JP5428520B2 - Led素子およびled素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、LED素子およびLED素子の製造方法に関する。
近年、たとえば、液晶テレビ、パーソナルコンピュータのディスプレイ、携帯電話機、カーナビゲーションおよびPDA(Personal Digital Assistant)等において、画像を表示するための液晶ディスプレイが広く採用されている。
この液晶ディスプレイには、液晶表示パネルの裏面側から光を照射して表示画面の輝度を高めるためのバックライトが採用されている。
液晶ディスプレイのバックライトとしては、従来から、冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)などの蛍光管を利用したバックライトが用いられてきたが、現在ではその代替品として、LED(Light Emitting Diode)素子を利用したバックライトが注目されている。
CCFLなどの蛍光管を利用したバックライトにおいては、バックライトを点灯する際に高い電圧を必要とするとともに、蛍光管の点灯および消灯を頻繁に繰り返した場合にはその寿命が短くなるという問題があった。
一方、LED素子を利用したバックライトにおいては、CCFLなどの蛍光管を利用したバックライトと比べて、低電圧で駆動させることができ、消費電力が少なく、寿命が長くなるなどの優れた特性が期待できる。
特に、光の3原色(赤色、緑色および青色)のLED素子を利用したバックライトにおいては、光の3原色に近い波長から白色光を得るため、CCFLなどの蛍光管を利用したバックライトと比べて色の自由度が高まるという特性を得ることができるとされている。
上記のLED素子は発光する際に発熱するため、その熱を外部に放熱するためのヒートシンク(放熱基板)を別に準備して、LED素子にヒートシンクを共晶半田で貼り合わせることが行なわれている(たとえば、非特許文献1参照)。
坂東 完治,「わが社のLEDの高効率化・高性能化技術」,月刊ディスプレイ,2005年2月号,p.51〜p.57
しかしながら、非特許文献1に記載された方法においては、LED素子とヒートシンクとを共晶半田で貼り合わせているが、共晶半田の厚みとしては一般的に数百μm程度の厚みが必要であるため、共晶半田自体が熱抵抗となってしまい、LED素子において発生した熱が効率的にヒートシンクを通して外部に放出されないという問題があった。
また、非特許文献1に記載された方法においては、共晶半田の濡れ性を確保するために、LED素子の表面やヒートシンクの表面にめっきなどが必要となることから、製造コストが高くなるという問題もあった。
さらに、上記の問題はLED素子に限られる問題ではなく、LED素子を含む半導体デバイス全体の問題でもあった。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、熱を効率的に外部に放出することができるとともに、製造コストを抑えることができるLED素子およびLED素子の製造方法を提供することにある。
本発明は、LED構造体と、LED構造体上に設置されたヒートシンクとを備え、ヒートシンクは、高熱伝導率層と低熱膨張率層と高熱伝導率層とがこの順序で積層された積層構造体、または低熱膨張率層と高熱伝導率層と低熱膨張率層とがこの順序で積層された積層構造体を含み、高熱伝導率層の熱伝導率が200W/(m・K)以上であり、低熱膨張率層の線膨張率が8×10-6(1/K)以下であって、積層構造体の厚み方向の中央部から上方の部分と積層構造体の厚み方向の中央部から下方の部分とが積層構造体の厚み方向の中央部に関して対称となっており、LED構造体とヒートシンクとの間にLED構造体およびヒートシンクのそれぞれに接する導電層を備え、導電層は、金、銀、銅およびニッケルからなる群から選択される1種からなるLED素子である。
また、本発明は、上記のLED素子を製造する方法であって、LED構造体上に導電層を形成する工程と、導電層上に高熱伝導率層を形成する工程と、高熱伝導率層上に低熱膨張率層を形成する工程と、低熱膨張率層上に高熱伝導率層を形成する工程とを含む半導体デバイスの製造方法である。
また、本発明は、上記のLED素子を製造する方法であって、LED構造体上に導電層を形成する工程と、導電層上に低熱膨張率層を形成する工程と、低熱膨張率層上に高熱伝導率層を形成する工程と、高熱伝導率層上に低熱膨張率層を形成する工程とを含むLED素子の製造方法である。
また、本発明のLED素子の製造方法においては、高熱伝導率層および低熱膨張率層の少なくとも1層を溶融塩浴の電解により形成することが好ましい。
本発明によれば、熱を効率的に外部に放出することができるとともに、製造コストを抑えることができるLED素子およびLED素子の製造方法を提供することができる。
本発明の半導体デバイスの一例であるLED素子の一例の模式的な断面図である。 図1に示す構成のLED素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。 図1に示す構成のLED素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。 図1に示す構成のLED素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。 図1に示す構成のLED素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。 図1に示す構成のLED素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。 図1に示す構成のLED素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な構成図である。 図1に示す構成のLED素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な構成図である。 図1に示す構成のLED素子の製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な構成図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
