以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、以下に実施形態の電子楽器の構造について説明するに際し、前後方向もしくは手前側及び奥側、あるいは左右(横)方向というときは、後述する電子打楽器1の演奏者側から見た前後方向もしくは手前側及び奥側、あるいは左右(横)方向を指すものとする。
この実施形態の電子楽器は電子打楽器であり、図10及び図11は実施形態の電子打楽器1を示す図である。図10は電子打楽器1の平面図、図11(A) は電子打楽器1の側面図、図11(B) は後述するパッドの概略断面図である。電子打楽器1は、卓上型の電子楽器であり、概略平板形状に形成されたケース2に収容されている。ケース2の上面の奥側には、複数のパッドP1〜P12で構成された演奏操作部10が配置されており、手前側の角部にはパネル面31を備えた設定操作部30が配置されている。また、図11(A) に示すように、ケース2の後面には、電源接続用あるいは外部機器接続用の複数の端子を備えた端子部3が設けられている。
演奏操作部10は、ケース2の上面を覆うように配置されている。演奏操作部10は、外形が略長方形状で、演奏者側(手前側)から見た前後方向と左右方向に沿って格子状に区画されており、各区画にそれぞれ一つのパッドP1〜P12が配置されている。本実施形態では、演奏操作部10は、前後方向が4区画(4列)、左右方向が3区画(3列)に分割されており、合計12個のパッドP1〜P12が配置されている。
パッドP1〜P12のうち、奥側の横一列に配列された3個のパッドP1,P2,P3と、手前側の横一列に配列された3個のパッドP10,P11,P12はいずれも、図10に示すように、外形が横長の長方形状であり、かつ、図11(A) に示すように、打面Vが左右方向を軸方向とする円筒面状に隆起した立体形状を有している。6個のパッドP1〜P6はいずれも、図10に示すように、外形が略正方形状で、かつ、図11(A) に示すように、打面Vが平面形状を有している。
平面部のパッドP4〜P9は、それらの打面Vが演奏者側を向くようにケース2の手前側に向かって若干下降する傾斜状態で配置されている。そして、奥側3個のパッドP4〜P6は手前側のパッドP7〜P9よりも傾斜角度が大きくなり、奥側3個のパッドP4〜P5と手前側のパッドP7〜P9との間には段差が設けられている。これにより、演奏者がパッドの位置を視認し易くなるとともに、演奏操作性が向上する。パッドP1〜P3,P10〜12は、円筒面状に隆起した打面Vをスティックの腹部分で打撃する演奏操作(リムショット等)に適している。また、パッドP4〜P9は平面形状の打面Vをスティックの先端で打撃する演奏操作に適している。なお、パッドP1〜P12に対する演奏操作はスティックによる打撃に限らず、手など身体の一部で行う打撃でも良いし、ミュート奏法やチョーク奏法に対応して、打撃以外に手などで押さえる操作でもよい。
以下の説明で、12個のパッドP1〜P12を区別しない場合など、符号の「1〜12」は適宜省略する。パッドPの打面は、図11(B) に示すように、ゴムなどの弾性材料からなるシート状の表面材21で構成されている。隣接するパッドPの間には、格子状の溝部12が設けられており、これにより各パッドP1〜12が区画されている。また、表面材21の裏側には、ゴムなどからなる平板状の弾性部材25が配置されており、弾性部材25の下面には、補強板(パッドボディ)23の上に載置された接触センサ(シートスイッチ)22が設けられている。接触センサ22はシート状の感圧センサであり、演奏者による打面Vへの押さえ操作や、打撃位置を検出することができる。
また、接触センサ22を載置している補強板23の下面側には、パッドPの上面側から延びた表面材21の端辺21aが巻き込まれた状態で敷設されている。これにより、補強板23が演奏操作部10の下方に配置した基部24(ケース2の一部などで構成されている)上に表面材21の端辺21aを介して弾性的に支持されている。補強板23の下面側には、補強板23に対して面接触する小板状に形成された打撃センサ26が配置されている。打撃センサ26には、パッドPの打撃による振動を検出して電気信号を出力可能なピエゾ素子などが用いられている。打撃センサ26は、補強板23の下面にピエゾテープ(クッション材)26aで貼付されており、パッドPに対する打撃操作が行われた場合の打撃強さを検出することができる。
