JP4619862B2 - 電動工具 - Google Patents

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Description

本発明は、モータ軸に対して、例えばスプライン嵌合のような嵌め合い構造によってトルク伝達可能に結合(連結)される被動軸を備えた電動工具に関する。
駆動モータのモータ軸(アーマチュアシャフト)にスプライン嵌合を介して被動軸が結合する構成の電動工具は、例えば実公平6−44613号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1には、集塵装置付き穴開け工具としての集塵ハンマドリルが開示されており、当該集塵ハンマドリルでは、モータ軸に集塵ファンのファン軸がスプライン嵌合を介して結合されている。これにより、必要に応じてあるいは定期的にファン軸をモータ軸から取り外して集塵ファンの交換あるいは保守点検に対応する構成としている。
実公平6−44613号公報
ところで、上記のように、駆動モータのモータ軸に被動軸としてのファン軸がスプライン嵌合を介して結合する構成の場合、軸と孔との間には必然的に周方向に隙間が存在することになる。このため、駆動モータの起動時において、駆動モータの回転数が定速回転領域に到達するまでの間では、工具ビットに回転動作および打撃動作を行わせる駆動機構部側、すなわち被動側の慣性の力によってモータ軸とファン軸との間に回転速度差が発生し、その結果、スプライン嵌合部における孔側部材と軸側部材が互いに衝突して異音および振動が発生するという現象が繰り返し起こる点に問題があり、この点においてなお改良の余地がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、電動工具におけるモータ軸と被動軸との嵌め合いによる結合構造において、モータ軸と被動軸間における異音の発生を防止しつつトルクを確実に伝達できる技術を提供することを目的とする。
上記課題を達成するため、各請求項に記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明によれば、モータと、モータのモータ軸によって駆動される被動軸と、被動軸を介して駆動され、被加工材に所定の加工作業を遂行する先端工具と、を有する電動工具が構成される。なお本発明における「電動工具」としては、典型的には、加工材(例えば、コンクリート)の穴開け作業に用いられるとともに、穴開け作業時に発生する粉塵を集塵することが可能な集塵ハンマドリルがこれに該当するが、このほか、被加工材の切断作業に用いられる切断作業工具、研削や研磨作業に用いられる研削・研磨作業工具、あるいはねじ締め作業に用いられる締付作業工具等を広く包含する。
請求項1に記載の発明においては、特徴的構成として、モータ軸と被動軸は、当該モータ軸または被動軸のいずれか一方の軸に形成された軸方向に延びる孔に他方の軸が嵌合する構成とされるとともに、孔と軸の嵌合領域には、モータのトルクをモータ軸から被動軸に伝達する第1および第2のトルク伝達経路が設けられている。そして第1のトルク伝達経路は、孔と軸の嵌合領域において、モータ軸と被動軸が径方向に弾発力を与えられた状態で常時に接触するとともに、被動軸に所定の回転抵抗が作用したときに接触部位が周方向に相対移動する構成とされる。また第2のトルク伝達経路は、孔と軸の嵌合領域において、第1のトルク伝達経路における接触部位に周方向の相対移動が生じたとき、モータ軸と被動軸が周方向において互いに接触することでトルクを伝達する構成とされている。なお本発明における「径方向に弾発力を与えられた状態で常時に接触する」態様としては、孔と軸の嵌合領域において、軸外周面と孔内周面間に弾性部材からなる中間部材が弾発状に介在される態様、あるいは軸側部材または孔側部材のいずれか一方の部材に、他方の部材に対して弾発力を付与する弾性接触部が一体に設けられている態様のいずれも好適に包含する。また「モータ軸と被動軸が周方向において相互に接触する」態様としては、例えばスプライン嵌合による態様、角孔と角軸部との嵌合による態様、丸軸の外周側に形成された径方向に突出する少なくとも1つの突起と、丸孔の内周側に形成された径方向に凹む凹部との係合による態様等、を広く包含する。
本発明によれば、先端工具に負荷が作用しない無負荷状態(被動側軽負荷時)では、モータからのトルクは、モータ軸と被動軸が径方向に与えられる弾発力によって常時に接触することでトルク伝達を行う第1のトルク伝達経路を介してモータ軸から被動軸へと伝達される。このため、無負荷状態で行われるモータ起動時のモータ軸から被動軸へのトルク伝達は、第1のトルク伝達経路を介して行われる。第1のトルク伝達経路は、径方向に与えられる弾発力によってモータ軸と被動軸が常時に接触位置を変えることなくトルクを伝達する構成のため、被動軸側の慣性の力の影響を受けることなくトルク伝達が可能となり、これによって異音および振動の発生を防止できる。