<半導体デバイスの構成>
図1に、本発明の半導体デバイスの一例であるLED素子の一例の模式的な断面図を示す。ここで、図1に示すLED素子は、ヒートシンク1と、ヒートシンク1上に設置されたLED構造体10とを備えており、ヒートシンク1とLED構造体10とは導電層21によって接合された構成を有している。
ここで、ヒートシンク1は、高熱伝導率層2と低熱膨張率層3と高熱伝導率層2とがこの順序で積層された積層構造体から構成されている。
また、LED構造体10は、半導体基板14と、半導体基板14上に設置されたn型半導体層13と、n型半導体層13上に設置された活性層12と、活性層12上に設置されたp型半導体層11と、p型半導体層11上に設置された半透明電極17と、半透明電極17上に設置されたp電極15と、n型半導体層13上に設置されたn電極16とを備えている。
ヒートシンク1を構成する高熱伝導率層2としては、25℃における熱伝導率が200W/(m・K)以上の層を用いることが好ましい。高熱伝導率層2として、25℃における熱伝導率が200W/(m・K)以上の層を用いた場合には、LED構造体10で発生した熱をヒートシンク1を通して効率的に外部に放出することができる傾向が大きくなるためである。
なかでも、ヒートシンク1の放熱性を高くする観点からは、高熱伝導率層2としては、銅、アルミニウム、銀、金およびダイヤモンドからなる群から選択された少なくとも1種を含む層を用いることが好ましく、なかでも銅またはアルミニウムのいずれかの単層を用いることがより好ましい。
また、ヒートシンク1を構成する低熱膨張率層3としては、線膨張率が8×10-6(1/K)以下の層を用いることが好ましい。低熱膨張率層3として、線膨張率が8×10-6(1/K)以下の層を用いた場合には、LED構造体10で発生した熱によるヒートシンク1の変形を抑制することができる傾向が大きくなる。
なかでも、ヒートシンク1の熱による変形を抑える観点からは、低熱膨張率層3としては、モリブデン、タングステン、ニッケルおよび鉄からなる群から選択された少なくとも一方を含む層を用いることが好ましく、なかでもモリブデン若しくはタングステンのいずれか、またはニッケル−タングステン合金若しくはニッケル−鉄合金のいずれかの単層を用いることがより好ましい。
また、ヒートシンク1の反りを抑制するため、ヒートシンク1を構成する積層構造体の厚み方向の中央部(この例では、低熱膨張率層3の厚さh2の1/2の部分)から上方の部分と積層構造体の厚み方向の中央部から下方の部分とが積層構造体の厚み方向の中央部に関して対称となっている。なお、対称とは、ヒートシンクを構成する積層構造体の厚み方向の中央部から上端面までを鉛直方向の上方に進む場合に現れる層の材質と厚さとが、ヒートシンクを構成する積層構造体の厚み方向の中央部から下端面までを鉛直方向の下方に進む場合と同等程度(対応する層の厚さの差の絶対値が5μm以下)であることを意味する。
また、低熱膨張率層3の厚さh2は、高熱伝導率層2の厚さh1よりも厚くなっていることが好ましい。低熱膨張率層3の厚さh2を高熱伝導率層2の厚さh1よりも厚くすることによって、熱の放熱性に優れる特性と熱による変形を抑制できる特性とをともに高いレベルで兼ね備えたヒートシンク1を得ることができる傾向が大きくなる。
また、ヒートシンク1の全体の厚さ(この例では、高熱伝導率層2の厚さh1と低熱膨張率層3の厚さh2と高熱伝導率層2の厚さh1との総和)は0.2mm以下であることが好ましく、0.1mm以下であることがより好ましい。ヒートシンク1の全体の厚さが0.2mm以下である場合、特に0.1mm以下である場合には、材料コストを低減することができるとともに、その薄さによりヒートシンク1の切断などの加工性も向上するために非常に有用な効果が得られる傾向が大きくなる。
また、高熱伝導率層2の厚さh1と低熱膨張率層3の厚さh2とは、以下の関係式(1)を満たすことが好ましい。
5≦100×(h1)/(h1+h2)≦70 …(1)
高熱伝導率層2の厚さh1と低熱膨張率層3の厚さh2とが上記の関係式(1)を満たす場合には、熱の放熱性に優れる特性と熱による変形を抑制できる特性とをともに高いレベルで兼ね備えたヒートシンク1を得ることができる傾向が大きくなる。
また、導電層21としては、共晶半田よりも熱伝導率が高い導電性の物質からなる層を用いることができ、たとえば、電気抵抗が低く、熱伝導率が高く、かつ酸化しにくい金属を用いることが好ましく、なかでも、金、銀、銅およびニッケルからなる群から選択された少なくとも1種を含む層を用いることがより好ましい。
ここで、導電層21の厚さh3は、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。導電層21の厚さh3が0.1mm以上0.5mm以下である場合には、後工程において、製品を切断する際の加工コストを抑えることができる。
<半導体デバイスの製造方法>
以下、図2〜図9を参照して、図1に示す構成のLED素子の製造方法の一例について説明する。