図10に示すように、設定操作部30のパネル面31には、カーソルスイッチや入力スイッチなどからなる各種操作キー32、ボリューム設定用の摘み33、液晶パネルからなる表示部34、いずれのパッドPが操作されたかを点灯表示するLED35などが配列されている。また、パネル面31の近傍には、演奏音などの各種音声を出力するためのスピーカが内蔵された音声出力部(図示せず)も配置されている。表示部34は、各種の設定操作を行うための操作画面を表示するものである。
図1は実施形態の電子打楽器1における要部機能構成を示す図、図2は実施形態におけるドラムマップ、キットMIDI及びクリックマップの詳細を示す図、図3は実施形態の電子打楽器1のブロック図である。まず、図3に示すように、この実施形態の電子打楽器1は、制御部を構成するCPU1a、ROM1b,RAM1c、タイマ1dを備えている。また、前記各パッドP1〜P12とこのパッドパッドP1〜P12における接触センサ22及び打撃センサ26からなる演奏操作子1e、前記各種操作キー32及び摘み33等からなる設定操作子1f、前記表示部34及びLED35からなる表示装置1g、音源1h、サウンドシステム1i、記憶装置1j、インターフェース1kを備えている。
記憶装置1jはフラッシュROMからなる記憶手段であり、後述のドラム音やクリック音の情報を設定するドラムキットの複数からなるキットセットのデータ等が記憶される。インターフェース1kは前記の端子部3を介して接続される外部機器1mとの間でデータの授受を行うものである。また、端子部3は、図1に示すように外部機器1mから例えばクリック信号を含む演奏情報等を入力するMIDI入力端子、外部機器1mにクリック信号等を出力するMIDI出力端子を備えている。なお、演奏情報は「イベント情報」としてのMIDIイベント(MIDIメッセージ)の列で構成される。また、端子部3はドラムセットのドラムパッド、コントローラ、フットスイッチなどの外部要素を接続する外部トリガー入力端子を備えている。なお、パッドP1〜P12、外部トリガー入力端子(あるいはこれに接続される外部要素)の個々のトリガー信号を出力するものを「パッドソース」という。
CPU1aはROM1bに格納されている制御プログラムに基づいてRAM1cのワーキングエリアを使用して全体の制御を行う。例えば、CPU1は、表示装置1gの表示部34の表示の制御を行うとともに、設定操作子1fの操作を検出し、設定操作子1fの操作イベントに応じた処理を行う。これにより、ユーザの操作により後述のドラムキットの選択、ドラムキット内のドラムマップ、キットMIDI及びクリックマップの設定データの編集など、各種の設定処理に関する制御を行う。
また、CPU1は、設定操作子1fの所定のスイッチでクリックスタート指示がなされるとクリック音を自動的に発生する「クリックスタートモード」となる。クリックスタートモードでは、記憶装置1jのクリックマップを参照してクリックパートのデータを読み出し、クリック音に対応する音源パラメータを生成する。そして、音源パラメータを音源1hに出力し、サウンドシステム1iでクリック音を発生する。また、CPU1は、設定操作子1fの所定のスイッチで外部入力演奏の指示がなされると「外部入力演奏モード」になり、この外部入力演奏モードでは、MIDI入力端子から入力される演奏情報に基づいて演奏(自動演奏)を行う。そして、この外部入力演奏モードでは、演奏情報の各MIDIイベントのMIDIチャンネルの情報、ノート番号等に応じてドラムマップ、キットMIDIあるいはクリックマップを参照し、ドラムボイス、ノーマルボイスあるいはクリック音に対応する音源パラメータを生成し、音源1hに音源パラメータを出力する。これにより、音源1h及びサウンドシステム1iでノーマルボイスとドラムボイスからなる演奏音及びクリック音を発生する。なお、パッドP1〜P12や外部トリガー入力端子のパッドソースで発生するトリガー信号に対しては、ドラムキットの設定内容に応じた音源パラメータを生成し、ドラム音(ドラムボイス)や他の楽器の音(ノーマルボイス)等の各種の演奏音を発生する。
タイマ1dは、クリックスタートモード時や外部入力演奏モード時の割り込み処理を行う割り込み信号等を発生する回路である。また、自動演奏は、上記の外部入力演奏モードでリアルタイムに入力される演奏情報に基づいて行う場合と、記憶装置1j等に記憶した演奏情報を再生する場合がある。この記憶装置1jに演奏情報を記憶する場合は各MIDIイベントに対応するタイミング情報も記録され、タイマ1dはこの記憶装置1jに記憶したMIDIイベントの読み出しタイミング等を規定する割り込み信号も発生する。