一方、加工作業時のように先端工具に負荷が作用する負荷状態(被動側重負荷時)では、モータ軸と被動軸の接触状態を保持する力(径方向の弾発力に基づく)を越えるような所定の回転抵抗(負荷)が被動軸側に作用すると、第1のトルク伝達経路における接触部位に周方向の相対移動が生じる。その結果、モータ軸と被動軸が周方向において互いに接触することになり、トルク伝達が第2のトルク伝達経路を介して行われる。この場合は、モータ軸と被動軸が周方向において互いに接触した状態でトルク伝達が行われるため、確実なトルク伝達が遂行される。
また、請求項1に記載の発明においては、電動工具における被動軸は、モータ軸に対して分離可能とされるとともに、先端工具による加工作業時に発生する加工屑を吸い込んで所定箇所に収集する集塵ファンを有する構成とされる。集塵ファンを有する吸塵式電動工具の場合、必要に応じてあるいは定期的に集塵ファンを交換あるいは保守点検する必要がある。このとき、本発明によれば、被動軸をモータ軸から分離できるため、当該集塵ファンの交換作業あるいは保守点検作業を合理的に行うことができる。
(請求項に記載の発明)
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の電動工具における被動軸は、当該被動軸のトルクを先端工具側へと伝達するギアを有する構成とされる。かかる構成によれば、例えば摩耗したギアを交換する場合に、当該ギアを有する被動軸をモータ軸から分離して交換できるため、モータごと交換するといった無駄を無くすことができる。
(請求項に記載の発明)
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の電動工具における第1のトルク伝達経路は、孔と軸の嵌合領域において、モータ軸と被動軸間に介在された径方向に弾性変形可能なリング状部材によって構成され、第2のトルク伝達経路は、嵌合領域において、互いに嵌り合う角孔と角軸部とによって構成されている。なお本発明における「リング状部材」としては、例えば、周方向に波形の凹凸形状が連続的に、あるいは断続的に形成される態様、また一方の軸に対しては周方向の相対移動が不能に固定され、他方の軸に対しては径方向に弾発力を付与した状態で接触する態様等、を好適に包含する。本発明によれば、第2のトルク伝達経路を角孔と角軸部とからなる簡単な形状で構成できるため、従来のスプライン構造に比べて加工コストを低減できる。
本発明によれば、電動工具におけるモータ軸と被動軸との嵌め合いによる結合構造において、モータ軸と被動軸間における異音の発生を防止しつつトルクを確実に伝達できる技術が提供されることとなった。
以下、本発明の実施の形態につき、図1〜図4を参照しつつ詳細に説明する。本実施の形態は、電動工具の一例として電動式の集塵ハンマドリルを用いて説明する。図1は本実施の形態に係る集塵ハンマドリルの全体構成を示す側断面図である。図1に示すように、本実施の形態に係る集塵ハンマドリル101は、概括的に見て、ハンマドリル101の外郭を形成する本体部103、当該本体部103の先端領域にツールホルダ137を介して着脱自在に取付けられたドリルビット119、本体部103の後端側(ドリルビット119の反対側)に連接された作業者が握るグリップ109を主体として構成されており、本体部103の軸方向の概ね中央部に集塵装置201が組み付けられる。ドリルビット119は、ツールホルダ137に対し軸方向には相対移動可能とされ、周方向には一体回転するように装着される。このドリルビット119は、本発明における「先端工具」に対応する。なお説明の便宜上、ドリルビット119側を前、グリップ109側を後という。
本体部103は、駆動モータ111を収容したモータハウジング105と、運動変換機構113、動力伝達機構114および打撃要素115を収容したギアハウジング107とによって構成され、モータハウジング105とギアハウジング107とは、相互間に集塵装置201の集塵ユニット203を介在した状態で接合される。駆動モータ111は、本発明における「モータ」に対応する。
駆動モータ111の回転出力は、運動変換機構113によって直線運動に適宜変換された上で打撃要素115に伝達され、当該打撃要素115を介してドリルビット119の軸方向(図1における左右方向)への衝撃力を発生する。また駆動モータ111の回転出力は、動力伝達機構114によって適宜減速された上でドリルビット119に回転力として伝達され、当該ドリルビット119が周方向に回転動作される。なお駆動モータ111は、グリップ109に配置されたトリガ117の引き操作によって通電駆動される。