まず、図2の模式的断面図に示すように、半導体基板14の表面上に導電層21を形成する。ここで、導電層21は、たとえば、スパッタ法、無電解めっき、蒸着または導電性物質の塗布などにより形成することができる。
次に、図3の模式的断面図に示すように、導電層21の表面上に高熱伝導率層2を形成する。ここで、高熱伝導率層2は、たとえば以下のようにして形成することができる。
まず、図7の模式的な構成図に示すように、導電層21の形成後の半導体基板14および対向電極6をそれぞれ、容器7に収容された電気めっき液9中に浸漬させる。ここで、対向電極6としては、導電性の電極であれば特に限定なく用いることができ、たとえば、金属からなる電極などを用いることができる。
そして、導電層21を陰極にするとともに、対向電極6を陽極として、導電層21と対向電極6との間に電圧を印加することによって電気めっき液9を電解して、電気めっき液9中の高熱伝導率層2を構成する金属を導電層21の表面上に堆積させる。これにより、導電層21の表面上に高熱伝導率層2を形成することができる。
ここで、電気めっき液9としては、高熱伝導率層2を構成する金属原子を含んでおり、高熱伝導率層2を構成する金属を電気めっき液9の電解により析出させることができるものであれば特に限定はされないが、たとえば高熱伝導率層2が銅から構成される場合には、電気めっき液9としてたとえば市販の硫酸銅めっき液などを用いることができる。
また、高熱伝導率層2の形成後の半導体基板14は電気めっき液9から取り出され、たとえばイオン交換水などによって高熱伝導率層2に付着している電気めっき液9が洗って除去されるとともに、その後、たとえば所定の酸で洗うことによって、高熱伝導率層2の表面に形成された酸化膜を除去することができる。
次に、図4の模式的断面図に示すように、高熱伝導率層2の表面上に低熱膨張率層3を形成する。ここで、低熱膨張率層3は、たとえば以下のようにして形成することができる。
まず、図8の模式的構成図に示すように、低熱膨張率層3を構成する金属原子を含む溶融塩浴8を容器7に収容する。
なお、溶融塩浴8としては、低熱膨張率層3を構成する金属原子を含んでおり、低熱膨張率層3を構成する金属を溶融塩浴8の電解により析出することができるものであれば特に限定はされないが、低熱膨張率層3がたとえばタングステンから構成される場合の溶融塩浴8の好ましい構成については後述する。
次に、容器7に収容された溶融塩浴8中に、上記の高熱伝導率層2の形成後の半導体基板14および対向電極6をそれぞれ浸漬させる。
次に、導電層21を陰極にするとともに、対向電極6を陽極として、導電層21と対向電極6との間に電圧を印加して溶融塩浴8を電解することによって、溶融塩浴8中の低熱膨張率層3を構成する金属が高熱伝導率層2の表面上に堆積して低熱膨張率層3を形成する。
そして、低熱膨張率層3の形成後の半導体基板14が溶融塩浴8から取り出され、たとえばイオン交換水などによって低熱膨張率層3に付着している溶融塩浴8が洗われて除去されるとともに、その後、たとえば所定の酸で洗うことによって、低熱膨張率層3の表面に形成された酸化膜を除去する。
次に、図5の模式的断面図に示すように、低熱膨張率層3の表面上に高熱伝導率層2を形成する。ここで、高熱伝導率層2は、たとえば以下のようにして形成することができる。
まず、図9の模式的な構成図に示すように、低熱膨張率層3の形成後の半導体基板14および対向電極6をそれぞれ、容器7に収容された電気めっき液9中に浸漬させる。
次に、導電層21を陰極にするとともに、対向電極6を陽極として、導電層21と対向電極6との間に電圧を印加することによって電気めっき液9を電解して、電気めっき液9中の高熱伝導率層2を構成する金属を低熱膨張率層3の表面上に堆積させる。以上により、低熱膨張率層3の表面上に高熱伝導率層2を形成することができる。
そして、高熱伝導率層2の形成後の半導体基板14は電気めっき液9から取り出され、たとえばイオン交換水などによって高熱伝導率層2に付着している電気めっき液9が洗って除去されるとともに、その後、たとえば所定の酸で洗うことによって、高熱伝導率層2の表面に形成された酸化膜を除去することができる。
次に、上記のようにしてヒートシンク1を形成した後の半導体基板14をたとえばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置内にセットした後に、たとえば図6の模式的断面図に示すように、ヒートシンク1の形成側とは反対側の半導体基板14の表面上に、n型半導体層13、活性層12およびp型半導体層11をこの順序でたとえばMOCVD法などによりエピタキシャル成長させる。
その後、n型半導体層13、活性層12およびp型半導体層11の一部をたとえばフォトエッチングなどにより除去した後に、たとえばリフトオフ法などを利用して、p型半導体層11上に半透明電極17およびp電極15を形成するとともに、n型半導体層13上にn電極16を形成する。
そして、たとえば円形回転刃などによって、上記のp電極15およびn電極16の形成後の半導体基板14を切断することによって、図1に示す模式的な断面を有する個々のLED素子に分割する。以上により、図1に示す構成のLED素子を得ることができる。
<作用>
以上のように、本発明においては、従来のように数百μm程度の厚さの共晶半田を用いてヒートシンク1とLED構造体10とを接合する必要がないことから、LED素子の表面やヒートシンクの表面にめっきなどの処理を行なう必要がなく、製造コストを抑えることができるとともに、共晶半田による熱抵抗が存在しないことから熱を効率的に外部に放出することができる。