以下詳細に説明するように、クリックスタートモードでクリックマップのデータを参照して外部機器に対してクリック信号を出力する機能や、外部入力される演奏情報に基づいてクリックマップのデータを参照してクリック音を発生する機能を、クリックMIDI機能という。
図1に示すように、ドラムキットのデータKit01 ,…は複数のキットによりキットセットを構成している。これらのドラムキットには、複数のプリセットキット(例えば30種類)及び複数のユーザキット(例えば最大200種類)がある。図1に詳細を示すドラムキットは、キットセットからユーザが選択した一つのドラムキットの例を示している。各ドラムキットは、「01〜12」及び「13〜HH」で示す17組のパッド設定データを持っている。「01〜12」は12個のパッドP1〜P12にそれぞれ対応し、「13〜HH」は5つの外部トリガー入力端子に対応している。この実施形態では各パッド設定データは、「01」の例を示すように、A,B,C,Dの4つのレイヤーで構成されている。そして、各レイヤーのそれぞれにノート番号、MIDIチャンネル、ゲートタイム等を割り当てることにより、ドラムボイス(MIDIチャンネルが10chの場合)またはノーマルボイス(MIDIチャンネルが10ch以外の場合)を割り当てることができる。
また、各パッド設定データは、そのパッドソースに共通なパッドソースコモンのデータを持っており、このパッドソースコモンの設定内容に応じて、上記レイヤーにドラムボイスやノーマルボイスを割り当てるようにしたり、打撃時の複数ボイスの同時発音や打撃毎の切り替え発音を行うように設定することができる。また、その他に、ウェーブデータや伴奏パターンなどのパターンデータを設定することもできる。さらに、パッドソースコモンの設定内容により、このパッドに対してコントロールチェンジに関する情報やプログラムチェンジに関する情報を設定することもできる。このような設定により、パッドを打撃することにより、ドラムボイスの発音を行わずに音源や外部機器の瞬時の設定等を行うこともできる。
ドラムキットは、全パッドソース(あるいはパッド設定データ)に共通な、後述のドラムマップのデータ、キットMIDIのデータ、クリックマップのデータ、エフェクトのデータ及びその他のデータをセットとして持っている。なお、エフェクトのデータは、ドラムキット毎に効果のタイプを選択するバリエーション、コーラス、リバーブ、その他各種のデータである。また、その他のデータには、パッドソースのトリガー信号に対する感度設定等を行うトリガーデータ(図示しないトリガーデータ群のデータ)を指定するデータ等が含まれている。
図2に示すように、ドラムマップ(Drum Map)のデータは、ドラムボイスの発音態様に関するデータであり、音名「C♯−1」〜「A♯5」に対応するノート番号毎に、音色名(ボイスを指定する情報)、ボリューム、チューニング、パン(定位)、…等のデータをセットとして持っている。そして、このドラムマップは、パッドソースのレイヤー中のMIDIチャンネルまたは外部入力されるMIDIイベント中のMIDIチャンネルが「10ch」の場合に参照される。このドラムマップのデータは、ユーザによって設定(編集)可能となっている。なお、以下の説明で「C♯−1」等の音名とこれに対応する「15」等のキーコードを同等にノート番号として説明する。このように、ドラムマップは「ドラム音情報記憶手段」の一例であり、音色名、ボリューム、チューニング、パン、…等のデータが「ドラム音情報」に対応する。
キットMIDI(Kit-MIDI)のデータは、ノーマルボイスの発音に関するデータであり、「10ch」以外のMIDIチャンネル「1ch〜9ch、11ch〜16ch」毎に、ボリューム、パン、PC(プログラムチェンジ)、…等のデータをセットとして持っている。そして、このキットMIDIは、パッドソースのレイヤー中のMIDIチャンネルまたは外部入力されるMIDIイベント中のMIDIチャンネルが「10ch」以外の場合に参照され、対応するチャンネルのPCによってノーマルボイスの種類(音色)が決まる。
クリックマップ(CLICK MAP )のデータは、小節内の発音タイミングに対応するアクセント(Acc)、4分音符、8分音符、16分音符及び3連符の5つのクリックパートのデータと、コモン(COMMON)のデータとで構成されている。各クリックパートのデータはノート番号、ボリューム、…等のデータをセットとして持っており、ノート番号はクリック信号であり、ボリュームは発音音量を示すデータである。後述のようにこのボリュームが“0”に設定されているときはそのクリックパートは発音されない。コモンのデータは後述のMIDIイン(MIDI IN )、MIDIアウト(MIDI OUT)、ボイス(VOICE )、…等のデータを持っている。このように、クリックマップは「クリック情報記憶手段」の一例であり、各クリックパートのボリューム、ボイス等が「クリック情報」に対応する。