運動変換機構113は、駆動モータ111により鉛直面内にて回転駆動される駆動ギア121、当該駆動ギア121に噛み合い係合する被動ギア123、当該被動ギア123と回転軸125を介して一体回転する回転体127、回転体127の回転によってドリルビット119の軸方向に揺動される揺動リング129、揺動リング129の揺動によって直線状に往復移動するシリンダ141を主体として構成される。回転軸125はドリルビット119の軸方向に平行(水平)に配置され、当該回転軸125に取り付けられた回転体127の外周面が回転軸125の軸線に対し所定の傾斜角度で傾斜状に形成されている。揺動リング129は、回転体127の傾斜外周面にボールベアリング126を介して相対回転可能に取り付けられ、当該回転体127の回転動作に伴ってドリルビット119の軸方向に揺動される。また揺動リング129は、上方(放射方向)に一体に突設された揺動ロッド128を有し、当該揺動ロッド128がシリンダ141の後端部に設けた係合部材124に遊嵌状に係合されている。上記の回転体127、揺動リング129、シリンダ141によって揺動機構が構成されている。
動力伝達機構114は、駆動モータ111から駆動ギア121および回転軸125を介して鉛直面内にて回転駆動される第1伝達ギア131、当該第1伝達ギア131に噛み合い係合する第2伝達ギア133、当該第2伝達ギア133とともに回転されるスリーブ135、当該スリーブ135とともに鉛直面内にて回転されるツールホルダ137を主体として構成されている。
打撃要素115は、シリンダ141のボア内壁に摺動自在に配置されたストライカ143と、ツールホルダ137に摺動自在に配置されるとともに、ストライカ143の運動エネルギをドリルビット119に伝達するインパクトボルト145とを主体として構成されている。
上記のように構成されるハンマドリル101は、駆動モータ111が通電駆動されると、その回転出力により、駆動ギア121が鉛直面内にて回動動作する。すると、駆動ギア121に噛み合い係合される被動ギア123、回転軸125を介して回転体127が鉛直面内にて回転動作され、これによって揺動リング129および揺動ロッド128がドリルビット119の軸方向に揺動する。揺動ロッド128の揺動によってシリンダ141が直線状に摺動動作され、それに伴うシリンダ141内の空気バネの作用により、ストライカ143はシリンダ141内を直線運動する。ストライカ143は、インパクトボルト145に衝突することで、その運動エネルギをドリルビット119に伝達する。
一方、回転軸125とともに第1伝達ギア131が回転されると、第1伝達ギア131に噛み合い係合される第2伝達ギア133を介してスリーブ135が鉛直面内にて回転され、更にスリーブ135とともにツールホルダ137およびこのツールホルダ137にて保持されるドリルビット119が一体状に回転される。かくして、ドリルビット119が軸方向のハンマ動作と周方向のドリル動作を行い、被加工材(コンクリート)に穴開け作業を遂行する。
次にハンマドリル101の穴開け作業時に発生する粉塵を集塵するべく備えられた集塵装置201につき図1を参照して説明する。集塵装置201は、集塵ユニット203、吸引アッセンブリ(図示省略)およびダストバック207を主体にして構成されている。集塵ユニット203は、駆動モータ111によって回転駆動される集塵ファン211と、当該集塵ファン211を収容する集塵ファンケーシング213から構成される。吸引アッセンブリは、粉塵の吸込み口を備えた集塵カバー、一端が集塵カバーに接続され、他端が集塵ファンケーシング213に接続された集塵通路等からなり、集塵ファン211の回転動作によって発生する空気の流れを利用してドリルビット119による穴開け時に発生する粉塵を吸込み口から吸い込んで集塵ファンケーシング213に取り付けられたダストバック207に集塵する構成とされる。
集塵ファン211は、ファンシャフト217に対して着脱可能にかつ当該ファンシャフト217と一体回転するように取付けられている。ファンシャフト217は、本発明における「被動軸」に対応する。ファンシャフト217は、軸方向の一端(後端)において駆動モータ111のアーマチュアシャフト112に取り外し(分離)可能に結合され、他端側において軸受219によって回転自在に支持されている。アーマチュアシャフト112は、本発明における「モータ軸」に対応する。またファンシャフト217の前端部(図1における左側)外周には、前述した駆動ギア121が一体に形成されている。駆動ギア121は、本発明における「ギア」に対応する。ファンシャフト217を支持する軸受219は、ギアハウジング107に固定されたインナハウジング107aに設けた軸受収納部に収納保持されており、この軸受219の内輪にファンシャフト217が後側から引き抜き可能に差し込まれている。なおファンシャフト217をアーマチュアシャフト112から分離可能とする構成は、集塵ファン211を交換あるいは保守点検する際の作業性の向上を図ることを目的としたものであり、このことについては、後で説明する。
