以下、本発明をその一種であるパチンコ遊技機に具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機の遊技盤10のほぼ中央には、各種の表示装置や各種の飾りを施した表示枠体HWが装着されている。本実施形態の表示枠体HWは、遊技盤10の前面側から当該遊技盤10に装着される前面側部材WAと、遊技盤10の後面側から当該遊技盤10に装着される裏面側部材WB(図2に示す)とから構成されている。表示枠体HWの略中央には、正面視横長矩形に開口するセット口11aが形成されており、当該セット口11aに整合して表示枠体HWには、液晶ディスプレイ型の画像表示部GHを有する演出表示装置11が配設されている。演出表示装置11には、複数列(本実施形態では3列)の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームを含み、該ゲームに関連して実行される各種の表示演出が画像表示される。本実施形態において演出表示装置11の図柄変動ゲームでは、複数列(本実施形態では3列)の図柄からなる図柄組み合わせを導出する。なお、演出表示装置11の図柄変動ゲームは、表示演出を多様化するための飾り図柄(演出図柄)を用いて行われる。
また、演出表示装置11の左下には、7セグメント型の特別図柄表示装置12が配設されている。特別図柄表示装置12では、複数種類の特別図柄を変動させて表示する図柄変動ゲームが行われる。特別図柄は、大当りか否かの内部抽選(大当り抽選)の結果を示す報知用の図柄である。特別図柄表示装置12には、複数種類の特別図柄の中から、大当り抽選の抽選結果に応じて選択された特別図柄が、図柄変動ゲームの終了によって確定停止表示される。複数種類の特別図柄は、大当りを認識し得る図柄となる大当り図柄(大当り表示結果に相当する)と、はずれを認識し得る図柄となる1種類のはずれ図柄とに分類される。
そして、演出表示装置11には、特別図柄表示装置12の表示結果に応じた表示結果が表示される。具体的に言えば、特別図柄表示装置12に大当りを認識し得る大当り図柄(大当り表示結果)が確定停止表示される場合には、演出表示装置11にも大当り図柄(大当り表示結果)が確定停止表示される。また、特別図柄表示装置12にはずれを認識し得るはずれ図柄(はずれ表示結果)が確定停止表示される場合には、演出表示装置11にもはずれ図柄(はずれ表示結果)が原則として確定停止表示される。
なお、演出表示装置11に確定停止表示される大当り図柄は、全列の飾り図柄が同一図柄となる図柄組み合わせによって構成される。また、演出表示装置11に確定停止表示されるはずれ図柄は、全列の飾り図柄が異なる飾り図柄となる図柄組み合わせや、1列の飾り図柄が他の2列の飾り図柄とは異なる飾り図柄となる図柄組み合わせによって構成される。演出表示装置11は、特別図柄表示装置12に比較して大きい表示領域で構成されるとともに、飾り図柄は特別図柄に比較して遥かに大きく表示される。このため、遊技者は、演出表示装置11に確定停止表示された飾り図柄から大当り又ははずれを認識し得る。
また、演出表示装置11では、遊技者側から見て左列→右列→中列の順に図柄列の変動が停止するようになっており、特定の2列(本実施形態では左右の2列)に同一の飾り図柄が一旦停止表示(ゆれ変動表示)された場合、リーチが形成される。ここで、一旦停止表示とは、画像表示部GHにおいてゆれ変動状態で表示されている状態であり、画像表示部GHにおいて図柄が確定停止している確定停止表示とは区別される。
特別図柄表示装置12の右方には、複数個(本実施形態では2個)の特別図柄保留発光部を備えた特別図柄保留表示装置13が配設されている。特別図柄保留表示装置13は、機内部で記憶した特別図柄用の始動保留球の記憶数(以下「保留記憶数」と示す)を遊技者に報知する。保留記憶数は、遊技盤10に配設した後述の始動入賞口15に遊技球が入球することで1加算される一方で、図柄変動ゲームの開始により1減算される。したがって、図柄変動ゲーム中に始動入賞口15へ遊技球が入球すると、保留記憶数は更に加算されるとともに、所定の上限数(本実施形態では4個)まで累積される。
また、特別図柄保留表示装置13の右方には、普通図柄表示装置14が配設されている。普通図柄表示装置14では、複数種類の普通図柄を変動させて1つの普通図柄を導出する普通図柄変動ゲーム(以下「普図ゲーム」と示す)が行われる。本実施形態の普通図柄表示装置14は、図示しない発光体(LEDやランプなど)をレンズカバーで覆って構成した複数個(本実施形態では2個)の普通図柄表示部から構成されている。普通図柄表示装置14では、大当り抽選とは別に行う普図当りか否かの内部抽選(後述する普図当り抽選)の抽選結果を表示する。すなわち、普図当り抽選に当選した場合には、普図ゲームで普通図柄の当り図柄(本実施形態では下側の普通図柄表示部が点灯)が確定停止表示(導出)される。一方、普図当り抽選に当選しない場合(はずれの場合)には、普通図柄のはずれ図柄(本実施形態では上側の普通図柄表示部が点灯)が確定停止表示(導出)される。すなわち、普図当り抽選に当選した場合には、普図ゲームで普通図柄の当り図柄(本実施形態では上側の普通図柄表示部が点灯)が確定停止表示(導出)される。一方、普図当り抽選に当選しない場合(はずれの場合)には、普通図柄のはずれ図柄(本実施形態では下側の普通図柄表示部が点灯)が確定停止表示(導出)される。
演出表示装置11の下方には、遊技球の入球口15aを有する始動入賞口15が配設されている。始動入賞口15は普通電動役物とされ、図示しないアクチュエータ(ソレノイド、モータなど)の作動により開閉動作を行う開閉羽根16を備えている。始動入賞口15は、開閉羽根16の開動作により入口が拡大されて遊技球が入球(入賞)し易い開状態とされる一方で、開閉羽根16の閉動作により入口が拡大されずに遊技球が入球(入賞)し難い閉状態とされる。そして、始動入賞口15の奥方には入球した遊技球を検知する始動口スイッチSW1(図3に示す)が配設されている。始動入賞口15は、入球した遊技球を始動口スイッチSW1で入球検知することにより、図柄変動ゲームの始動条件と予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。
また、始動入賞口15の下方には、図示しないアクチュエータ(ソレノイド、モータなど)の作動により開閉動作を行う大入賞口扉17を備えた大入賞口(特別電動役物)18が配設されている。大入賞口18の奥方には、入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW2(図3に示す)が配設されている。大入賞口18は、入球した遊技球を検知することにより、予め定めた個数(例えば10個)の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。大入賞口18は、大当り遊技中に大入賞口扉17の開動作によって開放されることで遊技球の入球が許容される。このため、大当り遊技中、遊技者は、賞球を獲得できるチャンスを得ることができる。
また、演出表示装置11の右方には、普通図柄作動ゲート(以下「ゲート」と示す)19が配設されている。ゲート19の奥方には、入球し通過した遊技球を検知するゲートスイッチSW3(図3に示す)が配設されている。ゲート19は、遊技球の通過を契機に、普図ゲームの始動条件(普図当り抽選の抽選契機)のみを付与し得る。