図4はクリックMIDI機能に関する設定を行う設定画面の一例であり、これらの画面でクリックマップのデータを設定する。図4(A) は外部入力されたMIDIイベントの特定のノート番号をクリック信号として受けるか否かを設定する画面であり、MIDIイン(MIDI IN )のon/offを設定する。MIDIインがonに設定されているときは、外部入力されるMIDIイベントのノート番号が、クリックマップにクリック信号のノート番号として割り当てられているか否かを判断し、割り当てられていればそのMIDIイベントのノート番号をクリック信号として受信する。MIDIインがoffに設定されているときはクリックマップを参照しないで、外部入力されるMIDIイベントのノート番号をドラムボイスあるいはノーマルボイスのノート番号として処理する。
図4(B) は、クリック信号を外部に出力するか否かを設定する画面の例であり、MIDIアウト(MIDI OUT)のon/offを設定する。MIDIアウトがonに設定されているときは、外部機器に対してクリックマップのノート番号をクリック信号として出力し、MIDIアウトがoffに設定されているときは外部機器にクリック信号を出力しない。
図4(C) ,(D) はクリックマップにおけるクリックパートのノート番号を設定する画面の例である。図4(C) はアクセントのクリックパートにノート番号「D♯−1/15」を割り当てた状態であり、図4(D) は4分音符のクリックパートにノート番号「C♯−1/13」を割り当てた状態である。なお、このノート番号は前記設定操作子1fの操作により行うものでありこの設定操作子1f及びこの設定に関するCPU1aの機能が「ノート番号設定手段」に対応する。
図4(E) は全クリックパートの音色を設定する画面の例である。この例ではメトロノームの音色が設定されている例である、この音色は、他にクラベス、カウベル、…等、多数の種類が設定可能である。なお、この例では、全クリックパートの音色が一括して同音色に設定されるようにしているが、クリックパート毎に個別に音色を設定できるようにしてもよい。
図4(F) は各クリックパートの音量を設定する画面であり、この例ではアクセントと4分音符のクリックパートは「音量=9」に設定され、8分音符、16分音符及び3連符のクリックパートは「音量=0」に設定されている。したがって、この例では、アクセントと4分音符のタイミングでメトロノームのクリック音が発音され、8分音符、16分音符及び3連符のタイミングでは発音されない。なお、音量は最小値が「0」、最大値が「9」であり、10ランクの範囲で設定可能である。
以上の構成により、本体パッドP1〜P2や外部トリガー入力端子に接続された外部要素による演奏演奏時の動作は以下のようになる。図1に示すように、本体パッドP1〜P12あるいは外部トリガー入力端子からトリガー信号が入力されると、このトリガー信号はトリガーセットアップ機能により処理され、設定されているトリガーデータにより入力感度等の処理が行われる。そして、このトリガーセットアップ機能で設定された感度に基づいてトリガー入力が検出されると、そのパッドソースに対応するパッド設定データのレイヤーに割り当てられたノート番号、MIDIチャンネル等を読み出す。
そして、MIDIチャンネルが10chの場合は、そのノート番号に対応するドラムマップ中のデータが他のエフェクト等のデータと共に音源パラメータとして音源に与えられる。これにより音源はドラムボイスのデジタル楽音信号を生成する。また、レイヤーのMIDIチャンネルが10ch以外の場合は、ノート番号と、MIDIチャンネルに対応するキットMIDI中のデータが他のエフェクト等のデータと共に音源パラメータとして音源に与えられる。これにより音源はノーマルボイスのデジタル楽音信号を生成する。これらのデジタル楽音信号に対してエフェクト機能で各種効果が付与され、ドラムボイスやノーマルボイスの楽音信号がオーディオ出力される。
設定操作子1fの所定のスイッチの操作によりクリックスタートモードにされると、後述の割り込み処理によりクロックがカウントされ、クリックパートの発音タイミングになるとクリックマップ中の対応するクリックパートのデータが音源パラメータとして音源に与えられる。これによりクリック音の楽音信号が生成されクリック音の楽音信号がオーディオ出力される。また、クリックマップでMIDIアウトがonに設定されている場合は、クリックパート中のノート番号が外部機器にMIDI出力される。