図2〜図4にはアーマチュアシャフト112とファンシャフト217の嵌め合いによる結合構造が示されている。図示のように、ファンシャフト217の後端部(図2における右側)には、軸方向に所定長さで延在する孔が形成されている。そして孔の奥側に六角形の角孔217aが形成され、この角孔217aにアーマチュアシャフト112の先端に設けた六角形の角軸部112aが嵌合されている(図2および図3参照)。すなわち、アーマチュアシャフト112とファンシャフト217とは、角軸部112aと角孔217aとの嵌め合いによる結合構造とされており、当該角軸部112aと角孔217aとの嵌め合い結合部における、アーマチュアシャフト112からファンシャフト217へのトルク伝達は、角軸部外面と角孔内面との周方向の接触(当接)状態を介して行われる構成とされる。この角軸部外面と角孔内面との周方向の直接的な接触に基づくトルクの伝達経路は、高トルクを伝達することが可能な経路であり、本発明における「第2のトルク伝達経路」に対応する。
角軸部112aと角孔217aとの嵌め合い結合部において、当該角孔217aと角軸部112a間には、それらの楽な嵌め合いを許容するべく所定の隙間Cが存在する。かかる隙間Cが存在する場合、駆動モータ111の起動時において、当該駆動モータ111の回転数が定速回転領域に達するまでの間、ファンシャフト217、運動変換機構113、動力伝達機構114等の、駆動モータ111によって駆動される被動側機構部の慣性の力の影響によりアーマチュアシャフト112とファンシャフト217間に速度差が生じ、角軸部外面と角孔内面との衝突による異音を発生する可能性がある。
本実施の形態においては、アーマチュアシャフト112とファンシャフト217との嵌め合い結合部において、孔側内面と軸側外面との間に径方向に弾発力(突っ張り力)を作用するトルク伝達用の弾性リング151を設け、これによって上述した異音の発生を抑制する構成としている。すなわち、ファンシャフト217側には角孔217aよりも手前側(後側)に丸孔217bが設けられ、これに対応してアーマチュアシャフト112側には当該丸孔217bよりも小径の丸軸部112bが設けられ、そしてそれら丸孔217bと丸軸112bとの間に、弾性リング151が介在されている。弾性リング151は、本発明における「リング状部材」に対応する。
弾性リング151は、軸方向の両端部に形成された円形状の取付部151aが丸軸部112bの外周部に密接状に嵌合した状態で取り付けられ、両取付部151a間には周方向に連続する波形の凹凸部151bが形成されている。この凹凸部151bは、取付部151aよりも外周側に突き出る態様で設定されている。そして弾性リング151は、弾性力を有する凹凸部151bを介して丸孔217bの内周面に対して径方向に弾発力を付与した状態で常時に接触し、これによってアーマチュアシャフト112からファンシャフト217へのトルク伝達を行う構成とされる。換言すれば、ファンシャフト217は、アーマチュアシャフト112に対し弾性リング151を介して互いに接触する構成とされ、この弾性リング151によって角軸部112aと角孔217aとの嵌め合い結合部における隙間Cが詰められる。この弾性リング151に基づくトルクの伝達経路は、低トルクを伝達する経路であり、本発明における「第1のトルク伝達経路」に対応する。
上記のように、本実施の形態においては、アーマチュアシャフト112とファンシャフト217を、低トルク伝達用としての弾性リング151を介しての結合と、高トルク伝達用としての角軸部112aと角孔217aとの嵌め合い結合とによる、2つのトルク伝達経路を有する構成とされる。したがって、ドリルビット119に負荷が作用していない無負荷状態では、駆動モータ111からのトルクは、アーマチュアシャフト112から弾性リング151を経てファンシャフト217へと伝達される。すなわち、弾性リング151はアーマチュアシャフト112に対して(ファンシャフト217に対しても)周方向の相対滑りを生ずることなく、接触位置を維持した状態で一体に回転する。このため、ドリルビット119に負荷が作用しない無負荷状態で行われるモータ起動時には、アーマチュアシャフト112からファンシャフト217へのトルク伝達が弾性リング151を介して行われることになり、被動側の慣性の力の影響を受けることなくトルク伝達が可能となり、これによってアーマチュアシャフト112の角軸部112a外面とファンシャフト217の角孔217a内面との衝突による異音および振動の発生を防止できる。