また、本発明においては、ヒートシンク1を構成する積層構造体の厚み方向の中央部から上方の部分と積層構造体の厚み方向の中央部から下方の部分とが積層構造体の厚み方向の中央部に関して対称となっていることから、ヒートシンク1に反りが発生するのを抑制することができる。これにより、ヒートシンク1に反りが発生することによって、ヒートシンク1が半導体基板14から剥離する等の問題の発生を回避することができ、製造歩留まりが向上し、半導体デバイスの製造コストを低減することができる。
また、本発明においては、従来よりも大幅に厚さを低減したヒートシンクを形成することができることから、ヒートシンク1の材料コストを低減できるとともに、LED素子への分割の際におけるヒートシンク1の切断が容易であるため、加工性が向上する。さらには、ヒートシンク1を非常に薄く形成することによって、LED素子の厚みも低減することができる。
<その他の形態>
なお、ヒートシンク1は、上記の構成に限定されないことは言うまでもなく、高熱伝導率層2と低熱膨張率層3と高熱伝導率層2とがこの順序で積層された積層構造体を含むもの、または低熱膨張率層3と高熱伝導率層2と低熱膨張率層3とがこの順序で積層された積層構造体を含むものであれば特には限定されない。
また、ヒートシンク1は、上記の3層の構造に限定されるものではなく、たとえば5層などの3層以外の構造であってもよい。
また、ヒートシンク1の好ましい構成としては、たとえば図1に示すように、高熱伝導率層2と低熱膨張率層3と高熱伝導率層2とがこの順序で積層された3層構造の積層構造体であって、高熱伝導率層2が銅からなる層であるとともに、低熱膨張率層3がタングステンからなる層である構成が挙げられる。このような構成とすることによって、熱の放熱性に優れる特性と熱による変形を抑制できる特性とをともに高いレベルで兼ね備えたヒートシンク1を得ることができる傾向がさらに大きくなる。
また、上記において、LED構造体10は、p型半導体層11とn型半導体層13と活性層12とを含み、p型半導体層11とn型半導体層13との間に活性層12が設置されており、電流の注入により活性層12から発光する構造であれば特に限定なく用いることができ、たとえば、従来から公知のLED構造体を用いることができる。
たとえば、図1に示す構成のLED素子のn電極16を陰極とし、p電極15を陽極として、p電極15とn電極16との間に電圧を印加して、LED構造体10の内部にp電極15からn電極16に向かって電流を流す。すると、LED構造体10のp型半導体層11とn型半導体層13との間の活性層12で発光する。
なお、p型半導体層11はp型不純物がドープされているp型の導電型を有する半導体層のことであり、n型半導体層13はn型不純物がドープされているn型の導電型を有する半導体層のことであることは言うまでもない。また、活性層12は、p型またはn型のいずれか一方の導電型を有していてもよく、p型不純物およびn型不純物のいずれの不純物もドープされていないアンドープの半導体層であってもよい。
なかでも、LED構造体10としては、p型半導体層11、活性層12およびn型半導体層13にそれぞれIII族元素(Al、InおよびGaからなる群から選択された少なくとも1種)とV族元素(窒素)との化合物であるIII−V族窒化物半導体を用いることが好ましい。この場合には、活性層12から青色の光を発光させることが可能となる。
活性層12から青色の光を発光させることが可能なLED構造体10の構成の一例としては、たとえば、図1に示す半導体基板14としてGaN基板またはサファイア基板を用い、p型半導体層11としてp型GaN層を用い、活性層12としてアンドープInGaN層を用い、n型半導体層13としてn型GaN層を用いた構成などを挙げることができる。
また、本発明の半導体デバイスは、LED素子に限られず、たとえば半導体レーザ素子または電界効果トランジスタなどのLED素子以外の半導体デバイスにも適用することができる。ここで、活性層12から青色の光を発光させることが可能なLED構造体10以外の半導体デバイスに用いられる半導体基板14としては、たとえば、シリコン基板、炭化ケイ素基板またはガリウム砒素基板などを用いることができる。
また、上記においては、電気めっき液9を用いて高熱伝導率層2を形成し、溶融塩浴8を用いて低熱膨張率層3を形成することによってヒートシンク1を形成したが、高熱伝導率層2および低熱膨張率層3の形成方法はこれらに限定されないことは言うまでもない。たとえばスパッタ法などの従来から公知の気相法により高熱伝導率層2および低熱膨張率層3をそれぞれ形成することによってもヒートシンク1を形成することができる。また、高熱伝導率層2は、たとえば、上記の電気めっき液の電解による形成とスパッタ法などの気相法による形成とを組み合わせて形成されてもよく、低熱膨張率層3は、たとえば、上記の溶融塩浴の電解による形成とスパッタ法などの気相法による形成とを組み合わせて形成されてもよい。
たとえば、高熱伝導率層2および/または低熱膨張率層3が非金属から構成されている場合には、たとえばスパッタ法などの気相法により形成することができる。
また、上記においては、導電層21、高熱伝導率層2、低熱膨張率層3および高熱伝導率層2の順序で形成したが、上記とは逆方向に、高熱伝導率層2、低熱膨張率層3、高熱伝導率層2および導電層21の順序で形成してもよい。
<溶融塩浴の好ましい構成>
本発明に用いられる溶融塩浴8の好ましい構成の一例について以下に述べるが、本発明に用いられる溶融塩浴8は、以下の構成に限定されるものではない。
たとえば、タングステンからなる低熱膨張率層3を溶融塩浴8を用いて形成する場合には、リチウム原子と、ナトリウム原子と、カリウム原子と、タングステン原子と、酸素原子と、塩素原子とを含む溶融塩浴8が好適に用いられる。