設定操作子1fの所定のスイッチの操作により外部入力演奏モードにされると、後述の割り込み処理によりMIDI入力端子からMIDIイベントの入力(MIDI入力)があるかが監視される。MIDI入力があると、MIDIイベントのMIDIチャンネルが判定され、MIDIチャンネルが10chの場合は、選択されているドラムキットのクリックマップでMIDIインがonとなっているとき、このクリックマップの各クリックパートが参照される。そして、MIDIイベントのノート番号に対応するノート番号が割り当てられているクリックパート(ノート番号に対応するクリックパート)があれば、そのクリックパートのデータが音源パラメータとして音源に与えられる。これによりクリック音の楽音信号がオーディオ出力される。また、クリックマップでMIDIアウトがonとなっている場合は、クリックパート中のノート番号が外部機器にMIDI出力される。
MIDIイベントのMIDIチャンネルが10chで、MIDIイベントのノート番号に対応するクリックパートがない場合またはMIDIインがoffの場合は、入力されたMIDIイベントのノート番号に対応するドラムマップ中のデータが他のエフェクト等のデータと共に音源パラメータとして音源に与えられる。これによりドラムボイスの楽音信号がオーディオ出力される。また、MIDI入力されたMIDIイベントのMIDIチャンネルが10chでない場合は、MIDIイベントのノート番号と、MIDIチャンネルに対応するキットMIDI中のデータが他のエフェクト等のデータと共に音源パラメータとして音源に与えられる。これによりノーマルボイスの楽音信号がオーディオ出力される。
図5は実施形態に係るメイン処理のフローチャート、図6は演奏関連受付処理(サブルーチン)のフローチャート、図7設定操作子受付処理(サブルーチン)のフローチャート、図8はクリックスタートモード時の割り込み処理のフローチャート、図9は外部入力演奏モード時の割り込み処理のフローチャートである。図5のメイン処理は電子打楽器1の電源オンにより開始され、ステップS1で初期化し、ステップS2で図6の演奏関連受付処理を行い、ステップS3で図7の設定操作子受付処理を行う。ステップS4では演奏操作子(パッド等)の操作受付により発音処理を行い、ステップS2に戻る。
図6の演奏関連受付処理はクリックスタートモードや外部入力演奏モードを開始するための所定のスイッチの受付に関する処理であり、ステップS11〜S14でスタートストップの指示を判定し、ステップS15〜S18でフラグのセット/リセットを行う。クリックスタートの指示ではAフラグを“1”(クリックスタートモード開始)に、クリックストップの指示であればAフラグを“0”(クリックスタートモード終了)にする。外部入力演奏スタートの指示であればBフラグを“1”(外部入力演奏モード開始)に、外部入力演奏ストップの指示であればBフラグを“0”(外部入力演奏モード終了)にする。ステップS19ではその他の指示に対する処理を行う。
図7の設定操作子受付処理では、ステップS21で設定操作子の入力がなければそのままメインルーチンに復帰し、設定操作子の入力があればステップS22以降で入力設定の内容に応じた処理を行う。ステップS22でクリックMIDI機能の設定に関する操作であれば、ステップS23でクリックMIDI設定画面を表示する。そして、ステップS24〜S33で、それぞれの指示内容に応じて、MIDIイン、MIDIアウト、対象クリックパートのノート番号、ボイス、対象クリックパートの音量の設定を行う。そして、ステップS34で、その他の変更を行い、変更指示のあった内容を記憶装置1jに設定記憶する。ステップS35は、その他の入力受付やその他の指示に対応する処理である。
次に、図8のクリック発音処理及び図9の外部入力演奏処理について説明するが、これらの処理では、現在選択されているドラムキットのデータを参照するものであり、クリックマップ、ドラムマップ及びキットMIDI等はそのドラムキットのデータである。また、図8及び図9の処理は所定間隔の割り込み処理により実行される。なお、図8のクリック発音処理では、例えば4分の4拍子で1小節あたり96クロックなどの所定分解能のクロックをタイムペースとして処理をし、このクロックをカウントしてタイミングを判定する。