そして、本実施形態のパチンコ遊技機では、複数の可動体(可動演出部材)を設定しており、これらの可動体を各別に設定された動作範囲(原位置から最大可動位置までの範囲)で動作させて行う可動演出を実行可能となっている。
図1及び図2に示すように、裏面側部材WBにおいてセット口11aの上方には、上下方向に動作可能な五角形状の上可動体K1が配設されている。また、上可動体K1は、駆動伝達部(ギア、支持部材など)を介して、アクチュエータとしての第1モータMOT1と接続されている。また、上可動体K1の駆動伝達部には、上可動体K1の原位置を検出する第1センサSE1が配設されている。なお、本実施形態における上可動体K1の原位置は、図1に示す位置である。したがって、第1センサSE1は、上可動体K1が原位置に位置しているときに、駆動伝達部の遮光板に形成された検出部を検出するようになっている。即ち、本実施形態では、第1センサSE1が検出部を検出することによって、上可動体K1が原位置に位置していることを検出できる。
また、図2に示すように、上可動体K1の後側には、上ランプH1と、該上ランプH1の周囲を回転する上リフレクタR1を、透過性を有するケースC1内に収容した上回転灯K2が配設されている。なお、上回転灯K2は、上可動体K1よりも裏面に位置しているため、上可動体K1が原位置に位置しているときには、上回転灯K2を視認することができない。その一方で、上可動体K1が最大可動位置に位置しているときには、上回転灯K2を視認することができるようになっている。また、上リフレクタR1は、駆動伝達部(ギア、支持部材など)を介して、アクチュエータとしての第2モータMOT2と接続されている。なお、本実施形態において上回転灯K2では、上リフレクタR1が回転するだけであるため、上回転灯K2の原位置を検出するセンサは設けられていない。
また、図2に示すように、裏面側部材WBにおいてセット口11aの右上方には、ピストルの形を模したピストル可動体K3が上下方向に動作可能となるように配設されている。なお、ピストル可動体K3の原位置は、上可動体K1の原位置よりも裏面に位置しているため、ピストル可動体K3が原位置(図1に示す位置)に位置しているときには、上可動体K1によってピストル可動体K3を視認することができない。その一方で、ピストル可動体K3が最大可動位置(図2に示す位置)に位置しているときには、ピストル可動体K3を視認できるようになっている。
また、ピストル可動体K3は、駆動伝達部(ギア、支持部材など)を介して、アクチュエータとしての第3モータMOT3と接続されている。また、ピストル可動体K3の駆動伝達部には、ピストル可動体K3の原位置を検出する第3センサSE3が配設されている。したがって、第3センサSE3は、ピストル可動体K3が原位置に位置しているときに、駆動伝達部の遮光板に形成された検出部を検出するようになっている。即ち、本実施形態では、第3センサSE3が検出部を検出することによって、ピストル可動体K3が原位置に位置していることを検出できる。
また、図1及び図2に示すように、表示枠体HWを構成する裏面側部材WBの左下方には、左可動体K4が配設されている。左可動体K4は、複数の可動体によって構成されており、具体的には、サーチライトを模した左発光灯K5が、回転可能となるようにディスク状の左台座D2の表面に立設されている。また、左台座D2の表面(図1に示す状態では裏面)には、左ランプH2と、該左ランプH2の周囲を回転する左リフレクタR2を、透過性を有するケースC2内に収容した左回転灯K6が立設されている。つまり、左発光灯K5と左回転灯K6は、左台座D2において表裏一体形成されていることになる。
そして、左可動体K4(より詳しくは、左台座D2)は、駆動伝達部(ギア、支持部材など)を介して、アクチュエータとしての第4モータMOT4と接続されている。また、左可動体K4の駆動伝達部には、左可動体K4(左台座D2)の原位置を検出する第4センサSE4が配設されている。なお、本実施形態における左可動体K4の原位置は、図1に示すように左発光灯K5が視認できる位置である。したがって、第4センサSE4は、左可動体K4が原位置に位置しているときに、駆動伝達部の遮光板に形成された検出部を検出するようになっている。即ち、本実施形態では、第4センサSE4が検出部を検出することによって、左可動体K4が原位置に位置していることを検出できる。
また、左発光灯K5及び左回転灯K6(左リフレクタR2)は、駆動伝達部(ギア、支持部材など)を介して、アクチュエータとしての第5モータMOT5と接続されている。したがって、左発光灯K5が回転しているときは、遊技者側からは視認できないが、左リフレクタR2も同方向に回転していることになる。また、左台座D2の内部には、左発光灯K5の原位置を検出する第5センサSE5が配設されている。なお、本実施形態における左発光灯K5の原位置は、図1に示すように左発光灯K5が遊技者の正面に位置している位置である。したがって、第5センサSE5は、左発光灯K5が原位置に位置しているときに、駆動伝達部の遮光板に形成された検出部を検出するようになっている。即ち、本実施形態では、第5センサSE5が検出部を検出することによって、左発光灯K5が原位置に位置していることを検出できる。
ちなみに、左リフレクタR2の原位置は、図2に示すように、遊技者が正面から左ランプH2を視認できるような位置である。そして、本実施形態では、左リフレクタR2の原位置と左発光灯K5の原位置を合わせているため、左発光灯K5が原位置に位置していると、左回転灯K6も原位置に位置していることになる。
また、図1及び図2に示すように、表示枠体HWを構成する裏面側部材WBの右下方には、右可動体K7が配設されている。右可動体K7は、複数の可動体によって構成されており、具体的には、サーチライトを模した右発光灯K8が、回転可能となるようにディスク状の右台座D3の表面に立設されている。また、右台座D3の表面(図1に示す状態では裏面)には、右ランプH3と、該右ランプH3の周囲を回転する右リフレクタR3を、透過性を有するケースC3内に収容した右回転灯K9が立設されている。つまり、右発光灯K8と右回転灯K9は、右台座D3において表裏一体形成されていることになる。
そして、右可動体K7(より詳しくは、右台座D3)は、駆動伝達部(ギア、支持部材など)を介して、アクチュエータとしての第7モータMOT7と接続されている。また、右可動体K7の駆動伝達部には、右可動体K7(右台座D3)の原位置を検出する第7センサSE7が配設されている。なお、本実施形態における右可動体K7の原位置は、図1に示すように右発光灯K8が視認できる位置である。したがって、第7センサSE7は、右可動体K7が原位置に位置しているときに、駆動伝達部の遮光板に形成された検出部を検出するようになっている。即ち、本実施形態では、第7センサSE7が検出部を検出することによって、右可動体K7が原位置に位置していることを検出できる。