ここで、ナトリウム原子は、溶融塩浴8中に、リチウム原子100原子に対して25原子以上400原子以下の割合で含まれている。また、カリウム原子は、溶融塩浴8中に、リチウム原子100原子に対して25原子以上185原子以下の割合で含まれている。また、タングステン原子は、溶融塩浴8中に、リチウム原子とナトリウム原子とカリウム原子との総原子数100原子に対して10原子以上40原子以下の割合で含まれている。また、酸素原子は、溶融塩浴8中に、リチウム原子とナトリウム原子とカリウム原子との総原子数100原子に対して40原子以上160原子以下の割合で含まれている。さらに、塩素原子は、溶融塩浴8中に、リチウム原子とナトリウム原子とカリウム原子との総原子数100原子に対して20原子以上80原子以下の割合で含まれている。
なお、上記の溶融塩浴8に、ナトリウム原子がリチウム原子100原子に対して25原子以上400原子以下の割合で含まれておらず、かつカリウム原子がリチウム原子100原子に対して25原子以上185原子以下の割合で含まれていない場合には、溶融塩浴8の融点が上昇して、タングステンが析出する基材(たとえば高熱伝導率層2など)への熱による悪影響が大きくなるため、タングステン析出用の溶融塩浴に適さない傾向にある。
また、上記の溶融塩浴8中において、タングステン原子の含有量が、リチウム原子とナトリウム原子とカリウム原子との総原子数100原子に対して40原子を超える場合には、溶融塩浴8の融点が上昇して、溶融塩浴8の粘度が増大するため、タングステンが析出する基材(たとえば高熱伝導率層2など)へのタングステンイオンの供給が抑制されて、表面が平滑なタングステン析出物が得られない傾向にある。また、この場合には、未溶解塩が溶融塩浴8中を浮遊して、タングステン析出物に取り込まれるなどの不具合の原因となるため、タングステン析出用の溶融塩浴に適さなくなる傾向にある。
また、上記の溶融塩浴8中において、タングステン原子の含有量が、リチウム原子とナトリウム原子とカリウム原子との総原子数100原子に対して10原子未満である場合には、溶融塩浴8中におけるタングステンの濃度が少ないためにタングステンが析出する基材(たとえば高熱伝導率層2など)へのタングステンイオンの供給が十分に行なわれず、タングステン析出物がデンドライト状になりやすいため、タングステン析出用の溶融塩浴に適さなくなる傾向にある。
また、上記の溶融塩浴8中において、酸素原子の含有量がリチウム原子とナトリウム原子とカリウム原子との総原子数100原子に対して160原子を超える場合には、溶融塩浴8の粘度が高くなりすぎるため、基材(たとえば高熱伝導率層2など)の表面へのタングステンイオンの供給が遅くなる。これにより、デンドライト状のタングステン析出物が得られやすくなり、タングステン析出物中に酸素原子が取り込まれやすくなって、タングステン析出物中における酸素の含有量が増大して不純物が増加するため、タングステン析出用の溶融塩浴に適さなくなる傾向にある。
また、上記の溶融塩浴8中において、酸素原子の含有量がリチウム原子とナトリウム原子とカリウム原子との総原子数100原子に対して40原子未満である場合には、タングステンの配位状態が変わり、タングステン析出物からなる低熱膨張率層3の表面の平滑性が悪化するため、タングステン析出用の溶融塩浴に適さなくなる傾向にある。
また、上記の溶融塩浴8中において、塩素原子の含有量がリチウム原子とナトリウム原子とカリウム原子との総原子数100原子に対して80原子を超える場合には、タングステンの配位状態が変わり、タングステン析出物からなる低熱膨張率層3の表面の平滑性が悪化するため、タングステン析出用の溶融塩浴に適さなくなる傾向にある。
また、上記の溶融塩浴8中において、塩素原子の含有量がリチウム原子とナトリウム原子とカリウム原子との総原子数100原子に対して20原子未満である場合には、溶融塩浴8の粘度が増大して、基材(たとえば高熱伝導率層2など)へのタングステンイオンの供給が抑制され、表面の平滑なタングステン析出物からなる低熱膨張率層3が得られなくなるため、タングステン析出用の溶融塩浴に適さなくなる傾向にある。
上記の溶融塩浴8中において、ナトリウム原子は、リチウム原子100原子に対して70原子以上85原子以下の割合で含まれていることが好ましい。上記の溶融塩浴8中におけるナトリウム原子の含有量がリチウム原子100原子に対して70原子以上85原子以下の範囲内にある場合には表面の平滑性の高いタングステン析出物からなる低熱膨張率層3が得られる傾向にある。
また、上記の溶融塩浴8中において、カリウム原子は、リチウム原子100原子に対して40原子以上50原子以下の割合で含まれていることが好ましい。上記の溶融塩浴8中におけるカリウム原子の含有量がリチウム原子100原子に対して40原子以上50原子以下の範囲内にある場合には溶融塩浴8の融点の上昇を抑えることができるため、表面の平滑性の高いタングステン析出物からなる低熱膨張率層3が得られる傾向にある。
また、上記の溶融塩浴8中において、タングステン原子は、リチウム原子とナトリウム原子とカリウム原子との総原子数100原子に対して20原子以上30原子以下の割合で含まれていることが好ましい。上記の溶融塩浴8中におけるタングステン原子の含有量がリチウム原子とナトリウム原子とカリウム原子との総原子数100原子に対して20原子以上30原子以下である場合に比較的低い温度域で電解することができる傾向にある。また、電解時の温度が同一である場合でも、他の溶融塩浴と比べて溶融塩浴8の粘度が低くなるため、基材(たとえば高熱伝導率層2など)へのタングステンイオンの供給が早くなり、タングステンを析出するための電流密度の範囲が広がる傾向にある。