図8において、クリックスタートモード時には、ステップS41でAフラグが“1”であり、ステップS42以降の処理を行う。そして、ステップS42で、現在のタイミングがクリックマップ中のクリックパートの発音タイミングであれば、ステップS43でそのクリックパートの情報(ボリューム等)をボイスのデータと共に音源に出力する。したがって、そのクリックパートのボリュームが“0”でなければクリック音が発音される。また、ステップS44でMIDIアウトがonであれば、クリックマップ中の現タイミングに対応するクリックパートのノート番号をクリック信号として外部に出力する。
図9において、外部入力演奏モード時には、ステップS51でBフラグが“1”であり、ステップS52以降の処理を行う。そして、ステップS52でMIDIイベントの入力(メッセージ受信)がなければそのまま元のルーチンに復帰し、MIDI入力があればステップS53以降の処理を行う。ステップS53でMIDIイベントのMIDIチャンネルが10chでなければ、ステップS54で、キットMIDI中の該当するMIDIチャンネルの情報(ボリューム、パン、PC情報等)を、MIDIイベントのノート番号と共に、音源に出力する。これにより、ノーマルボイスの発音または消音が行われる。
ステップS53でMIDIイベントのMIDIチャンネルが10chであれば、ステップS55で、クリックマップのコモンのデータ中のMIDIインがonに設定されているかを判定する。MIDIインがonでなければ、ステップS56で、ドラムマップ中の、MIDIイベントのノート番号に対応するドラムボイスの情報(音色名、ボリューム、チューニング、パン等)を音源に出力する。これによりドラムボイスの発音が行われる。MIDIインがonであれば、ステップS57で、クリックマップ中にMIDIイベントと同じノート番号が割り当てられた(設定された)クリックパートが有るかを判定し、なければステップS56で上記ドラムボイスの発音の処理を行う。MIDIイベントと同じノート番号が割り当てられたのクリックパートがあれば、その該当するノート番号に対応するクリックパートの情報(ボリューム等)をボイスのデータと共に音源に出力する。これにより、クリック音が発音される。
次に、ステップS59で、クリックマップのコモンのデータ中のMIDIアウトがonに設定されているかを判定する。onでなければそのまま元のルーチンに復帰し、onであれば、ステップS60で、上記発音したクリック音に該当するクリックパートのノート番号をクリック信号として外部に出力する。
ここで、外部入力される演奏情報において、クリック信号に対応するMIDIイベントはMIDIチャンネルが10chであり、ノート番号は通常ドラムボイスに使用しないノート番号、例えばこの演奏情報を作成した外部機器等で決められているクリック音のノート番号とされる。例えば4分音符のクリック信号のノート番号が「C♯−1」に決められていれば、10chでノート番号=「C♯−1」のMIDIイベントが4分音符のタイミングで通信される。したがって、本電子打楽器1において、図4(D) のようにクリックマップ中の4分音符のクリックパートのノート番号として「C♯−1」を割り当てておけば、当該電子打楽器1においても、4分音符のタイミングでボイスの設定に応じたクリック音が発音される。また、クリックスタートモードや外部入力演奏モードにおいて、MIDIアウトがonの場合、外部に出力されるクリック信号のノート番号も外部機器に対応したものとすることができる。
このように、クリックマップ中の各クリックパートにノート番号をユーザが任意に割り当てることができるので、外部機器の状態に合わせてノート番号を割り当てることにより、外部から入力される演奏情報中のクリック信号に対して適正なパラメータでクリック音を発生することができる。また、MIDIインのon/offの設定に応じて、外部機器から入力する演奏情報のMIDIイベントをクリック信号として受け取るか、通常のドラムボイスとして受け取るかを設定、変更することもできる。したがって、MIDIイン=offに設定して外部入力演奏を行えば、外部機器の設定状態と当該電子打楽器1の設定状態とを比較することが容易になるので、クリックマップのノート番号の設定変更するときの情報として役に立つ。
上記実施形態では、外部機器にクリック信号を出力するとき、クリックマップ中の全てのクリックパートに対応して出力できるようにしているが、たとえば、アクセントと4分音符のクリックパートのクリック信号のみ外部機器に出力するようにしてもよいし、各クリックパート毎に外部出力用のフラグを設けておき、このフラグのon/off等により各クリックパート毎に個別に外部出力の可否を設定できるようにしてもよい。
実施形態では、パッドを有する打楽器型の電子楽器について説明したが、本発明は鍵盤楽器等、他の電子楽器にも適用できることはいうまでもない。