一方、被加工材に対して穴開け作業を行う場合のように、ドリルビット119に負荷が作用する負荷状態では、ファンシャフト217に回転抵抗(負荷)が作用し、この回転抵抗によって弾性リング151がアーマチュアシャフト112に対して周方向に相対滑りを生じ、これによって角孔217aと角軸部112aとの嵌合部における隙間Cが無くなり、角孔217aの内面と角軸部112aの外面が周方向において接触(当接)する。すなわち、ドリルビット119に負荷が作用する負荷状態では、角孔217aの内面と角軸部112aの外面との周方向の接触を介してトルク伝達が行なわれるため、駆動モータ111からのトルクをアーマチュアシャフト112からファンシャフト217へと確実に伝達することができる。
また本実施の形態によれば、低トルク伝達用としての弾性リング151によるトルク伝達経路を設けたことによって、高トルク伝達用としての嵌め合い結合部における周方向の隙間Cにつきシビアに設定する必要がない。このため、嵌め合い結合部の形状を角軸部112aと角孔217aからなる簡単な形状とすることができる。このため、加工が容易となり、シビアな隙間の要請に対応するべく採用している従来のスプライン構造に比べて加工コストを低減できる。
また本実施に形態における集塵ユニット203の集塵ファンケーシング213は、駆動モータ111の軸線と平行な複数のネジ233によって外周縁部を互いに分離可能に接合された第1ファンケーシング213aおよび第2ファンケーシング213bから構成されている。第1ファンケーシング213aには軸受225が取り付けられ、この軸受225によってモータ111のアーマチュアシャフト112の先端(前端)およびファンシャフト217の後端がそれぞれ回転自在に支持される構成としている。すなわち、軸受225の内輪における軸方向の後側領域にはアーマチャシャフト112の先端部が嵌め込まれ、前側領域にはファンシャフト217の後端部が引き抜き可能に嵌め込まれている。なおアーマチュアシャフト112の後端部は、モータハウジング105の後端部に設けた軸受227によって回転自在に支持されている。またアーマチュアシャフト112上には、駆動モータ111を冷却する冷却ファン147が設けられている。
第1ファンケーシング213aは、モータハウジング105の前側の軸方向端面に対し図示省略のインロー式の嵌め合い部を介して突合せ状に嵌合されるとともに、周縁部の複数箇所がモータハウジング105に対してネジ235によって接合されている。なお第1ファンケーシング231aの外周部に設けたバッグ取付部229には、ダストバッグ207が着脱自在に装着される。第2ファンケーシング213bは、ギアハウジング107の後側の軸方向端面に対しインロー式の嵌め合い部を介して突合せ状に嵌合されるとともに、周縁部の複数箇所がギアハウジング107に対してネジ(図示省略)によって接合されている。
上記のように、本実施の形態では、集塵ユニット203における集塵ファンケーシング213を、第1ファンケーシング213aと第2ファンケーシング213bから形成するとともに、両ファンケーシング213a,213bをネジ233によって互いに着脱自在に接合する構成としている。このため、ネジ233を取り外して第1ファンケーシング213aと第2ファンケーシング213bを分離することにより、ハンマドリル101を軸方向に2分割することができるとともに、集塵ファン211を露出することができる。このため、集塵ファン211の交換あるいは保守点検、あるいは集塵室215内の掃除を容易に行うことができ、作業性が向上する。
この場合、本実施の形態では、ファンシャフト217は、駆動モータ111のアーマチュアシャフト112から分離可能とされるとともに、モータ側およびギア側の各軸受225,219からそれぞれ引き抜き可能とされている。このため、ファンシャフト217を集塵ファンケーシング213から取り外した状態で、当該ファンシャフト217に対する集塵ファン211の着脱作業を行うことが可能となり、当該着脱作業の作業性がより向上する。
またファンシャフト217に一体に設けられた駆動ギア121は、摩耗に応じて交換する場合がある。この場合、本実施の形態では、ファンシャフト217がアーマチュアシャフト112から分離する構成のため、当該ファンシャフト217を含めた駆動ギア121の交換で済み、駆動モータ111ごと交換するといった無駄を省くことができる。