また、右発光灯K8及び右回転灯K9(右リフレクタR3)は、駆動伝達部(ギア、支持部材など)を介して、アクチュエータとしての第8モータMOT8と接続されている。したがって、右発光灯K8が回転しているときは、遊技者側からは視認できないが、右リフレクタR3も同方向に回転していることになる。また、右台座D3の内部には、右発光灯K8の原位置を検出する第8センサSE8が配設されている。なお、本実施形態における右発光灯K8の原位置は、図1に示すように右発光灯K8が遊技者の正面に位置している位置である。したがって、第8センサSE8は、右発光灯K8が原位置に位置しているときに、駆動伝達部の遮光板に形成された検出部を検出するようになっている。即ち、本実施形態では、第8センサSE8が検出部を検出することによって、右発光灯K8が原位置に位置していることを検出できる。
ちなみに、右リフレクタR3の原位置は、図2に示すように、遊技者が正面から右ランプH3を視認できるような位置である。そして、本実施形態では、右リフレクタR3の原位置と右発光灯K8の原位置を合わせているため、右発光灯K8が原位置に位置していると、右回転灯K9も原位置に位置していることになる。
このような構成により、左発光灯K5が遊技者に視認可能となっている状態では、左回転灯K6は遊技者に視認不能な状態となっている(図1)。その一方で、左可動体K4が回転軸(図示しない)を中心に180°反転すると、左回転灯K6が遊技者に視認可能な状態となる一方で、左発光灯K5が遊技者に視認不能な状態となる(図2)。同様に、右発光灯K8と右回転灯K9は右台座D3において表裏一体形成されているため、右発光灯K8が遊技者に視認可能となっている状態では、右回転灯K9は遊技者に視認不能な状態となっている(図1)。その一方で、右可動体K7が回転軸(図示しない)を中心に180°反転すると、右回転灯K9が遊技者に視認可能な状態となる一方で、右発光灯K8が遊技者に視認不能な状態となる(図2)。
なお、以下の説明では、上可動体K1、上回転灯K2、ピストル可動体K3、左可動体K4、左発光灯K5、左回転灯K6(左リフレクタR2)、右可動体K7、右発光灯K8、及び右回転灯K9(右リフレクタR3)を、それぞれ可動体K1〜K9と示すことがある。
次に、パチンコ遊技機の制御構成を図3に従って説明する。
機裏側には、パチンコ遊技機全体を制御する主制御基板30が装着されている。主制御基板30は、パチンコ遊技機全体を制御するための各種処理を実行するとともに、該処理結果に応じた各種の制御信号(制御コマンド)を出力する。また、機裏側には、演出制御基板31及びドライバ制御基板32が装着されている。演出制御基板31は、主制御基板30が出力した制御指令に基づき、演出表示装置11の表示内容を制御する。また、演出制御基板31は、ドライバ制御基板32を介して、モータMOT1〜MOT5,MOT7,MOT8を間接的に制御する。一方、ドライバ制御基板32は、演出制御基板31が出力した制御指令に基づき、モータMOT1〜MOT5,MOT7,MOT8を直接制御する。
以下、主制御基板30、演出制御基板31、及びドライバ制御基板32の具体的構成を説明する。
主制御基板30には、制御動作を所定の手順で実行する主制御用CPU30aと、主制御用CPU30aの制御プログラムを格納する主制御用ROM30bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用RAM30cが設けられている。また、主制御基板30には、I/Oポート(図示せず)が設けられている。そして、主制御用CPU30aには、各種スイッチSW1〜SW3が遊技球を検知して出力する検知信号を入力可能に接続されている。また、主制御用CPU30aには、特別図柄表示装置12、特別図柄保留表示装置13、及び普通図柄表示装置14が接続されている。
また、主制御用CPU30aは、大当り判定用乱数、リーチ判定用乱数、及び普図当り判定用乱数などの各種乱数の値を所定の周期毎に更新する乱数更新処理(乱数生成処理)を実行する。大当り判定用乱数は、大当り抽選(大当り判定)で用いる乱数である。リーチ判定用乱数は、大当り抽選に当選しなかった場合、すなわちはずれの場合にリーチを形成するか否かのリーチ抽選(リーチ判定)で用いる乱数である。普図当り判定用乱数は、普図当りか否かの普図当り抽選で用いる乱数である。また、主制御用RAM30cには、パチンコ遊技機の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)される。
また、主制御用ROM30bには、メイン制御プログラムや複数種類の変動パターンが記憶されている。変動パターンは、図柄変動ゲームが開始してから図柄変動ゲームが終了する迄の間の演出(表示演出、発光演出、音声演出)のベースとなるパターンであって、図柄変動ゲームの演出内容及び演出時間(変動時間)を特定し得る。そして、変動パターンは、大当り変動用、はずれリーチ変動用及びはずれ変動用からなる変動内容毎に分類されている。
大当り変動は、大当り抽選に当選した場合に行われる変動である。そして、大当り変動では、特別図柄による図柄変動ゲームにおいて最終的に大当り図柄を確定停止表示させる。一方、大当り変動では、飾り図柄による図柄変動ゲームにおいて、リーチ演出を経て、最終的に大当り図柄を確定停止表示させる。はずれリーチ変動は、大当り抽選に当選せずに、リーチ抽選に当選した場合に行われ、特別図柄による図柄変動ゲームにおいて最終的にはずれ図柄を確定停止表示させる。一方、はずれリーチ変動では、飾り図柄による図柄変動ゲームにおいて、リーチ演出を経て、最終的にはずれ図柄を確定停止表示させる。はずれ変動は、大当り抽選及びリーチ抽選の何れにも当選しなかった場合に行われ、特別図柄による図柄変動ゲームにおいて最終的にはずれ図柄を確定停止表示させる。一方、はずれ変動では、飾り図柄による図柄変動ゲームにおいて、リーチ演出を経ないで、最終的にはずれ図柄を確定停止表示させる。なお、特別図柄による図柄変動ゲームでは、特別図柄の変動が開始されると、リーチ演出を行うことなく、変動時間の経過時まで特別図柄の変動が継続される。そして、大当り変動用、はずれリーチ変動用及びはずれ変動用の変動パターンは、それぞれ複数種類あり、何れかが選択される。
また、主制御用ROM30bには、大当り判定値、リーチ判定値、及び普図当り判定値が記憶されている。大当り判定値は、大当り抽選で用いる判定値であり、大当り判定用乱数の取り得る数値(0〜952までの全953通りの整数)の中から定められている。リーチ判定値は、リーチ抽選で用いる判定値であり、リーチ判定用乱数の取り得る数値(0〜240迄の全241通りの整数)の中から定められている。普図当り判定値は、普図当りか否かの内部抽選(普図当り抽選)で用いる判定値であり、普図当り判定用乱数の取り得る数値(0〜250迄の全251通りの整数)の中から定められている。
次に、演出制御基板31について説明する。
演出制御基板31には、制御動作を所定の手順で実行する演出制御用CPU31aと、演出制御用CPU31aの制御プログラムを格納する演出制御用ROM31bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる演出制御用RAM31cが設けられている。また、演出制御基板31には、I/Oポート(図示せず)が設けられている。