また、上記の溶融塩浴8中において、酸素原子は、リチウム原子とナトリウム原子とカリウム原子との総原子数100原子に対して80原子以上120原子以下の割合で含まれていることが好ましい。上記の溶融塩浴8中における酸素原子の含有量がリチウム原子とナトリウム原子とカリウム原子との総原子数100原子に対して80原子以上120原子以下の範囲内にある場合には溶融塩浴8の粘度が低く、タングステンの配位状態が電解に好適であり、タングステンを析出するための電流密度の範囲が広がる傾向にある。
上記の溶融塩浴8中において、塩素原子は、リチウム原子とナトリウム原子とカリウム原子との総原子数100原子に対して40原子以上60原子以下の割合で含まれていることが好ましい。上記の溶融塩浴8中における塩素原子の含有量がリチウム原子100原子に対して40原子以上60原子以下の範囲内にある場合には溶融塩浴8の粘度が低く、タングステンの配位状態が電解に好適であり、タングステンを析出するための電流密度の範囲が広がる傾向にある。
また、上記の溶融塩浴8は、上記の原子に加えて、さらにフッ素原子を含んでいることが好ましい。ここで、上記の溶融塩浴8中において、フッ素原子は、タングステン原子100原子に対して5原子以上165原子以下の割合で含まれていることがより好ましく、タングステン原子100原子に対して10原子以上20原子以下の割合で含まれていることがさらに好ましい。
上記の溶融塩浴8がフッ素原子を含む場合には、上記の溶融塩浴8を電解して析出したタングステン析出物からなる低熱膨張率層3の表面の平滑性が向上する傾向にある。なかでも、上記の溶融塩浴8中におけるフッ素原子の含有量がリチウム原子100原子に対して5原子以上165原子以下である場合、特にタングステン原子100原子に対して10原子以上20原子以下である場合には、上記の溶融塩浴8を電解して析出したタングステン析出物からなる低熱膨張率層3の表面の平滑性がさらに向上する傾向にある。
なお、上記のリチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、タングステン原子、酸素原子、塩素原子およびフッ素原子の溶融塩浴8中における形態は特に限定されず、たとえばイオンとして存在したり、錯体を構成した状態で存在していてもよい。また、上記の溶融塩浴8を構成する酸素原子以外の原子は、本発明の溶融塩浴を水に溶解させた試料についてICP分光分析(inductively coupled plasma spectrometry)を行なうことによって検出することができる。
また、上記の溶融塩浴8中の酸素原子は、上記の溶融塩浴8について不活性ガス融解赤外吸収法を用いることによって確認することができる。ここで、不活性ガス融解赤外吸収法は、たとえば以下のようにして行なうことができる。
まず、ヘリウムガス雰囲気中においてカーボン坩堝に上記の溶融塩浴8を収容した後に、カーボン坩堝を加熱することによって上記の溶融塩浴8中から酸素を生じさせる。すると、この酸素がカーボン坩堝の炭素と反応して一酸化炭素や二酸化炭素を生成する。次に、生成した一酸化炭素や二酸化炭素を含む雰囲気中に赤外線を照射する。最後に、雰囲気中の一酸化炭素や二酸化炭素が吸収することによって生じた赤外線の減衰量を調査することによって上記の溶融塩浴8中の酸素の存在および含有量を確認することができる。
上記の溶融塩浴8は、たとえば、少なくとも、タングステン酸リチウムと、タングステン酸ナトリウムと、タングステン酸カリウムと、アルカリ金属の塩化物とを混合することにより作製することができる。
ここで、アルカリ金属の塩化物は、塩化リチウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
そして、タングステン酸リチウムと、タングステン酸ナトリウムと、タングステン酸カリウムと、アルカリ金属の塩化物とを混合して混合物を作製し、その混合物を加熱して溶融させることにより、上記の溶融塩浴8を製造することができる。
なお、タングステン酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウムおよびアルカリ金属の塩化物がそれぞれ固体ではなく融液の状態にある場合には、タングステン酸リチウムの融液、タングステン酸ナトリウムの融液、タングステン酸カリウムの融液およびアルカリ金属の塩化物の融液を混合するだけで上記の溶融塩浴8を製造することができる。
また、上記の溶融塩浴8は、たとえば、タングステン酸リチウム100物質量に対してタングステン酸ナトリウムを24物質量以上400物質量以下混合し、タングステン酸カリウムを5物質量以上184物質量以下混合することにより作製することができる。また、アルカリ金属の塩化物は、たとえば、タングステン酸リチウム100物質量に対して115物質量以上1770物質量以下の割合で混合することができる。
また、上記の溶融塩浴8中にフッ素原子を含有させる場合には、上記の成分に、たとえば、フッ化リチウム、フッ化ナトリウムおよびフッ化カリウムからなる群から選択された少なくとも1種のアルカリ金属のフッ化物を混合することにより作製することができる。
上記の溶融塩浴8を電解することによって析出したタングステン析出物からなる低熱膨張率層3は、表面の平滑性が向上することに特徴がある。
また、本発明において、溶融塩浴8としては、上記以外にも、たとえば、フッ化カリウム(KF)と酸化ホウ素(B23)と酸化タングステン(WO3)とをたとえば67:26:7のモル比で混合した混合物を溶融して作製した溶融塩浴などを用いることもできる。
<実施例1のヒートシンクの作製>
まず、直径が100mmの円形状の表面を有し、厚さが500μmのサファイア基板を1枚用意した。