なお本実施の形態では、アーマチュアシャフト112とファンシャフト217との嵌め合い結合構造において、高トルク伝達用としての角孔217aと角軸部112aとの嵌め合い結合部につき、これを六角形としたが、六角形以外の角形状であっても差し支えなく、また角孔217aと角軸部112aとの嵌め合い結合に変えてスプライン結合を採用してもよいし、あるいはキーとキー溝のような凸部と凹部とによる結合構造を採用してもよい。また低トルク伝達用として設けられる弾性リング151については、軸自体に一体に形成する態様であってもよい。例えば、アーマチュアシャフト112の先端部(前端部)にファンシャフト217の孔内周面に対して径方向に弾発力を付与した状態で接触する径方向に弾性変形可能な弾性接触領域を設定する態様、あるいはファンシャフト217の一端部(後端部)にアーマチュアシャフト112の軸外周面に対して径方向に弾発力を付与した状態で接触する径方向に弾性変形可能な弾性接触領域を設定する態様等である。また本実施の形態では、ファンシャフト217に孔側部材としたが、アーマチュアシャフト112を孔側部材としてもよい。
また上述した実施の形態では、電動工具として集塵ハンマドリル101を例にとって説明しているが、集塵ハンマドリル101に限るものではなく、アーマチュアシャフト112に被動軸が分離可能に結合される構成の電動工具であれば、適用可能である。
本発明の実施形態に係る集塵ハンマドリルの全体構成を示す側断面図である。 図1のA部拡大図である。 図2のIII−III線断面図である。 図2のIV−IV線断面図である。
101 ハンマドリル(電動工具)
103 本体部
105 モータハウジング
107 ギアハウジング
107a インナハウジング
109 グリップ
111 駆動モータ
112 アーマチュアシャフト
112a 角軸部
112b 丸軸部
113 運動変換機構
114 動力伝達機構
115 打撃要素
117 トリガ
119 ドリルビット(先端工具)
121 駆動ギア(ギア)
123 被動ギア
124 係合部材
125 回転軸
126 ボールベアリング
127 回転体
128 揺動ロッド
129 揺動リング
131 第1伝達ギア
133 第2伝達ギア
135 スリーブ
137 ツールホルダ
141 シリンダ
143 ストライカ
145 インパクトボルト
147 冷却ファン
151 弾性リング
151a 取付部
151b 凹凸部
201 集塵装置
203 集塵ユニット
207 ダストバック
211 集塵ファン
213 集塵ファンケーシング
213a 第1ファンケーシング
213b 第2ファンケーシング
217 ファンシャフト
217a 角孔
217b 丸孔
219 軸受
225 軸受
227 軸受
229 バッグ取付部
233 ネジ
235 ネジ

Claims (3)

  1. モータと、
    前記モータのモータ軸によって駆動される被動軸と、
    前記被動軸を介して駆動され、被加工材に所定の加工作業を遂行する先端工具と、を有する電動工具であって、
    前記モータ軸と前記被動軸は、当該モータ軸または前記被動軸のいずれか一方の軸に形成された軸方向に延びる孔に他方の軸が嵌合する構成とされ、
    前記孔と軸の嵌合領域には、前記モータのトルクを前記モータ軸から前記被動軸に伝達する第1および第2のトルク伝達経路が設けられ、
    前記第1のトルク伝達経路は、前記孔と軸の嵌合領域において、前記モータ軸と前記被動軸が径方向に弾発力を与えられた状態で常時に接触することでトルクを伝達するとともに、前記被動軸に所定の回転抵抗が作用したときに接触部位が周方向に相対移動する構成とされ、
    前記第2のトルク伝達経路は、前記孔と軸の嵌合領域において、前記第1のトルク伝達経路における接触部位に周方向の相対移動が生じたとき、前記モータ軸と前記被動軸が周方向において互いに接触することでトルクを伝達する構成とされており、
    前記被動軸は、前記モータ軸に対して分離可能とされるとともに、前記先端工具による加工作業時に発生する加工屑を吸い込んで所定箇所に収集する集塵ファンを有することを特徴とする電動工具。
  2. 請求項1に記載の電動工具であって、
    前記被動軸は、当該被動軸のトルクを前記先端工具側へと伝達するギアを有することを特徴とする電動工具。
  3. 請求項1または2に記載の電動工具であって、
    前記第1のトルク伝達経路は、前記孔と軸の嵌合領域において、前記モータ軸と前記被動軸間に介在された径方向に弾性変形可能な中間部材によって構成され、前記第2のトルク伝達経路は、前記嵌合領域において、互いに嵌り合う角孔と角軸部とによって構成されていることを特徴とする電動工具。
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