また、演出制御用CPU31aには、各種センサSE1,SE3〜SE5,SE7,SE8が接続されている。演出制御用CPU31aは、各種センサSE1〜SE5,SE7,SE8から、検出部を検出したことを示す検出信号を入力することで、各可動体K1,K3〜K9が原位置に位置していることを把握することができる一方、検出信号を入力しないことで各可動体K1,K3〜K9が各原位置に位置していないことを把握することができるようになっている。なお、前述したように、上回転灯K2には原位置が存在しないので、上回転灯K2に対応するセンサは設定されていない。なお、以下の説明では、センサSE1,SE3〜SE5,SE7,SE8をまとめて「センサSE」と示す場合がある。
また、演出制御用RAM31cには、パチンコ遊技機の動作中に適宜書き換えられる各種情報(タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)される。また、演出制御用CPU31aには、演出表示装置11が接続されている。また、演出制御用ROM31bには、各種の画像データ(図柄、背景、文字、キャラクタなどの画像データ)が記憶されている。
また、演出制御用ROM31bには、制御対象となるモータと、制御対象となるモータ群を示すモータグループと、制御対象となるモータの処理順序、制御対象となるモータを特定するモータアドレス、及び可動体の原位置を特定する原位置アドレスを定めたモータテーブルが設定されている。なお、モータテーブルの詳細については後述する。また、演出制御用ROM31bには、図柄の変動開始から図柄の変動停止迄のいずれかのタイミングで可動体K1〜K9を動作させて行う可動演出を特定する演出パターンが記憶されている。
次に、ドライバ制御基板32について説明する。
ドライバ制御基板32には、モータMOT1〜MOT5,MOT7,MOT8の駆動を制御するドライバ回路32aが設けられている。さらに、ドライバ制御基板32には、I/Oポート(図示せず)が設けられている。そして、ドライバ回路32aには、モータMOT1〜MOT5,MOT7,MOT8が接続されている。また、本実施形態では、モータを制御するための例えば4ビットの励磁信号が出力されるようになっているため、ドライバ回路32aと各モータMOT1〜MOT5,MOT7、MOT8は、それぞれ4本ずつの信号線を介して接続されている。そして、演出制御用CPU31aは、予め定めた基本周期(1ms)で制御信号をドライバ回路32aに出力し、ドライバ回路32aはこの制御信号を入力する度に、基本周期と同じタイミングでモータに励磁信号を出力することになる。
演出制御用CPU31aは、演出パターンを選択すると、該演出パターンで指示されるモータを特定するモータアドレスを、演出制御用ROM31bのモータテーブルから特定する。そして、演出制御用CPU31aは、該モータアドレスに対応するI/Oポート(図示せず)を介してドライバ回路32aに、演出パターンで指示されるモータの駆動を指示する制御信号を出力する。そして、制御信号が入力されたドライバ回路32aは、前記モータアドレスに対応するモータに励磁信号を出力することでモータを駆動させる。なお、以下の説明では、モータMOT1〜MOT5,MOT7,MOT8をまとめて「モータMOT」と示す場合がある。
本実施形態のモータMOTは、ステッピングモータである。前述したように、予め定めた基本周期(1ms)毎に、制御信号が演出制御用CPU31aからドライバ回路32aに出力される。そして、制御信号が入力されたドライバ回路32aが、前記制御信号に基づいて励磁信号をモータに出力することで、モータMOTの励磁相がオン/オフされることにより、モータMOTが1ステップ分の角度だけ回転する。つまり、モータMOTは、1基本周期で出力される1回の制御信号によって1ステップ分の角度だけ回転する。
そして、モータMOTが1ステップ分の角度だけ回転動作すると、可動体K1〜K9は、その1ステップ分の角度に相当する分だけ可動する。本実施形態のモータMOTのステップ総数は「120」に設定されている。なお、ステップ数120のモータMOTのステップ角度は「3°/step」であり、モータMOTは1ステップで3°回転することになる。したがって、本実施形態では、モータMOTを所定のステップ数分、回転動作させることにより、そのモータに接続されている可動体が所定のステップ数に相当する角度だけ可動される。なお、モータMOT1〜MOT5,MOT7,MOT8は、正逆双方向に回転動作可能であるが、可動体毎に正方向が異なる。
また、本実施形態におけるモータMOTの回転速度(pps(pulse per second))は、1ms毎に割込処理を行って制御信号(又は励磁信号)を出力した場合を最高速度(1000pps)として、前記基本周期の何周期毎に駆動信号を出力するかによって決定される。
例えば、モータMOTの回転速度を1000ppsとする場合、演出制御用CPU31aは、タイマによって計時される1周期(1ms)毎に制御信号をドライバ回路32aに出力する。本実施形態では、演出制御基板31からドライバ制御基板32への制御信号の出力周期(1ms)が第1制御周期に相当する。そして、制御信号を入力したドライバ回路32aも、1周期(1ms)を基本周期として、制御信号を入力した信号線と接続されているモータMOTに励磁信号を出力する。本実施形態では、ドライバ制御基板32のモータ制御周期が第2制御周期に相当する。また、モータMOTの回転速度を500ppsとする場合、演出制御用CPU31aは、タイマによって計時される2周期(2ms)毎に制御信号をドライバ回路32aに出力する。そして、制御信号を入力したドライバ回路32aも、2周期(2ms)毎に、制御信号を入力した信号線と接続されているモータMOTに励磁信号を出力する。
すなわち、本実施形態では、演出制御用CPU31a及びドライバ回路32aが、前記基本周期のN周期(N:自然数)分に相当する可動体制御周期が経過したことを契機に制御信号(又は励磁信号)を出力することにより、モータMOTの回転速度を1000/N(pps)に制御することができる。ちなみに、「333pps」を例に説明すると、演出制御用CPU31aは、333ppsの回転速度を実現させるときには、タイマによって計時される3周期(3ms)毎に制御信号をドライバ回路32aに出力することになる。そして、制御信号を入力したドライバ回路32aも、3周期(3ms)毎に、制御信号を入力した信号線と接続されているモータMOTに励磁信号を出力することになる。
本実施形態では、演出制御用CPU31aが計時手段として機能する。また、演出制御基板31からドライバ制御基板32への制御信号の出力周期が第1制御周期に相当する一方で、ドライバ制御基板32のモータ制御周期が第2制御周期に相当する。また、本実施形態では、励磁信号が、モータ駆動信号に相当する。
以下、主制御基板30、演出制御基板31及びドライバ制御基板32が実行する制御内容を説明する。
まず、主制御基板30の主制御用CPU30aが、メイン制御プログラムに基づき実行する特別図柄入力処理や特別図柄開始処理などの各種処理について説明する。本実施形態において主制御用CPU30aは、所定の制御周期(例えば、4ms)毎に特別図柄入力処理や特別図柄開始処理などの各種処理を実行する。
最初に、特別図柄入力処理について説明する。
主制御用CPU30aは、始動入賞口15に遊技球が入球した場合、主制御用RAM30cに記憶されている保留記憶数が4未満であれば、保留記憶数を+1(1加算)する。次に、主制御用CPU30aは、各種乱数の値を主制御用RAM30cから読み出して取得し、該値を保留記憶数に対応する主制御用RAM30cの所定の記憶領域に設定する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄入力処理を終了する。