次に、サファイア基板の一方の表面上にスパッタ法によりニッケル層を50nm程度の厚さに形成して導電層を形成した。
次に、上記のグローブボックスの外で、上記の導電層の形成後のサファイア基板を、パイレックス(登録商標)ビーカーに収容された硫酸銅めっき液(上村工業(株)製のレブコEX)中のそれぞれに1枚ずつ含リン銅からなる対向電極とともに、サファイア基板と対向電極とが対向するようにして浸漬させた。
そして、硫酸銅めっき液の温度を30℃に保持した状態で、陽極としての対向電極および陰極としてのサファイア基板上の導電層の表面1cm2当たり20mA(ミリアンペア)の電流(電流密度20mA/cm2)が流れるように上記の陽極と陰極との間に電流を45分間流した。
このような条件で硫酸銅めっき液の電解を行なうことにより、陰極であるサファイア基板上の導電層の表面上にそれぞれ銅を析出させて銅析出物からなる高熱伝導率層(1層目)を20μmの厚さに形成した。
次に、上記のグローブボックスの外で、高熱伝導率層の形成後のサファイア基板を硫酸銅めっき液から取り出し、イオン交換水によって高熱伝導率層に付着している硫酸銅めっき液を洗って除去するとともに、その後、酸で洗うことによって高熱伝導率層の表面に形成された酸化膜を除去した。
次に、フッ化カリウム(KF)粉末と酸化ホウ素(B23)粉末と酸化タングステン(WO3)粉末とを67:26:7のモル比で混合した混合物を作製し、その混合物をSiC製の坩堝(アズワン(株)製)に投入した。
ここで、フッ化カリウム(KF)粉末、酸化ホウ素(B23)粉末および酸化タングステン(WO3)粉末はそれぞれAr(アルゴン)雰囲気のグローブボックス内で秤量され、同じグローブボックス内にあるアルミナ製の坩堝に投入された。
次に、上記の混合物が投入されたアルミナ製の坩堝をマントルヒーターを用いて850℃に加熱することによって上記の混合物を溶融し、実施例1の溶融塩浴を作製した。
次に、上記のグローブボックス内で、実施例1の溶融塩浴に、タングステン板からなる対向電極(陽極)とともに上記の高熱伝導率層の形成後のサファイア基板上の導電層(陰極)を対向電極と対向するように浸漬させた。
ここで、上記の陽極および陰極にはそれぞれニッケル線を溶接し、ニッケル線から陽極と陰極との間に電流を供給できる構造とした。
そして、実施例1の溶融塩浴の温度を850℃に保持した状態で、陽極および陰極を揺動させながら陽極の表面1cm2当たり30mA(ミリアンペア)の電流(電流密度30mA/cm2)が流れるように上記の陽極と陰極との間に電流を204分間流した。
このような条件で実施例1の溶融塩浴の電解を行なうことにより、陰極である導電層上の高熱伝導率層の表面上にタングステンを析出させてタングステン析出物からなる低熱膨張率層(2層目)を60μmの厚さに形成した。
次に、上記のグローブボックスの外で、上記の低熱膨張率層の形成後のサファイア基板を実施例1の溶融塩浴から取り出し、イオン交換水によって低熱膨張率層に付着している溶融塩浴を洗って除去した後に、酸で洗うことによって低熱膨張率層の表面に形成された酸化膜を除去した。
次に、上記のグローブボックスの外で、上記の低熱膨張率層の形成後のサファイア基板を、パイレックス(登録商標)ビーカーに収容された硫酸銅めっき液(上村工業(株)製のレブコEX)中に1枚の含リン銅からなる対向電極とともに、サファイア基板と対向電極とが対向するようにして浸漬させた。
そして、硫酸銅めっき液の温度を30℃に保持した状態で、陽極としての対向電極および陰極としてのサファイア基板上の導電層の表面1cm2当たり20mA(ミリアンペア)の電流(電流密度20mA/cm2)が流れるように上記の陽極と陰極との間に電流を45分間流した。
このような条件で硫酸銅めっき液の電解を行なうことにより、陰極であるサファイア基板に形成された低熱膨張率層の表面上に銅を析出させて銅析出物からなる高熱伝導率層(3層目)を20μmの厚さに形成した。
次に、上記のグローブボックスの外で、高熱伝導率層の形成後のサファイア基板を硫酸銅めっき液から取り出し、イオン交換水によって高熱伝導率層に付着している硫酸銅めっき液を洗って除去するとともに、その後、酸で洗うことによって高熱伝導率層の表面に形成された酸化膜を除去した。
以上により、厚さ20μmの銅からなる高熱伝導率層(1層目)、厚さ60μmのタングステンからなる低熱膨張率層(2層目)および厚さ20μmの銅からなる低熱膨張率層(3層目)がこの順序で積層された積層構造体からなる実施例1のヒートシンク(全体の厚さ:100μm)を得た。
<実施例2のヒートシンクの作製>
以下の(1)〜(3)以外は実施例1と同様にして、実施例2のヒートシンクを作製した。
(1)陽極としての対向電極および陰極としてのサファイア基板上の導電層との間に電流密度20mA/cm2の電流を23分間流して硫酸銅めっき液の電解を行なうことにより、陰極であるサファイア基板上の導電層の表面上に銅析出物からなる高熱伝導率層(1層目)を10μmの厚さに形成したこと。
(2)陽極としての対向電極および陰極としてのサファイア基板上の導電層との間に電流密度30mA/cm2の電流を102分間流して実施例1の溶融塩浴の電解を行なうことにより、陰極である導電層上の高熱伝導率層の表面上にタングステン析出物からなる低熱膨張率層(2層目)を30μmの厚さに形成したこと。
(3)陽極としての対向電極および陰極としてのサファイア基板上の導電層との間に電流密度20mA/cm2の電流を23分間流して硫酸銅めっき液の電解を行なうことにより、陰極であるサファイア基板に形成された低熱膨張率層の表面上に銅析出物からなる高熱伝導率層(3層目)を10μmの厚さに形成したこと。
<実施例3のヒートシンクの作製>
