
    を有する動力工具であって、
    前記第2ラチェットは、前記スピンドルの径方向に延伸する第2ラチェット延伸部を有し、
    前記ハウジングは、前記第2ラチェットを収容するインナーカバー部と、前記スピンドルおよび前記第1ラチェットを収容するギヤカバー部と、前記モータを収容するモータカバー部とを有し、前記モータカバー部、前記インナーカバー部および前記ギヤカバー部はそれぞれ樹脂成形体によって形成されると共に互いに三者に分離可能に一体接続され、
    前記インナーカバーは、前記モータカバー部と前記ギヤカバー部間に一体接続され、
    前記第2ラチェット延伸部は、前記スピンドル回転軸の径方向において、前記モータ回転軸を横切って延伸し、前記インナーカバー部と前記ギヤカバー部間の接続部に挟持されていることを特徴とする動力工具。
  5. モータ回転軸を有するモータと、
    前記モータを収容するハウジングと、
    前記ハウジングから下方へと延びるハンドルハウジング部と、
    前記モータにより駆動されるスピンドルと、
    前記スピンドルに固定され、前記ハウジングに対して前記スピンドルの回転軸の軸方向に移動可能な第1ラチェットと、
    前記第1ラチェットと係合可能な第2ラチェットと、
    を有する動力工具であって、
    前記ハウジングは、第2ラチェットを収容するインナーカバー部と、前記スピンドルおよび前記第1ラチェットを収容するギヤカバー部と、前記モータを収容するモータカバー部とを有し、
    前記スピンドルの軸受は前記第2ラチェットにより保持され、
    前記第2ラチェットは、前記ハウジングの前記インナーカバー部と前記ギヤカバー部とにより保持されていることを特徴とする動力工具。
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