次に、特別図柄開始処理について説明する。
図柄変動ゲーム中ではなく、かつ大当り遊技中ではない場合、主制御用RAM30cに記憶されている保留記憶数が1以上であれば、保留中の図柄変動ゲームが存在するので、主制御用CPU30aは、保留記憶数を−1(1減算)する。そして、主制御用CPU30aは、保留記憶数に対応付けられて主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている大当り判定用乱数の値を読み出す。
そして、主制御用CPU30aは、大当り判定用乱数の値と大当り判定値を比較し、当該大当り判定値と一致するか否かの大当り判定をする。大当り判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特別図柄として大当り図柄を決定するとともに、大当り変動用の変動パターンを選択し、決定する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。
一方、大当り判定の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、リーチ判定用乱数の値を読み出すとともに、リーチ判定用乱数の値とリーチ判定値を比較し、当該リーチ判定値と一致するか否かのリーチ判定を行う。このリーチ判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特別図柄としてはずれ図柄を決定するとともに、はずれリーチ変動用の変動パターンを選択し、決定する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。
一方、リーチ判定の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特別図柄としてはずれ図柄を決定するとともに、はずれ変動用の変動パターンを選択し、決定する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。
そして、特別図柄開始処理において特別図柄及び変動パターンを決定した主制御用CPU30aは、決定事項にしたがって生成した制御コマンドを所定のタイミングで演出制御基板31(演出制御用CPU31a)に出力する。具体的に言えば、主制御用CPU30aは、変動パターンを指示するとともに図柄変動ゲームの開始を指示する変動パターン指定コマンドを図柄変動ゲームの開始に際して最初に出力する。また、主制御用CPU30aは、特別図柄を指示する特別図柄用の停止図柄指定コマンドを変動パターン指定コマンドの出力後、次に出力する。そして、主制御用CPU30aは、指示した変動パターンに定められている変動時間の経過時に図柄変動ゲームの終了(図柄の確定停止)を指示する図柄停止コマンドを前記変動時間の経過に伴って出力する。
次に、演出制御基板31の演出制御用CPU31aが演出制御プログラムに基づき実行する各種処理について説明する。
演出制御用CPU31aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、当該コマンドに指示される変動パターンに対応する演出内容(変動内容)をもとに、画像表示用データを選択する。また、演出制御用CPU31aは、特別図柄用の停止図柄指定コマンドを入力すると、当該コマンドにしたがって演出表示装置11に確定停止表示させる飾り図柄を決定する。
そして、演出制御用CPU31aは、画像表示用データをもとに図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。また、図柄変動ゲーム中に図柄停止コマンドを入力すると、演出制御用CPU31aは、決定した飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させて図柄変動ゲームを終了させる。
以下、可動体K1〜K9の制御にかかる詳細内容について図4に従って説明する。
前述したように、本実施形態では、可動体K1〜K9を動作させる7つのモータMOTが設定されている。また、本実施形態では、同一の基本周期で並列駆動処理可能なモータの上限値として「2」が定められている。これは、高性能なCPUを用いることで並列駆動処理可能なモータの数を増やすことが可能ではあるが、そのようなCPUは高価であるため、いわゆる「マイコン」といわれるような安価なCPUを用いた場合に設定される上限値である。なお、ドライバ制御基板32のドライバ回路32aにはCPUが搭載されている。さらに、本実施形態では、各可動体K1〜K9の配置によって、同一制御周期中に同時に動作させることができない可動体の組み合わせが存在している。
具体的に説明すると、本実施形態では、上可動体K1及び上回転灯K2を同時動作可能とする一方で、上可動体K1及びピストル可動体K3、又は上回転灯K2及びピストル可動体K3の同時動作を許容していない。その理由としては、上可動体K1とピストル可動体K3では、上可動体K1を最大可動位置に動作させると、ピストル可動体K3を動作させたとしても、最大可動位置に位置する上可動体K1によってピストル可動体K3を遊技者が視認することができないからである。さらに、左可動体K4を反転させる動作と、左発光灯K5及び左回転灯K6の回転動作を同時動作可能とするとともに、右可動体K7を反転させる動作と、右発光灯K8及び右回転灯K9の回転動作を同時動作可能としている。その一方で、左可動体K4を反転させる動作と、右発光灯K8及び右回転灯K9の回転動作の同時動作を許容していないとともに、右可動体K7を反転させる動作と、左発光灯K5及び左回転灯K6の回転動作の同時動作を許容していない。
また、ドライバ回路32aは、モータMOT1,MOT3,MOT4,MOT7に対して、予め定めた最大可動位置に対応するステップ数に到達するまで励磁信号を出力する。そして、前記最大可動位置に対応するステップ数に到達した後、原位置に戻すときには、ドライバ回路32aは、モータMOT1,MOT3,MOT4,MOT7に対して、前記最大可動位置に対応するステップ数と同一数だけ励磁信号を出力し、逆方向にモータを回転させる。一方、上回転灯K2(上リフレクタR1)、左回転灯K6(左リフレクタR2)、右回転灯K9(右リフレクタR3)は、回転動作を行うだけであって、最大可動位置が存在しない。このため、ドライバ回路32aは、モータMOT2,MOT5,MOT8に対して励磁信号を出力し続けてモータを回転させる。そして、ドライバ回路32aは、モータの回転を停止させるときには、モータMOT2,MOT5,MOT8への励磁信号の出力を停止する。