以下の(4)〜(6)以外は実施例1と同様にして、実施例3のヒートシンクを作製した。
(4)陽極としての対向電極および陰極としてのサファイア基板上の導電層との間に電流密度20mA/cm2の電流を27分間流して硫酸銅めっき液の電解を行なうことにより、陰極であるサファイア基板上の導電層の表面上に銅析出物からなる高熱伝導率層(1層目)を12μmの厚さに形成したこと。
(5)陽極としての対向電極および陰極としてのサファイア基板上の導電層との間に電流密度30mA/cm2の電流を102分間流して実施例1の溶融塩浴の電解を行なうことにより、陰極である導電層上の高熱伝導率層の表面上にタングステン析出物からなる低熱膨張率層(2層目)を30μmの厚さに形成したこと。
(6)陽極としての対向電極および陰極としてのサファイア基板上の導電層との間に電流密度20mA/cm2の電流を23分間流して硫酸銅めっき液の電解を行なうことにより、陰極であるサファイア基板に形成された低熱膨張率層の表面上に銅析出物からなる高熱伝導率層(3層目)を10μmの厚さに形成したこと。
<実施例1〜3のLED素子の作製>
上記のようにして得られた実施例1〜3のヒートシンクが接合されたサファイア基板のヒートシンクの接合側とは反対側の表面にLED構造体を形成した。
なお、LED構造体は、上記のサファイア基板の表面上に、n型GaN層、アンドープInGaN層およびp型GaN層をこの順序でMOCVD法によりエピタキシャル成長させた後に、フォトエッチングによりn型GaN層の表面の一部が露出するまでn型GaN層、アンドープInGaN層およびp型GaN層のそれぞれの一部を除去し、リフトオフによりn型GaN層上のn電極、p型GaN層上の半透明電極および半透明電極上のp電極を形成した。
次に、n電極およびp電極の形成後の実施例1〜3のヒートシンクおよびLED構造体を円形回転刃で10mm×10mmの正方形状の表面を有する大きさのLED素子に分割することによって、実施例1〜3のLED素子をそれぞれ得た。
<実施例1〜3のLED素子の評価>
銅板およびタングステン板を圧接により接合して銅(20μm)/タングステン(60μm)/銅(20μm)の積層構造体からなる全体の厚さが100μmのヒートシンクとLED構造体とを数百μm程度の厚さの共晶半田により接合してLED素子を形成したこと以外は上記と同様にして参考例のLED素子を作製した。
そして、上記で作製した実施例1〜3のLED素子と、上記の参考例のLED素子との発光特性を比較したところ発光特性は同等であった。
しかしながら、実施例1〜3のLED素子は数百μm程度の厚さの共晶半田を用いることなく、ヒートシンクとLED構造体とが接合されていることから、LED構造体に発生した熱をヒートシンクから効率的に放出させることができるとともに、LED素子の表面やヒートシンクの表面にめっきなどの処理を行なう必要がないことから製造コストを抑えることもできた。
また、実施例1〜3のLED素子のヒートシンクの厚さはそれぞれ、100μm、50μmおよび52μmであることから、円形回転刃によるヒートシンクおよびLED構造体の切断が容易であり、加工性が向上することも確認された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によれば、熱を効率的に外部に放出することができるとともに、製造コストを抑えることができるLED素子およびLED素子の製造方法を提供することができる。
1 ヒートシンク、2 高熱伝導率層、3 低熱膨張率層、6 対向電極、7 容器、8 溶融塩浴、9 電気めっき液、10 LED構造体、11 p型半導体層、12 活性層、13 n型半導体層、14 半導体基板、15 p電極、16 n電極、17 半透明電極。

Claims (4)

  1. LED構造体と、
    前記LED構造体上に設置されたヒートシンクとを備え、
    前記ヒートシンクは、高熱伝導率層と低熱膨張率層と高熱伝導率層とがこの順序で積層された積層構造体、または低熱膨張率層と高熱伝導率層と低熱膨張率層とがこの順序で積層された積層構造体を含み、
    前記高熱伝導率層の熱伝導率が200W/(m・K)以上であり、
    前記低熱膨張率層の線膨張率が8×10-6(1/K)以下であって、
    前記積層構造体の厚み方向の中央部から上方の部分と前記積層構造体の厚み方向の中央部から下方の部分とが前記積層構造体の厚み方向の中央部に関して対称となっており、
    前記LED構造体と前記ヒートシンクとの間に前記LED構造体および前記ヒートシンクのそれぞれに接する導電層を備え、
    前記導電層は、金、銀、銅およびニッケルからなる群から選択される1種からなる、LED素子。
  2. 請求項1に記載のLED素子を製造する方法であって、
    前記導電層上に前記高熱伝導率層を形成する工程と、
    前記高熱伝導率層上に前記低熱膨張率層を形成する工程と、
    前記低熱膨張率層上に前記高熱伝導率層を形成する工程とを含む、LED素子の製造方法。
  3. 請求項1に記載のLED素子を製造する方法であって、
    前記導電層上に前記低熱膨張率層を形成する工程と、
    前記低熱膨張率層上に前記高熱伝導率層を形成する工程と、
    前記高熱伝導率層上に前記低熱膨張率層を形成する工程とを含む、LED素子の製造方法。
  4. 前記高熱伝導率層および前記低熱膨張率層の少なくとも1層を溶融塩浴の電解により形成することを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のLED素子の製造方法。
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