このような制御が実行される本実施形態のパチンコ遊技機において、例えば、333ppsの回転速度で各モータMOTを回転させる場合、図5に示すように、ドライバ回路32aが、3msの期間中に各モータMOTに励磁信号を出力すれば良いことになる。ただし、モータMOT1〜MOT5,MOT7,MOT8をそれぞれ並行して制御しつつ、かつ全て333ppsで回転させるためには、モータの総数「7」を可動体制御周期を構成する基本周期3つ分に相当する数「3」で除算したときの商(この例では「2」)以上の数のモータMOTに、1msの基本周期内で励磁信号を出力しなければならない。つまり、本実施形態におけるモータMOTの総数(この例では「7」)は、同一の基本周期において並列駆動処理可能なモータMOTの上限値(この例では「2」)と、可動体制御周期を構成する基本周期のN周期(N:自然数)分に相当する数(この例では「3」)との乗算値よりも多いことになる。そして、本実施形態では、1msの基本周期で制御対象となる複数のモータMOTを「モータグループ」として規定している。なお、本実施形態では、モータグループを構成するモータの規定個数が「3」に規定されている。
ちなみに、同一の基本周期において並列駆動処理可能なモータMOTの上限値が「2」であるからといって、1msで2つのモータしか制御しないとする。この場合、1ms毎に2つのモータに対して励磁信号を出力することになるが、最後の1つのモータが3msの可動体制御周期に間に合わず、3msで各モータMOTに励磁信号を出力することができなくなり、333ppsの回転速度を実現できなくなる。したがって、本実施形態では、モータグループを構成するモータの規定個数を「3」に規定している。
以下、モータテーブルの詳細について図4に従って説明する。
モータテーブルでは、モータグループを形成し得るように各モータMOTに対してモータアドレスが設定されている。より詳しくは、該モータテーブルでは、第1モータMOT1から順にモータを制御し得るように処理順序が予め定められており、順に規定個数ずつ(本実施形態では3つずつ)モータグループに分類されている。そして、演出制御用CPU31a及びドライバ回路32aは、モータグループ単位かつ先頭のモータグループから順番に各モータを制御することとなる。
なお、モータグループの分類方法としては、以下に示す2つの方法が考えられる。1つ目は、図4(a)に示すように、モータMOT1〜MOT3の3つを1つのグループ(第1モータグループG1)とする一方で、モータMOT4,MOT5,MOT7の3つを1つのグループ(第2モータグループG2)とし、残りのモータMOT8を1つのグループ(第3モータグループG3)とする方法である。2つ目は、図4(b)に示すように、モータMOT1〜MOT3の3つを1つのグループ(第1モータグループG1)とする一方で、モータMOT4,MOT5の2つを1つのグループ(第2モータグループG2)とし、残りのモータMOT7,MOT8の2つを1つのグループ(第3モータグループG3)とする方法である。
333ppsの回転速度を実現するために、モータテーブルの先頭に設定されているモータから順に3つずつモータグループを設定すると、図4(a)に示すように、1つのモータグループに、同時動作を許容していない可動体の組み合わせが含まれることになる(具体的には、第2モータグループG2)。第1モータグループG1では、モータMOT1,MOT2とモータMOT3に関して、同一の基本周期で同時制御させることが想定されていないため、第1モータグループG1を設定しても問題ない。ところが、第2モータグループG2では、同時動作を許容していない可動体の組み合わせが1つのモータグループに設定されている。このため、第2モータグループG2では、同時に動作させることが想定されている3つのモータ(モータMOT4,MOT5,MOT7)が1つの基本周期内に存在することになり、これでは、並列駆動処理可能なモータの上限値「2」を越えてしまうため、このようなモータの回転は行うことができない。
その一方で、図4(b)に示すようにモータグループを設定した場合、並列駆動処理が予め想定されているモータが、各モータグループに分かれて設定されていることになる。そして、前述したような理由から、第1モータグループG1を設定しても問題ない。一方、第2モータグループG2に関しては、モータテーブルの先頭に設定されているモータから順に3つずつモータグループを設定しつつ、かつ、同時動作が予め想定されている可動体の組み合わせが1つのモータグループに1組以上含まれてしまうことを防ぐようにした。具体的には、図4(c)に示すように、モータMOT5を特定するモータアドレスとモータMOT7を特定するモータアドレスとの間に、駆動するモータが存在しない仮想モータMOT6を特定するダミーアドレスを設定した。ダミーアドレスとは、実際に動作するモータが存在しない仮想モータに対応するモータアドレスである。
このようにダミーアドレスを設定すると、図4(c)に示すように、モータMOT1〜MOT3の3つが第1モータグループG1を構成し、モータMOT4〜MOT6の3つが第2モータグループG2を構成し、モータMOT7,MOT8の2つが第3モータグループG3を構成することになる。なお、第3モータグループG3を構成するモータよりもアドレスが後ろのモータが存在しないため、第3モータグループG3を構成するモータの数が、モータグループG1,G2を構成するモータの数よりも少なくても問題ない。
図4(c)に示すモータテーブルでは、例えば、第1モータMOT1のモータアドレスとして「4100H bit0〜bit3」が設定されている一方で、原位置アドレスとして「410CH bit0」が設定されている。一方、ダミーデータ及び第2モータMOT2のアドレス「410AH」は、モータテーブル内には設定されているが、実際に動作するモータが存在しない仮想モータに対応するモータアドレスとなっている。前述したように、上回転灯K2には原位置が存在しないため、上回転灯K2に対応する原位置アドレスとして、「410AH bit6」を設定している。また、仮想モータMOT6も存在しないため、仮想モータMOT6を特定するモータアドレスとして、「410AH bit0〜3」を設定している。これにより、制御信号がドライバ回路32aに出力されることになるが、前述した「410AH」で特定されるモータは実在しないため、結果的に入力された制御信号が破棄されることになる。
このように、本実施形態では、同一の基本周期で同時に可動させることが想定されているモータが、1つのモータグループに収まるようにモータグループを設定している。ただし、同一の基本周期で同時に可動させることができる可動体の上限値は「2」であるため、同一の基本周期での並列駆動処理が予め想定されている2つのモータと、同一の基本周期で並列駆動処理が想定されていない1つのモータとの組み合わせによって1つのモータグループを構成し得るようにモータグループを設定するとともに、モータアドレスを割付けた。また、モータの処理順毎にモータグループを規定個数ずつ設定した際に、同時動作が想定されるモータの組み合わせが並列駆動処理可能なモータの上限値を超えてしまう場合は、モータテーブルに仮想モータMOT6を設定することで1つのモータグループ中の並列駆動処理可能なモータの上限値以内に収まるようにした。また、仮想モータMOT6には、ドライバ制御基板32の未使用ポート、又は予め使用することのないポート上のアドレスを設定しても良い。
このようなモータの割付を行ったことで、同一の基本周期で並列駆動処理可能なモータの上限値を厳守しつつ、かつモータグループG1,G2,G3のように異なるグループに分類されるモータを並列して動作させることができる。これにより、演出制御用CPU31a及びドライバ回路32aの処理能力を超えることなく、かつ並列駆動処理可能な上限値のモータを並行して動かすことができるので、可動体の動作制御にかかる処理の効率化を図ることができる。本実施形態では、ドライバ回路32aが制御手段として機能する。
以下、ドライバ回路32aが可動体K1〜K9の動作を制御するために行う制御の流れについて図5に従って説明する。なお、以下の説明では、リーチ形成時までに可動体K1,K2,K4,K5,K7,K8を動作させた後、リーチ形成後に可動体K3,K6,K9を動作させることを指示する演出パターンが選択されたことを前提として説明する。
ドライバ回路32aは、最初に、第1モータグループG1に分類されるモータに励磁信号を出力する。このとき、ドライバ回路32aは、前提条件によって、モータMOT1,MOT2に出力する一方で、モータMOT3には出力しない。これにより、上可動体K1及び上回転灯K2が可動する一方で、ピストル可動体K3は可動しない。
そして、ドライバ回路32aは、第1モータグループG1に分類されるモータに励磁信号を出力した後、次の基本周期の開始時(1msの経過時)に、第2モータグループG2に分類されるモータに励磁信号を出力する。前述したように、モータテーブルでは、第2モータグループG2にダミーアドレスが設定されているので、演出制御用CPU31aが制御信号をドライバ回路32aに出力したとしても、ダミーアドレスで特定されるモータは実在しないため、結果的に入力された制御信号が破棄される。これにより、左可動体K4、左発光灯K5、及び左回転灯K6が可動する。
前述したように、モータテーブルでは、第2モータグループG2に仮想モータMOT6が設定されており、未使用となるモータアドレスが設定されているため演出制御用CPU31aが制御信号をドライバ回路32aに出力したとしても、ダミーアドレスで特定されるモータは実在しないため、結果的に入力された制御信号が破棄される。
そして、ドライバ回路32aは、第2モータグループG2に分類されるモータに励磁信号を出力した後、次の基本周期の開始時(1msの経過時)に、第3モータグループG3に分類されるモータに励磁信号を出力する。このとき、ドライバ回路32aは、前提条件により、モータMOT7,MOT8に励磁信号を出力する。これにより、右可動体K7、右発光灯K8、及び右回転灯K9が可動する。
このように、本実施形態では、モータグループ単位で励磁信号がモータに出力されるが、各モータグループにおける制御信号の出力タイミングのずれは「1ms」である。可動体の動作が1msずれていることを遊技者が認識することは不可能であり、見た目上、演出パターンに定められているように、可動体K1,K2,K4,K5,K7,K8が同時に動作しているかのように見せることができる。
そして、ドライバ回路32aは、第3モータグループG3に分類されるモータに励磁信号を出力した後、可動体制御周期が経過したことを認識し、次の基本周期の開始時(1msの経過時)に、再度、第1モータグループG1に分類されるモータに励磁信号を出力する。つまり、ドライバ回路32aは、3msを1つのサイクルとしてモータグループ毎に励磁信号を出力している。
その後、ドライバ回路32aは、リーチ形成のタイミングに到達し、かつ第1モータグループG1に励磁信号を出力するタイミングに到達すると、第1モータグループG1に分類されるモータに励磁信号を出力する。このとき、ドライバ回路32aは、前提条件によって、モータMOT1,MOT2に出力しない一方で、モータMOT3に出力する。これにより、上可動体K1及び上回転灯K2が可動しない一方で、ピストル可動体K3が可動する。
そして、ドライバ回路32aは、第1モータグループG1に分類されるモータに励磁信号を出力した後、次の基本周期の開始時(1msの経過時)に、第2モータグループG2に分類されるモータに励磁信号を出力する。なお、本実施形態の左可動体K4及び右可動体K7は、180°反転して左回転灯K6及び右回転灯K9が遊技者に視認可能な位置に位置すると、左可動体K4及び右可動体K7を原位置に戻すことを指示する制御信号が出力される迄、制御信号が出力されないようになっている。
したがって、左可動体K4が180°反転していたとすると、ドライバ回路32aは、モータMOT4に励磁信号を出力しない一方で、モータMOT5に励磁信号を出力する。これにより、左可動体K4が可動しない一方で、左発光灯K5及び左回転灯K6が可動する。ただし、左可動体K4が180°反転したことにより、左発光灯K5の動作態様を遊技者が視認することはない。また、前述したように、ダミーアドレスで特定されるモータは実在しないため、結果的に入力された制御信号が破棄され、可動体が動作しない。
そして、ドライバ回路32aは、第2モータグループG2に分類されるモータに励磁信号を出力した後、次の基本周期の開始時(1msの経過時)に、第3モータグループG3に分類されるモータに制御信号を出力する。このとき、右可動体K7が180°反転していたとすると、ドライバ回路32aは、モータMOT7に出力しない一方で、モータMOT8に出力する。これにより、右可動体K7が可動しない一方で、右発光灯K8及び右回転灯K9が可動する。ただし、右可動体K7が180°反転したことにより、右発光灯K8の動作態様を遊技者が視認することはない。
そして、ドライバ回路32aは、第3モータグループG3に分類されるモータに励磁信号を出力した後、可動体制御周期が経過したことを認識し、次の基本周期の開始時(1msの経過時)に、再度、第1モータグループG1に分類されるモータに励磁信号を出力する。
したがって、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)所望の回転速度で各モータを回転させるために第1制御周期(1ms)を基本周期として制御するモータを対応付けたモータグループを設定し、1つのモータグループにおいて、並列駆動処理が予め想定されているモータに関しては、上限値(2つ)分のモータを設定した。これにより、第1制御周期で並列駆動処理可能なモータの上限値を厳守しつつ、かつ所望の回転速度で各モータを回転させるために必要なモータグループの構成要素を確保することができる。このため、制御手段(ドライバ回路32a)の処理能力を超えることなく、かつ異なるモータグループのモータを同時に動かすことができるので、可動体K1〜K9の動作制御にかかる処理の効率化を図ることができる。
(2)モータテーブルに仮想モータを設定することにより、モータグループの設定が容易となる。本実施例では、モータグループG1に分類されるモータMOT1とモータMOT2が、予め同時に動作させることが想定されている可動体である。そして、モータMOT3の可動体がモータMOT1,MOT2と同時に動作させることがない想定であったので、同一のグループとなるようにモータテーブルを設定した。しかし、このような場合は、可動体の使用ルール、つまりリーチなどの演出における使用ルールとしてモータMOT1及びモータMOT2の同時使用の禁止、モータMOT2及びモータMOT3の同時使用の禁止などの設定をプログラム上設ける必要がある。しかし、仮想モータをモータグループG2に設けた場合は、モータMOT4,MOT5と仮想モータMOT6との間に、そのような同時使用の禁止を考慮する必要は無いため、新たなプログラムを設ける必要がない。そのため、制御負担の軽減に繋がるとともに、演出パターンなどの設定を行う際に、演出上の使用ルールとして、複数のモータに対する同時動作の禁止プログラムなどの設定を行わなくても良いというメリットがある。
(3)仮想モータにダミーアドレスを設定したことで、制御信号がドライバ回路32aに出力されたとしても、ダミーアドレスで特定されるモータは実在しないため、結果的に入力された制御信号が破棄されることになる。これにより、誤って上限を越えた可動体が動作することがない。また、ダミーアドレスを設定するだけで、演出制御用CPU31a及びドライバ回路32aの処理能力を超えることなく、かつ並列駆動処理可能な上限値のモータを同時に動かすことができる。また、モータテーブルの割付以外の同時動作禁止手段(動作禁止パターンなど)を設定する必要がなくなるので、制御負担の軽減に繋がる。
(4)第1モータグループG1は、ダミーアドレスを設定せずに、並列駆動処理が予め想定されている既存のモータ(モータMOT1,MOT2)と、並列駆動処理が想定されていない既存のモータ(モータMOT3)の組み合わせによって構成されている。したがって、仮想モータを新たに設定しなくても、既存のモータを特定するモータアドレスの設定順序を調整するだけでも、ドライバ回路32aの処理能力を超えることなく、かつ並列駆動処理可能な上限値のモータを同時に動かすことができる。
(5)モータテーブルにおいて先頭に設定されているモータから順に規定個数ずつ(本実施形態では3つずつ)モータグループに分類されるように設定した。ただし、第3モータグループG3に関しては、該第3モータグループG3を構成するモータよりもアドレスが後ろのモータが存在しないため、第3モータグループG3を構成するモータの数が、モータグループG1,G2を構成するモータの数よりも少なくても問題ない。
(6)演出制御基板31とドライバ回路32aを別体とすることで、ドライバ回路32aの交換が必要な際には、演出制御基板31を交換しなくてもドライバ回路32aのみを取り替えるだけで済むので、必要最低限の部品交換によるコスト削減に繋がる。
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
・ 実施形態では、図6に示すように、ドライバ制御基板32のドライバ回路32aが、ドライバ制御用CPU32b、ドライバ制御用ROM32c、及びドライバ制御用RAM32dを含んで構成されても良い。この場合、センサSEはドライバ制御用CPU32bと接続されていても良い。そして、演出制御用CPU31aからは、制御信号を1回だけ送信するのみで、ドライバ制御基板32側で所定の周期タイミングを計時し(第2制御周期)、励磁信号を出力することでモータを制御するようにしても良い。この場合、ドライバ制御基板32にもタイマ機能を搭載し、ドライバ制御基板32側で周期を計時することになる。また、ドライバ制御用ROM32cにモータテーブルを設定しても良い。この場合、ドライバ制御用CPU32bが、演出制御用CPU31aからの制御信号の入力を契機にモータテーブルを読み出すことで、ドライバ制御基板32側でモータ駆動にかかる詳細な制御を実行するようにしても良い。
・ 実施形態では、モータテーブルにおける各モータの処理順序として、同時動作を許容していない可動体の組み合わせが1つのモータグループに含まれないようにできる位置であれば、仮想モータの設定順序はどの位置であっても良い。例えば、図4(c)に示すモータテーブルにおいて、第3モータMOT3と第4モータMOT4との間に仮想モータを設定しても良いし、第4モータMOT4と第5モータMOT5との間に仮想モータを設定しても良い。
・ 実施形態におけるモータの総数、各モータの回転速度、同一の基本周期で制御対象とするモータ数、及びドライバ回路32aが同一の基本周期において並列駆動処理可能なモータの上限値を変更しても良い。ちなみに、同一の基本周期で制御対象とするモータ数を増加させたい場合、高性能の制御CPUを使用すれば良い。例えば、モータの総数が「8個」であって、各モータの回転速度を250ppsとする一方で、ドライバ回路32aが同一の基本周期において並列駆動処理可能なモータの上限値が「3」であるとする。このような場合、1つ目及び2つ目のモータグループには、同時制御が予め想定されている3つのモータが対応付けられる一方で、3つ目及び4つ目のモータグループには、それぞれ1つずつモータが対応付けられることになる。すなわち、1つのモータグループに同時制御が想定されているモータが上限値と同一数だけ記憶されている場合、同時制御が想定されていないモータやダミーデータは、そのモータグループにおいていくつ設定されていても構わない。そして、下記の関係式に当てはまる組み合わせであれば、どのようなモータ数であっても本実施形態のような制御を実行することができる。
所望の回転速度(pps)=(1000(pps))/可動体制御周期(ms)…(1)
モータ総数>(同一の基本周期で並列駆動処理可能なモータ数)×(可動体制御周期を構成する基本周期に相当する数)…(2)
・ 実施形態において、ダミーデータを設定することなく、1つのモータグループにおいて同時制御が予め想定されているモータと、同時制御が想定されていないモータの組み合わせでモータグループを設定しても良い。
・ 実施形態では、モータグループを構成するモータの数がグループ毎に異なっていても良い。
・ 実施形態において、同時制御が想定されていないモータのみで構成されるモータグループが設定されても良い。
・ 実施形態は、回転速度を段階的に変化させるモータに採用しても良い。例えば、正方向に回転させる回転速度よりも逆方向に回転させる回転速度が遅くなるように設定しても良い。
・ 実施形態は、遊技機の仕様(大当り抽選の抽選確率、当りの種類、演出テーマなど)にかかわらず、可動体制御で使用するドライバ制御基板(より詳しくは、制御CPU)として同一のものを使用してもよい。このよう場合、遊技機毎に使用するモータ数が異なっていても、実施形態のような法則でモータグループを設定することで制御負担の軽減に繋がる。さらに、演出パターンなどの設定を行う際に、演出上の使用ルールとして、複数のモータに対する同時動作の禁止プログラムなどの設定を行わなくても良いというメリットがある。
・ 実施形態では、演出制御基板31にドライバ回路32aの機能を搭載させても良い。また、演出制御基板31とドライバ回路32aとの間に、演出制御基板31からの制御信号をドライバ回路32aに中継する中継基板を接続させても良い。また、演出制御用CPU31aの役割を、単にモータの駆動を指示する制御信号を指示するだけの制御に留めて、ドライバ回路32aが、どのモータを駆動させるかなど詳細な制御を実行するようにしても良い。また、演出制御基板31を、表示に係る制御を実行する演出表示制御基板と、演出表示制御基板を制御するサブ統括制御基板に分けても良い。この場合、各種モータMOT及び各種センサSEは、演出表示制御基板及びサブ統括制御基板のどちらに接続されていても良いが、同一の基板に接続されていることが望ましい。
・ 実施形態において、特別図柄用の停止図柄指定コマンドに代えて、大当りの種類を特定可能なコマンドを設定しても良い。
・ 実施形態において、演出表示装置11は液晶ディスプレイ型としたが、ドットマトリクス型、有機EL型、プラズマディスプレイ型などとしても良く、これらを組み合わせた表示装置を用いても良い。